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2016年2月10日 (水)

核ミサイルを持ちたがるキム坊やを待ち受ける3ツの壁とは

Dsc_8693

テレビである北朝鮮専門家がこういっていたので、思わず吹いてしまいました。 

「ニューヨーク、ワシントンが危険にさらされることが現実のものとなった。米国の核の傘は破れ傘になった」 

この人はミサイルと、人工衛星の初歩的な違いを知らないようです。 

私は初めから、再突入技術なきロケット技術は、戦略核兵器たりえないと述べていました。 

ひとことで言えば、あれは「人工衛星」です。ただし、今のところは、ですが。 

あの「人工衛星」は自称「地球観測衛星」だそうですが、自分の国民の食料費1年間分を注ぎ込んで、何が「地球観測」だつうの。 

ですから、たぶん何の電波も発信されることはないでしょう。

それはさておき、200㎏の重量を持つ「人工衛星」を打ち上げたわけですが、キム坊やの前にはいくつか壁が残っています。

まず、あの程度では核兵器が搭載できないと思われます。 

つまり、ペイロード不足です。 

ペイロードとは最大積載量という意味で、この場合はミサイルがどれだけの重さの弾頭を運べるのかを示しています。 

Photo出所不明

鈴木一人北大大学院教授によれば、これでは不十分だそうです。
 

鈴木氏は去年7月まで、国連安保理イラン制裁専門家パネルメンバーとして活動し、日本の弾道ミサイルと核兵器の専門家です。

「以前よりも倍の能力を持つロケットに改良されていると見ることも出来るが、しかし、200キログラムはロケットの能力としてはまだ十分ではなく、小型化した核弾頭を北米大陸まで到達させることは難しいと考えられる。」
※Foresight2月8日http://www.fsight.jp/articles/-/40912

北朝鮮の弾道ミサイルで実用化されているのは、スカッドB/C型とノドンですが、これらに搭載できる核弾頭は、重量500~1000kg以下にする必要があります。
日経BPネットhttp://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/news/061013_kaku/index2.html

Photo_2出所不明 

ということはですよ、今の倍ていどのペイロードが必要なわけですが、さぁどうしよう。 

手段はふたつしかありません。

さらに大型のロケットを作ることと、核弾頭を小型化することです。 

前者のロケットの大型化は、そう遠くなく達成するでしょう。今、既に用意されているロケットもあると聞きますから、たぶん次回にはさらに大型化してペイロードも増えるはずです。 

そして後者の核兵器の小型化も、そうとうていどまで進んでいると見られています。 

というのは、世間で言われるほど、これは困難な技術ではありません。 

歴史的には、17年前の1998年のパキスタンやインドも既にこの小型化には成功しているような、「枯れた技術」だからです。
※澤田哲生東工大助教によるhttp://agora-web.jp/archives/1515068.html 

さて、この二つの壁を超えると、その先にあるのが冒頭に述べた「再突入」です。 

先程の鈴木教授によれば、ロケットとミサイルの違いはその軌道です。

「弾道ミサイルは早期に燃焼を終え、そのまま放物線を描いて高度を上げ、最終的には地球の引力に引き戻される形で大気圏に再突入して目標に到達するように設計されている。
 逆に衛星打ち上げロケットは、第1宇宙速度(秒速7.9キロメートル)を獲得するため、燃焼を続け、地球の引力に負けないだけの速度で地球の周りを周回させる。
 そのため、衛星打ち上げロケットから放出された物体は大気圏に再突入することを目的としておらず、将来的に地球の引力に引き戻されて落下するときも、そのまま大気との摩擦(正確には熱の壁による空力加熱)によって燃えてしまうような作りになっている。」(前掲)

軌道図を、ご覧になると分かりやすいでしょう。 

Photo_5出典 David Wright, “Trajectory of Satellite Launch vs. ICBM Launch”, Union of Concerned Scientists, April 9, 2012 鈴木論文による

ICBMとある赤線がミサイルの軌道曲線です。途中の高度400~500キロまではロケットの青線と一緒ですが、そこからミサイルはグングンと高度を上げていき、やがて頂点で地上に落下してきます。

これが再突入です。

一方、ロケットは再突入されたら意味がありませんから、地球周回軌道に人工衛星を乗せるために水平の軌道をとります。

つまり、鈴木教授によれば、「ロケットかミサイルなのか、衛星打ち上げ用のロケットなのかは、大気圏に再突入することを前提としているか、していないかの違い」があるのです。

では、この再突入技術が確立されたかといえば、鈴木教授はノーだと述べています。

「北朝鮮は過去に1度も再突入の実験をしていないのである。2012年の衛星打ち上げも一応衛星を軌道に投入したが、それがきちんと機能せず、大気圏に突入して燃え尽きてしまったが、今回も打ち上げた後に物体を軌道上に放出し、地球を周回していることが確認されている。つまり、北朝鮮はミサイルを開発しているとしても、1番大事な再突入の技術が完成しているかどうか定かではない。」(前掲)

このように、この再突入技術が完成されて初めて北朝鮮は、大陸間弾道ミサイルを保有したと評価することができるわけです。

私はこれも、この腰が引けた今の国際社会のていたらくでは、数年以内に達成すると思います。

そうなった時、あの時「あれは人工衛星だ。政府は軍拡のために利用している」と筋違いのことを言って北朝鮮を擁護していた、社民党や沖縄2紙はなんと言うのでしょうか。

「人工衛星」はあくまで、北朝鮮にとっての通過点でしかないのですから。

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コメント

米リベラル紙の報道においてもワシントン、ニューヨークまで北の核の射程に入った、とする記事や識者の論調が多く見られます。
こうした不正確(というより、民主党左派の反戦プロパガンダに近い)な報道により形成された米世論が、ここのところの消極的なアメリカ外交をつくって来たとも言えます。
つねに世論に阿るオバマ政権は、「あつものに懲りてなますをふく」類の事ばかりして、実体以上に米国の国際的地位を落とし続けています。

問題は日本のTVのコメンテーターや上にあげられた朝鮮問題の専門家氏の病気は既に末期的だ、ということで、こうした米国の大きくはあるが一方的で間違った報道に依拠して、のうのうとさも正しい自分の意見を述べているように発信し続けていることです。
「正しく怖がる事」が出来ないと、あわれな北朝鮮の思うツボに陥りますね。

テレビで解説してお金をもらってるような人が、ミサイルと人工衛星の区別が付いてないってのがもうなんとも呆れるというかガッカリします。

昨日の記事にも関連しますが、ミサイルとロケットはほぼ同義。というか、海外では区分けすら無いところも多いです。これは「運搬手段」。
軽トラなら車体。

人工衛星というのは「搭載する貨物(ペイロード)」。軍用ミサイルなら「弾頭」ですね。軽トラなら載っけてる荷物。

なんでこんなレベルで混同するような方が立派な肩書きを付けて深刻そうな顔で解説しているのやら…。

マスコミ解説からネット知の検索、市井のブログ等々どこを調べても今回打ち上げたのがロケットなのかミサイルなのか、私の中で理解できていませんでしたが、今日の記事でよく判りました。

ロケットの専門家をスタジオに招いて話しをさせないのですね。

国民の恐怖心を煽り、安倍政権批判へ持ち込みたいのでしょうか?


北朝鮮がプルトニウムの抽出を再開した模様だとニュースでやってました、レアアースや森林などがあるのだから核開発せずにマトモな商売をすればいいものを…

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