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翁長-政府密約はないだろう

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このところ、沖縄県内でさまよっている「噂」があります。 

それは翁長氏と政府が、「密約」を交わしているのではないかというものです。 

私のブログにも詳細な情報を頂戴しました。以下やや長いですが、コメントの当該部分だけ再録させて頂きます。 

「彼らのような上層部の筋金入りの左翼は、上の写真のように暴れる専門の下っ端の運動員と違い、翁長知事を全く信頼していません。
それは日米同盟を支持し那覇軍港の移設整備を推進しながら、辺野古反対を言っているので当然でしょう。
それとは別に政府と裏取引をしている証拠を掴んでいる、というのです。
その内容は、(条件付きですが)取り消しの聴聞を行なうかわりに、取り消しによって生じる膨大な賠償金を県に請求しない、というものだそうです。
周知のように聴聞を行なった事は県にとって決定的に不利な要因です。他にとる手段がなかったわけでもないのに全く解せない行動でした。
(なお、彼は証拠というものは有効につかうものだ、と嘯いていましたね。)
こんな話は俄かに信用できませんが、篠原章氏(同様にそのソースを明らかにしていませんが)も、この密約に関して同じ見方をしているんですね。
そのうえで、(県、国双方で)訴訟を長引かせ、その間も工事は進む。既成事実化していく事こそが、国および翁長氏の共通の利益の一致点だ、という見立てです」

 う~ん、と思いましたね。ありえる、これが一読後の偽らざる私の感想でした。

この密約説に立つと、非常にスッキリと翁長氏と県の行動を説明できてしまうのですよね。

というわけで、私も一時、この密約説に傾きかけていました。 

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この間の政府との攻防における最大の「謎」は、県が聴聞会をなぜ開いてしまったのか、ということでした。 

聴聞会を開けば、県は明らかに不利になるのは分かりきっていたはずです。 

というのは、何度か記事でもふれてきましたが、例の「訴えの資格」論が絡まるからです。 

沖タイ(9月14日)は、成蹊大学の武田真一郎教授にこう言わしています。 

「民間業者や私人が海を埋め立て、軍事基地を造ることは考えられない。埋立法では民間には免許、国には承認と言葉を使い分けており、国固有の資格で承認を得たのは間違いなく、行政不服審査法の適用を受けて不服審査を求める資格はない」

 県はその気になれば、この武田氏のアドバイスどおりの抵抗が可能だったのです。 

しかし、県はびっくりするほどあっさりと抵抗せずに、聴聞会を開いてしまいました。 

あまりあっさりと開いたために、私はこれが「罠」であって、のこのこ聴聞会に出てくれば行政手続法第27条2項を使って、「はい、聞き置きました。もう国はこれ以上の異議申し立てはできませんよ」と言うつもりだったのかと勘繰りました。

「●行政手続法第二十七条
  2  聴聞を経てされた不利益処分については、当事者及び参加人は、行政不服審査法 による異議申立てをすることができない

これが私の「罠」論ですが、実はこれには矛盾がありました(汗)。

国は聴聞会の前から、文書提出だけで行くと明言していたのです。 

「罠」を仕掛けるも何も、国はとっくに知っており、逆に県も聴聞会に出席しなかったのは折り込み済みだったわけです。

Photo_2

なんだこりゃ歌舞伎か、ということになります。

「聴聞会を開けぇ、開けぇ」と国は叫んで見せ、受ける県は「開けん」と言いながら、結局は「本来はドータラだが、しゃーない開いてやっか」と膝を折る。 

そして出席すればアウトですから、国は開催要求しながら出席せずに文書でチャチャっと済ましてしまう。 

そして予定調和的に、県は「なんということだァ。てめーで要求しくさってからに、顔も出さないのかァ」と、「怒りの声」を出して見せます。 

結局、当然のこととして、訴訟沙汰になります。

しかし、裁判中は建設を継続できて既成事実化できるので国はのん気な顔、同じように裁判中は「戦う民意」(←翁長さんの新刊ですよ)のポーズも決められる翁長氏もニコニコ、同じく闘争が長引けば長引くほどおいしい革新陣営もニコニコという、三方ニコニコ丸く納まる図というわけです。(おいおいですが)

すると、天空から監督の声が響きます。 

「ハーイ、カット!オーケーです。よ~くできました。台本どおりですね」

Photo
今、「台本」と書きましたが、今、書いたような台本が国と県との間にあるのではないか、というのが、「密約」説です。一種の陰謀論です。 

これに立つと、翁長氏は相当前から国と示し合わせて芝居をしていることになります。 

翁長氏は「戦う反戦知事」というポーズを取りながら、実は妥協する約束をしていたのではないか、ということになります。

言うまでもありませんが、この密約説があった場合の「監督」は政府、さらに限定すれば官邸以外にありえません。

なるほど確かに、この密約説が出てくるほど、翁長氏が無能だったことは確かです。 

1年間たって、やったことといえばこんな程度です。 

ジャリがどうした、アンカーがドータラ、訪米や国連演説でイキがって見せ、そしてとどのつまりは、初めから結論がある第三者委員会なるものを作って、承認取消をする・・・、そして訴訟合戦。 

小川和久氏は、翁長氏が「新基地反対」という言外に、シュアブ陸上案を代替案でぶつけて来るのではないかという腹芸に期待していたようですが、それもありませんでした。 

実際、翁長氏がシュアブ陸上案をブツけてきた場合、政府は非常に苦慮したことでしょう。 

県が実現可能な代替案を出した以上、辺野古埋め立て工事を続行することは、少なくとも協議中はできないからです。 

では、陸上案が実現するのかといえば、今、既に予定地の漁業権を買ってしまっているわけですし、既に契約している工事関係者に多大な損害を与えます。 

しかし、翁長氏ときたひにゃ、棒を飲んだハブのように、ひたすら「絶対反対」を繰り返すだけです。 

あまりの無能さに密約説が出たのもむべなるかなです。 

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私は冒頭のコメントを頂戴してから、複数の沖縄在住の知人にこの密約説を質問して回りました。 

結論から言えば、密約はないと思われます。 

というのは、逆説的な言い方になりますが、この密約説が今や公然と県内で語られているからです。 

左翼の皆さんも口にしている、保守の人たちも書いているとなると、そんなものはもう密約でも陰謀でもありません。 

ちなみに陰謀論を押えておきます。 

「強い権力をもつ個人ないし団体が一定の意図を持って一般人の見えないところで事象を操作している、またはしていたとする主張」Wikipedia 

では、この移設問題に関してはどうかといえば、「強い権力を持つ団体」である政府にはそんな密約をコソコソ結ぶ必要はゼロなのです。

さきほどの聴聞会にしても、頑強に県が抵抗すれば、別な手段でやるまでです。

第一、聴聞会ていどのことで密約をして、それが暴露された場合のダメージを考えて下さい。

どちらが大きいのでしょうか。国か、県か?

翁長氏は、「オレはダマされていたんだ。国は暴力的な圧力をかけてきたんだ。よかれと思って県民のために涙を飲んでぇ(号泣)」くらいやれば、なんとかゴマかせます。

地元2紙も、それに沿ったストーリーくらい考えてくれるでしょう。

国はそういうわけにはいきません。こんな謀略まがいの密約を沖縄県に仕掛けたことが発覚した場合、100%アウトです。

安倍政権がふっ飛ぶどころでは済まないでしょう。内閣総辞職、総選挙ということもありえます。そして自民は大敗します。

あの怜悧な管氏が、そんなアブナイ橋を渡るはずがありません。

Photo_3

おそらく、翁長氏、安慶田副知事と菅氏との間には、様々な公表できないようなやりとりがあるのは確かです。情報交換もしていてあたり前です。

上の写真の右側のタヌキ風オヤジが安慶田氏ですが、彼が東京と行き来しているのは知られた事実で、そのカウンターパートナーが管氏だと言うことも確かです。

11月下旬にも、東京に行ったそうです。表向きは予算折衝ですが、当然政府要人と会っていないと考えるほうが不自然です。

おそらくその場では、「沖縄県は最後まで抵抗するぞ。そうでもしなくては、革新の連中がうるさくて、オナガ政権がもたない。次はホンモノの極左の伊波あたりが知事になるぞ。国はどうするんだ」、くらいの泣き言くらいは言っているでしょう。

国もシャラとして、「どうぞおやりになったら。これは国と国の約束なんです。止めるわけにはいきません。あんたも元自民党なんだからわかりそうなもんだ。翁長さんに伝えてほしいんだが、負けるのが分かっていてやり続けるか」くらいは言うでしょうね。

と、まぁただの空想ですが、このていどはやりとりしているでしょう。その場で、相手の出方を探るということもありえます。

おそらくこの夏にも、同じようなことが聴聞会をめぐってあったはずてす。

ですから、国は早々と「聴聞会を開け、しかしオレたちは出席はしないからな」と明言し、一方、県も県で「本来やる筋じゃないんだが、しつこく言うので開いてやる」ていどの愚痴を言いつつ開いたたのです。

こういう関係を阿吽の呼吸と呼びます。両者にあったのは、密約ではなく、阿吽の呼吸ていどのことだったと思われます。

コメントに、「革新陣営は翁長氏を信じていない」ということが書かれていましたが、逆もまた真なりで゛政府はさらに翁長陣営を信じていません。

密約というのは、よほどの弱みを握っているか、あるいは相手の口が固くなければできないことです。

弱みについてはともかくとして、翁長陣営はつまるところ、極左から利権保守までの烏合の衆の集まりにすぎません。一回密約が漏れれば、たちまちの内にズルズルと流出していきます。

こんな相手に、密約を結ぶほど政府は人がよくないはずです。

私はこの時期に、こういう密約説が四方八方から吹き出してきたのは、左翼陣営による翁長おろしの動きが背景にあると思っています。

そしてウラを取りようもありませんが、翁長与党の一部が、密約説のリーク源だと考えられます。

さらに憶測の域を出ませんが、既に「ポスト翁長」の検討が始まっていると思います。

Photo_5
先日の普天間基地跡地にディズニーランドを誘致するというのは、巨大な一手でした。

これはいかに翁長氏でも左翼陣営でも、表向き反対できないのです。まさに彼らが長年唱えていた「基地なし繁栄論」そのものてすからね。

宜野湾市からの提案を受けたという形も、インパクトがありました。これで完全に、「県内は全部反対だ」という論拠が崩壊したのです。

政府もまた、真綿で首をしめようにして翁長氏に退場を促しているかのようです。

風聞は風聞であるだけに妙な信憑性があります。しかもこの密約説は、翁長与党筋から出ている気配が濃厚です。

とうてい翁長氏はあと3年も持たないでしょう。最短で、来年辞任、参院選出馬というコースもないわけてはありません。

それを見越して、左翼陣営は次に誰を御輿に担ぐのか、検討を開始しているかもしれません。

そのために、決定的な証拠を出さずに(というか、そんなものはない思いますが)、あくまでも風聞として「翁長は政府と密約を交わしているらしいぞ」という噂を流布させているのではないでしょうか。 

以上、本日の私の見解は憶測が強いものですので、7掛けていどで読んで下さいね。

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コメント

公明党が佐喜真市長支持を明確にしましたね。
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201512/2015121400156&g=pol

沖縄では婦人部が辺野古移設に強く反対したと思いますが、説得できるのかな。意外にディズニーが効いたりして。

投稿: クラッシャー | 2015年12月14日 (月) 18時01分

私の個人的な疑問なのですが、翁長氏は「辺野古移設後」の自身の身の振り方について、どのように考えているのでしょうか?
移設が着々と進行していけば、革新陣営から見放され、自民党に戻ることも出来ずということになってしまいそうですが、それを、あのタヌキ親父のような翁長氏が何もせず手をこまねいているとも思えません。

投稿: 山口 | 2015年12月14日 (月) 22時38分

左翼的な発想では、悪の翁長に騙された、ということにしないと精神の平衡が保てないのでは? と思います。
何でも他人の所為、ですからね。

彼の将来ですが、鳩山由紀夫のように、中韓またはその息のかかった地域で講演をぶって日銭を稼いで暮らしていけるでしょう。
中韓がずっと健在なら、ですが。

投稿: プー | 2015年12月15日 (火) 00時08分

小渡元県議の復活を望みます。

オスプレイ配備で選挙前にも関わらず「踏み絵」に抗したのは小渡さんだけでした。

自民党県連が腐っているからこそ翁長知事を誕生させもしました。

いいかげんな保守といいかげんな革新のバランス(掛け合い)がありましたが、今は全く違います。混濁状態の中でますます自民党議員が埋没していく危険性が高まっています。

たのみます。沖縄の将来のためにしっかりしてください。

投稿: 文若 | 2015年12月15日 (火) 22時24分

はじめまして。篠原章と申します。
いつも拝読させていただいております。とても参考になります。

引用していただいているので、一点だけ「密約説」について補足を。
僕自身は「密約」があるとは思ってはおりません。翁長氏は、〈自分がいくら「辺野古反対」を唱えても、政府は実を取れる。しかも、「反対」のほうが選挙に勝てる可能性が強い。結果的に誰も損はないのだからこのまま行こう〉というレベルで考えているのではないかと、僕は憶測しているわけです。政府は「翁長を相手にせず」と決めています。夏頃まで政府は落としどころを探りましたが、「これはダメだ」と判断したということです。翁長氏はどんな事態になっても「公約=県民との約束を守っただけだ」といえるので、「反対」は居心地もいいはずです。結局、沖縄の政治家は、県内の「政治力学」の範囲でしか行動しない、ということだと思います。

投稿: 篠原章 | 2015年12月17日 (木) 15時49分

篠原様、ありがとうございます。恐縮の至りです。

まったくおっしゃるとおりです。
翁長氏が「選挙対策しか考えない」という体質は、長年つきあってきた仲井真氏が証言するとおりです。

まさに篠原様がご指摘のように翁長氏の心理として、
「自分がいくら「辺野古反対」を唱えても、政府は実を取れる。しかも、「反対」のほうが選挙に勝てる可能性が強い。結果的に誰も損はないのだからこのまま行こう」、というふうに考えるのがもっとも核心をついていると思われます。

投稿: 管理人 | 2015年12月18日 (金) 03時05分

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