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2015年12月 2日 (水)

野田聖子議員が知らない南シナ海の現実と歴史

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野田聖子衆院議員が、11月4日放送のBS日テレ『深層NEWS』で、「(南シナ海問題は)日本に関係ない」発言をして炎上しました。 

当日の発言です。 

「そこは直接、日本には関係ありません。あまりコミットすることはないですし、むしろ日本としては人的交流、科学技術の供与など、得意分野で中国との溝を埋めていくことが、いまいちばん最初に求められることだと思います」

 「そこ」というのが南シナ海でしたので、物議を醸したわけです。 

Photo_3
野田さんは首相になりたいようで、総裁選に出たりしてイチビっているわりには、なにをお考えなのか、いまひとつよくわからない御方です。

というより、そうとうに頭が足りない方ではないでしょうか。 

総裁選も、「出なければ党内民主主義がなくなる」みたいな口ぶりでしたが、安保法制について明瞭な対抗軸があるならともかく、そのへんがハッキリしていない立候補は野党とつるんで審議の遅滞による廃案を狙った、と言われても仕方がないものでした。

与党の総裁選は、内政や経済で争われるもので、外交・安全保障問題で争うものではありません。 

そして、今回です。 

野田氏は、まるで元琉球新報編集委員の前泊博盛氏あたりが言いそうなことを言っていますね。

そういえば、先月のNHK日曜討論で、元沖タイ論説委員の屋良朝博氏もチャラっと、「遠い地域の問題なので沖縄には関係ない」って言ってましたっけね。

どうやら、これが地元2紙の公式見解のようです。

野田さんの場合、いちおう自民党の総務会長までやった人ですから話題になりましたが、特に驚くような内容ではありません。 

彼女は現実と歴史の両方を知らなすぎます。日本にとって南シナ海とは、フランスにとってのシリア、イギリスにとってのパレスチナのようなものなのです。 

南シナ海というアジアの火薬庫は、かつて「日本領」でした。「新南群島」というのが、当時の日本の呼称です。 

今なんという名前でしょう。はい、英語呼称「スプラトリー諸島」、ベトナム呼称「チュオンサ諸島」、中国呼称「南沙諸島」です。しょっちゅう聞くでしょう。 

このど真ん中を我が国のシーレーンが走っていて、原油を中東から運んでいるわけです。 

まずは2枚の地図を重ねて見てください。 

Photo_4
Photo_6
日本の大動脈が南シナ海の真ん中を通過しているのがわかります。

この南シナ海を通過できなくなると、日本はロンボク海峡からマカッサル海峡ルートで台湾の東を通過するという迂回ルート一本に頼ることになります。

その結果、3日間余分にかかってしまいます。超大型タンカーは時間が単位ですので、この迂回ルートは、日本経済と社会に深刻な打撃を与えることになるでしょう。

ところで、南シナ海は公海といってどこの国の船も自由航行が許される海域とされています。 

ところが中国は1992年に、「ここは一切合切全部オレのものだ」と言い始めました。 

彼らの領海法で領土だと主張している範囲を見てみましょう。なかなかのエグさですよ。

なにせ、ひとつの島くらいなら可愛げがありますが、この赤い線の内側(九段線といいます)は、全部オレ様のものだと言うのですから強欲にもほどがあります。 

Photo_8中国の領海法はこう述べています。

「●中国領海法(1992年2月25日発効)第二条
中華人民共和国の領海は、中華人民共和国陸地領土と内水(内海)に隣接する一帯の海域である。
中華人民共和国の陸地領土は、中華人民共和国の大陸およびその沿海島嶼を含み、台湾および釣魚島(※尖閣諸島のこと)を含む附属各島、澎湖列島、東沙群島、西沙群島、中沙群島、南沙群島および中華人民共和国に所属する一切の島嶼を包含するものとする。中華人民共和国の領海基線は陸地に沿った水域をすべからく中華人民共和国の内水(内海)とする」
(太字引用者)

この「中国領海」の岩礁に、中国が軍事要塞を建設しているので大問題になりました。

下の写真は、中国が南沙諸島の珊瑚礁ファイアリー・クロス礁(中国呼称「永暑礁」)を埋め立てて作ってしまった3000m級滑走路です。

普天間基地が2700mですから、いかに巨大か分かります。

Photo_5

 彼らからすれば、自分の領海にナニを作ろうと勝手なはずだ、と言いたいのでしょうが、そうは問屋が卸しません。

国際社会には国際海洋法というものがあるのです。 

ここは埋め立て以前は満潮時に完全に水没してしまう暗礁なのですよ。残念。

さて、「島」、「岩礁」、「暗礁」の違いをご存じでしょうか。

せっかくですから、国際海洋法でどのような区分の定義をしているのか、押えておきましょう。

・「」の3条件
1.自然に形成された陸地
2.水に囲まれていること
3.高潮時に水没しない

岩礁…主に水中に隠れたり、水面上にわずかだけ姿を現している岩。波によって長年岩が削られて出来たものや、海底の岩盤が隆起して出来たものがある。

暗礁…水面下に隠れる岩礁のこと。岩石や珊瑚礁などでできており、船舶にとっては座礁の恐れがある危険な場所となっている。

つまり、岩礁は少しでも海面上に岩が出ているのに対して、暗礁は海面下に隠れてしまっているものをいいます。

下図は韓国の離於島の科学基地と称する施設ですが、これは暗礁の上に施設を乗せているだけなので、領土とは見なされません。

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ですから、いくら岩礁や暗礁を埋め立てて、自国の領土だと主張しても国際海洋条約上は領土としては認められないのです。

ちなみに、中国は何かと言うと日本の沖ノ鳥島に文句をつけてきますが、あそこは満潮時でもかろうじて水没しないことから、国際法上の「島」と各国から認められています。

このように、国際的に領土と認められていわけでもない地域を勝手に領土と称して、あまつさえ「島」でもない暗礁を埋め立てて、その上にあろうことか、軍事基地を作ってしまうというトリプルゴーマンをかましているのが中国なわけです。

こんな中国を相手にして、野田さんは、「人的交流、科学技術の供与など、得意分野で中国との溝を埋めていくことが大事」だそうです。

野田さんが大の親中派なことは知られていますが、友人ならばいろいろなプレゼントをする前に、「そんなことするんじゃないよ」と優しく忠告してあげるのが、友情というものじゃないでしょうか。

もっとも、そんな「忠告」なんか聞くタマじゃありませんけどね。

まぁ、このていどの南シナ海認識だと、その延長線にある東シナ海に浮かぶ尖閣諸島も「遠い」でしょうから、安保法制の必要性に鈍いのも、むべなるかなです。

ありゃ、歴史にたどり着かないうちに紙数が尽きてしまいました。続きの歴史的検証は、次回にします。 

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コメント

彼女は知ってるうえであのような発言をしたのではないかと勘繰りたくなります。

那覇空港の滑走路が3000m、三沢基地が3050mです。
こんな軍事滑走路や港があの海域にポコポコと…(>_<)

日本と在日米軍は中東の石油に依存してますから大問題です、在日米軍は横に置いても少し考えればシーレーンの重要性は小学生でも分かりますよ、野田さぁ〜ん。


荒らしが来てるんですね、ご苦労様でございます。

何故に議事堂前で馬?
実は鹿?

というのはともかく、私も野田さんは「反安倍勢力結集」のためにちょっと極端なことを言った(戦術ミスですね)か、古賀さんあたりから指示されていたのではないかと。
本気だったら無知にもほどがあるか、中共とグルか?と勘繰られるレベルです。
一頃はいずれは日本初の総理大臣に!なんて言われていた面影はもはやありませんね。

あと、野田聖子といえば05年の郵政選挙の時でしたっけ?事務所荒らし事件は何だったんでしょうね。あの時は卑劣な犯人だなと同情しました。

以前から野田聖子なる人物は政治家というより
政治屋と呼ぶに相応しいと考えています。
日本初の女性総理大臣として一部から期待されていたようですが、
例え総理になったとしても、性別が雄から雌に代わるだけで、
中身は旧態依然としたものでしょう。
またその重責に堪えうるほどの信念や器量も持ち合わせてはいない筈です。
また稲田朋美さんもその候補とされていますが、
いかんせん線が細いし何とも地味。

かつてマドンナ旋風を巻き起こした社会党党首の土井たか子氏。
この人の主張や理念には一切与するものではありませんが、
その存在感や重量感、今風に言うならオーラすら感じる佇まいとは
残念ながら比べるべくもありませんね。

あ、一人忘れてた田中真紀子さん。
この人、口だけなら宰相になる資格はあると思います。
ただ中身がなあ・・・

ブログ主様の解説はとてもわかりやすいですね。
いつも思っていますが文章は平明で簡潔、スタイルは池上彰の向こうを張りますね。
ですが、目線がイデオロギーにとらわれないリアリストのそれなので、反論は事実をもってしか出来ないようになってる。
知る限り、最も優秀なブログです。

HN山路さん。過分なお褒めの言葉、赤面の至りです。
このブログはいちおうポリシーらしきものがありまして、「難しいことを簡単に。簡単に見えることを複雑に」、なんです。

難しいことを難解に書くのは簡単です。しかし、それをかみ砕くためには、書いている当人が理解できて、説明できねばなりません。
けっこう、これは思うより大変なことです。

また、真理は多様な顔を持っています。
ですから、見る方角で違ったふうに見えてあたり前です。
たとえば、今回のロシアとトルコの紛争は、双方に理があります。片方だけ見ていてはわかりません。

そのことを理解しないと、一方向からの見解の押しつけになります。
私が左翼を評価しないのは、あまりにも硬直した狭い視野しか持っていないからです。

事実を事実の積み重ねで、理解していく労を惜しまなければ、真実というのはおこがましいですが、「真実らしきもの」は見えてくるはずだと考えています。

ただし、かといって「中立」であろうとは思いません。
日本人であることの誇りや、国家を守っていく立場に立ちます。
それが国民の自由と幸福を保障すると考えるからです。その意味で、私は保守です。
しかし同時に、政府に反対する言論の自由は尊重します。その意味で、私はリベラルです。

具体的に注意していることは、こんなところです。

①専門用語は極力使わない。分かりやすい言い換えにする。どうしても使う場合には解説をつける。
②横文字も慣用句以外はできるだけ使わない。使う場合は和訳をつける。
③データーや写真を重視する。可能な限りグラフや地図をつける。
④論理的な組み立てを大事にする。定義や概念規定をしっかりとして、あいまいな概念の濫用に陥らないように気をつける。
⑤イデオロギーや教条は排除する。

まぁ、こんなことかな。
池上さんには及びもつきませんが、やってみると、たいしたもんだと分かりますよ。
ただ、氏と私は意見が違うことがしばしばですが(苦笑)。

野田聖子氏、頭が足りないかどうかは不明ですが、国政なんかよりも自身のパワーゲームに勝つ事だけしか頭にないのが見え見えです。私が日本で最も嫌う野中広務の次に信用ならない。総裁にも首相にも、ありえない資質だと思っています。
まさに古い古い政治屋ですね。

自分も大体管理人さんと同じ結論になるのですが、そのプロセス、特に③に決定的な差を感じます。

池上さんに及ばないなんてご謙遜を。
朝日新聞のコラムを読んでいると、「多角的」「客観性」を隠れ蓑にした他紙批判で不快です。

管理人さんには、彼の凄さが見えているのでしょうね。
プロ野球の見方が、素人と元高校球児で違うように。
でも、自分は管理人さんの方を信じます。

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