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普天間移設問題 米軍にだって要望はある

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まずは、前日に上げた普天間基地移転のみっつの条件を、おさらいしましょう。 

①移った先で第2の普天間問題を引き起こしたらシャレになりませんから、人家の少ない過疎の地域であることは絶対条件です。
できたら安全上は内陸よりも、離発着時に事故を起こしても海の上の海岸沿いがベストでしょう。
 

②地元の了解があること。これか最大のネックです。 

③米軍の合意があること。 

①②の条件を満たしたのは、消去法で辺野古地区しかありませんでした。

では、今日は③の「米軍の合意」について考えてみましょう。 

というのは、今や移設問題は、翁長沖縄vs本土政府という対決構造になってしまったので、もうひとりの当事者である米国の事情など、ほとんど誰も考えてくれません。 

しかし、米軍がノーと言えば、なにせ当事者ですからねぇ。

米軍の本音はスッキリ、「動きたくない」、です。

Photo_3
そりゃ決まっています。半世紀以上同じ場所に居たら動きたくないですよ。そのあたりは、一般ピープルの住居と一緒です。 

一方、同じ海兵隊でも「キャンプ〇〇」とついた陸上兵員がいる基地は、比較的簡単です。要するに、宿舎と訓練場だけですから。 

キャンプとはそもそも、恒久的な基地(ベース)ではなく、一時的に文字通りキャンプしている場所なのです。

ですから、私は沖縄海兵隊は、アジアがキナ臭くなくなったら、さっさと引き上げると思っていますよ。一日も早くその日が来ることを祈っています。

それはさておき、航空基地は宿舎だけじゃ済みません。それ以外に、滑走路はいうまでもありませんが、駐機するためのエプロン、誘導路、レーダー施設や、格納施設、燃料施設、火薬庫、管制施設などが付帯する複雑怪奇にして、膨大なシステムをもっています。 

しかも、海兵隊が沖縄にいる目的は、中国軍に張りついて、習近平におかしな気を起こさせない(これを「抑止」と呼びますが)ための実戦部隊ですから、引っ越し期間中もちゃんと機能していなければなりません。 

引っ越し作業をしながらも、一般企業と違ってお休みというわけにはいかず、1年365日営業中でなければならないのです。

複雑かつデリケートな機材を引っ越しさせながら、中国や北朝鮮に対する警戒看視活動もせにゃならんというのは、私たちが想像するよりはるかに大変なことなのです。 

ですから、あのイヤな事件で辞めさせられたロバート・エルドリッヂさんも言っていましたが、「移りたいというマリーンはひとりもいない」そうです。 

それに、この普天間基地の移転先は、どこでもいいわけじゃないのです。 

ハト氏は迷走中に、やれ徳之島だとか、果ては馬毛島という小さな島まで登場しましたが、あれらは検討するまでもなく、米軍がノーと言うに決まっていました。 

ハト氏は高学歴低知能な人なので忘れていたようですが、海兵隊というのは、陸軍海軍空軍の戦力を全部コンパクト化して、ひとつにギュっと詰め込んだ「オールインワン」の軍隊なのです。 

それを「空輸」の部分だけをアッチ、「陸」の部分はコッチでは、本来のオールインワンの機能は果せません。

ハト氏のアサハカさは、ただ滑走路だけのスペースを探しているだけで、よもやハンセン・シュアブまで面倒みなきゃいけなかったとは、夢にも思わなかったことです。

え、これじゃあ沖縄海兵隊の丸ごと移転と一緒じゃないかって、ハイ、そのとおりです。

だからこそ、普天間基地を動かすことは非常に難儀なことなのです。

ハトさんはノータリンな上に不勉強なので、甘く見すぎていました。

このように、海兵隊は、よく勘違いされているような、上陸専門部隊じゃないのです。それは大戦中までのこと。今は、総合的有事即応部隊なのです。

その意味で、陸自が今鍛練している真っ最中の水陸機動団は、よく日本版海兵隊と言われていますが、離島の防衛に特化した部隊にすぎませんから、本質的には別物です。

Photo
海兵隊の有事における行動イメージはこうです。 

有事発生⇒駐屯地で装備を準備⇒近隣の航空基地へ移動⇒オスプレイで出撃⇒戦闘⇒航空基地に帰還⇒駐屯地に戻る 

強襲揚陸艦に乗るというオプションもありますが、ともかく船はのろいですからねぇ。 

九州の佐世保軍港から回航している間に、状況がどんどん悪化して手に負えなくなります。 まだボヤのうちに消し止めるのが、海兵隊の仕事なのです。

ですから、今の海兵隊の出動の基本は、あくまでもオスプレイが第1です。 

このオスプレイを置く航空基地と、キャンプは文字通りお隣でなければならないのです。これが絶対条件です。 

すると徳之島と沖縄本島の距離は260㎞で、自衛隊が使っている大型ヘリ・CH47の巡航速度270㎞ですから、約1時間というところでしょうか。 

馬鹿げていますね。普天間基地ならあっという間なのにね。 

では、逆に兵隊のキャンプを徳之島に持っていったらいいだろうって? 

そうなると、キャンプハンセンとシュアブも、普天間と一緒に移転しなければならなくなります。 

もう、大引っ越し大会もいいところです。

第一、そんな平坦な大面積は、徳之島にはありません。

Photo_4(写真 徳之島 平坦地がないのがわかる)

ハト氏は当然忘れていましたが、普天間基地は有事には米本土からの応援を得て400~500機にまで膨れ上がるのです。

今でさえ狭いのに冗談ではない、というのが米軍の意見です。

そもそも、米軍はキャンプと航空基地をバラバラにされるのを非常に嫌がります。それは「オールインワン」という海兵隊の最大の特徴が死ぬからです。

ですから、「なにが哀しくて行かにゃならんんのか、オレはここが気に入っているんだ」と言うのが本音です。実際に徳之島案が浮上したときは、そう言って一蹴したそうです。

ですから、同じ理由で、九州に移転するのも難しいのです。

森本さんや石破さんが、こー言った、あー言ったと地元2紙は得意気に書き立てていますが、そんなことがほんとうに可能なら彼らが現職の防衛大臣やっている時に実行しています。

森本さんなど、辺野古に再着地させた時の防衛大臣でしょうに。無責任な。御両人、辞めてからいい顔するもんじゃありません。

■皆さんの激励、ほんとうに身に沁みました。ありがとうございます。がんばります。

 

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コメント

辺野古移転は滑走路が短くなり使い勝手が悪くなる、しかしシュワブやハンセン、弾薬庫と一体化するメリットで米軍を説得したというところでしょうか。

将来的には自衛隊も駐屯し日々米軍の指導のもとオスプレイから水陸両用車の操作や実戦法、その他の海兵隊技術をシュワブやハンセンで学び国防に備える。

最近、尖閣に普天間飛行場を移せばという方を見かけます。
本島から600キロ離れた浅瀬の少ないインフラもない狭いところに置く意味がわからないです。
全てにおいて不便極まりない。
何も考えないで言ってるだけなんだろうな。

数字遊びになりますが、普天間480h減、辺野古160h増、ハンセン162h減。
普天間分が丸々減る計算。

投稿: 多摩っこ | 2015年10月20日 (火) 12時38分

多摩っこさん。う~ん、海兵隊にはメリットなしです。
あす書きますが、行きたくないのが本心です。
渋々、日本政府が頑張っているんだから足引っ張らないようにしよう、ていどにぬるく見守っているだけです。

だからあながち皮肉ではなく、いつまでも普天間基地にいてもさって基地反対を叫びたい左翼陣営と、出て行きたくない米国の利害が一致してしまったことになります。

投稿: 管理人 | 2015年10月20日 (火) 12時55分

海兵隊についての詳しく分かりやすい解説ありがとうございます。そもそも移転すること自体簡単なことではないことがよくわかります。
話がそれますが普天間基地の写真は嘉数高台公園展望台からのものでしょうか。管理人様はご存知かと思いますが、かつてはここにたどり着くには「ホントにこの道でいいの?」という感じの細い筋道を通っていくしかありませんでした。今では国道330号線から入れる道が整備されて車で行きやすくなっています。国道からの入り口部分には大駐車場完備のファミリーマートができていて電気自動車の充電もできます。嘉数高台公園展望台は宜野湾市が360度見渡せるというのが売りですが、結局一番の売りは普天間基地が展望できることです。政治家もよく視察に来られますし。新しい道が整備されてからカメラを抱えた観光客をよく見かけるようになりました。もちろん目的は普天間基地。近くに食堂やカフェもあるし普天間基地はちょとした「観光資源」になっています。これがなくなったら観光客にとっては魅力が半減することでしょうね。経済効果うんぬんという規模でもないですが。嘉手納道の駅の売りも嘉手納基地が展望できることですし、なんだかんだといろいろ物議をかもす基地を観光資源化してしまうのも沖縄人のしぶとさ、したたかさ(←かみつきどころになるとか意味ワカラン)でしょうか。ちなみに新しい道路の周辺は完全に宅地化されています。

投稿: | 2015年10月20日 (火) 15時27分

↑は私です。すみませんHN入れ忘れました。

投稿: クラッシャー | 2015年10月20日 (火) 15時28分

基地を設置できる160㌶ものまとまった面積を確保するのは狭い日本の国土ではまず出来ませんよね。
利用できる土地はまず利用されていますし、現状では国道用地の確保ですら数ヶ月から数年かかるのですから
そういう意味でも辺野古以外となれば調整だけで相当な年月を必要とします。
基地は地元にはないほうが良いのは何処でも同じでしょうが…

投稿: 種子 | 2015年10月20日 (火) 15時33分

最近、地元紙で頻繁に取り上げられている記事で、他県で 辺野古埋め立てには一粒たりとも砂利は使わせない決議 沖縄移設反対派と連携などと。翁長知事が県外を主張している事を了解しての行動なのでしょうか?新報では、同調する県が だんだん増えている様ですが 理解できません。

投稿: 宜野湾市民 | 2015年10月20日 (火) 16時37分

翁長知事訴えられましたね。

辺野古取り消し「生存権脅かす」、宜野湾市民ら知事提訴へ
http://www.yomiuri.co.jp/kyushu/news/20151020-OYS1T50002.html

さあ、各社どう報道するか楽しみです。

投稿: クラッシャー | 2015年10月20日 (火) 17時52分

なんだか主張がさっぱり理解できない。
沖縄海兵隊は、アジアがキナ臭くなくなったら、さっさと引き上げると思っています
って、そんな軍隊のために、日本国の財産、国民の財産を投入するんですか。
何のために?

さらに根本の部分のことを書いてみて欲しいですねぇ。
「在沖縄海兵隊の抑止力」は、あるのかについて。
2012年に改定された米軍再編計画を前提としてです。

キャンプの理解もおかしいですが、さておき。
あなたの理屈なら、普天間にはキャンプと付いてない。
とすればそれは恒久的施設。ならばその代替もやっぱり恒久的施設ですよね。

それにキャンプにくらす第4海兵連隊は、グアムに行ってしまいますよ。
航空基地は、ついて行かなくていいんですか。

投稿: Mets | 2015年10月23日 (金) 00時01分

まったくそうです。

投稿: | 2015年10月25日 (日) 04時16分

米軍はアメリカのために働きます。
日本がアメリカのために役立つ時のみ日本に協力します。

投稿: | 2015年10月25日 (日) 04時19分

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