台湾総統選 蔡英文氏が勝利
台湾総党選挙で国民党候補の朱立倫氏を破って、民進党の蔡英文氏が勝利しました。総統得票数、立法院議席数でも共に2倍弱の雪崩的圧勝です。
予想されたこととはいえ、習は苦りきっているでしょうが、この総統選で、東アジアの勢力図は大きく塗り替えられることになります。
岸田外相と米国務省は、談話形式で祝意を伝えました。これは今後、台湾を「一国」に準じた外交関係を結ぶという意思表示です。
(台湾の総統選挙で、野党・民進党の蔡英文主席が与党・国民党の朱立倫氏を破り、圧勝した。台湾 中央社)
「(台北 16日 中央社)総統選挙で初当選を果たした最大野党・民進党の蔡英文主席(59)は16日夜、台北市内の党本部前で勝利宣言し、史上3度目となる政権交代の実現に「台湾人は投票によって歴史をつくった。神聖なる一票を投じた人々に深い敬意を表する」と述べた。
蔡氏は、我々は今回の選挙を通じ、民主主義の価値がすでに台湾人の血液の中に深く入り込んでいることを国際社会に改めて知らせたと強調。一方、両岸(台湾と中国大陸)関係については、平和と安定の維持に力を注ぐと語った。
また、台湾出身のアイドルが韓国のテレビ番組で中華民国(台湾)の国旗を振ったことから、中国大陸で「台湾独立支持派」などと誹謗中傷を受け、謝罪に追い込まれた騒ぎに触れ、この事件はこの国を団結させ、強大にすることが、次期総統の最も重要な責任だと気づかせてくれたと述べた。蔡氏は、1956年台北市生まれ。李登輝政権時代に経済部(経済省)貿易調査委員会委員などを歴任し、民進党が政権を握った2000年には台湾の対中国大陸政策を主管する大陸委員会主任委員(閣僚)となった。2004年に立法委員(国会議員)に当選し、2006年からは行政院副院長(副首相)などを務めた。
2008年に陳水扁前総統の後任として民進党の主席に就任し、2010年には新北市長選に出馬したが、国民党の朱立倫氏に惜敗。2012年の総統選挙では、同党の馬英九氏に敗れ、再選を許した。蔡氏は敗戦の責任をとって主席の座を降りたが、2014年に返り咲いている。
今回の選挙戦で蔡氏は、最大の争点である対中国大陸政策において「現状維持」の方針を繰り返し強調。世論調査では序盤から他候補をリードし続けていた。
現職の馬英九総統は5月20日に任期満了を迎える。」http://www.epochtimes.jp/2016/01/25093.html(ハフィントン;ポスト1月16日より引用)
●2016年台湾総統選挙
総統選挙各候補得票数と立法委員比例選挙政党得票
2016年1月17日 0時15分現在 (※最終結果ではありません)・総統選挙得票数
蔡英文 6,894,744票 56%
朱立倫 3 ,813,365票 31%
宋楚瑜 1,576,861票 12%・立法委員比例選挙政党得票
民主進 5,370,953票 44%
国民党 3,280,949票 26.9%
親民党 794,838票 6.5%(※親中派政党)
時代力量 744,315票 6.1%(※「時代力量」はひまわり革命から生まれた青年の組織)Yahoo!
「台湾総統選で勝利した民進党の蔡英文(ツァイ・インウェン=59)氏は1月16日、沖縄県・尖閣諸島が台湾領だと改めて主張した。中時電子報などが報じた。この日の夜の勝利会見で、記者団から「東シナ海で起こっている摩擦について、何か計画があるか。安倍政権との関係についてはどうか」などと問われた蔡氏は、「釣魚台(尖閣諸島の台湾名)は、台湾に属しています」とコメント。ただし、「日本との関係はとても重要。なぜなら、主権論争が2国の関係に影響を与えてほしくはないからです。領有権の問題は存在するが、日本との強力な関係はこのまま続きます。これには、経済や、安全保障、文化、その他の交流が含まれ、協力を続けます」と述べた。
また、南シナ海については、国際法に従って主権を主張し、緊張の原因を引き起こすものには反対の立場を取るなどと語った。」(ハフィントンポスト1月16日)
台湾の総統選は、背景に中国経済の大減速といった状況があります。
先日の日韓合意も、今回の台湾の総統選もまた、かつてのように中国経済が向かうところ敵なしの状況であったのなら、起こり得ないことでした。
特に今年に入っての上海総合指数は、サーキットブレーカーという新制度を作ってはみたが、まったく使い物にならず、どこまで続くかわからない減速のスパイラルに突入しました。
私は保守派が言うように、これが中国全体の崩壊につながるとは必ずしも思いませんが、おそらく最低で3年以上の経済低迷が続くでしょう。
これは中国経済に大きく依存してきた韓国、台湾にとって、中国経済一辺倒から、日本や東南アジアにまで視野を拡げた、経済のシフトチェンジが必要なことを悟らせたようです。
ただし、蔡英文氏は、前回の民進党陳水扁政権の時に党の首席に座っていた人ですから、陳氏の失敗をよく心得ているはずです。
馬政権の極端な中国傾斜には歯止めをかけるでしょうが、いきなり真逆の方向に舵を切ることはしないでしょう。
対日政策においても、馬政政権からの継続性を押えつつ、急ぎすぎないペースで馬政権下で冷えてしまった日台関係を修復するとみられます。
いずれにせよ、蔡氏の当選は中国にとって凶、日本にとって吉です。
ありゃ、ゼンゼン;短くないじゃないか(笑)。
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予想通りの結果になりましたね。
中国に大きく依存する台湾、その姿勢を維持する考えの民進党の蔡英文氏が台湾の独立を目的とした時代力量とどのように連立していくのか
尖閣諸島の問題など対日政策が今後どうなるのか、興味深いです。
投稿: 多摩っこ | 2016年1月17日 (日) 14時37分
民進党の支持基盤の強い花蓮近くの広域農業圏では、国民党の発案で早くから中共が売れ残りの農作物を買い上げていたそうです。
中国自体にも同じ農作物が余っていたにもかかわらずです。
似たような事例は、台湾産業界に随所に見られるようです。
それにもかかわらず、民進党支持は強固なままだったとか。
>「民主主義の価値がすでに台湾人の血液の中に深く入り込んでいることを国際社会に改めて知らせたと強調」
資本主義の本質的に悪い面が、特に欧州において(もちろん日本においても)民主主義の価値をそこなう事のないようありたいと思いますね。
蔡さんはこれから大変です。
日本や米国は、困難のなか同じ価値観を選択した台湾国民に対し敬意を表するのみならず、いかなる支援をも惜しむべきではない、と考えます。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2016年1月17日 (日) 16時08分