データで見る米軍関係者の犯罪年譜
沖縄県における「米兵犯罪」の実態を、データで見てみましょう。
1960年から現在に至る、米軍関係者の刑法犯の検挙者の年譜を見ます。
米軍関係者とは、軍人、軍属、その家族のすべてを含みます。ちなみに、シンザトもこの範疇に属します。
1960年代はベトナム戦争の時代でした。米軍はこの戦争によって、軍規(モラル)の壊滅的崩壊を引き起こします。
米国のベトナムの本格介入は1965年頃からですが、沖縄はその後方基地として多くの米兵が駐留したり、戦場からの休暇で滞在していました。
彼らはすさんだ戦場の空気を、そのまま沖縄に持ち込みます。
1960年から1970年までの米軍関係者犯罪・事故の年譜を見てみましょう。
年譜はすべてクリックすると大きくなります。
追記※資料ソースは沖縄県史、宜野湾市史、読谷村史などの自治体史、沖縄タイムス、琉球新報等により作成。篠原章氏『報道されない沖縄基地問題の真実』によりました。以下年譜は同じです。
年表の中央の1966年から70年にかけては、米兵による女性殺人事件だけでなんと8件もあります。
この多くは米兵相手のAサインバーのホステスが中心でしたが、70年にはとうとう女子高校生の刺傷事件までもが起きています。
http://www.city.okinawa.okinawa.jp/kouhou/H22/12/2...
この憤激から70年12月にはコザ(現沖縄市)で、反米暴動が起きています。
続いて1970年から1983年までです。
この凶悪な米兵犯罪は、ベトナム戦争末期に差しかかっていっそうひどくなっていきます。
71年など、女性殺害事件が2件、さらに宜野湾市では12歳の少女が暴行を受けています。
http://duckdan.jugem.jp/?eid=12
71年から復帰の75年までに、殺害事件だけで8件、暴行事件だけで4件です。
続いて1984年から2015年です。
殺人事件が3件、女性暴行事件が5件です。このうち特に県民を憤激させたのは、1995年9月に起きた3名の米兵による小学生に対するレイプでした。
http://webronza.asahi.com/politics/articles/201510...
上の写真はこの少女暴行事件に対しての抗議集会です。私も住んでいたら参加したことでしょう。
以上の米軍関係者刑事事件検挙者数を、年代ごとに分けてみます。
・70年代の平均検挙者数・・・約300人
・80年代 ・・・約200人
・90年代 ・・・約60人
・2000年~2010年 ・・・75人
・2010年~2015年 ・・・47人
これをグラフにしてみます。
この推移を見ると、米軍犯罪と時代の相関関係が分かります。
長くなりましたので、分析は次回に回します。
■タイトルから「生」をはずしました。(26日午前3時)
■謝辞 資料は篠原章氏『報道されない沖縄基地問題の真実』にお世話になりました。感謝いたします。
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米軍事故・事件においての日米両政府の賠償負担割合は、公務上では米軍側75%、日本側が25%の負担となります。
また、公務外の事件・事故においての賠償負担割合については、前にうろ覚えで、米側7割、日本側3割だと申しましたが、正しくは、加害者本人が全額賠償するべきというのが正解のようです。すみません、訂正します。
今般のシンザトの身分を軍属としたのは、米側が、加害者本人による賠償金の支払いが出来なくなると大きな社会問題にも発展しかねないので、そのような事態を避けるためにとった措置のようですね。
後、米国政府には、加害者に対する求償権が発生することになるようです。
投稿: ueyonabaru | 2016年5月25日 (水) 16時54分
ueyonabaru さん
>今般のシンザトの身分を軍属としたのは、米側が、加害者本人による賠償金の支払いが出来なくなると大きな社会問題にも発展しかねないので、そのような事態を避けるためにとった措置のようですね。
これは興味深い事実ですね。
差し支えなかったらソースを教えていただけませんか?
投稿: 山路 敬介 | 2016年5月25日 (水) 17時14分
山路さん
私の弟が防衛局で勤務しております(私も実はOBですが10年以上前に退職しました)。弟の方へ確認をしております。
私が勤務当時は那覇防衛施設局という役所名でした。勤務していて一番気を使っていたのは、住民感情でありました。今般のシンザトのような事件は、その代表的な事案になりますよね。
私は防衛局側と米軍法務部との打ち合わせがあっただろうし、それよりも防衛省と在日米軍の調整が当然あったと思います。沖縄の事案は、即安保条約に影響するのですね。
公務外事案で困った事例は、加害者本人が被害者賠償をしないまま本国へ帰ってしまうケ-スです。これは、加害者は日本法令(刑法)に基づき処罰はされますが、損害賠償はなされないこともあるわけです。今回は、大きな政治事案であり賠償問題をオザナリには出来ないのですが、大きく社会問題として取り上げられない場合は、米側も公務外のことだという理由で、強制力で支払いを促すことがあまりなかったように記憶しております。これは大きな問題だと思っております。
地位協定はどこを改定すべきか私にはまだ分かりませんが、上記のような問題には絶対に対処すべきであり、これは県民の米軍への悪感情を生んであります。
また、金武町などで、無銭飲食、器物損壊をして基地内へ逃げ込む事例も、米軍不信を生む出すでしょうね。
投稿: ueyonabaru | 2016年5月25日 (水) 19時21分
ueyonabaru さん
そういえば以前にもueyonabaru さん、那覇の防衛局に勤務されていた経験があるとおっしゃっていましたよね。
貴重な情報をありがとうございます。
私の近所にも防衛局に勤務しているのがいまして、帰郷のさいに話を良く聞くのですが、防衛局と米軍は各部署でカウンターパートみたいなものも決まっていて、だいぶ風通しもいいみたいですね。
もともと曖昧で規定があってないような「軍属」です。
まあ、解釈次第・運用次第ですよ。
これを「軍属」として取り扱う事にした要因のひとつに、「被害者への金銭面の賠償までも考慮した配慮があった」、とは実は不思議でもなんでもないですね。
こういう報道が全くされない事が、本土の人の米軍と県民の関係の謝った理解にもつながるんでしょう。
そして、ここでいう「県民感情」の意味ですが、米軍の直接的利益ゆえも当然あるのでしょうが、私は「米軍のヒューマニズムの現われ」でもあると思いますね。
今日の記事にあるように、様々な悲惨な事件が事実あったワケです。
しかし、概ねの沖縄県民は米兵が好きですよ。
これは間違いありません。
そこを「なぜなのか」、解明しながら論じていかないと、一面的な理解になってしまう危険がありましょうね。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2016年5月25日 (水) 23時41分
>謝った理解 ×
>誤った理解 ○
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2016年5月25日 (水) 23時42分
はたして篠原センセの書いた本なんて信用できるのかな
ニンゲンって身勝手なように見えても欲望の為に法を侵すなんてことは中々できるもんではありませんからね
さて「生データ」って篠原センセの本からの抜粋した部分のことですか?
これも篠原センセが何らかの資料を元にして作成したデータだと思うんですけど、普通はその大元のことを一次資料、あるいは「生データ」と呼ぶのですよ
貴方が転載している画像群は良くて二次資料って所じゃないのかな
投稿: ほむら | 2016年5月26日 (木) 01時05分
ueyonabaruさん、山路さん。
内容は興味深いのですが、一昨日の記事ならともかく、本日の記事とはまったく関係していません。
これでは掲示板です。
なにとぞ一定のルールが存在していることを心してください。
ほむら さん。そういう色眼鏡が来ると思っていました。典型的なイチャモンつけです。
篠原氏の名を上げた時に、かならずこの手のコメントが来ると思っていたら、きました。
この記事か米軍を擁護するのが目的でないのはわかりそうなもんですが、篠原氏を「センセ」呼ばわりするということで、馬脚を現しています。
しかし、わたしもミスっています。
失礼。ソース記載を落としていました。
加筆しておきます。資料は沖縄県史、宜野湾市史などの自治体史、地元2紙をソースにしたものだけを転載しています。
通常複数のオリジナル資料を編集したものは、ソースを明らかにすれば、1次資料に準じる扱いを受けます。
ただし、純粋に学問的には違うので、「生」ははずしておきます。ただ「生」というのは印象的な表現で、別に1次資料イコールじゃないとおもいますがね。
まぁ、いいか。本質的なことじゃないと思いますが。
ちなみに地元紙の作った資料はここから見られますが、大雑把なものです。http://editor.fem.jp/blog/?p=2119
篠原氏と私はこのテーマについてやや意見が違うので、彼の分析部分は入れておりません。
画像はソースを明記してありますが、なにか。
篠原氏は沖縄左翼にたいして手厳しいですが、沖縄に愛情を持ちつつ、冷静で信用するに足る論客です。
このスタンスは私と親和性があります。
沖縄左翼の皆さんも、日本の論壇が、大江氏や鳥越氏、金平氏ばかりじゃないことを知られたほうがいいのではないでしょうか。
ただし、私は篠原氏と常に意見が同じではないので念のため。
ある人を引用すると、すぐに同質だと思うような不毛な見方はしないことです。
投稿: 管理人 | 2016年5月26日 (木) 02時34分