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偽薬としての再エネ その論理構造

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3.11直後には幅広い層に共感をもたれていた脱原発運動ですが、いまはかつてのような勢いを失っています。

その理由は色々ありますが、代替エネルギーについてリアルな提案ができなかったこともあるでしょうね。

現実には9割弱が化石燃料に依存する国になっているにもかかわらず、初めからその代替は再生可能エネルギーで「決まり」だからです。

現状日本は9割、化石燃料依存ですぞ。それを太陽光で決まり、みたいに言われてもねぇ。

前にもお見せしたかもしれませんが、下の2枚のグラフを見てください。紫の原子力がグラフ右端では消滅して、替わりに火力のピンク色が激増しているのがわかりますね。

これが、「原発ゼロ」の現実です。

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 (図電源別発電電力量構成比 - 電気事業連合会

同時に、電力会社は燃料コストの増加によって、電力料金を値上げせざるをえなくなっています。

Photo

                             (図 東電HP)

このシビアな現実をいつまで続けていくつもりなのでしょうか。電気料金の値上がりは、2011年から消費税5%分に等しいと言われています。

まちがいなく、この電力高騰と薄氷の電力供給態勢は、日本のデフレ脱却の足をモーレツに引っ張っています。

Photo                   (写真 日本全国、どこもかしこもメガソーラーだらけ)

このたいへんな状況に対する偽薬が、再エネです。

電力は、原子力だろうと、火力だろうと、はたまた再エネだろうと、消費者にとって、要は電力を安く安定供給してくれることが一番なはずなのに、電源選択こそが至上の命題であるかのような錯覚を作ってしまいました。

この無関係なふたつを強引に結合させてしまったのが、「東電悪玉論」、あるいは「東電戦犯論」と呼ばれる東電バッシングです。

つまり、飯田哲也氏あたりにいわせると、こういうロジックになります。

「東電という極悪な会社が、政府から原発と引き換えにして、まるで幕藩態勢のような地域独占を与えられて肥え太り、競争相手がいないのをもっけの幸いにしてクソ高い電気料金を課し、そのくせ原発の安全に注意しなかったためにフクシマ事故を起こしてしまった」

こんな東電は潰してしまえ。そして独占を解体して、市民参加の出来る再エネにチェンジしよう、そのためのロケットブースターがFIT(全量固定価格買い取り制度)だ、と言うわけです。

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これを分解してみると、こんな論理パーツで成り立っています。

(1)電力制度批判
①電力会社は地域独占体制で利益を貪っている(電力会社幕藩体制論
②電力会社は総括原価方式でコストを電力料金になんでも転嫁できるので原発を国の言うままに量産しまくった(総括原価方式特権論

(2)東電バッシング
③電力会社は事故を未然に防げたにもかかわらず、対策を怠ったために大事故を起こした(福島事故事前防止可能論
④事故に際しては現場から撤退を図った(東電撤退論

(3)原発再稼働反対
⑤全原発も直ちに廃炉にするべき (再稼働阻止

(4)再エネ普及のためのFIT推進
⑥原子力がなくとも、省エネと安全・安心な再エネがあるので大丈夫だ(再エネ代替論
➆再エネ普及のためのFIT推進

(5)電力自由化
⑧電力会社の特権を剥奪し、電力市場を開放しろ(電力自由化

スッと読むと納得しそうですが、こうして区切ってみるとまったく別の次元の論議が雑然と積み重なっているのが分かるでしょうか。

最後の電力自由化論に至っては、原発とはなんの関係もありません。

それを強引に接着しているジョイントが、「東電憎し」「東電極悪論」の一点です。

だから、反原発派にとって、ナニガなんでも、福島事故は極悪の東電が安全を怠ったために起きた人災でないと困るのです。

念のためにお断りしておきますが、再エネ自体が間違った技術だと言っているわけではありません。むしろ非常に面白いし、はまる所にはまれば大変に有力な電源です。

ただし、それは以下の条件が必要です。

①水量が豊か、風が強いなどの自然条件に合った地域特性が利用できる場合
長い送電網を通して消費地に送るという送電ロスがなく、地場で費消できる条件
③発電
の不安定という宿命的な欠陥を補うための蓄電設備

これらの条件が揃えばいいのですが、なかなか難しいのが現状です。

ですから、再エネに対する過度な思い入れによって、まるで原子力にすぐに取って替われるというような幻想は持たないことです。

再エネは、使い方を間違えねば、漢方薬のように社会の体質を変えるいい薬ですが、世界トップクラスの工業国のベースロード電源になるような代物ではまったくありません。

今の反原発派のよう使い方をすれば、ただの偽薬となって、かえって症状を悪化させるだけです。

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原発を真面目に終りにする方法」カテゴリの記事

コメント

管理人様、分かりやすくまとめて頂いてありがとうございます。

あと、一つ、発送電分離も加えてください。

それにしても、当時、電力会社は見事にスケープゴートにされてしまいました。
失政続きの菅政権、経産省の思惑、降ってわいて出た飯田哲也のようなハイエナ、弱みを見せると徹底的に叩くマスコミと煽動されたプロ市民等々…

東京電力は致し方無いにしても、他の電力会社は、可哀想に思えます。

投稿: 水力人 | 2015年5月 5日 (火) 21時21分

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