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2015年10月21日 (水)

普天間基地に居続けてもらわねば困る人たちの不思議な論理

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問題を整理しながら進めています。 

まず、この移転問題を考える上での、大前提を押えておきましょう。 それは普天間基地周辺の住民の安全性の確保です。

普天間基地をこのまま住宅密集地に置いておいてもいい、というならば、移転などという巨額の税金を使って、不便になる所にわざわざ移転する必要はないのです。 

実は移転しないというなら、やりようはあります。 

「クリアゾーンは米連邦航空法に基づいて米軍が作成した基準(AICUZ海軍作戦本部長指示)で設定されており、「事故の可能性が高く、土地利用に制限がある地域」(環境レビュー)です。
同基準の前提となった調査によれば、重大事故の75%は滑走路やその延長線上で発生。米国では居住や経済活動が全面的に禁止されています。
(略)
ところが宜野湾市の場合、07年時点でクリアゾーンに小学校や保育園・公民館などが18カ所、住宅約800戸が存在し、約3600人が居住しています」
(しんぶん赤旗2012年6月25日)
 

Photo_3(写真 以下赤旗によるキャプション「『環境レビュー』に明記された普天間基地のクリアゾーン(太枠)。米軍の基準によれば、滑走路の両端から幅約460㍍×長さ約900㍍×幅約700㍍の台形になっている。図は米軍資料を一部加工」) 

これはオスプレイ反対運動の旗振りをしていた中心人物であった、伊波洋一宜野湾市長がスッパ抜いたものです。 

赤旗の記事は、「危険機」オスプレイだから、米国がクリアゾーン(CRZ)を設けるように言っていたような口ぶりですが、もちろん違います。 どんな機種でも同じです。

クリアゾーンは、米国の航空安全基準に準拠したものにすぎません。 

問題をなにがなんでもオスプレイ配備反対に結びつけるから、わけがわからなくなるのです。 

オスプレイはむしろ安全な機体で、いままでの引退間際だったポンコツ寸前のCH53やCH46よりよほど安全です。
※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/06/20-e3fd.html 

それはさておき、クリアゾーンを純粋に航空機の安全対策として考えた場合、有効な手段には違いありません。 

というのは、航空機事故の発生確率が高いのは、離陸時と着陸時に集中するからです。 

ICAO (国際民間航空機関)の 統計では、離陸時が21.5%、着陸時が48.3%です。

このことから、離陸滑走開始後の3分間と着陸前の8分間を合わせた11分間を「魔の11分間」と呼んでいます。 

ですから、航空機事故の大部分は離発着直後に起きていて、滑走路両端の数キロに落ちています。 

ここにクリアゾーンつまり無人地帯を作ることは、安全上大変に有効な手段だといえます。 

ならば、さっさとクリアゾーンを行政が作ればいいじゃないか、という話です。 

米軍基地の安全基準を遵守しろと伊波市長か叫ぶのならば、逆に、宜野湾市や沖縄県がどうしてその移転工事を進めなかったのかが問われてしまいます。 

なぜなら、伊波氏は、米軍を責めているようですが、米軍には基地の外の人家を撤去することができるとでも思っているのでしょうか。 

あたりまえですが、それが出来るのは地方自治体です。沖縄県が、防衛施設庁に諮って、予算を取り付けた上で、施設庁と協力しながら実施するのが筋です。 

その場合、当該自治体の宜野湾市は、戸別に回って立ち退きの了解をとる矢面に立つことになります。

伊波さん、それを他人ごとみたいに言わないでくださいよ。 こういう「糾弾政治」をすることが首長の仕事なんでしょうか。

現実に、神奈川県ではこのクリアゾーンを、名称は違いますが実施しています。 

神奈川県は厚木基地の米軍機墜落事件によって、これまで11人の民間人が亡くなり、家族が巻き込まれたこともありました。 

そのために、基地周辺の地主が日本政府に対して土地の買い上げを求めた結果、政府も被害の重大性を認め、2度に渡って土地の買い上げを行っています。

その結果、滑走路から数キロに渡って無人地帯が設けられ、大和市、綾瀬市の基地周辺の262戸が1970年までに集団移転しています。  

ではなぜ、沖縄では厚木基地と同じようなクリアゾーンを設けなかったのでしょうか。 

理由は、沖縄独特の事情があったからです。 

その原因は、皮肉にも基地反対運動でした。

それが明らかになったのは普天間第2小学校移転問題の時です。この普天間2小は、反対運動の間では、いまも基地公害の象徴的な場所として、再三取り上げられます。

普天間第2小学校の位置を確認しておきます。基地のフェンスと隣接しています。信じがたい環境です。

Photo_4
次に普天間2小の校庭の写真をみます。

この写真ではまるで学校上空を飛行しているようですが、そういうわけではなく小学校は滑走路北側の延長から西北にはずれた位置にあります。

Futenma2es2
普天間2小が創立されたのは1969年で、普天間基地が出来てから24年目でした。ですから、学校は基地があることを知って建てられたのです。

2小という名前が示すように、児童数が急増して建てられたことは想像できます。

しかし、なぜこのような場所に児童が通う学校を建てたのか、理由はわかりません。

というのは、県道81号線には、後に返還されることになる西普天間住宅地域があって、そこに建てれば、少なくともクリアゾーンには入らなかったと思われるからです。

というわけで、ここに立てられた理由は分かりませんが、いまでもここにある理由はわかります。

1983年のこと、かねてから普天間2小の危険性を憂慮していた校長や安次富盛信宜野湾市長は、安全な場所への移設計画を立ち上げます。

市長は直接米軍と交渉し、今ある学校敷地から1キロ離れた米軍家族用地の8000坪を沖縄防衛施設庁などに仲介してもらって返還を約束させ、さらには移転費用30億円も、政府が負担するところまで話を進めました。

危険性が明瞭に存在し、それを除去しようとする行政の計画があり、そして土地と移転資金も手当てしたわけです。

ここまでお膳立てして、よもや反対されるとは、安次富氏は夢にも思わなかったはずです。

しかし、なんとここに横やりが入ります。自称「平和団体」の人たちです。

Photo_8写真はこの普天間2小とは関係ありません)

彼らの反対理由は、「移転することは、普天間の固定化につながる」というものでした。そして「身体を張ってでも阻止する」と息巻きました。

ああ、猛烈な既視感がありますね。

この人たちの論理は、あまりにもネジれているので箇条書きにでもしないと理解できません。 

①普天間第2小は危険だ
②危険なのは米軍基地があるからだ 

はい、ここまではそのとおりです。さて、ここからたぶんこの人達でなければ理解不能な、ハイパーロジック空間に突入します。注意してください。頭がグルグルしますよ。 

③小学校を移設すれば、それは普天間基地を固定化することにつながる(え、なんで?)
④移設せずに現状で改築すべきだ(航空機事故に耐えるような、分厚いコンクリートで校舎を固めますか?)
⑤普天間基地固定化阻止のために,普天間2小移転を阻止するぞ! (はいはい)

う~ん、なんか思いっきりネジれましたね。圧縮すれば、こういうことになります。

「子供の危険性は、基地撤去の日までそのままにしておけ!」

最優先されるべきなのは、子供たちの安全なはずですが、どうも違うようです。

そこはなぜかパスしてしまうくせに、運動ではさんざん「基地があるために子供たちがこんなに苦しんでいる」と叫び続けています。

子供が爆音に耐えて耳を押えている写真を使ったパンフを撒いておきながら、肝心な子供の安全と健康はほったらかしなのです。

これではまるで国会前の乳母車デモと一緒です。子供を人質にして、政治運動をしているにすぎません。

しかもこの後に、校舎が老朽化した折も移設話がでましたが、二度目も「平和団体」の反対運動に潰されています。

安次富氏はこう述べています。 

「反対派は基地の危険性を訴えていたのだから真っ先に移転を考えるべきだったが、基地と隣り合わせでもいいということだった」 

実はこの構図こそ、今の辺野古移設問題の原型なのてす。 

先の第2小「移設反対闘争」のケースと重ね合わせてみます。

①普天間基地は危険だから撤去すべきで、固定化は許さない

まぁ当然の要求です。問題はここからです。 

②辺野古に移設すれば、新しい米軍基地を作ることになる(「新基地」ではなく、シュアブの延長にすぎず、県全体では縮小になります)※この部分間違っていましたので訂正しました。
③だから移設に反対する(では代案はなんでしょう)
④普天間基地固定化は許さない (普天間の固定化しか選択肢が残りませんから、これで元に戻りました)

これでは、なんのことはない①から④までの永遠ループです。このような論理構造を循環論法と呼びます。

普天間2小が基地の真横にあっても移設に反対する。 普天間基地が市街地の真ん中にあっても、移設先の建設に反対する。

このクリアゾーンも、本気で伊波市長が実行する気なら、オスプレイ反対運動のプロパガンダなどに利用しないで、まじめにクリアゾーン撤去のための代替地と予算措置を講ずればいいだけなのです。

それをしないで、政治的プロパガンダにのみ興じるから、解決は永遠に遠いてしまいます。

そうならそうと、翁長氏や伊波氏は、はっきりこう言えばいいのです。

「普天間2小と同じく、普天間基地にはここに居てもらわねば困る。児童や住民の安全?知ったことか。彼らは人質なのだ」、と。

普天間基地とは、彼らにとって巨大な「普天間2小」なのです。

■追記 普天間2小移転問題については、宮本記者の誤報だという異説があります。詳しくはコメントをお読みください。

■テーマと無関係なことを長文でダラダラ書き込む荒らしもどきが来たために、この記事のコメント欄は閉鎖します。どうしてこういう人は、こだわったらそれっきりで、建設的議論ができないのでしょうか。うんざりします。

 

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