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2015年8月26日 (水)

天津と上海 ふたつの「大爆発」が教える混沌の風景

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13億人が豊かさを求めて、熱に浮かされたように邁進した結果がこれてす。

中国において、ふたつの「大爆発」が相次いで発生ました。

ひとつは、いうまでもなく天津爆発事故であり、いまひとつは上海株式の大崩壊です。

まずは上海株式市場です。 

「中国で実体経済の悪化を反映した株価の下落に歯止めがかからない。6月中旬からの下落局面で、中国は官民合わせて少なくとも4兆元(約80兆円)の資金を投じて株価下支え策を続けたが水の泡となった。「市場をゆがめる」との批判から当局が8月中旬以降、介入の手を緩めた結果、失望した個人投資家がパニック売りを浴びせた。未成熟な証券市場に投資家の疑心暗鬼が広がっている」(産経8月25日) 

Photo(図 上海総合指数の推移) 

中国株は、わずか4週間足らずで最大33%も暴落し、時価総額にしてギリシャGDPの14年間分の金額が一気に吹っ飛んだ格好だと言われています。 

うろたえた中国政府は、自由主義経済ではありえない株の買い支えをする一方、大幅続落する株の取引停止を命じてみたり、果ては通貨為替切り下げを数回に渡って実施するという消火弾を投下しましたが、いっそう大火となって燃え拡がるありさまです。

ちなみに、いま上げた中国政府の対策は、すべてが自由主義経済では政府がしてはならない手段とされています。

これだけで、自分がいかにイカサマ資本主義なのか自白しているようなものです。

中国の個人投資家は、我がちに投げ売りに転じ、暴落を加速しました。かくて、抗日戦勝利70周年大祝賀行事を目前にして、いきなり経済危機が爆発してしまったわけです。 

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これは中国人の資産構造が、個人消費に向かわず、資産を投げ打って株式投資に向けられていたからだと言われています。 

しかも株は国が運営するから鉄板であり、8%成長の神話が健在であるという成長幻想に支えられていました。 

中国はどんとんと成長し続けている、日本はとうに追い抜いた、米国と肩を並べる日は目の前だ、だからどんどん成長する中国株を買うしかない、大儲けして国外に資産を移せば富豪も夢じゃないぞ、これが中国人の常識だったわけです。 

もちろんこの大前提の8%成長が完全な虚構だったことは、自由主義社会ではとうに知られていたことです。おそらくマイナス3%だろうと言われています。

Photo_2(写真 事故場で捜索をする人民解放軍の化学部隊。神経ガスという報道があったために、毒ガス工場かだったのではないかという噂さえ流れた)

さて、上海株の暴落と同時に起きた、もうひとつの「大爆発」を見ておきましょう。

今回の天津大爆発事故は、規模のすさまじさもさることながら、それ以上に中国という国が抱え込んだ「無秩序」、混沌の根深さを教える結果になりました。

すでに事故現場は、消防や警察の手から人民解放軍化学防護部隊に移っています。

彼らが探しているのはシアン化ナトリウムが入ったコンテナやボンベの残骸です。シアン化ナトリウムは一般的には、青酸ソーダの名で知られています。

シアン化ナトリウムについて押えておきましょう。これが、今回事故後の処理をとてつもなく困難にさせている最大の原因です。

「シアン化ナトリウムは常温で固体だが、水や酸などと反応すると有毒で引火しやすい青酸ガス(シアン化水素ガス)を発生させる[22]。口に入れたりガスを吸い込んだりすると、呼吸困難やめまいを引き起こし、数秒で死亡することもある」Wiki

これが、わずか600m先にある住宅地帯のすぐ側で、許可貯蔵量の30倍の700トンという大量の猛毒物質が貯蔵されていたことに驚かされます。

これが爆発と同時に飛散し、広く住宅地区まで拡散しました。雨がかかると煙が出る白い粉が大量に降ったという訴えが住民多数から出ています。

レコードチャイナ(8月19日)はこう伝えています。
※http://www.recordchina.co.jp/a116932.html

「天津は危険化学物質の輸出港として中国北部最大規模を誇り、その生産、輸送、保管に関しては厳格な規定が定められている。専用の車両、人員、路線、確認作業が定められ、多大なコストがかかるが、物流企業と生産企業が結託し、普通貨物として取り扱うことでコストを圧縮している。
港湾付近の道路は各種の車両で混雑し、危険物質が積載された車もその中に混じっており、本来ならば積み降ろしにも厳格な規定がある。「時限爆弾を抱えて走っているようなもの」と匿名の専門家は指摘する」

このシアン化水素ガスの雨が降り注いだエリアは1万7000戸以上と言われ、数万人が浴びた可能性があります。

CNNによれば、周辺では安全基準の数百倍の高濃度のシアン化ナトリウムのホットスポットが見つかっています。

「中国の天津で起きた大規模な爆発で、当局は20日、現場から安全基準の数百倍もの有毒な化学物質が検出されたことを明らかにした。現場近くの川では死んだ魚が大量に浮いているのが見つかり、当局が爆発との関連を調べている。
環境保護当局によると、現場の水を検査した結果、高濃度のシアン化ナトリウムが8カ所で検出された。シアン化ナトリウムは致死性が高く極めて危険な化学物質。1カ所では濃度が安全基準の356倍に達していた。
汚染水があるのは爆発現場周辺の警戒区域内に限られていると当局は強調。市当局も、爆発圏外の大気や水の品質は通常の範囲内と説明している」

天津は海に面しているために、海岸では大量の死んだ魚が打ち上げられ、一層住民の不安を煽りました。

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国営新華社通信によれば、死んだ魚が見つかった地点から採取した水の検査では有害物質が検出されなかったために、爆発との関連はないと報じています。

まぁ、誰ひとり信じないでしょうが。

Cmyw8lrxaaaenen(写真 ツイッターで流れた消防兵たち。彼らが化学防護服やガスマスクを装備している様子はない。シアン化ナトリウムが大量放出された現場のものとは思えない。たぶん通常の装備のまま出動したと思われる。痛ましい)

消火作業にあたった消防隊は、日本と違って2年間ていどで交替する「消防新兵」だったことも分かってきました。

これは人民解放軍傘下の武装警察のそのまた下部組織に属する「武警消防隊」というわけのわからない中国独自の組織です。

彼らは、欧米日の消防署とは根本的に異なった組織で、独立した組織としての消防署は存在しません。

主力は、公安(警察)傘下の消防隊で、これは武装警察から徴兵のようにして引き抜かれた兵隊に、ホースを握らせて消防士もどきに仕立てているようです。

彼らの教育機関は、広大な中国にわずか3カ所しかなく、研修期間はなんと3か月にすぎません。

整列して、ホースを握るのがやっとの新兵たちが、そのまま大量に現場に送り出されていきます。

賃金は月給にして1700元(約3万円)程度で、工場労働者以下の低賃金です。

また「消防兵」の大部分は20才前後の若年兵で。ほとんど満足な訓練もされずに現場投入されるために異常に高い死傷率で、もっとも嫌がられる職業のひとつとなっています。

このような徴兵制で「消防兵」を徴発しても、中国では消防士が圧倒的に不足しています。欧米日が1万人あたり10人なのに対して、その5分の1の1人です。

今回は、この「消防兵」以外にも非正規の「消防民兵」が大量に動員され、状況もわからないまま投入された結果、その多くが死亡しています。

Wor1508170038p6(写真 大規模爆発が起きた中国天津市で、犠牲となった消防士を弔う中国の李克強首相 16日 新華社=共同。ありがたくも、烈士とするそうである。李は経済担当でもあるので、内心、下っぱの消防士の死などは知ったことではないだろう。それより上海株をどうにかせねば習政権は倒されるのは目に見えている。この天津事故には、追い詰められた江沢民派と胡錦濤派のテロとのうわさが絶えない)

港湾局の幹部は賄賂を受けとって違法貯蔵を見逃し、企業は規制をはるかに超えた爆発物と猛毒をしこたま蓄え爆発事故を引き起し、大量に猛毒の雨を降らせる。

消防新兵たちはたった3か月の訓練で爆発現場に投入されて、吹き飛ばされて焼け死んでいく。そしてすぐに軍を出す。マスコミには報道させない。

規制は名ばかり、訓練も名ばかり。国は臭いものに蓋をして何も教えない・・・。

今回の上海と天津で起きた「大爆発」は、中国社会そのものが構造的に抱え込んでいるモラル崩壊と、無秩序の混沌を暴き出しました。

驀進する中国の拝金主義の行く先には、この先切り立った崖しかないことを示唆しています。

ひとことで言えば、中国という国は腐りきっています。それも歴史上、稀にみる規模と深さで。

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コメント

渤海は死の海ですね。北戴河リゾートも休業・・・

もはや福島第一原発に匹敵する大事故と思いますが、吉田所長みたいなプロもおらず。
マシなのか分かりませんが、風評被害だけは出ないでしょうね。

天津と上海の爆発の共通点は、江沢民派とか言われていますが・・・?
不正蓄財を吐き出させたいところですが、既に大部分は海外送金。
家族は悠々自適で捕まった裸官が可哀想です。

魚を拾いに来る地元住民が紹介されてワンセットなので物足りないな…

まいんどとかいう人。テーマについてなんにも語れないあんたって、ずいぶんと物足りない人だねぇ。

中国出身の某アナリストが、「李万姉妹ショック」が起こるかもと言っていました。
洒落が効いています。
リーマンブラザーズをもじったのと、張千李万と言えば一般大衆のこと。日本の個人投資家は「ミセスワタナベ」と揶揄されていましたが、2番目の写真のオバサンみたいな人が大量に出現しているのでしょうね。

プーさん
死傷者数や大量に打ち上げられた魚を見ると、福島第一原発とは比較にならない大事故と思いますよ。

中国もひどい国だなーと思いながらネット記事を見ていると、「山形市長選、安保が争点に」という記事が目に留まり、脱力してしまいました・・・

山口さん。

市内では市長選なんか全く盛り上がってませんから(笑)
Yahooヘッドラインで上がってて「ふーん。」て、感じ。なんだ、書いたの河北新報か。スタジアム建設が争点の記事も含めてさもありなん。東北では唯一の圧倒的な大都市の新聞で、隣県のこととなると何かと「これ、悪意あって書いてるのかなあ…」ってなんてことがしょっちゅうです。

むしろこんな田舎の市長選絡みで維新の本体が醜い分裂騒ぎになってるのを全国ニュースで見て驚いています。

山形さん
脱力したというのはもちろん、山形市民の皆さんに対してではなく、マスコミ報道に対してです。
河北新報のトホホぶりに思わず失笑しました(笑)

山口さん
そうでしたね。記事のような絵は、福島でマスコミが血眼になって捜しても見付けられなかったものですからね。
自分もマスコミに毒されていたようです。
ありがとうございます。

管理人さん

遅いコメントですみません。
まいんどさんのコメントですが 記事の中の天津の海に打ち上げられた大量の魚を見てのコメントだと思います。
その魚を我先に取る地元住民ってのが中国でのよく見る光景なので、荒らし読者では、無いとおもいますよ。

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