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2015年7月 1日 (水)

ドイツとギリシャの切るに切れない関係とは

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ギリシアは、IMFの債務不履行になりそうな寸前に新たな支援を申し入れたそうです。 
※追記 拒否されたようです

「欧州連合(EU)の対ギリシャ金融支援が欧州中央時間の1日午前0時(日本時間1日午前7時)で失効するのを前に、EU側とギリシャ政府は30日、失効の回避に向けてぎりぎりの調整を続けた。ギリシャは2年間の新たな支援と債務負担の削減を提案、ユーロ圏の財務相は同日夜(日本時間1日未明)に緊急の電話会合を開くことを決めた」(産経7月1日)

 IMFは、5日に予定されている、ギリシャの国民投票までは、デフォールトを宣言しないと見られています。 

たぶん私は国民投票がどちらに出ようと、膠着した状況が続くと思っています。 

というのは、ユーロ・システムは生ぬるい風呂みたいなもので、お湯が熱くなれば、死なない程度の支援を与え、水になりそうなら、緊縮財政要求でお湯を沸かすという繰り返しをしているからです。 

結果、ユーロは常に不安定で、ほかの国際決済通貨のドルや円に対して安値を維持できるからです。 

Ntsiprasmerkellarge570(写真 メルケルとチプラス。ホストクラブに初めて行ったオバさんのようにみえる。メルケルさん、ごめんなさい)

この最大の恩恵を受けるのは、メルケル・ドイツです。 

こんなユーロ危機すら、ドイツに有利に働くのですから、そもそもユーロ・システムは、ドイツにとってもっとも都合よく作られたシステムでした。 

ギリシャがなぜこんなに大枚の借金を作ってしまったのかといえは、もちろん「エーゲ海の愚者の天国」といった自業自得の部分が多いのですが、それだけでは理解は半分です。 

では、なぜ「働かない」のに、どこから食料や工業製品が来るのかと言えば、これまた考えるまでもなく地域最大の工業国にして、世界有数の輸出国&地域覇権国のドイツからです。  

つまりヨーロッパでは、「ボク作る国・キミ買う国」と、きれいに二分解してしまいました。

ドイツの貿易のプラスは、そのままギリシャのマイナスという、分かりやすい凸凹構造が成立していたのです。 

経常赤字国の場合、支出が収入を超えているので、支払いは海外から借り入れるなどして資金を調達する必要があります。  

なぜ、ギリシャが輸入超過になっていても平気だったのかといえば、ギリシャ国民の面の皮が厚かっただけではなく、ユーロ内の外国が国債を買い続けてくれる限り、貿易赤字がどんなに膨らもうと「大丈夫」というカラクリがあったからです。

ギリシャはユーロ各国の銀行などから借りた金で、就業人口の6割もいる公務員の賃金を払ったり、ドイツより高いと言われる年金の55歳支給などしていたわけてす(笑)。

かくしてギリシャは、ヨーロッパでは「最後のソ連型国家」と皮肉られています。

これが、「エーゲ海の与太郎」と呼ばれる(私が呼んでいるだけですが)ギリシャの秘密でした。

当然のこととして、ギリシャ国債の所有者は、独仏などのユーロ諸国が金融機関が70%を占めています。 

Euro01
ところで、こんなギリシャみたいな「永遠のキリギリス」などは、通常の2国間貿易ではありえません。  

それは為替レートという、国際金融経済の自動調整メカニズムが作動するからです。  

共通通貨でなければ、一方の国の経常収支の黒字がひたすら積みあがって行く場合、その国の通貨の価値はどんどん上がっていきます。  

それは、貿易黒字国の通貨のほうが安定していて信用できるからね、と国際為替相場は考えるからです。 

だから買われて、高くなるというふうに為替は動きます。マルクなどは典型的にこういう「信用できる通貨」の筆頭でした。 

するとどうなるかといえば、はい、そのとおり、マルク高でドイツ製品は競争力を失ってしまいました。 

これは最近までの日本の円高を思い出せば、おわかりでしょう。いくら性能が良くても、他国製品より2割3割高いと勝負になりません。

トヨタがあろうことかヒョンダイに負けるという、ありえない逆転現象が起きるわけです。

また、国内で作るより、通貨が安い国で作って輸出するほうが安く販売できるので有利になります。すると、起きるのが、外国への工場移転です。

企業は単に安い賃金を求めて外国に工場移転するのではなく、為替レートが安い国の製品で輸出したほうが、競争力が上がると考えたのです。

すると、国内の工場は閉鎖されてぺんぺん草が生えるようになります。日本はこの地獄を15年間もイヤというほど経験しました。 

このような現象は、ドイツも一緒でした。ドイツは人口が8千万人程度で内需の引きが弱いので、貿易の対GDP比率は40%という馬鹿な依存率になっていました。

Gaijuizondo20072

(図 2007年のGDPに対する貿易依存度)

ですから、ドイツが独自通貨を維持していた頃には、マルク高は常態化して、ドイツの悩みでした。

逆の現象は、ドイツの輸出の受信装置と化していたギリシャで起きました。

ギリシアはドラクマだった時代には、貿易収支・経常収支赤字が積み上がっていくために、通貨の価値が下がっていってき、ドラクマ安になりました。

と、まぁこのようなマルク高、ドラクマ安によって、ドラクマは国際競争力を次第に回復して、黒字化することが可能でした。  

ところがユーロは、あくまでも「みんなの通貨」(共通通貨)ですから、ギリシア一国の経済に関係なく、他国の貿易収支を加えてガラガラポンにする仕組みです。  

これはマルクでいるよりも、ドイツにとって圧倒的に有利なシステムでした。慢性リウマチのように、ドイツを苦しめていたマルク高が治ってしまったのです。

Img_6bb5bc55738573c41a0af5f70c8d680(写真 ユーロ紙幣を燃やすギリシャ国民。まぁ、ドラクマに戻るというのも手ですが、この人はそんな痛そうな解決を求めていないと思うぞ。こういうすねて暴れて、反独を叫んで、支援をとりつけるというのがエーゲ海の与太郎の常道でした。ちょっとコリアに似ていないこともない)

しかも、ユーロ圏を「ひとつの国」として見立てたために、国境がなくりなりました。

ヒト、・モノ・カネが自由に往来するというグローバリズムの天国ができたのです。

ユーロにより、各国の自主関税という障壁がなくなりましたから、ドイツは嬉し涙にかき暮れたことでしょう。 

このようにドイツは、自らが作ったユーロ・システムによって、ユーロ安、無関税という利点を最大限浴びて、南欧圏、特にギリシャへの怒濤の輸出ができたうま味を存分に味わってきたわけです。 

それが、上の図でわかる異常なまでの輸出依存度です。 

2013年度はドイツは40.%。同じユーロ圏でもフランスが、その半分の21%にすぎないことを考えると、いかにドイツが内需ではなく、輸出にだけに頼った国なのかわかるでしょう。 

ちなみに日本は、14.5%です。よく日本の貿易収支が赤字になった、日本経済崩壊が始まったという人がいましたが、貿易の占める対GDP比率はそんなていどなのです。 

赤字になったのは、原発を止めているためにエネルギー輸入の過剰という現象が起きたからにすぎません。 

わが国の強みは、内需と輸出のバランスが取れていることです。それを忘れて、バニくらないように。

14354349660001_2(写真 ないカネは払わないぞぉ、と気勢を上げるチプラス・ギリシア首相。うそ。しかし、ほんとうに潰すなら潰してみやがれと意気軒昂) 

それはともかく、この輸出依存大国・ドイツにとって非常に都合がいいシステムこそが、ユーロ・システムだったいうわけてす。 

それもとうぜん、ドイツがドイツのために作ったんだもん(笑)。

これが、ドイツがギリシアを甘やかし続けてきた、他人には言えないお家の事情だったというわけです。

ドイツにはギリシャが必要であって、それはユーロを維持するために必須条件だと考えているはずです。

だから、ギリシャはそのドイツの腹を読んで、グダグダと「解決をしないという解決法」を選んでいるわけです。

結果、ユーロは不安定になり、いっそうユーロ安は進行するでしょうが、これはドイツにとって願ったり叶ったりです。またまたドイツ製品は安くなるぞ、というわけです。

ユーロは、このような強い相互依存が制度化したものですから、こんな状況はとうぶん続くように見えます。

次回も続けます。 

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コメント

わかりやすい解説、ありがとうございます。

EUやIMFがいくら融資しようと、
そのカネのほとんどは独仏のギリシャ国債償還に回るのが現実で、もはやギリシャはユーロの奴隷国家になってしまいました。
もちろん、グータラ決め込んできたギリシャには同情はできませんが、これってどう転んでもドイツが美味しいだけ。

ユーロシステムの、構造的な根本欠陥が具現化しただけでしょう。

いつも拝見しております。

ギリシャ人の労働時間はOECDソースだとドイツよりも多くてヨーロッパ最長らしいですよ。

定年年齢も62.4歳でドイツより遅く、財政に対しての福祉支出割合は21%でドイツの28%より7ptも少ないようです。

データからみると、労働生産性が低く、構造改革を苦手とする不器用な人たちであるような気はしています。

しかし、賄賂もひどいようですから(国民一人当たり年間1,500ユーロを利用している計算!)、不器用というより頭の中の世界が現代以前の社会のまま変わっておらず、周囲の環境の変化に対応せずにずるずるやってきたキリギリスですね。

ハンドルネームは忘れないようにしましょう

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