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わかりやすい移設問題その1  こんがらがったら、初めから解きほぐしてみよう

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政府と翁長県知事が角を突きあわしています。 

翁長さんは、国内ではラチがあかないとみたのか、米国に県外交したり、国連人権委に行ったりしています。 

う~ん、あまりこういった動きは筋がよくないですね。 Photo_5

というのは、これは基本は国内問題なのです。米国は当事者ですからしかたがないとして、米国すらあまりクチバシをいれないようにデリケートに扱っている問題です。 

この間17年もの曲がりくねった事情を知らない第三国で、「人権侵害だ」と訴えるというのはいかがなものでしょうか。 

そうか、オレが仲裁してやろうなんて常任理事国である中国が言い出したら、もう永久に解決しないばかりか、内政に外国政府を干渉させることになりかねません。 

翁長さん陣営は、国内問題を外国に持ち出して、外圧で状況を有利に運ぼうということは絶対にお止めになって下さい。かえってこじれますよ。 

いまのこの膠着した状況は、政治力学の谷間に落ちたことから来る「流れ」なのです。

この延々と17年間も続く紛争の起こりは本土政府が、「善意」で普天間の危機を除去しようと試みたことから始まります。 

Photo(写真 2004)年8月13日、普天間飛行場所属の大型輸送ヘリコプターCH-53Dシー・スタリオンが訓練中、操縦不能に陥り、市内・沖縄国際大学1号館の北側に接触、墜落炎上した) 

政府バカヤローと思っている方も、県内には多いと思いますが、この程度の「善意」は信じてやって下さいね。 

普天間でCH53というバカデカイ米軍ヘリか墜落したことは、県民のみならず、本土政府も震え上がったのですから。 

いつかこの人口密集地で墜落事故が起きるというのは予測されていました。 

下の空中写真を見てください。これが普天間基地です。 

Google Earthに学校や郵便局などの公共施設を乗せたものを見ると、とてもではないが、基地を置くべき場所でないのはわかります。 

Photo_2(図 Reconsideration of the History による)

まず住宅地があって、その中に基地が落下傘降下したわけではないのですが、現状がこのようになってしまった以上、政府としては早急に対策を立てる必要に迫られました。

また、この事故はもうひとつの別の問題を引き起こします。

それはいち早く駆けつけた(なにせ隣が基地ですから)米軍が、米軍機の残骸をさっさと基地内に撤去してしまったことてす。

ふざけるなと言いたいですね。

日米地位協定でその権利があるかどうか知らないが、まずは墜落した地域の沖縄県警や消防が実地検分するのが筋なはずです。

施政権を持つのは、いうまでもなく、日本政府です。その日本政府の公的機関を無視して、いわば事故を起こした「犯人側」が、さっさと事故現場を封鎖し、証拠物件を押えて移動してしまうというのは、いくらなんでも話が違います。

おまえらは占領軍かって。

日本人はもっと怒るべきです。こういうことにヘンに物分かりがいいから、日本は米国になめられます。

さぞかし、日本側の関係者は歯ぎしりしたことでしょう。こういうことをするから、米軍は恨まれるのですよ。

これで危なく頭上に落ちてくる所だった県民の怒りに火が着きました。当然すぎるほど当然です。私が当時沖縄にいたら、真っ先に抗議集会に馳せ参じたでしょう。 

さて、ここで問題点を整理してみましょう。普天間に基地を置くことには問題がありすぎることはわかりました。

ではどうするのか、です。

一点目として、普天間にこのまま基地を置いておくべきでないなら、移設先や手段はどうするのか。
二点目として、普天間基地の果たしている安全保障上の働きを傷つけないためにはどうしたらいいのか。
三点目として、日米地位協定の不平等性をどうしたら解消できるのか。
四点目として、この移設作業が、沖縄経済の活性化に役立たせるにはどうしたらいいのか。

これらの条件を満たして考えていかないとだめだと、私は思います。

これらはバラバラにあるのではなく、実は同じことを別の言い方で言っているだけのことです。

たとえば、普天間基地は移設しました、役に立ちませんでしたでは、大枚の税金を注ぎ込む意味がありません。

ならば、沖縄海兵隊がなぜここにいるのか、なんのためにここにいるのか、そもそも「海兵隊」ってどんな軍隊なのかをしっかりと、県民に理解してもらわねばなりません。

これをするのが本来、昨日書いた政府の「説明力」なのです。

残念ながら歴代の本土政府は、この肝心要な部分を吹っ飛ばして、飴を配って宥めすかしたりすることばかりしたために、まるで後ろめたいことをしているような印象が県民に生れてしまいました。

もちろん、移設自体は「いいこと」なのです。別に「新基地」を作って県民をもっとイジめてやろう、などと考えているわけではありません。

政府が日米同盟という選択をしたことはベターな選択です。これはしっかりと県民の理解を求めるべきでした。いちばん負担している県なんですから、当然のことです。

今回の安保法制審議でも、政府は奥歯にもののはさまった言い方をするのでイライラさせられましたが、中国の脅威の真正面に位置するのは、他ならぬ沖縄県なのです。

よく朝鮮半島がどーしたの、台湾がどーたら、沖縄は「キイストーン・オブ・パシフィック」だから地政学的にどうのとわかったようなことを言う人がいますが、そんなことまで考えなくてもけっこうです。

なんせ沖縄県自身が、もっとも危険な位置にいるのです。

中国は大陸で東西南北に拡大するだけ拡大してしまって、もう行き場がなくなってしまいました。

その間、四方八方の国々すべてに侵攻して、戦争をしています。あいにく弱いので大部分が負けているのが、ご愛嬌です(苦笑)。

ただし、相手が弱いとよおとカサにかかって攻めてきます。たとえばチベット、ウイグル、フィリピン、ベトナムなどです。

そして陸で行き詰まった中国は、新たな膨張方向として海洋を選びました。それが南シナ海の要塞島建設や、尖閣諸島などがある東シナ海への膨張です。

Cpzs0aouyaaxu5v(中国、南沙諸島のファィアリークロス礁で滑走路運用開始。中国初の滑走路完成だ。スビ礁やミスチーフ礁でも3000m級滑走路建設中)

東シナ海で目障りな日本の領土を突破すれば、晴れて太平洋が待っています。

つまり沖縄県は、中国が膨張すしようとする、ちょうどその真っ正面の扉の場所に当たっているのです。

立場としてはフィリピンやベトナムと一緒なはずですが、不思議なことには沖縄にはその緊張がぜんぜんないどころか、あろうことか知事が「米軍基地は出て行け」などという始末です。

尖閣諸島は沖縄県石垣市です。先日も中国の公船は堂々と侵犯してきました。中国軍機は当然のような顔で、領空侵犯を繰り返しています。

Photo_6(写真 侵犯する中国海警と日本の巡視船)

上の写真は2014年2月19日午前10時20分頃に、尖閣諸島(沖縄県石垣市)久場島西の領海に侵入した中国海警局の公船2隻です。

彼らは海保第11管区の警告に対して、なんと返答してきたと思います。

「釣魚島(尖閣諸島の中国名)および付属の島々は、古来中国固有の領土である。周辺12カイリは中国の領海である。貴船はわが国の領海に侵入した。ただちに退去してください」

特他国の領海に侵犯しておきながら、警告を発して「おまえこそ出ていけ」と言うのが中国という国なのです。ヤクザと一緒です。

中国という国の発想には、根深くこの縄張り根性があります。

いま、習近平は訪米中ですが、前回の訪米時にはなんと、「太平洋を二分割しようぜ。オレはハワイから東をもらうからよ」と言ってのけた国です。

当時米国もG2を考えないでもありませんでしたが、それは太平洋分割ではなく、世界規模の協力関係を築いていこうというもので、本質的に相いれませんでした。

それはさておき、こんなヤクザのような膨張国家の太平洋正面に位置する尖閣から本島まで、延々600㎞以上に渡って、まったく無防備な宮古、八重山諸島が続きます。

防衛の空白地域です。中国に狙ってくれと言っているようなものです。

もし中国が南シナ海でやっているような暴虐を、東シナ海やり始めたらどうします。

残念ですが、自衛隊だけでは沖縄を守りきれません。

沖縄に強力な米軍が「いる」ということで、中国はおいそれと手が出せないのです。

これが沖縄に米軍がいて、基地がある意味です。

長くなりましたので、次回に続けます。

 

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コメント

細かいことで申し訳ありません。
「領海侵犯した中国公船」の写真、3隻とも海保の巡視船のように見えるのですが、いかがでしょうか?

投稿: 山口 | 2015年9月25日 (金) 07時51分

山口さん、よくわかりましたね。私のミスです。差し替えました。

投稿: 管理人 | 2015年9月25日 (金) 08時52分

ご説に同意します。翁長知事は一体何を目指しているのか理解できません。

投稿: なりひら | 2015年9月25日 (金) 14時48分

政府が地位協定改定に本気で取り組む姿勢を見せることができたら、沖縄県民の感情もかなり和らげることができると思うのですが。しかし、ここ最近の翁長知事の言動の迷走ぶりはひどいですね。

投稿: クラッシャー | 2015年9月25日 (金) 18時49分

詳しい解説に感謝します。
まだ続きがあるようなのでここでコメントしてよいものか迷いますが。
「沖縄県は、中国が膨張すしようとする、ちょうどその真っ正面の扉の場所に当たっているのです。」は理解できます。
しかし問題は、扉を頑丈にすることが本当に沖縄、そして日本の防衛に最善なのか?ということです。
繰り返しになりますし、もう聞き飽きた反論かもしれませんが、
①ジョセフ・ナイ元米国防次官補の「ハフィントン・ポスト」での発言、「中国のミサイル技術が発展し、沖縄の米軍基地は脆弱(ぜいじゃく)になった」
②中谷・防衛相の以前の発言「沖縄の基地を分散しようと思えば九州でも分散できるが、抵抗が大きくてできない」「理解してくれる自治体があれば移転できるが『米軍反対』という所が多くて進まないことが、沖縄に(基地が)集中している現実だ」
③森本防衛大臣の発言「軍事的には沖縄でなくても良いが、政治的に考えると沖縄が最適の地域である」
これらの発言はすべて間違っていると言うことでしょうか?

投稿: ある沖縄人 | 2015年9月25日 (金) 22時01分

いろいろ反論して申訳ありません。さまざまな発言は、言ったか言わなかったかということにこだわっているのではありません。
素朴な疑問なのです。
対中国、戦略的にもはたして沖縄に一極集中させることがよいことなのでしょうか?扉が破られたらどうするのでしょう?
他にも扉を作った方がよいのではと思ってしまいます。予算の問題もあると思いますが。

投稿: ある沖縄人 | 2015年9月25日 (金) 22時52分

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