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2016年2月15日 (月)

北朝鮮のミサイルを迎撃できないのは政治システムの問題だ

001
私は粘着性なんですかね(苦笑)、この1週間北朝鮮のミサイルについて考えてきました。 

もうすこしだけ続けます。ダーっ、まだやるのか、という声が聞こえそうですね(笑)。 

日本マスコミが軽薄なのは今に始まったことではありませんが、なぜ弾道ミサイル報道が、トンチンカンなのかお分かりになるでしょうか。 

それは北朝鮮のミサイル実験を、自分の国内問題として自覚していないからです。 

だから、テレビで北朝鮮専門家にペラペラしゃべらせて、ロケット発射台のカバーが開いたから進化したドータラというような方向に、話題を逸らしてしまっています。 

あんな発射台のカバーなんて、どうでもいいのです。

問題はむしろ、私たち受け手の日本の「政治システム」上の問題です。

私は今回の北朝鮮の弾道ミサイル発射は、日本人に間違った印象の刷り込みをしてしまったと思っています。

毎日毎日、大きな設置型ロケットの映像を見せられていると国民は、「そうか、北朝鮮や中国は、ああいうロケットを静々と打ち上げてくるんだな」という印象を持ったはずです。

Photo_4出所不明

ちゃいまんね。

あんな大型の光明星ナンジャラなどは米国への恐喝道具でしかなく、せいぜいがイランなどへの商談用展示品にすぎません。

日本に飛んでくるのは、光明星なんじゃらではなく、ノドン(朝鮮名「火星6号」)という中距離弾道ミサイルです。

Photo出所不明

先日もお話したように、ノドンは日本攻撃に的を絞った弾道ミサイルで、射程1300㎞、日本全土が入ってしまいます。

さらに射程を延ばして3200㎞までにしたムスダン(BM25)も、保有しています。

Photo_2出所不明

これらの弾道ミサイルは、大部分は通常弾頭ですが、そのいくつかには核兵器が搭載されていると考えられています。

保有数は、米国防総省が2013年5月に提出した「北朝鮮の軍事力2012」年次報告にはこのようにあります。

Photo_3(出典 Military and Security Developments Involving the Democratic People’s Republic of Korea 2012 - U.S. Depertment of Defense
邦訳 http://obiekt.seesaa.net/article/358829852.html

上図で「ランチャー数」とあるのが、車両移動式発射装置(TEL・ 輸送起立発射機)です。

ひとつのランチャーには5~6発のミサイルが用意されていますから、ノドンとムスダンには、各300発が準備されているとわかります。

つまりこの2種類の日本用弾道ミサイルは、両方ともこの移動式発射装置から発射されるわけです。

ですから、世界中の注目を浴びながら、オバさんアナがこめかみに血管を浮かせて発表するなんてことはないのです。

Photo_5それにしてもこの人が出てくると、すべてが悪いギャグに見えてきちゃうね。

脱線しますがお名前は、リ・チュニさん72歳で、北朝鮮で一番エライ女子アナだそうで、この人がでると重大放送ということのようです。まぁ、どうでもいいけど。

それはさておき、金正恩が日本に向けてノドンを発射した場合、日本列島に秒速3キロで飛翔し、10分で着弾してしまいます。

もちろん、発射した瞬間に、北朝鮮上空のミサイル早期警戒衛星と日本海側にあるXバンドレーダーが探知するでしょう。

しかし、それだけです。日本は「探知するだけ」しかできません。迎撃できないので、仮に核兵器が搭載されていた場合、中規模都市なら一瞬で全滅します。

日本にはノドンを高い確率で撃墜できるはずのSM-3やPAC-3があるのに、どうしたんだとお思いになるでしょうね。

残念ですが、やるぞやるぞと大騒ぎしてくれたような今回の場合と違って、「平時」において突如として発射された場合、まったく対応がとれません。

それは国内法において、自衛隊の迎撃ミサイル発射は「武力行使」とみなされるために、「ミサイル破壊措置命令」をもらって、それを受けて初めて迎い撃てるからです。

ノドンが着弾するまでの10分間でやるとすれば、防衛大臣が首相承認は初めから諦めて、自衛隊法82条3項の「緊急対処要領」を超解釈して、直ちに迎撃命令を出すしかないでしょう。

これも防衛のスペシャリストの中谷大臣ならともかく、仮に民主党政権時の田中直紀氏などが防衛大臣だったら悲惨。

「ノ、ノドン?ウドン?」とか言っているうちに着弾していますって。

つまり、現状の「政治システム」では、ノドンは防げないのです。

Photo_7ノドンの原型R-17スカッド http://www.b14643.de/Spacerockets_1/Diverse/Scud/Scud.htm

このように書くと右方面から、「だから策源地に対する先制攻撃をしろ」という声が出そうですが、これも無理です。

策源地とはこの場合、ノドンの発射基地のようなことを指しますが、ノドンは先程みたように移動式トレーラーで、北朝鮮全土の山中に密かにバラ撒かれて配置されています。

似たケースが湾岸戦争にありました。

イラクは大量に保有していたスカッドミサイルをイスラエルに向けて発射したのですが、それを潰すために英国の特殊部隊はイラク国内に潜入し、大変な危険と犠牲を払ってひとつひとつ居場所をつきとめねばなりませんでした。

同じように、北朝鮮でノドンの発射装置の位置を知るためには、多数の特殊部隊を潜入させてしらみ潰ししていかねばなりません。

そもそも日本にはそんな特殊部隊の運用能力はないし、米国ですらそうとうに困難でしょう。

第一、自衛隊の特殊作戦群を北朝鮮に入れるとなると、考えただけでも気が遠くなるような膨大な政治的な障壁が待ち構えているでしょうね。

仮に発射位置がわかったとしても、北朝鮮を空から攻撃するような能力は日本にありません。

わが国の空自は、純粋に「専守防衛」に徹しているために、他国への攻撃能力はゼロだからです。

これについても、攻撃能力を付与するとなると、シールズの坊やたちがまた「戦争だ」と大騒ぎすることになりそうです。

結論からいえば、現状では「平時」において北朝鮮のミサイル攻撃を事前に防ぐことも、発射後に迎撃することも不可能です。

できるとすれば、ひとつしか私には思いつきません。

「破壊措置命令」のような非現実的な国内法を廃止して、発射を探知したら自衛隊が独自判断で常時迎撃可能な「政治システム」を作ることです。

あ、もうひとつありますが、それは次回に。

※写真 つくば実験植物園のセコイアの巨木

 

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コメント

報道では弾道ミサイルの動向だけが注視されて、ノドン、ムスダンの動向についての情報は最近ではさっぱりです。
そのため、問題の核心が主権者である我々に非常に見えずらくなっている。
弾道ミサイルの詳細な情報を報道するのも結構ですが、それはある意味第三国への商品コマーシャルを請け負っているようなもののような気がします。
今回の報道の中身を見ると、その詳細すぎる知識やメカニズム論は総連あたりから得た情報に拠っているのではないか、との印象があります。

そして、そうした問題の核心を意図的に外した報道は、我々自身の認識において何か遠い話、非現実で無関係のもののような作用を及ぼし、ノドンやムスダンの時ように半年も過ぎれば全く慣れっこになり、必要な法制を求める国民の声とはならないままに推移していく事に寄与するのです。

まだまだ続くムラ社会。国会まで寄合形式で運営して
いますから、ドーにもなりません。多数決で決めよう
とすると強行採決と糾弾され、寄合のように一人の
反対者も出さないような結論を出さないと決まらない。

よって決められない。で、先送りするか、解釈を玉虫
色にした上でナアナアで仮決定するしかない。しかし、
又近い将来に決定を迫られるとなると・・又もやさら
に先送り、又々解釈変更してと、以後は無限地獄に落
ちて行く。どうなる我らのケンポー?

数日間に及ぶムラの寄合は、宮本常一つぁんのベスト
セラー『忘れられた日本人』に対馬の例が語られてい
ますが、「お前は俺か!?」という程、会社の会議や
各公議会に似ていて呆れてしまいます。ルーツはココ
にあるようですが、安全保障を決める国会まで当時の
ムラと同じでどうよ?

ちなみに、水稲農村では土木事業(水路・道路)や、種
撒き、虫追い、収穫やら、ムラの共同作業があまりに
多くて、わずかな反対者が非協力的になれば皆んなが
オダブツになる。それで、反対者を出さない為の説得
がムラの寄合だったそう。

今じゃ、サヨクの協力など不要でOKです(むしろイラネ)。
多数決でガンガン決めるべきです。安全保障は安定多数
の与党が決めていいのです。それがイヤなら次の選挙で
落とせばいいだけです。

管理人さんの文章を読んでいると、自分の最後が、本当
に北朝鮮の核ミサイルによってもたらされるような気が
してきましたわ。

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