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2016年2月12日 (金)

日米のミサイル防衛は既に一体化している

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ミサイル防衛について、いい機会ですからもう少し続けます。

昨日も追加でご紹介した志葉玲氏は、こうも述べています。

「日本側が勝手にパニックになっても、はっきり言って北朝鮮側は、日本など相手にしていない。それは、今回の「事実上の長距離ミサイル」が、大陸間弾道ミサイル開発の一環、つまりその標的は日本ではなく、米国であることからも明らかだ。」
http://bylines.news.yahoo.co.jp/shivarei/20160209-00054244/

志葉さんときたら、「そもそも日本なんか北朝鮮は相手にしていないんだから、カヤの外の日本はおとなしくし9条読んでろや」、とおっしゃりたいようです。 

実はこの志葉氏の言うことは、半分はほんとうですが、半分は間違いです。 

今回のキム坊やの脅迫の相手は、なるほど米国でした。 

いままで、田舎ヤクザしていたキム一家が、いよいよ錦糸町あたりにブイブイ(キム坊ちゃんの場合ブヒブヒというかんじ)言わせながらの全国区デビューといったところです。 

今回はモデルガンでしたが、そのうち実弾を込めた銃も用意してくるようになるでしょう。

なにせこの3代目組長は、キレるとすぐにぶっ放すのですから、たまったもんじゃありません。

さて志葉氏は、日本は「何もできないカヤの外」と述べていますが、まったく違います。 

むしろ志葉氏が知ったら、かえって氏の「左翼魂」に火が着きそうなほど、既に米国のミサイル防衛の一角に位置づけられています。

今日はそのあたりを見ていきましょう。できるだけ平明にお話ししますので、おつきあいください。

このミサイル防衛システムにおいて、日米は安保法制成立以前から一体となった運用をしてきました。

言い換えれば、去年の安保法制はいわば「追認」のためにあった部分もあって、集団的自衛権はとうに実現していました。 

それがXバンドレーダーです。 

Photo_4出所不明

XバンドとはXジャパンとはなんの関係もなく、マイクロ波を使用したきわめて解像能が高いレーダーのことです。
 

一般のレーダーは、飛翔してくる物体をただの点として映しだすだけですが、このXバンドレーダーを使うとその形状まで分かるため、「こりゃノドンだ」という種類まで識別できてしまいます。 

おまけにこれは移動式です。海上移動型と地上型があって、その状況次第で最もよい位置に移動が可能です。 

日本には既に、2014年に青森県車力と京都府経ヶ崎に地上型が配備されています。 

これを使えば、丸々朝鮮半島全域が監視でき、北朝鮮がミサイル発射すれば直ちに分かります。 

日本ではこれをFPS-5という名で呼んでいて、下の防衛省資料によれば、既に全国11カ所にXバンドレーダが設置されるか、その計画中です。

 

Photo_5

防衛省 

例によって例の如く、例の人たちによって反対運動があったために、防衛省が詳細な説明をしていますのでご覧になって下さい。 

防衛省「TPY-2レーダー(Xバンドレーダー)の配備について皆様の疑問にお答えします」(2013年4月) 

Xバンドレーダーが、ズラリと日本海側に並べられているのが、目を引きます。

これは北朝鮮、あるいはロシアから発射される弾道ミサイルを監視するためです。

また、本州の西部、九州、沖縄に配備されるのは、監視対象が中国の弾道ミサイルにもあることを示しています。

Xバンドレーダーは、2000㎞前後(※)で探査が可能という説があります。(海上型は4000㎞)軍事機密なので教えてくれませんけど。※1000㎞という説もあります。

もちろん、水平線の下から打ち上げられれば直接には見れないのですが、コンピュータが発射軌道から逆算して発射位置を特定するなんて離れ業も可能だという話もあります。

実はこのXバンドレーダーは、THAAD(サード・終末高高度防衛ミサイル)とワンセットになっています。

考えてみればあたり前で、レーダーで「見ているだけ」ではなんの意味もありません。迎撃して初めて意味があります。 

Photo_6出所不明

上図を見ると、北朝鮮、ないしは中国から米国に向けて発射された弾道ミサイルは、わが国のXバンドレーダーで直ちに捕捉されて、イージス艦のSM-3迎撃ミサイルと米国のTHAAD迎撃ミサイルによって、丁重にお出迎えされる仕組みになっています。

このように米国に向かう弾道ミサイルの迎撃システムの前哨ラインが、日本にあることは、米国防衛にわが国も尽力していることと同じです。

よく誤解がありますが、脳味噌が足りない米国人が思うように、わが国は米国に一方的に守られているわけではありません。

横須賀を中心として空母打撃群に母港を提供し、さらには、米本土のミサイル防衛の前哨拠点でもあるのです。

トランプさん、大統領になりたきゃ、ちっとは勉強しなさいよ。

それはさておき、既にこの迎撃実験は、去年10月30日に日米によって実施されて、成功しています。

つまり今、韓国が入れるの、いれないのとグチャグチャ悩んでいたTHAADシステムなど、日本は既にMD(ミサイル防衛)システムの一部として、とっくに組み込んでいたわけです。

ただ、日本が保有していないのはTHAADミサイル本体だけで、今回、中谷防衛相が導入を口にしたのは、このミサイル本体導入の話です。

Photo_7http://obiekt.seesaa.net/article/392740228.html

なお、このXバンドレーダーは米本土に向かう弾道ミサイル迎撃だけではなく、日本を直接に標的にしている、北朝鮮のノドンや東風21号も補足が可能です。

上図はノドンの射程範囲です。北朝鮮が日本を攻撃する意図をもった場合、確実にこのノドンを使うでしょう。

北朝鮮のノドン(下写真)は数百基あるとされて、すべて日本が標的です。

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しかも、ノドンは移動式発射ミサイルなために、事前に地上で発射前に捕捉することは事実上不可能だといわれてますから、やっかいです。

ただし、今の時点は、核弾頭は搭載されていないと思われますので、むように怖がる必要はありません。これについては別稿で詳述します。

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上の写真は、戦勝70周年軍事パレードに登場した東風21号ですが、下図はこの射程範囲を示しています。

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射程距離にはすっぽり、わが日本列島が入ってしまいます。

米国議会諮問機関の「米中経済・安全保証調査委員会」の2010年版レポートには、日本に到着する脅威として、射程1750㎞以上のこの東風21Cを上げています。

配備数は、2000年代の配備数は60~80発、発射基数は70~90基と推測されていますが、いまはさらに増加しているはずです。

米国本土のミサイル防衛も日本のミサイル防衛も、やることは一緒であり、同じミサイル防衛システムの中にあって、互いに守り合っていることを、日本人もしっかり知ったほうがよいでしょう。

長くなりましたので、今日はこのくらいに。

 

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コメント

なるほど。
CNNやBBCがトップニュースで報じているにも関わらず、先日のコメントにあったように「日本だけが大騒ぎ」といった言質が出るのはなぜだろうと疑問に思っていたのですが、志葉さんのような人が言っているんですね。

北の公開した映像を観たいのに文春砲炸裂の不倫辞職会見だらけ(>_<)
平明な解説をありがとうございます。このXバンドレーダーが配備される所には自衛隊の駐屯だけでなくもれなく米軍も駐屯するという理解で良いですか。先日管理人さんが書かれていた、米国人攻撃リスクもカバーできているのかと思いながら拝読しました。

ふゆみさん。

すべてではないですが、車力や経ヶ崎なんかは米軍が運用する施設です。宿舎が完成するまで当分地元ホテルが潤うとか、レーダーの自家発電機の音がうるさいとか泣き笑いのことも有るようです。

韓国のも在韓米軍。だからこそ中国や北寄りのハンギョレ新聞が激しく「無駄なレーダー配備反対!」とやってたんですが、韓国はこれまで中国の顔色ばかり伺ってMD対応ミサイルを持っていないので、まだレーダーサイトどうするんだという次元。
中国としては近くにXバンドレーダーを置かれると、国内の動きが見られる(データリンクされる)のが厭なようです。

ちなみにXバンドは道路で警察がよく使うネズミ捕りと同じ周波数帯です。(最近はKバンドもあるけど)

ふゆみさん。山形さんが先に答えてしまいましたが、米軍が駐屯するのは車力や経ヶ崎だけです。いずれも自衛隊駐屯地内です。
他は自衛隊の管轄となります。
ただしレーダー情報は共有していると思います。

山形さん、管理人さん、理解しました!ありがとうございます。

確か韓国には日本を射程に収めた巡航ミサイルがあり信用なりません、対北には不必要なモノです。(個人的に北朝鮮と同列に考えてます)
中国寄りの外交をしてきた朴大統領がサード導入を検討に吹き出しました。


日本は米国と連携して更なる防衛の構築をしていくのみ。

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