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国と県の「和解」を平明に解説します

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沖縄地元紙によれば、「県民唖然」だそうです。 

まぁ、自分の県が国と結んだ「和解条項」が真っ先に報道されないから、県民が「唖然」とすることになります。 

よく読めば、沖縄タイムス(3月8日)もそれなりに報道しています。 

「是正指示は地方自治法に基づく手続き。指示に不服があれば、県は1週間以内に国の第三者機関の係争委に審査を申し出ることになっている。翁長知事は近く審査を申し出る見込みだ。
 その後、係争委が是正指示を違法ではないと判断し、県が不服なら1週間以内に是正指示の取り消しを求める訴訟を提起。逆に係争委が是正指示を違法と判断したにもかかわらず、国が期間内に指示の取り下げなど必要な措置を講じない場合、県は1週間以内に是正指示の取り消し訴訟を起こす。
 和解条項では、判決が確定するまでの間、国と県は「円満解決」に向けた協議を行うとしている。和解からわずか3日での是正指示は「辺野古が唯一の選択肢」とする安倍政権のかたくなな姿勢を鮮明にした格好で、「辺野古は認めない」とする県側との協議はかなり難航しそうだ。 」

※http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=157507

なんのことか分かりましたか。たぶん地元紙しか読まない県民には、チンプンカンプンなはずです。 私だってなんかよーわからん。

紛争を煽った当事者にしては、粗っぽい上に不親切な解説ですから、これで理解できたらそのほうがえらいと思います。 

地元紙は「怒りの声」には紙面を大量に使っているのですから、少しは新たな事態に対して、分かりやすい報道をするべきでしょう。

しかし地元2紙は、国と県がの紛争がこじれればこじれるほど望ましいと思っているようですから、このようにわざわざ分かりにくく書きます。

「県民が唖然としている」のは、地元紙がこの「和解条項」を、主観を交えずに正確に報道していないからです。 

報道していないから県民が「唖然」となって怒ると、「ほら見ろ、県民はみな政府に怒っているぞ」と報じるわけです。ひところの朝日が多用した、中韓へのご注進報道とそっくりです。

お願いですから、こういう大事ことは主張とは別にして、キチンと報道してください。

そもそも「和解条項」全文くらいは掲載するのが、報道機関としての筋だと思います。
※「和解条項」 県HP 欄外に全文を転載しました。
 
http://www.pref.okinawa.lg.jp/site/chijiko/henoko/documents/h280304wakaiseiritu.pdf  

Photo琉球新報より引用

多くの県民は、あんな難解な条文読みませんし、そもそもそんなものがあることすら知らないでしょう。
 

だから、多くの県民は和解=妥結だと勘違いしていますが、まったく違います。 

和解は私たち一般ピープルが思うような「円満解決」という結果そのものではなく、そこに向かうプロセスにすぎません。

では、できるだけかみ砕いて平明に説明します。 

まず今回、ひんぱんに登場する「和解」という表現は、法律用語の「和解」と呼ばれる種類のものなのです。 

たとえば民法695条にはこうあります。 

●民法695条の「和解」
「和解は、当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約することによって、その効力を生ずる。」
 

法律的表現ですのでかったるいですね。説明します。 

当事者が紛争を起こしている場合、どうしても力と力の対決になりがちです。 

たとえば、反対派は辺野古ゲートにブロックを積んだり、座り込みをしたりして工事を実力阻止しようとしました。 

すると、国も機動隊で対応したり、県が承認拒否をすれば、代執行という強権を使うことになります。 

こんな解決方法は、国、県の双方にとって決して望ましい形ではありませんね。 

そこで裁判所が中に入って仲介したわけです。裁判所はこう言っています。 

まず、ガチンコ勝負になっている双方のゲンコツの部分を取り下げて下さい。 

国は代執行による工事をいったん取りやめて下さい。県は国を訴えている訴訟を取り下げて下さい。 これが「和解条項」の2です。

「2 利害関係人沖縄防衛局長(以下「利害関係人」という。)は、被告に対する行政不服審査法に基づく審査請求(平成27年10月13日付け沖防第4514号)及び執行停止申立て(同第4515号)を取り下げる。利害関係人は、埋立工事を直ちに中止する。」

次に、お互いに主張は変わらないようですが、もう一回協議して落とし所を探って下さい。 

ここからが若干ややっこしいのですが、ステップの流れは次のようになります。 

①[国が県に「是正」を命じる 

なんだ、また国が県に命令かよ、と思って多くの県民が怒ったのでしょうが、これはいわば決められた踊りの振り付けのようなものです。 

ですから、菅さんが「合意事項の通りです」といったのですが、「和解条項」をちゃっんと報道しないから、「和解すると言っていて、また強権発動か」となります。

翁長さんが「怒った」そうですが、いうまでもなく芝居です。本気で怒ったら、知事としての能力を問われます。

それはともかくとして思い出して頂きたいのですが、国と県は考えに差があります。あるから紛争になっているわけです。 

ですから、裁判所は仕切り直ししてくれ、と言っています。 

初めのボタンを掛け違っているから混乱したのですから、もう一回初めからしてください、ということです。これが「和解条項」の3です。

「3 原告は被告に対し、本件の埋立承認取消に対する地方自治法245条の7所定の是正の指示をし、被告は、これに不服があれば指示があった日から1週間以内に同法250条の13第1項所定の国地方係争処理委員会への審査申出を行う。」

 国が「是正」を命じると、県は当然拒否するために「国地方係争処理委員会」に訴えますね。 

どのような結果が処理委員会で出るかわかりませんが、どちらが勝っても相手は不服ですから次のステップに進みます。 

②[指示取り消し訴訟を提起し、判決まで協議する 

はい、結局また裁判です。なんだ~と思わないで下さい。この裁判は、一味もふた味もちがうのです。

和解条項の8はこう述べています。

「8 原告及び利害関係人と被告は、是正の指示の取消訴訟判決確定まで普天間飛行場の返還及び本件埋立事業に関する円満解決に向けた協議を行う。」

今回の裁判は今までと違って「和解」して、それに双方が従うすることを目的とした裁判だということが、決定的に今までの裁判と違うことなんです。 

今までの裁判は、気に食わない判決が出れば、控訴することが前提でした。すると、最高裁までいくことになり、ゲート前ではいつまでも揉み合いが続くことになります。 

これじゃあ不毛でしょう、と福岡高裁は言っているのです。 

これが民法695条の「和解」の考え方です。 

対立する主張を互いに譲歩し合って、紛争当事者間の話し合いによって解決することを約束する「契約」です。 

ここでいう「契約」も法律用語です。 

重要なことなので、概念規定しておきましょう。

「●民法における「契約」の概念
二人以上の当事者の意思 表示が合致することによって成立する法律行為のこと。 合意の うち、法的な拘束力を持つことを期待して行われる.。」
※..Wikipedia

③[判決には、双方従い、協力し合う] 

この時、国と県は和解へ向けての話あいをしつつ、裁判の判決を待っている状態です。 

この期間に協議、つまり国と県の再協議が行われます。いままでは主張のぶつけ合いでしたが、今回は真剣に解決、すなわち落とし所を見つける話しあいになります。

沖縄政界の寝業師といわれた翁長さんの本領発揮の時が、やっときたわけです。

今までのように共産党でもいえるようなことを無表情に言うだけなら、誰だってできますもんね。

 そしてこの協議の結果丸く納まればよし、納まらなければ、新たな判決に従うことになります。 

え、なに?気に食わなければ、「いかなる手段を使ってでも阻止する」って翁長さんが息巻いているって。 

困りましたね。「オール沖縄」の中核の共産党に向けて、「オレは日和っていないからな」とイキがらねば、かれらから突き上げられるからですよ。真に受けてはいけません。 

もちろん、民間人がやる分にはかまいませんが、県という行政機関がそれをすることはできません。 

なぜなら、それは先ほどから述べている「和解に向けた契約」に対する重大な違反行為だからです。 

もちろん控訴は不可能ですし、今までのような砂利条例を作ったり、アンカーがどうしたというような手段も不可能です。 

なぜなら、判決が出たら絶対に従って下さいね、そう福岡高裁は言っているわけで、これを国と県の双方が合意して、あの「和解条項」ができたのですから当然です。 

「和解条項」の9にはこう述べられています。

「9 原告及び利害関係人と被告は、是正の指示の取消訴訟判決確定後は、直ちに、同判決に従い、同主文及びそれを導く理由の趣旨に沿った手続を実施するとともに、その後も同趣旨に従って互いに協力して誠実に対応することを相互に確約する。」

これが法律用語でいう「誠実条項」です。これも重要ですから押さえておきます。

民法第1条2項が誠実条項をうたっています。

「●民法第1条(基本原則)
1 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
3 権利の濫用は、これを許さない。」

この「誠実条項」のうち、今回は「禁反言(エストッペル)の原則」と「クリーンハンドの原則」に当てはまると思われます。

●民法の誠実条項
「禁反言とは、自分の言動に矛盾した態度をしてはならない、という原則のこと」
「クリーンハンドの原則とは、自ら法を尊重し、義務を履行する者だけが、他人に対しても、法を尊重することと義務を履行することを要求ができる、という原則のこと」
※http://www.minnpou-sousoku.com/category/article/1/1_2.html

何を言っているかといえば、この場合判決による決定事項に対して矛盾した態度をしてはならず、それが国に対して法を尊重しろといえる条件なのだ、ということです。

ですから、この誠実義務に忠実ならば、県と国の双方は判決以後、県は「あらゆる手段で阻止する」などと言うことすら問題視されることになります。そりゃそうでしょう。

「円満解決」をした後になって、別な手段で攻撃してやるなんていうことを許したらもう法治国家ではありませんからね。

翁長さん、以後このようなヤクザまがいのことをことを言うのは謹んで下さい。あなたはいやしくも行政官なんですから。

逆に、国も「いつか工事再開してやる」などと言うことはできません。国が敗訴したら潔く現行埋め立て案は放棄し、別な方法を模索することです。

私はかねがね、そのほうがいいと思っているのですが、また別の機会に。

長くなりましたが、こういう内容で「和解」したのです。県民の皆さんの理解の足しになれば幸いです。

                       ~~~~~~~

■【国と県の両者が受け入れた暫定和解案】(2016年3月4日)

1 当庁平成27年(行ケ)第3号事件原告(以下「原告」という。)は同事件を、同平成28年(行ケ)第1号事件原告(以下「被告」という。)は同事件をそれぞれ取り下げ、各事件の被告は同取下げに同意する。
2 利害関係人沖縄防衛局長(以下「利害関係人」という。)は、被告に対する行政不服審査法に基づく審査請求(平成27年10月13日付け沖防第4514号)及び執行停止申立て(同第4515号)を取り下げる。利害関係人は、埋立工事を直ちに中止する。
3 原告は被告に対し、本件の埋立承認取消に対する地方自治法245条の7所定の是正の指示をし、被告は、これに不服があれば指示があった日から1週間以内に同法250条の13第1項所定の国地方係争処理委員会への審査申出を行う。
4 原告と被告は、同委員会に対し、迅速な審理判断がされるよう上申するとともに、両者は、同委員会が迅速な審理判断を行えるよう全面的に協力する。
5 同委員会が是正の指示を違法でないと判断した場合に、被告に不服があれば、被告は、審査結果の通知があった日から1週間以内に同法251条の5第1項1号所定の是正の指示の取消訴訟を提起する。
6 同委員会が是正の指示が違法であると判断した場合に、その勧告に定められた期間内に原告が勧告に応じた措置を取らないときは、被告は、その期間が経過した日から1週間以内に同法251条の5第1項4号所定の是正の指示の取消訴訟を提起する。
7 原告と被告は、是正の指示の取消訴訟の受訴裁判所が迅速な審理判断を行えるよう全面的に協力する。
8 原告及び利害関係人と被告は、是正の指示の取消訴訟判決確定まで普天間飛行場の返還及び本件埋立事業に関する円満解決に向けた協議を行う。
9 原告及び利害関係人と被告は、是正の指示の取消訴訟判決確定後は、直ちに、同判決に従い、同主文及びそれを導く理由の趣旨に沿った手続を実施するとともに、その後も同趣旨に従って互いに協力して誠実に対応することを相互に確約する。
10 訴訟費用及び和解費用は各自の負担とする。

 

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コメント

法律用語ってのはなにかと面倒くさかったり難解だったり、一般人には意外に思えたりするもんですよね。

煽動してきた側の地元紙や翁長陣営にとっては、支持者である県民が詳しくなっては都合が悪いわけです。沖縄県民の方には申し訳ない言い方ですが、ズバリ「愚民化政策」ですよ。
今の共産主義国や戦前の枢軸国(朝日新聞とか)とそっくりですね。

投稿: 山形 | 2016年3月 9日 (水) 06時39分

わかりにくい法律こそ、税金でメシ喰ってる者共の
力の源泉です。やっと改正の民法なんて、明治時代
のカタカナ書きですぜ。さらに先例主義で、過去の
判例をカミ様のように拝むので、法のシロートには
ナニがナンだか解りません。
管理人様、解説を有難うございます。私も最初「是正」
を聞いた時は、アチャーと思いましたわ。

沖縄にも、税金で生涯安定した美味いメシを喰おう
としている者共がいて、その手下のローカルマスコミ
と共に、今回の国と県の争いを面白く見ているので
しょうねぇ。コジれればコジれる程、本土からお金が
降ってきて人員増殖をはかれ、手下も保護にあずか
れて法下の事実上のエコ贔屓を許されるのですから。

本土霞が関も、根っこのつながる沖縄税金ドロボー
達を、根絶やしにするワケにもいかない。やはり税
で喰ってる司法の人達も、ズバリと判決を出したく
ないし、かと言って「砂川」のようなブサイクな判断
も今さら言い出せなくて困ってる。
なんかなー、という感じですわ。

投稿: アホンダラ1号 | 2016年3月 9日 (水) 17時33分

とかくメディアというものでは様々な事象をある種の意図をもって自分達の伝えたいように伝えるものですね。沖縄二紙となるともっぱら自分の伝えたいこと「だけ」を伝えるという姿勢が顕著となるように思えます。


沖縄二紙が報道しない事例

「軍転協総会(H28.2.17開催)における本市の質疑内容について」
http://www.city.urasoe.lg.jp/docs/2016021800077/

那覇軍港の浦添移設問題に関しての翁長知事と県のダブスタっぷりには唖然とするばかりです。辺野古移設は新基地で浦添移設は新基地ではないそうな。まあ、以前からそうでしたけど。メディアはなかなか伝えてくれませんが。

市長 では、浦添の沖を埋め立てて造る、そして、嘉手納の南にある基地が全部返還される中で一つだけ残る、浦添沖への那覇軍港の移設先については、これは『新基地ではない』というような県のお立場であるということでよろしいでしょうか。

公室長 『新基地』という表現はしたことございません。


市長が公式の場でこんな発言するするくらいですから山形さんのコメントもむべなるかなというものです。
  ↓
『翁長県知事が浦添市に軍港をもってくるということは信じられない』とおっしゃる方も多い


本題からそれてしまって申し訳ありませんが、沖縄をとりまくメディアの状況があまりに歯がゆいのもので。

投稿: クラッシャー | 2016年3月 9日 (水) 17時41分

沖縄マスコミが目論んでいるのは、「県民投票」です。裁判では敗訴が濃厚なので、「県民投票」で正当性の根拠にしたいのです。そのために、今まで以上に国が横暴で悪者というイメージを作りあげるのに必死になるでしょう。そのイメージ化を阻止する方法は一つ。辺野古区住民への全戸意見調査を行うことです。
中学生以上の全住民の意向調査をすれば良いのです。無論、質問内容は重要です。
基地に反対か賛成かなどという設問ではダメです。
外国人との交流が増えることに賛成か反対か、危険と希望のどちらが強いか。などと設問すべきです。
辺野古で基地共存賛成の明確化をしておくことが、唯一の効果的な反撃手段です。
国も県自民党も頭が悪いので、県民イメージを改善させることができません。辺野古3区への直接交付金などという手段しか頭に浮かばないのは、アホとしか言いようがありません。
また、参議院選挙前に、名護市選管に名護市街と辺野古地域ごとに開票集計するよう申し入れを行うべきです。そうすれば、辺野古区の選挙結果が一目瞭然となり、沖縄マスコミの理論を崩せます。
そんなことすらしない、アホの集まりだから、こんな状況に陥っているのです。
沖縄県民はユタを信じる未開国の原住民のレベルです。騙されやすいお馬鹿集団なので、マスコミの宣伝に思うがままに操られています。私が心配なのは「県民投票」です。

投稿: 北谷住民 | 2016年3月10日 (木) 01時03分

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