死滅に向う中国大陸 その1 死んだ土の国
私は何回か中国に旅したことがあります。鉄道やバスに揺られての長旅でしたが、いつのまにか機会があると駅の裏の畑の土をひと握りすくってみるのが習慣になっていました。
本格的な土壌分析器にかけてみなくても、土は握ってみればおおよその良し悪しの見当がつきます。
ほんとうに良い土は適度に柔らかく、握るとふわっと塊になり、すっとほぐれていきます。芳しい香りすらします。飯にふりかけてもいいかなと思うこともあります。
悪い土はバサついて握っても形になりません。干からびて死骸のようです。香りはなく、時にひどい悪臭がします。
中国の土は後者でした。長年人から見捨てられた土の残骸。愛されることをされなかった土。奪われるだけで与えられることをされなかった土の亡骸。
それはアルカリ化し、遠くない将来砂漠になって行くだろう土でした。そのような哀しい土を私は中国各地で見ました。
なぜ、こんな土にしてしまったのか、中国農民に問うてみたいとその時痛切に思ったものでした。
さて中国がとってきた過去約20年間の改革開放路線は、その「総設計師」の鄧小平がいみじくも述べたように「黒猫でも白猫でも、ねずみを捕るのがいい猫」式の手段を選ばないものでした。
そして鄧小平が提唱した「先富論」により我勝ちに富に向って14億の民が走り出したのだからたまりません。
「先富論」とは、読んで字の如し、社会主義的平等を捨てて「可能な者から豊かになり、貧しい者を引き上げよ」という政策でしたが、「先に豊かになる」という部分のみが実現してしまったわけです。
結果、短期間で収益を上げられる経済活動だけがいい経済だという歪んだ経済思想が跋扈するようになります。
社会全体の格差なき進歩、自然環境との調和、国際社会との協調というといった「大人の資本主義」ではなく、飢えた拝金亡者の思想に取りつかれた14億の民の驀進が始まります。
これが食い漁り、食い散らす中国式イカサマ資本主義です。
そして長い時間かけて手をかけて子孫のためにいい畑を伝えていくという農民の美徳は失せ、自分の時代にすべてを貪り尽くして恥じない収奪農法が始まりました。
しかも中国では土地の私有を認めず、都市の土地は国有、農村の土地は農民による集団所有と憲法で規定しています。(ただし、都市部では土地使用権という形で取引されている)
つまり、中国では世界で言う意味の「農民」は存在しないということになります。
「社会主義中国」のシッポのようなものですが、農村では、農民同士で請負経営権を譲る以外は取引が厳しく制限されているために、農民は「自らの土」という意識が作られないままに、都市化と工業化の大波に呑み込まれていきます。
いずれにせよ、集団農業の軛から開放された14億の民の6割といわれる農民が、一斉に収奪農法に走ればどのようなことになるのか、考えてみるまでもありません。
時間をかけて堆肥を積み、緑肥をすき込み土壌を豊かにしていくという日本的「土作り」の代わりに、成長を早めるチッソ系化学肥料や、実なりをよく見せるリンサン系化学肥料が大量に使用されるようになりました。
そのほうがはるかに手間がかからず短期間で仕上がり、しかも職人的な農業技術を必要としなかったからです。
しかし、手間いらずのリン系化学肥料(過リンサン石灰)からはカドミウムが発生し、重金属は分解することなくそのまま土壌に長く残留し蓄積するようになります。
結果、我が国でもかつて経験したように「土が死ぬ」ことになります。これが国土の砂漠化の始まりです。
土は団粒構造といって、土壌粒子が結合して集合体(団粒)となっています。
よい 団粒を作るには、土壌分子を結合させる役割の粘土成分や、微生物の住処や餌になる腐食物質(有機物)が必要です。
この団粒構造が良くないと、畑の排水性と保水性、通気性が悪くなり、作物の根の張りが悪くなって良い作物ができなくなります。
化学肥料はこの大事な土壌の団粒構造を破壊する性質を持っているのです。
適量の化学肥料ならば、土壌の性質の傾きを補正するのに役立つのですが、大量にそれだけに偏った農法をすると、たちまち土は空気の道と水の道を塞がれて干からびたようになっていきます。
そのためにそこを住処としていた土壌微生物がことごとく死滅し、地中は砂漠のような死の世界となっていきます。
すると、少しの大雨で最も滋養に富んだ表土層が流出するようになり、いっそうひどい状況になります。
そしてPHは、作物にとって好適な弱酸性からアルカリへと傾いていき、これが砂漠化の始まりです。
この死の世界で生き残るのは、皮肉なことにタフな有害虫だけです。有益な土中微生物は死に絶え、有害虫のみが生き残ってありとあらゆる病虫害が頻発するようになります。
やがてそれを防ぐために化学農薬をまるで麻薬中毒患者のように常用するようになります。
そして中国の場合、農薬規制の仕組みがないに等しいような杜撰さのために化学農薬汚染が大規模に発生しました。
長くなりましたので、それについては次回に。
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■おまけ
ハンスト決行中の中●派の学生皆さんはいよいよ本格的にやるみたいです。
「実行委員会によると、期限は決めておらず、4人の学生が少なくとも3日間以上おこなうという。8月30日には、大規模な抗議活動に合流するため、場所を国会正門前に移す」
しかし、3日間だって。ガ、ハハ!すまん、そんなの全国の断食道場では「ミニ断食コース」って言うんだよね。
本格断食は1週間から。3日じゃあ宿便もでねぇぞ(笑)。
それにたった4人!数十人が白い経帷子着て、1週間以上やればそれなりに迫力だったのに、残念。
代表の上智大上田君は「法案をとめられないので、直接行動に出た」そうです。
これって「議会がいうこときかないなら腕づくで」っていう議会制民主主義を否定するアブナイ思想です。前の安保闘争で火炎瓶投げまくった君らの先輩と一緒だよ。
一方、国会前には主催者発表で12万だそうです。朝日新聞の写真を基にして、ご丁寧にも数えた人がいるようです。暇だなぁ(笑)。
ちなみに写真の左側が、Grayのコンサート風景。これで20万人ですから、12万というのはこの半分以上いなきゃならないわけ。いるのかなぁ。
まぁ、どうでもいいけど。それにしても、ひとつのロックバンドの動員数にもかなわないのかぁ(涙)。
前列と2列目でざっと2~3千人。3列目から写っている限りで3千人くらい。視野からでている部分も含めておまけして1万人前後くらいかな。
でも共産党の党員数は公称30万人、 赤旗購読者110万人いるはずだから、動員をサボった共産党員が大部分だったんだね。子供の夏休みの宿題でもやってたんかしら。
赤旗まつりには、2日で20万人もくるのにヘンだね。
さてさてお祭の時間はあとわずかですから、大いに祝祭日を楽しんで下さい。その後にドカッと反動が来て、運動は雲散霧消しますからね。(経験者は語る)
反原発運動も、オスプレイの時もそうだったでしょう。終わるとあっという間にしぼんでしまうのが、世の習い。諸行無常の鐘が鳴る。ゴーン。。
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