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2016年2月17日 (水)

1ミリシーベルトに根拠があるのか?

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丸川大臣が2月7日に、「除染の1ミリシーベルトに科学的根拠がない」と発言したことに対して、人あろう、それを決めたご当人の民主党細野氏から噛みつかれて、撤回して謝罪してしまったそうです。 

「東京電力福島第1原発事故後に国が除染の長期目標に掲げた「年間1ミリシーベルト以下」をめぐり、丸川珠代環境相が7日の長野県松本市の講演で「何の科学的根拠もなく時の環境相が決めた」と発言したとされる問題で、丸川氏は12日の閣議後会見で、「根拠がないという言い方は間違いだったと思う」と失言を認めた。
 丸川氏は会見の冒頭で、「発言が誤解を招いたとすれば、特に福島をはじめ被災者の皆様に誠に申し訳なく、心からおわび申し上げたい」と陳謝。一方、「『科学的』根拠と言ったかどうかは記憶があいまい」として、発言の撤回については否定した。」 (産経2月2日) 

バカ、かと思いました。いえ、どちらともです。 

丸川さん、謝るくらいなら、しっかりと勉強してから言いなさい。「誤解を与えたとすれば」という言い方もおかしい。 

「誤解を与えた」と言うくらいなら、こんな講演でのひとことではなく、環境相として責任をもった根拠資料をキッチリ揃えて発言すべきでした。 

こんな形で謝ってしまうと、1ミリシーベルトを基準にした除染という愚行が、今後も延々と続くことになります。 

噛みついた細野氏に至っては、こんな愚かな政策を決めてしまった張本人ですから、あんたにだけは言われたくありません。

この両人の政治家としての資質には、興味がないので今回触れません。 

問題は「1ミリシーベルト」です。これが細野氏が民主党政権時に定めた規制値でした。 

この背景には、当時世間を覆っていた放射能への過剰反応による、「1ベクレルでも低線量被曝して多臓器疾患を起こす」「事故前はゼロだったんだからゼロに戻せ」というような脱原発派の「民意」がありました。 

これにおびえたのが当時の民主党政権でした。民主党政府は、事故収束に失敗しただけではなく、情報を隠匿したり、朝令暮改の発表をしたあげくリスクコミュニケーションに失敗しました。

その結果、国民にいらぬ動揺を与えてしまい、生み出されたのが「ゼロベクレル主義」と私が呼んでいる過剰に放射能の被害を恐怖する心身症でした。

首都圏を中心としてあらゆる地域に子供を持つ若い母親たちのサークルができます。

やがて、彼女たちはネットを通じて武田邦彦、上杉隆、岩上安身、早川由紀夫、岩上安身(以上5名敬称略)などの醜悪なデマゴーグたちの言説を、「真実」として受け取るようになります。

彼女たちの中から自主避難者が多く出ました。
※関連記事 http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/08/post-b4b4.html

これが大きく成長し、脱原発運動になっていき、去年の「反アベ」「戦争法案反対」へと続く、今様市民運動の源流となります。

SEALDsの奥田愛基(あき)さんも、この時期、脱原発デモに出会っています。

Photo_2出所不明

このリスクコミュニケーションの失態を押し隠すために、今度は民主党は逆に走ります。

一変して隠蔽から、過剰なまでの「民意」の迎合へと逆噴射したのです。

えば、このスラップスティックなジグザク走行こそが、民主党政権時の政策すべてにみられる大きな特徴です。典型的なポビュリスト政権のパターンですね。

かくして彼らが作ったのが、非現実的なまでに厳しい放射能規制基準の数々でした。

ひとつが、食品基準です。14年かけて徐々に下げていったベラルーシの緊急食品規制値を、事故後1年で直ちに達成しろ、というようなことが平気で行われました。

このような「民意」に対する過剰なおもねりが、何を招いたのかといえば、福島県産農産物と住民に対する、終わることのないバッシングでした。
※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/02/post-4e0c.html

食品規制値について言いたいことは山ほどありますが、先を進めます。

Photo_4http://www.alive-net.net/saigai/youbou20110502.htm

そして同じような「放射能パニック」に迎合した政策は、計画的避難地域の設定による大量の避難民を生み出しました。

その数は環境省の公式数字で
http://www.env.go.jp/policy/hakusyo/h25/html/hj1 …

・避難指示区域等からの避難者数・・・約10万千人(平成25年3月時点)
・福島県全体の避難者数      ・・・県全体で約15万4千
・福島県内への避難者数      ・・・約9万7千人
・福島県外への避難者数      ・・・約5万7千人

そしてその避難者の死亡者数は、東京新聞2015年3月11日によれば
※http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2015031002100003.html

・2015年3月現在の「原発事故関連死」・・・1232名

東京新聞の「原発関連死」という定義は、あたかも福島事故そのもので死亡者が出たような錯覚をあたえるので疑問がありますが、すくなくとも千名を超える避難民が、避難先で亡くなられたことは事実のようです。(いうまでもありませんが、事故そのものでは死亡者はありません。)

Photo_3http://karapaia.livedoor.biz/archives/52176379.html

さて、2006年に、チェルノブイリ原発事故の当事国になったロシア、ウクライナ、ベラルーシ3カ国と、国際原子力機構(IAEA)や世界保健機関(WHO)など多くの国際機関が協同で「チェルノブイリ・フォーラム報告書」を作りました。http://www.iaea.org/Publications/Booklets/Chernobyl/chernobyl.pdf 

この報告書で身につまされるのは、単なる事故原因の究明や残留放射線量の記述だけではなく、いやむしろ重みとしては原発事故「その後」を詳細に追っていることです。

原発事故が広範な地域住民の心になにを残したのか、生活がどう変わってしまったのか、ガンや奇形などの後障害があったのかについて詳細に報告されています。

チェルノブイリ原発事故により多くの人々が、住み慣れた土地を離れて強制移住していきました。あるいは、政府による命令ではなく、自主的に数万の人が放射能禍を恐れて国外に移住していきました。

その結果、多くの街や村が消滅して、バラバラになっていきました。生活の伝統から切り離され、職はなく、政府の補償金だけで食いつなぐという生活を強いられた人々が大量に出ました。

人間を殺すに刃物はいりません。今まで生きてきた記憶のつまった土地から切り離し、隣人から隔離し、仕事を与えねばいいのです。

人が施しだけで生きるような環境を作ることです。

そうすれば人は人としての最も重要ななにかを急速に失っていきます。失われていくもの、それは人としての根っこの部分です。自分を信じる力とでもいったらいいのでしょうか。

いったん人としての尊厳を奪ってしまえば、人は国に頼ってしか生きられなくなります。そして頼っても頼ってもその空白は埋められることなく絶えず人を蝕み、やがてアルコール依存症など強ストレスを引き起こすことになります。

そして母体に放射能が残留しているのではないか、子供に遺伝してしまうのではないか、育っていく子供がガンになりはしないか、という恐怖は長い時間、女性たちを苦しめ続けました。

このような不安を与えた根源は、定まらない原子力事故対策と、その反動で生まれた民主党政権の「民意」への過剰な迎合にあったのです。

長くなりましたので、明日に続けます。

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コメント

【放射能汚染ショックドクトリン】
恐怖に怯えて正常な判断が出来ない人々を煽り、政府を攻撃させ、政府がひるんだ隙に、反原発ビジネス、太陽光ビジネスなどの、自然エネルギーマフィアが暗躍しました。ものの見事にやられました。朝日新聞や愛国夫人会、在郷軍人会らによるプロパガンダによって、暴走した戦前戦中の国民に罹患した空気の研究の反省は、東日本大震災という未曽有の大災害に、全く役にはたちませんでした。

広島と長崎に原子爆弾が落ちた際にも、広島県民と長崎県民からは嫁をとるな、奇形児が生まれるという、非科学的放射能差別が蔓延したそうですが、チェルノブイリの事故の際にも、同じように放射能差別の言説が広まりました。そして、今回の東京電力福島第一原発の爆発事故後にも、福島県民は放射能に汚染されていて、遺伝子に異常をきたしている、そんな福島県民と結婚をしたら、奇形児が生まれるということを講演で言いふらしている人物まで登場したそうです。同じ事が繰り返されました。知識人は無力でした。それどころか、知識人や文化人と呼ばれている人がむしろ、その信用を利用して、デマを広める役割を担っていました。

微量の放射線を極端に恐れる人は昔から居て、健康診断で1枚の胸部X線写真を撮った翌日に妊娠が分かったからといって妊娠中絶を勧めるような医師が福島事故の前から居ました。アメリカに行って帰ってくる方がよっぽど被曝も多いし、中絶が母体に与えるリスクを考えればどう見てもおかしな行動なのですが……。
そもそも、放射線は測定可能なものですし、正体だって既知のものなのに、なぜこの程度の線量で恐怖におののくかが不思議でした。怖がる前に手を動かして測定して実体に触れて見ようとしないのか。つくば市にある実家の周囲で側溝の落ち葉を取り除いたら空間線量が半分になって、落ち葉の影響がずいぶん大きいのに驚きました。もっとも、元々線量自体は0.28μSv/h
福島事故でばらまかれたセシウムは134と137がベクレル比で1対1、さらにストロンチウムがほとんど飛んでないことが分かっていますから、何もしなくても2から3年後には線量が半減すると見込まれるなか、

ごめんなさい。誤って投稿ボタンを押してしまいました。
先の投稿の「Sv/h」のあとに「と大したことはなかったのですが。」、
「見込まれるなか、」のあとに「除染対象区域を広げすぎているのではないかと思って居ました。」を追加してください。以下続きです。

避難によってかえって総死亡が増えてしまうというのは福島事故でも見られているようです。管理人さんがおっしゃるようなことはあるのでしょうね。チェルノブイリ事故そのものよりもその後にアルコール依存症に陥ることの方が深刻な問題だと聞いています。
それにしても、反原発派の主張は滅茶苦茶なものが多くて閉口します。内部被曝の1ミリシーベルトは外部被曝の1ミリシーベルトの100万倍危ない、などと平気で言いますから。本当に100万倍危ないなら100万ミリシーベルトだろう、それなら即死だね、大体、成人一人6500ベクレルの放射線源だし、というと大抵黙ってしまいましたけれど。
お目汚し、失礼いたしました。

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