• 20241105-053338
  • 20241111-145814
  • 20241111-153445
  • 20241110-145403
  • 20241110-145453
  • 20241110-153255
  • S-013_20241109025501
  • S-014_20241109025401
  • S-017_20241109025601
  • S-025_20241109025501

« 翁長-政府密約はないだろう | トップページ | 中国大気汚染黙示録 その2 »

2015年12月15日 (火)

中国大気汚染黙示録

026

中国が猛烈なスピードで金星化していることは、日本で知られるようになってきました。 

共同の特派員はこう伝えています。 

「中国北京市は17日、深刻な大気汚染に見舞われた。在中国米大使館のウェブサイトによると、17日午後4時の微小粒子状物質「PM2・5」を含む汚染指数は、最悪レベルである「危険」を示す345を記録した。
 市内の上空は、もやがかかって真っ白になり、日中も薄暗く感じられた。高層ビル群もかすみ、路上ではマスクを着けて歩く人の姿も目立った。
 当局は車両の通行規制などを行っているが、なかなか効果は表れず、深刻な大気汚染がたびたび起きている」

北京のPM 2.5が、345μg/m3(マイクログラム毎立方メートル) だそうです。

法外ですね。現在の東京は、PM2.5マップによれば1日の平均値は13.89μg/m3です。日本の基準値は35μg/m3超 ですから、日本基準値の約10倍です。

いまや、中国大陸は、人が住むべき場所ではなくなったということです。

2月1日には北京で638μg/m3という中国基準の6倍、日本基準の約18倍という記録も出しています。

中国の基準値自体も、馬鹿げて高く日本の2倍以上の75μg/m3 です。

Photo_10
東京都の大気環境(PM2.5)の現状と国の暫定指針に対する都の考え方(2014/1/27 池田誠 東京都大気保全課長)

ちなみに、米国の空気質指数(Air Quality Index)では、150μg/m3を超える場合に「すべての人はあらゆる屋外活動を制限するべき」としています。

Photo 

冗談か本気か、こんなトピックスもあります。これは、さすがころんでもタダ起きない中国商人と拍手すべきでしょうか。 

そういえば、嘉手納に「爆音の缶詰」なんか売っていたな(笑)。

「すでに国内の実業家がきれいな空気の缶詰を売り出している。貴州省の計画は、日本の富士山で記念品として売られた空気の缶詰がモデル。近くデザインなどを募集して開発チームを立ち上げ、6月中に第1弾を製品化する予定だ。
 習氏が今月の全国人民代表大会(全人代=国会)で同省の空気の質を称賛し貴州は『空気の缶詰』を売ればいい」と発言したことから計画が始動した。省は「特色ある観光商品にしていく」と意気込むが、インターネット上では「習氏へのごますり」といった冷ややかな声も少なくない」(西日本新聞)

Photo_7

 やや古いのですが、下のNASAの衛星写真が撮った米の写真を比較すると、いかに大気汚染が広範な範囲に拡がっているか分かると思います。 

これが撮られたのが2012年ですから、今はさらに悪化しているはずです。 

Photo_3 (写真 衛星写真で観測された中国北部北京・天津付近の激しい大気汚染、2012年1月10日(上)・11日(下)Wikipedia) 

もう一枚、リアルタイム(12月15日)の日本への飛来状況を見ていただきます。Photo_4

http://pm25.jp/

Photo_9
PM2.5の健康影響について2014/1/27 兵庫医科大学公衆衛生学 島正之教授)

沖縄、九州、西日本、北陸が、中国の大気汚染の恒常的影響下にあることがお分かりになると思います。

日本が最大の出資国であるアジア開発銀行(AIB)は、中国の大気汚染に3億ドル融資することにしたそうです。 

AIIBの資金は、インドネシアなどの輸出攻勢に使い、その尻ぬぐいはAIBがするという、見事な棲み分けです。

「英紙「フィナンシャル・タイムズ」の10日付記事では、アジア開発銀行は、北京の大気品質改善に3億ドルの貸付を提供する。
北京と天津の大気汚染の主要因になる河北省の石炭消費量の削減に当てられる。アジア開発銀行の専門家によると、中国が全力を尽くしているが、「汚染問題は相変わらずそこにある」。河北省の経済・産業構成が根本的な原因だ。中国で汚染が最も深刻な10都市のうち、7都市は河北省にある。
「フィナンシャル・タイムズ」によると、中国が海外からの融資を環境関連政策策定に盛り込んだあり方は異例だ。大気汚染というこの複雑な議題に対し、中国は政策対話に開放的だ」(新華ニュース12月13日)
 

他国にまで影響の出る大気汚染を出しながら、なにが「大気汚染の政策対話には開放的だ」ですか。傲慢さに、呆れてものが言えない。

中国には、自国民のみならず、地域全体に多大な迷惑をかけ続けている自覚がないのです。

さて、中国の大気汚染の主原因は、硫酸塩エアロゾルですが、その主成分の酸化硫黄は、硫黄を含む質の悪い石炭や自動車の排気ガスなどの燃焼によって発生します。  

自動車の生産台数を見てみましょう。図の黒線が中国です。 

Photo_7

このような奇妙な線を描く国は他にありません。主要国は半世紀近い時間をかけて増大し、社会もそのモータリゼーションに応じて大気汚染対策を施してきました。 

しかし、中国は1990年頃までゼロ。2000年頃からまさに垂直上昇のように90度の角度で駆け上がり、今や国別生産台数では世界一です。

ただし、無計画に乱造したために、今や滞貨の山ですが。

このような自動車生産台数の伸びをした国は、世界に類例がありません。  

中国はあまりに急速、かつ無計画に工業化しすぎました。 その結果のしわ寄せは、国民が自らの健康で代償を払うことになりますが、製造した富裕層はとうに国外に逃げています。 

気体の二酸化硫黄は、眼と気道と肺に障害を与え、重度の場合は肺ガンの原因にもなります。特に抵抗力の弱い乳児や子供には強烈な刺激で呼吸器系を蝕みます。 

Photo_5

建前上は、自動車の燃料は硫黄分が50ppm以下の「国4ガソリン」になったはずでした。  

ならばなぜ、今になってこんな「壮大な人体実験」(日本大使館医師)のような状況になるのでしょうか。 

理由はこの「国4ガソリン」が、実は北京や上海などの一部大都市部でしか使用されていないからです。

国営中国網(2012年1月12日)はこう述べています。

「中国環境保護部は10日、自動車に対する「国4」基準を段階的に実施すると発表した。「国4」基準を満たす自動車用ディーゼルオイルの供給体制がまだ整っていないため、順序だてて実施される。また、実施効果を上げるため、自動車用燃料の供給状況に基き、車種・地域別に「国4」基準を設定する」 

つまり、9割の地域ではあいもかわらず、旧来の硫黄分たっぷりのガソリンを使っているわけです。

ガソリンなのはましな方で、安く出回っている「ガソリン」の場合、偽造ガソリンが主流を占めているといわれています。

たとえば、殺虫剤原料のホルマールや、炭酸ジメチルなど有害物質を主原料に使ったもので、こんなものを吸ったら、あの世行きです。  

とりあえずホンモノのガソリンの硫黄分が、日本のガソリンのなんと15倍! 

その上、大気汚染の大きな原因であるディーゼル排気ガスについては、まったく改善がされた様子がありません。

中国環境当局は、「国4」、さらには「国5」にしていくと計画を発表しています。

下図は、2011年5月1日に改訂された自動車排ガス「国5」基準に対応する新基準です。

Photo_6

しかしこれについて、科学技術振興機構中国総合研究交流センター フェロー金振(JIN Zhen)氏はこのように述べています。

「この基準は、ガソリン生産や販売事業者を拘束するものではなく、指導基準としての性格が強いため、事実上、ガソリン規制基準として役割を果たすには限界がある。(略)
言い換えると、本基準に強制力があったとしてもガソリンの環境品質の向上にどれだけ貢献できるかは疑問が残る
」(「中国の大気汚染防止の法制度および関連政策18)
http://www.spc.jst.go.jp/experiences/chinese_law/14025.html

現実問題として、大都市だけで排ガス規制しても、車は勝手に外部と出入りするのが習性です。

というか、その為に作られたわけで、北京という大消費地には大量のトラックが入ってきます。 

ではなぜ、こんなハンパな規制をしたのでしょうか。そこには、いわゆる産業派と呼ばれる巨大な国営石油会社の意図があります。

それについては次回にします。

« 翁長-政府密約はないだろう | トップページ | 中国大気汚染黙示録 その2 »

中国環境問題」カテゴリの記事

コメント

天・地・河川・近海まで、五行をここまで汚した問題意識が指導者にも国民にも欠けているのが、、、絶望的に思えて、この問題には残酷な未来図しか私は浮かばないのです。
風下に位置する日本としては「あーあ」じゃ済まないのですが。
今朝日経ビジネスで読んだ古着やごみをもやしてエタノールを取り出す技術がコストダウンすれば化石燃料依存が部分的に解消されるかもしれません。

もう引退してる大手会社で物流管理のスペシャリストだった叔父に5年前の法事で聞いたハナシ。

「いくら就業規則なんか作ったところで、中国人はとにかく守らない。誤魔化しと言い訳ばかりでまるでダメ!」
で、ずいぶんと苦労したそうです。

毒餃子や毒野菜のころですが、「ああ、あいつらならそんなもんだろうな!」
と平然と言ってました。人種差別とかではなく現実に見てきた経験で。

こんなことが、全国で当たり前なのなら共産党独裁政権がまるで機能していなかったということでしょう。

ふゆみさんも書かれていますが、風下の国にとっては迷惑この上ない話です。
てめえの国で出した汚染物質でてめえの国民の健康に害があろうが無かろうが
こっちは知ったこっちゃないが、そのとばっちりを食うのは間尺に合いません。

いっそのこと、巨大扇風機で吹き返せばどうかと思いますが、
実現できたとしても、今度は韓国や北朝鮮が黙ってないだろうなあ。(笑)

右翼も左翼も大嫌いさん、自転を反転して吹き返したい気持ちです。
掃除機で吸った塵でブロック作った華人アーティストならいましたね…いっそあれを習主席が褒めて吸う人が続出すれば…無駄な電力消費で石炭火力に負荷がかかりますか(^^;)くだらない書き込みですみません!

産業革命時のロンドンから始まり、日本も四日市公害など成長期には酷いものでした。中国は20年で突っ走っています。ここのサイトでは福島原発公害はスルー(内部被曝について)ですが、日本も世界にとんでもない汚染をしています。中国を擁護する気はありませんが、4000年の権謀術数の歴史をもつ民族ですので、ただでは死なないと思います。日本も公害国会の時は農民が一揆のようなデモンストレーションしましたが、10年後中国がどのような環境政策を取るのか、興味があります。共産党が潰れているかもしれませんが。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 翁長-政府密約はないだろう | トップページ | 中国大気汚染黙示録 その2 »