「平和国家」を叫ぶ人たちが決して言わないこと
意味不明のコメントが来ました。全編、これレッテル貼りだけで、ナニ言いたいのきみ?という内容です。
「腹を切れ」「暇人」とまで書いていますが、意味ぜんぜんわかりませ~ん。
懸命に暗号解読すると、どうやら言いたいのはこの部分みたいですね。
「アベも所詮はAKB並みの使い捨ての捨て駒。アヘのおかげで日本独立はまた100年は遠くなったのであります」
アヘとなっていますが、まぁ安倍氏のことでありましょう。アヘだったら、連呼すると盛りのついた猫みたいになってしまいます(笑)。
まぁ、この人のように、この安保法制や、その前段の宣言文であった70年談話も、いちばん右の人は嫌悪するだろうなと思っていました。
この右の人が言う「日本独立」という表現は、実は日本共産党も大好きで、反米論者の愛好用語のひとつです。
この人たちによれば、日本は「親米ポチが支配する従属国だ」ということになるようです。
しかし笑えることには、実際にこの「反米愛国路線」を現実に移すと、日米安全保障条約廃棄という一点で、仲良く一致してしまいます。
ちょうど、一本のヒモの両端を曲げるとくっついてしまうのと一緒です。
違うのは、右翼が安保廃棄⇒再軍備という戦前の路線に回帰するのに対して、左翼が安保廃棄⇒非武装中立のようなファンタジー空間に入ってしまうことでしょうか。
あいにく、今の日本は、大日本帝国の失敗をもう一回繰り返すわけにはいきませんし、逆に 米軍制下で丸腰にさせられた敗戦直後に戻ることもまた無理です。
さて、今回の安保論議を通じて問われたことは、煎じ詰めると、今後日本がどのような外交の方向で進むか、ということです。
それに対する安倍政権の答えは明確に、日米同盟の濃度を濃くしていくというものでした。
その理由もまた明確でした。現実に、中国の脅威は今までの安全保障の枠組みの想定を大きく越えてしまったからです。
国会審議では、中国への外交的配慮からか名指しを避けたためにホルムズ海峡がどーたら、徴兵制がどーたらという脇道に逸れましたが、後に中国を名指しして法案説明をする頃になると、「必要だ」とする人が半数を占めました。
残念ですな、岡田さん、あなたの背中には1億人もいないのですよ(苦笑)。ま、どうでもいいか。
民主党のように、中国の海洋への軍事膨張を、都合よく「見ない」人たちが、中国に秋波を送ることを「平和外交」だ思っています。
この人たちはアジア、特に私たちの住む東アジアでは、歴史的に中華帝国を頂点とする位階秩序があり、それは今でも健在だということを忘れているようです。
いや、忘れているというより、むしろその位階秩序の上で生きることこそが「平和国家」だと思っているらしいのです。
(写真 2009年12月。当時幹事長だった小沢一郎に率いられた民主党訪中団。総勢630名、現職国会議員143名は史上最大規模である)
上の写真は、当時権勢の絶頂期にあった小沢一郎氏の訪中団の折のものです。
小沢氏は、写真のようにニカニカしながら、民主党現職議員をひとりひとりを胡錦濤首席に握手させて、記念写真を撮らしています。
※小沢訪中団 - Wikipedia
もう一枚この民主党議員たちの、参院採決の折の狂態も乗せておきましょう。実はこの二枚には関係があります。
さて、この訪朝時の小沢氏の梁光烈国防相会談における発言です。
「日本では中国脅威論の名の下に防衛力強化の意見が根強くある」「今後も専守防衛の原則に基づいて国防政策を進めていただきたい」
ちなみに、この訪中で小沢氏は、中国に媚びるあまりこんな悪いリップサービスまで口走ってしまって、国民の顰蹙を買いました。
「こちらのお国(中国) に例えれば、解放の戦いはまだ済んでいない。(略)人民 解放軍でいえば、野戦の軍司令官として頑張っている」
ここまで言うかね。絵に描いたような朝貢外交です。田中角栄の直弟子なるが故でしょうが、政治家としての底が浅さが透けてみえます。
それはさておき、なぜ日本でこういう小沢氏のような朝貢外交が生れてしまうのでしょうか?
それは、東アジアにおいて、NATOやECのような経済・軍事的集団安全保障体制が生れにくい理由にもつながっています。
私はその最大の原因は、中国の位階秩序(華夷秩序)が現存しているからだと思っています。
冷戦が終わっていないからだという意見もありますが、中国が歴史的中華秩序を捨てることができず、その中国が共産化したために重なってしまったのです。
ヨーロッパが、長い戦乱の間に、相互の主権を尊重していくことが平和を守ることにつながると考えたのに対して、中国はそう考えませんでした。
中国にとって世界の中心は中国であり、中国皇帝を慕って世界の指導者たちが貢ぎ物を持って馳せ参ずる、というのが中国が描く「平和的秩序」の原イメージです。
ですから、関係はヨーロッパ圏のような主権平等ではなく、上があって下を従えるという縦の支配秩序なのです。
慕って来る配下の国の指導者たちは温かく迎え、逆らう国には強権で圧力をかけ、時には戦争に訴える、これが中華秩序でした。
この構図がいまでも生きていると改めて世界に見せつけたのが、先日の抗日70周年ナンジャラの軍事パレードでした。
中国にとっては、自分以外の国々などはしょせん鼻クソのような従属国であって、生き延びたければ、それぞれオレの中華秩序の中で、生存圏を探ればいいのだと考えています。
これでは、ヨーロッパ共同体など生れようもありません。
アジア地域においては、この中華秩序に従属するのか、あるいは距離を開けて自立した主権国家である道を歩むのか、ふたつにひとつしか選択肢はありませんでした。
アジア地域で唯一、自立路線を取ったのは我が国のみでした。
つまり、中国が変わらない限り、おのずと選択の道は限られてしまうのです。2択です。
媚びて自国の生存圏を分け与えてもらうのか、それともその脅威を正面から見据えて自立国家の道を行くのかのふたつです。
(写真 喪服で投票パーフォーマンスする小沢氏の唯一の友・山本太郎氏)
これが、今回の安保法制に対する大きな対応の差を生みました。
安保法制に反対する人達が決して口にしないのは、中国の軍拡であったことを覚えているでしょうか。
彼らは「米軍について地球の裏側まで派兵するリスク」を叫びながら、目の前の中国の脅威には堅く口を閉ざしました。
彼らが見ないのは自由ですが、中国の膨張は、東アジアのみならずアジア全域のパワーバランスを大きく変化させました。
それは、従来一貫してアジアの安全保障インフラを提供してきた米国の力が、大きく後退したためでもあります。
今回の安保法制整備の目的は、はっきりしています。
それは、自衛隊と米軍の連携を強化することで、日本と米国は共にひとつの中国という名の脅威に立ち向って行くのだ、というメッセージの発信です。
そしてそれは同時に、中国の脅威を真正面から直視し、日本は中国の押しつける中華秩序に組み込まれる意志がない、という姿勢を示したことになります。
かつて、小沢氏と中国朝貢外交をした民主党議員たちが、身体を張って守ろうとしたのは日本の「平和」ではなく、「宗主国」だったのかもしれません。
それも、昨日今日に始まったことではないのは見てのとおりです。
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コメント
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国家間の「つながり」なんて、「絆」じゃなくてヤクザ
間の「仁義」みたいなもので、利害関係やシノギなどで
ドーにでもされてしまいます。主権国家を実効的に縛る
国際法なんてありません。あったらあったで世界統一の
統治機関で、悪夢ですし。
かと言って、日本は米国みたいに「モノ」が豊かでは
ないので、物理的に独立すると江戸時代の生活が待っ
ている。国外に資源などを求めるしかないので、悔し
いのですが、独立なんかムリ。逆に独立しようとして、
先の大戦で領土を拡めようと侵略までしなければなら
なかった。まあ勝ってたらモンダイなかったんだけど。
現状で現実的には、米国と中共の間でイヤらしくバラ
ンスを取るしかない。現在では、米:共=9:1ぐらい?
日本みたいな通商国家は外交手腕がキモです。正直、
頼りないですけど・・せめて中共にかこつけて、米国に
日本の諜報機関の設立を認めさせたいですね~ 中共は
もちろん、米国側も探ります。まあ、おあいこですわ。
ヤクザでさえ、集散離合してシノギを削っているのです
から、国家ならなおさらです。翁長さんは予想に反して
傑物なのか? ただの欲ボケ馬鹿か知れませんが。w
投稿: アホンダラ | 2015年9月21日 (月) 13時50分
似て非なる左右思想なんでしょうね。
右翼から総スカンを喰った一水会…新右翼って何?
先程テレビ見てたら弁護士のケントギルバード(63)が安保の強行採決についてコメントしてました。
悪いですけど笑っていいですか、日本や韓国に巻き込まれるのはアメリカの方ですよ。
アメリカは戦争が嫌いです。
ISILは根が深いからアメリカもどうすればいいのかわからない。今は自衛隊の出番などない。
何か起こればよく検討して自衛隊を派遣するかどうか決めればいいこと。(必ず派遣する必要は無い)
というような内容でした。
アメリカ人から見ると戦争法案?
アメリカの戦争に巻き込まれる?
何を言ってやがんだジャップ、気は確かか?
お前らの紛争に俺たちが巻き込まれるんだよ〜なんですね。
ため息出るのが報道される世界の反応、中国と韓国にアメリカ、マスコミの指す世界って狭過ぎる。
投稿: 多摩っこ | 2015年9月22日 (火) 00時33分
左の方に疑問なこと。
中国の対外侵略に何も言わないこと。なおかつ、共産党の行為はすべて正当な行為だと平然と言うこと。
資本論の相対的剰余価値の生産には、自由で創造的な発想(科学技術の向上)や効率的な生産・流通・消費システムが不可欠であり、その進化により有機的構成の高度化が産まれ、共産社会が訪れるという根本的な思想が理解されていないように思われます。シュンペーターの創業者利潤の概念もベンチャー企業形態の根幹で、上記相対的剰余価値の生産拡大に直結します。
左の方は、単に労働者団結とか不当労働反対とか、何か道徳的なことばかり言っているような気がします。科学的社会主義とは資本論の根幹の相対的剰余価値生産による有機的構成高度化→共産社会のことを言っていると思いましたが、どうも違うようです。私は以前左の方にそのことを聞きましたが、おそらく資本論を読んだことがなく、プロパガンダのような信条のみ話されていました。
なお不当な労働行為は絶対的剰余価値の拡大という前近代的な搾取体制が広まってしまいますので、全体の価値縮小、自由で創造的な活動の抑制に繋がりますので、そのような行為をなくす努力も必要だと思います。
以上すべて私見です。
投稿: ガロア | 2015年9月22日 (火) 12時14分