国が県に「是正」を指示 翁長氏が怒るのは筋違いだ
国が県に是正指示を出したことで、県が怒りだし、民主党は得たりとばかりに騒いでいます。
「菅義偉官房長官は7日の記者会見で「是正指示は裁判所の和解勧告に従って出した。沖縄県とは和解条項に基づいて話し合いをしていく。事務、政務レベルで行っていきたい」と述べた。
沖縄県側は直接協議を経ずに政府が是正指示を行ったことに反発。翁長氏は県庁で記者団に対し「大変残念な気持ちだ」と述べたが、菅氏は「そういうことを含んだ上で沖縄県が和解したいということだった」と強調した。
是正指示は文書を郵送した。沖縄県は不服であれば、文書到着の翌日から休日を除き5日以内に国地方係争処理委員会に審査を申し出る。」(産経3月7日)
あのね、枝野さん。あんたら鳩山政権の時の閣僚には、移転問題で発言する資格は一切ないので、分をわきまえるように。
また メディアも、「和解したのにその直後に是正を指示するっておかしくないか」という素朴な国民の疑問にたいして、なんの解説もしないことで国への不信感に結びつけようとしているようです。
外野はさておき、「和解」の当事者の県が怒っているのは、ただのポーズにすぎません。
菅さんが言うように、そんなことは裁判所の和解条項に盛り込まれていて、承知のうえで「和解」したのでしょうに。
では「和解条項」を流れに沿って見てみましょう。和解条項は県のHPから閲覧できます。
※http://www.pref.okinawa.lg.jp/site/chijiko/henoko/documents/h280304wakaiseiritu.pdf
「しんぶん赤旗」(3月5日)がご親切にもバカデッカイ図を載せてくれたので、これを見てみましょう。いかにもワード使って書きましたというのが、新聞社と違って微笑ましいですね。
まず今回、和解判決を受けて政府は、知事の埋め立てを中止するように中谷大臣に指示しました。
「和解条項」の2にはこうあります。
「2 利害関係人沖縄防衛局長(以下「利害関係人」という。)は、被告に対する行政不服審査法に基づく審査請求(平成27年10月13日付け沖防第4514号)及び執行停止申立て(同第4515号)を取り下げる。利害関係人は、埋立工事を直ちに中止する。」
国も県も基本的姿勢は変わっていませんから、国が是正を求めるのは当然ですので、国は県に承認取り消しを撤回するように「是正」を指示を出しました。
これも、「和解条項」の3にはそうキッチリ書いてあって、いまさら翁長氏が驚いたような顔をする方が分かりません。
「3 原告は被告に対し、本件の埋立承認取消に対する地方自治法245条の7所定の是正の指示をし、被告は、これに不服があれば指示があった日から1週間以内に同法250条の13第1項所定の国地方係争処理委員会への審査申出を行う。」
市民語でいえば、政府はこう言っているにすぎません。
「翁長さん、分かってらっしゃる思いますが、和解のための手続きなんで指示出しましたが、どうせ不服なんでしょうから、次の処理委員会審査の段階に行きましょうね」
和解条項どおりにやっているのに、翁長氏や地元紙が和解を蹴飛ばしたみたいに騒ぐのでしょうか。
ああ、たまらんっち。訴訟提起後の協議期間を少しでも有利に運ぼうというセコイ魂胆が丸見えじゃありませんか。
県は「指示の前に事前の話あいがなかった」と言っているようですが、事前に裁判所でじっくり話あった結果の「和解条項」でしょうが。
本当に知らないのなら、知事が恥をかくから、県の役人の誰か、「和解条項」をちゃんと教えてやれよ。
「協議」する期間はあくまでも、国地方係争処理委員会が、県に不利な結果を出して、それを不服として県が不服訴訟をしてからの話です。時期を間違えないで下さい。
処理委員会に出す前に協議しろなどとは、裁判所はひとことも言っていません。
「協議」するのは、あくまでも県が出した係争処理委員会の結論が出て、それが不服な場合の判決が確定するまでの一定期間です。
「指示」を出す前ではありません。勘違いしているのか、勘違いしているふりをしてカマトトしているのか。ただの馬鹿なのか。
「協議」の期間については「和解条項」の8項にこうあります。
「8 原告及び利害関係人と被告は、是正の指示の取消訴訟判決確定まで普天間飛行場の返還及び本件埋立事業に関する円満解決に向けた協議を行う。」
ですから、今回、国が県に「是正」を指示したのは、「和解条項」の合意に沿った取り決めどおりなのです。
「9 原告及び利害関係人と被告は、是正の指示の取消訴訟判決確定後は、直ちに、同判決に従い、同主文及びそれを導く理由の趣旨に沿った手続を実施するとともに、その後も同趣旨に従って互いに協力して誠実に対応することを相互に確約する。」
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こんにちは、いつも読んで勉強させて頂いています。
後半、文字が大きくなっておりますが、どうしたのでしょうか?
いつもの文字の大きさの方が読みやすいので、是非ともそちらに統一していただきたいのですが..
投稿: むらぴー | 2016年3月 8日 (火) 15時29分
むらぴーさん、横レス失礼しますm(__)m
ココログが開くアプリか挿入画像のサイズによって勝手にサイズを変えてしまうようです。私のスマホでも巨大化していますがPC表示にすると均一表示されます。スマホ表示でも日によって字がちっちゃーい事があり、使用者にはどうにもならないみたいですf^_^;)
投稿: ふゆみ | 2016年3月 8日 (火) 16時26分
むらぴーさん。すいません。私はデスクトップのPCで作っているんですが、フォントサイズは変わらないんですよ。
たぶん、ふゆみさんのご指摘どおりスマホのみの現象だと思います。
もうしわけありませんでした。
たぶん考えられる原因はあのバカデカイ共産党の挿入画像かな。
恐るべし共産党!こんなトラップを仕掛けていたのかぁぁぁぁ(←エコー)
投稿: 管理人 | 2016年3月 8日 (火) 17時06分
こういう記事もあるみたいですが、「じゃあどうするの?」って聞きたいですね…軍事的合理性とやらがみつかるまで普天間固定なんでしょうか?
辺野古案堅持を掲げる読売社説への疑問
http://gohoo.org/16030801/
投稿: ギロス | 2016年3月 8日 (火) 19時43分
ギロスさん。小川和久さんの記事ですね。私も彼の考えにほぼ賛成です。
勝ち負けという価値観からいったん離れて、「解決」をめざさないと、あとあとまでひびきます。
今日やるつもりだったのですが、辺野古埋め立て案はかならずしも最良ではありません。
軍事的な制約も多く、あのロバート・エルドリッチさんも反対しています。
本来、辺野古案は次善の案であってベストではありませんでした。
しかし、今、このような力のせめぎ合いになってしまい、政府も抜き差しならないことになってしまっただけです。
もう少し頭を冷やせば、小川氏が推すシュアンブ陸上案や、エルドリッジ氏が推す勝連案なども検討されるべきです。
むしろ翁長氏は、共産党などのいうような「すべての基地反対」路線から離れて、小川案を対案でだすことを、皮肉ではなく、お勧めします。
実現可能で、しかも工期も短く、なによりも海を埋め立てずに済みますから。
投稿: 管理人 | 2016年3月 9日 (水) 10時16分