• 20250119-145554
  • 20250119-142345
  • 20250119-142345_20250119150101
  • 20250119-150249
  • 20250119-152051
  • 20250117-013132
  • 20250117-015927
  • As20241225001545_comm
  • 20250115-143858
  • 20250113-081014

« 日曜写真館 雪の日のワンコのお出かけ | トップページ | 慰安婦問題の日韓合意について »

2015年12月28日 (月)

「振興予算」の分かりにくさ

 095
多摩っこさんのコメントにお答えしておきます。質問はこのようなものです。

「沖縄の振興予算が分からない、公共事業の国庫拠出金(高率補助金)と地方交付税(使途が自由な一括交付金)の総称という理解でいいのでしょうか?」

鋭い質問ですね。日本の右派の方もよく勘違いして使っていて、まるで「振興予算」が別枠であるような錯覚をしているとしか思えないことを、平気で言っています。 

別枠なわけないっしょ。別枠だったら約3千億円+平均の地方交付金約2千億で、5千億円超になっちゃいます。県庁がふたつ建ちます。 

逆にこの予算編成時期になると、地元紙も身構えているとみえて、かならずこういう予防線を張りたがります。 

琉球新報(2015年7月7日)の予算特集記事です。
http://ryukyushimpo.jp/news/prentry-245389.html 

タイトルからして「財政移転突出せず」です。

「財政移転」とは、これまた小難しい官僚用語を持ち出したものですが、要するに地方交付金とか、国庫補助金のことです。 

「予算面で国から「厚遇」を受けているとの見方もされる沖縄県だが、全国の自治体と比較すると、突出しているとは言えない。
 2013年度ベースで他の都道府県と比較すると、人口1人当たりの国庫支出金は26万4千円で全国4位、総額3737億円は14位につけている。1人当たりの地方交付税は25万3千円で19位、総額3593億円は18位だった。
 さらに国庫支出金と地方交付税を合計した国からの財政移転は、1人当たりで9位(51万8千円)、総額で17位(7330億円)となっている。国からの財政移転の金額は1人当たりでも、総額でも一度も全国1位になったことはない。沖縄だけが「特別扱い」をされているわけではないことが数字から裏付けられる」

この数字は、沖縄県の「沖縄だけが特別に国から予算をもらい過ぎているという状況にはない」、という説明と照応しています。
http://www.pref.okinawa.jp/site/kikaku/chosei/kikaku/yokuaru-yosan.html 

まぁ琉新は、「オレたちはよくネトウヨから国の金もらいすぎって言われているが、たいしたこたぁねぇぜ。たかだか予算枠で14位だ」と言いたいようです。 

これは、反本土政府の翁長県政になって縮小が予想されたために、あらかじめ「減らすな、いや増やせ」ということのようです。 

結果、おめでとうございます。15年度当初比10億円増の3350億円となりました。翁長氏が心配していた「報復」はなされなかったわけです。 

そりゃそうでしょう。そんな子供っぽいことをするくらいなら、初めから沖縄担当大臣に自民県連会長の島尻さんを据えたりしませんよ。減らしたら、島尻さんが恥をかきます。 

今の安倍政権の対沖縄県政策(こういう言い方自体、外交問題みたいでヘンですが)は、基本的に太陽政策です。 

USJ沖縄や南北鉄道、あるいは普天間基地跡地ディズニーランドの誘致といった経済浮揚策を全面に押し出して、「県経済をよくする中で移転問題の理解を得る」という方向です。 

脱線しますが、反対派は今のディズニーランドの誘致先候補が返還されたインダストリーコリドーだけにすぎないから、狭くってどうにもならない、オリエンタルランドも消極的だと批判しています。 

宜野湾市長選がらみですから、どうしてもそういう政治的思惑で見ますが(実際にそういう側面は否定できませんが)、菅さんが普天間基地がなくなった後の跡地問題も考えずに、目先だけの人気取りで、こんな提案をしたと思っていますか。 

わきゃありません。菅さんは絶対に普天間基地を移すつもりでいるし、それを考えたら今から動いて構想を練っても遅いくらいなのです。 

インダストリアル・コリドーうんぬんなどという部分に引っかかって、大きく見れないのも情けない。 

それはさておき、「振興予算」と言った時には、基本的には山形さんの言い方でまちがっていません。別途交付ではありません。 

復帰後の遅れた経済状況を建て直すために、「振興」と名付けられています。

私は、本土復帰から40年もたっているのですから、いいかげんこんな言い方は止めたほうがいいと思います。 

多摩っこさんのご質問に狭い意味で答えると、振興予算に各種の補助金優遇政策は入りません。ですから総称ではありません。 

予算は見えやすいのですが、琉新や沖縄県のようにそこにだけスポットを当てるとかえって分かりにくくなります。 

地元紙の言う「優遇などされていない」というのは、単に1位でないというだけです。 

彼らの算出でも、国庫支出金は全国4位、地方交付税は19位、国からの財政移転は、1人当たりで9位ですべて上位に位置しています。 

一方、沖縄県の税収は、失礼ながら下から数えたほうがよい36位で、下から11番目です。
※http://grading.jpn.org/y0512g02.html

下図は沖縄県の収入をみたものです。(※クリックすると大きくなります)
平成24年度 歳入歳出決算の概要 - 沖縄県 

001_3
沖縄県の歳入に占める国からの比率
.収入総額        ・・・6815億円
・地方交付税       ・・・2159億
・国庫支出        ・・・1896億
・計             ・・・4055億
・比率            ・・・59.5%
 

一方自主財源と呼ばれる県税は 

沖縄県の自主財源(県税)
・県税             ・・・944億
・歳入に占める県税の比率・・・13.8%
 

これに県債が県税とほぼ同額の626億が加わります。 

沖縄県の県債を加えた自主財源の歳入に対して占める比率
・県税・・・944億
・県債・・・626億
・計 ・・・1570億
・比率・・・23%
 

お分かりのように、沖縄県は俗にいう3割自治以下の2割自治です。しかも県債と税収が同額というバランスの悪さが目立っています。 

県債は、利子をつけて償還せねばなりません。 

え、なんですって?国だって歳入の半分以上も国債を刷っているだろうって。国と地方自治体を一緒にしちゃいけませんよ。

国は貨幣を自分で刷ることが可能な上に、債権を自分で刷ることが可能で、しかも中央銀行がそれを買い取ることができますから、不安は少ないのですが、県はあたりまえですが、自分でカネを刷ったら偽札作りだぁ(笑)。

翁長さんなんかは「沖縄円」などを刷りたいたいでしょうが、沖縄県紙幣など刷っても誰も欲しくないだけの話です(あたりまえだつうの)。 

つまり県の財政は、「借金」(※正確にはこの表現は間違いですが)と税収が一緒で、しかも自主財源の倍以上の2485億も多い金が国の方から来ています。 

いかに沖縄県が脆弱な財政基盤しか持っていないのか、お分かりいただけると思います。

ここが問題なので、予算が全国第何位であるかなどはどーでもいいのです。 

Photo

上の写真は昔の石川闘牛場です。私も数回行ったことがあります。

巨大な黒牛が真正面からぶつかりあって、飛び散る汗、大歓声。ああ、島好きにはたまらないワンダーランドでした。

それが復帰後このような石川ドームになってしいました。

Photo_2

このような社会インフラの整備拡充は、ただ予算枠を見てもわかりません。「隠れ振興予算」があるからです。それが、異常に高い補助金率です。

●[隠れ振興予算その1] 沖縄県と他県の補助金比率比較
・道路保全      ・・・沖縄95%
                他県70%
・学校建設整備    ・・・沖縄85%
                他県50%
・漁港整備       ・・・沖縄90%
                他県66%
・公営住宅建設    ・・・沖縄75%
                他県50%
・水道施設       ・・・沖縄75%
                他県33%
・空港整備       ・・・沖縄95%
                他県33%
・河川改修整備    ・・・沖縄90%
                他県50%
・農業関連基盤整備  ・・・沖縄95%
                 他県50~70%

Photo_3

上図は離島への本島からの架橋ですが、非常に充実していて、おそらく同じ離島を持つ他県とは比較にならないでしょう。(図はクリックすると大きくなります)

別に悪いことではありませんが、このような学校施設、漁港、空港、あるいは道路、橋などの社会インフラは、ほとんど自腹を切らずに国が作ってくれていたわけです。

他県もびっくりの沖縄県の特出した社会インフラの整備ぶりは、ここに秘密があります。これが「隠れ振興予算」の第1弾です。 

もうひとつ「隠れ振興予算」第2弾があります。 

●[隠れ振興予算その2] 軽減税などによる各種優遇措置
・ガソリン税・・・本土より1リットル当たり7円軽減
・有料道路税・・・沖縄自動車道の通行料金は本土より約4割軽減
・航空着陸税・・・航空機燃料税の50%減免。県外の同一距離路線より5千円安い
・酒税・・・ 本土の標準課税額に対して、ビールが20%、泡盛が35%の軽減
・各種輸入食料品・・・輸入豚肉、泡盛用のコメの減税
・本土-沖縄間の航空燃料税の軽減
・観光業、情報通信業、電力会社に対する法人税の軽減

他に、既に終了していますが、沖縄県だけを対象としたまさに狭い意味での「振興予算」として沖縄懇談会事業(沖縄米軍基地所在市町村活性化特別事業)もありました。
 

沖縄懇談会事業
・平成9年度から平成21年度まで
・38事業47事案のプロジェクト実施
・総事業費 約 1千億円
・うち国費の比率約 9割

Photo_4
おかげで、オリオンビールは20%、泡盛は35%安くなっています。私個人の意見としては、これだけは廃止しないで頂きたいものです(笑)。 

揮発油税が減免されていいるので、沖縄県のガソリンはリッター7円も安くなっています。これが沖縄のタクシーやレンタカーの安さの秘密です。 

ちなみに隣県の鹿児島も種子島などの南西諸島も離島を沢山抱えていますが、この減免措置がないために逆にリッター40円高くなっています。 

これ以外にも経済特区あり、大学や研究機関の誘致などありと至れり尽くせりですが、残念ながらこの優遇策は、本土の人はともかくとして沖縄県民すら知らない有り様です。

もちろんその他に、先日お話したような同盟維持のための関連予算と「思いやり予算」もあります。 

もう出している国もグチャグチャでなにがなんだかわからないので、那覇に統合事務所を作って整理しているほどです。

このような優遇策をとっても、沖縄県の製造業は強くならず、県民所得も高いとはいえない水準で推移してしまいました。

社会インフラばかり充実しても、かんじんな沖縄経済を自立させるグランドデザインが欠落していたからです。

これを反省して、「沖縄21世紀ビジョン」を作っていったのが、仲井真さんでした。第2期仲井真県政ははっきりと沖縄経済の自立化を目指していました。

しかし、また翁長氏に替わって元の木阿弥で、「基地負担があるからもっと寄こせ」路線に逆戻りしてしまいました。

あ、これは言ってはならないお約束らしいですが、かつて国民新党幹事長時代の下地幹郎氏はこう言っていました。

「基地というムチに対する振興策というアメを主体的に受け入れてきたのは沖縄県当局であり、名護市当局だ。アメをもらったということは、辺野古移設実現に向けて努力するというメッセージを日米両政府に送っていることになる」

分かりやすくて大変に結構。ま、要するに、身も蓋もなく言えば、そういうことです。

しかし、だからといって私は沖縄県に対して、右派の言うように「あいつらは甘えているから」という発想に立ってはダメだと思います。

逆に、「もっと自立できるプランを作って、どこにどう投資したらいいのか明確にしろ」と本土納税者は要求すべきなのです。

その上に立って、翁長氏が「戦う」ことばかりに忙しくて、県経済の自立のためのビジョンを持たないことをこそ、厳しく批判すべきなのではないかと思っています。

« 日曜写真館 雪の日のワンコのお出かけ | トップページ | 慰安婦問題の日韓合意について »

沖縄問題」カテゴリの記事

コメント

管理人さん、ありがとうございます。

やはりストンとこないです。
振興予算は別枠と誤解している人の方が多いと思います。

先ほど検索していたらヤフー知恵袋?のものを抜粋
>沖縄振興予算(沖縄振興費)は、米軍基地のない県も受け取っている補助金(国庫支出金と国の直轄事業費の合計)とほぼ同じものです。
とありました。

その国庫支出金の一部をある程度自由に使えるようにしたものが一括交付金?

他のとこでは国と県の予算に市町村分の一括交付金を加えたのが振興予算だとか

国の直轄事業…那覇空港の第二滑走路など

ん〜特別な法律が複雑にして誤解を招くような結果になってます。国はそれを分かりやすく説明しないし…意図的とも勘繰れます。


一括交付金は内容が特別なだけで金額的には他県と大差ないということの理解でいいのかなぁ。


ガソリンの税金、国が7円減額し沖縄県が2円課税(県が県民からピンハネ?)、差し引き5円の優遇っていうのも陰に隠れ国の7円優遇だけ前面に。

振興予算という名称をやめて特別な支援部分はコレだぁってやってもらいたいです。

何を書いてるのかも分からなくなりました、長々とごめんなさい。

多摩っこさん。
連日ごめんなさいね。知恵袋は質問も解答も玉石混淆のカオスでさから、なんとも言いかねますね。

低減ガソリン税の県のピンハネは事実のようです。(それでも税収が低すぎる沖縄県)。
今年は原油価格安のおかげでまあ久々のガソリンや灯油安で雪国では助かってますが、今や過疎化が進む田舎ほどガソリンスタンド(タンク更新時期で高齢化)が次々と廃業しています。クルマが無ければ生活出来ないような場所も多いので心配です。
と、また脱線しちゃいました。

管理人さん、記事の中で「沖縄のレンタカーが格安」というのは本当ですか!?
だとしたら、圧倒的な回転率(夏冬問わないだろうし、冬タイヤ要らないし)やランニングコストといったカラクリがあるはずですが。。

クルマで北海道の田舎回ると、ガソリンやたら高いしレギュラーオンリーだったりですし、
東京の離島なんか大手のレンタカーが本土の3倍!ガソリンも高い!沖縄本島なんかよりずっと小さくて、ゆったり旅なら便利な周回バスがあってもです。

山形さん、Thank Youです

私の頭の中は常に混沌としてますので(笑)
ネット上の情報もこと振興予算となると真偽の程が余計に分からないですね。
別枠交付ではないようなので、3000億を別に貰ってるという右の主張は与太話と認定します。

沖縄に鉄道が出来たら利用率向上のためガソリン税の県課税分を7円にしたらいいのではと思ったりします。


親戚(みんな高齢者)が北海道にいて毎日数度の雪かきや暖房費の高さなど聞いてます。
とてもじゃないけど私は住めない。


自主財源が低く依存財源が多いのは沖縄だけじゃないですが、政治家の発言や基地問題と振興予算が絡んだ報道に沖縄が注目を集め国民は撹乱されてるように思われます。
沖縄の労組が労働者のために賃上げを頑張れは県民所得も増えて税収も増えるんですけど反基地運動に重点を置く愚かさ。
県民の生活水準の向上は難しいです。

多摩っこさん。あんまりこ難しく考えても仕方がないですよ。
そもそも沖縄に限らず、国の事業と地方の事業の仕分けなんか、非常に分かりにくくなっています。
全部一括交付にすると、国は地方に対して政策誘導する手段がなくなりますし、かといってやりすぎると、地方自治を壊すのかといわれる。
難しい按配です。

そのうえ沖縄は特別な軽減税率がついたり、特別措置法があったり、伏魔殿です。

これは内実が分からないように、意図的に作られたような気もします。
なにせ那覇に各官庁の予算統合事務所があって、予算配分している県ですからね。
その上同盟関係はそれとは別枠だし、加えて「思いやり」も別だし(笑)。
当人たちももうわからなくなっているんじゃなのかしら。
官僚はこういう縄張り争い空間が好きなんだよな(苦笑)。

だから、どうとでも切れるのですよ。琉新は「オレらはたいしてもらっていない」というし、右派は「もらいすぎた」というしね。
まぁ、あのサイズの県としては多いのはたしかですが、そこがポイントじゃないと思います。

問題は自主財源の少なさです。つまり県税が上がってこないんですよ。
歳入比率わずか13.8%です。これではどうにもならない。
これをテコ入れしない限り、沖縄県財政は健全化しないのです。
それを見ないで、他県ではドーダコーダとばかり言っているのが琉新たちです。

むしろ私は今日の記事の結論として、多い少ないと言っても立場の違いで言いようがあるので、仕方ないと思って割り切っています。
要は沖縄経済の自立的発展をどうしたらいいのか、そのためにいかに国が力を貸すのかに尽きると割り切っています。

管理人さん、軽く流すようにします。

自主財源を如何に増やすか、どこの自治体も永遠のテーマですね。やはりメインは固定資産税と住民税、法人も個人も所得が上がり納税できる環境を自治体が構築しないと国が破綻しますなぁ。


今日はこちらを占領するような感じになってしまいました、読者の皆さんごめんなさい。

こんにちは
大変興味深い内容でした。
>>[隠れ振興予算その1] 沖縄県と他県の補助金比率比較
特に興味深い上記の部分のソースをお示し頂きたく存じます。
何卒宜しくお願い申し上げます。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 日曜写真館 雪の日のワンコのお出かけ | トップページ | 慰安婦問題の日韓合意について »