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2015年11月21日 (土)

パリ同時多発テロ その6 EUの国境廃絶は失敗だったのかもしれない

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パリ同時多発テロを受けたフランスと、テロリスト送り出し国にして、出撃拠点を与えたことになったベルギーで、ちょとした論争が起きています。 

「フランスのカズヌーブ内相は19日の記者会見でこう語り、EU諸国間で重要なテロ情報の共有ができていない実態を暴露し、不満を表明した」(産経11月20日) 

フランスはテロリスト輸出国となったベルギーに怒り心頭です。「おい、ベルギー。テロリストを輸出しやがって。なぜ情報を出さなかったんだ」と目を吊り上げています。 

ベルギーにはフランスのみならず、EU加盟国すべてから、「ブリュッセルのEU本部の傍がアバウドの出身地なんだって。冗談じゃないぞ」という怒りが集まっています。 

一方、言われっぱなしのベルギーも負けてはいません。 

「アバウド容疑者の出身国ベルギーはフランスからの非難を受け、ミシェル首相が19日に『中傷を目的とする批判は受け入れられない』と反論。パリ郊外サンドニにあった潜伏先の拠点発見は、ベルギーの情報によるものだと主張した」(同) 

首相が他国を、「中傷を目的とする批判」とまで決めつけたわけで、これでいっそうフランスとベルギーの連携はギクシャクすることでしょう。 

そうでなくても、ベルギーの治安の悪さと、IS参加人数は異常に多いのです。

Photo_5((産経11月17日より)

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なぜ、こんな言い合いになったのでしょうか。考えられる理由はひとつです。 

EUが国境を廃絶してしまったからです。 

第1次世界大戦と第2次世界大戦は、すべてヨーロッパが主要な舞台でした。 

ヨーロッパだけで、第1次大戦で約1千万人、第2次大戦で3千500万人程度の犠牲者がでています。  

この反省から生れたのが、軍事的にはNATOという集団安全保障体制であり、それを政治的にくるんだのがEU(ヨーロッパ共同体)で、その共通通貨がユーロでした。 

ヨーロッパの統合はまず、石炭や鉄鉱石といった、今まで取ったり取られたりして戦争の原因を作っていた重要資源の鉄や石炭を共同管理することから始まりました。 

ほら、教科書にもよくでてきたアルザス・ローレーヌは、ドイツ語読みではエルザス・ロートリンゲンといって、両国が自国領だと主張して戦争まで起きています。 

ヨーロッパの統一への驀進は鉄くらいでは止まりませんでした。

続いて、国と国の行き来はヒト、モノ、カネですが、モノの往来をしやすくするために関税廃止という荒技までやってしまいます。 

これで各国は、国内産業の関税による保護が不可能になります。ちなみにTPPは、今、この段階を目指しています。 

これで終わりかと思ったら大間違い。次はとうとう、国境をパスポートなしで超えられるようにするという超荒技にまで発展します。 

これが1985年の「シェンゲン協定」です。 茶色がシェンゲン協定加盟国です。英国を除いてほぼヨーロッパ全域に拡がっています。 

英国はユーロにも参加していませんから、さすが、です。 

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あ、そうそう、この後の2002年には、残ったカネの往来をユーロという共同通貨にしてしまいます。 

これが、ドイツの独り勝ちという極端な国家間経済格差を域内に生んでいくことになり、ギリシア危機でとうとう火を吹きますが、今日はそれは置きます。 

ギリシャ危機についてはかなりの本数の記事を書いていますから、過去記事をご覧下さい。
※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/03/post-a7f9.html 

さて、今回問題となったのはヒトの往来の自由です。 

ところが、今回の事件と、その前のシリア難民の大量移動の現実を前にして、「ヒトの往来が国境を自由に越えられるって、そんなに幸福なことなのか」、という疑問がムクムクと加盟国に湧きだしたのです。 

フランスは、今回のパリ同時多発テロを受けて、国境閉鎖に踏み切りました。 

これはいちおう建前では、緊急事態に対応したもので、緊急事態宣言が解除されたら、また元に戻すということですが、ほんとうに戻るのでしょうか。 

というのは、テロには終わりが見えないからです。2番目のテロをフランスで行なうてはずだったことは、先日のサンドニ銃撃戦で明らかになったことです。 

しかも、今回の実行犯は、ISの在欧テロリストの氷山の一角にすぎないこともわかっています。 

昨日も書きましたが、今のヨーロッパ諸国は、国外と国内の二重にテロリストを抱え込んでしまっています。 

つまり、テロリストから見れば、上図の茶色のシェリンゲン協定締結国のどこかにもぐり込めば、そのままズッーと標的国まで移動できてしまうわけです。

今までひとつひとつ国境の厳しい入国審査を越えねば標的の国にたどり着けなかったテロリストにとっては、願ったりかなったりです。 

作ったEUは別にテロリストのために作ったわけではないこのシステムが、テロリストの移動の自由まで助けてしまうことになったわけです。

実際このようなことがドイツで起きています。 

「ドイツの公共放送「バイエルン放送」は14日、ドイツ南部のオーストリア国境付近で、数日前、地元の警察が、今回のテロの犯行グループに関わっている可能性のあるモンテネグロ出身の男を拘束していたと伝えました。
それによりますと、男は年齢が51歳で、警察官が高速道路のアウトバーンで男の車を止め内部を調べたところ、複数の拳銃や弾薬、自動小銃、それに「TNT」と呼ばれる爆薬数キロを車内に隠し持っていたということです。
また、男から押収した文書には、男がパリに向かっていたことを示す内容が記されていて、ただちにドイツの捜査当局が詳細をフランス側に連絡したもののフランス側の対応が消極的だったとしています。
一方、バイエルン州の捜査当局は、地元の通信社の取材に対し「武器の密輸は日常的に行われている」と述べて、男が今回のテロの実行犯に関わっていたかどうかについては現時点では判断できないとしています」(2015年11月14日NHK)

このNHKの報道は、なぜかほとんど表面に出ませんでしたが、実は別なISのグループもドイツからフランスに武器を持って移動していたことが分かります。

しかも、ドイツ警察当局は、フランス側にこの危険情報を通報していたのですが、なぜかフランス当局はポカーンとしていたようです。

ドイツ側からすれば、フランスに向うテロリストが目標変更してドイツ国内でテロをする可能性すらあったわけで、一国の失敗が連鎖的に他国の安全保障を脅かすことになります。

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また、今回、未確認(※)ですが、シリア難民に紛れ込んで、ISがテロリストを送り込んだ疑惑が浮上しています
※テロリストの遺体のそばで発見されたパスポートは偽造と見られています。

ニューズウィーク(2015年2月5日)はこう述べています。
※http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2015/02/post-3542.php

「匿名のISISメンバーがニュースサイトのバズフィードに語ったところでは、シリア難民に偽装した多くの工作員がトルコ経由でEU圏に送り込まれているという。英王立国際問題研究所のリチャード・ホイットマンは、テロの脅威は「明らかに国境を超えた複合的問題だが、各国政府はこの件で主導権を手放したがらない」と指摘する。
 密入国者は最も管理や警備が甘い場所を突いてくると、ホイットマンは言う。そのいい例がトルコとギリシャの国境だ。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、シリアからトルコに逃れた難民は160万人以上。その多くがさらにトルコからギリシャやイタリアなどに入ろうとする可能性がある」

この記事によれば、既に今年2月頃から、ISは偽装難民を戦略的に利用して、入管が甘い国から、大量のテロリストをEU域内に浸透させていこうと企んでいたようです。 

このように見ると、ヨーロッパの理想であった「国境のない欧州」という夢は、いまや悪夢に変わりつつあるようです。

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コメント

歴史的に関係の深いフランス-ベルギー間には、以前から税金逃れの移住問題などもありますし、便利なのがいいばかりだとは言い難いなぁと思います。
また、ベルギーって小さな国土でありながら南北格差がものすごかったりとけっこうな問題を抱えていますね。

どの国も一旦コストカットした国境警備を今一度配備する為の人手が足りないのだと思います。国境をまたいだ道路や平地が気の遠くなるほどあります。
シェンゲン内移動自由は車移動の際に恩恵を受けました。チェコなど外への陸路でも3月位まではホテルのチェックインの他は一度もパスポートを見せる事なく車で出入りできた例がいくつもありました。検問してないのではなく休んでたり手薄になったりで。失敗かどうかは未だ分かりませんが、規定以上にユルユルだったのは確かです。
締め直して連係強化するだけで大分成果が上がるかもしれません。

ふゆみさんはあちらでの滞在が長かったのですよね。
貴重な見解だと思いますが、私のように渡航経験の無い人間には今回のような取り返しのつかないテロ事件が起こると多少の不便さがあっても、国境ゲートくらいはあって然るべきではないかと思う次第です。その程度の手間と時間のコスト負担は仕方ないのではないかと。

もちろん、EUが完全に統一国家にでもなれば全く話が違ってきますが…。

例えばですが、ベルギーなんかは沿岸部のブリュッセル近辺が東京圏で、南部の内陸は東北か北海道くらいの差がありますよね(言葉の違いも標準語と強い東北訛りかそれ以上ですし)。
ベルギーに矮小化してしまってるようですいません。一例として出しただけです。
遅れてEU加盟した東欧の畜産やワインのような、伝統的な農業生産がEU規格を満たさないといった統一による矛盾や不満があるのではないかと。

テーマであるパリのテロから外れてしまいましたが気になる事案なもので、すいません脱線しました。

私は仕事でドイツに行ったときに入国審査のユルさにビックリしました。
No EU nationであるにも関わらず、パスポートをチラッと見ただけで、ほぼ素通り状態でした。

ベルギーの事情については、フォーサイトの大野ゆり子氏の記事『パリは「たゆたえども沈まず」(Fluctuat nec mergitur)』を読んで、なるほどと思いました。

ところで、昨日のコメントでベルギーのムスリムの「一万人に一人がテロに関与」と書いてしまいましたが、「一万人に一人がISに参加」の間違いでした。

無差別に殺戮を行う連中を理解しようと思わない。

今回はヨーロッパの出来事ですが、我が国のテロ対策がしっかりしているのかどうかが気になります。

出来る限り強化すべきだと私も思いますよ国境警備。
システムと人員増の為には今発表されている位の時間がどうしてもかかるでしょうが頑張って働いてしのいでほしいです。手間というより労働に耐える人員が不足しています。お金は借金できても人はすぐには調達できないです。
私は9.11後のNYにも住んだり、トルコから戻ったら翌週にイスタンブール自爆テロがあったり、今も我が家と家族同然の付き合いだった方々が何人も住む中での事件なので、他人事でないです。取り返しのつかないようなテロの近くに他の日本人よりも居た時間が長いせいでか、麻痺している部分があるかもしれません。が、どこで起きるテロでも現場が出来る限り協力してしのぎ周りが連携してバックアップする、その成功を祈る以外あんまり考えられないです。
皆さんアメリカをぼろくそにアホ扱いして、まあそれだけ本当にアホなんですけど、賢かったら引き受けないような事いっぱい荷なっている日常がありました。
NYの頃よりネットでの安否確認や情報交換が格段にアップして助かっています。

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