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2015年10月 9日 (金)

翁長というミニモンスターを作った男 石破茂

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今回の第3次安倍政権の組閣のおもしろさは、テッテイした「党内対策」と、翁長シフトです。 

お題目の「1億総活躍社会の実現」なんていうキャッチコピーが無内容だとか、マスコミは言っているようですが、無視します。

別にあんな総花的なコピー自体に意味はありません。

なんかつけないとカッコつかないから、つけただけです。ホントは「政敵封じ込め内閣」ってしたかったんでしょうが、まぁ、できませんよね。

そんなネーミングより、党内対策と言ったのは、ひとつには、安倍氏の「抱え込んで封じ込める」という党内戦略がはっきりしたことです。

小うるさい党内の反安倍勢力を、閣僚にすることで、その任命権者になってしまい、座敷牢に入れてしまうという高等戦術です。

党の要職につけるのも一緒で、放っておくとナニをやり出すかわからない親中派の二階氏や、増税方針で完全に異なる谷垣氏を四役につけたのは、この伝です。 

この方法は、総理・総裁に絶対的自信がないかぎりとれない方法で、ヤワな奴がやれば自爆するだけです。

一方、抱え込まれたほうに自力があればおもしろい展開になりますが、まぁならんだろうな、と思うくらい「抱え込まれた」連中はひ弱そうな人物ばかりです。

たとえば、自民党より社民党にいるほうが似合いそうな脱原発派の河野ジュニア。閣僚になった瞬間、ブログ゙が閉鎖されて「目指すものは安倍さんと一緒」だそうです。
親父が泣くぞ(笑)。

Photo_9
古賀氏に踊らされた野田聖子氏を、自派閥に抱える岸田外相は、菅官房長官に自派閥をもう少し入れてくれと懇願したようですが、ゼロ回答だったようです。

しかしなんと言っても、「抱え込まれた」最大の大物はやはりこの人、石破茂氏でしょう。 

Photo(写真 野党幹事長で、民主党を追い詰める石破氏。う~ん、こわい。子供が夜泣きしそう。この顔で翁長に対すれば、いまの混乱はなかったかもしれない)

私はそこそこに、彼のファンでした。 本も何冊か読んでいます。特に集団的自衛権について書かれた、『日本人のための集団的自衛権入門』は、テキストとして使えるほどよくできていました。

また、農水相時の4品目横断政策や、関税を直接支払いに移行させる試みは、先見性に満ちたものでしたし、有事法制などの成立にも尽力しています。

大変な勉強家で、テクノクラートとしては出色に優秀な人ではないでしょうか。ただし、使う人がいれば光るというタイプで、自らボスに座るタイプではありません。 

私が、石破氏に政治家として大きく欠けたものがあると思ったのは、2014年の「翁長の反乱」があった時のことです。 

当時、辺野古移設の天王山である知事選の前哨戦と考えられていた名護市長選で、「翁長党」が寝返ったのです。 

当時、自民沖縄県連や国会議員までが、ハトのちゃぶ台返し以降の、「自民党というだけで悪玉扱いだった」空気に耐えきれず、実現不可能な県外移設を口にするありさまでした。 

これに慌てた、当時自民党幹事長の要職にいた石破氏は、国会議員を東京に呼びつけてネジを巻き直します。 

Photo_3(写真 自民党沖縄選出議員を前に演説するゲル幹事長。国会議員は職員室に呼ばれた生徒みたい)

しかし、もっとも東京に呼んで、聞かないならば除名も辞さないという強い意志で、膝詰めの説得をすべきだった最重要の人物を忘れていました。 

それが他ならぬ、いまや沖縄のミニモンスターにまで成長した翁長雄志氏です。 

Photo_4(写真 翁長党の皆さん。手前から金秀の呉屋氏、翁長氏、稲嶺名護市長、かりゆしGの平良氏)

翁長氏は当時、那覇市長で、自民党那覇市議団「新風会」という翁長党すら持っていました。 

しかし、当時の彼はまだ小心なユダにすぎませんでした。彼は自民党中枢からの統制からはずれたことをもっけの幸いに、名護市長選に暗躍します。 

そのやり口は、とかくエゲツなくなりがちな地方選挙でも、特筆大書されるべき汚さでした。 

なんとあろうことか、自民党県連幹事長まで務めた男が、手下の翁長党新風会を名護に送り込み、社民党、共産党と一緒になって自民党推薦の末松候補の切り崩しを図ったのです。 

敵対陣営のトップがひそかに寝返って自陣を切り崩す、などというのは聞いたことがない醜聞です。  

いうまでもなく重大な利敵行為で、自民党がまともな公党ならば、抜く手も見せずに除名追放まで含む厳重な処分を出すべきでした。

しかし、おとがめなし。あの人はコワイのは顔だけなのか、と私は嘆息しました。

確かにここで翁長氏と市議団を切り捨てれば、彼らを左翼陣営に追いやることになるのは目に見えていましたが、それは読み込み済みなはずです。

彼らはこれだけの反党行為をする以上、革新陣営とは既に通じていたはずでした。

問題は残った自民党県連の人達です。国会議員も呼び出されて怒られたが、まだ揺らいでいます。

本音は島内の空気に逆らわず、「県外移設」のポビュリズムに走りたいのです。支持者に至っておやです。

彼らのために、自民党中央が移設に関してこれだけの決意をしている、という強力なメッセージを発する必要があったのです。

ここでしっかりと翁長問題にケジメをつけて県連を再建しないために、前哨戦の名護市長から始まった自民党の負け戦は、知事選そして衆院選と、延々と敗北の連鎖を続けていきます。

まさに自壊自滅を絵で描いたような光景です。さぞかし、左翼陣営は狂喜したことでしょう。

これもすべて翁長氏という沖縄自民の大黒柱を、敵陣営に渡したことから来るのであって、この大元の翁長問題に筋を通さななかった石破氏に問題があったのです。

Photo_7(写真 名護市長戦時の末松候補のちらし。こういうものを配ればどうなるのか、わかりそうなものだ)

結局、彼がやったのは、名護振興基金500億の積み上げなどといった彌縫策でした。沖縄地方紙はここぞとばかりに「金で心を買うのか」と書き立てました。当然です。

自陣営すらまとめきらず、金をバラ撒いて勝てると思うほうがおかしいのです。 

そして結果は、ご存じのように名護市長選は危ういと見られていた稲嶺候補が勝ち、外堀を埋められた格好になった仲井真氏は、移設承認まで持ち込んだものの、翁長氏に破れます。 

Photo_8(写真 当選でバンザイを叫ぶ翁長陣営。選対委員長の呉屋氏、右端にはこれ以上の左はいないという糸数慶子氏が並ぶ。経済界と左翼の同床異夢がよく分かる一枚)

そしてもうひとつの失敗が、公明党対策です。

自民党は、翁長ショックで麻痺状態。連立与党の公明党県連は公然と県外移設を叫んでいました。

なんとか中央で調整してほしいとの現地の要請に対して、石破氏は「県連同士の話に中央が口を突っ込めない」と拒否してしまいます。

実は石破氏自身が、仲井真氏擁立にこの段におよんでも慎重だったのです。

かくして、翁長氏の反乱の芽を摘むことに失敗し、かえって大きく育て上げ、その上に公明党との調整もせず、仲井真擁立すら腰が引けてしまっては、知事選に勝てる道理がありませんでした。 

翁長氏というただの利権政治家を、今のような思い上がったミニモンにした最大の功労者は、他ならぬ石破氏です。 

その後、石破氏は本来、有事法制の責任者として担うべき防衛大臣の要請を断っています。 

何かささいな考え方の違いが首相とあったというのですが、ならば総裁選で「安全保障観が同じだ」として、決戦で安倍氏と連合を食わねばいいではないですか。 

万事この調子です。遅いのです、決断が。 

いったん安倍氏と組んだ以上、口では「全力でお支えします」と言っている以上、もっとも汚れ役になることが決まっている防衛相を引き受けるのは当然です。 

なにせ彼は、自民党だけではなく、政界一の安全保障政策通です。このややっこしい安保法制を、法律的整合性をもって答弁できるのは、彼しかいなかったはずです。 

しかし、逃げる。石破シゲルではなく、いっそ石破ニゲルと改名したらどうでしょうか。 

逃げるなら逃げるで、「無党派で」などと言い訳していないで、さっさと自分の派閥を作って安倍降ろしに邁進すれば光明が見えたものの、それもしません。

あげく常総水害の当日に旗揚げし、自分が投げ出した安保法制も終了し、総裁選不出馬を決めた後になって、「水月会」という派閥を作る始末です。

Photo_5
水月とは水に浮かぶ月のようにグニョグニョと姿を変える様子のこと、よくこんな自虐的な名前をつけたものです。 

結局、今回の組閣の目玉は、「1億総活躍担当相」を新設し、その責任大臣に腹心中の腹心の官房副長官・加藤勝信を据えたことになりました。

本来、地方創世相の石破氏が兼任すべきポストです。

ここに腹心の加藤氏を持ってくれば、流れの主体は一億活躍相に移り、石破氏はただの伴食大臣に転落します。

これなら、入閣せずに野に下りて、シコシコと地方回りでもしていたほうがよかったでしょう。 

おっと、石破さんだけで紙数が尽きてしまいましたが、ほんとうの目玉は、島尻あい子(安伊子)氏の沖縄・北方大臣への起用です。
※http://shimajiriaiko.ti-da.net/d2011-02.html

これほどはっきりした、翁長知事へのメッセージはありません。彼女については次回に続けます。 

※お断り 「封じ込められた男 石破茂」から改題し、大幅に加筆しました。

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コメント

管理人さんが彌縫策と断じられた振興基金という人参作戦は
石破氏の大チョンボだと当時直感しました。
あれが無ければ末松さんが勝っていたと思います。
それにしても稲嶺という人も食えないタイプですね。
翁長氏の佞姦の輩ぶりは疑う余地すらありませんが、
稲嶺氏も負けず劣らずではないでしょうか。
中でも一番忘れられないのが、野田政権下での発言です。
政府の対応に対して「日本政府の常套手段云々」
と語ったわけです。
正直驚きました。地方自治体の首長が政権批判するのは、
今のご時勢、それほど珍しいことでもありません。
橋下さんなんか事あるごとにぼろくそに言ってますし。(笑)
しかし、「政府」ではなく敢えて「日本政府」というところに
違和感というか意図するところを感じましたね。
ああ、この人は沖縄を日本だとは思っていないんだと。

翁長知事、意気揚々と国連に演説しに行ったのはいいが完全に藪蛇になった模様です。

http://www.honmotakeshi.com/archives/46526075.html

自民党の激しい追及に翁長知事、安慶田副知事、町田知事公室長等、まともに答弁出来ていません。翁長県政の何とも言えない気持ち悪さが出ていると思いますが、まともに報道されていないのでこの県議会の様子は沖縄で伝わっていません。

と、思っていたら沖縄タイムスが珍しくこんな記事を。
「国連演説「先住民の印象与えた」 沖縄県議会で論戦」
https://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=136472

野党は知事の国連演説に焦点を絞り「『県民は先住民』との印象を国際社会に与えた」など批判を強めた。一方の与党は基地問題に関する言及を最小限にとどめ、配慮をにじませた。

おや、与党の皆さんどうされました?基地問題は最大の争点では?

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