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2015年5月 7日 (木)

日本に最もふさわしい再エネは水力発電だ

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私が再エネ推進論者の皆さんの言うことに眉に唾つけたくなるのは、言っていることに責任を持たないファンタジーだからです。

飯田哲也氏は、3.11以後の再エネを牽引してきた人のひとりですが、こんなことを言うのを聞くと、彼は工学系ではなくて、実は文学部幻想文学科だったのね、と思ってしまいます。

「長期的には自然エネルギーを2020年には30%、2050年には100%、同時に総量削減型のエネルギー効率化と合わせて大胆なエネルギーシフトをしていく」(「3.11以降の原子力・エネルギー政策」)

あの、飯田さん、そりゃ科学者がいうことじゃなくて、ただのプロパガンダですよ。しかも、彼は水力8%を度外視しています。

Sim(写真 熊本県立野ダムhttp://maho-con.co.jp/damujigyo/kouji3.html

水力発電は、CO2を出しませんし、水の位置エネルギーを使うだけのものです。エネルギー源の水を汚染することもありません。

水をどんどん費消してしまうならともかく、わが国は水は豊富にあります。

ところでわが国は、自慢ではありませんが、おそらく世界一の自然災害大国です。

地震は来る、台風もマメにやってくる、その都度、土砂崩れは起きる、道は陥没する、川は溢れる、そんな暮らしを数千年この狭い列島の上でしてきたのです。

92708eb3badc1db48daa7723fad5014e               (写真 2009年九州自動車道の土砂崩れ現場)

しかし逆に考えてみてください。こんな広くもない自然災害大国に、なぜ1億3千万人もの国民が文明生活を営めるのでしょうか。

それは自然災害に対して、何重もの自然をコントロールする防御システムを備えているからです。

急峻な山から流れ出した急流は、まず多目的ダムで蓄えられ、そしてエネルギーを失ってから、山懐の水田に流れ込み、そこでまた蓄えられて水量と水速のエネルギーを失います。

このように大きなダムと水田ダムとの組み合わせで、日本人は自然をコントロールしてきました。

もしダムと水田がなければ、「まるで滝のようだ」と明治期に来日したヨーロッパ人を驚かせた我が国の河川は暴れ川となって、大水のたびに洪水をもたらすでしょう。

最近でも四国の四万十川の大洪水は記憶に新しい所です。

204  (写真 高知県波介川水害 水田が水を蓄えて住宅地の手前でブロックしているのがわかる)

歴史的に我が国ほど治水に知恵と力を出してきた国はありません。川を治めた者のみが、為政者たる資格があるとされるのが、我が国の古くからの伝統でした。

武田信玄は優れた民政家でしたが、彼が作った霞堤は暴れ川を見事に水田に引き入れて手なずけています。

その伝統は、いまでも受け継がれています。それがダムと水田、そして林業による治水でした。

崩落しやすい山肌はいったん裸山にすると崩落して住宅地を襲い、河川を埋めて大水を引き起します。

それをさせないために日本人はダムを作り、山を守り、水田を守ってきたのです(下図 立野ダムより。クリックすると大きくなります)

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このような日本人の自然利用の伝統を断ち切ったのが、皮肉にもエコを謳う自然保護論者たちでした。

彼らは多目的ダムを敵視しました。ダムが集落を立ち退かせるという一部の出来事を大げさに取り上げて、そのことによる周辺住民のベネフィット(利益)を度外視しました。

欧米の環境保護論者が、勝手にダムを自然破壊のレッテルを貼ったために、わが国でもお調子者の長野県知事などや民主党がそのブームに乗って、ダム悪玉論が喧伝されてしまいました。

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本来は、福島事故の後こそ水力発電の重要性を再認識すべきなのに、真逆な方向に走っていきました。

そもそも平坦なヨーロッパと日本を同一視すること自体が間違いです。河川の水源と河口の落差がまったく違います。(図 富岡和子「川は生きている」 クリックすると大きくなります)

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このような北欧に匹敵する山がちな地形を利用しないで、日本のいきなり深くなる海岸線に西欧と同じオフショア風力(洋上)発電を巨額なカネをかけて設置しようとするなど、バカ丸出しです。

水力は夜に動かなくなるような屁タレの太陽光と違って、水さえあれば常時稼働できるという、優れた低炭素電源です。

しかし大型ダムが、環境破壊というレッテルを貼られて、再エネからは排除されていますが、やり方はいくらでもありそうなものです。

わが国のように山岳が多く、しかも急流な河川か多い国土では、最も適した電源は、いうまでもなく水力です。

現実に、北欧は水力中心の電力構成をしています。

飯田氏が若き日に学び、今もユートピアの如く語るスウエーデンの電源比率のデータを押えておきます。

●スウエーデン国内発電電力量(1,666億kWh)の電源比率・2012年
海外電力調査会:データ集:各国の電気事業:スウェーデン
・水力  ・・・48%
・原子力 ・・・38%
小計   ・・・90%

・化石燃料・・・2%
・バイオマス・廃棄物発電・・・8%
・風力             ・・・4%
・太陽光発電        ・・・0.1%未満

なんだ、飯田氏ご推奨の風力はたった4%、太陽光に至っては0..1%です(笑)。その替わり圧倒的に水力が約半分の電源を占めています。

ちなみにスウエーデンの森林率(69.24%)と、ほぼ同等の森林率を有する日本(68.57%)の水力の電源比率は、わずか8%にすぎません。

相当に困難でしょうが、日本がスウエーデン並の水力発電量を確保できれば、わが国の化石燃料依存は激減し、しかも原子力依存もそうとうに減るはずです

もういいかげん、浮ついたドイツのコピーを止めて、日本の風土に最もふさわしい再エネである水力を再認識すべきです。

水力を度外視する再エネなどは、ファンタジーか、さもなくば太陽光で一発当てたい俗物商人のいずれかです。

こんな地に足が着かないような再エネは一過性のブームで終わることでしょう。神話とレッテル貼りだけでどうにかなる時期は、既に終わったのです。

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コメント

いつも興味深く拝読しております。水力発電の説に一理あり、確かに増やすべきだと思います。スウェーデン並みの割合は無理にしても狭い日本で頑張って15%くらいになればベストなのかも!?スウェーデンの48%と日本の8%にあたる水力の発電量がほぼ同じなんですね小さな日本がいかに電力を使っているのかを改めて知らされました。

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