安保法制採決へ
これを書いている段階では採決に入れないようです。なにやらバリケードまで作っているとか。いい大人が、学生さんの革命ゴッコのまねしてどうするんでしょうね(苦笑)。
これを指揮しているのが、3.11の時の与党幹事長と官房長官の二人なんですから、まったく背筋が寒くなります。
おまけに、時の首相がクレージー・カンときたもんだ。よくもったもんだよ、うちの国。
(写真 反安保集会での野党党首の皆さん。岡田氏は志位氏とはつないでも、小沢氏とはつないでいないのが微笑ましい)
まぁ、これでこの党が政権に返り咲く可能性は限りなくゼロになりました。誰が国会でバリケード作るような政党に、もう一回政権作ってほしいもんですか。
100時間を越える時間審議をしているんですから、その間にやりようはいくらでもありました。
「対案はない。廃案だけだ」なんて叫ぶのが、元の防衛大臣だった北澤俊美議員ですから、もうなんともかとも呆れてものが言えません。
この人は、防衛大臣時代、何ひとつ現場の苦労をわかっていなかったのでしょうね。
(写真 皆さんお忘れかと思いますが、防衛大臣の時の北澤氏。迷彩服を着て、帽子には外国では元帥を表すファイブスターをつけている。政権党時代の民主党は集団的自衛権を当時認めていたことが、先日、国会で暴露された)
もう一回言っちゃおう。ああ、うちの国よくもったよ・・・。
こんな幼児退行現象起こしちゃう奴らが、政権中枢にいて100年に一度の大災害と原発事故の対応をしていたのです。ぞっとします。
彼らは政権から石持て追われましたが、改心していなかったようです。今度は抵抗政党です。
本質的議論を意図的に回避して、ただひたすら足を引っ張り、審議を引き延ばすだけが唯一の「政策」だと考えているのですから手に負えません。
さんざん焦点ボケのことを言い散らして、参院まで追い詰められると、今度は「身体を張って阻止」ときたもんです。
これで今まで、「自民はちょっとね」という支持層も呆れ返りました。この幼児的戦術を取ればとるほど、「1億人がオレたちの背後にいる」というような自己陶酔は深まるようですが、政党支持率は正直に直下降しています。
直近の政党支持率です。
自民は衆院段階の下降をくい止め上昇に転じる一方、民主党は下落が止まりません。あれだけ手厚いマスコミの援護射撃は、民主のカンフル剤にならなかったのです。
下図が報ステという、日本でもっとも自民党を憎悪している番組が調査した政党支持率です。※2015年8月調査 http://www.tv-asahi.co.jp/hst/poll/201508/index.html
民主党はこの間の旧社会党さながらの抵抗政党型国会戦術によって、リベラル側の支持者を共産党にむしり取られ、政権抗体時に基盤となった「自民はいやだが、共産党はもっといやだ」という保守層の支持を壊滅的に減らしているのがわかります。
党 名 | 支持率(%) | 前回比 |
---|---|---|
自民党 | 45.0% | +3.7 |
民主党 | 13.2% | -4.1 |
維新の党 | 4.1% | +0.1 |
公明党 | 5.8% | +2.6 |
共産党 | 5.0% | -1.7 |
次世代の党 | 0.0% | 0.0 |
社民党 | 1.1% | +0.3 |
生活の党と山本太郎となかまたち | 0.2% | -0.2 |
日本を元気にする会 | 0.0% | 0.0 |
新党改革 | 0.0% | 0.0 |
その他 | 1.1% | 0.7 |
支持なし、わからない、答えない | 24.5% | -1.4 |
言うも愚かですが、国会とは言論の府です。政策を出し合ってディベートする場所です。北澤氏が「対案がない」と大声で言った瞬間、、言論で戦うのを止めたということです。
「オレはバカだから、なにもわからないんだ!」、と大声で叫んでいるようなもんです。
これって、「もう二度と政権党に戻らない、生涯一抵抗政党でいる」ってことを宣言したようなものです。
(写真 民主党の女性議員たち。スクラムを組んで委員長の入場を阻止しておいて「触るな、セクハラだ」とのこと。わ、はは。もうこりゃダメだ。この女性議員たちには恥という感覚がないのか?)
もし民主党が有効に審議を遅らせたいのなら、こんな土壇場に追い込められて、支持率をどんどん下げる前に、いくらでもやりようがありました。
そして「徴兵制がやって来る」といった四次元方向に話を持っていかないで、現実の国を取り巻く環境について、個別具体論で問い詰めていけば、ボロボロ欠陥がで出たはずです。
安保法制は、朝日にかかると「戦後の国のあり方を大きく変える」そうですが、そんな大仰なもんじゃありません。
※朝日社説http://www.asahi.com/paper/editorial.html
今まで現場力で凌いでいたツギハギを、なんとか法制化してサポートする一歩を踏み出しただけです。
既に内容的には今年4月の「日米安全保障ガイドライン」で決まっていたことです。安保法制はこのガイドラインに沿ったものです。
具体的にこのガイドラインで示されていたのは、日本を取り巻く国際環境が、戦後最悪になりつつあるという厳しい認識です。
衆院の審議で、首相は外交的配慮で名指しを避けたために、「ホルムズ海峡」方向にボールがスライスしていきましたが、中東なんて関係ありません。
緊迫した状況の中で、場当たり的にギクシャクしないで、あらかじめ起きそうな非常事態に備えていこうとすることです。
安全保障とは、ひとことで言えば、国の主権を守ることです。ですから、国民が住んで生活し、生産活動を続けている領土領海の安全を守ることです。
これに関わっている組織はいくつもあります。警察、海の警察である海上保安庁、そして自衛隊です。
そして、忘れてならないのは、日本と安全保障条約を結んでいる米軍がいます。
この4つの組織が、有事においてドタバタしないで、任務をシェアしたり、引き渡していくための法律が今回の安保法制なのです。
政府はこれを「シームレス」と呼びました。何も横文字で言うことはないと思いますが、シームレスとはストッキングじゃなくて、「切れ目がない」ていどの意味です。
たとえば、外国軍が領海侵犯したり、離島に上陸したりした場合、まず海保が対処します。
いきなり、軍隊が対応すると戦争になるからで、世界各国が海保、つまりコーストガードドを持っているのは、いきなり海軍同士のドンパチを避ける大人の知恵なのです。
しかし、侵入してきたのが外国軍だったとすると、海保は先日お話した「警察比例の原則」で対応せねばならなくなります。
すると、ピストルでカラシニコフと対応することになりかねません。その場合、自衛隊を呼ばねばなりません。
この海保と海自の任務の受け渡しをスムーズに行なうというが、今度の法制のキモのひとつです。
もうひとつのスームズは、自衛隊の防衛出動をスムーズに行なうことです。
今まで何度も書いてきましたが、自衛隊は勝手に動けません。世界一縛りがきつい組織です。
フツーの国の軍隊は、「コレだけはしてはならぬ」ということをリストアップして、それ以外は国を守るためならやっていいのですが、うちの国の自衛隊だけは、「軍隊ではないなにか」なのでできない仕組みになっています。
根本原因は、自衛隊が憲法で認められていない「軍隊のようなもの」だからです。ですから、自衛隊は、警官職務執行法の概念で規制される唯一の「軍隊」です。
「これこれをせよ」という命令をもらって、時には特別措置法を作らねばなりませんでした。
これの幅を拡げるのが今回の法整備のキモのひとつです。たとえば、「駆けつけ警備」です。外国のPKOに行っていても、隣にいるオランダ軍を助けることができませんでした。
(写真 南スーダンに派遣された自衛隊PKO部隊。かつて朝日や護憲派は、PKOすら反対した)
国際警察活動で一緒にがんばっている友軍が攻撃された場合どうするのかについて、当時の自衛隊PKO指揮官はこう言っています。
「偵察と称して出かけて、自らが撃たれることで、自衛反撃の要件を満たして対処する」
こういうことは隣のPKO部隊だけではなく、東チモールでは邦人が救助要請しても建前上は救助ができませんでした。
そこで現場指揮官が考えた苦肉の策は、「事情調査の名目で出動し、自分が撃たれることによって邦人を守る」と考えていたそうです。
米艦や海保が攻撃を受けた場合も、艦を間に割り込ませて防ぐ決意をしていたのです。おそらく、その自衛艦は沈むでしょう。
そんな自らを犠牲にする方法でしか守れない、それが現実です。こんな悲壮な覚悟をしている「軍隊」など、世界のどこにあるでしょうか。
まさに自衛隊の現場力と、悲壮な犠牲精神でなんとか凌いできたのです。これをなんとかしようというのが、今回の法整備です。
もちろん今回の安保法制で解決するわけではまったくありません。山積した矛盾のごく一部を解決するだけです。
これを朝日と民主党はなんと、「戦争法案」と罵倒するのですから、常識を疑います。
今回も、邦人救出を「領域国政府の同意」を前提にして法整備しようとしたところ、案の定、朝日に「抜け道だらけの戦争法案反対」という非難を浴びて、審議は難行しました。
どうも朝日や民主党は、邦人を救助することまでも「戦争」だと言いたいようです。9条護教派の冷血ぶりが透けて見えます。
話を戻しますが、離島や領海に侵攻を受けた場合、海上警備行動などの発令を受けてからでないと自衛隊は動けません。
仮に目の前に、日本漁船が外国軍艦によって蜂の巣にされていても、原則は指をくわえてみているしかなかったのです。
あるいは、漁船と外国軍の間に飛び込んで、自分が撃たれてから反撃することしか不可能でした。
この異常な縛りを少しでも減らすというのが、今回の法整備です。
それは海上警備行動は閣内全員の承認がいるので、せめて電話連絡で閣議了解としようという程度の法整備にすぎません。
また、米軍と共同警戒・監視活動をしていた場合に、今まで米艦が攻撃を受けてもどうしようもなかったことを、守れるようにしました。
これで守れるのは米国だけです。オーストラリアやインドなど別な諸国には適用されません。公明が反対したからです。
これでは、今、実施されている日米印の共同訓練において、インド海軍が攻撃されても防げません。
このように、朝日が言うような「戦後社会のあり方を根本から変える」どころか、実にささやかな法整備でしかありません。
本来なら、自衛隊に領海警備の権限を与える法整備を図るべきですが、それも見送られました。
(写真 安保法制反対デモ。若者ばかりマスコミはスポットをあててヒーロー扱いにしたが、実態はいわゆるオールド「日教組世代」の共産党員と、組合と動員だった。来週から生きがいをなくして可哀相)
民主党長島昭久議員たちが、領域警備法を提出しようと、民主党内でがんばったようですが、あえなく執行部に握り潰されたようです。
これが提出されていれば、「領域」とはどこを指すのか、自衛隊はなにができるのか、できないのかを、中国の脅威と対応してリアルな議論が可能となったはずです。
このような実のある議論を深めて、法案をよりよくしていくならわかりますが、元防衛大臣が「対案なし。廃案だけだ」と言うようではオシマイです。
こういうことで100時間議論して、まだもっと改良が必要だというならわかりますが、「戦争法案反対」から一歩もでないようではどうにもなりません。
朝日と民主党には、こんな古典的罵倒語を進呈します。
豆腐の角に頭をぶつけて死になさい。
■速報 安保法制法案は午後4時30分頃、特別委で可決しました。
(写真 鴻池委員長に代わった佐藤議員に襲いかかる民主党議員。佐藤議員はイラク派遣部隊の隊長だった)
「集団的自衛権の限定的な行使容認を含む安全保障関連法案は17日午後の参院平和安全法制特別委員会で、自民、公明両党などの賛成多数で可決された」
(産経新聞16時40分)
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コメント
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実に微笑ましい光景ですね。
立法府の国会議事堂の廊下で、横浜で公道に寝転んだり、議事堂前でガナリたてる連中と連携しての人間バリケード。
どこの学生気分のサークル活動なのやら。
実に素晴らしい「民主主義」ですなぁ。
呼応した法学者さんが「安倍を殺せ!」とか叫んだり。それこそ「殺人教唆」ではないのか。
殺人は合憲なんでしょうか?
強行採決?何それ。
安倍さんは第一次政権であくまで合法的にやって批判を浴びたので学習してますね。今回の自民党の我慢強さはすごいと思います。
民主党はそんなに討論したくないなら、ほっといて衆議院に戻せばいいだけです。
これが強行採決だの数の暴力だと批判する連中やマスコミがいますが、民主政権時代の「強行採決」の数と比較してどうなの?と。
それこそ笑える数字がでますよ。
「強行採決絶対反対!」とか騒いでる連中、民主党に言ってやれよ。あいつらが与党時代には集団的自衛権容認だったんだし。
いくら絶倫ギンギンだったとはいえ、ずいぶんと痩せた鴻池委員長の体調が心配です。
私は民主党政権での北澤さんはかなり高く評価してました。自身の軍事音痴ぶりを知っていて、鳩山のフォローで各地を回って意見を聞いてましたから。しかし、今回で0点に戻りましたね。
と、またまた委員会室でギャーギャーとやってますな…。
相変わらずの「反対だから反対!対案は無い!」という醜態ですが。
投稿: 山形 | 2015年9月17日 (木) 09時16分
長島議員 渡辺議員 また彼らに近い思想の民主党議員へ。もう民主党はダメです。早く離党すべきです。共倒れするには勿体無い。自民党内の売国議員らと替わって欲しい。真剣にプロの視点 思考で国益を唱える事ができる政治家こそが必要なのです。今の民主党は完全に旧社会党一派と極左崩れに制圧されてます。もう二度と政権は任せられません。
投稿: オヤジ | 2015年9月17日 (木) 11時56分
オヤジさん、まったく同じ事を書こうと思っていました。(笑)
対案も出せず、旗幟すら鮮明にできない党なんかとは
さっさと三行半を突きつけて袂を分かつべきです。
自民に対抗しうる受け皿をどうにか作って貰いたいと思います。
民主党のような右や左の旦那様がつるんだ集団には願うべくもありません。
「ウソつき!」「ウソつき!」をひたすら連呼する姿を見て情けなくなりました。
まるでどこぞの小学校の児童会かと錯覚しそうになりましたが、
今の時代、どこの小学校でもあんな幼稚なことはやってないでしょうね。
投稿: 右翼も左翼も大嫌い | 2015年9月17日 (木) 16時37分
報ステの世論調査、9月は更に自民党支持が増え、民主党支持が減っていますね。
個人的な印象ですが、民主党は完全に民意を見誤っているように思います。
確かに世論調査では安保関連法案反対派が過半数を占めますが、反対派の全てが「戦争ハンタイ、徴兵制ハンターイ!」という訳ではなく、多くは日米安保や集団的自衛権の必要性をある程度認識しつつ、それでも一抹の不安を感じて反対している人なのではないかと思います(あくまで個人的な印象ですが)。
本来なら、その不安に寄り添うのが民主党の役割ではないかと思うのですが、共産党と一緒になって「戦争ハンターイ!」とやっているのを見ると、こりゃダメだと思いますね。
投稿: 山口 | 2015年9月17日 (木) 22時04分
私もそうでしたが、日本は個別的自衛権で簡単に守られる(即対応)と思ってました。
こちらの分かりやすい説明で知識を得るまで、自衛隊が亀甲縛りで簡単に動くことが出来ないなんて知りませんでした。
マスコミも縛りを説明しないですから同じような国民は多く、個別でこと足りると反対派議員に言われたら鵜呑みにしますね。
集団的自衛権…ホルムズだとかよくわからない、戦争法案?徴兵制?反対しとくか〜になります。
長島議員、うちの選挙区です(笑)
去年は自民党に僅差で惜敗し比例復活の5期目、民主党を出て無所属になる勇気があるかな。
投稿: 多摩っこ | 2015年9月17日 (木) 22時55分
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在特会、維新政党・新風、産経新聞社、統一教会、チャンネル桜、日本会議、国際勝共連合、戸塚ヨットスクール
投稿: 安倍極左政権を許さない!!! | 2015年9月19日 (土) 02時01分