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移設問題 国が代執行に踏み切る

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政府が、翁長氏の「承認取り消し」に対して、代執行で臨むことを決めました。 

「沖縄県の翁長雄志知事は27日夜、那覇市内で記者会見し、政府が米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)移設先の名護市辺野古埋め立てを知事に代わって承認する「代執行」を決めたことについて、「政府の最後通告だ。不当なのはもちろん、多くの県民の思いを踏みにじるもので、断じて容認できない」と述べた。(時事10月27日)

Photo_6(図 読売新聞九州版10月23日)

正直言って、閣議による代執行にいきなり入るとは、私も予想外でした。

このままズルズルやってもやがては法廷闘争になるのだから、今、受けて立つということのようです。ここには、100%勝てるという国の意志が込められています。

これを受けて、翁長氏はたまげて「最後通告」と言い出しています。彼も予想をはずしたようです(苦笑)。

しかしまぁあいかわらず、芝居がかった大げさな言葉遣いですね、「最後通告」とは。

これでもう交渉はしない、「戦争」だということですよ。 地方行政官が国に向けて使う言葉じゃありませんね。

こういう言葉を安易に使えば、徒に対立を煽っていっそう問題をこじらせ、解決を長引かせるのに、まったく気がつくそぶりもありません。困った人だ。

失礼ながら、翁長氏は地方自治体の首長にすぎません。翁長氏は、休戦期間中に来沖した菅官房長官に向って「普天間基地がなくても抑止が可能だ」とか言っていましたね。 

誰に吹き込まれたのか知りませんが(おおかた前泊博盛氏あたりでしょうが)、日本の中国に対する抑止力は、何度も書いてきているように、日本全土にある横須賀や佐世保、あるいは、厚木や三沢などの多くの基地のトータルな力によって維持されています。 

それを普天間だけ抜き出して、「いる」「いらない」などと問う事自体がナンセンスです。

仮に判断できるとすれば、それは日本の安全保障を全体として構想し、統括し、維持運営している責任者である国だけです。

ですから、そもそも国の安全保障上の案件を、一地方自治体がウンヌンすること自体が、過剰な権限外の介入なのです。

たとえば本土で、神奈川県知事が、「横須賀がなくても日本は大丈夫だ。出て行け」と言ったというような話を聞いたことがありますか。

神奈川県知事は、基地公害や安全措置については、住民の保護から発言しても、「いる、いらない」などという越権行為はしません。

そんな馬鹿なことを平気で言う県など、全国広しといえど沖縄県だけです。

なぜ、沖縄県だけがそういうことを言う権利があると勘違いしているのか、私には理解できません。

根底にそういう勘違いがあるために、今回も「承認」の意味を取り違えています。

先日も書きましたか、承認する主体は沖縄県にはなく、国が公有水面法の中の環境と災害防止だけを抜き出して、県に審査を委託している法的受託事務にすぎないのです。

このことを、マスメディアはきちんと報道しません。

「対立激化」とうれしげに煽るばかりで、そもそも沖縄県が「承認取り消し」をする権限をもっていないことすら報じないのだから困ったものです。

Photo_7
では、そもそも今回焦点となっている公有水面について、法律はどう規定しているでしょうか。そこから押えていきます。

ここで登場するのが、公有水面法です。キモは第4条です。できたのが大正10年4月と戦前ですが、いまだ現役の法律です。

「●公有水面法
第四条   都道府県知事は埋立の免許の出願左の各号に適合すと認むる場合を除くの外埋立の免許を為すことを得ず
 国土利用上適正かつ合理的なること
 其の埋立が環境保全及災害防止に付十分配慮せられたるものこと」

(※http://law.e-gov.go.jp/htmldata/T10/T10HO057.html 原文はカタカナ表記を゛ひらがな表記に変更)

法律というのは一種の問答です。「こういう風に法律を作りましたが、どうなんですか?」と、法は問うているわけです。

公有水面法は、まず第4条-1で利用目的の正当性を尋ねています。

「国土利用上の適正かつ合理的な利用目的」がありますか?」、というのが第1の問いです。

答えは言ううまでもなく、「普天間基地の危険性の除去と、人口が密集しない過疎地への移動」以外ありえません。

これに対して、翁長側が、普天間に居てほしいといったらシャレにもなりません。

第2の問いは審査基準です。第4条-2で、「環境保全・災害防止はちゃんとしていますか?」と問うています。

それに対する答えが、膨大な時間をかけて作られた前知事の承認文書です。

これを否定して、「国の安全保障を審査したら抑止には意味がないので、承認拒取り消しだ」というのが翁長側の言っていることです。

おいおい、そんなこと公有水面法はゼンゼン聞いていないって。法の枠内でケンカしろよ、と言いたくなります。

公有水面法はポジティブリストです。書かれたことだけを禁止する、あるいは、書かれたことだけやれ、と命じています。

ところが真逆に、書かれたこと以外のことしか言っていないのが、翁長氏です。

県が10月13日に提出した「公有水面埋立承認取消通知書」にはこうあります。

「しんぶん赤旗」(10月14日)によれば、その要旨は以下です。
※http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-10-14/2015101405_01_1.html

「(ア)普天間飛行場が、国内の他の都道府県に移転しても、依然4軍(陸海空軍、海兵隊)の基地があり、抑止力・軍事上のプレゼンスが許容できない程度まで低下しない。
(イ)県内移設の理由として「地理的な優位」「一体的運用の必要性」等は、時間・距離その他の根拠が示されておらず、具体的・実質的証明がなされていない

おいおい、です。呆れますね。これが、地方公共団体が出した公文書だというのですから。

こんな抑止力についての意見は、「オレはこう思っている」という単なる私見にすぎません。

いかにももったいぶった弁護士好みの晦渋な表現で書かれていますが、市民語に翻訳すればなんのことはない、よく地元2紙が飽きずに書いているこんなていどのことです。

「オレは普天間基地がなくても、抑止力は落ちないと思ってるし、第一、海兵隊の一体運用の必要性なんかないし、県内に置いとく理由なんかねぇよ」

なに、勘違いしているんですか。こんなことを審査しろとは、公有水面法にはひとことも書いてありませんよ、翁長さん。

あなたが言っていることが正しいか間違っているかの次元ではなく法律は、「そんなことは聞いていない」のです。

つまり、翁長氏はこの埋め立てを定めた公有水面法の枠中では、なにひとつ国の「瑕疵」を説明できず、法の枠外の安全保障についての翁長氏の私的見解を持ち出したにすぎませんから、無意味です。

こんな薄弱な理論構築で翁長氏が国に勝てたら、そのほうが奇跡というものです。おそらく政府はもう少し、環境問題に突っ込んだ「瑕疵」を指摘してくると思ったのでしょう。

だったら、それに対してひとつひとつ反証を準備せねばなりませんから。

しかし、こんな安保についての幼稚な私見しか出せないならば、問題は別です。一蹴するだけです。

だから、いきなり代執行という選択肢を取ったのでしょう。

いずれにしても裁判になります。翁長氏は最高裁まで争う気かもしれませんが、残念ながら、その間も工事は止まらず、結審まで翁長氏の任期は切れ、その頃には次の知事がひっそりと取り下げているでしょう。

第一、既にそうとうていどまで完成しているかもしれません。

あと残された翁長氏陣営の手段は,総務省の「国地方係争処理委員会」に不服申請することですが、「国の裁決、決定は道委の審査対称からは除外されるために、同委が審査を受理しない可能性もある」(産経10月28日)と言われています。

今頃になって、「最後通告」などと叫ぶなら、もっと手前の休戦期間に、妥協点を探っておくべきでしたが、もう遅い。

県民が保守政治家だった翁長氏に一票入れたのは、硬直した左翼政治家と違って、何か妙案があると思ったからでしょう。

しかし、そんなものはなかったのです。今、翁長氏がしているのは、ただの左翼陣営に向けてのアリバイ作りだけです。まったく愚かしいにもほどがあります。

もはや翁長知事には、なにひとつ解決能力はありません。あんな安手な「承認取り消し通知書」を書くようですから、当事者能力すら疑わしいものです。

あるのはたた、紛争をこじらせ、本土と沖縄を分断する紛争能力だけです。中国にとっては、これこそまさに望んだ思う壺ですが。

■蛇足 沖縄よしもとに、「ありんくりん」っていうお笑い芸人さんがいるそうです(爆笑)。ウチナーグチでしゃべり倒すとか。無条件で応援したくなりますね。
ちばりよ~、ありんくりん!
※http://blogs.yahoo.co.jp/okinawa_yoshimoto_blog/63180971.html

Photo_8※ 左が私です(うそ)

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コメント

おはようございます。

>>なに、勘違いしているんですか。こんなことを審査しろとは、公有水面法にはひとことも書いてありませんよ、翁長さん。<< (大笑)

那覇市長時代から、テレビ等のインタビューで、この方の話を聞いてて、、いつも、この人何を言ってるのか?
何を言いたいのか?
理解に苦しんだ。

いかにも、立派に答えているように聞こえるが、今考えれば、ただ、煙に巻いていただけの事。ポイントが外れ、、、誰かが言っていました「多弁だが、空虚」ですて。  納得しました。管理人さんありがとうございました。

投稿: 義挙人 | 2015年10月28日 (水) 08時34分

もう一つ思い出しました。
「言語明瞭、意味不明」  お粗末でした。

投稿: 義挙人 | 2015年10月28日 (水) 08時40分

国主導で辺野古問題が、これで解決できれば、それにこしたことはない。左翼陣営の妨害活動も屈せず、滑走路埋め立て工事終わらせて欲しい。此処まで来るのに20年長かった!
翁長知事も、元の保守政治家に戻って欲しいものです。昔の発言や行動見れば、ネットウヨもびっくり鷹派なんだけどなー。これで決着と思っていいですか?いやー良かった。
気になるのが、記事に度々出てくる、米軍は普天間を出たくない。此からどうなると思いますか?管理人さん。

投稿: 元本部町民 | 2015年10月28日 (水) 10時51分

翁長知事さんは、沖縄とは縁もゆかりもない一般大衆
の私から見れば、アタマの変な琉球大王のイメージに
なってきました。

中国の人形だとしたら、公安がマジに目を剝いてグの
音も出ない動かぬ証拠を探しているか、もう持ってい
てタイミングを計っている段階なので、自信をもって
の代執行なのかもしれません。

沖縄の一般大衆は、今でも彼を知事にするくらいに彼
を支持しているのでしょうか?ミンス凋落の歴史の再
演をするのでしょうか?リアリティの欠いた正義漢ぶ
った「心あるw」者は落ちるのも早いハズなんですが・・

投稿: アホンダラ | 2015年10月28日 (水) 13時20分

最近の翁長知事をみていると、取り込むつもりだった左翼陣営に逆に取り込まれたように見えます。ゾンビ軍団を退治する正義のヒーローが知らぬまに噛まれてたみたいな。宜野湾市長選に立候補の志村氏(人物像が全くみえない)は相も変わらず「普天間即時撤去、辺野古移設反対」の主張ばかりでまるで共産党ですし。1年前ならそれで勝利間違いなしだったでしょうが、この1年成果らしい成果はないし、移設阻止も手詰まりだし、県議会でもへろへろだし、OCVBの平良会長はわかりやすく暴走するし、徐々に翁長知事のおかしさに気づいてきた人は増えているように感じます。知事選以前のように、じっくりと普天間の跡地利用についてとか、具体的な行政の課題を訴えていけば佐喜真陣営は勝てるかもしれません。そう願いたい。

浦添市牧港の「にんにく居食家ありんくりん」なかなかいけます。ただし調子にのってた食べ飲み過ぎると翌日、自分の周りから人が消えます。

投稿: クラッシャー | 2015年10月28日 (水) 18時07分

私は翁長知事が左翼に取り込まれたとまだ思ってません。あの植草氏のブログでもあるように
翁長知事は政府に押し切られたかのように辺野古を進める方策を選んだのだと思ってます。
彼が本当に止める気ならもっと早く取り消しをすべきだったはずだし
事前協議も終えた後に取り消したら工事は止まらないとの事でした。

辺野古ゲート前の反対派も翁長知事に対してお怒りのようです。
http://twitcasting.tv/lovin_nana/movie/211945832

投稿: 中城村民 | 2015年10月28日 (水) 19時20分

記事内容から少しずれますが、集団的自衛権を認める法案が通過してから、米軍が中国に対して南沙諸島で明確な意思表示を行っています。我が国の安全保障上、沖縄と言う地域が重要なことは、この事からも明らかです。今回、国が代執行に及ぼうとしているのは、その事への意思表示ではないでしょうか?それほど重要視しているという。一時は翁長さんに付き合うつもりだったれど、現状それよりも急いで防衛環境を整える事が急務と判断したのではないでしょうか?中城村民さんが言ってる事もあながち外れてないかも?と思える気もします。

投稿: 一宮崎人 | 2015年10月28日 (水) 20時20分

ニワトリ抱いて欲しいですね〜左側の人(^^)
私の中でも翁長氏は自分が君臨する為には何でもやる人間で、基地も民族も県民の安全も発展も、自分都合でつまんで引っぱり出して使うんだなと。
無理矢理新基地が作られた!と辺野古が出来ても都合のいい時に都合のいいタイミングで叫び、周りをかき集めて色々ひっくり返すんだろうなとムカムカしてきました。そのタイミング選びに長けてるんでしょう。しかし今回選んだ民族差別独立ネタは、嫌な感じです。絶対のせられないで下さいね。

投稿: ふゆみ | 2015年10月28日 (水) 20時29分

沖縄県庁のHPに、900ページ以上に渡る取り消しに対しての反論書が載ってますね。

http://www.pref.okinawa.lg.jp/site/chijiko/henoko/index.html

ざっと目を通すだけで半日掛かってしまいました←w
第4意見書とか、ほとんど沖縄の歴史教科書ですね。薩摩の琉球侵攻から始まって、沖縄の学者先生達が主張したい歴史が詰まってます。
私のような内地の人間は、これを読むと沖縄の人は苦労したんだと罪悪感に心を潰されそうです。
「銃剣とブルドーザー」で土地を奪われた沖縄の人たちは本当に大変だったと思います。島ぐるみ闘争とか苦労も多かったでしょうね。

でも、肝心のキャンプシュワブの生い立ちは何も書いてありません。知られたくない真実なのでしょうか?
海兵隊航空基地不要論も、自分の都合の良い所ばかりを繋ぎ合わせた印象です。

とは言っても、内地人で軍事素人の私からすると、ここで管理人さん達の意見を読んでないと騙されも仕方がないくらい良く書けてると思います。
眠れない夜にじっくりと読んでみようかと思います。睡眠薬代わりに←w

投稿: ひこ~ | 2015年10月28日 (水) 20時33分

結局のところ、沖縄そのものがお花畑サヨクの遊び場、彼らのための最後の楽園と化してしまってるようだ。
運動の継続そのものを目的としたその狂騒は、「まともな」「ふつうの」沖縄県民たち自身が僭主にNOを突きつけないと終わらない。
かつて多くの日本人がなんとなくノリだけで民主政権を誕生させてしまったように、
沖縄県民の多くもただなんとなく声のでかい連中を野放しにしてしまっているのではないか?

投稿: 難波 | 2015年10月29日 (木) 02時52分

政府も思いきり強行策にでましたね。大規模な例だと成田以来かなあ。

対する翁長、先月のクールダウン機関にもなにもせず。「反対!政府の横暴だ!」ばかり。
はい、本来ガチガチの保守の利権誘導要員の小者か急に野心を抱いて形ばかりの『オール沖縄』を売りにしてしまい、共闘した左翼陣営にも逆らえない。見事に八方塞がりの沖縄の「裸の王様」に成り果てました。
それこそ自業自得ですので全く同情はしませんが、自民県連時代のタフな交渉を体験していたでしょうに、実行力は皆無のようです。
タフネゴシエーターだった師匠である仲井真さん相手に手段を選ばずに内部クーデターを仕掛けて権力者になった。ただそれだけ。そこまでの男なんでしょう。

投稿: 山形 | 2015年10月29日 (木) 10時48分

この法的解説の論説、とても勉強になりました。
ありがとうございました。

投稿: ヒデミ | 2015年11月 7日 (土) 06時50分

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