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2015年12月26日 (土)

「思いやり予算」という不思議その3 「逆さ地図」でみる東アジア

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この「おもいやり予算」もそうですが、日本人の悪い癖は、「言葉」でその場しのぎしようとすることてす。 

初めから金丸信氏が、こう言っていればよかったのです。 

「ありゃ接受国支援予算つうもんで、米軍さんを側面から支えるために出しているんだよ。何?基地のレストランの従業員の制服にも使っているって。細かいなぁ。そりゃ裸で働いてたら風俗になっちゃうでしょうが」 

ところが、このオっサン、北朝鮮行って金塊もらってきただけあって、(ちなみにそのツアーの事務局長は小沢一郎さんですが)金のこととなるとすぐに後ろめたくなると見えて、すぐにグニョグニョと口先だけでゴマかし始めるから困るのです。 

というか、冷戦期の自民党にありがちな勉強不足だったんでしょうね。

日米安保の真の重要性を理解していなくて、なんとなく「そこにソ連があるから米軍にいてもらっている」って感覚です。 

米ソ冷戦構造があまりにガチっと出来上がってしまって、永久凍土のように当時は感じられたために、保革が打ち揃って天然ボケでいられた時代でした。 

自民は「ソ連が攻めてくるぞ」といえば証明終了で、左翼陣営に至っては非武装中立なんていうぬる~いファンタジーに浸っていれば済んだわけです。(←今でも漬かっていますが)

さてこれが冷戦が終わって、世界情勢が複雑になると、「米軍になんとなくいてもらう」というのどかな話では済まなくなりました。特に近年はそうです。 

ではここで、アジアの地図を見てみましょう。 

Photo_3

 まぁよく見慣れた普通の地図ですが、これをヨイショとひっくり返すとこうなります。 

Photo_2http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/1510/kj00000275.htmlより転載)

 俗に「逆さ地図」と呼ばれていますが、正式には「環日本海・東アジア諸国図」といって、れっきとした国土地理院が作っているもので、ちゃんと市販しています。 

一般の地図だと、なんとなく日本側からだけ見てしまいますが、中国から見ると日本列島はこう見えるというのを知るにはうってつけの一枚です。 

画面中央やや右の、朝鮮半島と山東半島に囲まれた大きな内海が渤海です。 

ここの旅順は良港なので、ロシアが軍港を作り、日露戦争の激戦地になったので地名くらい聞いたことがおありでしょう。 

今は、中国北海艦隊の軍港があります。司令部は海を隔てた青島です。 

Photo_4
旅順軍港は遼寧省にあって、どこか聞いたなという方は鋭い。中国の初の空母の「遼寧」の名はここから取られているんです。 

それはともかく中国にすれば、大陸に面した海が意外に狭く、目の前にわが日本列島が封をしているように立ちふさがって見えるのが分かりますか。 

日本列島は、まるでそのためにあつらえたかのように、ロシアの太平洋の出口を塞ぎ、本州全体で沿海州に面した日本海を内海化してしまい、さらに南に下れば、九州から奄美諸島、沖縄、八重山と南西諸島が連なって、中国の前にのびのびズド~ンと連なっています。 

そして、沖縄から先はさらに台湾につながり、台湾からはバシー海峡を挟んでフィリピンへと続き、その端はベトナムに連結しています。 

こうして見ると、中国にとって自由に動ける海はごく限られているのが分かります。 

え、中国は南部がズっと海に面しているだろうって。 

残念。この沿岸部は、一部を除き浅い大陸棚が続いているために軍港に適していないのです。 

となると中国からすれば、広い海へ出て行こうとしても、先に挙げた日本列島の島々の間を縫って行かざるをえなくなります。 

こんな感じです。 

Photo_5
上図は近年の中国海軍の動向を見たものです。 

西に東に四方八方に、中国海軍が近隣諸国をドツき回しながら、膨張している様子がお分かりになるだろうと思います。 

しかし、太平洋方向に出ようとすると、どうしても沖縄諸島の間を縫って通過していかねばなりません。 

こういう狭い地点のことをチョークポイントと呼びます。チョークとはプロレスの反則技でもありますが、締めつけて窒息させることもできる急所のことです。 

世界的には、海上交通の多い狭隘な海峡のような場所のことで、有名な地点としては、マラッカ海峡、ホルムズ海峡、スエズ運河、パナマ運河、マゼラン海峡、ジブラルタル海峡、ダーダネルス海峡などがあります。 

わが国は、幸か不幸か、地理上たくさんのチョークポイントを持っている国です。

しかも相手国が、東側の主要国の中露二ヶ国ときています。

トルコやギリシャは黒海の入り口を塞いでいてロシアにとって障壁となるために、NATO諸国で重要な位置を与えられていました。

同じような働きをアジア地域でしていたのが、わが日本だったのです。 

Photo_6(図 海防ジャーナル様より転載いたしました。ありがとうございました) 

日本のチョークポイントは北から宗谷海峡、津軽海峡、対馬海峡があり、これらの3地点だけで、太平洋に出たいロシア艦隊にとって、ヒジョーにイヤな急所になります。 

さらに大隅海峡、宮古海峡というチョークポイントは、中国艦隊にとって、不愉快極まりない地点になっています。 

中国からすれば、そもそもそこにあるだけで目障りな上に、日本は経済的にも巨大で、最先端のハイテク兵器を国産して、兵員数や武器の数は少ないながらも高度な訓練が行き届いた自衛隊が存在します。 

何がなんでも海洋膨張したい中国にとって、日本ほどうっとおしく邪魔な存在はないでしょう。 

事実、中国は毎年のように、宮古海峡に原潜を通過させたり、こともあろうに陣形を組んだまま10隻もの大艦隊を通過させたりしています。 

2012年12月には、尖閣諸島近くまで大規模な艦隊で接近しています。 

Photo_8(図 2012年12月11日サーチナ)

「中国海軍の艦隊は10日、西太平洋での遠洋訓練を完了して帰還する途中、尖閣諸島(中国名:釣魚島)周辺海域を航行した。中国国際放送局が報じた」(同)

領土紛争が起きている海域に大艦隊を接近させて、これみよがしに通過させるということ自体非常識な危険極まる挑発行動です。
 

おとなしい日本ですから、黙っていますが、これが一般の国ならここで火蓋が切られてもちっともおかしくありません。 

また2014年には、宮古海峡を大艦隊で通過して見せました。 

Photo_7(この写真は2014年の宮古海峡通過時のものではありませんが、艦隊規模は同じです)

 冷戦期のソ連ですらしなかったイチビリです。 

これらの中国海軍の活動は、自衛隊の中国海軍艦艇の動向についてというPDFでご覧いただけます。 

もちろん、沖縄と宮古島はいずれも日本領ですが、その間の海域は公海ですから軍艦の通行は自由です。 

これは無害通航権が保障されているからですが、毎回毎回、このような挑発行動をくり返せば、何が起きても不思議ではないでしょう。 

逆に、中国は南シナ海の「領土」と自称しているスプラトリー諸島周辺の公海を、米海軍がたった1隻で通過しただけで怒り狂って、報復すると息巻いていましたっけね。

もしこれが、大艦隊だったら習さん失神せんばかりに怒り狂うでしょうね。まったくダブスタですね。 

Photo_9
このように日本の地理的位置を知れば知るほど、なぜ米国が日本列島に基地を置きたがるのかご理解いただけると思います。

もし仮に日本が財政的に逼迫して「思いやり」などできなくなっても、米国は日本列島に基地を置き続けることでしょう。

小川和久氏は、米国要人にこう尋ねたそうです。

「私は、機会を見つけてはアメリカ側の要人達に次のように確認を求めてきたわけです。
『安上がりなのは、確かにアメリカにとって望ましいことでしょう。しかし,単に財政的に助かるから日本に基地を置いているのか、それとも戦略上の要請から根拠地を維持したいのか,その点をはっきりさせてほしい。
仮に日本がびた一文出せないような貧乏国であっても、アメリカは軍事基地を維持し続けるつもりですか。
それともカネの切れ目が縁の切れ目で、そそくさと撤退するのですか』
専門知識を備えた要人であるほどに、アメリカ側の姿勢は明快なものでした。
『アメリカが日本に基地を置くのは、日本の地政学的条件を踏まえた戦略的な選択の結果です。日本の財政面の支援はありがたいが、二義的な問題です。
仮に日本経済が悪化して、アメリカが逆に基地の使用料を払わなければならなくなったとしても、アメリカの国益のために在日米軍基地は確保しておく価値があるのです。」(『日本の戦争力』)

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コメント

米軍は日本の防衛のみならずアジアを含め、地域全体のために存在している事は重要な視点です。
我が国の憲法にも明文化されているとおり、日本も自国の利益だけでなくアジアの安全保障、国際の平和と安定に積極的に貢献する義務があります。

近年、アジア太平洋地域の安定と繁栄の要である日米同盟の責任はますます重いものになって来ています。
ところが日本には「専守防衛」というクビキがあって、自衛隊が外に向かっていく事は許されていない。
そこで「おもいやり予算」という、かたちを変えた重要な貢献をしていると言えるワケです。
しかし、このしょぼいネーミングのせいもあって、一切の誇りを持てないでいるんですね。
「しょせんカネだ」という醒めた気持ちが国民にあり、それが事実を曇らせてしまう一要因になっている。

今も自衛隊は米軍の活動のバックアップに多大の貢献をしているんですが、こういう重要な活動もなかなかスポットが当たりません。
政治家自身、もう少し勉強して事実を国民に発信してもらいたいですね。

恥ずかしながら思いやり予算を誤解している部分が多々ありました。いつもありがとうございます。
こうやって考えるほどに個別自衛で孤立するより集団的自衛権でもって抑止する価値が理解できます。
前スレとかぶってしまうのですが、国同士を主従や家族になぞらえて比喩する東アジアな論争は、ホントこういう事を考える時に邪魔に感じます。

思いやり予算の意味合いが理解出来ました。

恥ずかしながら沖縄の振興予算が分からない、公共事業の国庫拠出金(高率補助金)と地方交付税(使途が自由な一括交付金)の総称という理解でいいのでしょうか?

詳しい方、教えてください。
内容から逸脱してすみません。

多摩っこさん。

一般の自治体は「地方交付税交付金」で支給されているものを、沖縄に限っては担当大臣まで置いて「沖縄特別交付金」として交付されるというのがザックリとした違いでしょうか。だから米軍基地反対の方々は「同じ物を別枠扱いでもらっているだけなのだから正統な権利だ!」と主張しているようですね(違っていたらすいません)。
政府や本土国民も「あの戦争で激戦地となった沖縄の同胞には申し訳ない気持ち」があり、沖縄復帰後の所得ベースや教育・医療などの遅れをなんとかしてあげなければ!という思いがあったことでしょう。
ですが、多額のお金を投入し復帰後40年経っても改善されず他の自治体とは桁外れの金を貰っていながら体質も変えずにいるのに「基地負担」ばかり強調しては「オール沖縄の民意」という翁長さんの主張とグダグダぶりに、正直ウンザリしている人が増えて「嫌沖論」のような考えが広まりつつあるという大変残念な状況なのが今だと思います。

ちなみに、今や東北の田舎と大して変わらない所得の沖縄や、民主政権時代の移転先候補で上がった徳之島の反対運動での「ここは東京と違って年収200万円でも幸せに暮らせる平和な島なんです!」と叫んでいた赤いオバサンとか、こちらから見たら「お前らホント幸せだな!」と。暖房費用や除雪の苦労を当たり前に知ってる雪国から見たら別世界の出来事のようでした。
南の島への憧れがすごく強いのに「ああ、嫌いになってしまいそうだ…そうならないでくれよ!」と。今年は極端な暖冬で今朝やっと雪が少し積もった程度なんですがね。

山形さん、どうもです

特殊だから分かりにくいです。
一般的な地方交付税交付金と国庫支出金(前述拠出金と書きました)に特別なものが混じっての3000億なのか
3000億が丸々別途交付なのか

私は前者だと思っているのですが…頭悪くてすみません。

多摩っこさん、記事でお答えします。

お詫びと訂正。

「桁外れ」はいくらなんでも言い過ぎでしたね。すいませんm(_ _)m

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