• S-009_20240906024801
  • S-017_20240904054601
  • 20240906-004039
  • S2-003_20240904055201
  • S3-037
  • 20240901-044354
  • 20240901-044623
  • 20240901-044830
  • 20240901-051549
  • 20240901-052008

« 民・維の「合流」の背景にある共産党「国民連合政府」構想 | トップページ | 左翼ジャーナリストは放送法廃止を訴えるべきだ »

2016年3月 1日 (火)

代執行訴訟が結審しました

075

翁長知事の承認取り消しをめぐって争われていた代執行訴訟が、昨日結審しました。3月17日に判決言い渡しになります。 

高裁那覇支部の今までのニュアンスだと、明確な白黒ではなく、和解案で折り合いをつけてくれないか、という線でまとめたかったと思われます。 

この高裁が示した和解案は二つあります。

●「根本案」
・県・・・承認取り消しを撤回する
・国・・・辺野古建設後30年で軍民共用空港にすることを米軍と協議する

 ●「暫定案」
国に対して
①代執行訴訟を取り下げる
②県の違法性を確認する裁判を提起する
③工事は一時中止となる
県はこの判決に従う

お分かりのように「根本案」は建設それ自体を認めていますから、政府に有利です。 

もちろん軍民共用空港ということや、30年後という時限が現実的かどうかという細部の修正はありえるでしょうが、国として呑めない案ではありません。 

一方県にとっては、逆に建設自体は進むのですから事実上の敗北です。県が呑む可能性はないと言っていいでしょう。 

では「暫定案」はといえば、国に対する要求の色彩が強いものです。 

政府は代執行という強権的な方法ではなく、違法確認ていどで済ますべきだったという高裁の見解が覗いています。

どうやら高裁は、この代執行そのものには否定的で、こんな国と県がガチンコで衝突するのではなく、もっと穏便な方法をとれよ、と言いたいようです。

しかし、高裁の気分は分かりますが、法的に正しかろうとどうしようと力攻めしているのは翁長氏側な以上、この高裁の穏健な良識は通用しないでしょう。

ただし、工事は代執行という手続きでしているために、違法性確認訴訟に切り換えた場合、建設続行の法的根拠がなくなります。 

となると、違法性確認の判決がでるまで、一時的に工事は中止されることになります。 

まぁ、翁長氏にとって完全勝利とまではいかないにしても、一時中止を勝ち取ったと触れ回るでしょうね。 

ただし、それも一時的勝利で、「暫定」と裁判所が言うとおり、違法訴訟に転換したとしても、この秋までにはその判決も出るはずで、一時の「勝利」感に酔うだけとなります。

ただ、これも国が暫定案を拒否すればそれまでです。 

この承認取り消しの違法性について翁長側は、高裁審理の中でいくつもボロを出しています。 

「第4回口頭弁論が15日、福岡高裁那覇支部で開かれ、翁長氏に対する本人尋問が行われた。翁長氏は行政処分の取り消しが極めて例外的にしか行えないとの判例について「よく分からない」と述べ、認識しないまま承認を取り消していたことを認めた。
 国と県双方の弁護士が質問し、翁長氏は過重な基地負担を強調したが、国は取り消しの経緯をただした。
 国は、取り消しの根拠となる報告書をまとめた県有識者委員の1人が委員会設置直後に承認の瑕疵(かし)を確実に見つけると発言していたとの報道を示し、委員会の客観性に疑問を呈した。翁長氏は委員の主張を把握していなかったとした。」(産経16年2月15日)

 As20150716001102_comml

つまり、まず翁長氏が根拠としている「第三者委員会」の委員は、審議の前から「瑕疵を見つける」と発言している人物を委員にするような偏った人選でわかるように、中立性客観性に大いに欠けるものでした。 

これについてはかつて記事にしました。
※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/07/post-03a3.html 

ヒアリングがまるで委員の職員へのつるし上げのような状況だったことも、承認取り消し後に暴露されています。

たとえばこんな風景です。

・当真 「環境保全などで知事が提出した意見をどういう形で検討したか」
・職員「5百数十件の意見を出し、意見に対する防衛省の見解ということで全部示されている。知事意見を受けて補正した部分がどうなっているかはすべてチェックした」
・当真 「防衛省の見解をチェックした。それでもう全部OK、500をクリアしたから大丈夫と。そこで出ていないものは問題ないという判断だったのか」
・職員「約9カ月、(埋め立て)申請書の内容を詳細に調べ、関係部局にも意見を照会した。意図的にわれわれにミスがあるかのような言い方をされることは心外だ。審査の結果、環境保全上の支障を見つけられなかったというのが現状だ。

ここで職員は怒りを込めて「意図的に我々にミスがあるような言い方は心外だ」と抗議しています。

万事この調子です。

瑕疵があるから承認取り消しをしたのではなく、承認取り消しをしたいから瑕疵をみつけているのです。

このようなバイアスのかかった第三者委員会を作った理由は、知事の職務権限からの超越を合理化するためです。

B8xo5pmcqaafbxf

行政訴訟法には行政の裁量権について、こんな一項があります。

■行政事件訴訟法
(裁量処分の取消し)
30条 行政庁の裁量処分については、裁量権の範囲をこえ又はその濫用があつた場合に限り、裁判所は、その処分を取り消すことができる。 

翁長知事が使っている行政法の根拠はこの条項です。仲井真知事が「行政庁の裁量処分についてその濫用があった」と言いたいわけです。

どう見ても私には、「行政の裁量権」を濫用しているのは翁長氏のように見えますが、翁長氏は前知事だと言い張って、それを是正するために承認取り消しをしたのだ、といいたいようです。

ここで問題になるのは、この「裁量権の濫用」の判断基準は何かということです。

何をして、「裁量権の範囲」と定め、何をして「濫用」と呼ぶのか、です。

知事が持つ権限は公有水面法に基づいての審査です。

翁長氏は、今回の心理でも、「米軍基地は抑止力にならない」というような前泊氏から聞いたような左翼的安保論議に耽っていましたが、そんなことは知事権限とはなんの関係もありません。

知事に唯一認められているのは、公有水面の埋め立てが環境に悪い影響を与えないかという建設工法の審議です。

翁長氏は、あくまでも前の行政の「裁量権の濫用」に引っかけてやりたいのなら、シンプルに「環境保護」一本槍でいくしかないのです。

しかし、翁長氏はこの第三者委員会においても、決定的な環境保護上の瑕疵は見いだせませんでした。

だから第三者委員の桜井氏はこのような言い方で職員を責めています。

「県民の観点からそれではいかがなものかなと思う」  

これについて、桜井氏自身の解説を聞いてみましょう。
※メールマガジンオルタ第133号(2015.1.20)辺野古新基地容認すれば永久基地化 

「名護市長選に始まり、知事選を経て衆院選に至るまで昨年の一連の選挙で繰り返し示された辺野古反対の民意にある。辺野古新基地の建設を容認するならば、沖縄は永久基地化する。それに対して県民は明確にNOという意思表示をしたのだ」

この辺野古基地を作れば「永久基地化するから、県民がノーいう意思表示をしたのだ」と書いています。

つまり、ここで桜井氏が言う「県民の観点」とは「永久基地化にノーという声」なのです。

これは、環境保護とどのように関係があるのでしょうか?桜井氏は環境の専門家で呼ばれたはずです。

それがこんな運動家丸出しの発言をしていいのか大いに疑問です。

こんな「視点」しか持たない人物が、承認の瑕疵を検証するといっているのですから、初めから結論があることは明白です。;

さて、この違法訴訟の判決次第ですが、県が承認取り消しの違法性を認められた場合、自ら承認取り消しをする必要があります。 

それについては、翁長氏も分かっているようです。

2月16日の琉球新報にはこういう翁長氏の裁判の中での発言が記録されています。

「国側 求めているのはあなたが出した取り消し処分を取り消せという主文になるほけで、たとかば取り消しを取り消せという判決文が下された場合、それに従ってあなたは自ら取り消せということなんですか。
知事 はい 
国側 そうすると、あなたが出した取り消し処分が違法で取り消されるということは、基本的には前知事の仲井真さんが出した、あなたは瑕疵があるというけれども、瑕疵があると言っていた仲井真さんの承認には瑕疵がないということか、その場合司法的に確定することになる」

この翁長氏が国に問い詰められて吐いた、この「はい」は今後に大きな意味を持つことになるでしょう。

仮に県が有利だと思われる「暫定案」でいったとしても、違法訴訟になって、県側が敗訴することになれば、その瞬間に承認取り消しの撤回を迫られることになるからです。

もちろん撤回などすれば、即座に「オール沖縄」のみなさんから袋叩きに合いますから、裁判所との約束どおり撤回したくともできません。

きっとズルズルと引き延ばして、「民意」の一点張りでねばるのでしょうね。

まり、翁長側にとっては「暫定案」も「抜本案」、いずれをとっても進むも地獄、退くも地獄となります。

いずれにせよ、今月17日には判決が出ます。何本も裁判はされていますが、この最初の判決でほぼ大勢は決まります。

私たちも判決に注視しましょう。

« 民・維の「合流」の背景にある共産党「国民連合政府」構想 | トップページ | 左翼ジャーナリストは放送法廃止を訴えるべきだ »

沖縄問題」カテゴリの記事

コメント

この裁判の県側の主張の本質は、実に政治的なものだと言う事が出来ます。
翁長氏は暫定案を無修正で受け入れたはずですが、それが辺野古移設の不可能性にいささかも寄与する選択ではない事を十分承知での上で成した事はあきらかです。
それどころか、案は逆に辺野古移設を婉曲に容認する構造になっている。
ただ、一時的に工事中断が実現する事により「国に一矢報いた」という名目をこしらえる事は出来、支持者県民に対する欺瞞的アピールは可能です。
少なくとも「ある部分は正しかった」という事は出来るのですね。
そこに沖縄二紙の偏向の力を借りれば、「国の横暴に断固とした姿勢でのぞむ知事」というイメージを保ち続け、さらにしばらくの間は県民を騙し続ける事が可能。
要は、自身の政治生命の保持と持続が暫定案受け入れの動機でしょう。
一般的な和解作用に見られる、裁判長の心証などを意識した訴訟技術的な動機ではない事は知事の証人尋問で良くわかります。

一方、翁長を支援する左派連中の思惑も、事実としての「辺野子移設阻止」とは別のところにあります。
雑駁に言えば「国家権力をいかに殺ぐか」という事が常に彼らの目標です。
2000年の行政法改正では「国と地方が対等になった」というふうに私なども勉強して来ましたが、本質はそうではありません。
「国と地方の役割区分の明確化、一部権限の移譲」が行なわれた、というのが改正の事実です。
これを単に「国と地方は対等になった」というすり替え理解をする事で、国防問題においても県が一定の判断をしうる余地(権利)がある、という誤った論理を展開し、それを背骨にしているのが左派支援者知識人や県側弁護団の主張の特徴です。

いずれにしても辺野古阻止は単にメルクマールであって、各々別の目的のために利用しているにすぎません。

なに? 長々とそんな解説は必要ない?
そりゃそうですよね。
移設は、土地の接収もなく漁業権の問題は解決済み。
騒音被害者は法定レベル以下。
それでいて普天間の皆さんの被害はすべて解消できるという、ほとんどいい事ずくめのプランなのですから。
それだけの事実で十分ですね。


普天間基地移転関連で沖縄県が争ってる訴訟って、あまりに多すぎてよくわからないですね。

3月17日に判決が出るのは「係争委不服訴訟」ですね。
国地方係争処理委員会に訴えた不服申し出を門前払いされた事を、県が不服として県が国を訴えたもの。
こちらにも和解勧告が出てるようですが、判決が出る3月17日までに和解するのは不可能でしょう。


「代執行訴訟」の判決が出るのは4月13日午後2時。

「『翁長知事による埋め立て承認取り消し』の取り消し」は、ずさんな第三者委員会の報告書しか根拠がないので認められると思ってますが、「国による代執行」まではどうなのか?
あまりにも国に権力を与えすぎるのは、地方自治という考えから問題があると思ってます。

ただ、代執行が認められないと、これから本体工事に入った時に設計変更協議の時間引き延ばしなど、県による嫌がらせが頻発することが予想されます。
そうなると辺野古埋め立て工事はどんどん遅れてしまいますから、移転賛成派としては代執行を認めてもらうしかないのかな・・・。

どちらにしても翁長知事が「"あらゆる手段を用いて"辺野古に新基地を造らせない」って言葉を取り消さない限り、和解も何もあったものではないですが...。

国がこの和解案を受け入れましたね。
県がどういった反応を見せるのか?
果たして今後どうなるのか。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 民・維の「合流」の背景にある共産党「国民連合政府」構想 | トップページ | 左翼ジャーナリストは放送法廃止を訴えるべきだ »