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関西電力、損害賠償の可能性に言及 

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関西電力が、大津地裁判決が覆った場合、損害賠償請求する構えであることを明言しました。 

「関西電力の八木誠社長は18日、大津地裁による高浜原発3、4号機(福井県)の運転差し止め仮処分決定に対し、「極めて遺憾で到底承服できない」と強く批判した。その上で「現時点では何も決めていないが、一般的に逆転勝訴した場合、損害賠償請求は検討対象になる」と述べ、仮処分決定が覆った場合、仮処分を申請した住民らに対し損害賠償請求する可能性について言及した。会長を務める電気事業連合会の定例記者会見で語った。」(産経2016年3月16日)

 昨日の続きではありませんが、公平に見てこの電力会社の方針はまったく当然の判断です。

むしろ遅すぎたくらいです。訴訟を起こされる前の事前法的抑止としてやるべきでした。 

大津地裁という裁判所はどうやら「壊れた裁判所」なので、次回の保全裁判も同じ山本善彦判事にやらせるようですから、まったく同じ内容に終わるでしょう。 

通常このような、一方が異議申し立てをした場合、別の裁判官に担当させるのが法廷の慣例ですから、いかにこの大津地裁の運営自体が常軌を逸したものかわかると分かると思います。 

そりゃ同じ山本さんにやらせたら、同じもの出すに決まってますよね(苦笑)。

それはさておき、当然関西電力は上告するので、大阪高裁に舞台は移ります。 

問題は、ここで出るはずの高裁判決ではありません。高裁レベルの上級審で、最高裁伊方判例を無視することは不可能だからです。 

むしろ問題となるのは、高裁判決がでるまでの間、高浜3、4号機は停止したままだということです。

その間、おそらく2年間。被る損害は、仮に1日5億円だった場合、停止期間730日として、約3650億円です。

なお1日に3億(東経)という異論もありますし、いや5億より多いという説もあります。

どちらにしても電力会社の経済損失を概念として把握するための数字ですので、そのつもりで。

今から言っても遅いのですが、そもそもなんの「抑止」もしないで、止まる可能性がある仮処分訴訟に臨んでしまった、関西電力がマヌケなのです。 

ちなみに、九州電力は川内原発2号炉の仮処分訴訟に対して、キッチリと事前に抑止しています。 

「仮処分が認められた場合、再稼働は遅れ、現在続いている運転差し止め訴訟で住民側が敗訴すれば、九電は仮処分の申立人に損害賠償を請求できる。
九電は仮処分の審尋で「再稼働が遅れれば、1日当たり約5億5千万円の損害を被る」との準備書面を提出。申立人が賠償に備えて担保金を積み立てるよう命じることを地裁に求めた。地裁は命令を出していないが、住民側の弁護団が申立人に賠償請求の可能性を説明した結果、約10人が申し立てを取り下げた。」(静岡新聞2015年月17日)

 川内は勝訴したので、実際に損害賠償請求はなされていないようですが、大津地裁判決のようなものが出た場合、ほんとうに請求に踏み切ったことでしょう。 

一般市民である原告にこんな超巨額な賠償請求をさせていいのか、という同情論がありますが、私は冷酷なようですが、するべきだと思っています。 

仮処分は遊びではありません。バーチャルにされては大変な迷惑を社会に与えてしまいます。

原告団は、自らが望む「原発の絶対的安全性」と、それによって生じる巨額の損失はトレードオフ(引き換え)の存在だということを、しっかり認識してから、仮処分という「凶器」を握るべきだったのです

山本裁判官もそういう覚悟をもって、この「凶器」を振り降ろすべきでした。

さて社会保障経済総研の石川和男氏によれば、関西電力のコストは、このように推移しています。 

●関西電力の電気料金値上げに係る費用の増減(2010年度→2014年度)
(1)人件費:2387億円→1970億円(▲417億円(▲17%))
(2)燃料費・購入電力料:7656億円→1兆8070億円(+1兆414億円(+136%))[燃料費のみ:3874億円→1兆2230億円(+8356億円(+216%))]〔原子力利用率:78.2%→0%)
(3)設備投資額:3610億円→3200億円(▲410億円(▲11%))
(4)修繕費:2758億円→1900億円(▲858億円(▲30%))
(5)諸経費等(消耗品費、賃借料、委託費、普及開発関係費、養成費、研究費、諸費の合計値):2756億円→2380億円(▲376億円(▲14%))

 石川氏はこう述べています。

「これを見ると、 ①原子力利用率の低下による燃料費の追加分が大きな圧迫要因であることがわかるだけでなく、②経営努力と称して人件費その他の費用をいくら削減しても、この燃料費の追加分を吸収することはできないこともすぐにわかる。」

これは、関西電力の原子力エネルギーへの依存度が高いからです。

Photohttp://blog.livedoor.jp/bbgmgt/archives/cat_159930...

関西電力は、半分のエネルギー源を原子力に頼っています。

事故を起こした東電は約3割というベストミックスを実現しているのに対して、依存率が高すぎる結果が、関電の今の苦境を招いてしまっています。

この構造についての批判は大いにありますが、とりあえずは置きます。

というのは、眼前の関西地方の電気料金は、安全を規制委員会によって保証された原発から動かしていく以外に、解決がありえないからです。

東日本大震災をきっかけにして、国内の原子力発電所は一斉にストップしました。これは一切の法律に基づかない、当時の管首相の「お願い」によります。

結果、2011年から延々と5年間に渡って、原発は停止状況にあるのは、ご承知の通りです。

本来は、ドイツでメルケルがやったような、半分を止めて半分を動かし、その間に安全性検査をする段階的な方法を取るべきでした。

一挙に原発と名のつくものは、一切止めるという暴挙を管氏が独善的にやった結果がこうです。

Photo_2http://www.asahi.com/topics/word/%E7%87%83%E6%96%9...


原子力依存が関西電力のよりはるかに低い、東電ですらこうです。

Photo_3http://thepage.jp/detail/20140808-00000012-wordleaf

好むと好まざるとにかかわらず、原子力発電は燃料コストが少ないことで知られていますが、原子力発電で電力を供給できなければコストの高い石油や天然ガスで電気を作るしかなく、燃料費が莫大にかかりました。

それが先程の関西電力の費用にみえる燃料費の急上昇の原因です。

その結果、:国内の電力会社の燃料費負担が大きくなり、そのため電力会社が大幅な値上げを実施することになります。

電力会社は、かつて田中規制委員長が、「安全基準のハードルは世界一高くしますから、電力会社が経済的に合かどうかはわかりませんね」と言っていた安全基準に合致させようと努力しました。

巨額の安全対策をした結果、ポツリポツリと再稼働が可能になったわけですが、実はそれを楽観的に見越して、電力会社は現在の電気料金を設定してしまいました。

北海道電力は値上げ申請をしましたが、これは3年以内に泊原発3基が稼働することを期待しての料金設定です。

九州電力も同様に、川内原発などの計4基の再稼働を見越した料金設定にしています。

関西電力もまったく同じで、2013年5月に料金を値上げした際に、大飯原発など計4基の再稼働を見越した料金設定にしたと明言しています。

つまり電力各社は、かねてから「3年以内に原発が動く見通しに立って、新たな料金体系を作ったので、再稼働できなければ無理です」と言っていたわけです。

このように見てくると、大津訴訟のような仮処分が各地で連発すれば、電力会社は大震災前の電力料金に戻すことは、永久に不可能になってしまいます。

二度とこのような「法の名の下の無法」をさせないために、賠償請求をあらかじめ起こすことは、思いつき的な乱訴をさせないための重要な手段なのです。

仮処分訴訟は、一般的なデモ集会とは異なった、相手方に物理的損害を与えることを目的とした法を使った一種の「実力闘争」である以上、電力会社が防衛措置を講ずるのはあたりまえです。

判決を聞いた関経連の角副会長は、「今後このようなことができないような法改正を望む」と言っていますが、今の安倍政権はこと原子力政策にはポピュリズムを決め込んでいますから、時間がかかるでしょう。

それまでに電力会社が、電気事業法に定められた安定供給の義務を果たすためには、とりあえず賠償金の担保などのような対処療法しか方法はないのです。

原告団のみなさん、そこまでしてやりたいのなら、自分の全財産だけじゃなく、親兄弟の家屋敷や田畑まで全部担保に入れる覚悟でやりなはれ。

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コメント

考えてみれば東京電力以外の電力各社とその管轄の市民にしてみれば夏場や冬場の電力制限や電気料金の値上げは原発が稼働していれば「発生すらしない物」ですよね。
「痛みを分かち合える」日本人の大半はその苦痛を当たり前だと感じて居るでしょうが、電気料金が上がった事で「電気料金が払えなくなって生活が出来なくなって亡くなる」ケース等もあります。そういった物も今後訴訟の対象になって行かないとも限らないですね。

投稿: 種子 | 2016年3月21日 (月) 07時31分

私も仮処分が取り消された場合、これまでの民事の裁判でそうであったように、仮処分でもたらされた損害は賠償の対象になるでしょう。また、当然ですが仮処分の受益者が通常原告になりますから、反原発の原告がこれを償うべきと思います。

ただ気になる点がいくつかあります。原告は原発に否定的な世論を背景に、日本の”安全”のために代表して原発を止めた、ことになっています。そして原発は「一切の核と共存できない」という、絶対悪の存在まで昇華してしまった部分も、現在の日本にあるように感じます。絶対悪とは、存在そのものが悪であり議論の余地がありません。

福島原発事故での風評被害は深刻です。しかしその風評の多くは、様々な不安を煽った反原発の人達が発信源です。自分達で不安を煽る発信をし、風評被害が出たとして損害賠償を求める、という自作自演(マッチポンプ)のように、私には見えます。
しかし現実は、大元の原因は原発事故を起こした東電であり、それを推進した国でしょう、との論理で、ひたすら不安を煽った人達はおとがめなしとなっています。

あの「美味しんぼ」の鼻血騒動でもそうでした。まさに放射線とは無関係の鼻血であることが明白にも関わらず、「異論を封じるな」とこれらのデマに免罪符を与えたのが朝日新聞でした。

震災ガレキの広域処理で、私の住む九州でも反原発の人達がカナキリ声を上げ騒いでいました。なんとあの助け合い組織あるはずの生協の姿には驚きました。政治的な動機で騒いでいる左翼もいましたが、一方でほとんど精神疾患ではないか、と思える顔をした人達も一緒に騒いでいました。そしてこれらの妨害を振り切りガレキを受けいれたのは九州では北九州市だけ、あとは総崩れとなったのです。

こと原発の話になると、論ではなく、情の部分が前面に出てくるという、まるで日本中が精神的な病に犯されたままのようにも感じるのです。この病に対する処方箋ははたしてあるのでしょうか?

投稿: 九州M | 2016年3月21日 (月) 15時22分

キチガイは、人類の一角を占めるものなのか?

ヘンな宗教をはじめ、悪霊お祓い、誰でも儲かると
いう投資話、全員が幸福になれる政治体制、永久に
借金できる財政、クリーンで安全で安い電力・・・
と、イロイロ。彼等の興味は尽きません。

キチガイと書きましたが、少し昔の子供アニメでは
「キチガイ」を連呼しています。ピーピーピーと鳴
るので、そのアニメの予備知識があると、よく判る
ようになっています。

キチガイには「あんたはキチガイだよ」と言ってやる
のが本当の親切なのですが、今日ではお利口ちゃんが
巾を利かせているので、法的にもダメなようなのです。
これがキチガイ増殖のカンタンな理由です。ジンケン
は、全てのキチガイにも適用されているのです。

ホンモノの精神疾患でない健常者が世迷い事をオウム
のように繰り返したら、「あんた、キチガイだよ」と
言うのは、個人の自由の一つです。ヘイト発言ではない、
愛のコトバだと思う。

それなりの人格者は、欠点をハッキリ言ってもらった
方が喜ぶものです。的確なコトバで悪いところを指摘
してあげましょう。

投稿: アホンダラ1号 | 2016年3月21日 (月) 23時06分

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