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2015年11月17日 (火)

パリ同時多発テロ事件 その2 フランスの軍事的報復は限定的

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パリ同時多発テロについての新しい情報を、整理しています。 

現時点で私たちが最も避けるべきなのは、予断です。 

日本の悪しき伝統として、ろくな事実関係の精査もないうちから、「〇〇の陰謀だ」「こんなことが起きたのは〇〇のせいだ」、というやくたいもない風説が大量に流布されます。 

結果、何が起きたのか、何が起きようとしているのか、について明確なイメージが結べなくなっていきます。 

典型的なのは、前回の日本人人質事件です。あの時、一部マスコミの誤った誘導により、テロと戦っている当の自国政府を攻撃する者たちが多く出ました。 

この轍を二度と踏んではいけません。 

したがって、本記事において原則として、私の意見は加えてありません。できる限り1次情報と、確証された事実だけを伝えていこうと思っています。 

また情報は検証可能なように、ソースを明示し、私の意見の場合、私見だとお断りします。 

Photo_8(写真 ISとの戦争を宣言するオランド大統領。宣戦布告にはならないのは、そのように言ってしまうとISを「国家」として認めたことになってしまう。BBCブレーキングニュースより)

さてまず、フランス政府が襲撃犯人を断定しました。以後、フランス政府が撤回しない限り、パリ同時多発テロの犯人は、ISということで判断していきます。 

次に、フランス政府は、ISが「首都」としているシリア領ラッカを爆撃しました。 

「フランスのパリで13日夜(日本時間14日早朝)、中心部のコンサートホールや北部のサッカー場などを標的とした同時多発テロが起きた。オランド仏大統領は14日午前に演説。一連のテロで127人が死亡したと明らかにし、過激派組織「イスラム国」(IS)によるものだと断定した」(朝日11月14日)

 Photo_5(写真 15日夜、ISを空爆に向ってラファール戦闘機。空軍力は絶大だが、ISには効果が薄い。ロイター) 

AFPによるフランス国防省の発表 

「作戦には戦闘爆撃機10機を含む軍用機12機が参加し、20発の爆弾を投下した。軍は声明で「破壊した第1目標は、ダーイシュ(Daesh、ISのアラビア語名の略称)が指揮所、過激派の人員採用施設、武器弾薬庫として使用していた。第2目標にはテロリスト訓練施設があった」と述べている」(AFP
※http://news.livedoor.com/article/detail/10835196/

フランス空軍が攻撃を加えたISが、「首都」と自称するラッカの位置を押えておきます。 

Photo_4(図 IS首都ラッカ。世界でいちばんの、テロリストと難民の発生地域となったシリアの内陸部に位置する。海岸部はロシアが握っている)

これは、報復攻撃を憲法によって禁止されていると解釈している日本国民には、理解が難しいでしょうが、主権国家としてあまりにも当然の行動です。 

主権国家は、領土の保全と国民の保護のために存在しています。それが侵された場合、反撃するのはとうぜんの国の責務です。 

「暴力は暴力の連鎖を呼ぶ」という声もあるようですが、現実には「暴力に屈すれば、次の暴力を招く」のです。 この反撃は、即座に行なわねばなりません。

政府が美術館や学校を月曜から開くように指示したのも、「こうやって日常生活を続けるのが、テロとの戦いだ」という信念があるからです。

「即座に」ということにも、大事な意味があります。

時間をかけてもたもたしていれば、ISに国内不統一を見透かされてしまいます。

フランスは、このような非常事態に対して、「即座に」野党まで含めて団結する伝統があります。

なにかといえば政局に利用したがる野党しかいない我が国と較べて、うらやましい限りです。

ところで、今後、いかなる展開になるのか、予断を許しませんが、私見ですが、フランスは現在、全力を上げて陸上部隊を投入することを検討しているはずです。 

というのは、空爆はテロリスト相手には、砂漠にじょうろで水を撒くような作業だからです。 

空爆は、正規軍に対しては絶大な威力を発揮しますが、ゲリラ・コマンドに対しては効果が少ないとされています。

むしろ、米国がやっている金融締めつけのほうが威力があるでしょう。

またISはラッカを首都にしていると称していますが、彼らの軍事施設は、わざわざ民家の隣や、時には学校ヤ病院のそばに設けたりしています。 

もちろん空爆に対して人間の楯にするためです。

Photo_6(写真 ラッカのIS。まるで暴走族だが、握っている兵器は正規軍並だ) 

そのためにピンポイントで軍事目標に爆撃したと思っても、民間人への被害が避けられません。 

現在の空爆技術はGPSを使用したJDAMが登場して、極めて正確に誘導することが可能ですが、目標自体が不確かであったり、住宅地にあったりした場合、誤爆の可能性が高いのです。 

実際、米軍はアフガンやイラクで誤爆の山を築いています。このような誤爆による犠牲者から、次のIS戦闘員が誕生し、再びテロに走ります。 

これが「暴力が暴力を呼ぶ」という悪循環です。 

主権国家としての責務である反撃権は行使すべきであるにかかわらず、それが次のテロを呼んでしまっては、何のための反撃か分かりません。 

この悪いスパイラルに入らないためには、地上軍を侵攻させて、ひとつひとつISの拠点を兵士が眼で確認して潰して行かねばなりません。

結局、最後は人間がIS「領土」を奪還せねば終わらないのです。

これが、非対称戦争といえど、無人機や空爆だけにまかせられない理由です。

Photo_7(写真 仏軍のマリ介入作戦であるセルヴァル作戦。仏軍は、かつて植民地を世界にもっていたために、このような軽装甲車両の展開を好む) 

しかし、私はフランスには陸上兵力を投入する国力がないと考えます。 

フランス軍が、近年、外国に軍事介入したのは、2013年1月から4月まで実施されたマリに対するセルヴァル作戦です。
セルヴァル作戦 - Wikipedia 

このマリの軍事介入において、フランス陸軍は作戦開始2週間で3千名を展開させています。空軍、海軍を入れても総勢で4千名程度です。 

Photo_3(図 くすんだ赤色がIS支配地域) 

今回は自国民の虐殺事件に対しての報復作戦ですから、さらに倍増したとしても、フランスが独力でシリア領内に軍事介入できる勢力は師団規模の1万人以下となるでしょう。

これでは、ISに返り討ちに合いに行くようなものです。 

また、増援部隊を送ろうにも、出撃拠点がNATO加盟国ではトルコしかありません。

おそらく、そもそもフランス軍に、侵攻拠点すら与えない可能性のほうが高いと思われます。

そして、今までの空爆作戦に関しても、足並みが揃ったとはいえない国際社会がどのような判断をするか不透明な上に、オバマが陸上兵力をフランス軍に協力させてシリア領内に入れる可能性はほぼないでしょう。 

したがって、フランス軍ができる軍事報復のオプションは極めて限られており、国民向けの象徴的な空爆を増強するていどで終わると思われます。

できるとすれば、現時点で180カ所とも言われる国内のISアジトをの徹底捜索があったように、関係者を検挙し、イスラム社会を徹底した監視下に置くことです。

1日に20発ていどの爆弾を投下されてくたばるISではなく、I今回の襲撃犯たちの多くがホームグロウンテロリストな以上、その効果は限られたものになるでしょう。

かくして、監視対象に置かれた移民社会はさらにガス圧を強めていき、第3、第4のテロ事件が起きる温床になっていきます。

大変に悲観的ですが、これが現時点の私の見立てです。

アア、いかん。フランス国民と連帯するなんて言ってて、どんどん醒めた眼になっていく自分が嫌い(涙)。

 

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コメント

昨日は、フランスのユダヤ系とモディアノの話で終わったので、ちょっとした追加。ユダヤ人とイスラム教徒の対立はパレスチナ問題の代理戦争みたいな部分があり、キーワードは「被害者」。

フランスにはクシュネールという医者・政治家がいます。国境なき医師団の創設に関与し、外務大臣までやったユダヤ人です。ところが、数年前、この男がアフリカ支援事業で自分の親族会社にお金を横流ししたり、ボスニアで臓器売買をやる連中とつながっていたとして、告発本が出版され、大きな話題になったことがありました。そのとき、クシュネールが国会でやった演説が「私の親族はユダヤ人として迫害を受け云々」というやつで、問題をすり替えて、人種的偏見で攻撃されていると訴えました。一事が万事で、ユダヤ系は、いつもヴィシー政権下で収容所送りされたことを持ち出し、自分の立場を有利にしようとします。ムスリムたちは、それをテレビの前で、歯ぎしりしてみています。俺たちはこんな連中から支配されている、という被害妄想に走る若者も出てくるわけです。

ところが、彼らと丁々発止の議論ができるムスリムというのが、ほとんど皆無なのです。ユダヤ系のインテリは山ほどいるのに。なにせ郊外で育った移民子弟の夢は「サッカー選手かラップ歌手」ですからね。

フランスでは社会問題の生討論バラエティ番組が人気があり、そこで政治家がおバカな発言をすると、すぐに流行語になったりします。しかし、そこでユダヤ人とわたりあえるムスリムの論客が少なく、いつも非ユダヤ系のフランス人が突っ込みを入れるくらい。

ほとんど唯一の例外が、スイスから来たタリク・ラマダンでしょうか。彼の祖父は、エジプトでイスラム同胞団を作った一人で、たしか父親がスイスに亡命したのだと思います。彼はたいへん人気があったのですが、オックスフォード大学の神学教授となり、フランスには戻ってこなくなりました。今から考えると、過激化するフランスのムスリムたちの中にいて、身の危険を感じていたのかもしれませんね。

思いつくままの雑文で失礼します。

エラエラさん。大変に興味深いのですが、言いにくいのですが、なんども申し上げているように、まだ襲撃犯人が、移民、ないしては移民第2世代の犯行と断定されていません。
今の段階で、移民とその家族と決めつけるのは早計です。

ロンドン爆弾テロでは、徹底してイスラム社会が監視対象になったように、以後、イヤでもフランスのイスラム社会は厳しい警察の管理下に入ることでしょう。

だからこそ、私たち日本人までもが、今の段階で移民社会を犯人のように見ることはないと私は思っています。

こういう大きくて複雑な事件は、地味でも事実関係だけを積み重ねて行くしかないのだと思っています。

もしよろしければ、、興味深い内容ですので、むしろ記事としてまとまった読み物で頂戴できれば、私としても嬉しいのですが。

もしそのお気持ちがあるなら、メールでお返事ください。メルアドはプロフィールの中にあります。

ご指摘、承知いたしました。
これまであった一連のフランスのテロ事件が念頭にあったので、つい先走った書き方をしてしまいました。すみません。

>もしよろしければ、、興味深い内容ですので、むしろ記事としてまとまった読み物で頂戴できれば、私としても嬉しいのですが。

おほめいただいて大変恐縮ですが、私のしゃべる内容は特に目新しいことでもないので遠慮させていただきます。私も、管理人さんと同様に、しばらくは事件の推移を見守ることにします。

少し落ち着きましょうよ。

まだ、事態の推移を待つしかありません。
余程の確信が無い限り予断は禁物です。

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