• 20250119-145554
  • 20250119-142345
  • 20250119-142345_20250119150101
  • 20250119-150249
  • 20250119-152051
  • 20250117-013132
  • 20250117-015927
  • As20241225001545_comm
  • 20250115-143858
  • 20250113-081014

« 日曜写真館 湖の朝 | トップページ | TPP交渉大筋合意 新冷戦の視野で見ないとTPPは分からない »

2015年10月 5日 (月)

中国が軍縮に向うだって?

064
中国の抗日70周年軍事パレードについて朝日新聞(2015年9月3日)は、「中国、兵力30万人削減表明 戦勝70年「覇権唱えず」と題して、こう報道しています。 

中国共産党と軍、政府は3日、「中国人民抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利70周年」の記念式典を北京・天安門広場で開いた。兵士1万2千人による大規模な軍事パレードも行われ、最新兵器を披露した。習近平(シーチンピン)国家主席は演説で、列強の侵略を受けた歴史からの決別と、平和的な台頭を目指すという中国の立場を強調し、中国軍の兵力30万人削減を表明した」 

この時期に朝日は本音としては、中国の大規模な軍事的示威など絶対に止めてほしかったことでしょう。 

というのは、日本では、朝日が煽りに煽った反「戦争法案」示威のほうが、宴もたけなわだったからです。
※「デモ・抗議開催情報まとめ(戦争法・アベ政治等) 

Photo_7(写真 シールズのデモ風景。奥田クンに脅迫状を送るなどというバカなことは絶対に止めてほしいもんだ。共産党が喜ぶだけじゃないか)

7月から8月にかけて大規模なデモが連日行なわれ、9月には全国の憲法学者や文化人たちの反対声明が出揃ろおうか、という時期に当たっていました。 

朝日としては、「安倍の強権主義が平和憲法を破壊する」という内向きの視点でキレイにまとめたかったわけです。

「今回問われている問題の本質は、実は、集団的自衛権の解禁の是非というよりも、憲法は守れ!という立憲主義の擁護です」(小林節慶大名誉教授)

このように安全保障問題を次元の異なった、「立憲主義か改釈改憲」か、「平和主義か戦争主義」かという問題にすり替えることによって、朝日は半ばその意図を成功しかかっていました。

朝日からすれば、仮に法案は通っても、安倍政権を崩壊させ、衆院選に持ちこんで反安倍政権を作れれば万々歳、と読んでいました。

これに対して政府は、衆院の失敗に懲りて、衆院審議では外交上の理由で触れなかった中国の覇権主義について、一転して厳しい批判に転じました。 

まぁ、衆院では、民主党がホルムズ海峡や徴兵制復活といった派手な場外ファールを連発していましたからね(笑)。我慢できなかったんでしょうね。 

これでグっと、国民には分かりやすくなったのは確かですが、中国はこの政府の説明方針の変化に敏感に反応しています。

「中国の程永華(チョン・ヨンホア)駐日大使は23日の記者会見で、安倍政権が進めている安保法案をめぐり「日本が専守防衛・平和的発展の道を変えるのではないか」との疑念を表明した。
日本問題の専門家からは「日本はこのところ、中国に的を絞って攻撃を仕掛けてくる。これは歴史問題で深く反省しようとしない安倍政府に対する国際社会の目をそらし、その視線を『中国の脅威』に持ってこさせようとするもの」との見方が出ている。(略)
(スイスの学者の言葉を借りて)日本の軍国主義が復活しつつある。安倍首相の選択がアジアを戦争にいっそう近づける。安倍内閣の半数以上が、米国による戦後の占領と平和憲法で日本が骨抜きにされたと考えている。一切を顧みない排外主義が日本の政治体制の中にはびこっている」(レコードチャイナ7月26日)

例によって、あんたにゃ言われたくないよという内容です。日本が軍国主義だって?わ、はは、よー言うよ。

しかしこには中国がぜひこの法案を潰してほしい、切ないまでの気持ちがよく現れています。

こんな中国にとっては、これほど嬉しいことはないという反対デモが盛り上がっている真っ最中に、中国は「では景気づけに、我々からも連帯の挨拶を」とばかりにイチびってしまいました。

それが抗日70周年ナンジャラ軍事パレードです。 

Photo(写真 日本を射程に納める東風21弾道ミサイルの行進)

これではさすがに平和ボケのわれらが同胞も、「やっぱりアベさんがいうように、中国の覇権を目指しているのか」と思ってしまいます。

困った朝日が焦って出したのが、冒頭の習の演説垂れ流しの記事です。

では、ほんとうに朝日が言うように、この抗日70周年なんじゃらは、ほんとうに「中国の平和な台頭を目指すための軍事パレード」なのでしょうか。

Photo_6(写真 パレードする女性部隊。ファッションモデルを大量に入れたことがわかって恥をかいた)

まず、今回中国が初めて「軍縮」をするわけではないことは知っておいたほうかいいでしょう。 

今まで中国は、1985年に10万人、1997年に50万人、2003年に20万人、そして今回30万人と、4回削減されてきています。 

一貫して削減されたのは、陸軍だけだったことに注意してください。 

この30万人削減について、記者会見に臨んだ中国国防部の楊宇軍報道官は、削減理由を問われるとこう答えています。
(以下、北京週報 人民日報、新華社などによる。訳文が晦渋なので、適時分かりやすく書き改め) 

「兵員削減を通じ、中国軍は、規模をさらに調整、最適化し、より能力を高め、軍の構造がより科学的になり、中国的特徴を持った近代的な軍事システムを構築することになろう」
削減されるのは、時代遅れの武器を装備した部隊、事務職員、非戦闘部局の人員である
「兵員削減は、リソースのプール、軍の情報化のスピードアップと改善に資するであろう。中国軍の縮小が中国の国益を守る能力を低下させない」(太字引用者)

つまり、中国が削減するのは旧式装備の陸軍の一部と、非戦闘員の事務職などにすぎないわけです。 

新華社は軍事パレードについての論評について、習の政治的意図をこう解説しています。

「改革のプロセスに抵抗する『特殊利益集団』である軍の構造に揺さぶりを与え、利益を調整する処置が既に動き出している。軍のオーバーホールは後戻りできない段階に入った」
中国海軍は役割拡大を求めているが、『陸を海より重視する』との伝統的な考え方を変更することについて、海空に対して優位を享受してきた陸軍の軍人からの厳しい抵抗に直面している
 

ね、わかってきましたね。

習がしようとしているのは、楊宇軍報道官が言うような、「国際的な武器管理と軍縮を進展させようとする」ようなキレイゴトではなく、陸軍をスリム化して、その余剰になった予算を「中国海軍の役割拡大」に回すことなのです。

海洋膨張とアジア全域の海の覇権を目指す中国が、海軍と弾道ミサイルに予算を回すために、今、使い道がなくなった巨大陸軍を削減して、覇権拡大の尖兵になっている海軍と空軍に予算を回すということです。

そしてもうひとつの習の政治的意図も絡んでいます。それは目障りな反習一派を軍から追放することです。

そのために、「特殊利権集団」と化した人民解放軍の反腐敗摘発をさらに進め、反習派を一掃し、習の権力を軍内部まで浸透させることです。

Photo_5(写真 元党中央軍事委員会(軍委)副主席郭伯雄将軍)

この習の政治的意図を裏付けるように、軍事パレード前夜、党中央軍事委員会副主席郭伯雄将軍が検査対象として拘束された、との報道がありました。

このポストは、人民解放軍制服組の最高のポストです。

共産党軍事委というポスト自体が、自由主義国には存在しないので、比較がむずかしいのですが、軍人による国防大臣のようなものだと思えば、そう遠くないかもしれません。

このポストは既に同じ軍委副主席であった徐才厚が逮捕され、病死したと伝えられています。

000037(写真 逮捕された徐才厚。薄熙来、周永康とも関係があった)

また習は、軍に対して贅沢禁止、規律強化の名目で、2015年2月には、「全軍財務工作大清査」を指示しています。

これは、軍を対象とした全面監査、会計検査で、2013年度と2014年度の2年度分の領収書を全部出させて、会計検査をするというものです。

自衛隊なら、別に驚くことではありませんが、人民解放軍はホテルや貿易会社まで経営するような巨大企業集団な上に、階級を金で買うという習慣が定着していました。

そんな腐敗の温床である軍に、まともな帳簿なんかあるわけがないのを知り尽くした上で、習は出せと命令したわけです。

こんな「不正なプール金の有無」「内部接待の状況把握」「予算外慶すの管理状況」を調べ上げれば、一体どうなる結果になるかは、中坊でもわかります。

かくて習は、反習派を腐敗分子として逮捕追放し、自分の息のかかった幹部と大量に入れ換えて、軍の粛清を完了するのです。

このような中国の海洋へと向う覇権主義と、醜悪な軍の内部事情にひとこともふれずに朝日は、「中国、軍縮。覇権唱えず」と報じたわけです。

「覇権を唱えず」ですか、こリゃおもしろい冗談です。ただし、笑えないのがちょっと残念ですが。

 

 

« 日曜写真館 湖の朝 | トップページ | TPP交渉大筋合意 新冷戦の視野で見ないとTPPは分からない »

中国問題」カテゴリの記事

コメント

昔から「バカは、隣の火事よりコワイ」と云いますが、
中共・北朝鮮という史上最恐の国を近隣国に持つ日本
はタマリマセン。まあ、旧大日本帝国が事実上の後方
支援をしてしまって建国した国ですので、ツライ思い
もしなくてはならないのでしょうが・・

共産主義とは表向きの顔で、根っこは封建主義そのも
のの王朝ですわ。旧ソ連や旧東欧諸国は曲りなりにも
ルネサンス以後の影響を受けた国でしたから、どうに
かガチガチの全体主義を抜け出しましたけど、中共・
北朝鮮は大混乱のその時まで、ナットもならないでし
ょうねぇ。オマケに儒教国なので、夢も希望もない。

少し前まで中共は、皆が人民服を着て、朝は太極拳を
してチャリ渋滞の通勤をして、伝統的平屋長屋に大家
族で住んでいる、貧しくても気の長い平和な人達とい
うイメージでしたね。で、朝日が彼等を肯定的にとら
えると、残留孤児の方への恩もあって、読者は「朝日
新聞、オマエはエエ新聞やのう~」と誘われた。

今じゃ、私のオヤジ(もうすぐ80)が「朝日新聞をヤメ
る~!」と、数十年購読していた朝日を購読停止する
ようなハメに・・読んでて不快になる商品はダメです
わね。朝日も編集はともかく、現場営業は悩んでいる
みたいで、その後、販売店だけでなく、本社筋の所属
らしき人も調査名目で来ました。オヤジは「もうエエ
わ!」とケンモホロロ、追い返してしまいましたが。


コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 日曜写真館 湖の朝 | トップページ | TPP交渉大筋合意 新冷戦の視野で見ないとTPPは分からない »