ついに国連人権理事会で「民族自決権」を主張し始めた翁長氏と、それをブロックした我那覇真子氏
国連人権委員会で、翁長雄志知事がわずか2分間ですが、スピーチしました。
翁長知事がこのような政府の専管事項である外交・安全保障において、公人でありながら頭越し「県外交」をする当否については、今回はふれません。
本来あってはならないことですし、そのようなことが常態化することは決して沖縄のためにもよくないことだとだと思います。
※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/09/post-8e8f.html
さて、内容です。特に目新しいことは言っていません。あいもかわらず、「基地を自主提供したことはない」「0.6%の土地に73.8%の米軍基地」などという、私たちにとっては壊れたレコードのようなことを繰り返しているにすきません。
※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/06/post-974e.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/06/post-dd3e.html
ただし、この国際会議の場で翁長氏は、一点だけきわめて重要なことを述べていることに注意せねばなりません。
それは、とうとう翁長氏が公然と、「民族自決」を主張し始めたことです。
今まで翁長氏の主張はとりあえず「日本の一部」としての発言に止まっていましたが、とうとうその一線を越えて、「先住民族の民族自決権」を唱え始めたことになります。
それはこの部分です。
「私は、沖縄の自己決定権がないがしろにされている辺野古の現状を、世界の方々にお伝えするために参りました」
I would like the world to pay attention to Henoko where Okinawans’ right to self-determination is being neglected.
この翁長氏が使った、”right to self-determination”(セルフデタミネーション) という文言にご注意ください。
このアブナイ言葉は、その「取り扱い注意」の性格からか、公式邦訳ではおとなしく「自己決定権」と直訳されていますが、もちろん正確ではありません。
このセルフ・デタミネーションは、そんな一般的なものではなく、はっきりと「民族自決権」と訳すべき用語なのです。
下の写真のような、カタルーニャ自治州問題などで使われているのが、この「民族自決権」という用語なのです。
定義を押えておきます。
「民族自決、self-determinationとは、各民族集団が自らの意志に基づいて、その帰属や政治組織、政治的運命を決定し、他民族や他国家の干渉を認めないとする集団的権利。自決権ともいう」Wikipedia
このセルフ・デターミネーションという概念は、国際法上の権利用語です。
国際法的根拠は、国連憲章第1条2、国連総会決議第1514号(1960年12月14日)「植民地諸国、諸人民に対する独立付与に関する宣言」にあるとされています。
1966年の国際人権規約によって規約締結国は自決権を保障せねばなりません。日本は1979年に批准しています。
このように、この「セルフ・デターミネーション」という概念は、安易に一般化できる概念ではなく、植民地人民の独立の権利としてのみ用いられるべき用語なのです。
なお、ウィキによれば、「植民地の独立がほぼ達成された今日では、国家内部の先住民・少数民族にも自決権が及ぶかどうかが議論の対象となっている」そうで、翁長氏が仮に「先住民独立」を唱えたとしても、それがそのまま人権規約上有効かとうかは別の話となるようです。
いずれにしても、翁長氏は民主的手続を無視して、ひとり勝手に「先住民族民族自決」というルビコン河を渡ってしまったようです。
したがって、論理的には、今後の移設問題は、日本政府と地方自治体との協議ではなく、「支配民族」と「先住民族」との闘争の場になりえるということになります。
沖縄県民の皆さん、前回の知事選で、こんなことまで言わせる権限を翁長氏に与えたのでしょうか?
さてここで改めて、翁長氏の国連人権委の主張と、それにただちに反論を加えた我那覇真子氏(がなはまさこ)の主張を並記して整理しておきましょう。
①米軍基地について
●翁長
・沖縄基地は、米軍が暴力で接収し、自主的提供はない。(※歴史的事実ではない。辺野古のキャンプ・シュワブは、住民が積極的に米軍と交渉し、有利な賃貸契約を勝ち取って貸していることは『辺野古誌』にも書かれている)
・米軍基地地は犯罪の温床だ。
・国土のわずか0・6%に、在日米軍専用施設の73・8%が集中している。
●我那覇
・日本とアジア太平洋地域の安全保障におけるアメリカ軍基地の役割は重要なのにもかかわらず、県知事は中国の脅威と米軍基地の役割を無視している。
③人権について
●翁長
・沖縄県民の自己決定権や人権は踏みにじられ続けた。
●我那覇
・沖縄県民は日本の一部として世界最高水準の人権と質の高い教育、福祉、医療、生活を享受している。
④沖縄県民は「少数民族」「先住民族」か?
●翁長
・沖縄は「民族自決権」をさまたげられた「先住民族」だ。(※「先住民族」という表現はスピーチに登場しないが、論理的にはそうなる)
●我那覇
・沖縄は紛れもない日本の一部であり、「先住民」ではない。
・中国が、県内の公人や支援者を煽動して独立運動を煽動している。
なお、この翁長氏の国連人権委スピーチに先立って、尖閣諸島を市域に含む石垣市議会は、演説において「中国の一方的な領有権主張」が「沖縄県民の人権を侵害している事実」を指摘するよう要望しましたが、ひとこともふれられませんでした。
この中国の脅威をまったくスルーするのは、一貫した翁長氏と地元2紙の基本姿勢です。
翁長氏が一顧だにしなかった石垣市の声については、記事末尾に抜粋ですが掲載いたしましたので、ぜひご覧ください。
. 。.:**:.。..。.:**:.。..。.:**:.。..。.:**:.。.
■翁長沖縄県知事の国連スピーチ(全文と訳文)
2015年9月2日
日本の沖縄県の知事、翁長雄志です。
私は、沖縄の自己決定権がないがしろにされている辺野古の現状を、世界の方々にお伝えするために参りました。
沖縄県内の米軍基地は、第2次大戦後、米軍に強制的に接収され、建設されたものです。私たちが自ら進んで提供した土地は全くありません。
沖縄の面積は日本の国土のわずか0・6%ですが、在日米軍専用施設の73・8%が沖縄に集中しています。
戦後70年間、沖縄の米軍基地は、事件、事故、環境問題の温床となってきました。
私たちの自己決定権や人権が顧みられることはありませんでした。
自国民の自由、平等、人権、民主主義も保証できない国が、どうして世界の国々とこうした価値観を共有できると言えるのでしょうか。
日本政府は、昨年、沖縄で行われた全ての選挙で示された民意を無視して、今まさに辺野古の美しい海を埋め立て、新基地建設を進めようとしています。
私は、考えられうる限りのあらゆる合法的な手段を使って、辺野古新基地建設を阻止する決意です。
今日はこのようにお話しする場を与えて頂き、まことにありがとうございました。
■国連人権理事会における我那覇真子氏スピーチ全文
スピーチは英語 和訳は本人による
http://hi-hyou.com/archives/3368
2015年9月26日
被差別少数琉球民族は存在しない
~デマゴーグとプロパガンダは21世紀の国際社会には通用しない~
昨日皆様は、沖縄は紛れもない日本の一部であるにも関わらず、「沖縄県民は日本政府及び米軍から抑圧される被差別少数民族である」とお聞きになられたと思います。
それは全くの見当違いです。
私は、沖縄生まれの沖縄育ちですが、日本の一部として私達は世界最高水準の人権と質の高い教育、福祉、医療、生活を享受しています。
人権問題全般もそうで すが、日本とその地域への安全保障に対する脅威である中国が、選挙で選ばれた公人やその支援者に「自分達は先住少数民族である」と述べさせ沖縄の独立運動 を煽動しているのです。
我々沖縄県民は先住少数民族ではありません。
どうかプロパガンダ(政治宣伝)を信じないでください。
石垣市議会議員の砥板芳行氏からのメッセージです。
「沖縄県の現知事は無責任にも日本とアジア太平洋地域の安全保障におけるアメリカ軍基地の役割を無視しています。翁長知事はこの状況を捻じ曲げて伝えています。中国が東シナ海と南シナ海でみせている深刻な挑戦行為を知事と国連の皆様が認識をすることが重要 です」
ありがとうございます。
石垣市の管轄する尖閣諸島についてご説明をさせて頂きます。
東シナ海に点在する無人の島嶼部でありますが、魚釣島、南小島、北小島、久場島、大正島、更には沖の北岩、沖の南岩、飛瀬(とびせ)、とみっつの岩礁等からなっております。
石垣市の行政区域の中ですが、もっとも大きな魚釣島は石垣市から北西約170kmという位置でございます。周辺海域は非常に良好な漁場として知られておりまして、明治時代から昭和の初期にかけましては、羽毛の採取や鰹節の製造などで多くの人が魚釣島等で生活をしておりました。
尖閣諸島の位置の中におきましては、東シナ海の海底に石油の埋蔵の可能性があるというようなかたちで、1968年(昭和43年)に国連アジア極東経済委員会から報告がありまして、それ以降、中国及び台湾が領有権を主張するような場所になっている所でございます。
今日、9月7日でございますけれども、何の因果かわかりませんが、ちょうど5年前の平成22年9月7日に中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突するという事件が起こりました。このことは記憶に新しく、私たちにとっても大変大きな衝撃でありました。尖閣諸島の付近で違法操業中の中国漁船が、取り締まりを実施した海上保安庁の巡視船2隻に体当たりをして来た事件であります。その際、ビデオの流出等、いろいろありまして、そこで、これまでなかなか議論されてこなかった国境離島である尖閣諸島が国民全体が知るというところに至ったわけであります。
中国漁船の衝突事件を契機としまして、本市の尖閣諸島を取り巻く環境は激変してまいりました。
ご存知のように平成24年に当時の東京都石原都知事が、尖閣諸島を買い取るというようなお話をして、全国各地から多額な寄付が寄せられたのも記憶に新しいところでございます。
(略)
その年の9月11日に日本政府が所有者から3島を購入し、所有権を国有化ということになりまして、それ以降、石垣市の尖閣諸島周辺では、中国公船によります領海侵入が連日のように繰り返されているというような状況であります。
特に公船によります領海侵入は、国による国有化前の5回という数字から、国有化後の3年間で既に129回というところまで及んでおります。
また、中国海洋局所属の固定翼機によります尖閣の領空侵犯も起こっているのも事実であります。
このような現状に関しまして、私どもとしては大変大きな不安を感じるとともに、不測の事態が起こり得ないかということを不安視しているところでございます。
先にもお話ししましたけれども、尖閣諸島の周辺の海域はマチ類、カツオ類等、多くの魚が獲れる良好な漁場であります。漁業者においては、この不測の事態を恐れて、現状、漁を控えるという事態になっております。
(略)
市長として現状に対し、大変危機感を感じているところでございます。市民住民の生命財産を守ることは、私のもっとも大事な仕事のひとつであると考えております。平成25年には、尖閣諸島の通過を伴う中国海軍艦艇の活動が計8回、沖縄南方海域での活動が計4回されたと、確認をされております。このような状況を鑑みて、日々の環境が悪化し、現実的な脅威が高まって来ているというふうに感じているところでございます。
(略)
更に安全保障環境の現実的な脅威といたしましては、北朝鮮のミサイルの発射というのがございました。
(写真 北朝鮮の発射を迎撃するために石垣市に緊急配備されPAC3を批判する地元紙。地元紙が中国の侵犯を批判したことはついぞ聞かない。別に「潰せ」とも思わないが、いったい県民を守る側にいるのか聞きたい)
(略)
現状は中国海警局【日本の海上保安庁に相当】等の【中国】公船による領海侵犯や尖閣諸島周辺海域での中国海軍の活動などが急速に拡大活発化しているのが現状であります。
(略)
石垣市の尖閣諸島で、中国が領海侵犯を行っていること、近隣諸国でさまざまな不安定要素が出て来ているということを考えまして、これ以上の状況の悪化を止める手立てとしては、政府にしっかりとした外交の中での、もちろん平和的に話し合いで解決されるのがもっとも(ふさわしい策)でございますが、政府が、力による【中国の】現状維持【現状変更?】を容認しないという立場をしっかりと示すと同時に、それに対する備えも作って頂くことが必要かと考えております。
(略)
現在国会において審議されておりますが、安全保障関連法案につきましては、我が国の自衛権に基づいて自衛隊が米軍とも必要に応じ連携しつつ、いかなる状況においても対応できる体制を作り、日本の平和と安全をより確かにするもの、また沖縄を含む全体の安全保障が強化されるものであると考えております。
(以下質疑)
※長文につき抜粋としましたが、ぜひとも尖閣を管轄に持つ石垣市長の生の声の全文をお読みください。
■写真 そばの花が満開です。
最近のコメント