« 元本部町民さんにお答えして 翁長氏の承認取り消し裁判の「次の一手」に注目 | トップページ | 山本太郎議員の抱腹質問 »

行政の裁量権を濫用しているのは翁長氏の方だ

003_2

今回の第三者委員会の「瑕疵あり」という答申は、一体法的には何を意味するんだろう、素朴に考えてしまいました。これは、先の砂利条例の時にも同じです。 

前の行政が決定した裁量を、後の行政が取り消すということを翁長知事はしているわけです。 

まぁ、一種の「革命」みたいなもんです。当然ですが、日本は法治国家なので、ちゃぶ台返しは御法度です。そういう人治主義は、隣の国でやって下さい。 

しかし、翁長氏は県民相手に出来る、やると言っているわけです。

賛成反対は別にして、へー、こういうことが出来るんだというのが、おおかたの国民の感慨じゃないですかね。 

もし法的にできるとしたら、行政法上で争うしかありません。

B8xo5pmcqaafbxf(写真 琉球新報2015年1月27日)

行政訴訟法には行政の裁量権について、こんな一項があります。 

■行政事件訴訟法
(裁量処分の取消し)
30条 行政庁の裁量処分については、裁量権の範囲をこえ又はその濫用があつた場合に限り、裁判所は、その処分を取り消すことができる。 

翁長知事が使っている行政法の根拠はこの条項です。仲井真知事が「行政庁の裁量処分についてその濫用があった」と言いたいわけです。 

しかし、ここで押えておかねばならないのは、この「裁量権の濫用」の判断基準は何かということです。 

何をして、「裁量権の範囲」と定め、何をして「濫用」と呼ぶのか、です。 

公有水面の埋め立ては、法的には「環境保護」という範疇に属します。実は、この環境というジャンルは、憲法上の規定がなく、一種の社会権のように考えられています。 

社会権とは、「基本的人権の一つで、社会を生きていく上で人間が 人間らしく生きるための権利。生存権、教育を受ける権利」とされています。 

はい、また出てきましたね。あの憲法第13条、及び第25条です。困ったときの13条(笑)。 

これは先だっての砂利条例もおなじて、あくまでも前の行政の「裁量権の濫用」に引っかけてやりたいのなら、シンプルに「環境保護」一本槍でいくしかないのです。 

言い換えるなら、「政治」のような不純物を持ちこんじゃダメよ、ということです。さもないと、逆に自分のほうが「行政の裁量権の濫用」を問われかねないからです。 

たとえば、こういう表現をした場合、翁長陣営のほうにブーメランが飛んできます。 

東京新聞7月13日

「沖縄県議会で十三日、米軍普天間(ふてんま)飛行場(宜野湾(ぎのわん)市)の移設先、名護市辺野古(へのこ)沿岸部の埋め立てに使う土砂の県外からの搬入を規制する条例が自民党などを除く賛成多数で可決、成立した。十一月一日に施行される。土砂搬入を無条件で禁じる効力はないが、移設作業に遅れが出る可能性がある。辺野古移設阻止を掲げる翁長雄志(おながたけし)知事を側面支援する狙いだ

つまり、東京新聞は正直にこの砂利条例は「翁長知事への側面支援」という政治目的のために作ったんだ、と告白してしまったことになります。 

正直はいいことですが、アホです。 

おそらくこの東京新聞の記者は、「翁長知事への側面支援」をするために書いたのでしょうが、ブーメランになりました。 

まぁ、この記者が書こうと書くまいと、とっくにみんなが知っていてやっていることなわけですが、翁長氏と沖縄地元紙がしーっ黙っていようね、と黙約していたことを、東京新聞は「王様の耳はロバの耳」とやっちゃったわけです。 

As20150716001102_comml(写真 答申を渡される翁長知事。自分で作って、自分で答申をもらうという一人二役)

さて、ご承知でしょうが、翁長氏が作った第三者委員会のヒアリング内容の要旨か暴露されています。
※辺野古未公表議事録の要旨(産経2015年.7月.20日 )http://www.sankei.com/politics/news/150720/plt1507200004-n1.html 

この第三者委員会はあくまでも知事の私的諮問機関なので、内容は公開されていません。 

こんな重要なことを、まったくの密室でグジャグジャと「私的に」やっていたわけですが、一貫して権職員は瑕疵を認めていません。 

ヒアリングの一幕を覗いてみましょう。 

当真氏「環境保全などで知事が提出した意見をどういう形で検討したか」
職員「5百数十件の意見を出し、意見に対する防衛省の見解ということで全部示されている。知事意見を受けて補正した部分がどうなっているかはすべてチェックした」
当真氏「防衛省の見解をチェックした。それでもう全部OK、500をクリアしたから大丈夫と。そこで出ていないものは問題ないという判断だったのか」
職員「約9カ月、(埋め立て)申請書の内容を詳細に調べ、関係部局にも意見を照会した。意図的にわれわれにミスがあるかのような言い方をされることは心外だ。審査の結果、環境保全上の支障を見つけられなかったというのが現状だ」
【オスプレイ】
桜井氏「オスプレイの騒音は離着陸に加え、訓練時も問題はないか視野に入れていなかったか」
職員「那覇空港第2滑走路建設でも(空港を使用する)自衛隊機が訓練をする場所の騒音は申請書の予測評価に含まれていなかった」
桜井氏「そのとおりだが、県民の観点からそれではいかがなものかなと思う。それは見解の相違なのでそこまでにする」(太字は引用者)

当真氏や桜井氏が、環境保護問題を具体的に詰めているのではないことがわかります。

もし、法的瑕疵を追及したいのなら、この申請された500項目もあるといわれる工事の環境保全項目すべてに対して、委員会の徹底的に再調査がなされるべきです。

しかし、第三者委員会の委員たちはそれを怠っています。というか、そんな事務能力は彼らにありはしないし、依頼者の翁長知事が早く早くとせき立てるので、そんな時間的余裕すらなかったのです。

なんという杜撰さ!呆れたテーゲー!

これに対して、携わった職員たちは、「9か月も専門の職員がかかりきりで精査したのだ。百数十県の質問書を提出している、その結果に基づいた結果だ」と真正面から答えています。

予断をもった委員の質問に対して、職員も負けじと、「意図的にわれわれのミスがあるかのように言われるのは心外だ」とやり返しています。

県職員は県を代表して、県の見解を述べているだけで、それを県の行政責任者であるはずの翁長知事が「私的」に雇った連中に、「ミスがあるだろう」とやられれば誰でも怒りたくもなります。 

さて、このやりとりの最後の部分の桜井氏の発言に、ご注目ください。非を認めない職員に苛立った桜井氏はこう言っています。 

「県民の観点からそれではいかがなものかなと思う」 

馬脚が現れましたね。ここで桜井氏が言う「県民の観点」とは、流行語大賞候補にもなりそうな「民意」と称するものです。 

これについて、桜井氏自身の解説を聞いてみましょう。
※メールマガジンオルタ第133号(2015.1.20)辺野古新基地容認すれば永久基地化 

「名護市長選に始まり、知事選を経て衆院選に至るまで昨年の一連の選挙で繰り返し示された辺野古反対の民意にある。辺野古新基地の建設を容認するならば、沖縄は永久基地化する。それに対して県民は明確にNOという意思表示をしたのだ」 

この辺野古基地を作れば「永久基地化するから、県民がノーいう意思表示をしたのだ」と書いています。 つまり、ここで桜井氏が言う「県民の観点」とは「永久基地化にノーという声」なのです。

これは、環境保護とどのように関係があるのでしょうか?

もちろん関係ないことであって、この委員会でそれを言えば「法的瑕疵」を問うべき委員会の自己否定になってしまうことに気がついたからこそ、桜井氏は慌てて「見解の相違だ」と逃げたのです。

「永久基地化」とは、左翼運動家特有の表現ですが、別に基地は永久にそこにあるわけではありません。 

おそらく、アジア情勢次第で、海兵隊は出て行く可能性が高いのです。今、南シナ海や東シナ海で中国の軍事膨張が激しいために、沖縄に居ざるを得ないというだけの話しです。 

そもそも海兵隊の基地に被せられている「キャンプ〇〇」のキャンプとは、リクレーションのキャンプと一緒で、文字どおり「一時的な駐留場所」を意味しています。 

その意味で、私はこんな一時的駐留場所に大枚の税金を投じて、埋め立てまですることには批判的です。

もっとスマートなやり方は、いくらでもありましたが、こうまでこじれて、政治的対決案件になったために、もう本土政府も後に引けなくなったのです。。 

それはさておき、桜井委員は法的瑕疵ではなく、政治的理由で「いかがなものかと思う」と述べているわけです。 

つまり、翁長氏は政治目的のために、弾三者委員会を作り、それに沿って委員は政治目的の判断を下したことになります。 

これは、誰もが思うとおり翁長氏の「政治行為」であって、「行政の裁量権の逸脱と濫用」を問われるべきは、むしろ翁長氏の方なことを示しています。 

|

« 元本部町民さんにお答えして 翁長氏の承認取り消し裁判の「次の一手」に注目 | トップページ | 山本太郎議員の抱腹質問 »

沖縄問題」カテゴリの記事

コメント

翁長知事が、防衛局に対し海底ボーリング調査などの海上作業の停止指示に対して、防衛局は、翁長知事のこの指示を不当とし、農水省に対し「指示取り消し」の審査請求を求め、林芳正農水大臣はこれを容認。翁長知事の指示効力を停止する、「執行停止」の措置を決定。
行政不服審査の本来の立法の趣旨からすれば、行政不服審査は、公権力から国民を守る為の物。
国家権力が、それを濫用している。
行政行為の取り消しは、ちゃんと理由があれば取り消し可能、ちゃぶ台返しだから御法度なんて法律はない。
通常の契約だってそうだ、重大な瑕疵のある契約が絶対的に有効なんてことはない。
安倍政権こそ、憲法を守らない無法者。
安保法案の強行採決でもそうだ。
憲法より上に、安倍政権があるつもりらしい、人治国家化している。
右寄りの産経新聞の全国世論調査でも、辺野古移設反対が多数の現状、世論は、沖縄の味方ですよ。

投稿: | 2015年7月30日 (木) 10時30分

コメントするならちゃんと整理してしてくださいね。
ただ何でも反対というだけで中身のないコメントは意味がありません。
産経新聞を右寄りというぐらいですから、極左の方のコメントと思いますが無意味な書き込みは迷惑です。

投稿: ちゃぶ台 | 2015年7月30日 (木) 10時50分

もう沖縄県民じゃないので、強くは言えないですが、大丈夫だろーか?議会での自民以外の議員が賛成で可決って、お願いします、県民のこと考えて仕事してくれませんか?条令通したらこれからの公共工事事業が遅れ ますよ 分かってますか?知事の間違いを議会で正さないとどうするんですかね!地元新聞も批判してくれよ。次は国連での演説ですか!本土に住んでる沖縄人のこと考えてくれませんかね〜。 振興予算もゼネコン以外の使い方あるのでわないですか? 農業 畜産 水産 嫌沖縄感情無くそうと勉強したら自身が嫌沖になりそうだよ。

投稿: 元本部町民 | 2015年7月30日 (木) 11時22分

私は地元民ではないので、地元の方が望む政治長が翁長
さんならば、彼のする事に対してナンも言えません。

ただ、現在の状況としては明らかに原理原則に基づか
ない、人気取り・利権取り・エエトコ取りのかつての民主
党政権を彷彿させるものです。放っておくと自滅するの
は目に見えています。

カッコつけだけの法案が通り、特定の新興業者だけ利権
のオイシイ想いをし、中共の軍事圧力は強まり、確実に
現在より一般県民は貧しくなります。本土だって一般人
クラスは実質賃金はわずかながら減っているのが現実な
のです。ゴタゴタの県政で発展できるワケありません。
理想より先にハラが減ってきて、現実に引き戻されると
思います。中共に全てをお任せするのでなければw。

ボーダーの街には、確かに安全上のデメリットが多いの
ですが、それを超えるメリットもあります。それを早く
活かして発展して欲しいと思います。

投稿: アホンダラ | 2015年7月30日 (木) 13時18分

砂利条令なんて、ただ辺野古移設阻止の為の条令で、沖縄県の将来を何も考えず作った条令。外来種云々を言うなら、木材等を含めた多種に渡っての規制になってしまう。県 発展の阻害要因になる事間違いなし。(you tubeで良い説明がありました。)http://youtu.be/_8jqqKdaQbw

投稿: 宜野湾市民 | 2015年7月30日 (木) 13時39分

つくづく何故この人が指示になってしまったのかなあ、と思います。
官公労やプラカード持って騒いでいる人たちだけの票で当選することは出来まず、一般県民の相当数が翁長さんに投票したわけですよね。
一般の沖縄県民の生の声が聞きたいのですが、TVや新聞に出るのはプラカード持って騒いでいる人ばかりです。
今後、移設をスムーズに進めていくためには、官公労やプロ市民の皆さんには幾ら言っても無駄でしょうが、「普通の沖縄県民」の中で「翁長さんを支持している」人たちの理解をいかに得るか(あるいは、いかに翁長さんのやってることの異常さに気づいてもらうか)にかかっているように思います。

投稿: 山口 | 2015年7月30日 (木) 15時05分

すみません、「何故この人が知事に」の間違いです。

投稿: 山口 | 2015年7月30日 (木) 15時06分

名無しさん。私は「ちゃぶ台返しはできる」って書いているのだよ。
ただし、政府も沖縄県も、双方共に行政事件訴訟法30条「裁量処分の取消し」を論拠にしてできるってこと。

いちおう断っておくが、これは訴訟に持ち込む、持ち込まないとは別次元だからね。行政行為はすべて根拠法がなければならない。
ないと勝手な「ちゃぶ台返し」ができて、日本は人治国家になってしまうから。

で、私書いたのは、知事か公有水面の承認で可能なのは、この埋め立て問題の承認は埋め立ての作業に伴う環境保全の瑕疵の県手性だけだということだ。

だって、どこに基地を設置するかは、政府が決定することで、安全保障案件には自治体は本来、介入できないからだ。

だから、県の審査はあくまでも、県の権限が届く環境保全だけに絞られた。
ただし、これはそれなりに狭き門で、「政治的に変化したから」ではダメに決まっている。
だから、幸来しのようて環境の専門家を委員会に呼んだんだ。たいして役にたたなかったみたいだけどね。

本来は500以上あるという環境保全の項目を一つ一つ洗いださねばならない。それをやったのか、ということ。
おそらくやっていない。目星をつけた項目を、あらかじめ結論をつけて、職員にひとことでも「あれはいいかげんだった」と言わせること、これが委員会の目的だった。

ところが、職員が頑として「瑕疵なし」と反論したために、委員会は勝手にヒアリングを打ち切って、元々用意してあった「瑕疵あり」という結論を出した。

こういうのを八百長試合という。

投稿: 管理人 | 2015年7月31日 (金) 04時42分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 元本部町民さんにお答えして 翁長氏の承認取り消し裁判の「次の一手」に注目 | トップページ | 山本太郎議員の抱腹質問 »