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2016年2月13日 (土)

北朝鮮ミサイル実験に見るミズーリ号の長い影

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今週の初め、北朝鮮の弾道ミサイルの発射報道があった時に、なにか大きな見落としがあるような気がしました。 

風呂の中でボーっと考えていたんですが、3つあるような気がします。

ひとつは、再突入です。いったん大気圏外に出たミサイルを、再度大気圏内に突入させねばただの「人工衛星」で終わってしまいます。

これでは、「地球観測にようこそ」で終わってしまいます。しかし、キム坊やは米国を恐喝したいのですから、これではシャレになりません。再突入させてホンモノの大陸間弾道弾であることを誇示せねばなりません。

ところが、お気の毒にもこの再突入は宇宙技術の上でも高い障壁だとされています。なにせ弾頭が、マッハ20、1500度というという摩擦熱に耐えねばならんのです。

今のところ、幸いにも北朝鮮にはこの技術はないとされています。

ですから、北の光明星ナンジャラは、とりあえず「人工衛星・大陸間弾道弾もどき」なのです。しかし、ただの通過点にすぎませんが
※追記 ただしこの「人工衛星」は、電波を発信しておらず、姿勢制御ができないためにくるくると回転しているので観測衛星としてはモノの役にはたっていません。

二つ目は、そういった技術的なことではなく、日本の問題です。

国民の多くは、去年の安保法制との関わりで今回のミサイル実験を見ていません。 

今回、北朝鮮の弾道ミサイルに対して、あたりまえのようにして日米韓の3カ国が協力して、それを探査・追尾し、いざとなったら破壊できる準備をしていました。 

このような国境を超えて飛んでくるミサイルに対して、個別的自衛権ではどうにもならないのはわかりきっています。

ひとつの脅威に対して、複数の国が共同で対応する集団的自衛権が問われた状況でした。しかし、そういった議論は影も形もありませんでした。

政府としても、こんな1日を争う鉄火場でもめたくないので、黙っていただけですし、マスコミは単に気がつかなかったか、北朝鮮のミサイル迎撃のような誰しもが賛成しそうなこと例証にされたくなかったのでしょう。

いちおう集団的自衛権を押さえておきます。

集団的自衛権right of collective self-defense)とは、ある国家武力攻撃を受けた場合に直接に攻撃を受けていない第三国が協力して共同で防衛を行う国際法上の権利である。その本質は、直接に攻撃を受けている他国を援助し、これと共同で武力攻撃に対処するというところにある」Wikipedia

今回起きたことは、まさにこの集団的自衛権の想定する概念どおりの事態でした。

Photo_2(2014年4月10日 ムスダン発射時の各国イージス艦配置図 日本「こんごう」「きりしま」、米国「ジョン・S・マケイン」「ディケーター」「シャイロ―」、韓国「世宗大王」「栗谷李珥」「西厓柳成龍http://obiekt.seesaa.net/article/354712832.html

上の3カ国のイージス艦配置図は2014年のムスダン発射時のものですが、今回は公表されていませんが、似たものだったはずです。

さきほどの集団的自衛権の定義の「ある国家」の部分を、米国でも日本でも、あるいは韓国にでも置き換えてみればお分かりになるでしょう。

「共同の武力対処」という部分は、今回の日米韓国のイージス艦の展開や、在日米軍のXバンドレーダーによる追尾、そして日米による迎撃ミサイルの配備がそれに当たります。

これについては先日、短くですが書きましたので、これで置きます。

さて三つ目は、「ミサイル破壊措置命令」のことです。

これも当然のように国民は受け止めていましたが、こうは考えませんでしたか。

ああこういう時は、アベでよかった~。ハトカンだったらエライことだった。

まぁもし、時の首相がハト氏だったら、「ボクは破壊は友愛的じゃないからキライ。話合いをするんだもん」などと叫びそうですし、カン氏なら「このイージスはこっちに持ってこい」などやりそう(おおコワ)。

どっちも、防衛大臣の進言するミサイル破壊措置命令を、素直に聞きそうにありませんね。

となると、首相の承認は必須ですから、ミサイル破壊措置命令は出せず、したがって自衛隊は何もできません。

「無防備都市宣言」をしていようと、「非核都市宣言」を神棚に飾っていようが、降って来る時には降ってきます。

この破壊措置命令についても押さえておきましょう。 

「破壊措置命令とは、弾道ミサイル等により、日本国内で重大な被害が生じる可能性がある場合に、内閣総理大臣の承認を得て防衛大臣が発令する命令である。自衛隊法82条の3に規定されている自衛隊の行動であり、命令により自衛隊の部隊が日本領空又は公海において、弾道ミサイルの撃破を行う。」Wikipedia

これは自衛隊法第82条の3(弾道ミサイル等に対する破壊措置)が根拠法です。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S29/S29HO165.html
 

この条文を読むと、まずこう書いてあります。グダグダ長いので、抜粋して見ておきましょう。

「1 防衛大臣は、内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊に対し破壊する措置をとるべき旨を命ずることができる。」

「命ずることができる」ので、「せねばならない」ではないことにご注意ください。

ということは、政府の恣意が、さきほどのハトカンではありませんが、存在する余地があるということです。

ところが、この「首相の承認」は絶対条件なのです。

ただし、3で総理がハト氏のような場合も考えて、承認の暇がないときは、「緊急対処要領」で破壊措置命令が下せるという一定の逃げ場を作っています

次にこの命令の有効期間です。

「2 防衛大臣は、前項に規定するおそれがなくなったと認めるときは、内閣総理大臣の承認を得て、速やかに、同項の命令を解除しなければならない。」

え、この破壊措置命令って、出したり引っ込めたりするもんなのと思われた方、正解です。

これは防衛出動や海上警備行動と同じく、そのつど出さねばならず、状況が終わったら解除せねばならない性格のものなのです。

ならば、時の政権がそれを意図的にサボタージュした場合、どうするのでしょうか。

自衛隊は何もできないまま、国民の頭上に核ミサイルが落下することを指をくわえて見ているしかありません。

自衛隊の指揮官の冗談に、「防衛出動や海上警備行動なんか、出し放っしにしておいてくれればいいのに」というものがあるそうですが、ダメなのです。

Photo出所不明 

このようないつ来るかわからないミサイル攻撃に対して、その都度「破壊命令」を出したり引っ込めたりするのは、世界広しといえどわが日本だけです。

他国の場合、このような国民の安全に直接関わる事態に対しては、指揮官は自らの判断で対応することが可能です。

もちろん上級司令部を経て、大臣や首相の承認も求めるでしょうが、いちいち「ミサイル破壊命令」などは出しません。

これはそのうち詳述しますが、「禁じたこと以外はできる」というネガティブ方式で、軍が統制されているからです。

一方日本は「こういうことをしろ」という命令がないと、それ以外の対処は禁じられているポジティブリスト方式ですから、いちいち政府の命令待ちです。

Photo_3ANN映像より

この原因は、「専守防衛」という概念が自衛隊を縛っているからです。

去年、安倍氏も国会審議で、「集団的自衛権の行使は専守防衛の範囲内」だと繰り返していました。

もちろんウソです。

これは野党が、「個別的自衛権は合憲。集団的自衛権は違憲」というおかしな議論の立て方をしたために、その論議に飲み込まれないためにとった政治的方便でしかありませんでした。

現代において、集団的自衛権は安全保障を考える上での大前提であって、日本だけが専守防衛でやれるはずかありません。

そもそも、「専守防衛」という言葉は、歴代与党が苦し紛れに作った造語で、こんな安全保障の概念は世界にはありません。

したがって、英訳不可能という日本だけのヘンな概念なのです。

専守防衛って訳してごらんなさい。 only self-defense?(笑)
ないよ、そんな言葉。

そもそも憲法9条2項で、軍隊はおろか「武力行使」すら「交戦権」に当たるとして禁じてしまった上に、そのあってはならない自衛隊の上に、集団的自衛権である日米安保を乗せたのです。

まるでムリ偏にムリ。フィクションの上にフィクション。オンボロ家の屋根にペントハウス。

こういうムリは止めて、家の柱を補修しようというのが、改憲です。

いままで、なんとかやれたのは、長い期間冷戦下にあったために、実際に日本が攻撃される事態が遠くに見えたからにすぎません。

そして今や、中国の軍事膨張、国境を超えて飛んでくるミサイル、サイバー攻撃、ISのテロまで出てくる始末です。

どれひつととっても、「戦後」に考えもつかなかったことばかりです。

それを個別的自衛権だの専守防衛だのといった、「戦後」のどさくさに生まれた概念では、手も足も出ないことは自明です。

というわけで、最初のかけ間違ったボタンである9条2項を修正できないまま、さまざまな現実対応をほどこしてきたツケが、今どっと回ってきています。

そのために自衛隊に対して、一回ごとに「防衛出動」やら海上警備行動、ミサイル破壊措置命令などを出しては引っ込めるという苦しい対応をすることになってしまいました。

日本において、いまだ安全保障においは、「戦後」は終わっていないのです。

ミズーリ号の長い影」(※)を感じさせるこのミサイル発射事件でした。

※小川和久氏の著作名です。
※長くなりすぎたので、後半のポジティブリストの部分を割愛し、大幅に修正しました。
いつもすいません。

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コメント

日米韓国による今回の対北朝鮮作戦、各国が連携して防衛に当たるこれは昨年さんざん議論された集団的自衛権ですよ。
なんてマスコミがやれば集団的自衛権を肯定することになるので意図的に黙っている、わざわざ愚かな国民に教えてやる必要はない。
我々は集団的自衛権など認めない、戦争法案も安倍ヒトラーも潰すんだ。
我々は正義、安倍独裁政権は悪なのだ!

と邪推します。

報道しない自由と言うものでしょうか。
打ち上げ当日は幾らか報道されてましたが集団的自衛権についての報道を目にする事はありませんでした。
北朝鮮の打ち上げた「あれ」について種子島ではH2ロケットの打ち上げに合わせて来るのではないかとの噂がありました。
早かったのが良かったかどうかは別として
私の知人の間ではJAXAの方も含め「あれ」は実用性の有無は別として衛星なんだろうと話をしています。

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