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2015年11月 4日 (水)

首脳会談で李克強が南シナ海についてしゃべれるはずがない、

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安倍総理とパククネ大統領の会談は1時間と報じられていますが、実質は1時間半で、そのうち1時間はクネさんが慰安婦問題をズッとしゃべっていたそうです。 

「韓国を訪問中の安倍晋三首相は2日午前(日本時間同)、同国の朴槿恵大統領と初の日韓首脳会談をソウルの大統領府(青瓦台)で行った。慰安婦問題について、今年が日韓国交正常化50年であることを念頭に、できるだけ早期の妥結を目指し、交渉を加速させることで一致した」(産経11月2日) 

会談内容の詳細は公表されていませんが、なにやら自分は選挙があるから、年内に「解決」しろと言ったとか言わないとか、そりゃ、あんたの都合でんがな。 

残りは、あたしはTPPに入りたいから力貸せ、とかいう「未来志向」の話だったようです。 

はいはい、特に驚かなくなった自分が哀しい(笑)。 

日本側の対応は、首脳会談に必ずつく共同声明や、共同記者会見も開かなかったことでも明らかです。 

Photo_2
パクさんは当事者能力がないのですから、本来、話あっても意味がありません。 

さて、これは日中首脳会談の折の、李克強首相との会談テーマだった南シナ海のことも同じです。

李は南シナ海に紛争について、一切発言を許されていません。

Photo_6(写真 李克強。北京大学卒、英語ペラペラ。頭脳明晰。西側に受けがいい。ブルームバーグよりhttp://www.bloomberg.co.jp/news/123-N7DBNZ6JTSEL01.html

まずは李の立ち位置から押えておきましょう。 

李は、習近平と対立する胡錦濤派の出身です。この党のエリート集団の名をとって、別名「共青団派」、略して「団派」とも称されています。 

共産青年団とは名前こそ過激派みたいでオドロオドロしていますが、次代を担う党幹部を作るためのエリート養成機関です。

マルクス主義も注入されていますが、それ以上に合理主義的発想を好みます。 

経済においては、李がかつて「オレはGDP統計なんか信じていないからね。信じられるのは鉄道輸送量と電力消費量だけだから」と米国要人に言ったことが、ウィキリークスに暴露されたように、共産党の幹部とも思えないクールさが信条のようです。 

ですから、外交政策においては、国際秩序に協調してその枠内で徐々に米国に並ぶ勢力にのし上がることを考えています。 

Photo_7(写真 汪洋副首相 李克強と同じ共青団出身の重鎮)

たとえば、李に並ぶ共青団派閥のもう一人の大幹部である汪洋(オウヨウ)が、米国で行なった講演を見てみましょう。

汪はバリバリの政治局委員兼副首相という要人です。 

汪は、去年12月18日に米国シカゴで開かれた第25回中米合同商業貿易委員会(JCCT)の席上で、このように述べて、聴衆である米国の政財界の人々から拍手を浴びました。 

「米中はグローバルなビジネスパートナーではあるが、世界を導いているのはアメリカである。アメリカは既に秩序とルールを主導している。中国はこの秩序に参加したい、規則を尊重したい」と。その上で汪洋氏はさらに、「中国には、アメリカの指導的地位に挑戦する考えもなければそのような能力もない」 

ね、なかなか衝撃的じゃありませんか。米国の国際秩序におけるイニシャチブを認めていているからです。 

この汪の発言は、実は習近平の国際方針と真っ正面からぶつかっています。 

習の外交方針は汪が述べるように、「米国は既に秩序とルールを主導している。中国はこの秩序に参加したい」などという可愛らしいものでは決してありません。 

習の外交方針は一貫して、米中2国による太平洋分割をめざす、「新型大国関係」です。 

Photo_3(写真 2013年6月8日。いわゆるノーネクタイ会談。この場で米中太平洋分割提案をした。朝日新聞より)※http://www.asahi.com/special/news/articles/TKY201306100084.html 

中国の国営人民網はこう報じています。 

「2013年6月、習主席はオバマ大統領とサニーランズで「ノーネクタイ」の会談を行った際、「中米の新型の大国関係の構築」を提唱した。中国国際問題研究院の阮宗沢副院長は「新型の大国関係の構築という中国の新提案は、間違いなく現在の国際関係において最も創意ある『中国の案』だ」と指摘した」(2015年09月09日http://j.people.com.cn/n/2015/0909/c94474-8947720.html 

ところがこの習の「もっとも創意ある中国の案」は、オバマからすげなく拒絶されます。お気の毒。 

たしかに、オバマは米国国務省やバイデン副大統領などの提唱するG2(2大国関係)に対して魅力は感じていました。 

しかしそれはあくまでも、環境や民族・宗教紛争などの国際的な問題に対して、もっと中国を関与させようというものにすぎず、よもや習がチャラとして言ってのけた、「太平洋をハワイで分割しようぜ。西はお前、東はオレ」などというものではなかったからです。「

「太平洋を分割」って、あんた300年前の大航海時代のボルトガルとスペインかって(苦笑)。

日本人には正気の沙汰とは思えませんが、このウルトラ時代錯誤な縄張り意識こそが、習の中華秩序なのです。

習の脳味噌の中には中華帝国の版図が厳然としてあり、その拡大こそが自らに与えられた使命だと考えています。 

Photo_9(写真 南シナ海の人工島。兵器が設置されていると豪州メディアが報じた)

そこで、米国に太平洋2分割提案を拒絶されて怒った習が始めたのが、この間の南シナ海における人工島建設でした。 

これは、米国と台頭に軍事的・外交的に渡り合って、アジア全域から米国を排除するものでした。これを習は、「アジアの新安全観」と称しています。 

そして、先日の第2回訪米で、オバマの説得にもかかわらず習は、人工島建設を強行することを断言しています。 

Photo_4(写真 第2回訪米。習のぶっちょヅラは、昨晩なにがあったのかよく分かる。それにしても軍事パレードの時といい、感情がよく顔に現れる人だ。ニューズウィークより) 

この習の方針と、汪発言はまったく正反対であり、中国の赤い宮廷内部では謀叛と取られても仕方がない性格のものでした。 

Photo_8(写真 習にガン飛ばされる胡錦濤。フォーサイトよりhttp://www.fsight.jp/11922

実際に、習は怒り狂い、汪が胡錦濤前首席の指示によってこのようなふざけた反乱を開始したと受けとりました。 

そして抜く手も見せずに、汪が帰国したわずか4日後の12月22日、、共青団の大番頭である胡錦濤の元側近・令計画(全国政協副主席・中央統一戦線部部長)を逮捕・拘束します。 

これは、習の李と汪、さらには、共産団トップの胡錦濤に対しての強い警告でした。

習は、こう無言で言っています。 

「もし、今後お前ら、共青団一派が外国でふざけた反党的発言をしたら、令の次はお前らだからな。胡だって、そのうち潰してやる」 

このような立場の李が、外国で、しかも「小東洋鬼」ごときを相手に、南シナ海について言質をとられるようなことをしゃべるはずがないではありませんか。

李はおそらく、習の米国に対する軍事挑発を苦々しく思っているはずです。

「なにも、今、中国経済が危機に瀕して、諸外国の支援が必要になるかもしれない時期を選んで、こんなマネをすることはないだろうに」、と。

李は、この習の非合理的軍事膨張路線が招く、米国との対立を恐れています。

ただし、そんなことを口にしようものなら、ただの更迭では済まないこともまた、よく分かっていると思われます。

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コメント

習近平は大中華思想の信奉者であるというより、常にケツに火が点いているだけというほうが実像に近いと思いますが。
もはやイデオロギー的な締め付けは無効であり、経済発展の行き詰まりを糊塗するため、止まったら沈んでしまうサメみたいに、強い中国のイメージを吹聴し続けなければならない。
最終的にアメリカに対抗してアジアの覇権を確立できるなどとは考えていないが、それを確立しようとしてるフリをしてる間はまだなんとかなると。

もちろん「ただの虚勢だから大丈夫」ではなく、
内向きのパフォーマンスの引っ込みがつかなくなっての目標なき局地紛争勃発の危険性はむしろ高まりつづけているだろうけど。

そして「冒険主義に走らず、持続的経済発展の結果としてアメリカとの並存を目指す」という「現実派路線」も、中国という国においては結局絵に描いたモチなのだろう。
常に内輪の足の引っ張り合いへの対処が第一義(文革も、改革解放路線も)、その内圧の高さによる泥縄っぷりがあの国の限界なんだろう。

HN難波さん。はい、あなたのおっしゃるとおりです。自分の鼓吹した「中華の夢」のために、今やケツに火がついたカチカチ山状態です。
頼みの経済が大ピンチの上に、TPPが締結間近で、中国ぬき経済圏ができるということが、習の危機感を煽っているはずです。

習の海洋膨張がはじまった時期が、この第1次オバマ会談の後だということから、私は海洋軍拡を米国との相関関係から見ています。

今回の「航海の自由作戦」を招いたのは、習の読み違えです。
私は、第2次オバマ会談であれほど強気で突っぱねるとは予想しませんでした。
ひょっとして習が、人工島の「環境保護のための国際使用」くらいを言い出すかと考えていたのですが、想像を絶する硬直ぶりです。
落し所を知らないのは、オナガ氏並です。

習は、プーチンを師にしています。おそらく、ウクライナに対してオバマが無力だったように、南シナ海の人工島建設を中止しなくても、オバマは何もできまい、という予測をしていたように思われます。

あるいは、そこまで切羽つまった内部事情があったのかもしれません。
しかし、見事にアテがはずれて、オバマを本気で怒らせてしまったようです。

今の段階では、私には何とも申し上げられませんが、ただこの流れに李が関わっていないことはたしかだと思っています。

誤解が多少あるようですが、私は李たち共青団派も同じ穴のムジナだと考えています。
経済オンチのミニ毛沢東の習に代わって、この間の狂乱の官製不動産バブルを作り、それが崩壊するとその資金を上海株式に投入して、再び大崩壊をさせた張本人がこの李です。
ひとつ習と李が違うのは、軍事優先か、経済優先かの温度差だけです。

どちらも一党独裁の上にあぐらをかいたこの異様な国家資本主義の上に乗っていることは一緒です。
したがって、それが崩壊する時は、習も李も、いや中国共産党全体が共にその雪崩に押し流されて破滅いくことでしょう。(←このへんは願望が入っています)

ただ、その時期まではわかりません。案外続くかもしれないし、来年かもしれません。
こういう時期に中国の冊封国になりたいという翁長氏の気持ちがわかりません。

なるほど。
少し話は逸れますが、
私としては戦後サヨク思潮全体が、自民主導の従米路線、大きな構図ではアメリカのヘゲモニーの絶対を誰よりも(いまだに)信じ抜いているからこその永遠の反体制ゴッコに過ぎないと思っていますが、

あるいは翁長氏らも、どれだけ自分達がハネ回ってもどっちみち米軍は永久にどこにも行かないし、中国の触手が本当に沖縄にかかることはありえないと確信するがゆえに、周囲の情勢変化も眼中に入れずにゴネられるだけゴネてやろうという
いわば「家出する気はさらさらない不良少年」状態なのかな?とも思っています。

つまりは翁長氏らはどこまで本気なのか、彼らのホンネはどこにあるのか…に関心があるということです。
なんで、こちらのブログ記事を読んで勉強させてもらっています。

真に沖縄が自主性を発揮するために必要なのはサヨク的空理空論でもなければ銭勘定だけの「現実主義」でもない、いわば血の通ったリアリズムとでもいうべきものだと考えますが、また沖縄の人々がそれを持っていることも疑わないのですが、
ではいつまで翁長氏らが野放しでいるのか?と訝しくも思っています。

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