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2015年6月

百田発言を整理する

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百田発言の炎上が止まりません。百田氏の応援組と、これを「言論弾圧だ」とするサイドで、バトルロイヤル気味になってしまっています。 

少し整理しておきましょう。 

まずは、主催者です。 「自民党」とひと括りにしないで、どこの誰の発言なのでしょうか。

主催者は、木原稔党青年局長が代表の「文化芸術懇話会」というものです。 

「青年局」という機関名が被っていますが、正式な会議ではなく、若手の代議士たちの自主的勉強会です。 

民主党政権の場合、かつての小沢氏が政権与党の幹事長にいた頃は、党幹事長室がすべての権力を掌握していました。 

県連ですら、自主的に陳情は受けられず、党本部幹事長室に一括され、すべての部会は廃止されて、これも幹事長室に一括されました。 

すべての与党権力が、小沢氏ひとりに集中する民主集中制という、共産党もどきのものができてしまいました。私は秘かに「スターリン・オザワ」と呼んでいたくらいです(笑)。 

それに対して、自民党は日本人好みのボトムアップそのもので、県連や各種部会から揉まれながら政策が上がっていき、政調会長がまとめて、さらに政府案と揉むという仕組みが確立しています。

まぁ、好きかキライかは別にして、ワンマンが通りにくい下からのムラ民主主義と言えます。実に日本的です。

その意味で、安倍官邸は、野党などより党内の諸勢力との戦いに神経を使っていると思われます。

それがこのような失言問題のような、脇の甘さとして表に出てきてしまいます。

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え、問題となった青年局がないって。 

はい、青年局はこのいかなる縦のラインにも属さない、横のいわば親睦組織に毛が生えたようなものです。
※自民党青年局http://youth.jimin.jp/ 

昔風に言えば、「陣笠議員」という奴で、当選回数がものを言う議員の世界では、使い走りの足軽です。 

ですから、やることは、ひたすら勉強と幹部の遊説の下回りで、前の石破幹事長の時には、この鬼軍曹にテッテイしたしつけを受けたそうです。 

というわけで、青年局には何ひとつ権限がありません。 

いくら、「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなるのが一番。不買運動を経団連などに働きかけてもらいたい」(大西英男衆院議員)、「テレビの提供スポンサーにならないということが一番こたえる」(井上貴博衆院議員)と吠えたところで、ただの「言っただけ」にすぎません。 

ちなみに、言った内容自体は、昨日も書きましたが馬鹿丸出しで、論評の価値もありません。豆腐の角で頭をぶつけて死んだほうかましです。 

このような発想をすること自体、議員としての素質を疑わせます。ただし、幸いにも、こんな愚かな意見は、いかなる意味でも執行部に採用されません。 

したがって、「自民党の言論弾圧」と呼ぶような大げさなものではありえません。

この両氏の発言が、かつての世耕弘成自民党広報本部長あたりが口走っていたら、そうとうに危険ですが、しょせん大西氏も井上氏も、揃って2期めの「若手」にすぎません。 

彼らが、身内だけの討論の過程で口を滑らしてしまったとしても、ただそれだけのことで、地元2紙のように、「自民党の言論弾圧が来る」とリキむような性格ではないのです。

この表現は、まるで自民党が政権党として、気に食わないメディアを潰すと宣言したかのような錯覚を、読む者に与えかねない印象操作です。 

さて次に、この勉強会自体は非公開で、質疑の時間には記者たちは退出を指示されていていました。 

百田発言とされるものには、講演とその後の質疑の部分がありますが、例の「沖縄2紙を潰せ」うんぬんという問題発言は、この質疑の時に言ってしまったことです。 

この百田発言の部分は、有体に言えば盗聴されたものです。こんなかんじです。 

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 このような非公開の集会を盗聴して記事にするのなら、発言者がどのような意図で言ったのかを発言者に取材してからにするべきです。 

問題発言と思うならいっそうそうすべきで、それなしで、いきなり「言論弾圧」をブチ上げて、今の安保法制とからめて「軍国主義がやってくる」とするのはかなりイヤらしいやり口です。 

取材倫理としてはかなり問題視されるべきというより、むしろ、これはあらかじめ待ち受けていた所に願ったりの発言をしてしまったからです。これは偶然ではありえません。

憶測の域をでませんが、新聞記者の日頃のやり口から見て、彼らは歩く失言男の百田氏が自民党の若手に呼ばれた時に、しめたと思ったはずです。

デスクはこう叫んだでしょう。「百田は絶対においしいことを言う。聞き漏らすな」。そして百田氏が述懐するように「沖縄の・・・」の部分のみを切り取ってスクープに仕立てあげたのです。

と言っても、青年局のうかつさが免罪されるわけではありません。ことあれかしを狙って、耳をそばだてているブン屋たちの前で、こんなことを言えば、時期が時期だけにどのようなことになるか、考えないでもわかりそうなものです。 

そもそも、今どき気のいい浪速のオッチャンを呼べば、何を言いそうかわからなかったらおかしいので、企画自体がバカです。 

マスメディアのリアクショの色分けを見ます。ここでもいつものとおり、きっちりメディアの反応は二分しています。 

「在京6紙で「問題がある」としたのは毎日新聞と朝日新聞だった。毎日の小泉敬太・編集編成局長は「言論・報道の自由をないがしろにする発言が、政権与党の会合の中で出たのは重大な問題だ」とした。毎日は26日朝刊社会面に問題の発言を掲載し、27日朝刊では1面、社会面を含めて報道して、社説で「まるで戦前の言論統制への回帰を図る不穏な空気が広がっているかのようだ」と指摘した。(略)
読売の27日社説は米軍普天間飛行場の移設を巡り、「沖縄2紙の論調には疑問も多い」とした上で「百田氏の批判は、やや行き過ぎと言えるのではないか」とした。
 産経新聞は29日まで社説を掲載していない。26日に百田氏の発言を報じ、27日5面に与野党の対応をまとめた。28日5面には百田氏の「一言だけ取り出すのは卑劣」との反論を載せた」(毎日6月29日)

まぁ、安保法制に対する社論どおりに分かれたというだけです。 

安保法制を潰したい朝日・毎日は、糾弾し、安保法制に賛成する読売・産経は言い過ぎを批判しつつも、問題視するのは避けたということです。

まとめておきます。
①主催者の自民党青年局は、なんの政策権限も持たない組織であり、この勉強会は単なる若手議員の自主研修だった。
②したがって、自民党の「言論弾圧」とするのはオーバーであり、印象操作である。
③メディアは百田氏の「失言」を待ち構えていた。
④発言内容自体については、軽率、不勉強、不見識で擁護すべき内容ではない。
⑤メディアが、百田発言を今の安保法制と絡めるのは反対派の意図的短絡である。

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ところで、百田氏の発言について、私の感想を言っておきましょう。 

私は百田氏『永遠の0』の主人公である宮部久蔵がこの百田発言を聞いたらと、考えてみざるをえませんでした。

おそらく久蔵は百田氏を殴り倒します。久蔵は、「臆病者」「命を惜しむ卑怯者」と同僚に罵られ続けました。当時「臆病者」と呼ばれるのは「売国奴」と呼ばれるに等しいことでした。

久蔵はその誤解を訂正しようとはしていません。確かに自分は命が惜しいのだし、それは妻に「片足になってでも帰る」と言い残しているからです。

狂ったような時代が、青年たちに生き急ぐことを命じる中で、「死なない」という個人の原則を守り通すことは「売国」でした。

しかし彼にとって卑怯とは、絶望的状況下で人間でありつづけようとする意志そのものだったのです。 

こんな久蔵からすれば、百田氏のように安易に「売国」だの「反日」だのというレッテルを貼りたがる人物を唾棄したはずです。

なぜなら久蔵は、レッテルの外で生きようともがき、そして最後には沖縄のために死んだのですから。

特攻作戦は、この作品でも容赦なく批判されています。特攻作戦は、疑う余地なく、非人間的で、偽りに満ち、若い生命をどぶに捨てるような作戦でした。

なにひとつとして、特攻を合理化できる要素はありません。

ただし、その特攻作戦がいかに愚かであっても、それにいやおうなく巻き込まれていった人々までもが、同じく愚かなわけではありません。これは別けて考えねばなりません。

このことはあの物語のなかでも、作者が「特攻隊員はテロリスト」だと批判する朝日の記者に対して、生き残った特攻隊員の口を通して反論させていたことで、この作品のテーマともいえることです。

あの作品が人々の心を打ったのは、この戦争という不条理の中で、人として生きることがいかに大変なことなのか、家族を愛するということがいかに崇高なことなのかを、教えていたからです。

久蔵は、最後まで特攻という「作戦の外道」を拒否し続けながら、最後に故障機を友に譲ります。

それがこの陰惨な戦争機械のあぎとから脱出できる、唯一の当たりくじだったにもかかわらず。

その理由は想像するしかありません。

ただひとつ、忘れないで下さい。久蔵は、沖縄に向けて飛んだのです。灯籠の斧だと知って戦ったのです。

このような優れた物語を書いた作者は、自らの言葉を惜しむべきです。

 

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百田氏発言 潰すべきは地元2紙ではなく、「閉ざされた言論空間」だ

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作家百田尚樹氏の、自民党若手の勉強会での発言が炎上しているようです。 

言われた沖縄2紙は素晴らしいご馳走を前に狂喜乱舞の態で、安倍首相、谷垣幹事長は謝罪に追われました。 

左系ブログも思わぬ敵失に大張り切りのようで、「沖縄ヘイト」と決めつけているところもあります。※http://lite-ra.com/2015/06/post-1225.html

D18e097f(写真 地元2紙の共同声明。この2紙の報道ぶりを知らなければ、まぁそのとおりな内容である。ただし「メディアの役割が権力監視」という部分には吹いた。地元2紙は今や沖縄の第2権力そのものてある。翁長「権力」批判は一言半句もないのが地元2紙。翁長氏の利権政治にも見て見ぬふり。見事なダ゙ブスタぶりである)

例によって民主党は、この問題に飛びついて、週明け国会でこの問題を追及するそうですが、民主党だけには言われたくはありません。 

2012年2月23日、民主党の輿石東幹事長は、幹事長番記者たちとのオフレコ懇談での発言でこう述べています。 

「間違った情報ばかり流すなら、電波を止めてしまうぞ!政府は電波を止めることができるんだぞ。電波が止まったら、お前らリストラどころか、給料をもらえず全員クビになるんだ」(週刊現代2012年3月13日号)http://gendai.ismedia.jp/articles/-/31976

 現実に電波の割り当ての権限を持つ政権党の幹事長が「(気に食わない報道に対しては)電波を止めることができる」とまで言うのはシャレになりません。 

少なくとも民主には、この問題で黙っていてほしいものです。 

As20150626004624_comml(写真 朝日新聞6月27日 この朝日の記事見出しは「沖縄の尊厳・報道の自由を威圧 放言飛んだ自民勉強会」だそうです)

 では、百田氏の発言を、「沖縄2紙を潰せ」とつまみ食いしないで、流れ全体を東京新聞(2015年6月27日)で読んでみましょう。

「(百田氏)政治家は国民に対するアピールが下手だ。難しい法解釈は通じない。気持ちにいかに訴えるかが大事だ。集団的自衛権は一般国民には分からない。自国の兵力では立ち向かえないから、集団的自衛権は必要だ。侵略戦争はしないということで改憲すべきだ。攻められた場合は絶対に守るということを書けばいい。 

議員A マスコミを懲らしめるには、広告料収入をなくせばいい。われわれ政治家、まして安倍首相は言えないことだ。文化人、あるいは民間の方々がマスコミに広告料を払うなんてとんでもないと経団連に働きかけてほしい。 

 議員B 広告料収入とテレビの提供スポンサーにならないということがマスコミには一番こたえるだろう。 

百田氏 本当に難しい。広告を止めると一般企業も困るところがある。僕は新聞の影響は本当はすごくないと思っている。それよりもテレビ。広告料ではなく、地上波の既得権をなくしてもらいたい。自由競争なしに五十年も六十年も続いている。自由競争にすれば、テレビ局の状況はかなり変わる。ここを総務省にしっかりやってほしい。 

議員C 沖縄の特殊なメディア構造をつくってしまったのは、戦後保守の堕落だった。沖縄タイムス、琉球新報の牙城の中で、沖縄世論を正しい方向に持っていくために、どのようなことをするか。左翼勢力に乗っ取られている現状において、何とか知恵をいただきたい。 

百田氏 沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない。沖縄県人がどう目を覚ますか。あってはいけないことだが、沖縄のどこかの島が中国に取られれば、目を覚ますはずだが、どうしようもない。(沖縄の基地負担問題は)根が深い。苦労も理解できる」(太字引用者) 

この発言を読む限り、百田氏の発言は、要約すればこのようなことです。 

①今の安保法制議論はわかりにくい。もっと気持ちに訴えかけるべきだ。
②テレビの地上波の既得権をなくして、自由競争にすべきだ。
③沖縄の基地負担の苦労は同情するが、地元2紙はつぶさないといけない。

 ①は私もこの間一貫して言ってきたことですし、②の現在の地上波は7局での異常な寡占状況が半世紀以上続いており、このことが正常な価格やコンテンツの競争を妨げているという百田氏の指摘は、あって当然です。 

このことを報道したメディアは揃って、耳が痛い②をスルーし、③の沖縄問題を引っかけて、「報道の自由を弾圧するのか」と噛みついていますが、いかがなものでしょうか。 

沖縄地元紙の問題と、この地上波の寡占による弊害は、本来別けて論じられるべきことでした。 

現況、わが国で選択できる地上波はわずか7局にすぎません。これほどの寡占が維持されているのは先進国ではわが国のみです。 

これに対して米国はどうでしょうか。
※「
米国におけるテレビの今(前編) - KDDI総研(Adobe PDF)」 

「2010年3月に米連邦通信委員会(FCC)が発表した全米ブロードバンド計画(NBP)では、2015年までに放送局からの「任意競売」により、120MHzの無線帯域をワイヤレスブロードバンド用に割り当てるという勧告が行われた。捉えようによれば、FCCは、未来はワイヤレスブロードバンドにあると決定し、逆に地上波放送は過去の産業であると決定したように見える」 

このように米国では既に放送周波数は、任意競売制に移行しています。 

一方わが国は、総務省によって約30周波数のキャパに、わずか7局という極少の周波数帯に絞られた上に、それを既得権者に対して割り当てるといった社会主義計画経済もどきの方式を未だに堅持しています。 

現在の米国は地上波だけでも30局以上も競合し、視聴者は保守系からリベラル系まで幅広く選択できるようになりました。

また、動物や自然、宇宙などさまざまなコンテンツが豊富にあります。これが、米国の映像コンテンツ王国の基盤を作っています。 

わが国のような地上波の独占状況下では競争が限定されるために、放送法が要求する「政治的中立」が保持される前提条件そのものが欠落しています。

そして放送法を監督・規制すべき立場のBPOも、民放連のお手盛り組織にすぎず、香山リカ氏が委員にいるようなところです。 

そのためかどうかはわかりませんが、朝日・毎日系のテレ朝 TBSは報道の中立性」など知ったことかとばかりに報ステや報道特集、あるいはNEWS23で左翼バイアスをむき出しにしています。

一方、読売・産経系の日テレ、フジは遵守精神があるためかどうか、人畜無害のエンタメ局になり下がっているようです。

私はこんな形骸化した放送倫理規定などもはや不要であり、新聞なみにスタンスを自由にする代りに、地上波に競争原理を持ち込むべきだと考えています。

このテーマは長くなりそうなので、別途に論じますが、放送作家生活が長かった百田氏が、このような状況に対して問題提起するならわかります

ならばそうと、そのテーマで展開すべきでした。 

百田氏は、問題化してから弁明として、講演そのものではなく、終了してからの「内輪での話に聞き耳を立てられた」という言い方をしています。 

Cijpuykvaaadbv6(写真 勉強会会場外でドア越しにメモをとる記者たち。こんな中でこんなことを言えばどうなるのかわかりそうなものだ。誰かひとりくらい大人はいなかったのか)

 ま、実際そうだったんでしょうが、なんとも呆れた稚拙な言い分です。

地上波の寡占について言及するなら、それなりに覚悟を決めて、すべてのマスコミから袋叩きになる根性で言うべきでした。

それほど、この地上波寡占問題は、巨大な利権を背後に持っていて、このような安易な提起では、左右の別なくすべてのマスコミを敵に回してしまいます。現にそうなりました。

しかし百田氏はこんな安直なやり方で、8月の認工事可取り消しに邁進する翁長陣営にとって、これ以上ない燃料投下をしてしまいました。

一方逆に、安保法制で難破しかかっている政府に対しては、朝日新聞が言うように、「沖縄の尊厳・報道の自由を威圧」するという批判に絶好の口実を提供してしまったのです。馬鹿としかいいようがありません。

弁解も結構ですが、百田さん、この時期に自説を主張したいのならば、今のメディア界において公正な競争が妨げられていて、本質を意図的にズラした報道しかされていないことの原因を提示すべきでした。

これこそが、百田氏が言った地上波独占を利権の財源とする、メディアの寡占状況です。 

これは、自民のフンドシかつぎどもか言うような、「経団連に広告料で圧力をかける」などとでは逆効果です。

そんなことでは解決できないばかりか、報道の自由の根幹に関わります。第一、自民党執行部と政府はこんなことをするはずがない。

それは石破氏が言うように、「権力の側にいる人間は慎重」にならざるをえないからです。

特に、今のような安保法制の切所を渡っている時に、こんなことを言うのは、バッカじゃないかと思います。 

私は心底、こいつらは議員になる前に、議員常識検定を受けるべきだと思いました。 

言っている内容の幼稚さもさることながら、この安保法制が船田センセのオーンゴールで座礁しかかっている時期に言えばどうなるのか、わかりそうなもんです。 

国会は大学生の居酒屋談義の場所じゃないんだって。 

新聞報道のバイアスをなくしたいのなら、いまや絶滅危惧種に片足を突っ込んでいる新聞媒体が、実は系列のテレビによってなんとか生き延びていることを指摘し、その寡占状況こそが「報道の中立性」にとって、いまや大きな障害となっていることを問題にすべきでした。Photo(写真 典型的な沖タイ紙面。題字がなければ、『赤旗』か『前進』である。地元紙はだいたいややリベラルだが、ここまでの県は沖縄と北海道だけ。ただし北海道には全国紙があるのが大きな違い)

この流れで、わが国でもっとも「報道の寡占化」が進行している、沖縄県を取り上げるのならまだ理解できないことはありません。 

沖縄地元2紙が、朝日と日刊ゲンタイを足して2で割ったような紙面なのは、今や全国的にも有名になりました。

失礼ですか、気がつかないのは県民だけです。なぜなら、そのようなメディアしか沖縄県にないからです。 

しかし、地元紙にはそういうバイアスをかける「権利」があるし、彼らの報道の自由の権利は尊重されねばなりません。 

問題にすべきは、報道内容そのものではなく、沖縄においてメディアの選択の自由の幅がまったくないことです。

沖縄でメディアのまともな競争原理が働いていたのなら、くだらない歪曲報道を出し続ければ、買い手がなくなるだけの話です。ちょうどいまの朝日新聞みたいなものです。

沖縄では活字媒体だけではなく、全国で唯一全国紙がないように、同じく地上波でも日テレ系が存在せず、「笑点」が見られない全国唯一の県だそうです(笑)。

テレビは、NHKを除けば、民放はテレ朝系列の琉球放送や琉球朝日放送しか存在しません。唯一、沖縄テレビのみがフジ系列です。※参考 沖縄ぬミヂィア - chakuwiki 

このような極端な選択の報道の幅の狭さが、沖縄の「民意」なるものを作り、翁長王朝樹立の大きな原動力になったのです。

百田さん、もうとうぶん口にテープを貼っておきなさい。「口は禍の門」とは、あなたのためにあるような言葉です。

今のところのあなたは、ただの「右の大江健三郎」です。

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日曜写真館 梅雨の花あじさい

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土曜雑感 グレーゾーン対処について考えてみる

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今回の安保法制審議は、ミニ迷宮となりかかっています。 

もちろん、「徴兵制がやってくる」みたいなヨタを平気で言う野党第一党と、対する与党側の驕りもあります。

しかしそれだけてはなく、アレもコレもと詰め込みすぎで、様々なことがテンコ盛りになっているせいもあるかもしれません。

中には集団的自衛権と直接関係ないものも含まれてます。その代表例が、グレーゾーン事態への対処です。 

こんなものは、さっさと安保法制と切り離して提出しておくべきでした。

ちょっと解きほぐしておきましょう。 

グレーゾーンというくらいですから、白か黒か、分からないビミョーな状況です。 

今まで自衛隊は、正面玄関から正規軍が、「どうも失礼。侵略を始めさせて頂きます」と宣言して来るケースを想定していました。 

鎌倉時代の合戦よろしく、「やぁやぁ、われこそは〇〇国なり。いざ、手合わせを」というケースを考えていたんですね。 

これは昨日もお話した、60年代から70年代にかけてのソ連を想定した冷戦期モデルです。 

ところが、今とかくアジアを不安定化させている中国、あるいは北朝鮮は、「人民戦争方式」といって、「オレは正規軍だぞ」という格好ではまずやってきません。

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中国というのは実にヘンな国で、毛沢東がゲリラ戦争で勝利したために、兵力224万(日本の10倍)を越える強大な軍事大国になっても、ゲリラ的な裏技が大好きです。 

まずは多数の漁船に特殊部隊を乗せて、「わしらは漁民ですら。台風で避難させて下され」とか言いながら、尖閣や離島に入り込んできます。

表面的には民間人のように見せる、これがキモです。 ベトナムやフィリピン、インドネシアなどだと、不法侵入した中国漁船を爆破することすら厭いませんが、他ならぬわが国だけは違います。

20150522020113sdfo1(写真 インドネシアによって爆破された中国漁船。15年5月20日)

やって来られる側は、漁民だと思って、海保や警察が対処すると、バリバリと機関銃でやられてしまうことになります。

南シナ海では、ベトナムとフィリピンがさんざんこの「漁民のふり」でやられて、いつのまにか岩礁が埋め立てられて海軍基地や飛行場ができてしまいました。 

E61d4d38(写真 南シナ海で建設中の中国軍基地。フィリピン外務省4月18日。中国は軍事目的だと認めた)

ちなみに、うちの国ときたら、海岸までが海保、一回浜に上がったら警察と縄張りがあって大変でした。 

え、自衛隊はどこに出てくるかって。はい、どこにも出られません。もし、仮に近海に海自の艦艇がいたとしましょう。

世界指折りの練度と装備を有する海自は、地団駄踏みながらひたすら眺めているだけです。 

目の前で警官が撃ち殺されようと、海保が巡視船ごとロケット弾で沈められようと、住民がバタバタ殺されていようと、ただジっと傍観しているしかありません。
※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/06/1-836a.html#comment-128097179

自衛隊法には、自衛隊の武器使用を、おそらく世界で唯一だと思いますが、正当防衛以外で使用してはならないと定めています。

その正当防衛も、自分が弾を食らって死んでからの話となります。それは自衛隊法第90条があるからです。 

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(図 防衛のプロが語る15事例のリアリティ」http://kenpou-jieitai.jp/symposium_20141005.html

そして、先ほどのような目の前で覆面団体がやりたい放題の狼藉を働いている場合すら、自衛隊法第82条の海上警備行動があって初めて反撃が可能になります。(陸自の場合は防衛出動)

それ以前に発砲して相手を射殺すれば、なんと殺人罪で告訴されて、最高死刑になるかもしれません。

防衛出動を発動できるのは、首相ですが、ひとりでは決められません。閣議了承がいるのです。

「自衛隊は、これらのケースに治安出動や海上警備行動などで対処するが、発令には閣議決定が必要で、閣僚を招集して閣議を開いている間に事態が悪化するおそれがある。現在も閣僚の署名を順次集める「持ち回り閣議」の方式があるが、閣僚が地方にいる場合やグレーゾーン事態が深夜や未明に発生した場合、迅速な決定ができないと指摘されてきた」(産経5月15日)

防衛出動は、首相ひとりで決められず、閣僚の署名もいりますから、夜や地方にいたらどーすんのとか、まるで鏡の国の話です。

その上に、国会承認も必要です。今の岡田民主だと一刻を争う事態にも、「慎重に見極めてから」と言いかねません。

辻本女史など、「そんなもの認めると徴兵制が来る」とでも言うのてしょうな。寂聴さんは「戦争は最大の悪です」とでものたまうのでしょうか。ホントに言いそう。

そして、翁長知事ときたら徹底して非協力を貫くでしょう。ああ、ユーウツ。

やや脱線しますが、現在、集団的自衛権を行使して米国艦船が共同行動中に攻撃を受けたら、即座に反撃できるように法整備しようとしています。

しかし、仮にこの場に海保の船がいたらどうでしょうか。

新たな法改正によっても、自衛隊は、米軍がやられた場合には反撃できますが、海保がやられた場合は反撃できません。防衛出動(海上警備行動)が下されるまでは、ただやられいるのを傍観しているだけです。

まぁ、米軍が即座に反撃してくれるから、いいのか(苦笑)。いかに現行の自衛隊法が歪んだ法律か、おわかりになったでしょうか。

この防衛出動を電話などを使って、もう少しスムーズにできるようにしようというのが、新しい「戦争法」です。

脱力するほどあたり前のことで、なぜ今更と言いたくなるようなことではありませんか。

本来は、新しい領海警備法体系を作って、このようなグレーゾーン事態に事態に対応するべきです。

また、今まで作られることもなかった交戦規定(ROE)も作るべきでしょう。しかし例によって、それには公明党までもが反対だそうで、提出すらされませんでした。

本気で政府は、日本国民を守る気があるのだろうか、と怒りすら感じます。

「グレーゾーン事態をめぐっては、政府・自民党は当初、法改正による武器使用基準の見直しを求めたが、与党協議会で難色を示した公明党に配慮する形で見送り、現行法内での「運用改善」で合意した」(同)

とまぁ、いつもながらの「運用改善」、つまりは現場指揮官の裁量に丸投げしてしまうということのようです。

自衛隊法の欠陥が少しずつでも改善されていくことはいいことには違いありませんが、あまりにもわずかの現実対応でしかありません。

首相が先日言ったように、もう改釈が限界点に達しているのは確かです。

「戦争をさせない」という言い方でなにか批判したつもりになっている護憲勢力の人にお伺いしたいのですが、このような自国民を守ることもまた「戦争は悪」ですか。

といっても改憲などは、事実上無理のまた無理ですから、来世紀までわが国はこの調子を続けるつもりなのようです。

沖縄マスコミの皆さんは、年がら年中、「日本軍は県民を守らなかった」と言っているのですから、今回の法整備に対して「これで県民が守れるのか!」と怒るべきではないでしょうか。

なお、分かりやすくするために、この記事のシナリオでは海自でしたが、実際には離島防衛に対しては陸自が投入されるでしょう。

いずれにせよ、先島諸島(宮古・八重山)は、もっとも緊張が高まっている地域なのにもかかわらず、防衛の空白地帯です。

本来は、ここに駐屯地を持つべきですが、今の翁長知事は「新基地反対」と言いそうでです。

■写真 ホウズキの花です。もう青い実がつきかかっています。

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吉田という「戦後の設定者」が見たら、今をどう考えるだろうか?

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昨日の記事を書きながら、もし吉田茂という日本の<戦後の設計者>が、今の国会審議を見たらなんというだろうかと、ふと考えてしまいました。 

ま、あの愛嬌のあるブルドック顔で、葉巻なんぞくわえて、「バカヤロー、いつまでワシが作ったものを後生大事に抱え込んでいやがんだよ。直しとけって、(吉田)学校の生徒には言っておいたはずだゾ」とでも言いますかね。 

日本というのは、世界に冠たる天ボケ国家ですが、なかなかどうしてタフな国とみえて、危機の時代には「和を以て尊しとせず」という人物が必ず現れます。 

19世紀の後半という帝国主義の荒波が到来した時には、竜馬、海舟、隆盛、晋作、一蔵など、降る星のように「和を以て尊しとせず」という男たちが現れました。 

海舟を除き、全員が歴史的使命を果たした後に、非命に倒れています。 

250pxyoshida_en_route_to_san_franci(写真 1951年9月、サンフランシスコ講和条約締結に向う吉田と白洲。どのような心中だっただろうか。Wiki)

そして、20世紀中葉の敗戦という未曾有の危機の時代には、おおよそ日本離れした狡猾なまでの怜悧さを持った人物が現れました。

その男は、吉田茂です。

旧軍の亡霊どもを蹴飛ばし、片や進駐軍とはクイーンズイングリッシュを駆使して、GHQ将校たちが呆れるようなタフネゴエーターぶりを見せつけました。 

吉田の秘書役を務めていた白洲次郎が、米軍将校に「我々は戦争に負けたのであって、奴隷になったわけではない」と言い放ったという逸話は有名です。 

さて、この吉田が作ったのが、戦後体制、別名<吉田ドクトリン>といわれる「軽武装・経済外交」だと言われています。 

吉田はとうの昔に亡くなっていますが、この吉田ドクトリンは健在です。というか、既に半世紀以上の年月を経て、手垢で黒光りすらしています。 

日本人の一部に(この私も含めてですが)賞味期限切れだと思わせたのが、アジアの覇権に驀進する中国の勃興でした。 

中国の過激な膨張政策に対処するために、さすがに鈍感なオバマもアジア重視戦略(アジア・ピボット)戦略に切り換えたというのに、肝心の日本ときた日には、あいもかわらず、個別的自衛権がどうした、集団的はどーたらという、国際社会がまったく理解できない隠語で動きがとれない始末です。 

同じ外敵の脅威といっても、旧ソ連の場合、重厚な冷戦構造の中に羽二重餅よろしく守られていたために、日本人は現実の脅威と感じることがありませんでした。 

たとえば、今なお国会に出ばってくる、元内閣法制局長官たちが依拠しているのは、最高裁が集団的と個別的の区別をはずして、「自衛権というのはひとつだ」とした1959年の砂川判決に対抗した法制局72年答弁です。 

内閣法制局は砂川判決を覆し、「日本に許されているのは個別的自衛権だけで、集団的自衛権はすべて違憲。個別以外は全部禁止」という答弁を出します。 

法制局という内閣府のアドバイザー機関にすぎない官僚たちが、最高裁判例や、国会の多数によって選ばれた政府見解すら超越できてしまう、という摩訶不思議な光景は置くとしても、この72年という時代とは、こんな牧歌的答弁が罷り通る時代だったのです。 

社会党は、「平和憲法」という神殿の中で、「非武装中立論」という麗しいポエムを歌っていればよかったという、実にいい時代でした。 

思えば、この冷戦期ほど、<吉田ドクトリン>が輝いた時代はなかったのかもしれません。 

さて、この<吉田ドクトリン>の設計者自身が、自衛隊をどう考えていたのか探ってみます。 

吉田は頑強に再軍備に反対しました。

しかし一方で、吉田は、この再軍備をしないという政府方針が永遠続くのかという質問に対して、こう答えています。 

「この説明に対する質疑応答で、『再軍備は未来永劫しないと言っているのではない。現下の状況においてこれを致すことはしない、とこう申しておるだけの話である』と補足している。
また、『講和独立の後に、その国防を米国の巨大なる戦力に託することは、最も自然且つ当然なる順序である。(略)その後今日に至るまで論争の止まざるは、私からすれば馬鹿げたこと、不可解の感を深うせざるを得ない』とも言う」(吉田茂『回想十年』)

つまり、ここで吉田が言っているのは、「今この時期は再軍備の時期ではない、時期の問題にすぎない」ということです。

この吉田の答弁の時代背景を確認します。

昨日紹介した服部卓四郎のような旧軍お化けがクーデターを計画して、吉田を葬り、ハトジジこと鳩山一郎に政権を渡そうと画策したのがのが、1950年です。

吉田は激怒したはずです。、見てきたようなことを言うなといわれそうですが、それ以外に考えられません。

戦前、戦中、外交官として軍部に苦渋を呑まされてきた吉田には、旧日本陸軍の復活などということは、断じて許されるものではありませんでした。

戦前吉田は、一線の外交官として外国勢力の権謀術数渦巻く中国大陸の公使をしていました。

その時に、政府を無視して勝手に政治工作をしたあげく、抜き差しならない泥沼にはまっていく陸軍の姿をしっかりと眼に焼き付けたはずです。

またその後に、大使として赴任したのが、大戦前夜の英国で、ナチスドイツと三国同盟を結ぼうと陰謀を画策する陸軍や、外務省の親独派の唾棄すべき姿も眼前で目撃しています。

そして、戦中は東條によって徹底的に弾圧され、憲兵の監視下で軟禁状態でした。

このような吉田が、旧軍の亡霊たちの復活を阻止するいわば冷却期間として、この講和条約前後の時期を考えていたことは明白です。

この国民が疲弊の淵にいる時期に軍備などはもっての外だと吉田は思い、米国の経済力を取り付けて、まずは経済復興を優先する時代だとしました。

しかし一方で、いわば「大日本帝国の喪」が明けた時期が来たならば、しっかりとした「軍」を所有するべきだとも考えていました。

Photo(『歴史に消えた参謀 吉田茂の軍事顧問 辰巳栄一』)

そのために英国大使時代の部下だった武官の辰巳栄一元陸軍中将を、早くも1946年に、自身が政権を取ると、直ちに軍事顧問として任命しています。

この辰巳は、共に対英米戦争を回避すべく闘った同志でした。

吉田にとって、再軍備は「未来永劫しないと言っているのではなく」「軍備をもつのは時期の問題」だと言っているだけなのです。

吉田は明解に、「タイミングの判断を誤るな」と言っているだけなのです。

しかし、この<吉田ドクトリン>は、作った吉田の意志から離れて一人歩きを開始し、あたかも憲法がその道を辿ったように、自民党「保守本流」の教義として継承されていくことになります。

吉田は、苦悩の果てに何度となく、「吉田学校」の門下生だった自民党の現役幹部たちに警告を発しています。

引退した吉田は1964年に、かつての腹心だった辰巳を大磯の別荘に呼び寄せて、こう言ったと言われています。

「今となってみれば、国防問題について深く反省している。日本が今日のように国力が充実した独立国家となったからには、国際的に見ても国の面目上軍事を持つことは必要である」(『歴史に消えた参謀 吉田茂の軍事顧問 辰巳栄一』)

そして それから数日後、辰巳は吉田の一通の書簡を受け取ります。

「拝啓、国防問題の現在につき深く責任を感じ居候次第は先日申上候通ニ有の、佐藤首相其他にも右親敷申通居候得ども、過日三木自民党幹事長に直話致置候、就ては御都合宜敷時に同氏にも御面談直接御意見御開陳相成度、政党者の啓発に御心懸願上候 十一月十九日」(同上)

辰巳は吉田が現役時に、その命を受けて警察予備隊を作った影の立役者です。

同じ腹心でも白洲が派手な外交の表看板だったとすれば、裏の米軍との情報活動や折衝は、この辰巳が担っていました。

この辰巳は、1954年7月に、自衛隊が設立されると、吉田にこう進言しています。

「自衛隊が国土防衛の任務を与えられた以上、当然憲法第9条が改正されるべきである。隊員は形ができても、精神のよりどころが無い。彼らは有事の場合、命を張って戦わねばならぬ」(同上)

しかし、吉田はまだこの時期ではないとして、辰巳の進言を退けています。

そしてそれから10年後、吉田はかつての佐藤栄作などの吉田学校の門下生たちに、時期が来たという狼煙を上げたわけです。

残念ながら、高度成長のシンボルともいえる東京オリンピックを前にして、現役の「保守本流」には吉田の伝言を聞く耳がありませんでした。

吉田にとって、<憲法・安保>はワンセットで機能する、戦後体制を作るための仕掛けにすぎませんでした。

「平和憲法」は、安保という裏打ちがなければ機能せず、変形軍事同盟の安保もまた、変形であることを止めるためには、憲法を修正せねばならなかったのです。

吉田は見事な政治家でした。彼のような人物が終戦直後に日本にいたという奇跡に、私たちは感謝すべきです。

しかし彼の唯一、かつ最大の失敗は、彼が政権を掌握している時代に、この変形の装置の仕掛けを自らの手で修正できなかったことです。

あるいは、自らの政権でかなわなくとも、その修正のための道筋をしっかりと、後の世代に示しておくべきでした。

事実、改憲を意識していたのは、この吉田学校の門下生の世代までで、後の80年代から21世紀の初めにかけては、むしろ改憲は自民党内ですらタブーにされていきます。

吉田はこの修正の道筋を示すことなく逝きましたが、吉田がこの<憲法・安保>という本来は期間限定でしかなかったはずの装置を作ってから、既に半世紀の時が流れました。

<憲法>と<安保>はその内的なねじれを増大させ、もはや一体として機能しないまでになっています。

もう一回真摯に、この吉田の残した遺産の功罪を考える時期が来ていることだけは確かなようです。 

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「吉田ドクトリン」という知恵

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「別に護憲派」さん、あなたは真面目に自分の国の行く末を考えていませんね。居酒屋の政治談義レベルです。 

ロジックで筋道を立てて考えるのではなく、「なろー」と吠えている「気分」だけなのです。酔っぱらうと、よくそうなります。 

「気分」だけですから、ひとつのことを片面からしか見られません。

この人物はこう言っています。 

「日本の弱体化を狙ったGHQの憲法と言われるが、朝鮮戦争、東西冷戦で日本は血を流さず経済発展に専念できたのも、その憲法のおかげ。日本国民は、この押し付けられた憲法が実は都合が良い事に気が付いたのです。
この憲法は長年の積み重ねで日本人に合った運用がされてきた。現在、アメリカの圧力でポチ同然の対米従属日本政府の集団的自衛権が認められれば自衛隊は、アメリカの為に動く事になるのが目に見えている。
その歯止めとなっているのが、現在の憲法は日本人にとって、こんな都合の良い憲法はない憲法を無視した無法者の安部政権が支持率を落としている。 これが、日本国民の答えですよ」
(※詰めて、句読点をおぎないました)

 この論理は、右に極端な人も、左に極端な人からも愛されている定番的論理ですが、検証すべきことを含んでいるので、この人の言説にこだわらずに考えていきましょう。 

右にいけば、「自主防衛の増強」、左にふれれば「対米従属路線反対」で、結局のところ結論は、同じ「安保廃棄」です。 

私はこのような流れを、ひとつの根から出た、左右のナショナリズムの発露と呼んでいます。 

現実性がほとんどないために、幸いにも、ただの「気分」に終わっています。 

それは、この人か言うように、「経済発展に専念できたのは憲法のおかげ」は半分事実ですが、その「平和憲法」を支えていたのが、実は日米安保条約だという歴史的事実を忘れているからです。

れは表裏の関係で、両者を作ったのが、吉田茂です。 

左に極端な人たちは安保条約をまったく無視し、右に極端な人たちは戦後憲法がどうして生れたのか、考えません。

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吉田が作った<吉田ドクトリン>は、長きに渡って日本の外交路線そのものでした。

ドクトリンとは「基本路線」という意味ですが、煎じ詰めると、吉田ドクトリンとは、「軽武装・経済重視」のことだとされています。 

どうしてこの吉田ドクトリンというものが出来たのかを、考えてみましょう。当時は、日本は敗戦による疲弊の極にありました。日本という国がまた復興できるかさえ怪しかったのです。 

喰うのにやっと、軍隊などというのは、まだ贅沢品に見えた時代です。そのような時代を背景にして、戦後初めての総選挙が開かれました。 

ここで優勢だったのは自由党の鳩山一郎でした。民主党のハト元首相のジィ様です。このハトジジは、独自の再軍備をすべきだと思っていました。 

ハトジジが政権をとれば、当然のこととして吉田ドクトリンはできず、日本は第9条抜きの憲法によって、早期に再軍備したと思われます。 

しかし、これがGHQの逆鱗に触れてハトジジは、公職追放の憂き目に合います。代わって、政権を獲ったのが、吉田茂です。吉田は、ご存じのように麻生氏のジィ様です。 

この吉田はジィ様が捕物帳、孫がマンガというくだけたものか好きという以外、あまり似ていません。口を曲げる仕種が似ているか。 

それはさておき、吉田は、戦中は親米派というので東條から憲兵を使って監視されていたような人物ですから、GHQの意図を正確に読んでいました。 

ですから、GHQの意図どおり、「平和憲法」を定め、再軍備をしませんでした。 

ところが朝鮮戦争が始まると、なんと、9条を押しつけて日本を丸腰にしようとした米国の方から、「ちゃんとした軍隊を持ったほうがいい」と言い出しました。 

それは、朝鮮戦争で日本を「実効支配」していた在日米軍(当時は「進駐軍」と呼んでいました)が出払ってしまって、後方基地のある日本がガラ開きになってしまったからです。

だから、再軍備しろ、というわけです。おいおいな、ご都合主義です。 

それを拒否したのが吉田でした。ここで吉田の頑強な反対がなければ、「新日本軍」が出来ていたでしょう。 

というのは、当時、吉田のように考えるのは意外なことに、少数派だったからです。伝統的な保守派はいうまでもなく、なんと左派の社会党すらも再軍備を主張していました。 

野党・社会党から、再軍備しないのは不平等条約を認めることだ、今風に言えば親米ポチだと言われた吉田は、こう言っています。 

「自らその愚を表白するものである。共同防衛の体制において、不平等などという観念の入り込む余地のないほど、共産攻勢は緊迫せる状態になっているのである。不平等条約論を事々しく論じたり、中立外交を唱えて得々たるものの如きは、井底の蛙鳴(あめい)、聞く度にあきれざるを得ない」(吉田茂『回想十年』)

すごいリアリズムですね。吉田が、再軍備拒否の理由に、「平和憲法があるから」「非武装中立」などといった俗流ファンタジーをまるっきり信じていないことに、ご注意下さい。 

吉田は「共産攻勢の緊迫せる情勢」では中立や、不平等なんて言ってられないんだ、と一喝しています。 

目の前に、北朝鮮軍と中国軍が百万人も攻めてきているのに、平等もクソもあるか、今は米国をリーダーにして戦うしかない、と言うわけです。 

実際、北朝鮮はソ連の後押しで、一時は釜山を包囲し、もうその先は玄界灘、さらにその先は北九州しか残されていないところまで、自由主義陣営は追い詰められていたのです。 

このヒリヒリするような危機感というのは、中国の膨張に緊迫する現在に通じるものがあります。

なにかというと、「対米従属」「親米ポチ」などとすぐに言いたがる、右左の人たちに聞かせたい台詞です。 

しかし、吉田は再軍備には頑として抵抗しました。 

Hattori写真 服部卓四郎。この軍人はノモンハン、ガダルカナルと日本軍の恥部のような作戦を強行し、多くの将兵を殺した。それを反省もせずに、戦後は一転して米軍に取り入り、旧軍復活を狙った。このような男が最高指揮官になって、「新日本軍」を作っていたらと思うとぞっとする)

その内部事情が、最近新資料から分かってきています。 

なんとマッカーサーは、あの1万5千人を餓死させたガダルカナルを指揮した、史上最低・最悪の愚将である服部卓四郎を参謀長にして、「新日本軍」を作る構想でいたのです。 

服部は敗戦後、G2のウィロビー機関の下に「服部機関」なるものを作り、再軍備の構想を練っていました。 

今になると信じられない気分になるでしょうが、当時、服部たち旧軍勢力は、強い社会的影響力をもっていました。 

服部たちは、1950年にGHQの暗黙の支援の下に、吉田を追い落とすクーデターを実行し、鳩山を担いで再軍備をする「旧軍再建計画」すら練っていたのです。
 http://ww1-danro.com/sinojapanesewar/1950coup.html

吉田の再軍備拒否は、単純な「軽武装・経済重視」ではなく、このような旧軍の亡霊たちにさっさと棺桶に入ってもらって、彼らの社会的影響力を抹殺することにありました。 

吉田が、いかに鋭い内外のせめぎ合いの状況に身を置いていたことがわかるでしょう。 

外には怒濤のように押し寄せる共産軍、内には旧軍の亡霊、しかも共産党ときたら、ソ連の指令の下で、忠実に後方攪乱のために破壊工作をしていました。

ちなみに共産党の言う「反戦平和闘争」というのは、1955年7月の六全協まで、暴力的破壊路線一色だったのです。

この中で吉田がとったのが、再軍備を拒否する代案としての日米安保条約です。 

日本は再軍備はしない、朝鮮に派兵もしない。かといってまったく協力しないわけではなく、米軍に協力して基地を提供する、という変則的軍事同盟でした。 

この日米安保条約の精神を謳う前文には、このような文言があります。
※http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/hosho/jyoyaku.html

「●日米安全保障条約前文
日本国及びアメリカ合衆国は、両国の間に伝統的に存在する平和及び友好の関係を強化し、並びに民主主義の諸原則、個人の自由及び法の支配を擁護することを希望し、
 また、両国の間の一層緊密な経済的協力を促進し、
並びにそれぞれの国における経済的安定及び福祉の条件を助長することを希望し、国際連合憲章の目的及び原則に対する信念並びにすべての国民及びすべての政府とともに平和のうちに生きようとする願望を再確認し、
両国が国際連合憲章に定める個別的又は集団的自衛の固有の権利を有していることを確認し、両国が極東における国際の平和及び安全の維持に共通の関心を有することを考慮し、相互協力及び安全保障条約を締結することを決意し、よって、次のとおり協定する。」(※
「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」 昭和三十五年1960年、六月二十三日、条約第六号ワシントンで署名。太字引用者

ここには、読み間違える余地なく国連憲章が定める個別的自衛権と集団的自衛権を基にして、安保条約を締結したのだ、と記してあります。 

そしてさらにその範囲まで定めています。これが6条、通称「極東条項」です。

 「●第六条
 日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。
 前記の施設及び区域の使用並びに日本国における合衆国軍隊の地位は、千九百五十二年二月二十八日に東京で署名された日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定(改正を含む。)に代わる別個の協定及び合意される他の取極により規律される。」

ここには、明確に「極東」の安全保障のために条約があるのだ、と述べています。

「極東」の範囲をみます。まずは広義の「極東」です。

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(図 Wikipedia)

地理学的には「中国甘粛省四川省から極東ロシア朝鮮半島台湾日本にかけての地域を指す」(Wiki)とされています。

しかし、外務省は日米安保条約の「極東」は、「大体においてフィリピン以北、日本及びその周辺地域」としています。

まさに今、緊迫する南シナ海、東シナ海の周辺地域こそが、55年前に定めた日米安保の守備範囲なのです。

整理します。

●吉田ドクトリンとは
①吉田ドクトリンは、共産勢力の攻勢という時代背景から生れた。
②吉田は、憲法を作り、旧軍の復活を要求するGHQの要求を阻止した。
③①と②の妥協から生れたのが、日米安保条約である。
④日米安保条約は、前文に集団的自衛権を持つと謳っている。
⑤日米安保条約第6条は、その範囲として「極東」、すなわち韓国、台湾、フィリピンの有事を想定している。

このように、今更のような集団的自衛権が違憲だという議論自体、的外れのものです。そのようなものは、安保条約自体の締結時に既に「あるもの」として前提となっているのです。

そして、その中で「吉田ドクトリン」があったのであって、「軽武装・経済重視」は吉田の狡猾かつ、冷徹な妥協の産物だったのです。

だから、「平和憲法を守れ」と叫んで、「安保フンサイ」を叫ぶことは、そもそもまったくの自己矛盾なのです。

吉田にもうひとつ妥協の産物がありました。それが自衛隊です。それについては稿を改めます。

 

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GHQ憲法と、戦後憲法学の不毛

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昨日、沖縄の慰霊式典で、首相を「憲法違反」だとする一群の人たちに罵声を浴びせられて、入場を阻止されかかったそうです。

これが県民の「民意」だとは思いたくありませんが、慰霊の名を借りてプロパガンダをするなどとは、ずいぶんと子供じみたことをするものです。

場をわきまえない罵声と暴力が、「沖縄の声」として発信されてしまいました。ほんとうに情けない。

「憲法違反」ですか・・・。あまり気が進まないテーマですが、わが国を縛っている「憲法」について少し考えてみます。

「憲法」は万能ツールなようで、民主党・枝野幹事長は、こんなことを言っています。
※http://www.asahi.com/articles/ASH6P6X55H6PUTFK00M.html?iref=sptop_arank_nr03

憲法解釈を都合よく変えてよいとなったら、次は「徴兵制」ですよ。 徴兵制だって、集団的自衛権と一緒で、憲法に明確に(禁止と)は書いていない。集団的自衛権は(憲法に)駄目と書いていませんが、長年の解釈で自民党自身もだめと言ってきた」
(朝日新聞6月12日)

すごいですね。集団的自衛権の次には、徴兵制もやって来るんですか(笑)。

さて私は学生時代、憲法学のいい受講生ではありませんでした。オッソロしく退屈で、死んだほうがましなくらいに無味乾燥、かつ無内容に聞こえたからです。 

当時の私には、まだ10代の頃の反戦少年の尻尾がたっぷり残っていましたが、憲法が国のあり方から、国民の生活の全領域まで規定しているというのに、さっぱり面白くないのです。 

ひとことで言えば、憲法学には魂がないというか、哲学がないのです。 

麗々しく「平和主義」が3本柱のひとつといわれても、現実とこれだけ違っているのを無視するのかねぇ、と当時から思っていました。 

今を去ること40年前のことです。この疑問は残り続けて、今に至ります。 

私は、今の時期に憲法がことさら問題にされるのは、憲法学が今まで柳に風と受け流してきた内部矛盾をそのまま放置できなくなったためだと思っています。 

この戦後憲法の最大の矛盾は、いうまでもなく第9条です。

そしてこの部分を含めて、この憲法が軍事的占領下に置かれた状況で作られたことです。

憲法は、護憲派も認めるように、制限主権下において、まるで日本国民が作ったかのようなファンタジーの産着に包まれて誕生しました。 

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上の写真は、ミシガン大学アジア図書館に残されていた、GHQ案を執筆したアルフレッド・R・ハッシー海軍中佐のメモです。 

これが後に第9条と呼ばれるようになった条項のGHQ草案です。

これはマッカーサー・ノートといわれる憲法原案の一部です。ここにはハッシー中佐によって、Article1(第1条)としてこう書かれています。 

「国権の発動たる戦争は、廃止する。武力による威嚇または武力の行使は、他国間との紛争を解決する手段としては、永久に放棄する。
陸軍、海軍、空軍その他の戦力は、決して認められることはなく、また交戦権も、国家に対して与えられることがない」

第9条そのままですね。ただし、このハッシー・メモは、「自己の安全を保持するための手段としてさえも」という一節が削除されています。 

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これを削除したのは彼の上司に当たるGHQ民生局次長で、実際にこの憲法のまとめ役だったチャールズ・L・ケーディス陸軍大佐です。 

このケーディスは、素人揃いだったGHQ憲法執筆陣で(タイピストも執筆していますが)、唯一といっていいほどの法律の専門家でした。 

彼はハーバート大学ロースクールを出た弁護士で、GHQ側のまとめ役と、日本側の幣原内閣との窓口も務めています。 

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ケーディスはマッカーサーの指示を受けて、この「自衛権の放棄」の一項を削除したと証言しています。(1984年11月、自宅における証言) 

つまり、マッカーサーは、日本から完全に防衛力を根こそぎにしようとしたが、お情けで自衛権だけは首の皮一枚で残したということです。 

これをマッカーサーは幣原内閣に押しつけました。それについて米国の日本国憲法研究のセオドア・マクネリーはこう述べています。 

「マッカーサーは日本国政府に対して9条が米国政府の意志のように提示し、米国政府には幣原政府の意志であるかのように言い募った。ある時はその起源は天皇だと述べ、ある時は日本国民がこの9条を入れることを望んだと主張した。
つまり、彼の言ったあれもこれも、結局、日本に9条を押しつけた自分の責任を曖昧にするものだった」
(『日本の憲法 国民主権の論点』)

 これを読むと、この9条が、わが国で帝王の如く振る舞ったマッカーサーという強烈なキャラによって作られたことがわかります。

マッカーサーは、日本を二度と金輪際、立ち直れなくするために、国際法で禁じられていた軍事占領下の憲法作りに手をつけました。

そしてこれが国際法上の問題だと米国内で批判を受けない偽装として、幣原内閣が作ったという形にしました。

その際に、軍隊の保持は否認しましたが、万が一を考えて、9条に自衛権だけを持たせる「含み」を持たせたわけです。

しかもご丁寧に未来永劫、この憲法がわが国をがんじがらめにするように、世界でも有数の改憲が事実上不可能な硬性憲法に仕立て上げました。

これを解釈した戦後の憲法学者たちは、どこをどうしても戦後憲法が強権的に「押しつけられた」という事実を隠せませんでした。

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(写真 左が宮澤俊義教授※すいません。間違って別人をアップしちゃいました。)

そのために考えられたのが、「8月革命説」です。これは戦後憲法学の最高権威、いや教皇とまで言われた宮澤俊義東大教授は、こう述べています。

「降伏によって、つまり、ひとつの革命が行なわれたのである。敗戦という事実の力によって、それまでの神権主義がすてられ、新たに国民主権主義が採用されたのである」(『憲法の原理』)

つまり、「敗戦によって自主的ではないが『革命』が起きたのだ」として合理化することでした。

しかし、言うまでもありませんが、そんな「革命」の事実はありません。ただ、条文解釈上そうも解釈できるという抽象論だけです。

現実にあったのは、マッカーサーがとった苛烈な敗戦国処分という事実であって、それに抗し得なかった当時の日本国政府の弱腰があるだけです。

同様の連合軍の軍事占領を受けたドイツは、あくまでも憲法の押しつけを拒否し、国が分裂しているがために、統一までは暫定的基本法しか作れないと主張し続けました。

そして、簡単に国内法で書き換えができる軟性憲法にしました。さすが負け馴れているドイツです。そのしたたかさには脱帽します。

さてこのように、「8月革命説」を護憲の原点に持ってきてしまったために、現実と憲法がいかに食い違おうと、それに疑義を呈すること自体が「8月革命」に逆行する「反革命」だというイデオロギッシュなものに変質していきます。

この「8月革命説」を唱えた宮澤教授は、東大法学部を頂点とする憲法学のヒエラルヒーの頂点に座り、全国の大学に散らばった弟子、孫弟子、曾孫弟子の上に君臨しています。

今回、集団的自衛権を違憲だと決めつけている多数派の憲法学者は、皆一様にこの宮澤憲法学の派閥、ないしはその亜流に属しています。

B0301101_1173580(写真 長谷部泰男教授)

つい先だって国会で、自民党推薦で証言した長谷部泰男早大教授はこう述べています。※http://www.yomiuri.co.jp/adv/wol/opinion/gover-eco_140623.html

「国連憲章が認めている権利を憲法が否定するのはおかしいと言われることがありますが、別におかしくはありません。タバコを吸う権利は大人であれば誰にもあるが、健康のことを考えて、私はやめておくというのがおかしくないのと同じです。また、国内法の効力としては憲法の効力が条約の効力を上回ります。国連憲章も一種の条約です。国連憲章を根拠として憲法による禁止がおかしいと主張するのは、逆立ちした議論です」

長谷部氏は、国内法はもとより、国際法たる国連憲章も国家間条約すらも憲法より下位なのだと言っています。

論評を差し控えますが、おそらく、誰がなんと言おうと、国がどうなろうと、国民が危機にさらされようと、宮澤学派は聞く耳を持たないでしょう。

この人たちは、仮に目の前に異星人かいようと、「ないものはない」と言い切れる人たちだからです。

私があながち皮肉ではなく、憲法学を形而上学的神学だと呼ぶ理由が、多少おわかりいただけたでしょうか。

 

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安保法制議論 日米安保の是非を問え

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本日6月23日は、沖縄慰霊の日です。黙祷。 

さて、5月26日からはじまった安保法制の審議は、これが今の日本の安全保障の議論水準かと思うと、そうとうに悲惨です。 

私は思春期には、押しも押されもせぬリッパな「反戦少年」でしたから、反安保の理屈は柔らかかった頭にたっぷりと染み込んでいます。 

今、野党の皆さんが言っていることは、既視感かあるなどという生易しいものではなく、まったく半世紀の間、なにひとつ進化していなかったことがありありとわかります。 

まずは、定番の「憲法に違反している」から始まり、「戦争に巻きこまれる」「戦前の時代がくる」「自衛官のリスクが高まる」「死者が出る」といったものです。

おまけに、なんとまぁ「この法制が通れば徴兵制になる」というレトロな主張さえする民主党議員が現れたのには、さすがビックリしました。

私が、恥ずかしくも高校の時に言っていたのは、「徴兵制が来るぞ。オレたち若者は、米軍に巻き込まれてベトナム送りになるぞ。だから、アンポ反対」でした。

辻本のオバちゃん、まったく同じじゃないですか。私が17才だった当時から、1センチも進歩していないね。

日本を取り囲む国際情勢がこれほどまでに変化しているのに、なにひとつ変わろうとしていない。 

いったいこの人たちにとって、この半世紀はいったいなんだったのでしょうか。 

この国会審議前半の中心は、「巻き込まれ論」でした。 後半は憲法論議ですから、議論すればするほど幼児退行現象の一途を辿っています。

私は失笑してしまいました。だって、「巻き込まれる」もなにも、この法案の本質は、米軍が提供しているアジアの安全保障インフラの活動を、いかに自衛隊が支援し、協力していくのかを、パッチワークしたものだからです。

パッチワークだから、その本質議論がおざなりにされ、国民の反発を招きました。これは政府の失敗です。 

この法制の目的は、いかにして今そこにある中国の軍事膨張に、日米同盟が立ち向かうのかです。 

刺激的言い方をすれば、「巻き込まれるのが心配」ではなく、真逆に「いかに米軍を巻き込むのか」「米軍をいかに摩擦なく巻き込めるか」こそが、この安保法制審議のテーマでなくてはならないのです。 

だから、ホルムズ海峡がどうしたの、中東がどうしたのというのは、議論をわかりにくくさせる煙幕でしかありません。 

そんな場所に行くかどうかなどという議論より先に、ただ今現在、南シナ海や、東シナ海で起きている、中国の軍事的勃興に、どのような国際的なブロックを築いていくのか、そこが大事なのです。 

わが国の半世紀前で思考か止まった野党諸氏と違って、アジア諸国はこの法整備をクールに見ています。 

下の図は、アジア諸国の反応です。いかがですか。反対はただ2国、中韓のみです。

逆説的に言えば、中韓が反対するから、正しい方向の法整備なのだとわかるでしょう(笑)。 中国が大賛成するような法律だったら、即刻取り下げねばなりませんものね。

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そもそも、日米安保条約がなく、したがって在日米軍が存在していなければ、集団的自衛権などということは問題にもならないはずです。 

私が何度か指摘してきているように、日米安保条約の第5条には、既に集団的自衛権が書き込まれており、それを大前提として日米同盟は動いています。
※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/06/post-ba93.html 

■日米安全保障条約 第五条 
各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。

ただ、このような条約を結びながらわが国は、お家の事情でそれを十全に履行していないどころか、その意味することを真面目に議論さえしてきませんでした。 

それが今になって、アジア情勢が緊張したために、そのつけがドッと廻ってきただけです。

ですから、この法制審議は、既に日本がビルトインされている日米軍事体制を、「いかにスムーズに動かすのか」がテーマでなければなりません。 

もっと煎じ詰めれば、「日米安保を真面目にやる気があるんですか。イヤなら止めて個別的自衛権の道に進みますか」という分岐でもあります。

ただし、これも何度か言ってきているように、個別的自衛権のみで、今の中国の軍事圧力に抗するには、国防費を5倍にして、空母、核兵器などの攻撃用兵器を所有せねばなりません。

かつてのNATOなきフランスのように、ハリネズミのような重武装国家になるしかありません。その覚悟があって安保廃棄を言っているのですね、と私は問うています。

かつて、そのような道を選ばなかったから、日本は日米安保を選んだのであって、それを「対米従属国家」と卑下する保守の人たちがいるのには驚きました。

そういう言い方をすれば、中露を除く世界中のほぼすべての国は、「対米従属国家」になってしまいます。

この人たちは、日本が戦前のように「自主独立」して、米国相手に5年間も戦争ができるような強大な軍事大国をまた見たいのでしょうか。

その意味で、反戦運動家諸氏の言う、「15年安保闘争」というのは正解です。問われているのは安保条約そのものだからです。

日米安保というものが既にありながら、それが「違憲か合憲か」などという議論はまるで形而上学的神学です。

もし、日米安保を憲法論議してまで否定したいのならば、憲法学者と野党は直ちに自衛隊を違憲訴訟するか、あるいは、日米安保の一方的廃棄宣言運動をすることです。

私はなにも極論を言っているのではなく、論理的にはそうならざるをえないからです。

安保に守られていながら、それを現実に合わせてバージョンアップするのがイヤならば、条約そのものを止めることです。その権利は日本にあるのですから。

「日本は平和憲法があるから平和が守られたのだ」という憲法学者と共産党が大好きな説がありますが、これはひとつの錯覚から生れています。

それは、相手国が自分と同じ立憲主義国だと、無意識のうちに前提にしていることです。

わが国ほうは、立憲主義民主国家で議会も正常に機能しています。

共産党は「アベヒトラー」などと言っていますが、そう言うことができる自由は保障されていて、集会・結社・言論・出版の自由は十全に保障されています。

もし相手国たる中国が、日本と同じ民主国家ならば、民主主義国家間の戦争はなかなか起きにくいとは言えます。

間違った場合のフィードバックが機能しているからです。

しかし 中国や北朝鮮は、合憲違憲論議以前に、国家権力は憲法で統制されていません。

権力の中心は、一党支配の中国共産党であり、さらにその権力の中核には「鉄砲から権力が生れる」という毛沢東のテーゼどおりに軍隊があります。

そしてこの軍隊は中国共産党の私的軍隊で、国軍ですらありません。

このような国と対峙していかねばならず、その軍事膨張をアジア諸国が連携して防いでいこうという時に、わが国のみが「私たちの国には憲法9条がありますぅ」と叫んでも、まったくなんの意味もないのです。

相手見て、ものを言えです。

 

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皮肉でも反語でもなく、代案を出してください

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激励ありがとうございました。心から感謝します。

私ときたら、持って行きようがない怒りに、秘蔵の菊乃露古酒をガブガブ飲んでしまいました。ああ、もったいねぇ、祝いに飲もうと思ったのに(笑)。

先日のようなことが起きると、「正義」とは何だろうか、と思ってしまいます。

たぶんあの3ツもの変名を使ってきた「けんすけ」という人物は、自分が「正義」だと信じきっていたはずです。

自分は「正しい」から、どんな手段をとってもいいとばかりに、目的が手段を合理化しています。発想はテロリストと一緒です。 

前に一度紹介しましたが、このような「正義」に取り憑かれた人々を司馬遼太郎さんはこう評しています。

「朱子学がお得意とする大義名分論というのは、なにが正でなにが邪かということを論議することだが、こういう神学論争は年代を経てゆくと、正の幅がせまく鋭くなり、ついには針の先端の面積ほどにもなくなってしまう。その面積以外は邪なのである」(街道をゆく(28)耽羅紀行』)

この「けんすけ」という人物にとっては、「74%」か「22%」は、一般人にはどうでもいいことですが、幅が針の先端ほどの面積しかない正義の幅で、それ以外はすべて「邪」なのです。 

いささかの疑問も語ってはならないという考え方は、なにが正義で、なにが邪かを決するための一種の宗教である朱子学の根本思想である「名分論」と同類です。 

一般庶民はそんなことを考えていたら生活ができませんが、自分は高尚だと自認しているインテリのほうがその虜になりやすい病です。

先の大戦に突入する前夜にも、名分論が叫ばれました。 

中国戦線が泥沼化すると、「暴支膺懲」(「けしからん中国を懲らしめろ」の意味)という頭に血が昇ったスローガンが、叫ばれるようになります。 

このスローガンはやがて、「鬼畜米英」というさらに絶望的なものに置き換わって、わが国を破滅の淵に追い込んでいくことになります。

こういう言葉が氾濫するようになると、理性的解決はまず絶対に不可能になります。合理的なことを言おうものなら、「お前は敵に加担するのか」ということになるからです。 

頭に血が昇って視野狭窄になったわが国の政府は、中国と和平を結ぶ機会は2回あったのですが、自らことごとく潰し、米国との手打ちの機会すらドブに投げ捨ててしまいました。

その上、この手の言辞は自分が被害者だという思いが強いので、いっそう正義感が高揚するようで、まことに始末に悪いのです。

浅野内匠頭ではありませんが、当人は堪えに堪えた恨みを晴らしているという気になっていますから、「この間の遺恨覚えたるか」と叫ぶことになります。

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(写真 朝日新聞2012年5月10日。この芝居の主催者である比嘉陽花氏は、特に本土人が沖縄県民を「豚」呼ばわりする差別事件が起きたから「豚」だと言っているのではなく、沖縄県民が日常的に本土から基地を押しつけられて「豚」扱いされる被差別者だから「豚」なんだ、と言っている。ちなみに比嘉氏は大阪在住

これに似た台詞は、翁長氏や「沖縄差別」論者の口から何度も出ています。自分の「恨み」を絶対視するあまり、それをひたすら煮詰めています。

上の比嘉陽花氏は「嘉手納基地の横で育ち、母が通った小学校に戦闘機が落ちた」と嘆きますが、私もまた厚木基地の真横で育ち、民家に戦闘機が落ちて母子が亡くなったのを見ています。

しかし、あいにく私は、いままで自分が「豚が人間になれるわけはない。ほんとうは差別されているんだ」と思ったことなどただの一度もありません。

こういう被差別意識に支配されると名分論は感情論となり、怒りを炸裂させることになりますが、それは賢いことではありません。

普天間基地の危険な状況を除去するために、辺野古の海岸を埋めて「新基地」を作るということを政府がしています。 

この目的は、「新基地」を作ってさらに県民を困らせようという悪意があってやるのではなく、あくまでも普天間の危険の除去、負担軽減の一環でした。

ところが名分論に感染した人からみれば、米軍のいうがままになる本土政府の毒牙が迫っていると逆に解釈します。

確かに、辺野古の海岸線を埋め立てるのは上策ではありません。 

もっといい解決方法はあったと思います。具体的には、機会を改めて検証しますがキャンプ・ハンセンの兵舎の位置に滑走路を作るという陸上案です。

いわゆる「小川案」と呼ばれていますが、これらの選択肢は県内の事情で既に潰されてしまっています。  

ですから結局、選択肢はふたつしか残りませんでした。普天間固定化か、辺野古移設か、です。 

別に本土政府が辺野古を強引に「押しつけた」わけではなく、20幾つかの案をひとつひとつ検討したら、辺野古しか残らなかった、という消去法の話です。 

その検討プロセスには、17年間一貫して、沖縄県も参加しています。 辺野古で煮詰まってからは、名護市の細かい注文を聞いて修正を重ねています。 

ですから、矛盾していますが、基地負担を減らす為に、埋め立てるという消極的選択は、消極的なるが故に、もう他の選択肢は、存在しないのです。 

えてして原理主義的発想に立つ人は、この矛盾に耐えられません。「基地ノー」と命題をたててしまった地点で、思考停止モードに入ってしまうからです。  

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(写真 見るからに頭の固そうな稲嶺名護市長。自身は辺野古の隣村の出身なくせに、当選してから一度たりとも現地住民と対話をしていない。稲嶺氏にとって「現地」とは、外人部隊が漁協の反対を押し切って占拠しているテント村のことのようだ。政治闘争だけが命で行政手腕がゼロなために、稲嶺不況といわれるほど名護市経済は冷えきった。市長が政治活動家だと、地域はまちがいなく衰退してしまう)

上の写真で稲嶺名護市長が「陸上もダメ、海上もダメ」と言っていますが、ならばどのような解決方法があるのでしょうか。 

これは政治家の発言というより、運動家の発想です。 

この人たちは、その原理に純粋なためなのか、常に声を枯らして叫び、怒鳴り、警備の人たちと激突し、政府を悪しざまに罵っています。  

2015011103405988a(写真 キャンプシュアブ前のお決まりの激突風景。外人部隊の逮捕者が出た。ちなみにこの工事は移設とは関係なく、シュアブ駐車場工事を請け負った呉屋氏の金秀のものというおまけつき。呉屋氏は埋め立て反対といいながら、「基地強化」に手を貸していたわけだった。ほかの業者ならともかく呉屋氏がやるとシャレにならない。もうひとつおまけに、この工事は中止に追い込まれ、呉屋氏は莫大な違約金を得た。税金である)

そして、叫べば叫ぶほど、彼らの声は一般の国民には届かなくなってしまっています。  

そして、その国民一般から浮き上がった自分の姿を知ると、一段と大きな声で、私たちのような「愚かな大衆」を「推進派」と叱りつけ、あざ笑うので、さらに孤立は深まっていく一方になります。 

まるで自分だけが正義で、地球がいつも自分たちだけを中心に廻っていると勘違いしているために、司馬遼太郎さんふうにいえば、「針の先ほどの面積の正義」にのみ固執します。 

現実はこの人たちを置き去りにして、先に進んでいきます。17年間も宙ぶらりんで、国費だけで3000億円も使ってきたのですから、もう後はありません。 

私ら本土の納税者にとって、今まで3千億円、そして今後に3千億以上。

おまけに振興予算の上積みを要求されて、数千億。しめてなんと1兆円も投入して、なお「沖縄を差別している」とまで罵られるなら、「もう止めちゃいましょうや。バカバカしい」という声も上がります。 

本土の国民は、沖縄県民が反基地で燃えていると報道されるたびに、どっちらけて「これ以上もめるなら、普天間で固定しちゃったら」という気分にさせられています。

あまり報道されないし、ましてやアンケートなどされないのですか、それが本音に近いでしょう。

Seb201205080054
上のグラフは、2012年5月9日の朝日新聞と共同通信のアンケートです。。※http://www.asahi.com/special/08003/SEB201205080055.html

質問の仕方自体が、すでに「沖縄差別」を前提にしたような聞き方です。たとえば、「朝日は歪曲新聞といわれていますが、そう思いますか?」と質問するようなものです(笑)。

こういう聞き方を統計学では誘導的質問と言い、やってはいけないアンケート手法とされています。

ただし、朝日には気の毒なことには、沖縄ですら4割の人が「そうは思わない」と答えており、本土に至っては「そのとおりだ」が沖縄の半分にすぎません。

これはもはや温度差という範囲ではなく、いかに本土と沖縄でこの移設問題について大きな感情的な溝が開いてしまったのかわかるでしょう。

現実は、ひとつの原理で測れるほど単純ではないし、いくつもの多元方程式の解のように込み入っていて、矛盾し合っているものなのです。 

より負担が軽減される辺野古への移動もダメ、海を埋め立てるなというから既存の米軍基地内に作る陸上案もダメ、グアム移転も米国が拒否、県外移転も不可能、ではいかなる解決方法があるのでしょうか。

皮肉でも反語でもなく、代案をぜひ教えて下さい。 

気分だけ言い立てて、合理的解決についてまったく考えないなら、それは単なる無責任ではないかと、本土の多くの国民は思い始めています。 

私は翁長氏がかつて保守政治家であったことから、当初はシュアブやハンセンの地上案を落とし所にするのではないかと、考えていました。 

しかし、今やまったく左翼陣営と同じ思考形態でしか発言しなくなりました。 

左翼陣営と同じというのは、非妥協的に原理にしがみつくということです。

非妥協的というのは、運動家の美徳かもしれませんが、政治家の美徳ではないのです。

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追記 「土人」も同一人物でした

皆様。

再度調べたところ、「土人」もIPアドレス 49.106.202.26でした。
したがって、「けんすけ」「土人」「シュワちゃん」は全員同一の人物です。

もはや単なる荒らしの域を越えていて、この男の精神状態を疑います。ここまで「74%神話」に疑義を呈したことが憎いのでしょうか。

自分が正しいと思ってさえいれば、どんな方法でもとってもよいのでしょうか。

ほんとうに情けなく、心底憂鬱になります。

管理人

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日曜写真館 吠える狛犬は私の心境

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「けんすけ」「シュワちゃん」HN偽装問題について考えたこと

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      [管理人より皆さんへ]

大変残念なことが発生しました。

管理人の2回に渡る警告を無視し、何回にもわたってIPを変えて入ってきた「けんすけ」という人物が、また今度は「シュワちゃん」という変名で入ってきて、品性下劣なコメントを残して気勢をあげています。

この「シュワちゃん」という男のIPは49.106.202.2●
「けんすけ」のIPは同じく49.106.202.2●

実は私は、この「けんすけ」を、まともな議論ができない荒らしとしてアクセス禁止にした際に、あえてアクセス禁止IPに入れておきませんでした。

というのは、彼の主張する日米地位協定2のカテゴリーは、「74%」の根拠になっているもので、反対派の人たちはこれに過度な固執をしていることを知っていたからです。

ですから、そのカテゴリー議論に巻き込まれないために、あえて地位協定のカテゴリーを無視して、議論をニュートラルな場に戻そうとしました。

私の論旨は、たびたび言っているように、「面積で量るのは間違っていないか」というものでした。

「0.6%の土地に、74%の基地」と言い続けた結果、本土のたくさんの米軍基地を意識的に無視することとなり、逆に22%がほんとうではないかという逆ねじを喰っているのが、現状です。

私はこんな議論は不毛だと思いました。沖縄の過剰な負担は誰の眼にも明らかですし、それを軽減していくのは当然のことです。

たぶんそれに反対する本土人はひとりもいないはずです。

しかし、それを過剰に言い募る余りに、「0.6%で74%」ということを大声で主張した結果として、あたかも「すべての米軍基地が沖縄島にある」ような錯覚を、多くの国民に与えてしまいました。

そしてこの論調は、「沖縄は差別されているから、こんなに基地を置かれているんだ」、という「沖縄差別論」にまで発展していきました。

いうまでもなく、これはオーバーランです。

防衛省がなんと言おうと、たとえ政府公認数字だろうと、これは「そう取ればそう取れる」ていどの数字です。

そのために安易なプロパガンダ数字に変質してしまい、いまや「民族」衝突を招きかねない予兆があります。

元々官僚の分類カテゴリーでしかなかったものを、ここまで「発展」させると、当然揺れ戻しがきます。

そして起きました。そのキックバック現象としての「嫌沖論」です。

「そうか、沖縄県はウソばかり言ってきて、金をせびってきたのか。このやろう、とんでもない奴らだ」という逆流が発生しました。

今その傾向はネット界ではあからさまになってきています。ネット界の一部では、沖縄は韓国と並んで生理的な嫌悪対象にすらなっています。

私はこの「嫌沖論」は絶対に許せません。断じて許せません。本土のために礎となって死んでいった多くの、あまりに多くの沖縄県民のためにも許せません。

私は安易なヤマト・ナショナリズムと、オキナワ・ナショナリズムの真正面からの衝突を、誰よりも恐れています。

これは埋めがたい溝を、本土と沖縄の間に作るだけではなく、中国に漁夫の利を得させる結果となります。

だからこそ私はこの日米地位協定のカテゴリーにふりまわされると、本質的な議論ができないと思ったから触れてきませんでした。

もっと本質的な、日米安保の中での米軍が何を日本に要求しているのか、何を確保したいのか、というあちら側の動機で見るべきだと思ったのです。

しかし多摩っ子さんが独自の立場で整理された以上、この地位協定がらみも繰り込んで書くことにしたわけです。

すると、同一のIPで、しかも笑える姑息さには変名まで使って、勝利宣言と私への汚らしい罵倒を繰り広げたのには、驚くというより飲んでいたコーヒーを吹きそうになりました。

放射能風評以来ですね、こういう人。

なかなかできることではありません。2回アク禁になり、IPを変えて来ること自体もたいした粘着性ですが、こんどはHNまで変装して、まるで自分の応援団が現れたような構図を作ろうとしているんですから!

そして、私の単純ミスを鬼の首でもとったようにして、大喜びをしているようです。(当該部分は修正したというコメントつきで削除しました)

あいにく私は、間違った場合、今までもなんどとなく修正に応じてきましたし、議論は自分を含めてフェアなものにしてきたと自負しています。

ですから、本質に関わらない部分に、歯をむき出さんばかりに喜ぶ「シュワちゃん」こと「けんすけ」に、逆に驚いたほどです。

他人のミスは、自分の得点にカウントするという政治力学的人間なんですね、この人。

なにか新しい真実を見つけていこうと思うのではなく、異論をヘコませたい、やっつけたいというだけの知的頽廃です。まるで子供だ。

俗にこういう発想を野党根性といいます。このような発想からは代案を出して、落し所を探るという解決が絶対に生れません。勝つか、負けるかの二択だからです。

私の主張は「防衛省がこのような混乱しやすい数字を出している以上、もっと分かりやすい指標が出るまで、面積の呪縛から離れて議論しよう」というだけです。

この主張は、移転賛成論でもないニュートラルなものです。

私自身この移転問題は、埋め立ては下策だと思っていて、そのことに議論を向けさせたいためにしていた土台の議論でした。

それを勝手に「74%を認めないのはウヨク」的思い込みで、こういう攻撃をしかけてくる、というのが失礼ですが、反対派のやり方ですか。

皮肉ではなく、反対派に問いたいのです。

反対派のみなさん。あえて言いますが、あなた方の暴力的衝突を好む闘争方法、多数を頼んで異論を許さない討論方法自体が、多くの国民に眉をしかめさせています。

あれを喜ぶ本土人は、ことあれかしと願うマスコミと、あなたたちのお仲間だけです。

この「けんすけ」「シュワちゃん」のように、公平な議論をすること自体を妨げる人と一緒にされています。

これは反対派にとって不幸なことではありませんか。

■お断り 記事中央の思いの部分は、削除しました。また、名無し氏へのお返事は明日にさせて下さい。

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土曜雑感 沖縄米軍基地全国占有面積率の迷宮

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沖縄における米軍基地の割合というテーマがあるみたいで、検索するとやたら護憲反安保の人たちのサイトに引っかかります。

「沖縄には0.6%の土地に74%の米軍基地がある」ということに、異論をとなえようものなら、「このネトウヨめ」と言われてしまいそうです。 

これは必ず、沖縄の基地負担の重さを訴える時に、無前提で使われる概念となっています。 

私は、沖縄県はもとより、これを本土政府も追認して、そこからしか議論が始まらないことを、かねてから疑問に思っていました。 

それは、神奈川県厚木基地の真横で育ち、青年期を国道16号沿いで過ごし、後に沖縄に移住し、本土に帰っては百里基地の周辺に住んでいる、という基地漬け人生を歩んできた私の実感から始まっています。 

どう考えても、広大な横須賀軍港からスタートし、瀬谷通信所を経て、鶴見オイルターミナルに至り、厚木基地では爆音の洗礼を受け、相模原で広大な補給基地を眺め、そしてこれまたバカデッカイ横田基地で終わるという、この国道16号のエリアは、量的には沖縄といい勝負、質的には沖縄以上だと感じていました。

沖縄の主要米軍基地である、普天間+嘉手納の2基地が7割で、本土にある、横須賀+厚木+相模原+横田+佐世保+岩国+三沢という米軍主要7基地の面積の合計が、残りのたった3割だなんて、フツーに考えたら絶対にありえない数字です。

どれだけ普天間と嘉手納が広いんだつうの。普天間は横田の2倍以上あるとでもいうのか、というのが国道16号も国道51号も共によく知る、私の素朴な感想でした。

しかし、この私の実感はあっさりと、他ならぬ防衛省によって裏切られることになります。 

●防衛省「在日米軍施設・区域(専用施設)都道府県別面積http://www.mod.go.jp/j/approach/zaibeigun/us_sisetsu/sennyousisetutodoufuken.html

・沖縄県・・・226.233㎡・・・73.88%

したがって、本土政府も防衛省のこの数字を土台にして、沖縄県と話し合うことになります。 

しかし、これには、ちょっとした「秘密」が隠されています。もう少しこの内訳を知りたいと思って防衛省の別な資料に当たってみましょう。 

■防衛省「在日米軍施設・区域別一覧
http://www.mod.go.jp/j/approach/zaibeigun/us_sisetsu/sennyousisetuitirann.html 

施設は次の3種類です。 

A 在日米軍が専用で利用している施設
B 日米地位協定2-4-(a) に基づいて日米で共同使用している施設
C 日米地位協定2-4-(b) に基づいて米軍が一時的に利用可能な施設

防衛省がこの三つのカテゴリーで在日米軍基地を分けているということを、知っている日本人のほうが少数派なはずです。゛ 

いや、私も細かくは見ていなかったので、今住んでいる近辺の百里基地が「一時利用施設」として、広義では日米共同利用施設だったとは、初めて知りました(汗)。 

この「一時的共同利用」か、「恒常的共同利用」か、というのが実は米軍との共同利用施設を考える時のミソなんです。 

というのは、この組み合わせ次第で、いかようにも「県別米軍基地占有面積」の数字を大きく印象操作できてしまうからです。 

ざっと見てみます。

A米軍専用・・・上瀬谷、鶴見、嘉手納、普天間など
B共同利用・・・三沢、厚木、横須賀、横田、岩国、佐世保など
C一時利用・・・北海道の演習場をはじめ千歳や百里などの自衛隊の施設

「専用施設」は、文字通り米軍が占用で使用している施設、「共同利用」は米軍と自衛隊が恒常的にシェアしている施設、「一時利用」は、年に一回くらい演習で使うか、あるいは有事の際に米軍が使用する予定の施設です。 

さっき冒頭でみた防衛省の発表している、「在日米軍施設・区域(専用施設)都道府県別面積」は単純に「専用施設」とだけ表記していますが、ほんとうはちょっと違います。 

これは実は、A専用施設+B共同利用施設の計なのです。なら、そうはっきりと「共同利用施設も含む」と書いてほしいものです。 

これだと、沖縄の米軍基地割合は74%となりますが、単純に「米軍が使う基地」ていどまで概念を拡げるとBの共同使用も乗っかって多摩っ子さんの計算では87%という凄まじい数字になってしまうようです。 

これはよく左派が使うレトリックで、「沖縄には米軍基地の大部分がある」ということを平気で言います。

もちろんまったくのデタラメではありませんが、「嘘は言っていないがほんとうのことも言っていない」類の話です。

言い始めた人は、それなりに分かっていても、長きに渡って伝言ゲームを続けているうちに、今や疑ってはならない真実になってしまいました。

沖縄の「米軍占用基地」のうち半分は、北部訓練場のジャングルにすぎません。 

もちろん沖縄県にも、那覇基地や与座岳、久米島のレーダー施設、浮原島訓練場などの、C「一時利用施設」がありますので、やや下がって74%ということに落ち着きます。 

沖縄の米軍基地の特徴は、返還前の米軍軍政下で今の基地の大部分ができてしまったために、やたらと占用がのさばっていることです。 

日本でありながら、目立つのは米軍ばかりで自衛隊の影が薄い、このことが「沖縄は米軍基地の島」という印象を強くしています。 

このCの「一時利用」というのが隠し味ですが、この「一時利用施設」を、入れるか入れないかで大きく数字は変化していきます。 

よく、74%という数字に対抗して、保守系論者が出してくる22%という数字は。このC「一時利用」まで入れたものです。 

これを入れると、その名も「北海道大演習場」などといった北海道の広い土地を利用した演習場が11箇所もカウントされてしまって、米軍が年に数回しか利用しない北海道こそが米軍施設負担の王者だみたいなおかしなことなってしまいます。 

ですから、自分にとって有利な数字を出すためのトリックはこうやります。 

・手管1・・・沖縄の負担を多く見せたければ、「米軍専用」だけカウントして、北部訓練場で膨らます。
・手管2・・・沖縄の負担を少なく見せたければ、「米軍の一時利用」まで入れて、北海道や百里などまで算入して膨らます。
 

というわけで、まとめれば

①沖縄における米軍基地だけの占有率     ・・87%
②①から一時的共同使用施設を引いた占有率・・・74%
③「米軍専用」、「(恒常的)共同使用、「一時的共同使用」の3種を分母とする沖縄の占有率                         ・・・22%

とうてい同じことを調べたものとは思えませんな。
※間違っていた部分を削除しました

私のコメント
①は、本土の基地負担をスルーし、沖縄の負担を誇大に取った数字です。
③は、北海道や北富士の演習場などといった大面積を入れられるために、逆に沖縄の基地負担を過剰に低く考えてしまう数字です。
・単純な面積による比較は、広大な演習場を入れるか入れないかで大きく数字が違ってきてしまいます。その施設の置かれた地理的条件や、米軍全体の中の位置づけを考慮しないとだめです。

これで議論がかみあうはずがありません。政府は妥当な指標をちゃんと検討すべきでしょうね。

私は防衛省がそれを出すまで、こんな面積論議はバッカじゃないかというふうに思います。

辞 問題点を整理いただいた多摩っ子さんに感謝いたします。

 

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歪んだ個別的自衛権しかない国の集団的自衛権論議

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瀬戸内寂聴さんが国会デモで、「戦争がやってくるぅ」と絶叫したそうです。 あのぅ、余計なお世話かもしれませんが、ご高齢ですし病み上がりなのですから、無理せずとも。

「『戦争にいい戦争は絶対にない。戦争はすべて人殺しです。人間の一番悪いところ。二度と起こしてはならない」「若い人たちが幸せになるような方向にいってほしい』と語ると、大きな拍手が起きた」(朝日新聞6月18日) 

寂聴さんたちは特定秘密法の時も、「物言えぬ軍国主義の戦前が来るぅ」と言っていたような気がしますが、ナンデモしゃべれるようで、ま、いいか(笑)。 

寂聴さんの仰せのとおり、「戦争は人殺し」だから、二度と起きない、仮に起きてももっとひどくならないように、安保法制を考えているんですよ。極めて不十分ですがね。 

20150618220534jyakutyo(写真 国会前で演説する寂聴さん。「戦争は人殺しだ。悪だ」という極度の単純化で世の中を見れるのだから、長生きできたのでしょうね。さすが大杉栄を美化した人だ。文学者や映画監督ってほぼ皆この調子。こんな戦争=悪、平和=善みたいな子供のような世界観で、よく芸術が作れると感心する)

さて、今、審議されている安保関連法制審議は、この4つがシナリオとして提示されています。 

①公海上で平行して航行する米国艦船の防護
②米国へ跳ぶミサイルの迎撃
③PKOなどでの多国籍軍への駆けつけ警護
④海外後方支援内容の拡大

 先日の党首討論で、岡田民主党代表がこのようなことを言っていました。 

「岡田氏は『周辺事態は個別的自衛権で十分に対応できる』と改めて強調した」(日経6月17日)

 いうまでもなく、集団的自衛権は「ある、ない」という解釈の問題ではなく、当然それを前提にして国を存立させている国家の自然権です。 

今更「そんなもんはない」といったら、国際社会がたまげます。否定している国は、世界中どこにもないからです。すべての国が、当然所与のものとして考えています。 

第一、日本人が大好きな国連自体が集団安全保障体制ですから、「ない」なら、常任理事国など百年早い、国連に加盟している意味そのものすら疑われます。 

岡田氏がいうように、個別的自衛権で一切が解決するなら、日本は日米同盟も国連も脱退して、個別的自衛権、すなわち一国での防衛のみで安全保障すべてを立てねばならなくなります。 

具体的にはこういうことを指すと国際社会では考えられています。

いままで米軍に依拠していた空母、長距離輸送機などの攻撃投射能力を獲得し、敵国深く侵攻する能力をもつ航空兵力、弾道ミサイル、原子力潜水艦、そしてなにより核の笠を自前で持たねばなりませんから、そのための核兵器開発もせねばなりません。 

そのために、専門家は今の5倍の軍事予算が必要だと計算しています。 

岡田さんも、ずいぶんと危険なことをおっしゃったものです(笑)。おーい朝日さん、ここに「軍国主義者」がいたぞォ! 

Hqdefault(写真 岡田代表「私には理解できない」なら黙っていたら、恥をかかないで済むのにね。正直、この人の質問や党首討論を聴くと、東大卒ってみんなこんなていどかと思う)

さて問題は、こんな低次元な所にはありません。 

日本は個別的自衛権で「できない」ことを、集団的自衛権でやろうとしているのです。 

①のシナリオで米国艦船への共同反撃とありましたが、現法制下では日本は自衛艦のみならず海保、いや民間の船舶が撃たれた場合にも反撃できないのです。 

というのは、自分が撃たれた時には正当防衛で撃ち返すことができますが、自国の艦船が撃たれた時には、総理大臣の防衛出動が発令される前にはできない決まりがあるのです。 

Img_2(写真 2012年、自衛艦に「護衛」される辻本清美さんのピースボート。大爆笑な風景である。この後、9条の祟りにあって、漂流した)

ちょっと分かりにくいかもしれませんから、例をあげましょう。 

たとえば、ピースボートが国籍不明の艦によって攻撃され、撃ちまくられている場所に自衛艦が遭遇したとします。 

銃撃によって、デッキは血の海、撃ち殺された女子供が折り重なって入るのが見えます。船も黒煙を上げて傾いています。 

ピースボートからは、「救助してください」という辻本女史の悲鳴にも似た通信が入ってきます。 

さて、この状況で自衛艦は、その正体不明の艦に反撃できるでしょうか? なお、これは公海上だけではなく、日本領海内でも同じだとお考えください。

当然、人道的にもすべきだろうって、ブーっです。残念、できないのです。 別に、辻本さんだったからではありません。

漁船でも、外国の艦船でも国籍は問いません。自衛隊は「あるもの」をもらうまで、反撃できないのです。

それは「防衛出動」です。定義を押えておきます。

「防衛出動とは、日本に対する外部からの武力攻撃が発生した事態または武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態に際して、日本を防衛するため必要があると認める場合に、内閣総理大臣の命令により自衛隊の一部または全部が出動すること」(Wikipedia)

根拠法は自衛隊法第76条です。これも見ておきます。

「■自衛隊法
防衛出動
第七十六条
 内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃(以下「武力攻撃」という。)が発生した事態又は武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至つた事態に際して、我が国を防衛するため必要があると認める場合には、自衛隊の全部又は一部の出動を命ずることができる。この場合においては、武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(平成十五年法律第七十九号)第九条の定めるところにより、国会の承認を得なければならない」

自衛隊は武力行使するにあたって、総理大臣の命令を受けねばなりませんが、これは国会承認も伴っています。

ですから、非常に時間がかかります。そのような迂遠な手続きがいる理由は、先日の「9条の国の警察的軍隊」の記事で書いた、日本独特のポジティブリスト方式のためです。
※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/06/post-1c47.html

ポジティブリストは、和訳で「根拠規則」と言います。ネガティブリストは、「禁止規則」と訳します。

自衛隊は「これだけはやっていい」という根拠規則がない限り動けません。この場合、総理大臣の防衛出動で「やっていい」と明示されるまで、「やってはいけない」のです。 

日本以外のすべての国では、自国軍の交戦規定は、国際法に則っています。国際法とは主にハーグ陸戦条約とジュネーブ条約などの歴史的慣習法のことです。 

このように、寂聴さんなら「戦争は人殺しです」で、思考が停止してしまっていいのですが、現実にはその先まで考えた「人殺し」をデタラメにしないための抑制のルールが必要なのです。それが交戦規定・ROEなのです。 

しかし、このROEが自衛隊には欠落しています。別に政府はいらないと言っているわけではなく、例の憲法がらみで交戦権を否認してしまったために、ややっこしい議論を恐れてうやむやにしていたのです。

なんせROEなど作ろうもんなら、国会が「人殺しの法律を作っている」「戦争法ハンターイ」という声に包まれる国ですからね。

C0046416_853298(写真 ほぼ丸腰で派遣されたPKO部隊。帰国後に自殺者がでたのは当然である。)
追記 PKO帰還隊員の自殺者が5倍と報じた東京新聞は、誤報を認めましたので上のキャプションは訂正します。http://gohoo.org/15062501/

のROEなくして、外国にPKOなどに派遣したんですから、なんともかともひどい国ですよ。

イラクではヘルメットをかすってロケット弾が飛んできても、一切の反撃は禁じられていたそうです。帰国後、精神を病む自衛隊員が多かったそうです。

今頃になって、野党が自衛隊員の「安全」を突然心配し始めたというのは、なんなんでしょうね(苦笑)。

それはさておき、自衛隊法の第90条の「自衛官の武器使用」を見ます。
自衛官に認められた武器使用規定 

「■自衛隊法
第九十条  第七十八条第一項又は第八十一条第二項の規定により出動を命ぜられた自衛隊の自衛官は、前条の規定により武器を使用する場合のほか、次の各号の一に該当すると認める相当の理由があるときは、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる」
 

法律文なのでかったるい表現で申し訳ないのですが、ここで言っているのは、以下の条件以外では武器使用は認めない」ということです。 

ではその条件です。これがまたまわりくどいので、武器使用を認めているケースのみを抜粋します。 

「一 他にこれを排除する適当な手段がない場合 
二  他にこれを鎮圧し、又は防止する適当な手段がない場合
三  暴行又は脅迫をし又はする高い蓋然性があり、武器を使用するほか、他にこれを鎮圧し、又は防止する適当な手段がない場合」 
つまり、「明白な危険があり」あるいは「高い蓋然性があり」、なおかつ、「武器を使用するほか、他にこれを鎮圧し、又は防止する適当な手段がない場合」だけは反撃していいということです。
 
逆に言えば、自衛隊法は、「明らかな身の危険を感じるまでは、武器を使ってはならない」と言っているわけです。
 
これは警察官の職務執行法ととまったく同じです。というか、警察官職務執行法第7条をそのまま自衛隊法にしてしまったのです。
警察官職務執行法
「■警察官職務執行法
第七条
 (略)但し、刑法 (明治四十年法律第四十五号)第三十六条 (正当防衛)若しくは同法第三十七条 (緊急避難)に該当する場合又は左の各号の一に該当する場合を除いては、人に危害を与えてはならない」
「刑法第37条(緊急避難) 
自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為(以下略)」
F201312171152471301413081(写真 国際法すらよく知らないで、マリに派遣された中国軍PKO部隊。日本と違ってこちらは、危なそうな奴らが近づいたらすぐにぶっ放す気満々)
長々と書きましたが、これがいわゆる刑法の「正当防衛」条項と呼ばれるものです。自衛隊法は、この刑法第37条の「正当防衛」条項に根拠を置いています。
では改めて、最初のピースボート襲撃事件の情景に戻ります。自衛艦は、自分に攻撃を向けられていない以上、「正当防衛」にはあたりません。
この自衛艦の艦長は、防衛出動が下される数時間は、指をくわえて民間船が沈むまで見ていなければならないのです。
しかし、なにぶん遠く離れた公海上での出来事だと、日本にとっての不正急迫ではないので、出ないかしれませんね(涙)。
まぁ、沈んだ船からの救助くらいは可能でしょうが。それにしても非人道的の極みです。
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(写真 インド洋上給油作戦。日本は非常に各国海軍に感謝されたが、万が一の時には共同で反撃かできなかった)
このポジティブリストで、事細かに任務は指定されています。
例えばテロ対策特措法によって、インド洋に行って海上給油の任務が与えられた自衛艦は、「任務は給油である」と命じられた場合、それ以外のことはできません。
仮に、給油をしようとしていた外国艦船が攻撃を受けても、例によって「オレ第9条の国だから、助けられんもんね」と言うしかありませんでした。
もちろん、漁船がやられそうだろうと、民間船が沈められようとしても、ポジティブリストにない以上、「オレ、9条の国の軍隊のようなものだもんね。許してね」と言うしかなかったわけです。
もちろん、他国はそんな複雑な日本の特殊事情は知るわけがありませんから、何も助けようとしないわが国の「軍隊のようなもの」に怒り心頭の発したことでしょう。そういう状況がなくて幸いでした。、
なんともスゴイ自衛隊法を作ったもんです。縛っておかないと、暴れ出して、また中国侵略のひとつもしちゃうと、妄想したのでしょうがね。
頼まれても自衛隊は中韓には行きませんって。万万が一しそうだったら、私40年前の反戦少年に戻って戦います。
自国の艦船の攻撃に対してなにもできないわが国が、米艦との共同反撃ですって。笑止です。
この法制が通ると、海自は僚艦が攻撃された場合は眼をつむり、米海軍がやられそうになれば助けられるという大笑いなことになるわけです。
まずは、今ある自衛隊法のおかしさを洗い出してから、集団的自衛権というより高度なテーマに取り組むべきではなかったのでしょうか。
まずは、そこからです。
お断り 執拗に非難のコメントか入ってきます。それも全部HNなしです。
おそらく同一人物です。
なんとかの一つ覚えのように「日本にもROEあるぞ」という内容です。
日本にも類似のものは、そのつとど作っていますが、諸外国のようなものは日本に存在しません。
自衛隊の運用方法ででなんとか凌いでいる状況です。
それはポジティブリストという根幹かあるからですす。
そこを問うたのがこの記事ですが、佐藤議員がコー言った、アーいったばかりです。こんな古い記事に対して答える義務はないので、このコメント欄は閉鎖します。
(2015年6月15日)

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政府は脅威の「目的語」を明確にしろ

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安倍政権の安保法制審議の限界は、今のような議案説明をしてしまうかぎり、国民は何が論点なのかわからなくなっていることにあります。 

今の安全保障法制の審議はまるで、木を見て森を見ない議論です。 

賛成か反対か、憲法違反か否かという結論から議論が始まっていて、そして「殺す側にも、殺される側にもなりたくない」とか、「戦争のできる国にさせない」「アベヒトラー」といった感情的な煽りに終始しています。 

「戦争法制」という言い方に至っては、戦争からわが国を守るための安全保障議論をしているのだからあたり前です。

たぶんまた、わが国が海外侵略するとでも言いたいのでしょうが、こういう言い方をしているかぎりまともな議論にはなりません。

わからなくなる原因は、国会の議論がどうして「今」この法を整備するのか、という「目的語」の部分を意識的に欠落させているからです。 

野党は、「自衛隊は他国の領域でも戦うのか」「どのようなケースで集団的自衛権を行使するのか」、といったように何に対してという「目的語」をあえて落として、何をするのかという「述語」のみを質問しています。

C6257e4b76a84df032fc46a4c8933ba1_tn(写真 民主党広報委員会撮影  国会デモで演説する長妻代表代行。民主党は、この国会前デモをする人たちだけが国民であると思っているのか)

一方、政府も同じように、これに対して「日本海で邦人輸送中の米艦が攻撃されたら」といったように、何の脅威によって「邦人輸送中なのか」といった肝心のことをあえて落として答弁しています。
 

またその脅威を具体的に語らないために、「力による現状変更を認めない」というような、国際会議では通用しても、国民への説明としてはなんのことやら分からない抽象的説明に終わっています。 

56044d2d(写真 国際軍事専門誌IHSジェーンズ・ディフェンス・ウイークリーがこの3月21日に公表した南沙諸島・ファイアリー・クロス礁の衛星写真)

もちろん、私たちはその脅威が何なのか、はっきりと分りかけているはです。

にもかかわらず、ハリーポッター物語の「名前を言ってはいけないあの人」よろしく、名指しすると刺激してしまうことを恐れて、与野党とも「たられば論」に終始しているのです。 

私が代わってはっきりと明示しましょう。

この安保法の整備は、尖閣諸島と、南シナ海における膨張主義的な中国の軍事活動と、核兵器と弾道ミサイルの開発を進める北朝鮮の軍事的脅威に対応しています。 

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政府はこれを明示すると、中国を刺激するのを慮ってか、わざわざわかりにくい表現をした結果、野党の枝葉末節論に巻き込まれ、さらには絶対やってはいけない憲法神学論議にまで発展して、どんどんと本質から逸れて行くばかりです。

これを見て、 マスコミは大喜びして、国会議論をただしい情報で切り分けることをせずに、「市民団体」のアジビラのような紙面づくりにいそしんでいます。

そのために、野党の言う「巻き込まれ論」が真実味を帯びて、まるで自衛隊が米軍を助けて中東で戦争するとなどというファンタジーが一人歩きしてしまっています。 

今、わが国がこのような法整備をする必然は、何も米軍の尻を追いかけて地球の裏側で戦争しに行くためではなく、日本が目の前で直面している現実的脅威に基づいています。 

離島防衛のためのグレーゾーン対処や、米艦船への共同反撃などはまさにこれです。 

昨日の党首討論でも、岡田氏はよほどの馬鹿ではないかきり、それは分かっていたはずです。 

しかし、ひとこと「中国と北朝鮮こそが脅威である」と言ってしまえば、この中国と北朝鮮の軍事的脅威にわが国が単独で対処できるはずもないのを分かっているはずです。

北朝鮮の弾道ミサイルに対しては、海自と共同で展開している米海軍のイージス艦が、今この時間も警戒に当たっています。

20120413(写真 2013年4月13日。北朝鮮テッポドン弾道ミサイル発射時の、警戒任務に就いた各国イージス艦の位置。日本3隻、米国7隻、韓国2隻。これは集団的自衛権ではないのだろうか)

中国の脅威に至っては、もっと大枠の南シナ海や東シナ海における、米軍のプレゼンス(存在感)そのものが前提です。

つまり、とっくの昔にわが国は集団的自衛権の中にビルトインされていて、それでわが国を防衛しているのです。

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岡田氏がこれを知らないはずがありません。知っているので、脅威をはっきりと語ると、「個別的自衛権以外はすべて違憲」という自説を否定してしまうからこそ、「主語」を沈黙しているのでしょう。

ただの政局狙いなら、コメントする価値もありません。国家の安全保障を政局の具にするのは、絶対にしてはならない政治家の戒めなはずです。

しかし、たぶん政局なのでしょうね。ここまで空論を吐き続けられるのは、攻め口がなかった安倍政権を潰せるという野心あってのことなのでしょう。

さもなくば、言っていることがああまで共産党と一緒のはずがありません。

そして同じ野党でも、共産党とは異なって代案を要求されることに怯えています。 

岡田氏はかつてインド洋給油に対してデモをしかけましたが、外相を経験しながら今なお反戦デモが代案だと思っているとしたら、なんとも言いようがありません。 

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彼の親中スタンスは有名ですが、それと現実の脅威を一緒にしてはいけません。

 安倍氏が明示しないのは、昨日国会で言うとおり、「こういうことを言えば政策の中身をさらすことになる」ということです。 

これは国の政策オプションを狭めるという意味では正しくもあり、国民向けのメッセージとしては間違っているとも言えます。 

このようなワジワジとした国会議論をよそに、現実だけがどんどんと進んでいっています。 

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9条の国の警察的軍隊

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今の国会審議をみていると、なんともいえない脱力感に襲われます。 

野党は、徹底的して枝葉末節に焦点を絞っています。「この場合はどうだ。安全か安全でないか」「ここの地域はどうだ」という論法で、首相の失点を引き出して、一挙に廃案の世論を作ろうとしています。

野党の発想自体が典型的なポジティブリスト的発想です。ボジティブリストとは、文字どおりリストに乗ったことしかさせないという考え方です。

警察官職務執行法を基にした考え方です。

その結果、今日に至るまで自衛隊は憲法に違反しない活動であっても、自衛隊法にその根拠規定を持つ活動以外は行うことができないという制約下におかれてきたのです。、

簡単に説明しておきましょう。

そもそも自衛隊法が、ポジティブリスト形式を採用したのは、憲法9条の制約の下で通常の軍隊の保持を禁止されていたからです。大元はまたまた例の9条です。

当時の日本政府は、朝鮮戦争において北朝鮮と呼応して、後方攪乱を狙う日本共産党や朝鮮総連の軍事闘争に悩まされていました。

共産党はすっかり忘れてしまったような顔をしていますが、当時の共産党は今の過激派など比較にならないほど凶暴で、「山村工作隊」や「中核自衛隊」(※)という武装軍事組織を作って、銃と爆弾による軍事闘争に明け暮れていました。※中核派も自衛隊も無関係です。

連合赤軍を数十倍にパワーアップしたと思えばいいでしょう。

250pxarrest_of_jcp_member(写真 警察に逮捕される山村工作隊の党員。毛沢東主義を掲げて山間部に潜んで武装闘争をしたが、国民の強い反発を受けて無残な失敗に終わった。後にこれに関わった幹部は粛清される。これが共産党が自慢する「一貫して軍国主義と戦った唯一の政党・共産党」の姿だった。Wikipedia)

従来の警察では対応しきれないために、その強化策として「警察予備隊」を設置したわけです。

そしてこの警察予備隊が保安隊を経て、今の自衛隊へとつながっていきます。

このために、自衛隊はいまなお実体は軍隊、しかし法的には「警察」であるわけです。

このおかしなねじれのために、自衛隊法は警察法を継承して作られました。

ネガティブリストを主張する改進党と、ポジティブリストを主張する自由党の相違があったものの、日本特有のあいまいな妥協がなされました。

その結果、現在の自衛隊という、警察法によって縛られる「軍隊と呼ぶと怒られる」という奇妙なものが誕生したわけです。

O0450031510972680717(写真 1952年設立当初の警察予備隊。米軍支給の装備を持ち、米軍式に訓練された。そのために帝国陸軍色は一掃された。皮肉にも、韓国では旧帝国軍軍人が建軍したために、帝国陸軍の負の遺産が濃厚に韓国にのみに残ってしまった)

しかし、成立から60年たって、今日、自衛隊に対する国民の批判的姿勢は影を潜め、自衛隊を違憲とする政党は国会内でほとんど勢力を持っていません。

わが国のシビリアンコントロールは揺るぎないものがあり、いわゆる制服組による政府の指揮監督を無視した独断先行は考えられません。

しかしあいもかわらず、戦後の特殊事情から生れたさまざまな非現実的縛りをかけています。

ですから、新たな事態が起きるたびに、そのつど政府が新たな根拠法を作成せねばなりませんでした。

少しまともに考えればわかるように、実に非現実的発想です。そもそも状況が不安定だから、国際警察活動が実施されているわけです。

イラクには初めてPKO以外で自衛隊が派遣されましたが、サマーワという非戦闘地域においてすら、何が起きるのか、どのようなテロ攻撃を受けるのかさっぱり分からなかったのです。

そんな場所に「これこれのことしかできない」というリスト一枚を渡して送り込んだわけですから、自衛隊のプレッシャーの重さはいかばかりだったでしょうか。

17_11_19__r__9写真 サマーワで水道などのインフラ整備を担当した自衛隊。水道を現地の人と点検している風景。この親身な支援に、自衛隊が帰還する時に、帰らないでくれという友情デモが起きた。モスクに軍用犬を入れるようなガサツな米軍は爪の垢でも煎じてほしい)

しかも自衛隊は、隣のオランダ軍基地が攻撃を受けてもポジティブリストに載っていないから、協力して反撃できない、という常識はずれの命令まで受けていました。

世界の軍隊で、自衛隊以外にこのようなボジティブリストで動く軍隊は、ただのひとつとして存在しません。

ですから、もしオランダ軍が攻撃を受けて自衛隊が、「オレ、知らんもんね。9条の国の警察的軍隊だからね」というポジティブリストを実行した場合、外交問題にまで発展したことでしょう。

今回の国会審議においても、安倍氏は答弁で、「危険な場所だった場合は撤収させます」と言い出したのには、正直驚きました。これが典型的なポジティブリスト的反応です。 

もし、この「攻撃を仕掛けられたら応戦せずに逃げる」というのが、海外の国際警察活動におけるROE(交戦規定)になってしまったら、テロリスト部隊は必ず自衛隊部隊を狙い撃ちにします。 

なぜなら、自衛隊は攻撃を仕掛ければ逃げると宣言している、PKO部隊中「最弱」の部隊だからです。実力において「最弱」ではなく、その縛りにおいて「最弱」なのです。 

そんな逃げることを前提にしているような部隊の周辺に、他国のPKC部隊は展開したくはないでしょうね。

B0062429_11321861 (写真サマーワにおけるオランダ軍と英軍の引継式。自衛隊とオランダ軍は隣り合わせだったが、日本はオランダ軍基地が攻撃をされても反撃を禁止されていた)

そして「逃げる」ことを定められた自衛隊は応戦禁止の撤退戦という、踏みとどまって他国の部隊と「集団的自衛権」を発揮して共同防衛するよりいっそう危険な、単独での撤退という状況に陥ってしまうことでしょう。

私は自衛隊は勇敢であるべし、などという精神論を言っているのではありません。 

このような共同防衛こそが国際活動の本筋であるのに、個別的自衛権の延長でしか海外での軍事協力を構想しえない現状は、かえって自衛隊を危険にさらすことになると言いたいのです。

このように書くと、野党は「ならば憲法を改正すればいいではないか」と必ず言います。

それは一見正論に見えて、ハードルを極めて高く設定することによって、現実と実体のギャップを埋めていく作業を拒否する考えかたなのです。

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集団的自衛権?そんなものは55年前に締結している

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安全保障法制の関連法案が議論されています。 

なんともわからない審議が続いていて、国会とは謎かけをして遊んだり、あるいは子供の押しくら饅頭で委員長の頸椎をへし折って暴れる場所なんだろうか、と思ってしまいます。

そのとおり、目的は手段を合理化するのだと、長妻代表代行はこう言っています。

「民主党の長妻昭代表代行は14日のフジテレビ番組「新報道2001」で、同党議員が12日に衆院厚生労働委員会の渡辺博道委員長(自民)の入室を実力行使で阻止し、議事を妨害したことに関し、「数の力でほとんど議論なしに採決するときに野党がお行儀よく座り、『不十分だが、いいか』と見過ごし、法律をドンドン通すことが国益にかなうのか」と述べ、暴力による妨害を正当化した」(産経6月14日) 

おいおい、長妻さん、それは「革命の論理」というんですよ。民主主義は詰まるところ「数の力」です。「暴力の力」ではないんです。

「お行儀よく座って」いられないなら、国会議員を辞して、プラカードを持って外で騒ぐことです。国会は言論の場です。勘違いしないように。

どうでもいいですが、自民が謝罪して「正常化」したそうです。暴行を受けた自民が謝ったんだってさ(爆笑)。

しかしこの荒れぶりに、議論のあり所が埋没してしまい、何をやっているのかがわかる国民のほうが少なくなってしまいました。 

News2515761_6(写真 厚生労働委員長につかみかかって首をヘシ折ろうとする民主党議員たち。しかも事前に計画している指令文書が見つかってしまっている。もはや懲罰ではなく、暴行傷害罪で裁かれるべきだ)

確かに、このケースはどうだ、このケースはどうだなどと、大枠から議論しないで、奥の細道ばかり議論したあげく、今度はとうとう「違憲」論議になってしまったのはには、さすがの私も呆れて失笑しました。 

しかも官僚に人選を丸投げした、自民党のオーンゴールときていますから恥の上塗りです。 

Pk2015060402100134_size0
(写真 東京新聞6月4日。皆さん有名な護憲反安保論者。集団的自衛権にも朝日で一貫して反対していた人もいる。こんな人を呼べばこう答えるに決まっている)

憲法神学者までが飛び出してきては、現実的判断など吹っ飛びます。彼ら憲法神学者にとって、自衛隊やPKOすらすら一切合切が「違憲」なのですから、そもそもこの人種に聞くほうが野暮というものです。 

昨日もこのお方たちは、こんなボルテージの上がったことを言っています。

「憲法学者の長谷部恭男早大教授と小林節慶大名誉教授は15日、日本記者クラブで記者会見し、集団的自衛権の行使を可能とする安全保障関連法案について「憲法違反」との見解を重ねて示した。この中で、小林氏は「憲法を無視した政治を行おうとする以上、独裁の始まりだ」と安倍政権を痛烈に批判した」(時事6月15日)

「独裁」ですか。さすが概念規定に厳密な学者の皆さんです。ということは「独裁者」の推薦でいそいそと国会にやって来た長谷部教授など、さしずめ独裁者の下回りですかな。

それはさておき、ひと頃の抵抗野党だった社会党に酷似してきた民主党は、ひたすらつまらない質問や、自説の演説、はたまた審議拒否で時間潰しをして、会期切れに追い込む遅滞戦術を続けています。

この人たちが政権党だったんですからねぇ。うちの国も懐が深いもんです(苦笑)。

あ、すいません。あまりにつまらない国会審議なので皮肉っぽくなってしまいました。

こうなっては今期成立はかなり難しいでしょう。今期成立はあきらめて、憲法があるかぎり、わが国は既に結んだ条約すら履行できない国なんだということを、率直に認めたほうがいいでしょう。 

え、私何か変なことを言いましたか?私は「既に結んだ条約すら履行できない国」と言っただけです。 

新安全保障法法制が、まるで新しい次元になるようなことをマスコミは言っていますが、ウソです。 

2014年5月にオバマ大統領が来日した時のことを、思い出して下さい。その時オバマ氏は、こう言いましたね。 

「日本の安全保障に対する米国のコミットメントは絶対的であり、日米安保条約第5条は尖閣諸島を含む日本の施政権下にあるすべての領域を対象としている」
Our treaty commitment to Japan's security is absolute, and Article 5 covers all territories under Japan's administration, including the Senkaku Islands.
 

では、このオバマ氏が「米国は単に条約(第5条)を適用しているにすぎない」と言った、日米安全保障条約第5条とは、いかなる条約なのでしょうか。 

実は、第5条は外務省の「主要規定の解釈」の中でも「中核的な規定」とされている部分です。
※参考資料 外務省「規定の解釈」
※       安全保障条約全文
http://www5b.biglobe.ne.jp/~USPinfom/anpo1.htm 

日米安全保障条約 第五条 
各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する
ARTICLE V
Each Party recognizes that an armed attack against either Party in the territories under the administration of Japan would be dangerous to its own peace and safety and declares that it would act to meet the common danger in accordance with its constitutional provisions and processes.

今の安全保障法制は、日米安保の新次元だとよく言われていますが、それは間違いなことに気がつかれましたか。 

この日米安全保障条約が結ばれた半世紀以上前の1960年に、わが国は「いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言」してしまっているのです。

これって、集団的自衛権じゃないのですか。 そうです、「いずれか一方に対する武力攻撃」とは、今まさに国会で審議されている集団的自衛権そのものに該当します。 

具体的には、共通の危機に対処するために行動している米国艦船が攻撃を受けた場合に、一緒に反撃できる、とわが国は既に条約に書き込んで「宣言」までしているのです。 

おそらくこの条約を見るだけで、諸外国は日本が既に集団的自衛権行使を含む条約を結んでいる以上、当然その権利を行使しているのだ、と解釈しています。 

140504toukyou(写真 どうやら脳内「15年安保闘争」らしいです。といっても、70年安保を知っている私たち世代にはショボイけど)

その上、わが国は、米国に広大な基地を提供し、しかもそれは米国にとって海外最大の戦略的拠点なのですから、諸外国は当然、これの防衛上、集団的自衛権を行使しているに違いない、と認識しているはずてす。 

そりゃそうでしょう。米軍基地からは、朝鮮戦争、ベトナム戦争、そして湾岸戦争、イラク戦争、対テロ戦争の度ごとに、大量の米軍が出撃しており、それを日本は一貫して容認してきたのです。

ただし、行く先は問わないとか、いったん第三国に出てから戦地に行ったみたいな、姑息ないい訳をしていましたがね。 

この米軍が日米共同の危機に対処している真っ最中に攻撃を受けて、自衛隊は「オレアメちゃんが沈んでも知らもんね」と見殺しにするなんて、諸外国は軍事の常識としてありえないと思うはずです。 

まぁ、ホントにやったら条約うんぬんの前に、人間失格です。

日本人が、「いえいえ、権利はありますが、行使できないのです」などと言おうものなら、「ではなぜ行使できもしないことを、履行義務が生じる国際条約のしかも前文に書き込んだのだ」と突っ込まれます。 

あげく、「そうやって、自衛隊は猫かぶって、いきなり撃ってくるんだろう。コス辛い奴らめ」などと、中国や北朝鮮が思っていてもいささかも不思議ではありません。

Photo(写真 横田基地に翻る日米国旗と国連軍旗。国連に司令部を提供しておいて、集団的自衛権はあるが持てないという不思議の国ニッポン)

困った日本は、こう答えてきました。「これは日本に対してだけの個別の攻撃に対しての条約なんです」。

しかし、気の毒にも日米安全保障条約には、こうはっきりとその位置づけを前文に書き込んでいます。

■日米安全保障条約 前文
(略)両国が国際連合憲章に定める個別的又は集団的自衛の固有の権利を有していることを確認し、両国が極東における国際の平和及び安全の維持に共通の関心を有することを考慮し、相互協力及び安全保障条約を締結することを決意し、よって、次のとおり協定する。(略)

 はい、このとおりです。ここでは集団的自衛権を持っていることを「確認」した上で、両国が「極東における国際平和の維持」のために、この条約を作ったんだと書いています。

極東ですぞ。東アジアは当然のこととして、それに付随する海域まで「犯意」として指している条約を55年前に締結しているんですよ。

前文を裏書きして、第6条にはこうあります。

■第六条:
 日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリ力合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。(略)
 ARTICLE VI
For the purpose of contributing to the security of Japan and the maintenance of international peace and security in the Far East, the United States of America is granted the use by its land, air and naval forces of facilities and areas in Japan.

ここまで55年前に書いておいて、今更「持っているが使えない」とか、「違憲です」とはどの口が言うのかです。さぞかし、諸外国は腹を抱えて笑っていることでしょう。

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(中国人風刺画家の唐辛子氏のものだというが、詳しいことは不明。しかしまぁこのとおりであるhttp://www.newsweekjapan.jp/newsroom/2014/12/post-282_1.php

今、国会でやっているしょーもない議論は、55年前に国会で徹底的にやっておくべきでした。

それを今更蒸し返して、「持っているが使えない」などという目先の言葉遊びでゴマかし、中国の台頭と軍事膨張という国の安全保障の根幹が揺らぐような軍事的非常事態を前にして、今度はこれはできるが、これはできないというボジティブリスト議論を延々とやっているのです。

開いた口が塞がりません。こんなことひとつ決まらないなら、国会招致した憲法神学者のご託宣のとおり、日米安保は廃棄、PKOは中止、いや自衛隊そのものもいっそう解体してしまいましょう。

そのほうがスッキリします。

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オスプレイ・ゼロリスク論のくだらなさ

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どうしていつもいつも、同じ発想になるのでしょうか。またまた、飽きもせずにオスプレイです。

配備前は「殺人機」、なかなか落ちてくれないので「低周波公害」、期待を裏切って静かなので「ノグチゲラが死んだ」、まったくたいした粘着性です。

しかし、ドリームズ カム トゥルー(笑)。

地元2紙はよほど落ちてほしかったらしいとみえて、ハワイで落ちた時は、感涙にむせびながら琉球新報に至っては号外まで出しています。 

これだけは断言できますが、米軍輸送機が一機落ちたくらいで号外まで出す新聞社は、世界広しといえどここだけです。一瞬、琉新の社屋にでも落ちたのかと思いましたよ。

 

Ryukyushinpougougai_2まずは、琉新が「大喜び」している事故についてですが、一か月ほど前の4月17日、ハワイで訓練中の米海兵隊MV-22オスプレイがオアフ島ベローズ空軍基地で着陸に失敗して大破し、乗員22名中1名が死亡したというものです。 

オスプレイが事故を起こしたのは3年ぶりです。琉新はこれで「殺人機」のお墨付きを得たどばかりに、反基地闘争の燃料に投下したかったのでしょう。

翁長氏は沖縄に落ちたわけでもないのに、待ってましたとばかりに飛行停止の声を上げていますか、あいにく米軍は至って冷静です。

20150519071043asd3_3(写真 思わぬ敵失に、こみ上げる笑いをこらえて飛行停止、配備撤回を要求する翁長氏。この後ハワイに行った時には、墜落現場を見に行った)

問題は、これがこのオスプレイ固有の欠陥によるものか、あるいは、そうではない別の原因、たとえばもっともよくあるのは今回も原因だと見られている操縦ミスの可能性です。 

もし前者ならば、米軍は即刻、世界中で飛行する約200機以上の同型機を飛行停止措置にしたはずです。 米軍の対応はこうです。

「在沖米海兵隊は19日、普天間飛行場の垂直離着陸型輸送機MV22オスプレイの飛行を中止せず、訓練などを続行した」(沖タイ5月30日)。 

オスプレイは安い機体ではありません。一機が86億円(米国調達価格)もする高価なものです。 

もし、ほんとうに機体の構造的欠陥が疑われるのなら、米軍は即時に全機を飛行停止にしたことでしょう。 

墜落の状況は、事故当時撮影された映像からこのようなものだと言われています。 

①通常は高度2mていどでいったん空中停止してから、ふわっと降りるものが、そのままストンと降りた。
②ヘリでいうオートローテーションのような状態で降りたために、機体が大破し、その際に発火した。

Mv22_osprey_autorotation(図 防衛省)

オートローテーションとは、防衛省によれば、このようなものです。
※「別添4:MV-22オスプレイ オートローテーションについて」PDF:266KB)

■ MV-22のオートローテーション
○ MV-22は、空力によってローターの回転数を一定に保つこと等により揚力を得て、
機体の姿勢及び定められた速度を維持しつつ着陸地点に向けて降下し、着陸直前に機首を上
げて速度を制御し、機体を水平状態として着陸する手段が確立している。
○ ただし、オートローテーション中の降下率は他の回転翼機より高い。
- 降下率は最大で4000~5000fpm(毎秒約20~25m)
※ 機体総重量、密度高度の影響等により変動する。
○ 他の大型回転翼機同様、オートローテーションによる着陸時、機体を損傷
する可能性があり、実機での訓練に替えて高性能シミュレータを用いてオ
ートローテーション訓練を実施

噛み砕いて説明します。オートローテーションとは、空中でエンジン・ストップした場合、いわばパラシュート降下するように、落ちる速度を緩めながらふわっと降りる技術です。

これはヘリ独特の非常着陸手段です。この技術を使えば、小型ヘリや中型ヘリは問題なく着地できます。

しかし、問題は大型ヘリやオスプレイなどでは、オートローテーションで降りると、自らの重量で機体が破壊されてしまいます。

ですから、自衛隊でも、小型機のUH1やUH60では実際に訓練しますが、大型のUH47などではシュミレータでやるのみです。現実にやると壊れちゃいますからね。

これはなにもオスプレイに限ったことてはなく、かつて普天間で運用していたCH46や、CH53といった大型ヘリでも同じです。

かつてのオスプレイ反対騒ぎでも、盛んにオスプレイがオートローテーションできないことがまるで欠陥機の証拠であるかのように言われましたが、当時、反対運動をしている人たちの頭の上を飛んでいたCH46、CH53も同じだったのです。932509a9ml(写真 オスプレイ反対運動の先頭に立つ翁長知事と稲嶺市長。この反戦首長コンビはこの時期あたりから生れた。この時期の赤ゼッケンはまだ翁長氏にはチグハグだが、やがて似合いすぎてくる)

さて、あいかわらず「危険機を配備するのは沖縄差別だ」と叫ぶ地元紙に対してのブリーフィングを、米海兵隊がしました。

沖タイの記事がふるっています。

「宜野湾市の米軍普天間飛行場でMV22オスプレイの安全管理を担当する海兵隊のクリストファー・デマース少佐は10日、同飛行場で日本記者クラブ取材団と会見し、ハワイで5月に死者2人を出したオスプレイ着陸失敗事故に関し「残念ながらこのような事故は完全には避けることはできない」と述べた。個別の事故に関連し、海兵隊の担当者が、事故を容認すると受け取れるような発言をするのは珍しい。
 (略)
 安全性に関し「沖縄の人々の懸念があることは理解している」としつつ、「飛行手順は懸念を最小限にするために作られた。(オスプレイの飛行で)特別な技術は要らない」との認識を示した」(沖タイ2015年6月11日 写真同じ)
 

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地元2紙は、米軍が説明をしないと怒り、してもまともに耳を傾けず、体験搭乗を用意すれば、今度は「試験搭乗すると配備を容認したことになる」というわけのわからないことを言って拒否するメディアですから、ハナっからゼロリスク論満開です。

Imgdf98d644zikczj(写真 オスプレイはミサゴのこと。猛禽類で、垂直に飛ぶ姿が似ているのでつけられた) 

私は、もしオスプレイ無事故神話を喧伝する人があれば、それは違うだろうと思っていますし、逆に沖縄メディアのようなオスプレイ・ゼロリスク論もまた、間違いだと思っています。

というのは、この両者は一見真逆に見えますが、ひとつのありえない<ゼロ仮定>から生えた二本の奇妙な樹のようなものだからです。 

一方は「事故は起きるはずがない」と言い、方や「少しのリスクもあってはならない」としていても、発想の根は一緒だからです。

今回説明に当たった海兵隊のオスプレイのパイロットが、「残念ながらこのような事故は完全には避けることはできない」と述べたのは、まったく技術者としてあたりまえのことを言ったまでです。

それを鬼の首でも獲ったように、「海兵隊の担当者が、事故を容認すると受け取れるような発言をするのは珍しい」と書くほうが、世界的には「珍しい」のです。

沖タイさん、「容認」もなにも事故というのは「起きる可能性は常にある」ことを前提にしているのですよ。だから、それを様々な方法でなくして、ゼロに近づけているわけです。

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たとえば、自動車を例にとります。車の衝突事故はありえます。

「いやうちの車に限ってありえない。だから、高硬度のキャビン構造も、傷害防止構造もいらない。いや、シートベルトもエアバックも不要だ」と言ったら、型式認定認可がおりませんよね。

逆に、ノーリスク論者のように、「少しでもリスクがあるうちは、運用はまかりならん」なんて言っていたら、科学技術は一歩も進化しません。

ですから、工学系の専門家は、「必ず事故は起きる」ことを大前提にして、最小限リスクにとどめるために各種の安全措置を講じます。

ところが、マスメディアの記者たちのように、悪い意味での文科系の人たちは、これが許せません。

「絶対安全」というありえないことを要求し、少しでも「事故の可能性はあります」などといえば、今回の沖タイのように待ってましたとばかりに、「事故容認」と書き立てます。

こんなオールオアナッシング的考えは、安全工学を知らない人が言うことです。

まったく困った人たちです。繰り返しますが、「事故はあり得る」のです。

だから事故は確率論で考えるべきで、そのための指標として事故率があるのです。事故率とは事故回数を10万飛行時間で割ったものです。

この10万飛行時間は、同機種トータルしたものです。またグラフ右隅にある「クラスA」とは、被害金額が200万ドル、もしくはしほぺう、全身不随などを引き起こしたシビアな場合です。

通常は事故率はこの「クラスA」で判断しますが、日本のメディアはオスプレイに限って、「クラスC」といった整備員が翼の上で滑ってころんだような事故までカウントして水ぶくれさせて報じました。そんなにオスプレイが憎いのかぁ(涙)。

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(図 防衛省 図の左端にH53が見え、9番目にはH46が位置するのがわかる)

というのは、H60などは、軍馬扱いなので星の数ほど世界中を飛行していて、まだわずか200機強しか飛んでいないオフプレイとは、単純に事故の回数で比較ができないからです。

こういう言い方をするとエキサイトする人が出るでしょうが、3年間に1機落ちたていどでは、事故率の格段の差がでないために、上図の米軍全機種の事故率の表はそのまま有効です。

むしろ問題なのは、上図の事故率トップにあるH53で、老朽化によって極めて危険な状況だとわかります。CH53は、例の普天間の横にある大学構内に落ちた機体です。

米軍はこれを早く交替させたかったこともあって、安全のためにオスプレイの配備を急いだといういきさつもあります。それも、反基地運動家にかかると「強行配備」だそうです(ため息)。

どうしてこう悪く悪く解釈するんでしょうか。

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(写真 オスプレイ配備は「沖縄差別だ」と叫ぶ琉球新報 2013年1月23日。こんな「沖縄差別論」はかつてはなかったが、本土の部落解放同盟との交流から教えられたと言われている。このように定義不明の「差別論」が、かえって沖縄問題の解決を遠ざけている)

このように反対運動が、完全なゼロリスクを求めて騒いだケースに、原発問題がありました。どうなったでしょうか。

反対運動される電力会社側は、「いや可能性はゼロではありません」などというと発言すれば、今回の普天間の海兵隊のように、「事故を容認するのか。とんでもない奴らだ」と糾弾されてしまいました。

そのために長年に渡って、「絶対に安全です。隕石が当たる確率より低いくらいです」などという馬鹿丸出しなことを言い出す始末になりました。

結果、原子力ではセキュリティ対策が、かえってなおざりにされてしまったということが、福島事故の遠因になってしまいました。

原発は最悪シナリオを作らなかったために、全電源停止という事態をありえないとして想定していませんでした。

避難訓練もおざなりで、避難計画すら策定されなかったために、福島事故では、もっとも線量が高い地域に逃げ込むということすら起きています。

非常時の情報発信は混乱を極めていて、時にはSPEEDIのように隠蔽されました。この不信が巨大な放射能恐怖の風聞を生み、風評被害を引き起しました。

このような事態を引き起こさないためには、「事故を容認するのか」などという政治利用的発想をしないで、「事故はありえる」ことを前提にせねばなりません。

さて近々、オスプレイの空軍型が横田基地にも配備されます。

空軍型のほうが海兵隊型より事故率は高いのですが、横田では「東京差別だ」などという声は、今のところ共産党からも上がっていないようです。 

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日曜写真館 ダークトーンのクレマチス

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やはり、私の写真のマイブームというものはあるもので、今は花です。その前は、風景で、その前は湖でしたっけね。

なかなか人物にはいかないのですが、写真好きには二派あるみたいで、ポートレート派と風景派です。

風景派には、街角派というオットロシイ人たちがいて、何気ない街角の風景を切り取ってきます。

なかには、絶対私かシャッターを押せないものもあって、よくまぁこういうものを撮るよ、と毎回感心というか、呆れています。

あの人たちは、裏通りのフツーの民家なんかも撮るわけで、私はさすがに撮れません。

ところで私は、写真というのは<追い込む>ものだと思っています。

写真の構図技法という便利なものに頼らずに、この風景のいちはん美しい場所や時間を探っていくことです。

技法は色々ありますよね。やれ、三分割法だとか、黄金分割法だとか、三角なんじゃらとか、日の丸構図は禁止ですよとか。

これで画面をまとめれば絶対にハズさないですよ、というものばかりだそうです。

はい、ごたぶんに漏れず私もやりました。ファインダー上の三分割線にやたらめったらこだわった時期もあります。

しかし、意味ないですね(笑)。

理由、つまんないもん。みんな幕の内弁当になるんだもん。私が撮らなくても、誰でも同じになるんだもん。

ですから、今はファインダーから分割線を追い出して、勝手気ままに撮っています。

あ、ちなみに私、ファインダー派です。

液晶で見るのは、姿勢がイヤダ。手を伸ばして液晶を覗くのはカッコ悪いぞ。あんな格好せねばならないのは、確認するときだけで十分です。

そもそも撮るものに対して距離があるというか、ぜんぜん迫れない感じかします。

さて、先ほど言った<追い込む>というのは、その対象がいちばん綺麗に、できうれば隠れた美しさがかいま見れる場所、時間、光線の加減を追い求めることです。

今は実験的に、露出をできるだけ落して撮っています。

そのうち気が変わるでしょうか、今はたまたま、アンダーの時期で、とことん<花と暗闇>をテーマ(←てなもんではありませんが)にしています。

これ以上落すと真っ黒になる寸止めで、花を闇から救い出して、浮き上がらせようとしています。(←てなもんか。あくまで私の勝手な気持ちね)

初夏に似つかわしくない、さわやかさゼロの花の絵になっていますので、ご勘弁ください。

そうそう、昨日の扉絵は、まったく普通に撮っています。あれをアンダーで撮ったら、バチ当たりです。


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土曜雑感 翁長氏のパーフォーマンス政治の行く末は県民投票か

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翁長氏の砂利条例いについて産経が昨日こんな記事を出しています。 

「沖縄県が事業者として昨年1月に完成させた久米島町の「儀間(ぎま)ダム」の建設工事で、鹿児島県・奄美大島の砕石を使用していたことが11日、分かった。沖縄県の翁長雄志(おなが・たけし)知事は防衛省の米軍普天間飛行場(宜野湾(ぎのわん)市)の名護市辺野古移設で県外土砂の搬入を規制し、内閣府の那覇空港第2滑走路建設でも県外石材の使用を認めない方針だが、国と県の事業での「二重基準」が明らかとなった。
 儀間ダムは平成19年12月に着工し、昨年1月に工事が完了。同2月から運用試験を続けている。
 県によると、儀間ダム建設工事は約48万立方メートルの土砂や石灰岩を使い、そのうち奄美大島の砕石は5%に当たる2万3千立方メートルを充てた。奄美大島の砕石は最大で4センチ程度のもので22年ごろに搬入されたという。
 儀間ダムは昨年中に供用を開始する予定だったが、運用試験が遅れており、まだ供用は始まっていない」(産経6月12日)

たぶん、沖タイ、琉新は完全にスルーするでしょうから、アップしておきます。

久米島ではもう県外土砂を使っていたということで、一回撤去しますか。県外アリがいたらキケンだもんね(笑)。 

翁長氏陣営は、「那覇空港拡張工事は大きめの砂利を使って洗浄も簡単だが、辺野古のほうは細かい砂だから洗えまい、わ、はは、参ったか」、ということのようです。

いい大人がやる「戦い」ではありません。

Photo(写真 県政というのは谷も経済振興や、社会環境の整備、県民の健康など、いくらでもやることはあるはずだが、このの人にかかると、「移設反対だけが県政の柱」なのだそうだ。ワンイッシュ政治の極だ)

いちおう建前としては、「外来生物の混入による生態系の混乱」で、アリなどを想定しているとのことです。

通常、「外来生物」とは、侵入された環境において在来種を駆逐して支配的になる可能性がある侵略的な種を指します。

私は霞ヶ浦の再生運動にも取り組んできましたが、寡聞にして国内の他地域のアリまで対象にしているとは知りませんでした。そのうち、県外石材に付着する土壌微生物とか、いいそうですね(笑)。

そこまでこだわるなら、海外の外来種のほうがもっと危ないわけですから、沖縄を訪れる観光客は、一回靴も服も全部脱がせて、殺菌チェンバーで殺菌してから入島してもらうことにしたほうがよさそうです。

ついでに航空機も、一回消防車で消毒液を高圧噴射しないとね。もちろん米軍機もですよ。

コンテナ船もお願いします。コンテナも一個一個洗ってね。

とまぁ、アリまで言うなら、もうなんでもアリで、島環境が大事なら、そこまでテッテイ的にやって下さい。観光客もコンテナ船も来なくなるだろうけど。

とまぁ、このように、常に環境保全のための防疫措置は、現実とのバランスを見ながら判断するのです。

現実には、埋め立ての土砂にアリがついていても、水没したら死にます。

土砂を県内産にするなら、大量の土砂を産地の本部(もとぶ)から搬送する必要がありますが、大型ダンプが狭い県道を毎日走るほうが危険なのではないかしらね。

環境権だけ特出してはダメで、現実の経済や安全保障、社会に与える影響などをバランスさせてやるものなのですよ。

条例なんかを作って一律に規制すること自体が間違いです。一回作ったら法的拘束力を持つので、ほんとうに脅威をもたらす対象のみをターゲットにすべきなのです。

まぁ誰もがそう思っているでしょうが、急に翁長氏がエコになったというわけではなく、「オレはこんなに戦っているんだぞ」ということをアピールしたい単なる政治的パフォーマンスです。

ただし、こんないかれた条例を政治目的だけていったん作ると、その後に県の海上土木は大打撃を受けますから、経済界はどうするつもりなんでしょうね。

さて、この後ですが、このような展開になると思われます。

まず、16日開催の県議会で土砂条例を成立させ、同条例に基づき埋め立てのサボタージュに入ります。

次に、仲井真弘多前知事の埋め立て許可承認手続きを検証していると称する第3者委員会に、許可取り消しを提言させます。

これでとりあえず、いいかげんでもなんでも法的根拠ができたとして、その次は地裁に工事差し止め仮処分を求めます。

E26f2ac7ffc38649caf608a43cccde8c(写真 大飯原発差し止め訴訟。夢よもう一度。那覇地裁に樋口さんみたいな人がいてくれぇ)

那覇地裁に福井地裁の樋口裁判長のようなぶっ飛んだトンチキがいれば、案外勝訴するかもしれません。

Plt1502150006p2(写真 与那国の陸自配備住民投票。公職選挙法に規定されないので、未成年でも外国人でも一票が与えられた)

翁長氏陣営が負けた場合とるのか、埋め立ての是非を問う県民投票です。今の県内の「民意」だと翁長氏が勝利する可能性は高いでしょう。

これにはなんの法的拘束力もないのですが、そうとうに大きな影響を与えることは間違いないでしょう。その場合、事実上の断念に追い込まれる可能性もあります。

ただし、逆に翁長氏か負けた場合は、今度は反対運動のほうが、これ以上打つ手がなくなります。

さて、翁長氏はこのダイスを転がすでしょうか。

ただし、そのことは本土政府は折り込み済みなはずで、どのような対処をするのか、いずれにしてもこの秋が決戦です。

本来、政治とは、より良い解決を求めて試行錯誤することの中から生れます。

こういう案もあるかな、こうしたらどうだろう、というやりとりから新たな解決案が生れることがあります。

6eae7b69(写真 稲嶺「反戦市長」。ともかく陸上でも海上でもダメなものはダメだそうだから、交渉も話しあいの余地もない。代案もなにもいらない。ともかく反対。こうなるともはや信仰対象か、イデオロギーである)

私は埋め立て案至上主義者ではありません。むしろ、止めてほしいと願っています。

ただ、今のような代替案なき反対は、普天間に固定化するしか選択肢かなくなりますから、それはないだろうと思っているだけです。

代案としてシュアブ、あるいはハンセンの敷地内陸上案(いわゆる「小川案」)もあり得ると常々考えてきました。

こうすれば、海を埋め立てるという必要もなくなります。陸上案に反対して埋め立て案を提案した島袋前市長が落選したので、その可能性が薄く点滅したのですが、やはり省みられることはありませんでした。

現実にはロバのように頑固な稲嶺名護市長と、今までのいかなる県知事より柔軟性を欠いた翁長知事のコンビで、大局は進んでしまっています。

私は翁長氏に、旧来の革新陣営と保守をまとめきり、従来と一味違う現実的解決で事態を打開することを期待したのですが、まったく期待はずれでした。

彼はただのアジテーターで、沖縄ナショナリズムを鼓吹するだけかえって、今までの革新知事以上に危険なナショナリストにすぎませんでした。

県民投票で反対が勝利したら、国と県で現実的代替案を練る場を、なんらかの形で作るしかないでしょうね。

稲嶺氏が乗らないのは分かりきっていますが、翁長氏までが乗ってこないなら、もはや処置なしで、普天間固定が完成です。

ただし、それまで翁長氏が汚職で逮捕されるか、リコールされなければの話ですが。

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翁長氏の縁故資本主義とUSJ沖縄

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派手な訪米パーフォーマンスは不発でしたが、翁長氏にとって痛くもかゆくもないようです。 

その影で着々と、翁長氏の経済界支配が進んでいるからです。 

「沖縄県工業連合会は10日、那覇市内のホテルで定時総会・理事会を開き、新会長に金秀アルミ工業取締役副会長の呉屋守章氏(64)を選出した。呉屋氏は「工業連合会は幅広い産業に多くの会員を抱え、ものづくりや雇用創出に大きな役割を果たしている。会員の協力を得ながら、一層の発展に努力していきたい」と抱負を述べた。
新たな副会長にざまみダンボール社長の座間味勲氏(62)、
沖縄電力取締役離島カンパニー離島事業部長の島袋清人氏(51)が選ばれた。前会長の湧川昌秀氏(沖縄ガス顧問)は顧問に就任。4人の副会長、専務理事は再任された」
(沖縄タイムス 2015年6月11日)
 

工業連合会の新会長になった呉屋守章氏は、いうまでもなく、翁長選挙戦の選対本部長を務めたあの呉屋守將氏の兄弟です。 

Okinawa_chiji_1(写真 翁長氏の当選風景 右手に呉屋氏、ひとりおいて有名な左翼運動家の糸数慶子氏。なんとも不気味な光景。これを「オール沖縄」と呼ぶらしい)

呉屋守將氏が総帥の座に座る金秀グループの副会長で、金秀アルミの社長をしています。 

露骨な論功報償人事の第5弾で、まさに縁故資本主義そのものです。 

第1弾は、知事選選対の大幹部である平良朝敬氏を沖縄コンベンションビューロー(OCVC)の会長に指名して、沖縄観光業界の元締めに仕立て上げました。 

第2弾は、選対本部長の金秀・呉屋氏に、巨額の振興予算が投入される予定のMICE(会議・研修・催事の大型複合施設)の利権を与えました。 

第3弾は、(時系列的にはこれか最初ですが)沖縄都市モノレール(第3セクター)の社長に金秀バイオ副会長の美里義雅氏。 

第4弾は、沖縄物産公社社長には、翁長陣営の重鎮で、落選したものの沖縄市市長選に出馬した島袋芳敬氏に与えました。 

ところで、縁故資本主義(crony capitalism)とは、一体なんでしょうか。 

現在の中国で、典型的な縁故資本主義を見ることができます。 

これが発生する風土の絶対条件は、閉鎖的な言論空間です。

新聞などのマスメディアは権力の代弁者となってしまっていて、お仕着せの官製の情報しか一般人は接することが出来ません。 

中国では、言論は徹底した管理下に置かれて自由な報道が不可能なために、市民は画一的な情報しか知りません。 

次に、権力者が既得権益を分配する権力を一手に握ってしまっていることです。

いちおう形だけは検討委員会があっても、それは上辺だけで、実際はその人選まで権力者が支配するために、権力者が思うままに権益を投げ与えることが可能です。

権力者は自分に密接した関係を持つ者のみを取り立てて、そのビジネスを支援し、それを太らせることで、自分もまたそのキックバックに預かることで、なおいっそう強大になっていくことができます。 

このような権力者は、たとえば行政が出す外郭団体のポストの分配、法的許認可、優遇税制措置等の配分を、自分の息のかかった者にのみに独占的に与えることで、経済全体を支配しようとします。 

さらに進むと、中国などでは、資源の分配、貿易上の便益、法律の改正、新規投資分野まで、権力者が自由自在に「臣下」たちに与えて独占させてしまっています。 

このようなことをした場合、確実に亡国の道を歩みます。

以上の徴候は、現在の沖縄に露骨に現れてこようとしています。 

第1の、管理された言論空間は、まさに今の沖縄そのものです。沖縄タイムス、琉球新報はまさに翁長氏の「官報」となってしまっています。

同じことが別の知事によってなされたら一面トップで叩くことも、すべてが知らぬ存ぜぬ、よらしむべし、知らしむべからずとはかりにスルーしてしまいます。 

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私はこの2紙の「偏向」うんぬんを言うつもりはありません。左翼リベラル新聞はあってもいいのです。

ただし、必ずバランスする保守系メディアも必要です。ちょうど朝日・東京と読売・産経の関係です。

沖縄は電波メディアも含めて、完全に左翼メディアが一元支配してしまっています。そして全国紙はほぼ存在しません。このような県は他にありません。

したがって、この地元2紙が翁長党「官報」と化して、翁長党にとって不利益な報道はまったくしません。

このメディアの黙殺の影で、翁長氏は堂々と外郭団体人事や、MICE候補地選定、観光ビュロー、工業会の会長ポストを金秀とかりゆしグループに独占的に配分しているというわけです。 

そして、このような縁故資本主義の腐敗した温床の中に、政府は新たな巨大な投資物件を投入しようとしています。

Photo(写真 名護誘致を喜ぶ稲嶺「反戦市長」翁長知事の一の子分である。この人物を市長にしたてあげたのが、市長時代の翁長氏。彼は本土政府を「日本政府」と呼んではばからない。気分はもう独立国のようだ)

これがUSJ沖縄です。

「米映画テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」(大阪市)の沖縄進出計画をめぐり、政府が本部町の国営海洋博公園の指定管理をUSJの運営会社に担わせることを検討していることが22日、複数の関係者の話で分かった。
海洋博公園の国有地や施設を活用したUSJのテーマパーク建設・運営を政府が全面支援する。国営公園の建築制限の規制緩和や金融支援に向けて国家戦略特区として指定することを官邸主導で検討しており、今月末に政府高官が沖縄入りして現地視察する。
 USJの運営会社が、市場規模の限られた島しょ県でのテーマパーク事業の採算性を慎重に検討する中で、観光客に人気が高い「沖縄美ら海水族館」と一体となったテーマパークを運営することで集客の相乗効果を期待。政府として国有地を提供することで初期投資を抑えることにもつなげる意向とみられる。
(略)
菅義偉官房長官は22日午後の会見で「沖縄の振興策の中で、できることはすべて国としては支援していきたいという思いの中で、さまざまなことが検討されている」と述べ、国家戦略特区の指定による規制緩和などの検討を示唆した。
 USJ運営会社のグレン・ガンペル最高経営責任者(CEO)は3月に「東京ディズニーランドや大阪のUSJは下回るが、大規模になる。映画やテレビ番組をテーマにしたパークではない。沖縄の場所に合う物をつくる」と構想を明らかにした。これを受けて官邸で面談した菅官房長官は「政府もしっかりと支援したい」と語っていた」(琉球新報2015年5月23日)

既に、5月30日、政府の和泉洋人首相補佐官ら、テーマパーク建設の有力候補地となっている本部町の海洋博公園を視察しています。 

As20150530003145_comm(写真 海洋博公園を視察する和泉洋人首相補佐官、森毅USJ執行役員、安慶田副知事。安慶田副知事は、那覇市議会の翁長党のボスで、なんの行政経験もないのに副知事に抜擢された。翁長氏の側用人として権勢を誇っている。後方は美ら海水族館)

これには、USJ運営会社の森岡毅執行役員(マーケティング本部長)と、翁長知事の側近中の側近安慶田光男副知事が同行しています。 

これで、大型テーマパークを作る、国、県、USJの三者が出揃いました。

「視察後、森岡氏は『沖縄の観光をどうダイナミックに変えられるか検討している。国、県の情熱もひしひしと感じており、結論を出していく最終フェーズにきている』と述べ、近く進出地を正式に表明することを示唆した。
 和泉補佐官は『国営公園なのでさまざまな規制が絡んでくる。建ぺい率規制とか、美ら海財団が行っている管理をこなす場合の手続きとか課題はある』と述べた上で、『沖縄全体の発展にプラスになるのであれば規制改革を検討したい』とUSJによる海洋博公園の管理・運営に向けた条件整備へ意欲を示した。
 安慶田副知事も「USJが沖縄に進出するなら歓迎したいし、国も便宜を図ってほしい」と期待感を示し、沖縄の国家戦略特区を使って国営公園の規制緩和を図る対応について「国と相談して、うまく進出できるような形で取り組めればいい」と語った」(同)

おそらく、政府はかねてからあったアベノミックス第3の矢である規制緩和や新規投資分野の一環としてUSJを位置づけているはずです。

また、移設絶対反対を唱える翁長氏を軟化させたい政治的色気も、透けて見えます。

しかし、このような翁長氏の縁故資本主義の腐臭の中、今、それを正さずに巨大投資をした場合、またもや同じ翁長氏の「臣下」たちだけが甘い汁を吸うことは目に見えています。

このような陰鬱な沖縄の空気の中で、風穴がひとつ開きました。翁長氏が強引に市長時代にやった龍柱建設事業に、会計検査院の検査が入ります。

事業の完成前に検査が入るのはきわめて異例で、会計鑑査院が問題視しているのがわかります。

検査で不正が指摘された場合には、一括交付金の返還もありえます。それを正すのは、市の予算から計上される1億円が未執行の今しかありません。

縁故資本主義の「官報」が、どのようにこれを伝えるか見物です。

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米軍専用だろうが、共用だろうが、面積だけ較べても意味がない

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(昨日からの続きです) 

翁長氏陣営が「沖縄差別」の根拠数字として掲げる「74%」は、実態にそぐわないことを見てきました。

ではもうひとつの数字に、ご存じのように、「22%」という数字もあります。これは日米共用も含めた負担割合の数字です。

これは沖縄県も知っています。

●「沖縄の米軍及び自衛隊基地(統計資料集)平成26年3月/沖縄県
(オ)米軍施設・区域の全国比
・全国の米 軍 施 設 ・ 区 域 :132施設 1,027,153千㎡
・本土の米 軍 施 設 ・ 区 域 :99施設  795,393千㎡
・沖縄の米 軍 施 設 ・ 区 域 :33施設  231,761千㎡
・全国に占める本県の比 率  : 25.0%  22.6%

では、こちらこそが「正しい」のでしょうか?私はそうも思いません。

というのは、こちらの日米共用の数字もまた、<面積による比較>という呪縛から自由ではないからです。

私は、米軍専用であるか共用であるか、その面積が広いか狭いかなどという議論は、本質から離れた議論だと思っています。

日米共用で取ると、米軍基地面積比率は北海道のほうが上回ってしまいますが、その実態は、大阪市の4分の3もあるだだっ広い矢臼別演習場があるからです。実態はこんなもんで、実にのどかなもんです。 

2105(写真 矢臼別演習場。総面積約16,800haにも及ぶ。 自衛隊では最大規模の演習場で、大阪市の4分の3に相当する面積である。米軍も共同使用する) 

一方、沖縄全体の基地面積は、231平方キロで、ほとんどが米軍専用ですが、その33%は、北部訓練場というただのジャングルにすぎません。

この中でマリーンのお兄さんたちが、泣きながら泥まみれになっています。

01northarntrainingarea(写真 沖縄北部訓練場。ひとことでいえばただの山。米軍がジャングル戦の訓練をしている)

矢臼別演習場のほうがより「広い」から重要で、沖縄北部訓練場はより「狭い」から意味がないというのは、やはり変な議論ですね。

ましてや、この北部訓練場は確かに広くて米軍専用ですが、横須賀軍港よりも「広い」から重要だといったら、大笑いになります。そんな訳がありません。

しかし、現実に、翁長陣営はそのような言い方をしているわけで、、これは明らかにおかしいでしょう。

このように経済性が薄い土地を比較して、しかも、基地の本質である軍事的役割を見ないで、オレは74%だ、いや22%だと言い合ってもまったく無意味です。
 
ほんとうに比較するなら、その基地や施設の果たしている軍事的機能を比較検討するべきです。
 
というわけて、昨日はお退屈様でしたが、長々と世界最大の艦隊の母港である横須賀軍港と、その艦載機のための厚木飛行場についてみてみました。
 
この両基地と佐世保軍港、三沢基地こそが、日本でもっとも重要な米軍基地であり、したがって日米安保の真の大黒柱だということを、多少実感いただけましたでしょうか。
 
さて、これで終わりではありません。国道16号沿いの狭いエリアには、この巨大基地の臓器とでもいうべき支援施設群がたくさんあります。
 
米原子力空母を修理するドックは世界で4カ所しかありませんが、そのうち2カ所は米国内、そしてあとの2カ所は日本にのみ存在します。   

これは横須賀第6ドックと佐世保第4ドックですが、大和級巨大戦艦を建造したドックですので、世界中探しても米本国と日本以外にこのようなドック自体が存在しません。 

Photo_4(写真 横須賀第6ドックで修理される米空母キティホーク。このような巨艦を修理できるのは、海外ではここ横須賀と佐世保だけ) 

佐世保は艦船の電子装備の修繕において、米本土以上に優れた能力を有していますし、横須賀もまた、米本土以上の船体メンテナンスが可能であると言われています。  

米国防総省が自らが「ペンタゴン最大のオイルターミナル」と呼んだ、在日米軍燃料タンク施設は、鶴見、佐世保、八戸にあります。  

神奈川県鶴見貯油施設、小柴貯油施設には、国防総省管内のうち米本土まで含めて第2位の備蓄量で、第3位は佐世保、八戸(航空燃料)と合わせると、実に1107万バレルを備蓄しています。  

01_big(写真 鶴見貯油施設。米軍最大のオイルターミナルである。国民の大部分はこんなものがあることすら知らない)

これは第7艦隊全体の10回分の満タン量に相当し、米海軍は日本の高い技術力と、本土に蓄えられた燃料・弾薬、装備に支えられて初めて展開可能なのです。
 

また、横須賀軍港に隣接した浦郷弾薬庫は、日本最大の弾薬庫で、嘉手納と辺野古弾薬庫の備蓄量を凌いでいます。  

110801perry1(写真 沖合いの錨地に停泊した弾薬補給艦マシュー・ペリーから降ろされた弾薬を積んで浦郷弾薬庫に向かう大型バージ) 

横浜ノースドックは、横浜港の一角にあり、米陸軍の専用埠頭になっています。  

朝鮮戦争、ベトナム戦争時代にはフル稼働し、相模補給廠で修理された戦車や装甲車が毎日、戦地に送られました。  

いまはグアムから海軍補給センターが移転してきたり、沖縄における砲撃演習が東・北富士演習演習場に移動したために、その玄関口になっています。 

Ndphoto(写真横浜 ノースドック。陸軍関係の補給物資はここで陸揚げされる。現在は海軍補給センターも移転して同居している)  

その他に、第7艦隊のための情報を収集する上瀬谷、深谷の通信基地があります。 

ちなみに、これら支援施設は米軍単独の施設ですので、、こんな小さな施設のみしか「米軍基地」として計算されないことになります。

485427_863877_misc(写真 上瀬谷、深谷の通信基地。返還予定になっている) 

米軍施設ではありませんが、横浜港の本牧埠頭は、湾岸戦争の以前から、米軍物資の輸送コンテナを取り扱っています。  

湾岸戦争時には、相模補給廠から出たコンテナ便が本牧埠頭経由で、ペルシャ湾まで送られています。  

沖縄と違って、軍事物資の輸送手段は本土では日本の民間業者のトレーラーが担っているために、沖縄の国道58号のように、海兵隊の軍用トラックが頻繁に行き交うような風景は見られません。  

おそらく国道16号を走る米軍事物資の輸送量は、沖縄をはるかに凌ぐはずですが、沖縄のほうは迷彩色の軍用車両 で運んでいますから、やたら目立つだけです。 

沖縄米軍は、もう少し県民感情に気を使うべきだと思いますが、弾薬や大砲も同様で沖縄では軍用車両が搬送しています。

たとえば、国道で海兵隊が無神経に105ミリ砲をハンビーで牽引して移動したりしていますから、それを見るたびに県民は「74%」神話をかみしめ、観光客で行った本土人も「基地沖縄」をかいま見た気になります。

As20150605004907_comm(写真 宜野座を走る軍用車両。私もアツギの少年だったのでわかるが、だいたい子供はミリタリー・メカが好きである。胸が潰れる気分になるのは親のほう。本土では民間がやっているので、このような風景はない)

一方本土では、たとえば広島の秋月弾薬廠から弾薬を、神奈川の浦郷弾薬庫、厚木、座間、横田に搬送される場合、すべて民間の業者が行なっています。  

さて、ここまで読まれて、私が沖縄の基地群より、質量ともにはるかに大きいものを、米軍がこの国道16個号沿線の一角の狭い集積しているのがお分かりになったことと思います。 

実は、これでも、まだリストの半分にすぎません。これに米陸軍と空軍関係がこれに上乗せ;されるからです。  

簡単に書いておきます。  

キャンプ座間は相模総合補給廠に隣接し、在日米陸軍司令部の置かれる基地です。有事には、応援部隊の司令部になります。 020919sgm (写真 相模総合補給廠。倉庫からキャンプセットのコンテナが引き出されてコンテナ輸送される。今は民間業者が請け負っているので外眼には分からない) 

国道16号を東京に越えて20キロ、約1時間ほどの距離に米空軍横田基地があります。  

Yokota120605g798(写真 米空軍横田基地。有事にはここに、大量の空軍機が米本土から飛来して満杯になる。空軍型オスプレイも常駐する予定。) 

横田基地を説明しだすと長くなるので、別の機会にしますが、ここにも空軍型のオスプレイが配備される予定です。

オスプレイが配備されるのは「沖縄差別」があるからじゃありませんよ、琉球新報さん(笑)。

この横田基地には在日米軍司令部と国連軍後方司令部が置いてあります。 

国連軍司令部があるということは、すでに日本は集団的自衛権を行使していることになりますが、野党の方はお忘れのようです。 

それはさておき、通常はC130中型輸送機と、オスプレイ(予定)ていどしか置いてありませんが、横田基地の真の意味は有事に発揮されます。 

それは、有事において米本土から大挙して飛来する大量の空軍機(おそらくは500機を越える)を受け入れるのが、この横田基地と沖縄の嘉手納だからです。 

ちなみに横田は日米共用で、嘉手納は米軍専用ですので、ここの横田も「74%」にはカウントされません。

さてこれまで見てきたように、神奈川県と東京都には米軍司令部機能と、その海外最大の軍事拠点が存在しています。 

質的には、沖縄は本店がある神奈川・東京のいわば「支店」にすぎません。普天間飛行場に至っては「出張場」程度の重要度です。

ですから、現時点で沖縄基地がなくなれば、米軍は非常に困るでしょうが、長期的には沖縄には一部の部隊を残して撤収することになると思います。 

ただ、それが中国が狂ったような軍事膨張している、「今」ではないことです。 

今回は神奈川と東京のみを検証しましたが、この他にも本土には、佐世保軍港、岩国飛行場、三沢飛行場など、重要な施設が目白押しです。 

これらの米軍施設は、日米安保の前提が「日米共同防衛」のために、共同使用が前提なために、多くは「74%」というマジック数字にカウントされないにすぎません。 

この事実を、沖縄県民は、子供の時からまったくといっていいほど教えられてきていませんでした。これでバランスの取れた認識が得られるはずがありません。 

このように「0.6%の土地に74%の基地が乗っている」という表現は、うそではありませんが、ほんとうのことは何も伝えていないという印象操作にすぎないのです。

0.6%という沖縄県の全国に占める比率も、本土の場合、東京都と神奈川県に股かっていて、その上、国道16号線の西側60キロの南北に密集しているために、比較が困難です。

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あえて比較するなら、たとえば100キロ半径で見るしかありません。

やってみないとわかりませんが、その場合、沖縄と神奈川・東京の国道16号沿線は量的には互角、質的には16号のほうがはるかに重要度が高いと言えると思います。

それを今回の菅-翁長会談では、なんと菅氏のほうからその誤ったプロパガンダ゙数字を大前提にして会談してしまっています。

「菅官房長官:政府としては国土面積の1%に満たない沖縄県に約74%の米軍基地が集中していることについて、沖縄県民に大きなご負担をお願いしていることについて重く受け止めている。
翁長知事:沖縄は全国の面積のたった0・6%に74%の米軍専用施設が置かれ、まさしく戦後70年間、日本の安全保障を支えてきた自負もありますし、無念さもあることはあるんですよね」(沖タイ4月6日)

こういう会話を読むと、心底うんざりします。いいかげん、沖縄県民と本土政府は、共に「74%」神話という思考停止モードから離れて頂きたいものです。

追記。横田は、「74%」にカウントされます。横須賀軍港、佐世保軍港、岩国飛行場、三沢飛行場も、すべて「74%」にカウントされます。
防衛省は、便宜上(計算や仕分けの困難さ)から、これらを「米軍専用基地」に含んで計算しています。

 

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「0.6%の土地に74%の米軍基地」というトリック数字

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けんすけ氏という人から、以下のコメントをもらっていますので、お答えしておきます。 

「北海道の共同施設を含めると確かに比率は下がりますが、運用の性質が違い過ぎるので、一般的な負担比率を考える場合には73.8%が正しいのは明確です。しっかり勉強した上でこのような投稿をして下さいね」 

ちっとも「明確」ではありませんので、しっかり答えておきます。 

この「74%」という数字は、毎回毎回、よく飽きないなと思うほど繰り返される沖縄の左翼運動家の皆さんの常套句です。 

74%といえば、実際には「全部の米軍基地は沖縄にある」ということです。「1%にも満たない土地に、在日米軍基地の全部を押しつけている」と言いたいわけです。

極端な印象操作ですが、これが沖縄では「定説」になっていています。

本土政府も沖縄となるとまるで腰が引けていて、管官房長官は、翁長氏に面と分かってそう言われても、反論しませんから、まるで政府が追認した形になってしまっています。

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(写真 不毛だった管-翁長会談。翁長氏の演説会を管氏が拝聴していた)

なるほど、これは数字の取り方次第では一面の真実です。ただし、「嘘は言っていないが、ほんとうのことも何も言っていない」という類の「真実」にすぎません。

しかし,あまりにショッキングな数字なので、私たち本土の人間も、それを言われると沖縄の過剰な負担に深く同情して、なんとかせねばと思います。

そこまではいいのです。沖縄の米軍基地は縮小されるべきだし、負担は軽減されるべきです。それに反対する本土の人間はひとりもいません。

だがこれにおっ被せるようにして、「本土はまったく負担していない。沖縄差別をうけている」とまで言われると、おいおい、いい加減にしないかと思ってしまいます。

それは、本土の負担をまったく見ないで、「自分たちだけが苦しんでいる絶対的被害者だ」という被害者意識が根源にあります。

Cdetu_9umaaqtbs(琉球新報 2015.4.26 )

何度書いても糠に釘のようですが、厚木基地の真横で育ち、沖縄を第2の故郷とする私としては、やはり私もあきらめずに書いていかねばなりません。

まず、けんすけ氏という方は、「運用の性質が違い過ぎるので、一般的な負担比率を考える場合には73.8%が正しいのは明確」というのは、意味自体がよくわかりません。 

北海道は演習地が大面積だというのは、記事の中でも考慮していますし、そのような演習地は沖縄の北部訓練場の大面積も一緒の「運用の性格」です。 

この北部訓練場があるために、非常に広大な面積があるような錯覚をしていますが、行ってみればわかりますが、あそこは地元も使いようがないただのジャングルです。 

一体北海道の原野と、沖縄のジャングル、このどこが「運用の性格が違う」のでしょうか? 

たしかに「運用の性格」というならば違います。 

では、神奈川県から東京に伸びる国道16号線沿いにある基地群を見てみることにします。 

B0104568_12184070(図 赤線が国道16号線。このうち基地が集中しているのは、神奈川県横須賀から、東京都青梅市までの範囲)

下のGoogle Earthも合わせてご覧ください。

衛星写真を見ると、右下の第7艦隊司令部の置かれる横須賀基地から米空軍横田基地まで、直線距離でわずか約60km、国道16号線ルートで車で2~3時間といったところです。 

ヘリで飛べば20分といったところです。このわずか60キロの範囲内に米軍の重要施設がギッシリ詰まっています。 

Photo
比較のために、沖縄本島もoogle Earthで見ます。 

沖縄本島の縦の長さは106キロですから、沖縄の半分以下の距離に神奈川・東京の基地群が密集しているのか、お分かりになるだろうと思います。 

ちなみに、「0.6%」という計算の仕方もトリックです。

なぜなら、たしかに沖縄は全国比率で0.6%の土地にすぎませんが、神奈川県と東京の16号エリアに視点を絞れば、沖縄を上回る米軍基地の負担度だとわかります。

神奈川、東京にまたがっているから数値的に低くなるだけにすぎず、実態としては沖縄に優るとも劣らない重要な米軍基地を引き受けています。

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では、国道16号の起点である横須賀軍港から検討してみるとします。 

たしかに、沖縄とは「運用の性格」がまったく違います。

しかしそれは、このコメント氏が思っているのと真逆で、沖縄の基地より、神奈川・東京の基地のほうが、米軍にとって比較にならないほど重要だからです。 

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(図 防衛省HP)

 神奈川・東京の米軍基地群には、在日米軍中枢と、その指揮司令部機能の大部分が存在しています。

これら米軍基地群は、すべてが米軍基地ネットワークの中で相互に連携し合っており、、「ひとつの基地」として機能しているために、普天間よりも移設は難しいでしょう。

この米軍基地ネットワークの中心にいるのが、横須賀軍港と厚木飛行場のふたつです。

横須賀海軍基地(自衛隊共用)

 

Us_navy_090610n9565d019_sailors_man(写真 横須賀海軍施設に入港したUSSジョージ・ワシントン。横須賀はこの原子力空母の母港である。Wikipedia)

横須賀に司令部を置く第7艦隊は、東はハワイから西はアフリカ喜望峰まで、インド洋と太平洋西半分という、実に地球半分を担当範囲としています。 

原子力空母ジョージ・ワシントンを中心として米海軍艦艇11隻が、ここを母港にしています。 

そしてこの第7艦隊こそが、米軍最大の攻撃力であり、かつ、海外に唯一母港を置いているのは、ここ横須賀軍港以外にありません。 

これとワンセットになっているのが、米海軍厚木基地です。 

●米海軍厚木航空施設(自衛隊共用) 

80_big(写真 厚木基地。人家の密集地帯にあるのがわかる。ただし、離発着コース直下は、防衛施設庁によって無人地帯に整備されている。普天間は米軍政下で日本の航空法が適用されなかったために、直下も人家が密集してしまった。ちなみに、私はこの厚木の真横で育った)

厚木基地は、空母ジョージ・ワシントンの艦載機80余機のホームベースです。
 

占領軍時代から、多くの墜落事故を引き起こしており、今も、第3次爆音訴訟に5000人余が原告として参加しています。 

神奈川県には、1年で4000件を越える苦情が寄せられていて、軍用機の飛ぶ飛行ルートの関係で騒音問題に悩まされている自治体の合計人口は、沖縄県の人口140万の約2倍の280万人ていどだと言われています。 

また、沖縄と同じように、厚木基地周辺では、過去には米軍機の爆音、墜落事故、部品落下などの事故は日常茶飯事でした。 

神奈川県での米軍機墜落事件も何件も発生しており、これまで11人の民間人が亡くなっています。  

かつて横浜市で痛ましい住宅地への墜落事故が起きて、家族が巻き込まれたこともありました。 

そのために、基地周辺の地主が日本政府に対して土地の買い上げを求めた結果、政府も被害の重大性を認め、2度に渡って土地の買い上げを行っています。   

そして大和市、綾瀬市の基地周辺の262戸が1970年までに集団移転しています。  

普天間飛行場もそれが可能ならするべきでした。進入路にあたる数キロを買い上げて、無人化するべきだったと思います。しかし、さまざまな理由でそれができませんでした。 

そのひとつ理由は、反基地運動の人達が間違いなく「買い上げ阻止・普天間基地撤去」という反対運動の標的にするのが目に見えていたからです。 

米兵の犯罪についても、神奈川は沖縄についで2番目です。1989年から2010年にかけての米軍人の刑法犯検挙数は県別で沖縄の1035件に次いで2番目が、神奈川県の444件でした。

まだまだ検証は続くのですが、長くなりましたので明日に回します。

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翁長版「順法闘争」第2弾 今度は土砂条例

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翁長陣営は、工事差し止め仮処分訴訟から始まる法律や条例を使った「順法闘争」て「戦う翁長県政」をアピールし、最終的には移設の是非を問う県民投票で決着を狙っているように見ます。

「順法闘争」とは、70年安保闘争前後に動力車労組(現JR総連)が行なった、法律を過剰に拡大解釈をすることで、違法目的な闘争に利用する戦術のことです。

合法に片足を突っ込みながら、違法まがいの行為をする脱法ハーブのようなもので、対応が難しく、それ故、大変にタチが悪いものです。

2cf81086(写真 動労にスローガンを書きなぐられた電車。順法闘争中はこのような電車が走り回り、ダイヤはメチャクチャになり、国民にたえがたい苦痛を与えた。そのために大規模な反国労・動労暴動まで起きることになり、結果、労働運動は衰退していくことになる。※http://blog.livedoor.jp/archon_x/archives/5618957.html

その翁長版「順法闘争」第1弾として、工事フェンスの係留ブロックにケチをつけたものの、あえなく不発。 

性懲りもなくまたもや第2弾です。今回は、なんと埋め立ての土砂にケチをつけてきました。

「名護市辺野古沿岸部の埋め立てに使う県外からの土砂の搬入規制条例案で、県議会与党会派は、土砂の採取地ごとに届け出を提出させる制度を導入する方針で最終調整に入った。県議会6月定例会に条例案を提出する。可決されれば、沖縄防衛局は少なくとも7件を超える搬入届を提出し、県側のチェックを受けなければならなくなる。
 防衛局は県外7地区からの土砂搬入を想定しているが、与党会派は「地区」をさらに分割し、採取地ごとに特定外来生物などの外来種を混入させない具体的な対策を盛り込んだ計画案を提出させる方針。県環境部を中心に、防衛局が示した混入対策の実効性や土砂採取地の選定方法の妥当性などを「厳格に」(与党県議)精査する。
 条例案には、新基地建設を「あらゆる手法を駆使して阻止する」と公言している翁長雄志知事を側面支援する狙いがあり、与党会派が検討を進めていた。
 辺野古沿岸部の埋め立てに使用するため県外から持ち込まれる土砂は、過去最大の規模。島しょ地域である沖縄の生態系を脅かす外来種の混入が懸念されている。防衛局は「現時点で外来種の特定は困難」として具体的な混入対策を示していない」(沖縄タイムス5月28日)

よくもまぁ、熱はないかと確かめたくなるようなバカ条例を考えたものです。 

これは、移設工事で使う大量の県外土砂を持ち込ませないようにする条例ですが、どうやら本気のようです。 

「与党5会派でつくる政策会議のメンバーが県執行部や専門家と調整を進めており、国が新基地本体工事の着工時期とした「夏ごろ」に間に合わせるため、早ければ4月以降に臨時会、遅くとも6月定例会で議員提案、制定する考え」(産経6月8日) 

土砂の半分の1700立米は県外のものを搬送しています。これに外来生物の検査を課すということです。

「規制の在り方は罰則を伴う「制限」となるか、搬入を県に届け出る「申請」になるかなど具体的な内容は検討中という」(産経 同) 

すごいですね、外来といっても海外ではなく国内ですよ。

私は霞ヶ浦の外来生物駆除活動をしていましたが、生態学的には厳密にいえば、隣の区でも「外来」には違いありませんが、通常はそこまで求めません。

なぜなら、現実性がなく観念的になってしまうからです。

ですから「外来生物」とは、あくまでも海外からの渡来した生物、それも侵略的外来種、あるいは特定外来生物を指すことが一般的です。
外来種について[外来生物法] - 環境省

沖縄ならば、侵略的外来種の典型はうじゃうじゃいるマングースです。マングースを放置し、土砂を調べるとは、アホか

53520101048604(写真 沖縄北部のマングース。ハブ駆除目的で導入されたが、いまはハブには見向きもせずに絶滅危惧種の在来種の天敵と化している)

土砂の中に特定外来生物がいる可能性は非常に低いため、まさに拡大解釈、為にするケチつけも極まれりです。
沖縄県におけるマングース の移入と現状について - 一般社団法人 沖縄 . 

これは条例という以上、何も今回の辺野古移設工事が特別とするわけにはいきませんから、すべての県内海上土木工事に適用されることになります。

ところで、辺野古だけが埋め立て工事だと勘違いしている、本土の人も多いのですがとんでもありません。 

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辺野古は160hですが、これ以上の埋め立てなど本島ではいくらでもあります。特に今、発着が過密で緊急に必要とされている那覇空港拡張工事が注目されています。

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    ●沖縄県大規模海上土木工事

・川田干潟        ・・・390h
・那覇軍港移設     ・・・340h
・糸満干潟        ・・・300h
・泡瀬干潟埋め立て  ・・・187h
・那覇空港第2滑走路 ・・・150h
・与根干潟        ・・・160h
・辺野古移設       ・・・160h
・与那原海岸       ・・・142h
 

●沖縄の埋め立てと埋め立て計画
http://www.ne.jp/asahi/awase/save/jp/data/higatagenjyou/  

・.塩屋湾外海埋め立て(大宜見村)
・.屋我地島沖人工島(名護市)
・.羽地内海埋め立て(名護市)
・.東洋一の人工ビーチ(読谷村)
・.那覇軍港移設(浦添市)
・.那覇空港拡張(那覇市)
・.普天間飛行場移設(名護市)
・.泡瀬埋め立て(沖縄市)
・佐敷干潟埋立(佐敷町)
・.新石垣空港(石垣市)
・.小浜架橋(竹富町)
・.西表ユニマット・リゾート計画(竹富町)

このように、辺野古埋め立て以上の事業はかなりあり、沖縄はその狭隘な地形のために、知られざる埋め立てが盛んな県として全国7位なのです。

「沖縄県の面積は2012年10月2日~13年10月1日の1年間で0・08平方キロ増加し、2276・72平方キロだった。公有水面の埋め立てによる増加で、全国で7番目に大きかった」(琉球新報2014年2月2日

このうち、那覇軍港移設埋め立て事業と第2滑走路が、那覇市長時代の翁長氏の仕事ですが、今回、土砂条例を作った場合、自分で自分のやったことを妨害する矛盾した結果になってしまいます。

「翁長氏側近の安慶田(あげだ)光男副知事が県担当者に「辺野古移設を阻止するため第2滑走路の県外石材の活用は認めるべきではない」と指示していたことも判明。
辺野古移設阻止とてんびんにかけていることが鮮明となり、政府高官は「政治目的で行政判断をゆがめることは許されない」と指摘する」(産経 同)

この馬鹿げた土砂条例を実行すると、第2滑走路の2020年東京オリンピックに合わせた、運用開始は絶望的になりかねません。

というのは、今までの県との話し合いで、県が喉から手がでるほど欲しい第2滑走路を、通常の工期7年を大幅に圧縮して、5年10ヶ月にするということが合意されていたからです。

当初、第2滑走路は県内産土砂を使う予定でしたが、量的に不足したために県外産も使用できるように今年の4月に県に計画変更を行なったばかりでした。

特に、冬季は波と風が強いために、これからの夏期で集中的に遅れた工事を取り戻す予定だったようで、この条例はそれを阻む大きな打撃になります。
那覇空港プロジェクト<内閣府沖縄総合事務局>

もし、この条例が成立した場合、対策として土砂の検査・洗浄などを組み込まねばならず、それにかかるコストと時間が膨大なものになると言われています。

間違いなく、建設コストがハネ上がることが予想されます。

ただの政治目的にすぎないこの土砂条例「順法闘争」は、今後の沖縄の経済そのものを揺るがして、浮揚しかけている県経済を冷え込ませかねないものになる可能性がでてきました。

ここにもまた、経済オンチの政治至上主義である翁長陣営の病癖が現れています。

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訪米失敗を総括しない翁長陣営 

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翁長氏が帰国して、100人余の県民が迎えたと地元紙は報じています。ありがたいものです、コアなファンというものは。 

訪米の間に県民の利益に反する利権バラ撒きをやっても、何も見ずに盲目的について来てくれるのですから。 

さて、翁長氏は、「国と国との関係なので、中堅どころが『わかりました』と言うわけにはいかず、結論的には良い形にならなかった。だが、これだけ話をさせてもらったのは大きな結果だ」(朝日6月5日)と言っています。

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なぁに言ってんだか。「中堅」ていどしか会ってくれないということ自体が、米国の冷徹な回答なのですよ。

まるで次に行けば、もっと大物が会って「移設は止めましょう」と言ってくれるさ、とでもいうような口ぶりです。

ならば、次には大統領や長官にでも会えますか。政治的発言とはいえ、こういう総括をしているかぎり、翁長沖縄は必ず何度も「負け」続けることが宿命づけられています。

ほんとうに、哀しいほどの県内限定キャラです。夜郎自大は、県内だけにしておきなさい。みっともない。

そもそも、交渉の資格ホルダーでもないのに、「宗主国」詣でをすれば、どうなるのか、初めからわかりきった話です。

こういう地元紙の報道ぶりを見ると、今回のマスメディアのひいきの引き倒し報道が、逆に翁長氏の「交渉」不調の原因に転化していることに、まったく気がついていないようです。 

As20150529001204_comm(写真 翁長氏と握手するシャーツ議員。頼みにいった翁長氏のほうが無愛想にふんぞりかえっている、という不思議な写真。米国には笑顔を見せると、沖縄に帰れなくなると思っているみたいだ。朝日新聞) 

ハワイでのブライアン・シャーツ上院議員との面談後の沖タイ記事です。 

「名護市辺野古の新基地建設について、シャーツ氏は「沖縄のメッセージは明確に受け取った。日米両政府が計画を覆すか分からないが、私のできることに全力を尽くす」と沖縄の立場に理解を見せた。会談後、翁長氏は『私の話を真摯(しんし)に聞き、力強い言葉を頂いた』と議員の姿勢を歓迎した。(略)
シャーツ氏は上院歳出委員会で国防予算担当の小委員会に所属。問題がこじれていることに「直接聞くのは初めてで、書籍などを通して自分の考えてきたこととは違うものだった」と指摘し、「安全保障は地元のサポートが必要で、それがなければ普通はうまくいかない」と沖縄が反対する計画を強行することに懸念を示した。さらに「国防総省のどのレベルで意思決定しているかを早急に調べたい。沖縄と日米両政府が話し合うべきだ」と協力に前向きな姿勢を見せた。」(沖タイ5月30日)
 

この沖タイの記事だけ読むと、まるでシャーツ議員が、翁長氏の頼みを引き受けて「全力を尽くす」、さらには「移設 計画の再調査必要だ」とまで言っているようにしか読めません。 

しかもこのシャーツ氏は上院歳出委員会の国防予算小委員会だといいますから、これだけ読めば、まるで国防計画に強い影響力を持つシャーツ議員が翁長応援団に廻ったように聞こえてしまいます。

ため息が出ますね。この新聞に客観報道をしてくれとはいまさら頼みませんが、このような記事を配信してしまえば、ピリピリしている米国国務省筋がどのように身構えるかと、まったく考えなかったようです。 

翁長氏は前述した帰国メッセージの中で言うように、「国と国との関係なので、中堅どころが『わかりました』と言うわけにはいか」ないことは知り尽くしていたはずてす。 

さすがに,本土政府ならいくらでもため口を叩ける翁長氏も、米国相手になると、正面玄関から行ったのでは確実に一蹴される、と思っていたわけです。 

だから翁長氏陣営は、徹底して相手に、有利な言葉を出させて、その切れっ端をつかまえて、「ほら、米国議会有力議員はこう言ったぞ」という言質にし、自らの戦果とする戦術を立てていました。 

これは本土政府との交渉材料というよりも、ただの県民向けのパーフォーマンスにすぎなかったはずですが、それを大本営発表よろしくブチあげたのが、地元紙です。 

このような報道ぶりに朝日や毎日という本土の翁長応援団も追随し、ついにはロイターまでもが世界に配信してしまいました。 

たまげたのは当人のシャーツ氏です。軽いリップサービスのつもりだった外交辞令が、どのように増幅されて世界に発信されたのか知って、仰天したことでしょう。 

シャーツ氏は、慌てて報道を否定する声明文をだす始末です。 

Original(図 朝日新聞5月30日)

このやりとりをしっかり観察していたのは、これからワシントン上陸を迎撃せねばならない米国国務省と国防総省です。

翁長氏ときたら、「ヘノコ移転ソーシ」のシュプレッヒコールを上げながら、マスコミの大部隊を引き連れて上陸してくるんですから,まったくもう・・・(笑)。これで警戒されないと思っているのかね。

やるなら、平安山(へんざん)氏でも先に送って根回ししてからやれよ。

つまり、地元紙が翁長の「成果」を、県民向けに持ち上げれば持ち上げるほど国務省のガードは固まっていったわけです。

ほんと、井の中の蛙の連中が揃いも揃ったもんです。

国際交渉をしたいのなら、相手の動きを見てから交渉しろよ。緒戦で警戒させてどうする、ワシントンに着く前に投了しちまうだろう、と思わずアドバイスを送りたくなります。

ワシントンの国務省は、このような日本メディアの恣意的報道を封じるために、あらかじめ声明文まで作って待っていました。 

当然のこととして、これは異例です。琉球新報は怒ってこんなことを書いています。

「沖縄県知事の訪米要請行動はこれまで、西銘順治、大田昌秀、稲嶺恵一、仲井真弘多の4氏が計15回実施しており、翁長氏の訪米は16回目となった。今回、国務省が知事訪米で初めて声明を出したことは翁長知事の発言を警戒し、異例な対応を取ったことを鮮明にした」(琉球新報6月4日)。

これは、翁長氏の訪米が、今までの県知事と違って、外務省のサポートをまったく受けていないことを物語っています。

面会の相手も決めない行き当たりばったりの飛び込みツアーだったようで、よく行く気になったね、という内情がわかります。

おそらくは、平安山「駐米沖縄大使」が、奔走したのでしょうが、この人の手腕は国家機関がバックにあってのものだとバレてしまいました。

それはさておき、当該部局の国務省は翁長氏の「次官補を出せ」という図々しい要求を一蹴し、なんの権限もないヤング日本部長を面談させました。 

もちろんヤング氏が言うことはハナっから決まっていて、「日米両政府が共有する揺るぎない約束だ」という定型文を繰り返し、地元紙の印象報道に初めから太い釘を刺したわけです。 

国防総省も、国防副次官補代行という、「副」の「補」の、そのまた「代行」(爆笑)というわけの分からない肩書のアバクロンビー氏を面接させ、こちらのほうは「聞き役に徹した」と言いますから、会ってやっただけ有り難く思え、ということです。 

そして、注目すべきは、会談終了後わずか17分で声明文を配布し、国務省ハーフ戦略広報上級顧問が記者会見をしています。 

ここで注目すべきは、その発信の速さもさることながら、沖縄で定説の如く言われている「新基地」を完全否定したことです。

沖タイも無視するわけにもいかず、渋々と要旨のみを報じています。ただし、稲嶺名護市長のどうでもいい反論も乗せて溜飲を下げていますが。

「会談で、ヤング氏とアバクロンビー氏は、日米両政府は普天間飛行場の代替施設をキャンプ・シュワブに建設する確固たる約束を共有していると強調した。
代替施設は新基地ではなく、日米両政府は現存する基地に機能を加えるものだと指摘した。
米当局は、代替施設建設計画が運用上、政治的、財政的、戦略的な面から普天間飛行場の継続使用を回避する唯一の解決策だと繰り返してきた。代替施設の完成は、地域の同盟を強め、脅威を抑止し、平和と安定を強化する。
両氏は、訓練移転や岩国基地へのKC130空中給油機の移転、西普天間住宅地区の返還など負担軽減にも言及した」(沖タイ6月3日)

また翁長氏が重要と位置づけた国防総省も、このように切り捨てています。翁長氏と面会したパトリック・クローニン上席顧問です。

「アメリカ政府は問題のつまった『パンドラの箱』を開ける余裕はない。何度も決定と再検討が繰り返され、何度も合意された解決済みの政策だからだ」
知事はいったい何を期待しているのか。『我々だけで話をしてあの政策を変えよう』と、アメリカがそんなことを言うわけはない」

Img15147_15060409nkuro_3(写真 クローニン氏。まことに、うちの馬鹿がご迷惑をおかけして、なんともかとも申し訳ございません)

翁長氏のような国際政治のルールも礼儀にも無知なバーバリアンに対する、心底からのうんざり感が伝わってきます。

翁長さん、米国政府が日本政府の頭越しに、「そうか、では移転は止めよう」などと言ったら、その瞬間に日米同盟に亀裂が走りますよ。

そんな常識もわきまえないで,よく与党の県連幹事長なんかやっていましたね。

こんなくだらないパーフォーマンスに巨額の県民の血税を使っていないで、地道な米軍基地縮小に励むことです。

知事にできることはそれぐらいで、それこそがいちばんの「基地のない沖縄」に向けての近道だからです。

ま、と言っても、あなたは骨がらみのポピュリズム政治家だから無理でしょうが。

※お断り 記事中でフォントが大きくなりますが、原因不明です。意味はありません。なんなんでしょうね。きっと古賀茂明氏なら、県庁から妨害があったとでも言うんでしょうかね。
I am not Onaga(笑)。

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安重根と沖縄の「恨」

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今回、翁長知事の「その後」を取り上げてきました。 

それは、この1週間書いてきた通りです。まだ序の口でしょう。これから、本土政府と沖縄革新陣営を両天秤に乗せて、翁長劇場第二幕が切って落されることになります。 

さて、知事になって翁長氏はつまらなくなりましたね。言うことが今まで沖縄革新勢力が言う、「沖縄怨念論」とまったく同じになってしまったのです。

これにはがっかりしました。その精神構造のあり方が、韓国にそっくりだからです。

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安重根の『東洋平和論』という本があります。『安重根自叙伝』(愛知宗教者9条の会訳)として和訳されています。 

安重根の父親である安泰勲は、当時開化派に属する人でした。ですから、その影響下で育った安は、李朝に対しては必ずしも肯定的ではなかったはずです。 

しかし、当時の李王朝は、急速に自壊現象を起こしていました。安一家は、貴族階級である両班(ヤンパン)に属していましたから、その身分制度崩壊の影響をまともに受けてしまいます。 

両班階級というのは、琉球王朝時代の士族にやや似た階層です。読書階級としてのプライドに満ちて、労働を軽蔑し、変革を嫌い、一般庶民をひとつ下の輩だと思っている部分があります。

「生活者などに文字はいらない、オレたちインテリが考え、お前らは手足で動けばいいのだ」という由らしむべし、知らしむべからずといった体質があります。

現代の沖縄のマスメディアにも、その尻尾が残っています。 

それはさておき、安はしかたがなく、士族の商法を手がけますが、ことごとく失敗に終わります。それを彼は、「日本が邪魔したから失敗したのだ」と考えてしまいます。 

ならば逆に成功していたら、安重根という「民族の英雄」は生れなかったのか、ということになりますが、とにもかくにも「悪いのは日本」なのです。 

一般庶民は、そういう発想はなかなかしないものです。

まずは、我が身の不運を呪い、元金の足りなさを愚痴り、才覚の足りなさを泣くかもしれませんが、いきなりすべて「日本が悪い」という飛躍はしないものです。 

ここに安の知識階級としての両班階級の論理飛躍がありますが、当人は気がつきません。 

安はどんどんと、「日本絶対悪玉論」に基づく、「絶対被害者論」にのめり込んでいきます。

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当時の韓国は複雑な状況に置かれていました。 

『世界の中の日清韓関係史』(岡本隆司)を読むと、韓国がその地政学的条件に決定されて、清国、ロシア、日本といった外国勢力によって翻弄されるのがわかります。 

この中で李王朝は、国王高宗がロシア大使館に逃げ込んでしまったように、自己解決能力を完全に失っていました。 

では、この時、安のような指導者層が、「日本が悪い」と言っているだけでなんとかなったのでしょうか。

わけはありません。 なんとか自分の国を強くして、外国に翻弄されないようにするべきです。

たとえば、産業国家になるために拓殖産業を興すとか、外国との不利益をなくすために国際法を学ぶとか、国内の通信、輸送などのインフラ作りをするとか、やることは山ほどあったはずです。

現に、これらは同時期の明治国家がすべてやってきたことです。

しかし安は、自分は永遠に「絶対的被害者」だと思う負の発想から一歩も出ようとしませんでした。

ですから、次の世代に手渡すべき国のあり方、経済のあり方、人と人の望ましい関係などが見えてこないのです。

ひと言で言えば、あるのは日本への怨念だけで、国作りのビジョンがないのです。

国作りのビジョンがない人たちに、当時急がねばならなかった近代国家をつくるのは到底無理です。

近代国家を自力で作らねば、亡国の憂き目に合って、外国の植民地になるしかない、そういう切羽つまった所に当時の韓国はいたのです。

この覚悟も自覚も、安にはありませんでした。あったのは、煮えくり返る恨みを燃料とする、日本の植民地化阻止の決意だけでした。

安重根という人は、関わった人たちが一様に証言するように、「心優しきテロリスト」だったのかもしれません。

あるいは、立場を変えれば、「正義の人」ですらあるのでしょう。

しかし、致命的に彼から脱落していたのは、怨念だけしか持ち合わせていない精神のあり方からは、ほんとうの自由や解放は生れないということです。

つまり安重根は、行き止まりの道に同胞を導いてしまったのです。

安重根がどこで間違ったのか、それを知ることは、今の沖縄にとっても大事だと、私は思っています。 

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日曜写真館 森の造形

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土曜雑感 増補版ゴーヤチャンプルーの作りかた

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今日は土曜日なので固い話しはやめて、朝から、むしょうに食べたくなったゴーヤチャンプルーのことをお話しましょう。 

私はチャンプルーに関してはプロです(←えばることか)。 

ですから、内地に帰ってきて食わされる自称ゴーヤチャンプルーという名の訳の分からないものには、年中怒っています。 

よくあるのは、汁だくゴーヤ入り炒めを、卵でとじたものを「お待たせしました。ゴーヤチャンプルーでございます」などと出されると、星一徹のようにお膳ごとひっくり返したくなります。 

こういう店は、絶対にポークを使いません。ポークのないゴーヤチャンプルーなど、ゴリがいないガレッジセールのようなものです。(最近どうしたんだ。ケンミンショー以外で見ないんで、心配しているぞ) 

あるいは、豆腐を何をトチ狂ったかグチャグチャにしてしまった「豆腐の和え物炒め」まがいにも、許しがたいものがあります。 

島豆腐がないのはしかたがないとしても、豆腐は角が立つくらいの気持ちで炒めてほしいものです。 

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さて、チャンプルーは沖縄が誇るテーゲー料理の帝王ですが、いちおうレシピらしきものが存在します。 

テーゲーでいいのは、その食材にマーミナ(もやし)、タマナー(キャベツ)、ソーミン(そーめん)、いっそ庭のパパヤー(パパイヤ)かナーベラ(へちま)にするのか、という冷蔵庫と財布とのご相談だけで、料理方法には王道があるのです。 

あ、すいません、私がいばることではなかった(笑)。 

よく内地の沖縄居酒屋で出るチャンプルもどきの失敗の原因は、なんと言っても汁で煮てしまうという外道にあります。 

そして、あろうことか卵とじにする愚挙に至っては、怒りすら覚えます。ま、まったくとんでもない間違えです!(←怒りで過呼吸状態) 

チャンプルーの一番の鉄則は、中華鍋をこれでもか、というほどチンチン、ボーボーに焦がすことにあります。 

水滴を垂らせば、瞬時にチュンと言って蒸発するまで炙ります。ですから、当然テフロン加工は、焦げなくて便利ですが適しません。 

次に、よ~く水切りをした豆腐を使います。私は電子レンシで2分ていど加熱して水を出して、中までいったん予熱しています。 

あたりまえですが、豆腐は木綿です。絹豆腐でやったら、グチグチャな代物になること必定です。 

できたら、島豆腐という荒縄でくくって沖縄では売っている(ウソ)堅い豆腐が望ましいのですが、本土で入手は困難でしょうから、せめて水切りくらいしておきましょう。 

島豆腐は、冷や奴向きというより、やはり本領はチャンプルーでしょうね。工程そのものがちがっていて、手にするとズシっと重いのにびっくりします。 

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この水切りをした豆腐を、チンチンに炙られた鍋に投入します。 

シュンっといったら、すかさず軽く塩を振って、ちぎるように一口大に割ります。そして焦げ目がついたら、鍋から出してしまいます。 

メンドーでもいったん出して下さい。一緒にこれから入れるゴーヤやポークなどと炒め合わせると、さすがに島豆腐でもグチャグチャになります。 

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 次に主役のゴーヤを縦半分に割り、スプーンで種を出して半月に切ります。 

苦みがイヤなら水で晒して、と言いたいところですが、苦みがイヤならゴーヤなんか食べなさんな、と言いたいですね。 

「苦み」という、本源的に人間が忌避する味を逆手にとって、夏を乗り切るあくなき挑戦こそが、このゴーヤチャプルーなのです(そんな大層なもんか?)。 

苦みがないふぬけのゴーヤも出回っています、というか、今や、本土で出回っているゴーヤは、苦みがないほうが主流になってしまいました。

まるで自称保守政治家の誰かさんみたいです。いや、ゴーヤに失礼でした。

ああ、私が沖縄で作っていた超苦いゴーヤを喰いたい。 

次にわき役のポークを短冊に切ります。ポークと言われても、豚肉そのままではありません。ポーク缶です。 

正式にはランチョンミート、いわゆるスパム・メールの名の起こりとなったスパム缶です。

最近は本土のスーパーでも売っていて、セブンにも置いてあった時にはさすがびっくりしました。 

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スパムは、米軍が戦後沖縄に大量に持ち込んだ食品で、粗雑な肉を合成保存料、発色剤などとともに固めたという、とんでもない食品です。 

犬缶といい勝負ですが、戦時中にスパムを大量に補給されたイギリス人が、その不味さに厭戦気分になったという噂がある食品です。 

世界一の味オンチのイギリス人が不味さで太鼓判を押したこのスパムは、なぜか沖縄では大好評で受け入れられます。 

ウチナンチューが味オンチだからではなく、たぶんチャンプルーとの相性が抜群だったからに違いありません。 

上京したウチナンチューがまっさきに郷里から送ってもらったのがこのポーク缶で、内地在住のウチナーの間では等量の金と交換されていたと言われています(うそ)。 

きっと、復帰前に本土に留学に行った可愛いかったオナガ少年も、家から送ってもらったことでしょう。 

ちなみに同時期のチューカク派の立て看だらけの法政のキャンパスには、菅少年もいたはずで、ひょっとしたら接近遭遇していたかもしれません。 

もっとも今は、ポークの上をいくストー缶というものが島では全盛だそうですが、私はご勘弁。

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この「ストー」缶とは、沖縄の原音忠実主義でいうビーフシチューのことですが、味はまったく似て持って非なるどころか、縁もゆかりもないものです。

贈答箱の右下に見えるのがポークにぎりです。ハワイの沖縄移民からの逆輸入で、食育に熱心なお母さんには不評でしょうが、ガキは泣きながら食べます。

問答無用で、うまいんだよな、これ。美味しいのは、デンプンと脂肪とはよくいったもんです。

私は、こっそりとポークの下にマヨネーズなど塗っていますが、ああ、医者に怒られそう。

こんなものや、フライドチキンなどを喰いすぎて、島の男共は皆、ポリネシア体型になりつつあるようです。長寿の島は女性だけ。

わが家は、ことポークに関しては、一切の食品安全上の論評を差し控えています。だって、これを使わないと沖縄料理になりませんものね。 

さてもうレシピは最終段階です。豆腐を炒めて出した中華鍋を、ふたたびボーボーと強火で炙ります。 

黒煙があがった頃に、一気にゴーヤ、ポークを投入し、鍋をあおります。くれぐれも炒めすぎないように。せっかくのゴーヤがクタクタになります。 

豆腐を鍋に戻し、大きくかき混ぜます。カッコつけて鍋を煽ると、グチグチャになりますので、ご注意。

最後に軽く塩コショウをして、溶き卵2個分をかけまわします。卵は半熟ていどで火を止めます。

塩コショウはあくまでも軽めに。ポークがけっこう塩辛いので、按配してください。

はい、これで終了。 

皿に盛りつけ、カツオ節をふりかけてどうぞ。好みで、最後に醤油少々を鍋肌にいれて香りつけくらいしてもいいかもしれません。ただし、あくまで醤油は隠し味ていどです。

■写真 ハイビスカス。沖縄ではアカバナー。花言葉は、「常に新しい美」「勇ましさ」「勇敢」「新しい恋」「繊細な美」「上品な美しさ」「華やか」。
上品で繊細?ちょっと違うと思うぞ。
ちなみに黄色でもアカバナー。

 

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翁長訪米は利権隠しのパーフォーマンス

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翁長氏が、訪米先でまったく相手にされていない様子を、本土のマスコミは伝えています。 

ハワイでは州知事から、「それは国と国の問題だ」と正論を諭され、仕方がないのでイヤミったらしくオスプレイの墜落現場を視察し、ワシントンでは希望した次官はおろか、日本部長に「代案を出してみろ」と説教されただけで終わりました。 

とうぜんの結果ですが、「暗中模索のなかから一筋の光が見えてきた」と述べ、移設計画の阻止に向けてアメリカ側の理解は進んだと強調」(NHK6月4日)したそうです。 

やれやれ、自分の立場が空回りしていることに気がつかないで、「一歩前進」みたいな総括の仕方をすると、さらに明後日の方向に飛んでいくことになりますが、初めの一発目から明後日なので、ま、いいか。 

As20150604001343_comml(写真 気持ちよさそうに演説する翁長氏。しかし星条旗を背景にして、まるで米国の政治家みたい。いいのか、支持者の皆さん)

翁長氏は、同じ訪米「外交」をした大田昌秀元知事のような、革新畑に生きてきた学者あがりの人物ではありません。 

国と県のやりとりに数十年関わってきて、裏も表も知り尽くした保守政党の古狸でした。

日米同盟に一介の県知事が介入できないことなど、わざわざワシントンまで行かずとも熟知していたはずです。 

本土のマスコミは、支持団体へのパーフォマンスていどの解説をしていますが、違います。 

翁長氏の真意が分かるのは、彼がいない間に、側近中の側近・安慶田副知事を使ってやらせている一連の論功報償です。 

これらは訪米の直前から、訪米中にかけて行なわれました。 これらの論功報償による利益供与は、チャチなものではありません。 

まず、自分の知事選選対の大幹部である平良氏を沖縄コンベンションビューロー(OCVC)の会長に指名して、沖縄観光業界の元締めに座らせ、方や選対本部長の金秀・呉屋氏には、巨額の進行予算が投入される予定のMICE(会議・研修・催事の大型複合施設)の利権を与えました。 

これらは、おそらくは選挙前からこの二人に論功報酬として示されていたはずで、あの沖タイですらやんわりと批判せざるをえなかったほどの露骨すぎる利益誘導型政治そのものでした。 

Img53e43f92b3d64(写真 経済界同志会とやらの出馬要請を受ける翁長氏。呉屋、平良氏が、ここに当選したらのお願いが乗ってますから、ひとつよろしくと言っているように見えるのが哀しい)

おそらく、こんなド派手な訪米パフォーマンスがなければ、地元紙もそれなりの大きさで取り上げざるを得なかったはずです。 

しかし、訪米パーフォーマンスによって、「戦う県知事」のイメージだけが先行し、平良氏や呉屋氏に対する利権配分は、その影にすっぽりと隠されてしまいました。 

まさにこんな本土マスコミの報道ぶりは、翁長氏の思うつぼだったはずです。 

さて翁長氏は知事選の年2014年1月に、こんなことを朝日新聞に語っています。今読み返しても、なかなか面白いものがあります。 

朝日の記者は、当時まだ自民党の大幹部であった翁長氏の左翼転向を疑って、こう挑発しています。 

「でも、利益誘導こそが沖縄保守の役割なのではないですか」  

「ふん、どうせ翁長さん、あんたの本音は利益誘導なんだろう、どうなんだい」ってわけです。さすが朝日です。いい質問するねぇ(笑)。 

翁長氏は、逆切れして、こんなタンカを切っています。 

「振興策を利益誘導だというなら、お互い覚悟を決めましょうよ。沖縄に経済援助なんかいらない。税制の優遇措置もなくしてください。そのかわり、基地は返してください。国土の面積0.6%の沖縄で在日米軍基地の74%を引き受ける必要は、さらさらない。いったい沖縄が日本に甘えているんですか。それとも日本が沖縄に甘えているんですか」 

コワイ本土の審問官から、お前の真意はこれだろうとズバリ指摘されて、プルプルと頭を振って、「とんでもございません。オレは金なんかいらねぇですだ」と言っている様子が眼に浮かびます。

この人、よく逆切れすることで知られています。訪米中も米戦略国際問題研究所のマイケル・グリーン氏にわざわざ会ってもらったのに、会談後、「知事は反対ばかりしている」と酷評されるとプッツンしました。 

そしてよせばいいのに、グリーンさん相手に、「(日米政府は)作ることしか考えていない認識。お互い様で、それを非難される筋合いではない」と叫んでいます。 

礼儀を知らないな、この人。ここは島でもなければ、相手はワガママを聞いてくれる本土政府でもないんだよ。

とてもじゃないが国際交渉なんかできる器ではないことを、米国にも宣伝してしまうことに気がついていません。 

もう二度と米国政府は彼を、「交渉相手」などと思わないことでしょう。たいした「成果」ですよ、まったく。

島内政局だけで生きてきた男の限界が、今回、無惨なまでに露になりましたね。

それはさておき、何が「沖縄に経済援助なんかいらない。税制の優遇措置もなくしてください」だ、つうの。どの口で言うのか、です。Be66e3ef0dcd46c8c63dba330634cc5b_2翁長さん、あなたの選挙公約自体が、すべて振興予算があってのものでしたし、今や振興予算をせっせと功臣どもに配っているのはどこの誰なんです。 

年間50億もの巨額の振興予算を差配できる沖縄コンベンションビュローの会長職を平良氏に投げ与え、ペンペン草しか生えない塩漬けのマリンタウン東浜に困っていた呉屋氏には、MICEを決めたのは、一体どこの誰なんです。 

すべてあなたが、選挙前から彼らに約束し、おそらくは巨額の選挙資金をもらい受け、そして彼らの企業を選挙マシーンにして、手に掴んだのが知事の椅子だったんじゃありませんか。

ところが早くも、このマリンタウン東浜には、採算度外視ではないか、という疑問が噴出しています。 

「一方、別のデベロッパー幹部も首を傾げる。
『沖縄のMICE施設は、上海や広州、シンガポールなどを相手に国際会議の誘致合戦に晒されるのに、空港から遠く、リゾートに適さない景観のマリンタウンでは誰も来ませんよ。カジノのような集客施設が併設されれば別ですが、翁長県政はカジノ反対を打ち出している。どんな勝算があるのか、理解に苦しみます』」(週刊文春6月4日号)
 

大型MICEは、たぶん採算に合いません。

というのは、単体としてのMICEには、上のデベロッパー氏が言うように海外の競合相手が多く、東浜に振興予算を投じて作ったとしても、大型コンベンション(催事)が入る日以外は、閑古鳥となるのは目に見えているからです。

観光業界にとって、東浜にMICE施設とホテルがポツンと出来ただけではとても通年を通した稼働は見込めません。大赤字を出すのはむしろ常識です。

Photo91914165118642x480(写真 マリンタウン東浜の分譲地チラシより。不動産屋のチラシを読むと、なにもない地域なので、学校と買い物の心配が多いのが分かる)

呉屋氏や平良氏は、MICE自体は第3セクター運営にして、赤字の公的資金投入でも考えているのでしょうか。

近隣にIR(カジノ・催事・会議複合施設)があり、あるいはUSJなどのテーマパークがあってこそ、なんとか立ち行くのです。

しかし、それらを複合させるには、東浜は余りに狭く、なによりアクセス道路すらないのです。

今から道路は作ると翁長氏は説明しているようですが、それは順番が逆です。

ところで、翁長氏はIRに反対を表明しています。たしかに翁長氏はIRを反対しています(※ただし、県はいまだ統合リゾート計画に乗せています)

たぶんこれは、<辺野古移転・空港拡張・IR・USJ>が4点セットとして、仲井真知事時代の本土政府との合意だったことを潰したい、翁長氏の目論見から発しています。

翁長氏からすれば、本土政府が空港・IRだけつまみ食いすることを許さないことを知っていての、IR反対でした。

USJについても管氏の来沖時の会談で、誘致を拒否したということも伝えられています。

ですから、このまま翁長氏が左翼陣営と移設反対を叫び続けるならば、立場上、本土政府としてはIRとUSJを沖縄に持って行くことを断念せざるを得ないことになります。

これは、観光立県・沖縄にとって、そうとうに大きな打撃になるはずです。

この翁長氏の政治優先の経済オンチぶりは、結果として、統合リゾート計画のトータルな連携を解体してしまい、沖縄の首を締めつつあるのです。

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翁長知事の論功報償 MICEを盟友呉屋氏に

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沖縄は今後10年ていどの期間、大型公共建築物とインフラの建設ラッシュ期に突入します。 

その目玉は、昨日書いたように、沖縄県の「総合リゾート計画」に記されていますが、ユニバーサルスタジオ・ジャパン、IR(公営カジノ)、MICE(会議、研修複合施設)、そして南北鉄道です。
※沖縄県  I統合リゾートに関する検討について(PDF:442KB)  

ここに巨額の国費が投じられ、それを巡って例によって例の如く、巨大な利権が発生します。 

したがって、土建業と観光を主力産業とするこの島において、昨年の県知事選の真の争点が「ジュゴンを守れ」などというムード的なものであるはずがありません。 

辺野古移設反対などは、その真の争点から眼を逸らすカモフラージュでしかなかったのです。 

そりゃそうでしょう。辺野古移設を否定してしまったら、普天間に固定化される、それこそが米軍も望むところだ、ということを、「根っからの保守」(←ウソコケ)を自称する翁長氏が知らないはずもないじゃないですか。 

F6237e3d3dc54e9910fb1118e4887054_2(写真 辺野古基金設立記者会見における呉屋氏と翁長氏。呉屋氏は研修と称して現地集会に社員を動員している。「平和運動」のかたわらキャンプシュアブの工事は落札したりして、まったく抜け目がない)

さて、翁長氏は知事になるやいなややったことは、この沖縄のミニ関が原で勝利した股肱の臣たちに論功報償を取らせることでした。 

翁長氏はためらう様子もなく、金とポストを精力的に配りまくりました。 

まず翁長氏は、毎年50億円もの観光予算を扱う沖縄コンベンションビュロー(OCVB)会長職を、翁長氏の選挙対策本部を支えた、かりゆしグループの平良朝敬氏に渡します。

このあまりの露骨な利権人事は、県内観光業界から大いに不評ですが、さすがに見かねたのか、あの沖縄タイムス(5月28日)ですらこう報じたほどです。

「(県人事の)透明性の確保も課題だ。翁長雄志知事の選挙を支えた企業グループからの登用が目立ち『選挙功労』の指摘もくすぶる」
「沖縄都市モノレール社長に、知事選のを支えた金秀グループから美里義雄が内定。
沖縄物産公社の人事には、知事選と同様の枠組みだった昨年4月の沖縄市市長選に出馬した島袋芳敬氏が内定した。
県庁OBのひとりは『2人とも人物としては有能だが、周囲が選挙功労だと見るのは避けられない』と指摘する」

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そして、トドメはやはりこれでした。 

5月22日、翁長県知事は、2万人収容予定の沖縄のMICEを、強引に金秀・呉屋守将氏のホームタウンである東浜(あがりはま)マリンタウンに建設することを発表します。 

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「翁長雄志知事は22日夕、沖縄県庁で記者会見を開き、大型MICE施設の建設地を与那原町、西原町にまたがるマリンタウン東浜地区に決定したと発表した。翁長知事は「MICE施設が東海岸地域全体の振興、県土の均衡ある発展につながる」と語り、リゾートホテルや商業施設が沖縄本島の西海岸に集中する観光インフラの格差是正を期待した」 (沖タイ5月23日 上下2枚も同じ) 

この報道は、県内の関係者に大きな衝撃を与えました。あまりに露骨な論功報償である上に、その立地がMICEにまったく向いていない不適格地なことは明々白々だったからです。 

そもそもMICE施設とは、大型国際会議や企業研修、コンサートなどを行うホールや展示場、ホテルなどを兼ね備えた複合型集客施設群のことです。 

そしてここを訪れる人たちは、海外や、県外だと想定されています。特に、中国からの訪問者を当て込んでいることは明らかです。 

沖縄は島であり、どこからでも県内に入って来れる土地ではないのです。 

すると、この利用者のアクセス・ルートは、ただひとつに限定されます。那覇空港以外にありえません。 

したがって、那覇空港からのアクセスこそが、このMICE選定の絶対的条件でなければならないはずです。 

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実は候補地は、最終的にふたつに絞られていました。ふたつの候補地の条件はこのようなものです。(沖タイ5月28日による。上図も同じ) 

①豊城市豊崎   ・・・15h
・利点        ・・・空港までのアクセスがよい
              リゾート性が高く民間活用が可能
・懸案材料     ・・・那覇空港が近いことによる飛行機の騒音
 

下のGoogle Earthで、豊城市と空港の距離関係を見てみましょう。懸念材料に航空騒音があげられているほどで、まさに空港の隣接地といっていいでしょう。 

Photo_3(写真 豊城。すぐ北に那覇空港が見える。アクセスは言うに及ばず、ホテルも飲み屋もたくさんある。県内関係者も豊城で決まりだとおもっていた。落された理由が分からない)

②マリンタウン東浜・・・13.9h
・利点・・・東西観光格差是正につながる
      周辺地域への経済波及効果
・懸念材料・・・空港までのアクセス道路が整備されておらずアクセスが悪い
・周囲にホテルなどの施設が少ない
 

マリンタウン東浜は、空港からの距離が実に30分です。もはやこれだけで、東浜は候補から除外されるべきでした。 

Photo_6(写真 東浜が中央右端の赤点。那覇空港は真西の左端に見える。わざわざ距離30分をかけて会議に来るとは思えない。しかもアクセス道路もない、宿泊ホテルもない、観光地もない、買い物はスーパーかねひでがあるだけの、ただの空き地。翁長支持、反翁長に関係なく関係者が全員唖然となったという)

 この空港からのアクセス道路の不在という致命的欠陥を、なんと翁長氏はまったく無視して、強引に東浜に決定してしまいました。 

それはこのマリンタウン東浜は、県内でも有名な雑草しか生えない塩漬けの土地で、その管理者が、他ならぬ翁長陣営の選対本部長呉屋氏率いる金秀グループだったから以外に考えられません。 

11(写真 日本共産党の知事選チラシ。沖縄物産公社社長になった島袋氏、MICEを得た呉屋氏の顔が見える。欲の皮がつっぱった呉屋、平良氏を推すのが共産党というのが、「オール沖縄」の姿であることがわかってしまう哀しい一枚http://maesato5688.ti-da.net/e6931959.html

「問題は、2つに絞られていた候補地の中で、翁長知事が今回下した決断だ。デベロッパー幹部が解説する。
『本命とされていたのは、那覇空港から車で15分の豊見城市の豊崎地区でした。しかし、30分以上かかるマリンタウン地区(与那原町・西原町)が選ばれた。知事は『西高東低の格差是正』を強調していますが、知事選の論功行賞でしょう。マリンタウンの埋立地には、翁長氏を支援した金秀グループの大型スーパーやマンションが点在します。しかし、その隣の土地は、企業誘致が進まず塩漬けになっていた。そこにMICE建設が決まったのです』(週刊文春6月4日号)
 

呉屋氏の名前が「守将」、つまりは「将を守る」というのはちょっと出来すぎかもしれませんね。「将を守った」んで、分け前がもらえたというわけです。

ああ、なんと分かりやすい。

長くなりましたので、次回に続けますが、革新陣営の皆さん、これであなたがたは唯一の売り物の「クリーンな政治」とおさらばしてしまいましたね。

 

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基地移設賛成・反対の裏で進行する、統合リゾート計画

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昨年の知事選で、本土、地元を問わず、マスコミがまったく報じなかったことがあります。 

それは、この知事選で選ばれた知事こそが、沖縄における大型建設ラッシュの実権を掌握するとです。 

昨年11月の知事選において、菅官房長官は仲井真氏に::こう言ったといわれています。 

「ユニバーサル・スタジオ・ジャパンを誘致したいと沖縄県が申し入れています。私も関係会社と会ってきました」(森巧『総理の影』sapio 2015・6による) 

少し説明します。 

USJ誘致は、単なる大型テーマパーク施設の誘致だけの問題ではありません。

それは、USJという超弩級の人気テーマパークを中心として、IR(カジノ、会議、研修等の複合施設)やMICE(大型会議・研修・宿泊施設)、そしてそこに集客した観光客を南北に運ぶ本格鉄道などによって構成されています。 

沖縄県は、翁長知事になってこのような「統合リゾートに関する検討」という文書を作っています。
●沖縄県  I統合リゾートに関する検討について(PDF:442KB) 

「沖縄県内では、経済界を中心にカジノの導入を求める意見があり、平成13年には、経済団体が国や県等に対してカジノ導入に関する要請を行いました。
また、平成14年に国が策定した沖縄振興計画においては、質の高い観光・リゾート地の形成に向けた施策展開の中で、「沖縄観光をさらに魅力的なものにするため、夜間や、雨天時及び季節を問わず楽しめるショービジネスをはじめとした多様なエンターテイメントづくりを促進する。」と定められました。
沖縄県では当該計画に基づく取組の一環として、その当時国際観光におけるグローバルスタンダードになりつつあり、時間、天候、季節を問わず楽しめる新たな観光資源としてカジノ・エンターテイメントに着目しました」

ここには、はっきりとカジノ(IR)が、沖縄の「統合リゾート計画」の中心になると記されています。

現在、候補地として、北海道(:小樽・苫小牧)、千葉(幕張沖人工島)、 東京(お台場)、神奈川(山下埠頭)、大阪:(夢洲)、 長崎(ハウステンボス周辺)、 宮崎(:シーガイア)、沖縄(浦添市の米軍キャンプキンザー? 名護市のネオパークオキナワ?)などが候補に上がっているそうです。

政府はこれらの中から3ヶ所に絞る方針と伝えられています。

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(写真 大阪カジノ予想図・間違って沖縄コンベンションセンターの画像を掲載してしまいましたので、差し替えさせていただいます。もうしわけありません。ご指摘ありがとうございます)

さて、この「統合リゾート」の目玉はもうひとつあります。それがMICEです。
 

同じくこの県のレポートには、こうあります。

「平成22年度には、国会の超党派議員で構成される国際観光産業振興議員連盟での議論の進展を踏まえ、日本における統合リゾートが民設民営型になるとの前提で、「沖縄統合リゾートモデル」を検証し、ターゲットによるバリエーションとして、ビジネス層を中心とするMICE誘致型とファミリー層を中心とするアミューズメント・リゾート型を設定するとともに、それぞれに、立地によるバリエーションとして、郊外リゾート型と周辺施設連携型のモデルを設定し、計4つのモデルからなる「沖縄統合リゾートモデル」を再構築しました。また、各モデルごとに経済効果を試算し、アミューズメント・リゾートの郊外リゾート型が最も効果の高いモデルとなりました」

つまり、ファミリー層には郊外型アミューズメントとしてUSJを、ビジネス層には那覇から近いMICEを、そして外国人観光客にはカジノを想定しているわけです。 

そしてそのために、今まで貧弱な空港施設しかなかった那覇空港に第2滑走路を増設し、さらに鉄道がなかった本島に南北鉄道を建設するという計画までも付帯しています。 

身も蓋もない言い方をすれば、この最大のターゲットは中国人観光客です。

だから、翁長氏氏は就任早々の「宗主国挨拶」で、尖閣と辺野古移設阻止を貢ぎ物にして、福建-那覇航空路を実現したかったのです。 

中国人観光客を福建-那覇空路で呼び込み、USJで存分に遊んでもらった後に、カジノで金を落させ、返還跡地のイオン・モールなどの大型ショピングモールで爆買いをさせた後に、さらに南北鉄道でやんばるの海洋博記念公園にまで足を伸ばして一泊してもらう、というところでしょうか。 

言うまでもありませんが、こんな構想は、県が独自に作れるものではなく、政府が構想段階からバックアップしています。 

菅氏の構想は、これに具体的担保を与えていました。 

菅氏は13年8月の盆休みに、お忍びで沖縄を家族「観光」しています。そのとき、名護のホテルで秘かに会ったのが仲井真氏でした。 

その時、仲井真氏と同席したメンツが、なかなか興味深いものがあります。 

まずは国場幸一氏です。沖縄でこの人の名を知らないものはいないでしょう。県内最大手ゼネコンの「国場組」の社長にして、県商工会議所連合会会長です。

下図の県内建設業ランキングをみると、1位が一族から国場幸之助氏を議員に送り出す国場組、第3位に呉屋氏の金秀、第8位に下地幹郎氏(鳩山政権閣僚)の大米建設が入っています。

また第2位沖電工と10位の 沖縄プラント工業は沖縄電力関係で、仲井真氏の地盤でした。

沖縄の建設業と政界との強い結びつきが分かります。

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この国場一族を語りだすと、そのまま沖縄戦後史になるといわれるような一族の、目下の頭領だと思えばいいでしょう。

Photo(写真 国場幸一氏)

これに「琉球放送のナベツネ」こと小禄邦夫氏でした。 

Photo_2 (写真 小禄氏。もうなんだか、そのあのモノスゴイ迫力。眼があっただけで謝っちゃいそう)

小禄氏は、仲井真氏と共に「ウェルコム沖縄」を立ち上げて、離島のデジタル化を進めた間柄で、当時総務大臣だった菅氏とその時に接点を持ったとされています。 

この菅・仲井真・国場・小禄の四者会談で、菅氏が提示したのが、例の「進行予算3460億円という法外な振興予算でした。 

ヤボな説明は不要でしょう。もちろん移設の見返りです。 

この振興予算は1671億円の一括交付金を含んでおり、これは沖縄県が何にでも使えるという予算です。 

これをUSJやカジノの誘致、あるいはMICEに当てて、さらに公共事業費1417億円で南北鉄道建設に当てたらたらどうなのか、というのが菅氏の腹案であったと思われます。 

これは空約束ではなく、後に上京した仲井真氏に対して満額回答を与えて、その時に仲井真氏が吐いたとされる「有史以来の予算。基地関係も前に進む予感があって、いい正月になる」という言葉でした。

この慎重な仲井真氏とも思えない不用意な言葉は、地元2紙に揚げ足を取られて、「金で沖縄を売った仲井真」というキャンペーンを張られることになります。

このような大型計画が目白押しの中で、経済界の中で仲井真降ろしの旗を振ったのが、かねてから仲井真憎しを公言していた「かりゆしグループ」の平良氏であり、国場組の下請けの苦渋を呑まされてきて、国場にはひとかたならぬ恨みを抱く金秀の呉屋氏でした。

この両人は、このまま進行すれば、この巨大利権は、国場組を中心とする親自民党勢力に独占されると危惧しました。

これを仲井真ごとぶっ潰し、翁長氏を知事にすることで、自らで独占するというのが、彼らの目論んだ下克上の絵図でした。

かくして、彼らは翁長王朝を夢想する野心家・翁長氏を御輿に乗せて走り出すことになります。

「辺野古の美しい海」がどうたらなどという台詞は、恥部を隠すイチジクの葉でしかないことが、少しお分かりいただけたでしょうか。

長くなりましたので、次回に続けます。

※USJがUFJになっていました。すいません。銀行かって。行ってみたいな、大阪のホグワーツ城。

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沖タイも批判 翁長氏の新たな金権腐敗構造の誕生

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翁長氏と稲嶺両氏の訪米恥かき道中はまだ続いているようです。
 

ローカル・ガーバメントのただの首長が、条約締結国を相手に「品格ある安保」を交渉するということの本質的おかしさに、マスコミはまったく触れません。 

ひとこと言ってやればいいのです。あんたら何様。 

さて、翁長氏が気分よく大物気取りで外遊している間に、お膝元に火が廻りつつあります。

つい先日、朝日で言えば天声人語に当たる沖縄タイムス(2015年5月30日 )の名物コラム「大弦小弦」に、こんな仰天する記事が乗っていました。
 

いや仰天する言っても、いつもの赤旗の左をスライスして、東シナ海を中国方向に抜けていくという意味ではなく、あまりに常識溢れるご意見なのでたまげたのです。

「県の外郭団体の人選を見ると、“オール沖縄人事”といえる。必ずしも県内の幅広い層からの起用とはとらえがたく、翁長雄志知事を当選させた「オール沖縄」陣営への選挙功労を色濃く感じる。
沖縄観光コンベンションビューロー会長に県内ホテル大手かりゆしグループの前CEO平良朝敬氏(60)を充てる
人事案に賛否が分かれる 。
観光業界を長年リードする平良氏が観光振興で手腕を発揮する期待がある。一方、知事選で陣頭指揮を執っただけに、論功行賞という批判が出るのは当然だろう。足元のビューロー内部からも批判が挙がっている。同じく知事選を支えた金秀グループからは美里義雅氏(65)が沖縄都市モノレール社長に内定している 。
翁長氏は盟友二人を副知事に据え、政府との対立などに向き合う
県政を船出した。その脈絡で考えると、適材適所はさることながら、経済界を含めて態勢を固めたい考えがあるのだろうか。
今回の知事選は従来の組織
選挙を乗り越え、辺野古に新基地を造らせないという県民の一心が翁長氏の圧勝に導いた。知事選最大の功労者は県民だ。
埋め立て承認取り消しの判断を含め、新基地建設問題は重大な局面を迎えている。大事な時期だけに、
選挙の恩義をポストで返したという疑念が生じる事態は避けるべきで、翁長知事の考えを聞きたい。(与那原良彦)」
(※引用に当たって▲は削除し、句読点を入れました)

初めて沖タイの記事で、そのとおりだと言ってしまいましたよ。沖タイって、その気になれば、フツーの新聞みたいなことも言えるんだぁ。 

翁長氏が帰ってこない間だけだったりして(笑)。

今、翁長知事が沖縄県で現実にやっていることは、辺野古移設反対という「平和運動」の影に隠れた、タダの金権構築にすぎません。 

やっと分かりましたか、沖タイさん。いや、百も承知で翁長氏という「危険人物」を担いだんだったよね。

さて、翁長氏は、訪米などというパーフォーマンスの影に隠れていますが、実は自らのまだ万全とはいえないクーデター政権の、算盤と地盤を金と権力で踏み固めている真っ最中です。 

その第一歩が、沖縄観光コンベンション・ビューロー(OCVB)会長に、県内ホテル業者かりゆしグループの前CEO平良朝敬氏を当てて、しかもJTBとANNの現地協力業者団体代表までやらせるという、観光三権を一手に与えることでした。 

平良氏は、今や本土でも知られるようになったとおり、呉屋氏と並んで知事選の陣頭指揮に立ち、企業ぐるみ選挙で翁長氏を知事に据えた人物です。 

Img53e43f92b3d64(写真 14年11月16日。翁長氏に推薦状を渡す「オナガ英雄志知事を実現する同志会」共同代表の平良氏と呉屋氏。汚いヒゲの若頭風が呉屋氏。芸能プロの社長風が平良氏。どう見ても、この3人、正業に就いている人には見えない)

この平良氏と翁長氏との癒着は、上の写真の知事選より6年前、那覇市長時代にまで遡ります。

翁長氏は、那覇市長自体から龍柱など幾つもの怪しい利益供与をしてきましたが、その最大のものが平良氏のかりゆしグループに対する便宜供与です。

Kariyushi03(写真 かりゆしアーバンリゾート・ナハ。泊港に立つのがわかる)

平良氏は、選挙前の2008年11月、大変な経済的苦境に追い込まれていました。

それは彼の率いるかりゆしグループが、那覇の拠点と位置づけた泊港の「とまりん」に立つ「かりゆしアーバンリゾートナハ」が破綻の危機に追い込まれていたからです。 

その理由は簡単。客が入らないくせに、賃貸料が高かったからです。このアーバンリゾート那覇が立つとまりんは、第3セクターである「泊埠頭開発」が持っていました。 

ね、そもそも第3セクターというところが、大いに匂いますでしょう。

だいたい第3セクターというのは、地方活性化の美名に隠れて、採算度外視、放漫経営をしたあげく破綻しては、法外な金で「民間」に転売したりする隠れ蓑に使われています。 

この「泊埠頭開発」も那覇市が噛んだ泊港再開発のための事業体で、かりゆしグループに賃貸させていたのですが、この賃貸料が高くて破綻すると、平良氏が言い出したわけです。 

そして事実、廃館となって2009年7月の再開までの8カ月間、営業は行なわれていませんでした。 

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かりゆし撤退を受けて、いったんは最高額で入札した三井不動産が落札し、かりゆしを優先交渉権者として交渉しても、なおまだ高いと平良氏はゴネ続けました。 

ここで、「天の声」が降臨します。それが「とまりん再建計画検討委員会」という那覇市がバックにいる再建委員会でした。 

この再建委員会が、三井に権利を放棄させ、かりゆしグループに破格の好条件を提示します。 

まさに、経営破綻の淵にいた平良氏にとってのお釈迦様の蜘蛛の糸です。もちろん、この蜘蛛の糸を垂らしてくれたのは翁長市長でした。 

本来、市民の大事な公的財産である泊埠頭再開発地「とまりん」を、破格な価格で貸借させるという行為自体、背任を疑われてもいたしかたないでしょう。 

平良氏はさぞや随喜の涙に暮れながら、「翁長先生、一生ついていきます!」と叫んだことでありましょう。 

さて、この疑惑に満ちたかりゆし救済劇の背景に、もうひとりの重要な小者が暗躍していました。 

それが、当時「新風会」という翁長党のボス格にして、当時那覇市議会議長をしていた安慶田(あげだ)光男氏です。

2015032401_01_1(写真 14年3月15日、辺野古工事停止を命じる翁長知事と安慶田副知事。赤旗より) 

この安慶田氏は、現在、県副知事にまで成り上がり、なんと観光担当として県の観光行政の県側元締めをしています。 

平良氏が、民間側の観光元締めであるOCVB会長をすれば、利益供与した側の安慶田氏が県側元締めに座っているのですから、なんと分かりやすい癒着構造です。 

この安慶田氏は、翁長氏の腹心で、もっぱら裏工作専門でした。 

安慶田は、「とまりん再建計画検討委員会」という表面的には、有識者と金融機関代表によって構成されているという見かけの裏で、この委員たちにロビイングをかけて、かりゆしグループに有利に事を運んだ、と言われています。

地方政治においてこのような便宜供与がなされた場合、それで得られる利益の約3割前後が、政治家の懐に転がり込むと言われています。

ただし、裏金についてはまったく証拠が残っていませんので、書きようがありませんが、平良氏が翁長党のスポンサーになったことは間違いのないことです。、

ところで、翁長氏は、この前後の時期から、仲井真前知事を葬り、自分が知事になる野心を隠さなくなります。

それは、仲井真氏が高良倉吉琉大教授を副知事に据えたことから、自分こそが仲井真氏の後継であることを疑わなかった翁長氏に、強い疑念が生れたからです。

翁長氏は、当時沖縄政局の天王山と目されていた名護市長選に、安慶田氏に命じて自民党市議団「新風会」14名を送り込みます。

え、保守系名護市長候補だった末松候補に対してとお思いならば、甘い。翁長氏は自民党員でありながら、自民党那覇市議団を安慶田氏の指揮の下に、稲嶺「反戦市長」応援に送り込んだのです。

彼ら自民党内クーデター軍団は、精力的に保守票を切り崩し、今までフィフティ・フィフティと思われていた名護市長選の力関係を、一気に革新有利に導きます。

結果はご承知のとおりです。稲嶺氏勝利の「民意」の流れは、そのままその後の沖縄県知事選に直結しました。

またこの時期、那覇市議団のクーデター軍団は、地元選出国会議員の辺野古容認に抗議し、県連役職を辞任し、知事の辺野古容認に対して批判する那覇市議会意見書と、なんと県知事辞任要求を提出し、可決にまで持ち込んでいます。

こうして、翁長氏とその一党と、それまで共に天を頂かざる仇敵だったはずの左翼陣営との蜜月が始まったのです。

これに驚いた仲井真氏側から、何回か妥協案の提示があったようですが、勝利を確信する翁長氏はこれを全面的にハネつけ、「民意」を掴むことになります。

この流れの中で、平良氏と呉屋氏は、今まで保守支持一枚岩だった沖縄経済界を二分させ「新基地反対」の美名の下に、彼らが新たな沖縄経済界の盟主となる新しい金権構造を作っていくわけです。

このテーマ、続けます。

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翁長・稲嶺両氏の訪米 一体このふたりはどこの国の政治家なのだ?

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翁長・稲嶺両氏の訪米外交は、珍道中で終わったようです。 

まずはハワイで、沖縄出身のよしみに甘えたのか、デービッド・イゲ(伊芸)知事と面談し「情と理で訴えた」(沖タイ)そうですが、イゲ知事からは「国と国の問題。ワシントンに行きなさい」と言われたようです。 

こういう対応を、「好意的一蹴」と呼びます。翁長氏は一体何を期待したのでしょうか。 

イゲ知事は民主党知事で、去年11月の知事選で共和党候補を破っての当選です。父親は442部隊で戦ったという、筋金入りの米国に忠誠を誓った家系の出身です。 

Pn2015053001001158___ci0003(写真 たしかにウチナー顔をしているか、さぞかしイゲ氏は迷惑であったろう。 沖縄県撮影) 

ハワイに移民した沖縄県人移民は排日運動で大変な苦労を重ね、大戦中は日系人だけで組織された442部隊でヨーロッパを転戦し、米軍部隊中最も多い犠牲者と名誉勲章を得ています。

この功績により、排日運動は影を潜め、日系市民は合衆国に名実共に受け入れられたのです。

640px442_regimental_combat_team(写真 ヨーロッパを転戦する日系442部隊。もっとも熾烈な戦場に投入され、多くの犠牲者を出した。彼らの多くは、父母が強制収容所に捕らわれの身だった)

テキサス大隊救出作戦に、包囲された部隊以上の犠牲を払って、彼らを救出した時のエピソードが残っています。 

「救出直後、442部隊とテキサス大隊は抱き合って喜んだが、大隊のバーンズ少佐が軽い気持ちで「ジャップ部隊なのか」と言ったため、第442部隊の少尉が「俺たちはアメリカ陸軍442部隊だ。言い直せ!」と激怒して掴みかかり、少佐は謝罪して敬礼したという逸話が残されている」(Wikipedia) 

この日系兵士の姿は、自らが日本国民であることを、命を捧げることで証明しようとした大戦中の沖縄県民の姿に重なります。 

戦後沖縄では、不幸なことに、勤皇鉄血隊の中学生も、ひめゆり、白梅部隊の女子生徒たちも、いちように「無駄な犬死にをした軍国主義の犠牲者」で一括りにされてしまいました。

D0082324_2135773(写真 鉄血勤皇隊。17歳以下14歳以上の少年で結成されていた。彼らのまぶしていばかりの笑顔をみると涙が止まらない)

鉄血勤皇隊は、沖縄の中学校、実業学校の生徒 1780人が組織され、死者は890人に上り、平均 50.%に達しました。

たとえば、被害の大きかった中学であった県立工業学校は、 94人が参加し、実にうち85人が戦死、死者率 90.4%に達しています。

この事実に向かい合う時、打ちのめされぬ日本人はひとりとしていないでしょう。

だからこそ、大田実海軍少将は最後の電文に、こう記しました。

「本戦闘の末期と沖縄島は実情一木一草焦土と化せん糧食六月一杯を支うるのみなりと謂う。沖縄県民斯く戦えり。県民に対し後世特別の御高配を賜らんことを」

米軍に志願した日系人442部隊と、日本軍を支えて戦った沖縄県民の違いは、たまたま勝者の側にいたか、敗者の側にいたか、という歴史の違いがあるのみです。

勝者と敗者を入れ換えてみましょう。

仮に米国が敗者だった場合、442部隊は「日系人を強制収容した米国の手先になった」として、同胞から糾弾され、戦死者は唾をかけられたかもしれません。

日本が勝者だった場合、鉄血勤皇隊は、「郷土と国家を自己犠牲的に護り抜いた英雄」として後世に語り継がれたことでしょう。

このようにこの両者はその真情において、まったく同一なのです。

すなわら、鉄血勤皇隊は沖縄の442部部隊だったのです。 

そんな父親を持つイゲ氏が、中国に行って、「沖縄は中国の文化と交易が育て、日本は奪うだけ」などなどとゴマすりに余念がない翁長氏と、波長があうはずがありません。 

イゲ知事は、国家がしっかりしてこその地方自治だと思い、方や国家などどうなろうと、自分の支持勢力さえ勝てればいいと思う翁長氏です。

S_r0014980300x225(写真 渡米前に辺野古のテント村で演説する稲嶺市長。この人物は、地元辺野古3地区と一度として対話をもったことはない。彼にとって「現地住民」とはこの外人部隊のようだ)

さらに同行した名護市の稲嶺市長に至っては、さらにひどい。こんな過激な言辞を吐いています。

「移設反対を訴えるため訪米中の翁長英雄志知事に同行している稲嶺氏は、移設作業が続く沖縄の現状について『植民地と言っても過言ではない」』市民団体側に説明した。(略)
また、辺野古
米軍基地前や海上で移設反対派と県警、第11管区海上保安本部衝突している写真を紹介し、「県民同士を対立させ、分断させるのは植民地政策の常套手段だ」と日米両政府を批判した。」(朝日5月31日)

「琉球ナンチャラ独立学会」と同じ、典型的な「沖縄差別論」です。

このような立場にいる限り、本土政府は異民族の「植民地宗主国」なわけで、異民族支配が今でも続いているという認識になります。

したがって沖縄県と名護市は民主主義すらなく、常に官憲の暴力が支配しているのでしょうから、「抑圧民族」と「被抑圧民族」の間には、まともな交渉自体が不可能でしょう。

ならば、ぜひお二人には、「植民地の行政官」を辞任して、共産党、官公労、沖教組などを従えて「植民地解放闘争」を組織されることをお勧めします。

このような過激な言葉を外国で弄ぶ以上、その覚悟がおありなのでしょうね。

稲嶺さん、そんなに自分の住む名護や沖縄県が嫌いなら、「植民地で差別され、官憲に暴力をふるわれ続ける」名護はさぞかしおイヤでしょうから、いっそハワイにでも亡命して、「解放の日」まで二度と名護には帰ってこないほうがいいのではありませんか。

「在ハワイ琉球共和国臨時革命政府」とでもネーミングしますか。おお、なんとリリしい。まるで李承晩みたいだ。思想も似ていますしね。

いや、毎年3000億円という全国一の振興予算をもらいながら(←巨額の支援をもらう植民地とは一体何?語義矛盾だね)、「植民地解放」を叫ぶお二人には、とうてい無理な注文でしょうがね。

こんな外国に行って自国と、自分の地域を悪しざまに言うような、常識も、良識も、大人の見識もないようなふたりと、イゲ知事は明確に、依って立つべき国家観が異なるのです。 

そのような二人が表面的ににこやかに握手しようと、結果は見えていました。

「イゲ氏は在沖縄米海兵隊の約2700人をハワイに移転する在日米軍再編計画を『受け入れたい』と表明した」(毎日5月30日)

沖縄県はこれを「成果」のように発表していますが、そりゃ家族も入れれば5千人以上も消費人口が増えるのですし、そもそも自国軍隊なのですから、歓迎して当然のことです。

反対運動のひとつも、沖縄と「共闘」してくれるとでも思っていましたか(笑)。

この後、懲りない翁長氏は、ワシントンで国務省日本部長と面談したそうです。

国務省日本部長とは、かつてケビン・メア氏がやっていたポジションで、沖縄の反戦・反基地運動家たちの標的にされて、解任されたという因縁の部署です。

さぞかし、対応に当たったラスキー日本部長も、変な言質を取られないように警戒していたことでしょうね。

「県は、米上院の承認が必要で日本の局長級にあたる次官補級との面談を要請していたが、米国防総省と同様に国務省も課長級の日本部長が応じることになった。
 ラスキー氏は米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設ついて『普天間の危険除去を実現する唯一の解決策だ』と述べ、移設計画を推進する立場に変わりはないことを強調した」(琉球新報5月29日)

この移設交渉に対して、日本部長などになんの決定権限もありません。

翁長氏は次官級との面談を求め、副次官補になったと喜んでいたようですが、結局、米政府は最末端の官僚に、定型どおりの答えを言わせただけだったようです。

まぁ、あまりに当然で、ここで米国務省が、「そりゃ大変。沖縄県は反対なんですな。こりゃ移設を根本から練り直しせんといかん」とでも答えてくれるとでも思っていたんでしょうか(爆笑)。

この渡米自体が税金の無駄遣いでしたが、少しは自分の置かれた位置を冷静に見直すきっかけになれば多少はモトがとれるでしょうか。いや、無理でしょうな。 

かくして、翁長・稲嶺両氏の訪米はなんの成果もなく、外国にまで恥をさらしただけの空砲に終わりました。

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