北海道5区補選 「オール北海道」の敗北
意外にもといってはナンですが、衆院北海道5区補選で自民党が勝利しました。
NHKニュース(4月25日)です。
「与野党が全面対決する構図となった衆議院北海道5区の補欠選挙は24日に投票が行われ、自民党の新人で公明党などが推薦する和田義明氏が初めての当選を果たしました。
衆議院北海道5区の補欠選挙の開票結果です。
▽和田義明(自民・新)当選、13万5842票。
▽池田真紀(無・新)、12万3517票。
自民党の新人で公明党などが推薦する和田氏が、民進党や共産党など野党4党が推薦する無所属の池田氏を破り、初めての当選を果たしました。」
・和田義明(自民・新)当選・・・13万5842票
・池田真紀(無・新) ・・・12万3517票
・票差 1万2千325票・・・①
イケマキ女史は「1万票以上は差をつけたい」と鼻息も荒かったのですが、逆に1万票差をつけられてしまいした。
最後まで接戦といわれていましたが、 予想以上に開いたな、という感じです。
ちなみに前回の衆院選は町村氏が健在でしたが、このような結果でした。
●2014年前回衆院選北海道5区
・町村信孝(自民党) ・・・13万1千395票
・民主・勝部賢志+共産・鈴木龍次・・・12万6千498票
・票差4千896票 ・・・②●前回と今回の野党獲得票差 ・・・①-②=△7429票
前回から野党連合は7千票近く票を減らしているのがわかります。
民主党票に共産党が上乗せになるどころか、かえって票を減らしてしまっています。
しかも、不動票は7割が野党に流れたと言われ、マスコミは揃って池田氏に好意的でした。
確かに候補者として見た場合、イケマキ女史ははるかに和田氏を凌いでいました。
キャラ的には、彼女のほうが圧倒的にチャーミングだったことは否めません。
横文字の職業で、歯切れがいい美人です。選挙期間中も不遇の人生を語り続けたようで、語りかけることによる共感力をもっています。
不動票は人気投票的要素が強いので、イケマキ女史に流れたのでしょう。
一方和田氏は、三菱商事中堅幹部からの落下傘候補です。ただ嫁さんが故町村氏の娘であっただけの話で、北海道とはなんの縁も縁もない人です。
自民党道連内部でも、すっきりと町村氏の娘を立てて弔い合戦とすべきだという意見も強かったようです。
「町村票を固めないと勝負にならない」(選挙ブレーン)。古くからの支援者は「なぜ町村さんの奥さんを前に出さないのか」と首をかしげた。いまだに「町村姓に変えるべきだ」との声がある。国会議員や知事を輩出してきた「町村ブランド」の重みだった。」
(北海道新聞4月3日)http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160403-00010000-doshin-pol
この県連の弔い合戦方針を拒否して、和田氏は中央エリートにありがちな自信からか、「町村色を消す」とまで主張していたようです。
正直、馬鹿かこいつ、と思います。腕まくりして「北海道を売る」だって?やめてくれよって感じです。
私が5区の有権者だったらカチンときて、思わずイケマキに入れちゃいますね(笑)。
和田氏は地方を知らなさすぎます。ここは東京ではないのです。
しかも北海道は、古くは社会党時代から連綿と続く、道教組、自治労という巨大選挙マシーンがあり、その遺産相続に預かった民主党(現民進党)の金城湯池とまで呼ばれていました。
また地元紙も、「南の沖タイ・琉新、北の道新」とよばれるくらい、左翼偏差値70の地元紙が大きな力を持っている地域です。
自民党が政権奪還した、2014年の衆院選比例代表の北海道ブロックの党派別得票率を見てみます。
・自民党得票率・・・29・79%
・民主党得票率・・・27・56%。
・ポイント差 ・・・2ポイント・全国比例における自民党得票率・・・33・11%
・民主 ・・・18・33%
・ポイント差 ・・・14ポイント超
これを見ると、イケマキ女史が強気なのもよく分かります。
沖縄と北海道という北と南の両端においては、大変によく似た政治構造があるようです。
池田候補応援サイトから引用http://xn--nyqy26a13k.jp/archives/16026
それはさておき、私は今回の補選の争点は三つだと思っていました。
ひとつは上の写真にあるような、民主・共産の政治同盟を中軸にして社民・生活などで作る「オール北海道」勢力が、国政選挙でホンモノになるかどうかの試金石でした。
共産党の抱きつき戦術にハムレットよろしく迷っていた岡田氏は、結局、目をつぶって清水の舞台から飛び下りてしまったようで、下の写真のような選挙ポスターまで作っていました。
共産党トヨタ自動車委員会サイトより引用http://toyotaroudousya.blog135.fc2.com/blog-entry-2111.html
う~、不気味だ。これを作った人の顔を見たい。
私は、こういうまったく同じポスターで党名だけ違うというものを初めて見ました。
こうして実際に見ると、これを不気味だと思わない政党の感性が、どこか激しくズレている気がします。
議会制民主主義の基礎は政党です。政党は政策集団でなければ、本来意味がありません。
その綱領の基本は、国民の生命・財産を守る安全保障と、国民と企業を直撃する「税」のあり方でなければなりません。
それが、民主と共産は水と油ほどにも違うのです。
違って当然。いちおう「ソフトな保守党」が売り物の民主が、革命党と一緒だったら困ります。
百歩譲って、もし、この補選が自治体選挙なら目をつぶってもいいでしょう。
ローカルなテーマで、保革が手を結ぶことはありえるからです。
しかし、北海道5区補選はれっきとした国政選挙です。
単なる政局で、それを棚上げにして、こんなグロテスクなポスターを作るくらいなら初めから「民主共産党」としてひとつの党に合流してしまえばよかったのです。
そこで徹底した綱領のすり合わせをしてから、国民の信を問うべきでした。
「市民がつながれば政治は変えられる」と言いますが、なにをいいたいのやら。要は、「ファシスト安倍を倒せ」ということでしょうか、それは政策ですか?
岡田さんに忠告しますが、シールズたちの支援を補選に要請したこと自体が間違いです。
彼らが何か時代のヒーローだと勘違いしているようですが、もはやそんな神通力はありません。
シールズがただの共産党別動隊であることは、国民の相当数が知ってしまっていました。ただ、マスコミが見て見ぬふりをしているだけです。
下の写真は大阪市長選時の最終日のものです。
自民府連推薦の柳本候補の回りには、シールズが取り囲み、テレビの映像を独占していました。
これがどんな政治的効果をもたらしたのかは、柳本候補の惨敗ぶりをみればわかるはずです。市民はドン引きしました。
シールズは今回もまた、30万回電話大作戦をしたあげく、かえって反発を招いたようです。
同じ宣伝カーに民主党大幹部と共産党小池副委員長が乗るという風景に、小池氏は感動のあまり、こうツィートしています。
「札幌野党共同街宣。私は「これは事件だ。前原さんと私が一緒の街宣車に乗っている。立憲主義を否定する安倍政治を倒さなければならないからだ」 前原誠司さんは「共産党の方と一緒に演説するのは初めてだ。独裁政治を倒すためには、野党が力をあわせるのは当たり前ではないか」 池田まきさん勝利へ!」https://mobile.twitter.com/koike_akira/status/723736448352944128?ref_src=twsrc%5Etfw
そりゃあ共産党にとっては、民主保守派の前原氏と、宣伝カーで握手したのですから、感激もひとしおでしょう。
しかしそれは、ただの「共産党の利益」であって、民主はこれによってはかりしれない打撃をこうむったことに、すぐに気がつくはずです。
一説、1選挙区3万票を共産党との選挙協力で上積みできても、それに倍する保守票を彼らは逃がしたはずだからです。
さてこの北海道5区補選の原型はいうまでもなく、翁長知事を生み出した「オール沖縄」です。
日本共産党赤嶺候補サイトより引用
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-12-11/2014121101_01_1.html
この共産党と保守寝返り組連合によって、実質的に県政を支配下におくことができた共産党は、続く第2弾を、反橋下でまとめ上げた「オール大阪」市長選にぶつけます。
これが当時の「オール大阪」の配布したチラシです。
上のチラシは党名が記されていませんが、共産党の公式チラシです。
ここでも共産党は[全野党共闘+保守の一部]という構図を実現させています。
※関連記事 http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/11/post-f389.html
大阪の場合、橋下氏という「共通の敵」を設定することで、保守の一部まで切り崩して「国民連合政権」構想のひな型を作り出したわけです。
そしてこの政治連合を、初めて国政に応用したのが、去年の「戦争法案反対」運動でした。
ここで「共通の敵」に指名されたのは、もちろん安倍氏です。
上の写真は去年8月30日に撮られたものですが、ひときわ志位さんの高揚した顔が印象的です。
この「戦争法案反対」運動で、共産党は「全野党共闘」の主導権を握れると確信したはずです。
続いて 「戦争法案反対」と同時期に行われた岩手県知事選挙おいては、この勢いを借りて安保以外で全野党党首が共同記者会見する「歴史的快挙」をなし遂げています。
このような流れを背景に争われたのが、この北海道5区の補選でした。
さて、北海道補選のもうひとつの争点は、消費増税問題でした。
実は、民主党と共産党の「幸せな結婚」には大きな障害がありました。
それは、消費増税についてまったく意見が違うとこです。
民主党は、本質的に財政規律派です。一貫して3党合意遵守・増税推進、緊縮財政派であって、共産の増税反対・緊縮財政路線とは水と油です。.
また、民主党は組織基盤が連合ですが、共産党は全労連です。
この両労働組織が、地域や職場で犬猿の仲なのは有名ですし、共産党がこの民・共合作に乗じて、連合系労組に浸透したいという思惑は当然あるでしょう。
しかし今回の敗北で、連合は今まで以上に民主党が共産と手組むことに対して強く反対を主張するはずです。
「税」については詳述したいので、別稿に譲ります。
そして元来、日米安保を前提としているはずの民主党が、日米同盟否定派の共産党と、「結婚」できたのは、「戦争法案反対」という接着剤があったからです。
こうしてみてくると、共産党の一世一代の戦略であった「国民連合政府構想」=「オール○○」路線は、国政に登場するやいなやいきなり黄色信号が明滅したといえます。
次の焦点は、そう、オリジナル「オール○○」を作り出した沖縄県議選です。
これについても、長くなりましたので、次回にまわします。
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私は選挙戦当初、池田氏が僅差でも無難な勝利を収めると思っていました。
なので、この結果はうれしい誤算でした。
何かと影のうすい和田氏も頑張った。
>イケマキ女史は「1万票以上は差をつけたい」と鼻息も荒かった。
これは池田氏の根拠ある実直な感想だったと思います。
選挙戦を顧みると、左派系のマスコミや支援労組など各種革新関連団体などのうち、ラジカルな部分は戦略として遠巻きの支援に徹していました。
この選挙の重要性を知ればこそ、の極左隠しのいつもの戦術です。
しかし、その戦術は何時もよりさらに徹底していて、前例がないほど池田候補を大事にしている感がありました。
風向きが変わったのは、新党大地の民主党からの離反も大きかったのではないかと思います。
私は、この離反の原因をロシア関係に太いパイプを持つ鈴木氏ゆえ、最近の安倍総理の対ロ関係重視の姿勢に関係があるのかなと見ていましたが、うがちすぎだったかも知れません。
ここは素直に「誰と組もうと共産党とだけは組めない」とする鈴木氏の信念と良識に基づくものと考えたい。
そしてその認識は政府答弁書を見るまでもなく、まったくもって正しいものです。
多くのマスコミ人やリベラルな方たちは、「共産党は、六全協(第6回全国協議会)の決議において、それまでの極左冒険主義を誤りとし、はっきり暴力革命とは手を切った」と評価しているようですが、こんな馬鹿な見解は論外です。
六全協前後の公式な発出文書や綱領などを丹念に読み込むだけでも、そうした評価の誤謬は明確です。
だいいち、暴力を明確に排除することが出来ない事情が共産党には多々あるのです。
それを排除すれば、唯一の革命政党としての共産党のレーゾンデートル(存在理由)がなくなってしまう。
たとえば共産党が議会で多数を取った場合でも、政体変更にはまだ多数の困難があり、そのフリクションに対処するには、そうした保守反動への「暴力による対処」は必要不可欠なのです。
民主主義的方法では、共産主義社会への移行は実現しません。
共産主義への政体の革命的変更から安定に至るまでのリアリティのある道筋を明確に示す事こそが、共産党の核心部分をささえている現状は今も昔も変わりません。
問題は、政会でのキャリアも長い岡田克也などは、当然こうした共産党の危険性は十分認識しているはずなのに、かつ連合ですらも共産党を警戒する中でこのような連携をする、全く信じられない堕落です。
余談ですが、シールズってのは面白い団体ですね。
ついた方が必ず負ける。
わたしはいつも、シールズを思うとき何故か「子泣きじじい」を連想してしまう。(笑)
もはや、「敗戦のメルクマール」と言ってもいいくらいのもので、非常に幼く愉快でかわいらしい存在だと思います。
激動するこの世の中で彼らだけが浮世離れ、あえて自分たちと世界の間を隔離し、そうした立場を固守する特権を得ている、とカン違いできる自信は大したものです。
彼らは良くネットでは、「お馬鹿さん」で「アホだ」との非難を浴びているようですが、(まぁ、それはそのとおりでしょうが)安倍政権への罵倒や掛け声を除くと、その主張のほとんどは反証可能性のない抽象的なものなんですね。
しかしこれは意図してそうしているのですよ。
要するにハナから議論をさけている、議論に耐えられない自分たちをあらかじめ議論そのものから守っているんですね。
実はそこに新しさがあるし、ある意味クレバーなんじゃないでしょうか。
って言いますか、狡猾な幼児退行的現象でしょうね。(笑)
共産党は決して弱者の味方ではなく、何時の時代でもそうですが、無知で浅はかで怠惰な人間(これが共産党の弱者の定義です)が大好きです。
彼らは党にとって「路傍のわらじ」で、いつでも交換可能な必需品なのです。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2016年4月25日 (月) 10時03分
すぐ近所に、あの顔パンパンのヘンテコリン髪した大王
が住んでいて、彼のDQN行動が近隣モンダイを起こして
います。
又、ヤクザの親方そのものの強面をした皇帝が、近隣で
越境モンダイをおこすわ、DVで彼の家族達が何も言えな
いように支配するわで、ゴミ屋敷の中で威張っています。
こんな町内で、上記の両家親戚筋である志位一家がハナ
摘み者扱いされるのはガチです。いくら「俺ん家は違う!」
と言ったって、真性バカじゃない限り引っ掛からない。
小学校中退者でも理解する。信用しない、投票しない。
その真性バカだけど、溺れてワラにもスガるにしても、
その正体がホオジロザメの共産党に抱きつくなんて、
次の選挙では文字通り喰われて、消滅すると思う。
誕生の折から、保守・革新の両方を内蔵するハイブリッド
政党のジミン。いつまでも日本には、本格野党は生まれ
ないなぁ。個人的には、ムラ政治より街政治にしたいのに、
ウダウダが続くとすると悲しい。
投稿: アホンダラ1号 | 2016年4月25日 (月) 17時19分
自分は自民党は好きではないのですが、今回の選挙結果で政権交代が起こる可能性は当分ないと思いました。
足立議員ではありませんがはっきり言って野党や反安倍陣営には「アホすぎる!! ふざけるなよお前ら!!」と言ってやりたくなりますね。
脱原発の名のもとに、放射能デマをまき散らし脱原発の足を引っ張り、被災地復興の名のもとに、復興の足かせをし、平和の名のもとに、根拠のない都市伝説まがいのデマで皇室を批判潰そうとし、挙句の果てに、沖縄をたきつけて独立させようとする。
正直こんな奴らが政権獲るくらいなら日本が滅んだ方がましだと有権者は思い始めてるんじゃないでしょうか?
投稿: umigarsu | 2016年4月25日 (月) 22時57分
私は自民党支持者ですが、今回の野党共闘の図式にはどん引きです。共産党と組む事だけは絶対にいけません。自民党に勝つために手を出してはいけません。民進党の復活のために汚してはなんにもなりません。民進党指導層と共産党幹部が同じになるなど日本の悪夢だと思います。これからどうするのですか?そんな選択肢ならば自民党が長期政権もやむなし。民主サポーターも含め 日本にとり何が正しい道なのか 考え直すべきだと思います。
投稿: 自民党支持者ですが | 2016年4月27日 (水) 11時43分
少し面白いと思ったのは、
民共寄りのブログは
「長らく町村ブランドを築いてきた地盤で、千歳・恵庭と自衛隊も多く何方かというと保守層が多い選挙区で、この結果は大健闘だ」「札幌市厚別区、江別市、北広島市、石狩市では池田氏が勝っている。決して希望が無い訳ではない」
といった論調で、
逆に自民寄りのブログは、
「北海道新聞が圧倒的なシェアを誇り、昔から革新勢力が強く、保守系にとって決して盤石な選挙区では無い、ハトぽっぽも輩出する土地柄で、この結果は意外だ」「前回の選挙から差が縮まるどころか逆に増えている。」
といった論調で、
見事に評価が分かれていました。
選挙戦の同じ判断材料で、
自民寄りの人は民共が当選と予想し、民共寄りの人は自民が大差で当選と予想してたってことですかね。
投稿: 三毛猫 | 2016年4月28日 (木) 12時15分