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2015年12月 7日 (月)

極右から生まれ変わっているフランス国民戦線を報じない日本マスコミ

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昨日少し書いたフランス国民戦線(FN)について、もう少しお話しておきましょう。 

実は、国民戦線は、今や日本のメディアの常套句である「極右」「排外主義政党」と簡単に言えるような存在ではなくなっています。 

12月22日のフランス地方議会選挙は、パリ同時多発テロ後、初めての審判でしたので注目されていました。 

予想では、国民戦線が第1党になるという予測すらあったのですが、なんとか穏健保守野党の国民連合(UMP)が、30%を押えて、第1党になったようです。 

UMPの党首のサルコジ元大統領が、バンザ~イと言っているようで、いかに際どかったかわかります。 

Photo
第2党となった国民戦線は、得票率は約25%ですから、わずか5%ていどの僅差でした。 

※追記 どうやら国民戦線が第1党になってしまったようです。
「フランスの広域自治体である地域圏議会選挙の第1回投票が6日行われ、内務省の開票率82%時点での集計結果によると、移民排斥を掲げる極右政党・国民戦線(FN)が全国で約30%の得票率で首位となった。
 パリ同時テロを受け、治安問題への有権者の関心が高まったことが追い風になったとみられ、ルモンド紙(電子版)は「歴史的な結果」と伝えている。
 最大野党・共和党を含む右派連合が約27%で続き、オランド大統領率いる与党・社会党の左派連合は約23%の3位と劣勢。FNは全13の地域圏のうち少なくとも6地域圏で第1党の地位を確実にした。
 ルペン党首は「素晴らしい結果だ」と評価。社会党のカンバデリス第1書記は「同時テロの影響が大きかった」と敗因を分析した」(時事 12月7日) 

昨年5月の欧州議会選挙でも、同党は約25%の得票率を得て第1党となって、ヨーロッパ政界に衝撃を与えています。 

あながち冗談ではなく、次の国政選挙を経てマリーヌ・ルペン党首が大統領になる可能性すら生れてきました。 

ルパンじゃないよ、「ル・ペン」Le Penですよ。2名いますから、注意してね。 

まずは創設者にして、先代党首のジャン・マリー・ル・ペン氏です。この頑固そうなのがオヤジ・ル・ペンです。おお、ヤニ臭そう。 

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う~ん、いかにも生粋の「ザ右翼」って感じで、実に香ばしいキャラです。 

去年には、国民戦線を批判したフランスのユダヤ人歌手ブリュエルに対して、「今度はこちらが窯に入れてやる」という凄まじい発言をしています。 

「窯」が、アウシュビッツのガス窯であることはヨーロッパ人ならすぐ分かるわけで、こういうことを平気で言う政党だという猛烈な批判を浴びました。当然ですね。 

これに対して直ちに、この反ユダヤ主義の発言の削除と、厳重処分を言い渡したのがこの人、現党首のマリーヌ・ル・ペンです。

オヤジ・ル・ペンの三女です。おッ、シックなセンス。パリ第2大学卒の弁護士やってました。 

別に国民戦線は同族世襲会社をやっているわけではなく、彼女は副党首のカール・ラングや、全国代表のゴルニッシュを押えて党首に選出されています。 

Photo_2

 このマリーヌがやったのが、オヤジ・ル・ペンの路線の大幅見直しでした。 

おお、いきなり骨肉の対立か、日本の家具屋お家騒動みたいだと思われるでしょうが、日本もそうであったように、この父娘は考え方の基本は一緒なものの、現実的な路線では水と油だったのです。 

この娘ル・ペンこそが、いままでヨーロッパ政界の色物扱いされてきた国民戦線を、まともな保守政党に変身させた人物だと言われています。 

まずはオヤジ・ル・ペンの路線です。まさに日本のマスコミの形容どおりの、「極右」「移民排斥政党」そのものです。 

  • 国民戦線旧路線
    移民排斥
    妊娠中絶反対
    ・治安強化
    ・EUからの脱退
    ・通貨の
    ユーロからフランへの回帰
    国籍取得制限の強化など
    ・移民の入国制限。(ただし、フランスの文化を尊重、保護する移民は拒まない)

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これに対して、マリーヌ党首の新路線はこうです。ジャン親父のヤニ臭さがほぼ完全に一掃されているのに、驚きを感じるほどです。

国民戦線新路線
・フランス文化を尊重する移民は認める。
・フランス国籍を持つ移民や移民二世・三世でも、犯罪を犯した場合は出身国へ強制送還させる。
・伝統的な生活様式を保護する。特に農民を尊重する。
・麻薬の密売人、小児性愛などの性犯罪者、母親による児童虐待、殺人者、テロリストを対象とする死刑の復活(現在、EU圏内では死刑はない)
・EU脱退
・極左系団体に対する公的補助金の廃止。
・道徳の復権
・犯罪者や移民の犯罪者には寛容ゼロ (tolérance zéro) で臨む。
・同性愛・妊娠中絶の容認
・国籍の血統主義
・減税
※Wikipedia

  • まるで、別な政党になってしまったようです。この新路線の国民戦線を「極右」「移民排斥政党」とレッテルを貼るのはそうとうに困難でしょう。
  • もっとも重要な移民政策について国民戦線の新路線は、な、なんと「フランスの文化を尊重、保護する移民は拒まない」としています。
  •  
  • 国外追放するのは、「犯罪を犯した場合に限る」としています。
  •  
  • このあたりは、下の写真のように「在日は韓国に殺せ」などと叫んでいる日本の在特会あたりに聞かせたいほどです。
  • こういう愚かな者たちは、保守でもなんでもなく、ただのレイシスト(民族差別主義者)です。
  • 私はしばき隊には批判的ですし、ヘイトスピーチ規制に関しても懐疑的ですが、彼らが「日本人の恥」という気分だけは分かります。そのとおりです。
  • こんな連中が、移民反対だのと言って国旗を持ってデモをするので、移民問題の議論が深まらずにほんとうに迷惑です。
  • Photo_4
    彼女はこういう在特会的レイシズム体質を持つ党員に対して、党籍剥奪処分で臨んでいます。
  • 父親にして創設者のジャンも、例外ではなかっただけです。

    日本の「愛国勢力」も、いつまでも在特会レベルに止まっているかぎり、まともな国民政党になれる可能性は限りなくゼロです。

    マリーヌ党首の移民についての考えは、朝日新聞(2015年1月27日)がインタビューしていますので、添えておきましょう。
    ※http://www.asahi.com/articles/ASH1P1RBXH1PUSPT002.html

    ――でも、今回のテロ(※シャルリ襲撃テロ)の容疑者たちは、移民とは言い難いのでは。移民家庭出身とはいえ、国内で生まれ育ったフランス人です。
     「いいえ。彼らは
    フランス人になることができた、というだけです。例えば(新聞社を襲撃した)クアシ兄弟。両親はアルジェリア人ですが、フランス領内で生まれたお陰で自動的にフランス国籍を取得しました。
    国籍へのもっと厳しい条件を課さなければなりません。ハードルが低すぎるから、移民も殺到し、
    フランス人から雇用などの権利を奪うようになるのです」
     「
    国籍法の改定も欠かせません。二重国籍を廃止すべきです。祖国は一つしかあり得ない。どちらか選ばなければなりません」
     ――日本では、国内で生まれただけだと国籍を取得できません。二重国籍も違法です。
     「私たちが求めるのは、まさにそのような制度なのです。出生地主義の廃止です。
    フランス人は、フランス人の親から生まれるか、フランスに帰化するかだけ。帰化自体は否定しませんが、そのためには罪を犯さず、規則と価値観を尊重し、フランス文化を共有し、運命を共にする意思を持つ必要があります」

    文化多元主義がお好きな朝日は、嫌悪感をこめてインタビューしているようですが、マリーヌさんの発言には、レイシズムの匂いはありません。

    日本マスコミはいいかげんにオヤジ・ル・ペン時代と、娘ル・ペンをゴッチャにするのはやめたほうがいいと思います。

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    コメント

    ざっと見たとこ、時事通信・朝日・毎日・NHKあたりは見出しに「極右政党」が躍進と表記してますね。

    彼等にかかれば安倍自民党も極右ですからね・・・

    「ルペン」という名前にはちょっと覚えがありましたが、代替わりしたなど露知らず。
    よく知らないと、この娘がバリバリの極右か、と錯覚させる誘導が行われていたとは。

    しかし極東では、偉大な人物の娘は現実を知らずに無能、という例が多いような。
    逆にこっちは親父がアレだからそれを反面教師にしたのかも

    新旧路線共にフランス文化を尊重する場合に限り移民は拒まない部分は変わっていない、という事でいいですか?
    他は強制送還や国籍取得の規制等、現実的な条件付けが加わりもう極右というより保守勢力ですね。
    同性愛と中絶を是と変えた部分もフランスでは大きいと思います。

    いつも楽しく記事を拝見させて頂いています。
    TMです。
    プラットフォームの記事の件については、本当に申し訳ございませんでした。別に管理人さんを試してやろうなんて気はさらさらなく、ただ単に、この記事について管理人さんはどう思うだろうかと気になったので、質問させて頂いた次第です。
    過去の記事にさかのぼってコメントするのは禁止というルールも知りませんでした。
    今後は気をつけますので、どうぞよろしくお願いします。

    さて、質問なんですが、
    フランス国民戦線を、メディアが歪曲して報道する理由は、何かあるのでしょうか?
    ただ単に知識不足なのか、それとも理由があるのか
    管理人さんの見解を聞かせて頂けると嬉しいです。

    プーさん。
    去年のマスコミでは「フランス極右政党が党首追放」と大きく報じられてました。内容は「時代遅れの極右ザマァ!」でしたが。

    管理人さんのおっしゃるようなO塚家具の父娘騒動と似ていたかもしれません。しかし極めてスピーディーに収まったようですね。


    先程急上昇ワードの上位に「国民戦線」が来てましたが、一部は相変わらずな右翼批判。大分部の論客は極めて冷静な分析と発言でした。

    日本の右翼も左翼も、いいところは見習えと!

    アチコチでなんでも嫌韓でも、基地にレーザーポインター照射だのやってるレベルの低いことよ。あ、今日1人逮捕だ。
    山城代表も今年2度目の逮捕でしたね。

    週末話題になった「戦争法案を廃案に追い込む集会」でも、韓国と連携していくとか、原発反対・辺野古反対を進めるとか…コイツら何がしたいんだという、ほとんど思想統制のような薄気味悪さ。

    ロイター、BBC、CNN、ニューヨークタイムズ等の海外メディアも軒並み“far-right”と表現していることから考えると、本人たちは極右ではないと言っても国際的には極右とみなされているのではないかと思ってしまうのですが、いかがでしょうか?

    国民戦線の現実路線転換は、きちんと地に足が着いたもののようですね。
    親父を破門にした時には、選挙用のパフォーマンスくらいに疑っていたんですが。(ほどなくしてパパを復帰させるだろうと。)

    それにしても問題は、一連の国民戦線の変化がどんなものか、この間の我が国のテレビや新聞からは全く伺い知れなかった事です。
    ECからEUに進化発展したときには、怖いくらいにこぞって礼賛一色でしたがね。
    当然、次にやってくるのはアジアにおけるEU(まずは東アジア共同体を!)建設だという傾向で、そうした論調が朝日にかぎらず主流でした。
    我が国の主要なマスコミには根底に国家とか民族とかいうものに先天的に懐疑主義があり、それが盲目的な国連信仰報道にもつながるんでしょう。

    もう一点、フランスは移民問題以前からエマニュエル・トッドなどの著名な左派も、オランドのメルケルの影法師化を激しく非難し、EUはドイツ帝国復活のエンジンにしかならないと喝破していました。
    仏にかぎらず、右も左も国益(国民の幸せ)を突詰めていけば一致点が自ずと見えてくるものですが、日本は無理でしょう。
    なぜといえば、日本の左派は日本が国益を追求すること自体を「悪」としているからです。
    (隣国の国益には非常に敏感ですが)

    これら二点が合わさってこその、「日本のマスコミ」なんですね。


    日本のマスコミが、山路さんがおっしゃっている姿勢を改めるか、見直さない限り、購読or視聴打ち切りという形で自分の首を絞め続けることでしょう。余談ですが、自分の最近のお気に入りはニューズウィークですね。割と客観的で興味深い記事として読んでるので、ここと同じくらいに楽しんでます。脱線失礼しました。

    TMさん。

    こちらのブログでは別に過去記事への質問は禁止などとは言ってませんね。要は内容次第でしょう。あまりにも馬鹿馬鹿しい内容だったというだけです。

    あなたは自分自身の意見は全く述べずに「コピペで引っ張ってきた(それもモンタニ(笑)とか)」、これを論破してみろ!と、実際に言ってるわけですよ。余りにも失礼かつ無責任な行為です。

    後になって「いつも楽しく読ませていただいています」などという後付けでは全く理解できない卑劣な手段ですね。
    「失礼しました」では済まされないレベルです。自分自身の意見を書いてみなさいな!


    おいおい、山形さん。言い過ぎです。TMさんも悪気があったわけでもないし、荒らしをしたわけでもありません。

    TMさん、昔の記事でもいいんですよ。ただ、答えるのが、しんどい場合が多いんで。
    一見、「論破してみなさい」と、まるで道場破りみたいな書き方だったんで、驚きましたが。

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