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2016年4月 7日 (木)

福岡高裁宮崎支部判決 政府は原子力規制のルールを確立しろ

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川内原発の仮処分についての福岡高裁宮崎支部の判決がでました。

「九州電力川内(せんだい)原発の運転を容認した6日の福岡高裁宮崎支部(西川知一郎裁判長)決定は、原発運転に伴う事故の可能性について、社会では「ゼロリスク」を求めていないと認定し、関西電力高浜原発3、4号機の運転差し止めを命じた大津地裁決定(今年3月)などとは異なる判断を出した。
 東京電力福島第1原発事故以降、各地の裁判所であった原発の運転差し止めを巡る判決や決定は今回で9件目。うち3件は運転停止を認める内容で、司法サイドの判断は揺れている。」(毎日新聞4月6日)

いちおう、ドミノ倒し的に大津地裁現象が進むことは、止まったわけです。 

Photo(西日本新聞4月6日より引用 川内原発の運転差し止めが認められず、「不当決定」などと書かれた垂れ幕を掲げる住民側弁護士ら=6日午前10時34分、宮崎市の福岡高裁宮崎支部前)

いままで出た3本の判決を比較します。毎日新聞4月6日が、便利な一覧を作ってくれたので引用させていただきます。

Photo_2毎日新聞4月6日より参考のため引用。ありがとうございました。

注目すべきは、再稼働を容認したかしないか、ではありません。 

ここに論点を絞ること自体が間違いだと、かねてから私は主張してきました。 

あくまでも司法は、「判断をする権限を持たない」のであって、その結果は別次元のことにすぎません。 

なぜなら、福島事故以前と以後における原子力行政が明確に異なるのは、原子力規制委員会が誕生したことです。 

これは委員長の任命権こそ政府にあれ、その指揮下にはない完全に独立した政府機関です。 

つまり政治には左右されない、さらには田中委員長が常日頃いうように「経済性は配慮しない」機関です。

「経済は考慮しない」というのは、いくらなんでも無理筋で、これではリスクの大きさと社会的ベネフィット(利益)を天秤にかけるリスク評価ができなくなります。

規制委員会の委員には中西準子先生(産総研フェロー)のようなリスク評価の専門家がいないので、どうしてもこういう極端な方向に行ってしまいがちです。 

それはさておき、とりあえず「オレたちの判断には政治や経済にクチバシをいれさせないんだ」、という心意気のようなものは伝わってきます。 

では、一体誰がこの再稼働を決定する権限を持つのでしょうか? 

政府です。え、なんだ~と脱力される方も多いでしょうが、規制委員会が今やっているのはあくまでも、再稼働に関する「設置許可」を審査しているだけです。

言い換えれば、規制委員会は「設置許可」まではするが、再稼働そのものについての許認可は政府が判断するということです。 

「設置許可」の審査の法的根拠は、原子炉等規制法43条の3の14です。http://www.houko.com/00/01/S32/166.HTM

「発電用原子炉設置者は、発電用原子炉施設を原子力規制委員会規則で定める技術上の基準に適合するように維持しなければならない」

法律文なので分かりにくいですが、要は、すべての原子炉も常に最新の技術基準に対応しないとダメですよ、その審査は規制委員会の専管事項ですよ、と書いてあるわけです。 

これがバックフィト制度です。
バックフィット制度とは - 日本原子力文化財団 

「政府は、今回の事故の教訓を踏まえて法律を改正し、世界最高水準の規制を導入するとしています。そのひとつが「バックフィット制度」といわれるもので、発電所の電源の多重、多様化や原子炉格納容器の排気システムの改善など、最新の技術的知見を技術基準に取り入れて、すでに運転をしている原子力発電所にも、この最新基準への適合を義務づけます。最新基準を満たさない場合には、運転停止(廃炉)を命じることができるとしています。」 

これは原子力施設が老朽化したりして、新たな科学的知見にあわない場合、昔の基準には適合していても遡及して(バック)適合(フィット)させるという仕組みです。

適合していなければ規制委員会は、先の原子炉等規制法43条の3の14を根拠にして廃炉にすることも可能です。

国際的にもバックフィト制度はありますが、努力義務であって、「適合しなければ廃炉」という強い指導方針を持つのはわが国だけです。

このように司法が仮処分というサラ金が追い込みに使ったような法律を武器にして、安全基準が「不合理であるか否か」などを審理する権限自体がないのです。

もし司法にそんな権限があるなら、二重審査になってしまいます。しかも2回目の「審査」ははズブの素人の裁判官ときています(苦笑)。

百歩譲って司法が裁く余地が残されているとすれば、それは規制委員会での審査が正当になされなかった場合です。

たとえば安全基準に誰の眼にも明らかな瑕疵があるのに、それを規制委員会が故意に無視した場合などです。

現状は、何を、どのように、どこまで司法が裁けるのかのルールなどない、恣意的な「正義」が横行している状況です。

今回の福岡高裁宮崎支部の判決を、ひとつの節目にしませんか。

今後も脱原発弁護団は、際限なくすべての原発の再稼働に仮処分をぶつけるつもりのようです。
脱原発弁護団全国連絡会 - 脱原発法制定全国ネットワーク

彼らがやっているのは、法の名を借りた「実力闘争」だということは、先日、大津地裁判決の時に指摘しました。
※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/03/post-3595.html

彼らは法の下の「正義」をはき違えています。

一般的なデモ、集会という言論の自由の枠内での行動ではなく、実社会の経済をマヒさせ、多大な社会的損失を招く行為です。

こういう行動を左翼の業界用語では、「実力闘争」と呼びます。かつてのゲバ棒の代わりに、六法全書をふりかざしているだけの違いです。ちょっと言い過ぎかな(笑い)。

あくまでも「設置基準」が安全基準に則っているかどうかの合否を判断するのは規制委員会の専管事項であって、それを受けて判断するのは政府です。

規制委員会がノーと言えば再稼働は見送りになる、あるいは最悪の場合廃炉にする、これがルールです。

そして再稼働のルールを明確にすべき責任は、あげて政府にあります。

毎日新聞は「揺れる司法判断」などと書いていますが、何を言っているのか。司法が揺れようとどうしようと関係ありません。

そもそもおかど違いの司法を引っ張りだす弁護団や原告団のほうが異常なので、判断権者の規制委員会と政府がしっかりしていればいいだけです。

一部住民と過激な脱原発弁護団によって引き起こされるモグラ叩きみたいなことを、いつまで続けるつもりなのでしょうか。

さもないと、規制委員会の判断は空洞化し、その権威は失墜するでしょう。

いったんこうなってしまえば、原子力規制に対する「政治」の支配が復活することになります。

安倍政権は、こと原子力政策において腰が引けすぎています。

私は再稼働に邁進しろ、といっているのではありません。原子力規制のルールをしっかり確認しろ、と言っているだけです。

今この時期は、エネルギーの過渡期です。私は原子力自体は、やがて消滅に向かうべきエネルギーだと考えています。

残るにしても、今のような形ではないはずです。

しかし、今、完全に消滅したら社会的ダメージが大きすぎます。電気料金の高騰と高止まりは既に現実になり、日本社会を苦しめています。

30%のエネルギー源が消滅するというのが、いかに巨大か、です。

従来型の原発がふるいにかけられて、危険度が高いダメなものから順次廃炉に追い込まれていく時期です。

短期のスパンの原子力の廃絶はありえません。おおよそ50年ほどかけて、この選別と廃炉の過程は進行するでしょう。

その間に様々な代替エネルギーが登場し、試練にかけられて、あるものは消え、あるものは残って次世代の主流の一角となっていくでしょう。

その過渡期のつなぎとして、残していい原発もあれば、残してはいけない原発もあります。

それを選別するのは、ただひとり、規制委員会だけの仕事です。政府でもなく、ましてや素人同然の裁判官ではありません。

この原則を打ち立てないと、大変な社会的混乱を招きます。いや、既に招いています。

政府がしっかりしないならば、電力会社はあらかじめ損害賠償の積み立て担保を要求して自衛するしかないでしょう。

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コメント

日本語がちょいちょいおかしくて読みづらかった

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