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« 寓話 南の島のジャイアン君 | トップページ | 行政の裁量権を濫用しているのは翁長氏の方だ »

2015年7月29日 (水)

元本部町民さんにお答えして 翁長氏の承認取り消し裁判の「次の一手」に注目

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元本部町民さんからコメントを頂戴しました。 

「翁長知事が移設反対を叫んび 得られる利権とは、具体的になんでしょうか?    週刊誌にもネットでも沖縄基地構造がこれ程、書かれたならば復興予算の値上げは これから先、無いと思うのですが、 実際5%削減されていますし、どうなんでしょうか?
何故この質問をしたかというと、普天間固定化になると辺野古の埋め立て工事や普天間基地の移転、解体、その跡地の開発工事など、 巨大な利権が無くなってしまいますが翁長知事や後援会の金秀グループはそれでも良いと思ってるのでしょうか?
ずいぶん前の記事で管理人さんが書かれていた記事で翁長知事は平気でオール沖縄を裏切りますと書いていましたが、 落とし所を見極めてると理解して、よろしいでしょうか」
 

落し所かぁ・・・、むずかしいなぁ。今はないでしょうね。

簡単にはコメント欄でお答えしておきましたが、こ質問そのものにはとらわれず、少し考えていきます。

あたりまえですが、翁長氏という人物は、ジャイアンほど単純ではありません。彼の真の姿は外面からだけでは理解できないからです。 

私は翁長氏は、外面で見せる左翼まがいの強硬な反基地の姿勢と、内心では大きな乖離があると思っています。 

翁長氏という政治家はキメラです。戦後沖縄という風土の歪みが生み出した、頭は保守、身体は左翼というモンスターです。 

Okinawa_chiji_1

(写真 翁長氏の当選風景 右手に呉屋氏、ひとりおいて有名な左翼運動家の糸数慶子氏。なんとも不気味な光景。これを「オール沖縄」と呼ぶらしい)

ですから、彼の言動は分裂しています。 

知事選勝利後、真っ先に翁長氏がやったのは、自分の利権構造の強化のために、呉屋氏の金秀グループや平良氏のかりゆしグループなどに多くの利権を分配したことでした。 

これが彼の「保守政治家」、(正確に言えば、彼の場合は理念なしのただの利権屋ですが)いわば本能とでもいうべき「頭」の部分です。 

翁長氏が派手な本土政府との「闘争」の裏で、内政でやったことは露骨な縁故資本主義そのものでした。

縁故資本主義とは聞き慣れない言葉ですが、政府や官僚に食い込んだ企業が、その密接な関係を利用して利権を引くことです。

開発途上国や中国ではありふれた景色ですが、この沖縄もまさにその典型です。この縁故資本主義が成立する絶対条件は、自由な報道の不在です。

沖縄は沖タイ、琉新、共に揃って強烈な翁長支持で、彼に不利益なことは一行も報道しません。

これが、翁長ブロックのやりたい放題の利権独占の放置に繋がりました。

保守の人たちは沖縄メディアをただ「反日」とだけ呼びますが、それでは不十分です。この沖縄県の、共産国家を思わすメディアの一元化がもたらす弊害に着目すべきでしょう。

As20141117001139_comml(写真 自宅で、満足げに沖縄タイムスを読む翁長氏。自宅では沖タイをとっているみたい)

翁長氏の論功報償はあまりに露骨で、あまりに広範囲に渡るものでした。主だったものだけで以下です。

第1弾は、知事選選対の大幹部である平良朝敬氏を沖縄コンベンションビューロー(OCVC)の会長に指名して、沖縄観光業界の元締めに仕立て上げました。  

第2弾は、選対本部長の金秀・呉屋氏に、巨額の振興予算が投入される予定のMICE(会議・研修・催事の大型複合施設)の利権を与えました。  

第3弾は、(時系列的にはこれか最初ですが)沖縄都市モノレール(第3セクター)の社長に金秀バイオ副会長の美里義雅氏。  

第4弾は、沖縄物産公社社長には、翁長陣営の重鎮で、落選したものの沖縄市市長選に出馬した島袋芳敬氏に与えました。 

まだまだこんなものじゃありませんが、とまれ、このような大きな利権シフトが生じたのです。 

これが呉屋・金秀G、平良・かりゆしGなどが、辺野古建設などに今や特にこだわらなくてもいい、大きな理由となっています。

ただし、金秀は埋め立て以外ならば基地建設需要には今までどおりに応じており、シュアブの駐車場建設も受注しているしたたかさを見せています。 

かりゆしGに至っては観光業ですから、基地にそもそも依存していないために、移転がなくなっても痛くもかゆくもありません。

彼らは、南北鉄道建設や、MICE、さらにはUSJ沖縄、カジノなどの、非基地依存投資で十分に潤うと考えているはずです。 

翁長雄志さん

(写真 まるで左翼のいでたちの翁長氏。このころはまだ違和感があったが、いまやまったくなくなった)

一方で、翁長氏の動向は、彼が「身体」としている革新陣営の利害によっても支配されています。 

この利害もまた明瞭です。それは、「基地を作らせない」ということそのものを、政治的利益にすることです。 

沖縄左翼陣営の中核部分は、島のエリートにして、税金で飯を喰っている公務員の官公労と沖教組だからです。 

彼らの階層だけが、復帰以降「本土並」を実現し、国家公務員レベルの賃金と労働条件を実現し、もっとも豊かで、もっとも安定した階級です。 

そのひと握りのエリートが、辺野古移設反対運動の主役だったことが、問題をこじらせてきました。 

彼らと、彼らが本土から呼び寄せた過激な左翼活動家たちが、現地住民を押し退けて闘争の主体となってしまったことが、このようなこじれた原因になっています。

彼らの念頭には解決などなく、ひたすらこじらせることこそが勝利なのです。

Ph201(写真 辺野古カヌー軍団。ほぼ全員が、県外からの左翼運動家たちによって占められれている。彼らには「解決」なとという言葉はない。ひたすら暴れることのみが、沖縄革新に期待されている唯一のことだ。ただし、これもマスコミにかかると、「抗議する住民たち」となる)

皮肉にも、沖縄革新陣営は闘争のターゲットである「基地」がなくなることを心底恐れています。 

もし、普天間基地が彼らのスローガンどおり撤去された場合、彼らは存在理由を喪失します。 

あくまで左翼という人種は、戦う目標があって、運動しているからこそ資金が集まり、組織が維持されるのです。 

沖縄官公労も、普天間基地という闘争課題がなくなれば、全国の反基地闘争の憧れのスターダムから転がり落ち、闘争の「聖地」の座を譲らねばならなくなります。 

そうなったら、公務員と教師という島のエリートたちの互助組織、という本質のみがいやでもバレてしまい、ただの田舎役人の組合という本質をさらけ出してしまいます。

それは困る、絶対に避けたい、これが彼ら革新の本音です。 

橋龍ポマードが、普天間移設を決めた時の官公労の慌てふためいた姿は、いまでも語り種になっているほどです。 

「撤去阻止」とも言えず、かといって「橋龍ありがとう」とも言えず、そこで考えた苦肉のスローガンが「新基地反対」という訳の分からないスローガンだったのです(苦笑)。 

C03fd54ab89f16c3cae932(写真 一斉にプラカードを出す反基地運動家たち。そうとうに気持ちが悪いと一般国民は思うが、当人たちにはわからない。新基地という表現の矛盾にも気がつかない。というか気がついても、今さら取り消せない)

このように、翁長氏を支えるこのふたつのブロック、即ち呉屋金秀・平良かりゆしGのブロック、そして公務員労組・革新政党フロックのふたつは、共に辺野古移設に限っていえば、工事中止となっても困らない仕組みになっています。 

つまり、翁長氏が言う、「金はいらないから基地を持って帰ってくれ」というような過激な言動は辺野古移転のみにおいては、額面どおりなのです。 

そして「沖縄差別」を叫ぶ沖縄ナショナリズムこそが、このふたつの本来相反する利害ブロックの接着剤でした。

本来はあさましいばかりに違うこの両ブロックの利害対立を、「基地のない沖縄」、あるいは「沖縄人自決」という沖縄民族主義で覆い隠すことが、この翁長陣営の策略だったわけです。

13_01_23ss(写真 「オスプレイ配備は沖縄差別」だそうだが、ならば横田配備は東京差別なのか。もう「沖縄差別」の大安売りなのが、沖縄マスコミ。沖縄差別を叫んで、沖縄ナショナリズムを煽らないと、翁長ブロックはもたない)

しかし、だからといって、翁長氏は決して全米軍基地の撤去などということを言い出すことはありえません。 

それは、製造業が乏しく、観光と基地収入が主力の沖縄県の乏しい自主財源では、自治体として生存できないことは明白だからです。 

そのような基地全廃を実現してしまった場合、今のギリシャと同じように、待っているのは、身丈にあった財政規模にまで財政収縮する緊縮財政です。 

具体的予想されるのは、各種の補助金の撤廃、公共事業費の大幅カット、公務員の削減、福祉の縮小、県法人税の値上げなどです。 

Img_c50f2cff28290f90d2b636938d6fd6c(写真 チプラス・ギリシャ首相。結局、緊縮案を呑んだが、これは国民投票で勝利したという背景があったからだ。もし、翁長氏がこのまま突っ走る気ならチプラスのやり方は、大いに参考になるだろう)

ちなみに、私か「琉球独立」がありえないと思うのは、この自主財源3割という現実を、提唱者たちが都合よく忘れてファンタジーしているからです。 

琉球独立派にご忠告したいのですが、沖縄が独立したいのならば、米軍基地というカードは国際カードなのですから大事に温存すべきです。

軽々に全廃などしたら、米国、即ち国際社会の認知が得られなくなりますよ。琉米安保条約を結ぶような清濁合わせ呑む交渉力がないと、分離独立なんてできません。

おっと待てよ、中国の冊封国に戻る気だからいいのか。米軍基地撤去は手土産になるもんね(爆)。

閑話休題。ご質問にあった翁長氏が「落し所を考えている」かどうかを判断するには、彼が承認取り消しの「次の一手」に何を持ってくるかだと思って見ています。 

翁長氏は承認取り消しまでは、確実に実行するでしょう。これにより、本土政府とは法廷での係争関係に入ります。 

多少の振興予算の減額は覚悟の上でしょう。しかし、そんなものはジャブにすぎません。

ご質問には 「復興予算の値上げは これから先無い」とおっしゃられていましたが、私は変化しないと見ています。

それは、基地という政治的資産を握っている以上、本土政府は大きなカウンターパンチを出せないからです。

仮に翁長ブロックに勝てる勢力があれば話は違います。本土政府はそちらを「次の一手」にするでしょう。

しかし、残念ながら、現状では翁長ブロックに代替する可能性のある政治勢力が見当たりません。

沖縄県において、翁長ブロック+革新ブロックの勢力に対抗する可能性を持つのは、唯一自民党沖縄県連のみですが、今、沖縄自民は戦後最大の存立の危機に見舞われています。 

いうまでもなく翁長ショックの後遺症です。翁長氏が事実上、沖縄自民の大黒柱だったのは、残念ながら事実だったからです。

来年の参院選で沖縄自民が惨敗した場合、沖縄保守勢力は致命的な状況に立ち至ることでしょう。 

本土政府はこれを冷静に観察しています。もちろん、党としては沖縄自民へのテコ入れを強力に行なうでしょうが、政府としては違います。

政府は、大局的に見て、現実政治としては好むと好まざるとに関わらず、翁長県政との共存を考えねばならないからです。

このような状況で、本土政府が振興予算の減額という荒療治に踏み切る可能性は限りなく少ない、と翁長氏は見ているてしょう。

つまり、この翁長氏に替わりうる保守勢力の不在こそが、翁長氏の過激な言動の余裕を支えているわけです。 

そして、今後を占う意味で重要なことは、承認取り消し訴訟をめぐる裁判の行方と、翁長ブロックの「次の一手」です。 

翁長ブロックが勝訴すれば、移転は事実上不可能となります。逆に負ければ、法的にはこれ以上の対抗手段はなくなります。

今回の杜撰な第三者委員会の経過をみれば、翁長氏が負けそうな気がしますが、溝口裁判官みたいな人も地裁には大勢いますから、なんともいえません。

となると、翁長ブロックの「次の一手」は、もう県民投票しか残されていないはずです。

ただし、これに踏み切った場合、本土政府とは今のような、なぁなぁの関係に修復することは、完全に不可能な非和解関係となります。

そこで、彼がその前に落し所を探るのかどうか・・・、落とし所次第によっては左翼ブロックなどはお荷物でしかないでしょう。

そのていどには、彼は政界のクソリアリストです。ただ、それは、今ではありません。

おそらく翁長氏は、革新でもなく、保守でもない、自分の完全に支配できる第3の「翁長党」を作りたいはずです。

それはきわめて沖縄ナショナリズム色が強い、「自治権要求」を掲げるような政党になるでしょう。

そのためには、彼の息のかかった経済人、政界人を今の数倍以上に膨らませてねばなりません。

経済人には更なる利権、革新系には更なる本土政府との対決が必要です。2期8年は欲しいところです。

いずれにしても、この男の今後を見るには、まだ時間がかかります。承認取り消し訴訟の結果の「次の手」次第です。

これでお答えになったでしょうか。いいご質問をありがとうございます。

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コメント

回答ありがとうございました。 かなり勘違いをしていました。 此まで翁長知事がオール沖縄と称して革新を取り込んだのは 選挙の票取りのだけだと思って ました。 なので前半は革新と地元新聞媚びを売り、任期後半は 辺野古推進するのだと、安易考えていました。なので住民投票になっても、國場組以下建築業 関係者は辺野古埋め立て利権、 普天間基地跡地の利権をめぐり 推進に票が流れ、金秀グループもその利権に食い込もうと、推進に票を投じるだろうと思って いました。住民投票の民意を立てにオール沖縄を裏切り、地元紙にも県民の声を粛々進めて行くとかなんとか、言うものとばっかり妄想していました(笑)
長い基地問題も終止符を打ち

莫大な復興予算も奄美と同じく縮小傾向にいけば嫌沖縄も収まるだろうと今の状態のまま翁長知事が二期八年となると嫌沖縄感情はどうなるのでしょう
頭が痛くなってきました。

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