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2016年6月

「基地の少年」の昔語り

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HN犬の形さんからこんなコメントをもらっています。

「私は神奈川生まれで30年間神奈川県民でしたが、沖縄で仕事をして初めて本気で米軍基地が鬱陶しい~と思いました。
神奈川県大好き!ですが、やはり郷土愛と現実の迷惑度は分けて考えた方が公平かと思います。
現実を知らないで意見を仰っている方は、一度沖縄に移住されてみたらいかがでしょうか?
たぶん、私みたいに意見が変わると思います(笑)。」

HN犬の形さん。私はなんどとなく書いていますが、「基地の少年」でした。 

私は米軍基地と共に育ったのです。 

遊び場は、厚木基地のフェンスが見える空き地でした。

基地の中に通じる下水道管は、子供なら潜れて、腐食したフェンスから基地内によく忍び込んだ秘密のルートでした。

お目当ては、忍び込んだ基地の中の飛行機で、そのスクラップの中は少年の目にはまるで秘宝の山のように写りました。

MPに発見され、警備員と一緒に追いかけ回されるまで、その危ない遊びは続きました。

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フェンスの向こうはアメリカでした。

しかも、今のように衰退しておらず、自信に溢れていた60年代です。

初めてナイフとフォークで食べたハンバーグは、基地公開日の米軍将校専用レストランで食べたものでした。

壁も木材の重厚な作りで、座席は革に違いないと思ったことを覚えています。

後に、那覇の波上のジャッキーステーキハウスに行った時に、あ、これこれ、この雰囲気を高級にしたかんじと思ったものです。

フェンスの向こうには青い芝生が広がり、金髪の子供が遊んでいました。土曜日などはバーベキューなどやっているのが、柵越しによく見えました。

基地の手前までは日本人の住宅がひしめきあっているのに、柵から向こうはスケスケで芝生が広がっていて、水不足の時にもスプリングクラーが回っているのです。

ふざけた話だと思うのは高校に入った時あたりで、小学生の頃まではひたすら憧れていました。

我が家に帰れば、バーベキューどころか、丸いお膳で、仏壇の脇にあるテレビを見ながら野菜の煮つけを食っていた自分の家の風景とはえらい違いでしたからね。

なんていうのでしょうかねぇ、こういう感情は。

・・・アメリカへの少年時代の淡い憧れと、思春期になっての怒りかしら。

60を過ぎた今でも、私の中には核になる「憧れ」の部分と、その上にかぶる「怒り」、そして歳を経て得た米国が日本にいる「意味」が存在します。

それが時々に顔を出して、普段は反米6・親米4ていどですが、前回のシンザト事件の時など反米10・親米0の時すらあります。

これが今の私の中に残る、米軍基地に対する原風景です。

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1964年、私たちの街にはジェット機が墜落し、死者5人、負傷者4名を出しました。

この1964年には、実に8件の米軍機が神奈川県に墜落しています。

もはや日常茶飯事に米軍機は私たちの頭上に落ちてきていた、といってオーバーではないでしょう。
大和米軍機墜落事故 - Wikipedia

隣の市にも墜落して多くの人が犠牲になっています。

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そして、私が学生になった時に起きた墜落事故では、横浜の母子3名が亡くなり、6名が負傷しました。

私は抗議に駆けつけました。

この時期私は、隣の市にあたる相模原補給しょうで、ベトナムに向けての米軍戦車を止めようとして負傷しています。
関連記事「サガミハラの記憶」全4回
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2008/07/1_0e52.htmlhttp://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2008/07/post_bb68.html

このように神奈川県においても、11名にも登る人々が墜落事故で亡くなっています。
横浜米軍機墜落事件 - Wikipedia

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ジェット戦闘機が1年に8機も落ちて来る時代ですから、部品の落下など年中行事で、よく米兵と警察が探しに来ていました。 

小学校は二重窓でしたが、クーラーがなかった時代ですから、夏などは開けっ放しで爆音が遠慮会釈なく入って来ました。 

それはもはや音ではなく、激しい振動です。犬の形さんが「うっとおしい」などと表現していますが、正直、失笑しました。

ジェット戦闘機、しかも双発のファントムの離陸時の騒音は、音と衝撃の壁です。

夜中の離発着訓練の時は、ゴールデンタイムのテレビが度々聞こえなくなりました。

私も含めて少年はジェット機は大好きでしたが、ドリターズの番組の途中だけは勘弁してくれ、と思ったもんです。

朝も早よからジェットエンジンの調整をするので、6時くらいから家がビリビリ震えます。 

こういう言い方はいけないかも知れませんが、後に普天間に行った時には、むしろ静かだなと思ったくらいです。 

ペイデーには商売女を連れた米兵で街が溢れていました。

米兵がいる風景は日常でした。

後に沖縄に住み、コザや金武に行ったときにはノスタルジーさえかんじたほどです。

Photo_3http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/attachment/ …

当然、米兵犯罪は多発しました。沖縄と同じです。

1989年~2010年に米軍人の刑法犯検挙数は県別で沖縄が1035件で1蕃多く、次いで神奈川県の444件です。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-09-08/20 …

神奈川県の件数は沖縄県の半分以下ですが、だからと言って444件という数は軽視できる数や問題でもないと思います。

ましてや被害者やその家族としては沖縄も神奈川も関係ありません。

なお横須賀では2008年に米兵によるタクシー運転手殺害事件、2006年の少女2人への殺人未遂事件と、女性2人への傷害事件がおきています。

この2006年の事件は沖縄ではまったく知られていないようですが、1995年の少女暴行事件に似た性格です。

2005年にはとうとう強盗殺人事件で女性1名が殺害されています。

神奈川県の被害が見過ごされがちなのは、沖縄に比べ基地環境が改善されてきているからです。 

かつて神奈川県に基地は162もありましたが、現在は大幅に減って14しかありません。さらに基地面積も最大時の約半分にまで減りました。

また厚木基地周辺では、基地周辺の地主が日本政府に対して土地の買い上げを求め、日本政府も被害の重大性を認め2度に渡って土地の買い上げを行っています。

1970年までに大和市、綾瀬市の基地周辺の262戸が、集団で移転しています。

私の実家の周辺も、防衛施設庁が買い上げて、櫛の歯が抜けたようになりました。

普天間基地が「オール沖縄」の反対運動で移転を阻止された場合、基地周辺の民間所有地の買い上げをするしかないでしょう。

逆になぜ、いままで普天間基地の航空機侵入コース直下の買収がされてこなかったのか不思議なくらいです。

神奈川では40年前から、進入路直下は数㎞に渡って完全な無人地帯となっています。普天間2小など、神奈川では論外です。

騒音問題にしても厚木基地での夜間離着陸訓練などが移転し、現状は大幅に改善されています。

沖縄の場合、基地環境の改善は遅々として進んでいない印象を受けます。基地はいまだに34あり、その基地面積は神奈川県の基地面積の11倍です。

縮小計画も遅延しています。

また 駐留している部隊も米空軍をはじめとして常駐している部隊が多く、日常的に騒音に苦しめられています。

そしてなんといっても、陸上部隊の海兵隊が約1万人いるという重さでしょう。

航空基地や軍港とは、比較にならない重さだと思います。

私は沖縄の基地負担は大きすぎると常に考えています。

抽象的にではなく、自分の生きてきた歴史から素直にそう思えるのです。

大幅に軽減するべきですし、本土の自治体もできるだけの肩代わりをするべきです。 

現実に、移設問題すら、別に政府は苦しめてやろうというために始めたのではなく、普天間の街の真ん中におくのは危ないと考えたから17年間も迷走したのです。 

もちろん本土もなんどとなく俎上に上がりました。しかしどれも帯に短したすきに長しで、決まらなかったのです。 

私はなんども書いていますが、辺野古埋め立て案には反対です。

本島に残された数少ないあの美しい海を埋め立てて、あんなハンパなものを作る必要はありません。 

しかし、今回の県民大会の時の若い女性発言のように、「本土もシンザトと同じ加害者だ」とまでいわれると、そりゃなんぼなんでも言い過ぎだろうと思います。http://www.nikkansports.com/general/news/1665849.html

「沖縄が強いられ続ける重い米軍基地負担が、繰り返される事件の原因と捉える県民の怒りは高まっている。玉城さんは、安倍晋三首相と本土に住む日本国民を名指しし「今回の事件の『第二の加害者』は、あなたたちだ」と涙ながらに訴えた。」
(日刊スポーツ2016年6月19日)

同じだとは言いません。当然沖縄のほうがはるかに大変です。

それを前提にあえて言いますが、「沖縄だけではない」のです。

本土をシンザトと並べて加害者呼ばわりしないでください。本土と沖縄の分断を深めるばかりです。

問題は、いかに軽減するのか、いかに段階的にでも海兵隊を減らしていくのか、それを具体的に考えることです。 

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EUという「金の檻」

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英国がEUから離脱したら、風邪を引きそうなのでパニックになっています。

だまされたァって、あんた遅いよ。今頃になって、「EUってなに?」って検索すんじゃないよ。 

沖縄県民の皆さん、独立の住民投票に勝ってから、「独立ってこんな厳しいことだったのね」、と思わないようにしましょう。 

スコットランドが独立を射程に入れているのは、EU直接加盟という奥の手があるからなのを忘れないようにしましょう。

沖縄には経済共同体としてのEU、あるいは集団安保としてのNATOに匹敵する受け皿がない以上、こんなきな臭い地域で「独立」するということは、必然的に中国に吸収されることになっちゃいますよ。

本土と一国でいるいることのメリットは、「先住民自決派」がくさす100倍はあるんですから。

それはさておき、自分のエモーションだけを信じて動くとああなるという見本を見せてもらいました。

これで大英帝国は分解過程に突入しました。遠からずあの国は四分五裂します。 

さて、ギリシャ危機の頃を思い出して下さい。 

ギリシャも今の英国よろしく、国民投票という「危ない武器」を使って、「金?返せねぇもんは、返せねぇ。うちにはセンベイ布団しかねぇぞ」とタンカを切っていました。 

ユーロ・システムは、生ぬるい風呂みたいなもので、出ると今の英国のように風邪を引きますが、漬かっている分にはそこそこの安心感と利便性があるという生ぬるい仕組みです。

これが加盟各国にヤバイと思われだしたのは、メルケルが引き金を引いた難民問題とギリシャ危機でした。 

しかしなにぶん湯船が、「欧州永遠の理想」みたいに金ピカコーティングしてあるので、なにかスゴイ風呂桶だと世界中が錯覚していました。 

エマニュエル・トッドはこれを、「金の檻」と皮肉ぽく表現しています。 

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上の写真は、歳とった理系女子が、アテネのホストクラブに初めて行った時の写真のようですが、違います。

しかし、ツィプラス、濃ゆすぎるぞ。

できん坊を叱りに行ったメルケルさんです。 

ECは財政赤字のお湯が熱くなりすぎて、デフォールトしそうになるとなれば死なない程度の支援を与えて冷ましてやり、調子こいて放漫財政をすると緊縮財政要求でまたボンボンとお湯を沸かしてやる、という繰り返しをしています。 

こういう 風呂の火加減は、欧州中央銀行(ECB)が握っていて、各国中央銀行には、独自の金融政策をとる権限が与えられていません。 

つまり、各国中央銀行には、独自に金融緩和をすることが不可能ですから独自の景気回復政策をとることが不可能になります。 

これが、根本的なEUの欠陥のひとつです。 

ちょっとギリシャ危機を思い出してみましょう。 

ギリシャは別名「エーゲ海の与太郎」と呼ばれ(私が言っているだけですが)ていました。 

なんせ、あーた、一頃は、働かないことが美徳、公務員はアルバイトが本職、税金は払わないのがモラル、社会保障は目一杯もらうという「理想国家」を作っていました。 

ハッキリ言って愚者の天国ですが、どうしてそんな離れ業ができたかといえば、それはもちろんEUに入っていたからです。

なぜ「働かない」のに、どこから食料や工業製品が来るのでしょうか? 

もちろん、ギリシャ与太郎共和国の北方の大国・ドイツからです。

ドイツの貿易のプラスは、そのままギリシャのマイナスという、誰にでも分かる貿易の凸凹構造が成立していました。  

下図はドイツの貿易依存度を表すグラフです。 

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 図 2007年のGDPに対する貿易依存度 

ドイツは対GDP比率40%という異常に高い貿易依存度です。輸出依存症といってもいいでしょう。 

このドイツの輸出依存症のはけ口が、EU域内、特にギリシャなどの南欧諸国です。 

つまりヨーロッパでは、「ボク作る国・キミ買う国」と、きれいに二分解してしまったわけです。 

当然、「ボク、買う国」には経常赤字が積み上がっていきます。 (下図参照)

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財政赤字が年度ベースで4%程度と公表していたのが、実際には約13%もあり、累積赤字も110%超であったことが発覚しました。 

国の場合、支出が収入を超えているので、支払いは海外から借り入れるなどして資金を調達する必要があります。  

日本国債と違って紙切れに等しいギリシャ国債など誰が買うんだと思いますが、どっこいいるのですよ。 

EC各国の銀行です。 ギリシャ国債の所有者は、独仏などのEU諸国が金融機関が70%を占めています。  

なぜ買うのかといえば、ユーロという共通通貨である以上破綻は考えられないので、ギリシャ国債の高利率に目がくらんだのです。 

ユーロ離脱も取り沙汰された2012年3月には、最大38.5%にまで上昇しました。

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日本なんか自慢じゃないが、今やマイナス金利ですぜ。市中銀行が国債買うと金払うんですぜ。でも、買われていますが。

なぜ、ギリシャが輸入超過になっていても平気だったのかといえば、ギリシャ国民がEUという金の湯船に浸っていたからです。

ユーロ域内の外国が国債を買い続けてくれる限り、貿易赤字がどんなに膨らもうと「大丈
夫」という、キリギリス的カラクリがあったからです。

ギリシャはユーロ各国の銀行などから借りた金で、就業人口の6割もいる公務員の賃金を払ったり、ドイツより高いと言われる年金の55歳支給などしていたわけてす。

とほほですが、かくしてギリシャは、ヨーロッパ「最後のソ連型社会主義国家」という
称号を手にしています(私が言っているだけですが)。

とうぜん、こんなマネはEU域内でしかできません。

通常の2国間貿易では為替レートという、国際金融経済の自動調整メカニズムが
作動するからです。 

一方の国の経常収支の黒字がひたすら積み上がって行く場合、その国の通貨の価値
はどんどん上がっていきます。

つまり、日本で言えば円高です。

それは経済危機に関しても一緒で、今世界でもっとも安定している通貨とされるドルと
円が買
われて高くなるのと同じメカニズムです。

かつて、EUがない前には、ヨーロッパでもこのような健全てな為替メカニズムが働いていました。

貿易黒字が積み上がると、その国の通貨が買われて、為替が高くなりました。

かつてのマルクなどは、典型的にこういう「信用できる通貨」の筆頭でした。

するとどうなるかといえば、はい、そのとおり、マルク高になると製品価格に転化されますから、ドイツ製品は競争力を失ってしまいました。

ですから、ドイツが独自通貨を維持していた頃には、マルク高は常態化して、ドイツの悩み
の種でした。

逆の現象は、ドイツの輸出の受信装置と化していたギリシャで起きました。

ギリシャはドラクマだった時代には、貿易収支・経常収支赤字が積み上がっていくために、
通貨の価値が下がっていってき、ドラクマ安になりました。

しかし、ドラクマ安になれば輸出には有利ですから、ドラクマは国際競争力を次第に回復し
て、黒字化することも可能だったわけです。 

ところがユーロという「みんなの通貨」(共通通貨)ができてから、様相が一変しました。

通貨のレートは、ギリシャ、ドイツの区別なく、域内すべてのユーロに漬かっている国の貿易収支を加えて、鍋に入れて「みんなのユーロ・スープ」にしてしまったのです。

すると、圧倒的に貿易赤字が積み上がっている南欧与太郎諸国の奮闘努力の甲斐あって
、ユーロの為替は安く押さえられます。

これで一番得をしたのは、マルク高という慢性リウマチを抱えていたドイツでした。

メルケルが大嫌いな金融緩和と財政出動をする必要がなくなったのです。

ユーロにより、各国の自主関税という障壁がなくなりましたから、ドイツは嬉し涙にかき暮れたことでしょう。

その上、EUは域内無関税ですから、なんとドイツはユーロ安、無関税という夢のよう
な特典を得て、南欧圏、特にギリシャへの怒濤の輸出ができたというわけです。

このようなことが続けば、ドイツの周辺国家群にとって、実体経済が空洞化し、財政赤
字が
膨らみ、優秀な労働力も先進国に移動していくことになります。

これがメルケルの周辺国家窮乏化政策とも言われている、EUのひとつの顔です。

混乱の真っ只中にある英国ですが、気を確かに。悪いことばかりではありません。

ポンド安という絶好の機会に気合いを入れて、輸出攻勢をかけるべきでしょう。

あ、ウィスキーくらいしか売るもんがないか(苦笑)。

移民問題にもこの際、はっきりとカタを付けましょう。

あ、社会に定着しているからダメか。絶対子供ができた移民家族は母国に帰らないもんね。

ならば、難民のほうくらいは流入を阻止しましょう。

あ、海から必死に上がって来るから難しいか。

スコットランドが独立したら、核搭載原潜基地持っていかれますから、常任理事国からも
すべり落ちるかもしれないし・・・。

ま、世界に迷惑をかけずに次の首相にまともな反緊縮財政論者を選んで自助努力するし
かないですね。

※写真 いまが旬のブルーべりーです。

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シンザト事件についての素朴な疑問

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やはり気にかかって仕方がありません。シンザト事件のことです。
 

正直、気が重いのですが、ここで整理しておかないと、シンザト事件が流れの中で消えていってしまいそうな気がします。 

不可解なことだらけの事件です。 

まず時系列で追います。

・4月28日、午後8時すぎ、交際相手の男性に「ウオーキングしてくる」とスマートフォンでメッセージを送った後、行方不明
・5月19日午後3時、重要参考人で、シンザト・ケネフ・フランクリン容疑者を死体遺棄で逮捕
・同日、シンザトの供述で、遺体を女性の自宅付近から車で約40分の恩納村の雑木林で発見・
・5月10日前後から容疑者自宅付近で張り込み。容疑者、自殺未遂2回
・5月20日、那覇地検に死体遺棄容器で送検

今回の事件の特徴は、島のみならず国を揺るがす大事件にかかわらず、情報が極端に少ないことです。

県警の発表は、極端に制限されています。

また、徹底的な取材態勢を敷いていなければおかしい地元紙も、「全基地撤去」に夢中で、事件そのものの取材をしているのかさえ疑問なほど情報を出しません。

では素朴な疑問を上げていきましょう。

PhotoGoogle Earth クリックすると大きくなります。

[●疑問その1]死因はなんだったのだろうか? 

死因が特定できていないということが、この事件の最大の疑問点です。

遺体は痛ましいことに腐乱して白骨化していたそうです。

彼女の悲惨な運命を思うと、再び怒りが込み上げてきます。

遺体損壊が激しかったためか、死因が特定できていません。容疑者はナイフで刺殺したと供述しているにもかかわらず、刺殺と断定できていないのです。

「骨には刃物によるとみられる傷が数カ所確認された。」(産経5月24日)

また、通常のレイプ事件で必ず検査されるシンザトの体液や毛髪、体毛、皮膚の断片などのDNA鑑定が出たという発表もありません。

つまり、この忌まわしい事件は、容疑者の供述だけで、決定的物証がゴッソリ欠落しているのです。

ただし、誤解してほしくありませんが、こう書いたからといって、シンザトが真犯人であることは99.99%間違いありません。

供述と状況証拠のすべてが、彼を指し示しているからです。

「だが、那覇地検に送検された20日から、取り調べに黙秘するようになったという。スーツケースと凶器の刃物については黙秘の前に「捨てた」と供述したが、見つかっていない。女性のスマートフォンや自宅の鍵も見つかっておらず、県警は女性が襲われたとみられる自宅周辺などで調べを進めている。」(朝日5月23日)

このように凶器が見つからない、鍵が見つからない、被害者のスマホが見つからない、シンザトのDNAが出てこない、とないない尽くしです。

特に容疑者と被害者の携帯が見つかれば、きわめて重要な証拠となりますが、見つかったという話はききません。

容疑者がふたつとも投棄してしまったのでしょうか。

そのために、県警は当初死体遺棄容疑から殺人容疑(※)に切り換えられずにいました。
※強姦殺人で立件しました。

[●疑問その2]なぜ、シンザトはスーツケースを用意していたのか?

これもこの事件の大きな謎のひとつです。

「シンザト容疑者は、「狙う女性を2~3時間探し、見つけた女性を背後から棒で殴って襲った」「強姦(ごうかん)し、刃物で刺して殺した」とも供述。遺棄の方法については、遺体をスーツケースに入れて乗用車で運び、雑木林に置く際にケースから出した、などと具体的に説明したという。」(朝日5月23日)

「捜査関係者によると、シンザト容疑者は、女性をわいせつ目的で狙い、乱暴した上、刃物で刺すなどして殺害し、遺体はスーツケースに入れて車で運んだ、と経緯を説明している。沖縄県警はあらかじめスーツケースを準備して計画的に犯行に及んだ可能性もあるとみて調べている。」(産経5月24日)

非常に不自然です。スーツケースは死体を移動するために使うつもりだったと供述していますから、ならば初めから計画的な殺害目的だったと考えられます。

「シンザト容疑者は、「狙う女性を2~3時間探し、見つけた女性を背後から棒で殴って襲った」「強姦(ごうかん)し、刃物で刺して殺した」とも供述。」(朝日同上)

県警はシンザトが、「わいせつ目的で誰でもよかった。偶然に被害者と出会って殺した」と供述していると発表しています。

偶然であった女性を、計画的に死体遺棄のためのスーツケースまで用意して襲うものでしょうか。

ないとはいいませんが、そうとうにありえません。

不自然です。レイプと殺人は、必ずしも同じ次元のものではないからです。

レイプ犯はわいせつ目的なはずで、殺してしまえば大変な罪になることは分かりきっています。

ですから性的快楽を求めるタイプは、むしろ殺害を忌避します。

騒がれて殺した例はありますが、今回はそうではなく計画的な犯行です。

警察の捜査の強度も、レイプと強姦致死ではまったく捜査の厳しさがちがうからです。

レイプ目的といいながら、スーツケースまで周到に準備するという容疑者の犯行は矛盾しているのです。

これは容疑者が計画的に被害者を殺害することが、最大の目的だったことを示唆しています。

ただし、強姦して殺すことに快楽を覚えるタイプだとすれば、その限りではなくなります。

そのような極度の性的異常者は、米国でも稀に現れるからです。

極度の性的異常者であることを断定するためには、容疑者の精神鑑定が必要です。

もしそれが証明されない場合、容疑者の目的は殺害自体にあったことになります。

つまり被害者を殺害する目的だったから、スーツケースを用意したのです。この可能性もゼロではありません。 

[疑問その3]なぜ容疑者は供述を開始してから、黙秘に切り換えたのか? 

「県警の調べに容疑者は「事件後、スーツケースを捨てた」と供述したが、その後、黙秘しているという。」(同上)

これも引っかかります。順番が逆なのです。

黙秘していて、取り調べに負けて供述するのであって、供述してゲロった容疑者が、一転して黙秘になるというのはなぜでしょう。

常識的に見て、こういう場合は容疑者が取り調べ方法などに抵抗している場合しか思いつきません。

ならば、何に対して容疑者は「抵抗」しているのでしょうか?なお、念のために申し上げますが、

私は「男女関係のもつれ」などということを言っているのではありません。大変に不自然な点が多いということを指摘しているにすぎないことを付記しておきます。

■[シンザト・ケネフ・フランクリン]

 

Kennethshinzato名前: シンザト・ケネフ・フランクリン (Kenneth Franklin Shinzato)
国籍: 米国
居住地(住所): 沖縄県島尻郡与那原町与那原
家族: 日本人妻、2~3ヶ月の子ども(男の子と思われる)
仕事: 米軍・嘉手納基地の業務にあたる会社の契約社員
    元米海兵隊員(2007年~2014年)
・2007年7月~2009年9月 沖縄キャンプ・ハンセン第12海兵連隊第3大隊管理業務
・2009年9月~2011年9月 沖縄牧港補給地区管理業務
・2011年9月~2014年9月 米国ワシントンDCマリーンバラク管理業務
言語: 英語(母国語)、日本語(初歩レベル)

 

■被害者のプライバシーに関わること、あるいは被害者の名誉をきずつける類のコメントは無条件削除します。

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復帰しました!

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も、戻った!ばんざーい!

ニフティがダウンしておりました。ば、バカヤロー。日本で有数に古い大手なのに。
http://info.cocolog-nifty.com/info/

あさ2時から、記事を書く画面に入れずに、泣きながら3時間、「どうしたもんじゃろうのぉ」と常子のようなことを言っていじり回しておりました。

さすがもう今日は、書く元気はございません。

明日のお越しをお待ちしています。

ああ、日常はいいものだのう(しみじみ)。

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一票で二度おいしいから、比例区は比例区候補者名を

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今日はお休みなんですが、こういう時じゃないと書けないテーマをひとつ。

参院選挙は、メチャクチャに分かりにくい選挙方式をとっています。

というのは、投票用紙が2枚あるんですよ、これが。

●選挙区・・・候補者名
●比例区・・・候補者名or政党名

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選挙区は選挙区ででている支持政党の候補者名を書けばいいのですが、問題は、比例区です。政党名でも候補者名のどちらでもいいんです。

分かりにくいのは、「政党名でも候補者名でもどちらでもいい」と決まりです。

2枚目にAという政党名を書くと、もちろんそれはそれでA政党の得票になるのですが、もしあなたに比例区にこの人をこそ出したい、と思う候補者がいれば、ぜひその推したい候補者を書いて下さい

私がこの2枚目は候補者名をと思うのは、仮にその人が落選しても、その人の所属する政党の票になるというセーフティネットが張られているからです。

ね、ちょっとスゴイでしょう。

仮にBさんという人を当選させたいと思って入れて、受かれば万歳。落選しても、その人の所属する政党の得票にカウントされますから無駄になりません。

候補者名を書くことで、その候補者と政党を二重に応援できることになります。

この特典を使わない手はありません。

大変に分かりにくい制度で、衆院選のように比例順位もありませんから、名前を書かないとお目当ての候補者が全国区にいた場合、票にはなりません。

分かりにくい制度つくんじゃねぇよ、と思いますが、仕方がない。

ただし、考えようによっては、その人が落ちても政党で救われますから、一粒で二度おいしいってわけです。

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候補者名は各政党サイトで調べて下さい。

自民党
・選挙区
https://special.jimin.jp/candidate/
・全国区https://special.jimin.jp/candidate/proportion.html
公明党https://www.komei.or.jp/news/detail/20141202_15645
民進党https://www.minshin.or.jp/candidates/house/%E5%8F%82%E8%AD%B0%E9%99%A2/in-the-list
共産党http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-08-18/2009081804_03_0.html

ただし、ここで大事なことは、はっきりと候補者名を書くことです。

たとえば加藤清正という候補者に応援したいと思ってその名を書いたとします。

あらかじめ政党の候補者リストで使われている字で書くのが無難です。

「かとう清正」で登録されていたら、それを優先してください。

「加藤清正」ならばたぶんOKですが、「かとうきよまさ」「加藤きよまさ」「カトーキヨマサ」だと、ほんとうにその候補者かどうか選管が審議することになります。

絶対ダメなのは「加藤清正ガンバレ」「カトーちゃん好き」のように、余計なことを書くと一発で無効票となってしまいます。

字も極端に小さく書いたり、流麗すぎる草書で書くと、これも選管が悩んでしまいます。楷書できっちり書いて下さい。

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日曜写真館 生まれたての太陽

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EUにキレた英国人

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ご存じのとおり英国がまさかのEUからの離脱です。英国人の感情のブレーカーがショートしたようです。

要するに、英国人はEUに切れたのです。

EUという大脳皮質で考えたような設計主義で作られた、不自然な地域統合プランに向けて、英国人の怒りの火花がバチバチとほとばしったようです。

まさに下のロイターのグラフのように、見事に真っ二つです。

やったキャメロンは自殺してしまったわけです。

直接民主主義的手法の国民投票を、民主主義が成熟した先進国に持ち込むことの危険さがあらためて証明されたことになります。

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原因の大部分はメルケルにあります。

女帝の偽善的な難民受け入れ政策、そして周辺国家窮乏化政策、そしてほとんどドグマ的ともいえる財政規律主義・緊縮財政主義です。

これらが、加盟国の主権を全否定して「ブリュセル官僚」によって、頭ごなしに決定される不愉快さ。

これらに英国人はキレたのでしょう。それは充分理解できます

ECシステムの根幹から来ている以上、いったんキレれば脱退しか選択肢はなくなると思い詰めたのだと思います。

これと同じ感情を共有するヨーロッパ諸国の人々は大量にいますから、この英国のショート現象は、今後来年の仏大統領選挙、そして翌年のドイツ総選挙まで、休みなくEUを内部から揺るがしていくと思われます。

Photohttp://jp.reuters.com/article/britain-eu-poll-idJP...

ただし英国人は、切れた責任を自分で負わねばなりません。

離脱の気分は大いにわかりますが、合理性がない以上、様々な苦難が大口を開けて待ち構えています。

2016年の直近で公表された経済成長予測では、離脱後のマイナス成長は最大で5%以上にもなるとの指摘もあります。

これは、いうまでもなく恐慌クラスの落ち込みで、しかもリーマンショック時をはるかに上回っています。

一方、離脱されたほうのEU側にとっても深刻な経済的衝撃が襲うでしょう。

エコノミストの安達誠司氏は、中期的には、むしろ英国よりもEU側、特に独仏の受けるダメージのほうが多いだろうと予想しています。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48985

また自国製造業がとうに壊滅している英国にとって、唯一の産業だったシティの金融業は、今回の離脱で壊滅的打撃を受けるでしょう。

建て金融市場を作りたかった中国は青いでしょう。

製造業として残っているのは日本などの外国資本の工場ですが、これもEC脱退となれば、遠からず出て行くことになります。

当然、ポンド・ユーロは投げ売られ、信頼性が高いドル・円が買われます。

もう既に99円という、さすがに驚く為替レートがでたときには、私も驚きました。

ついで、BBCが離脱勝利の当確を打った瞬間、大阪取引所では日経平均先物9月物が清算値に比べ1330円下げて、なんと12時48分に売買を一時停止するサッキットブレーカー(※)を発動しました
※先物価格が現物価格に先行して大きく下落、または上昇した際に、先物取引を一時中断する措置。

上海では年中行事でしたが、よもや日本で見られるとは思いませんでした。

為替相場や株式市場といった経済的混乱だけてはなく、政治的には、再びスコットランドが独立を本格的に再起動させます。

スコットランド独立派にとって、EUがあることが保険でした。

仮に独立しても、政党の分党のようなものですから、そのまま英国のEUとの各種取り決めを維持できるために、安定した未来が描けたのです。

しかし、英国の離脱に引き込まれれば話は別です。今回も他の地域と違い、スコットランドは残留派が勝利しています。
※スコットランド独立についての関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/post-0843.html

Photo_3スコットランド自治政府 ニコラ・スタージョンhttp://www.afpbb.com/articles/-/3091626?cx_part=to...

スコットランド自治政府としては、もはや本格的に連合王国からの離脱を視野に入れての、EU再加盟をすることが視野に入りました。

「スコットランド自治政府のスタージョン首相はEU残留を呼び掛ける一方、国民投票で離脱派が勝利すれば「再度、独立を問う住民投票を実施する」と強調してきた。スコットランドでは残留支持が62%に上り、英国全体と逆の結果となった。
首相は24日、「EUに残るためなら何でもする。住民投票の用意をすべきだ」との声明を発表。住民投票を実施し、独立が支持されれば、スコットランド単独でEUに加わる可能性をにじませた。」(毎日6月24日)http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160624-00000091-mai-int

この独立の波は、まず北アイルランドに飛び火しました。

「北アイルランドでは、アイルランドとの統合を主張する野党シン・フェイン党などがEU残留を訴えてきた。
離脱となれば、EUに属するアイルランドとの関係が疎遠になるためだ。北アイルランドでも残留支持が56%で全体と逆の結果になり、AFP通信によると同党のデクラン・キアニー幹事長は24日、「(南北)アイルランド統一に向けた住民投票を今こそ実施すべきだ」と述べ、英国からの離脱を呼び掛けた。」(同)

大英帝国は崩壊の淵に立たされたことになります。

そしてこの独立の熱波は、時間をおかずヨーロッパ各国に波及してゆき、それが更にEU崩壊の要因のひとつになっていきます。

なお、安全保障だけは、NATOはEUとはとりあえず別枠ですから、なんとかなると思われます。

それにしても、ヨーロッパは、今回の直接の原因となった難民問題に対する極右の台頭と共に、深刻な政治混乱にさらされることになります。

まことにメルケルの偽善は高くつきました。

さて、まさに安倍氏がサミットで予言したとおりになったわけで、これを放置すればリーマンショック・クラスの世界規模の恐慌が起こり得ます。

当たっても首相はちっとも嬉しくないでしょうが、今ここに至っては財政出動しかありえません。

日本は、プラス金融緩和です。

今できないようだったら、この際、財務省は解体して徴税庁と主計庁に分解してしまったほうがましです。

Photo_2http://jp.sputniknews.com/europe/20160624/2361870

キャメロン首相が10月で辞任するそうです。英国民にとって、今回唯一いいニュースのはずてす。

キャメロンはリーダーシップがまったくない上に、メルケルの影響なのか、極端な財政緊縮論者でした。

次の首相は、当然キャメロンの失敗から学ぶでしょうから、あんがい財政出動と金融緩和政策を取って、ヨーロッパで最初の不況脱出国になるかもしれません。

そうなると、いかに一国の金融・財政政策を、ヨーロッパ中央銀行に預けることが危険なのか、逆説的に証明されたことになりますので注目です。

一時にいろいろなことが起きるでしょうから、土日の動きに注目です。

英国人のバチバチの火花が、他国に波及してメラメラボンボンになるのかは、しばらく観察しないとわかりません。

関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/05/post-d7f6.html

 

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ムスダン6号機成功 北朝鮮はルビコン河を渡った

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沖縄における平和式典をまるであざ笑うように、その前日、北朝鮮が核爆弾搭載可能のミサイル実験に成功しました。 

ムスダン6号機で、ロフテッド軌道(山なり弾道)での再突入に成功しました。(欄外にNHKニュース・防衛省発表参照) 

今まで北朝鮮は、「宇宙の平和利用のための衛星発射」などと言ってきましたが、その仮面を脱いで、再突入させることで、核弾道ミサイルの保有を宣言したわけです。

Photo_9http://obiekt.seesaa.net/article/356618241.html

北朝鮮の発表では、「火星10号戦略弾道ミサイルは高度1400kmに到達し、水平距離400kmを飛行して海に着弾した」として、実験成功と発表しました。 

おそらく核兵器の小型化は達成していると考えられていますから、最後に残った2ツの関門である再突入に成功したわけです。 

残ったあとひとつの潜水艦からの水中発射実験が成功すれば、核保有国としてのすべての条件が揃ったことになります。

Photo_2

予備知識として核保有国として名乗るためにはこれだけはクリアせねば、という最低条件を押さえておきましょう。

まず第1に、あたりまえですが、核兵器の保有です。

従来、米国は10~15発ていどだろうと推定していましたが、ウォールストリートジャーナル(2015年4月22日)によれば、「北朝鮮が現在核弾頭を20発保有していると中国の核専門家らが推定している」としています。

米国ジョンズ・ホプキンス大高等国際問題研究大学院の米韓研究所は、「北朝鮮が2020年までに最多で100発の核爆弾を保有する可能性がある」という発表をしています。

第2に、核兵器の小型化と、ミサイルの大型化です。

北朝鮮は短距離ミサイルから、中距離、そして大陸間弾道ミサイルまで、段階を踏んで大型化・長射程化を達成しています。

Photo_6

第3に、今回成功した再突入です。
※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/02/post-3ef9.html

そのまま地球周回軌道に乗ってしまえばいい人工衛星と違って、軍用ミサイルは、もう一回大気圏に再突入せねば、目標に到達できません。

しかし、大気圏再突入の際に、標準的には1500度、今回のムスダンで推定マッハ5以上。

最大温度は表面上7000℃ともともいわれる超高熱に耐え、弾頭に入った再突入体(RV)で核弾頭を守らねばなりません。

さもないと、「見よ米帝、ムスダンの味を知れェ」とイチびって打っても、大気圏内で流星になってしまって、恋人の願かけになってしまったりします。

この再突入技術は宇宙技術としてもかなり高度なもので、日本すらなんどとなく失敗しています。

まぁ、日本の場合、軍用ミサイル開発という疑惑を避けるために、耐熱タイルの研究を怠ったためでもありますが。

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とまれ、今回北朝鮮はこのかなり高いとされていた再突入のハードルを越えました。

上の北朝鮮が公表した写真で、若殿が頬ずりせんばかりに目を細めているのが再突入体です。

残りのハードルは、潜水艦から発射する水中発射ミサイルです。

これは固定式のミサイル・サイトから発射すると、撃つ前に空爆されてしまうからです。

私たちがテレビでよく見る、数日かけてまったりとミサイル発射の準備をするということは、現実ではありえません。

よく、日本でも空自に先制攻撃させろなどという非常識な人が自民党にもいますが、空論です。無茶いわんで下さい。

空自には外国領土への攻撃能力がない上に、仮にあってもどこで発射するのか事前にわかりません。

というのは、北朝鮮が現実に弾道ミサイルを発射するとすれば、今回の下の写真のように、移動式ミサイル発射装置(輸送起立発射機・TEL)に乗せて、山の中に隠して撃つ,からです。

この移動式発射装置は、かつての湾岸戦争でイラクが多用したものですが、特殊部隊を沢山入れて、しらみ潰しに位置を特定せねばなりません。

米国の特殊部隊が数チーム韓国に派遣されているのは、先日の米韓軍事演習で明らかになりましたが、現在の北朝鮮での発見は大変に困難だと思われます。

もっとも弾道ミサイルを発射するにふさわしいのは潜水艦で、いったん東シナ海から太平洋に出られれば(無理でしょうが)、深い海に潜んで、間合いを詰められる上に、探知は相当に困難になります。

今、中国が南シナ海を狙っていることや、東シナ海から太平洋に進出したがっているのは、この潜水艦が潜む深い海が必要だからです。

潜水艦発射ミサイルは、地上の母国が先制核攻撃で消滅しても生存して、海底に潜んで報復核攻撃できるために、このカードが揃うと完全な核保有国となります。

これを「相互確証破壊」(MAD)と呼びます。

地球を滅ぼしても、復讐するというまさに言葉どおりのマッドな戦略ですが、これが核保有国同士の均衡をもたらしていることも一面の事実なのです。

第2次大戦後、大きな戦争が大国間で起きなかったのは、このマッドな核戦略体制がガッチリ出来上がっていたからです。

米国のICBMの名は「ピースメーカー」と言いますが、ブラックジョークなこの名も、一面真実だったわけです。

Photo_7
それはともかく、これらのハードルをことごとく乗り越えて、北朝鮮は、核保有国に大手をかけてしまいました。

若殿は異常な熱意と速度で、核弾道ミサイルの実戦化を急いできました。

このムスダンもいままで5回失敗し、6回目の挑戦で、御神君、大殿から営々と進めてきた核武装国家に3代目でようやく手が届いたわけです。 

通常、失敗した場合は日本のH2ロケットのように、数年かけて徹底的な検証を行うのが常識です。 

しかし若殿は4月15日、4月28日には朝夜2回(!)、一カ月おいて5月31にもやり、すべて失敗してめげるかと思いきや、おとといの6月22日に2回やって、とうとう成功したようです。

なぜここまで急いだのかは分かっていませんが、おそらく米韓合同軍事演習ではっきりと米国が、正恩を名指しで攻撃することを明示したことも絡んでいるのかもしれません。 

さぞかし気分がよかったことでしょう。

Photo_4

もはや手放しの喜びようで、左の軍服のおっさんと抱きついてキスせんばかりの写真も公表されています。

ちなみに名前はわかりませんが、この人物は上で若殿に再突入体を見せている写真にも登場します。  

今まで6カ国協議を続けて来ましたか、それに対して、昨日手のひらを返すようにこう発言しています。

「北朝鮮外務省米州局の崔善姫(チェ・ソンヒ)副局長は23日、北京の北朝鮮大使館前で記者団の取材に応じ、「6カ国協議は北朝鮮の非核化を協議する会談だったが、今はその使命を変えなければならない」と主張した。(略)
「われわれは米国の核の脅威に対応するため核兵器を開発し、今では運搬手段も持った」と牽制。「朝鮮の非核化を議論するような会談は今は考えていない」(産経6月23日)

http://www.sankei.com/world/news/160623/wor1606230024-n1.html

「もう6カ国協議はしない。われわれは核の運搬手段を持ったのだ」、ということのようです。

ムスダンは中距離弾道ミサイルなので、目標は米国の太平洋の要であるグアムですが、そのようなことは今や問題ではなくなりました。

米国はこれをもって、北朝鮮が戻れないルビコン河を渡ったと判断するでしょう。 

平和を唱えるのはけっこうですし、米軍に出て行けと叫ぶことも自由です。

しかし、これが東アジアの現実だということを覚えておいて下さい。

しかし、それにしても日本のメディアはその間、マスゾエ叩き一色でした。どうかしています。

                 ~~~~~~~~~~~~ 

■NHKニュース6月23日
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160623/k10010567581000.html 

「北朝鮮は23日朝、国営メディアを通じて、キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長の立ち会いのもと、戦略弾道ミサイルの発射実験に成功したと発表しました。北朝鮮が22日、東部から発射した新型の中距離弾道ミサイル「ムスダン」とみられる2発のうち、1000キロを超える高度に達した2発目を指しているとみられます。 

北朝鮮国営の朝鮮中央通信が23日朝、伝えたところによりますと、キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長の立ち会いのもと、戦略弾道ミサイル「火星10号」の発射実験が行われ、ミサイルは「高度1400キロ余りまで上昇し、400キロ先の目標水域に正確に着弾した」ということです。
発射実験が行われた日時や場所など詳しいことは明らかにしていませんが、北朝鮮は22日、東部のウォンサン(元山)付近から、アメリカ軍の基地があるグアムに達するとされる、新型の中距離弾道ミサイル「ムスダン」とみられる2発を相次いで発射しており、このうち1000キロを超える高度に達した2発目を指しているとみられます。
 

発射を見届けたキム委員長は「太平洋の作戦地帯の中にあるアメリカのやつらを、全面的かつ現実的に攻撃できる確実な能力を持つことになった。ミサイルが大気圏に再突入する際の弾頭部分の耐熱性と飛行の安定性も検証された」と述べ、アメリカの軍事力に対抗するうえで、みずからのミサイル技術が大きく向上したと強調しました。 

そのうえでキム委員長は「アメリカによる核の脅威に対して、核攻撃能力を強化しなければならない」と述べ、今後も核・ミサイル開発を推し進めていく姿勢を改めて鮮明にしました。」 

■防衛省6月22日「北朝鮮による弾道ミサイルの発射について」
http://www.mod.go.jp/j/press/news/2016/06/22d.html 

北朝鮮による弾道ミサイルの発射について以下の発表を行なった。
 1、本日5時57分頃、北朝鮮東海岸より、1発の弾道ミサイルが東方向に発射され、弾道ミサイルは複数に分離した上で、東海岸付近に落下したものと推定されます。
 2、詳細については現在分析中ですが、これまでの北朝鮮の弾道ミサイル開発動向、我が方が捉えたレーダー情報などの関連情報を総合的に勘案すれば、今般発射された弾道ミサイルはムスダンであった可能性が考えられます。

 
1、本日8時3分頃、北朝鮮東海岸より、1発の弾道ミサイルが北東方向に発射され、約400km飛翔し、日本海上に落下したものと推定されます。
 2、詳細については現在分析中ですが、これまでの北朝鮮の弾道ミサイル開発動向に加えて、我が方のレーダー情報によれば、弾道ミサイルが1000kmを超えた高度に達していることも踏まえれば、今般発射された弾道ミサイルは中距離弾道ミサイル(IRBM)「ムスダン」と推定されます。
 3、今般、中距離弾道ミサイル(IRBM)「ムスダン」と推定されるミサイルが発射され、中距離弾道ミサイルとして一定の機能が示されたことは、我が国の安全保障に対する深刻な懸念であると考えます。 

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翁長知事の中国軍艦侵犯対応と、シンザト事件の謎

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コメント欄の議論について、私の意見を書いておきます。 

まず、今回の中国海軍艦の口永良部島の領海侵犯と東大東島での接続水域侵犯について、翁長氏が抗議しなかった件についてです。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/06/post-50c8.html

私もふゆみさんの意見と同じです。 ふゆみさんのコメントです。

「領海も接続水域も、侵犯された場合は国が対処する案件なのだと思います。
県は国に治安維持を要請したり現地情報を上げるなり連携するのが役目です。マスコミが聞けば答えるでしょうが己からわざわざ「嗚呼ついに鹿児島に中国船が!」とかアピールする事はなく、そういう意味では翁長知事も接続水域通行コメントを国に任せていて問題ない。
しかし。翁長知事は別件で国への越権行為やアピールを幾つも重ねている上でのだんまりなので、いぶかる声が上がるのです。
石垣市長は自分達の島が県に守られていないと感じているからこそ飛び越えて声明を出したと理解しています。」

 多少付け加えます。 

まず、県知事の重要な仕事は、県民の生命の安全と財産保護です。これは大は国から、小は地方自治体までまったく同じです。

河川や森林、道路などの保全も、いったん大規模災害が起きた場合の避難場所や手順確保も、すべては住民保護という行政の最重要サービスの観点からなされています。

ですから住民保護を放擲した行政は、行政足り得ません。

翁長氏も中山石垣島市長のように、「漁民の安全を守ってほしい」とアピールを出して、国に警備強化と中国への抗議をするように申し入れすべきです。

中国に対して抗議する必要はありません。というか、できません。

ただし、翁長氏はいままでふゆみさんも指摘されているように、国の専管事項である外交・安全保障領域にまで、再三介入してきました。

辺野古移転は、国と国の決め事です。国家間の取り決めを、地方自治体が覆すことは越権です。

県ができるのは、国に対して反対の意思表示をするところまでです。

Photo
ところが翁長氏は、何度となく渡米しては、要請を通り越して直接交渉をしたいそぶりです。

これでは県が国家主権である国の外交権を超越しているのか、といわれても仕方がありません。

そのために、元那覇駐在米国領事館員を雇って、ワシントンに沖縄県事務所と称する「大使館」を作ったほどです。

Photo_4平安山英雄所長(左端)から県ワシントン事務所の業務について説明を受ける翁長雄志知事(左から2人目)=31日、米ワシントン 琉球新報6月16日

一般的に、県が出先事務所を作る場合には、県産品の輸出や県企業の進出をフォローするていどにすぎません。

いわば沖縄県東京事務所のような性格です。

ところが、翁長氏は「県東京事務所」を勝手に格上げして、米国政府や議員への工作拠点に使っています。

どうみても、地方自治体としては行き過ぎです。

こういうことを「自治体の頭越し外交」と呼びます。このようなことをしている自治体は日本では沖縄県しかありません。

国が黙っているのは、要請行動だという県の建前を信じたふりをして、もうこれ以上県ともめたくないからにすぎません。

こういう米国に対しては常日頃、「直訴」をしている翁長氏ならば、中国にも「直訴」しろよ、といわれても仕方ありません。

ワシントンに行く熱意で、北京まで行けとは言いませんが、せめて福岡の中国領事くらい呼びつけてもバチは当たらないだろうということです。

このような米国には異常に厳しく、中国には異常に甘い態度がおかしいと言っているのです。

米国に厳しくてもけっこう。ならば中国にも同じように対応しなさい。

かつて伊波洋一氏は、外国特派員協会でこう述べています。

「外国人記者から「北朝鮮と中国は脅威か?」と質問されると、伊波市長は「脅威ではない。脅威なのは米軍。中国とは何千年もの経済・文化の交流がある
(2010年06月17日田中龍作ジャーナル)

おそらく翁長氏は、この伊波氏と同じ認識をしていると思われます。

すなわち、「米軍は脅威だが、中国は味方だ」。

この「信念」に基づいて、シンザト事件では米国人民間人の犯した殺人事件にもかかわらず、「全基地撤去」「海兵隊撤退」を叫びました。

ぜなら、米国は脅威をもたらす「敵」だからです。

一方、ほぼ同時期に起きた中国海軍による接続海域と領海侵犯は、まったく看過しました。

なぜなら「友邦」だからです。

そう考えると、翁長氏の対応は決して二重規範ではなく、一本筋が通った「米国は敵・中国は味方」という対応を貫いたといえることになります(力なく笑う)。

さてもうひとつ、シンザト事件についてです。

県警は苦しい立場になっています。シンザト容疑者が犯行を認めたものの、黙秘を続けている一方、凶器とされるナイフが見つからないのです。

私がこのことをコメント欄に書くと、HN「口永良部島は、沖縄県?? 」という人物からこんなコメントが来ました。

「下手をするとひっくり返されます???
それなら殺人犯は凶器を消却しさえすればよくて、殺人罪は成立しない(立証できない)と考えてますか?」
 

落ち着いて下さい。私は99.99%シンザト・ケネスが犯人だと思っていますし、極刑が相応です。

だからこそ、公判でひっくり返されないように、県警に万全を尽くしてほしいと言っているのです。

というのは、日本は証拠裁判主義です。自白主義ではありません。

当該条文はこれです。

●刑事訴訟法317条
事実の認定は、証拠による。」

この場合の「証拠」とは、証拠能力を有し、適式な証拠調べを経た証拠のことです。

これは供述が、自白の強要などあって信頼性に欠けるために、証拠物件を揃える必要があるからです。

また裁判官に自由心証主義による事実認定は許されていますが、証拠がないものまで認めてしまうと行き過ぎになるからです。

民事では証言のみで訴追できますが、刑事事件は更に厳しく枠をはめています。

これは憲法の規定があるからです。

●憲法38条2項
何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。」

したがって、補強証拠なき自白だけでは、刑事訴訟法上は大変に厳しいと思われます。

ただし、シンザト事件の場合、強姦したという自白もあるようですから、体液のDNA鑑定なども充分に証拠足り得ますが、なんの発表もありません。

ただ、決定的なのは凶器であって、この発見を急いでいるわけです。

結果的にはグッドジョブでしたが、今回の県警の捜査には、謎が多く含まれています。

防犯カメラに写った不審なYナンバー(米軍人・軍属ナンバー)車両をマークしていて、ナンバーからシンザトと断定して張り込み捜査をしていたそうです。

これは警察の行動としては理解できますが、有能な弁護士にかかれば、「見込み捜査」として反論されてしまいます。

足利事件が典型ですが、見込み捜査は免罪事件の温床となります。

というのは、あらかじめ犯人像を設定し、設定した犯人像から決めつけて捜査してしまうからです。

見込みの犯人像と違う場合、捜査対象にすらなりません。

シンザト事件の場合、おそらく県警は「米兵犯罪」だと目星をつけたのだと思います。

そして、不審なYナンバー車両からシンザトに比較的速くたどり着いたはずです。

この間、別の犯人像に対しての捜査が行われたのかどうなのか、知りたいところです。

証拠なし立件もありますが、検察にとって容疑者の証言だけとなり、困難な公判維持となります。

凶器が早く見つかり、解剖所見などと合わせて、一刻も早く、シンザト・ケネスを裁判にかけることのできる条件が整うことを祈っています。

 

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私は沖縄の民主主義がヤワでないと信じています

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台風一過。すさまじかったですね。皆様、ご苦労様でした。 

もしこれが現実の討論会場ならば、雛壇に座らされた私なんぞ雨あられの罵声とゴーヤのひとつくらいおでこにぶつかっていそう(苦笑)。 

今回の議論の特徴は、圧倒的に県民同士だったことです。 

議論はすれ違いましたが、お互いに島のことを考えているのだなぁと、しみじみする反面、島を二分する意見の相違が明らかになったのは、決して島が「オール沖縄」の一枚岩ではないことが分かって貴重だったと思います。 

このブログに意味があるとすれば、島で完全に封じ込められている意見を開陳する場としてです。 

本来、島の世論形成をするためには、開かれた討論の場があるのが民主主義の絶対条件です。 

移設問題ひとつとっても、意見を決めかねている人が、ほーこういう情報があるのか、なるほどこんな意見もあるのかと気がついてもらう場を提供するのが、本来のメディアのあり方のはずです。 

Photo_3

上の写真は左翼政党機関誌ではありません。琉球新報2014年5月15日の1面です。

この日は1面のみならず、社説、コラム、投稿欄なとあらゆるページがこの集会関連で埋めつくされたようです。

社論を持つのは当然ですし、社説で何を書こうが、それは報道機関の自由です。

読者にとって社論は選ぶこともできますし、時には読まない権利を行使することもできます。

しかし報道そのものは選べません。

たとえば、翁長氏が就任直後にした利権シフトはほぼ完全に黙殺されました。

翁長氏の論功報償はあまりに露骨で、あまりに広範囲に渡るものでした。主だったものだけで以下です。

Photo_6左端が平良氏、一人置いて呉屋氏、中央は翁長氏

第1弾は、知事選選対の大幹部である平良朝敬氏を沖縄コンベンションビューロー(OCVC)の会長に指名して、沖縄観光業界の元締めに仕立て上げました。
※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/05/post-b5cd.html

平良氏の「かりゆし」グループは、決して県を代表する観光業者ではありませんでした。

市長時代の翁長氏との利権をめぐる黒い噂があったように、政界と結んでのし上がろうとしていた野心家です。

めでたく平良氏は経済界を分裂させた功労で、このOCVCの会長という念願の地位を手に入れたのです。

そして今や平良氏は、会長職権限強化に走り、沖縄観光業界に君臨しようとしています。 

第2弾は、選対本部長の金秀の呉屋氏に、巨額の振興予算が投入される予定のMICE(会議・研修・催事の大型複合施設)の利権を与えました。  
※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/06/post-b206-1.html

この呉屋氏が、土建業界の雄である国場組にかねがね遺恨をもっていたのは有名で、いつか国場を目にものを見せてやると思っていたのでしょう。

呉屋氏はMICEを自分の本拠地に誘致できました。今やここでは金秀が、どんどんと土地を買いあさっていると聞きます。

選挙協力した見返りに公的建造物が立つ都市近隣開発を一手に引き受けるなんて、まるで絵に描いたような利権政治ですね。

第3弾は、(時系列的にはこれか最初ですが)沖縄都市モノレール(第3セクター)の社長に金秀バイオ副会長の美里義雅氏。 これもまたもや金秀がらみです。

4弾は、沖縄物産公社社長には、翁長陣営の重鎮で、落選したものの沖縄市市長選に出馬した島袋芳敬氏に与えました。

まだまだこんなものじゃありませんが、とまれ、このような大きな利権シフトが生じたのです。

平良氏や呉屋氏、そして翁長氏に共通するのは野心です。今までの固定化した利権構造を変えたいという野望です。

えたいといっても浄化するのではなく、自分のほうに向けるだけですが。

ですから、翁長支持経済人の特徴は、権力にすり寄って利権を握るという、かつての自民党金権政治を、そっくりそのまま左方向に裏返しただけのことです。

このような腐敗した利益分配構造を、「縁故資本主義」(クローニー・キャピタリズム)と呼びます。

典型は中国です。

共産党員が縁故に利権を投げ与えることのできる絶対条件は、閉鎖的な言論空間があるからです。

新聞などのマスメディアは権力の代弁者となってしまっていて、お仕着せの官製の情報しか一般人は接することが出来ません。

中国では、言論は徹底した管理下に置かれて自由な報道が不可能なために、市民は画一的な情報しか知りません。

次に、権力者が既得権益を分配する権力を一手に握ってしまっていることです。

県民の皆さん、このようなことを知っていましたか。知っていたとしても、新聞から知りましたか?

この中国もどきの腐敗した縁故資本主義がはびこる二つの条件を、今の沖縄は兼ね備えてしまったことになります。 

保守系知事がこんな露骨な利権分配をしたら、間違いなく地元2紙は叩きまくるでしょうが、翁長知事の生みの親が地元メディアですからどうにもなりません。

Photo_5沖縄タイムス・武富和彦編集局長、琉球新報・潮平芳和編集局長

地元紙幹部である沖タイの武富編集局長は、このように語っています。

「一方で圧倒的な権力を持つ、一方には基本的人権も守られない住民がいる。そういう力の不均衡がある場合に、客観・公正を保つには、力の無い側に立って少しでも均衡を取り戻すのが大事なんだ」(上の写真右)

前世紀の左翼メディアがよく使ったロジックで、とうに破綻しています。

この論理に従って朝日新聞は、「力のない側」である従軍慰安婦の「人権」を守るために捏造報道をくりかえして、謝罪に追い込まれるはめになります。

人民は常に虐げられており、権力は常に凶悪だから、人民のために「少しでも均衡を取り戻すために」、多少歪んでもいいのだ、それが「力の不均衡を是正」することなんだ、という理屈です。

ならば、その「力のない人民」とやらに、すべての情報をわけへだてなく開示して、自ら考えてもらったらいいではないですか。

なぜ、そうしないのです。今やネットであらゆる情報が即時に入手できる情報環境にあります。

別に新聞のようなレガシーメディアに、「均衡を取り戻して」もらわなくてもいいのです。

私はメディアが左翼的であろうとどうしようと、それ自体は問題にすべきではないと思っています。

問題なのはむしろ、メディアが情報を統制し、一元管理することです。

「赤い」ことが問題なのではなく、赤いメガネで歪んだ情報しか出さないことが問題なのです。

この沖タイ編集局長の論理は、ネット環境がない時代の遺物にすぎないのです。

皮肉にも、今や「力のない側に立って均衡を取り戻す」(武冨編集局長)のは、むしろ私たちネット言論が果たしています。

沖タイ・武冨さん、ご心配なく。圧迫された少数者の意見は、私たちブロガーが伝えています。

沖縄タイムス、琉球新報は自分たちのことを正義の少数派と思っているでしょうが、笑止です。

私たちブロガーから見れば、あなた方は言論権力にあぐらをかいた傲岸な権力者にすぎません。

言い換えれば、どうせ人民は愚かで正しいことと間違ったことの見分けがつかないのだから、新聞が「正しい情報」だけ選別してあげよう、というわけです。

なんという傲慢!なんという、奢り高ぶったエリート意識!

つまり、堂々とうちの新聞はバイアスをかけるのが正しいのだ、ということです。

報道は反権力左翼的でなければならないと信じているメディアが、報道自体を自分のイデオロギーに合わせて切り取ってしまったら、共産国家の思想統制下にいるようなものです。

そして、社論にそぐわない異論は、あたかも「なかったもの」のようにして、平然と黙殺します。

地元2紙の投稿欄に、移転容認のコメントが出たことが一度でもあったでしょうか。

あるいは、「県民の声」に、「翁長さんはおかしいよ」という声が出たことがあったでしょうか。

出てくるのは、シュワブのゲート前でスピーカーでガナっているような人たちの声ばかりです。 

これでは、闊達な意見と開かれた討論の場という、民主主義の前提条件が欠落していることになります。 

県民の意見を平等に拾うべき地元2紙は、今や一種の「宣伝機関」と化しまったのです。

せめて片方だけでも中道ならば、バランスが取れるのでしょうが、方や「赤旗」、方や「人民日報」では、異論の出る隙間はありません。

他県では、地元紙がいかに左翼的であろうと、全国紙を読むことができます。

朝日・毎日でもよし、読売・産経でも、自由に即日読むことが可能です。

しかし、配送事情のために、沖縄県民は「赤旗」と「人民日報」ばかりを読むしか選択肢がないのです。

このような密閉された言論空間で作られたのが、沖縄のいわゆる「民意」と称するものです。

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かくて県外の人間には、沖縄県民とは常に揃いの抗議ボードを一斉に掲げてシュプレッヒコールをしているものだと思わされています。 

「移転阻止」「全基地撤去」「海兵隊全面撤退」という「オール沖縄」のスローガンは、日米同盟の完全否定を意味します。

そんなまねをしたら、今までなんどとなく書いてきていますが、国際海洋条約脱退すら言い始めた中国の「赤い舌」に丸め込まれるまで、時間の問題です。
※関連記事 http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/05/post-b474.html

私は沖縄の民主主義は、そんなにヤワでないことを信じて書き綴っていきます。

ご支援ください。 

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HNセンテンスクリア氏に見る、沖縄左翼独特の発想とは

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センテンスクリアというHNの人が乱入して、汚らしい言葉を吐き散らしています。 

憎悪と偏見で凝り固まったようなひどい文章ですので、知っていらっしゃる方は引用から下に飛んで下さい。

「昨日の記事の「沖縄にだけ日米地位協定の特例を認めるべき」っていう主張にも驚かされたよ。
そこまでして沖縄に米軍基地を押しつけていたいのかってね。日米地位協定を無視して無理やり在日外国人の差別問題と結びつけるのは飛躍が過ぎるというか少し無理があるのでは。
しかも普段は在日の差別問題なんかまっまく話題にもしないくせに、こういう時にだけ引き合いに出して何とも不埒で都合のいい態度だろうか。それに歴史的な駐留米軍の不祥事をすっ飛ばしてシンザト事件だけみてあーだこーだとは実に不誠実ですよ。
翁長を叩いてオール沖縄の瓦解を喜んで何か問題が解決するのですか?
基地反対派をサヨクだ中共のスパイだと誹謗して一時の溜飲を下げても虚しいだけだよ。」

言葉を激烈に使えば、内容が切れ味がよくなると勘違いするタイプの人の文章です。

こういうひっ散らかったものを書く人は、一定の水準の論理性が要求される文章書きには向いていません。

どうぞ裏庭で壺に向かって、「ありんくりんめ、くるすんどぅ!腐りナイチャーめ」とでも叫んでいて下さい。

私が翁長氏のことを「島の悪霊」と呼んだ、「韓国の慰安婦像を拝む」と書いたからどうのとか、記事とはなんの関係のないことまで書き散らしています。 

翁長氏は公人です。公人は批判を甘受すべきです。安倍氏など誹謗専門タブロイド紙「日刊ゲンダイ」まであるほどです。

しかも、私の元記事を読めばただの罵倒ではないことくらい、ちっとはわかりそうなものです。 

また私は、中国軍艦・公船がひんぱんに起している領海侵犯にひとことの抗議の声も上げないような翁長氏を強く批判していますが、彼を「中共のスパイ」などと書いたことはただの一度もありません。 

もちろん翁長氏が中国共産党の最大の工作対象であろうとは素人でも想像できますが、裏がとれる情報がありません。

どうでもいいですが、私は略称として使用する以外は「中共」とか「支那」という、それ自体がイデオロギー的色彩のある呼称を使ったことはないはずてす。

日曜日の県民集会についてですが、共産党と社民党が主体となって主催したことが、事実関係に反していますか。 

NHKもそう報じていますよ。http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160619/k10010562011000.html

「19日の集会は、沖縄県議会与党会派の社民党・共産党・地域政党の沖縄社会大衆党、それに、市民グループなどで作る団体が開き(略)」(NHKニュース6月19日)

そうそう、呼称といえば、私は「サヨク」という侮蔑語を使用したことはただの一度もありません。 

なぜなら、今は保守ですが、16の歳から半生に渡って左翼でしたから。

私は「一時的に溜飲を下げる」ために書いたのではなく、初めにあった「オール沖縄」という構造が変化していると書いただけです。

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上の写真は、大田知事時代に起きた少女暴行事件時の県民集会ですが、自民・公明まで含んでまさしく「オール沖縄」とよぶにふさわしい内容でした。 

当時と今では、動員力もずいぶんと減り、むき出しの共産・社民の左翼陣営総決起集会になったな、と思った次第ですが、なにか間違っていますか。 

あの県民集会は政治色を取り払って、純粋に追悼集会にすべきでした。49日前後にやる内容ではありません。 

「普段は在日の差別問題なんかまったく話題にもしないくせに」だそうですが、なにひとつ知りもしない人のことをよくもこうも悪しざまに書けるものです。 

品性を疑います。よくこういう調子で書けるよなァ。 あなた何様?

私は短い期間ですが、金大中氏救出運動の末席に関わってきました。 

まだ彼が野党の民主政治運動家で、東京で拉致される前です。KCIAに拉致された時には、号泣したことを覚えています。 

金大中氏が日本に事実上の亡命をしたように、日本は朴正煕政権に対する民主運動家の亡命地あり、その最大の支援拠点でした。 

彼は朴政権を支える日本に対して厳しい意見をもっていましたが、今のパククネ氏のファナティックな反日言辞と違って、日本のことをよく知っていました。 

彼の世代ほとんど与野党すべての政治家がそうですが、日本統治時代に教育を受けていて、そのよさと悪さを共に肌身でリアルに知る世代でした。 

支援運動の過程で、私は在日韓国人・朝鮮人の何人かと親しくなりました。 

その多くは既に他界していますが、当時彼らの口から慰安婦などひとことも聞いたことがありません。 

もし生きておられたら、「従軍慰安婦」という日本の左翼運動家が作り出した虚構を対日外交資産にしてしまった結果、国を滅ぼしかかっている今の韓国について、どうお考えか知りたいものです。 

私は韓国の日本人によって人工的に作られた、慰安婦問題を長きに渡って徹底的に検証してきました。 

断言できますが、あれはまったくの虚構です。 

しかし、韓国がそれでもなお慰安婦を物神崇拝していることを残念に思います。 

しかしだからといって在日韓国人・朝鮮人が、「在日韓国人である」というただそれだけの理由で差別を受けるならば、私は彼ら在日韓国人・朝鮮人を応援します。 

したがって、私は在特会の運動には明確に反対します。彼らがやっていることは、差別思想に満ちたレイシズムです。 

韓国の歪んだ反日政策や、在日韓国人の反日活動を批判することはありえますが、だからといって居住地域にデモをかけて「出て行け」「死ね」というような言辞を繰り返せば、どうなるのかわかりそうなものです。

吐き気がするような風景です。

この見解は何度となくメーンテーマにこそしませんでしたが、繰り返し書いてきました。 

ですから、センテンスクリア氏に「何とも不埒で都合のいい態度」と呼ばれる筋合いはまったくありません。 

知りもしない相手に対して、しかも年長者に対してよく言うよ、この人は、と思った次第です。 

さて、私は一貫していかなる差別にも反対する立場ですが、なかんずく、日本に住む異民族に対しての差別は、レイシズムに容易に変化すると思っています。

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関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/03/post-5149.html

もうひとりの乱入者HNゼノンという人はこう書いています。 

「米軍は、犯罪者予備軍。偏見を持って接しなければならない。」

すごいですね。とうとうここまで来たか、と思いました。

ハッキリ言ってあげましょう。この人物はレッテル貼りではなく、真正の人種差別主義者です。

この人物のコメントの危険性は、この「米軍」という部分を、任意の憎悪表現の対象に換えればお分かりになるでしょう。

たとえば、「在日」「部落」「移民」・・・エトセトラ。

では仮に、今、ヨーロッパで大問題となっている「移民」と置き換えてみましょう。

「移民は犯罪予備軍。偏見を持って接しなければならない」

沖縄以外でそういうことを言えば、フランスの国民戦線やドイツのネオナチと同じ極右と見なされます。

米兵相手なら何をしても、何を言っても許されるという、「革命無罪」ならぬ「反米無罪」思想です。

こから本格的な排外主義まで一直線です。

左右の違いはありますが、在特会と同列です。

こういう人には、米軍の犯罪率の資料を見せても無駄でしょう。

冷静な議論ができないし、それではどうしたらシンザト事件のようなことを防げるのか、という思考回路自体が欠落しています。

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これはセンテンスクリア氏も同じです。彼は冒頭のコメントでこう書いています。 

「昨日の記事の「沖縄にだけ日米地位協定の特例を認めるべき」っていう主張にも驚かされたよ。
そこまでして沖縄に米軍基地を押しつけていたいのかってね。」

「いいこと」を言ってくれました。まさに、私が問題としているのは、この発想なのです。

センテンスクリア氏は、漸進的改善を否定し、それもただ否定するだけではなく、改良すること自体を、「それまでして押しつけたいのか」という総否定で応じてしまっています。

かつて、私は普天間2小移設問題を取り上げました。
※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/01/post-2f2a.html 

かなり難産の記事で、国会資料を読んでもでも、今ひとつ移転が出来なかった理由がわからないまま、唯一の筋道が通った説明だと思った産経記事をソースにしました。

ここには唯一移転が出来なかった具体理由が、記されていたからです。

ただし、この記事の致命的な欠点は証言のみで、具体的物証がまったくないことです。

移転反対派のビラの一枚も紹介されていないのでは、裏が取れません。

私の記事も掲載時からいくつもの批判をもらって、私も最終的に後に「判らない」と判断して、その旨を記しています。

それが今になって、このセンテンスクリア氏のコメントを読んでやっと分かりました。

普天間2小が移転できなかった原因は、「それまでして基地を押しつけたいのか」という「気分」です。

こういう反対派の思考のルートです。

移転を実行してしまえば、基軍基地はトラブルをひとつ解決できて、結果として米軍を喜ばすことになる。

これでは、普天間基地の固定化と同じことではないか、という論理です。

本来、小学校児童の保護が大前提のはずですが、それが議論しているうちにこういう空気に変化したのかもしれません。

「小学校を移転までして基地を押しつけたいのか。移転するのは迷惑をかけている基地のほうだろう」

この「気分」が、おそらくPTA内部に生まれたのでしょう。

もちろん、共産党系の母親も、沖教組の教師もいたでしょうが、それ以上に多くの親の「それまでして、我々が犠牲にならねばならないのか」という気持ちです。

今回問題となっている、日米地位協定も同じ文脈です。

大前提は県民保護、なかでも女性保護が大前提のはずです。

そしてその流れで、懸案の日米地位協定の改訂問題が浮上します。

しかし、実際には地位協定は国家間条約ですし、日本の司法制度の問題や同じような内容の地位協定を持つアジア諸国との絡みもでてきて、そうそう簡単に改訂できません。

ならば、今焦眉の問題になっている沖縄県だけを、先行して改訂を実施する特別区にできないだろうか、と私は考えました。

ところが、センテンスクリア氏のような人にかかると、これは「そこまでして基地を押しつけたいのか」となります。

つまり、いつ改訂できるかわからないが、現状は放置したままにして、「全基地撤去と日米地位協定の抜本改正を目指せ」というわけです。

翁長氏は県民集会で、「守れなかったのは自分の責任だ」と謝罪しました。

翁長氏は、女性の墓前でも「守れなくてごめんね」と言ったそうです。

就任以来、初めて翁長氏と意見が一致しました。

まったくそのとおりです。この女性殺人事件の責任は、県民の護民官たる翁長氏にあります。

これは誹謗中傷ではありません。翁長県政の無為無策にあります。

なぜなら、翁長氏は、知事就任から移転反対運動しかしておらず、県民保護などなにひとつとして手を打っていないからです。

もっと具体的に米兵犯罪を撲滅する手だてを考えるのが、行政官としての知事の職務だろうと思いますが、なにひとつ動きません。そういう発想自体ないのです。

なぜだか、考えたことがおありでしょうか。

仮に翁長氏が、たとえば前々から言われてきたMPと県警による共同パトロールなどの具体的防止策を実行しようとしても、最大与党の共産党から、「米軍に協力するのか」と突き上げられてお終いになるからです。

協定の一部運用の改善ではダメです。あくまでも抜本的改正でなければならないのです。

抜本的といえば聞こえがいいが、その間、県民の安全はどう確保されますか?

普天間基地の、ハンセン陸上部の移設案(小川案)にしても同じです。小川案は大田知事の時代に提案されています。

そのうち詳述しますが、陸上部なら海を埋め立てる必要もないし、既にある基地施設内ですから摩擦も少ないはずです。

小川氏は大田氏は好意的にこのプランをうけ取ったそうです。実現可能性はあったのです。

しかし、当時、大田知事与党だった共産党はおそらくこう言いました。

「それだって、基地機能の強化に当たるのだから、ここまでして基地を押しつけたいのか。知事は全基地撤去まで戦え!」

今回の翁長氏も、ほぼ同じ構図です。

「全基地撤去」とシュプレッヒコールすることは、いとも易いことです。

しかし、そこに至る具体的プロセス設計を、共産党はなにひとつ考えていません。

つまり、いかなる部分改良、段階的改善も「そこまでして押しつけたいのか」のひとことで潰され、これではいつまでも普天間基地は普天間市の真ん中に居座り、日米地位協定もそのままとなります。

こういうイエスかノーか、白か黒か、オールオアナッシング的発想で、沖縄が良くなるのかと、私は問うてきたのです。

ちょっとした発見に手を貸してもらったセンテンスクリア氏に感謝します。

ただし、この調子でもう一回いれたら、ルールにしたがって削除対象とするからね。

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「元海兵隊員の犯罪」という言い方は憎悪表現だ

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シンザト事件も一カ月が立って、かなり客観的に見られるようになりました。

下は昨日の県民大会のものですが、「元海兵隊員による」と大書きしてあります。

何度か書いてきていますが、「元海兵隊員」という職業はありません。

よもや海兵隊のモットーである、「ワンスマリーン・フォエバーマリーン」(「一回海兵隊員になれば、一生海兵隊員だ」)をパクったわけじゃないでしょうね(苦笑)。

つまり、一回蔑むべき職業につけば、終生その烙印を服に縫いつけて暮らさねばならないのでしょうか。

Photo

http://news.goo.ne.jp/article/thepage/politics/the...

県条例で、ユダヤ人狩りに使われた「ダビデの星」もどきの「海兵隊の星」でも服に縫い付ける法令でも作ったらいかがですか。

そうすれば、一目でただの米国民間人ではなく「元海兵隊員」だと分かります。

Photo_2http://ona.blog.so-net.ne.jp/2011-04-26

犯罪は属人的なものだとするのが、近代法の原則です。

その人物の、門地、職業、宗教、民族に罪の原因を求めていくことは、絶対にしてはならないとしています。

所属する、あるいは、した集団ではなく個人の罪なのです。

なぜなら、それはその集団に対する差別を生み出すことになるからです。

「元海兵隊員」という言い方を声高にしている人に聞きたいのですが、ならば、「犯人は元在日韓国人」という言い方も許されるのですね。

今は帰化して日本国籍であっても、「元在日韓国人だから犯罪を犯したのだ」と糺弾したとしたら、これは立派な憎悪表現、あるいはヘイトクライムではないでしょうか。

在日韓国人に罪咎があるのではなく、犯罪を犯した個人に責任があるのです。

これと酷似した差別的表現にさらされていた職業集団が、国内にもただひとつあります。

自衛隊員です。

彼らは向学心に燃えて夜間大学へ通おうとすれば左翼集団に「阻止」され、沖縄に配転して役場に行けば「自衛隊員の住民票は受け付けない」と言われました。

ありとあらゆる公的な祭りには参加を拒否され、離島の救急搬送という人命救助すら報じてもらえない時期があったのです。

そして自衛隊員のみが退官して何年たとうが、「元自衛隊員盗みに入る」といった憎悪表現で報道されました。まるで「自衛隊員だから犯罪を犯した」という表現です。

それも人権派を気取るメディアによってです。

これが職業差別でないとしたら、いったいなにを差別と呼ぶのでしょうか。

の構図と、今回のシンザトを「元海兵隊員だから凶悪犯罪をおこしたのだ」といわんばかりの報じ方は相似形をなしています。

あくまでもシンザトという米国籍民間人が犯した許しがたい凶悪犯罪であって、それ以上でも以下でもないのです。

今、私は「米国籍民間人」とシンザトを呼びました。

ところが翁長氏たちはそう呼びません。

「軍属」という概念規定そのものが怪しい言葉で呼び、さらには「軍属は米軍関係者だ」としています
※関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/05/post-5f24.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/05/post-2.html

「軍属」(シビリアン・コンポーネンツ)とは、あくまで軍と直接雇用関係にある民間人のことです。

たとえば、自衛隊の駐屯地にはコンビニや外注の食堂がありますが、その従業員は間違っても「軍属」とは呼びません。

自衛隊が直接雇用していないからです。あたりまえです。

しかし、なぜか日米地位協定第1条(b)で、以下のようなあいまいな定義をしてしまったために混乱が起きました。

●軍属の定義
①民間人である
②米軍に雇用されている者
③あるいはそれに随伴している者
④米国籍を有する者

シンザトは①④の合衆国民間人ですが、②米軍に雇用されてはいない基地出入りの民間会社従業員にすぎませんから、ただの③の「随伴するもの」該当します。

ここが盲点で、シンザトは「軍属」という日米地位協定で保護される地位に滑り込んでしまいました。

だから、嘉手納基地にいけば簡単に取れるYナンバー車を乗り回して、凶行に及んだのです。

しかし、このような米軍との直接雇用がない者まで「軍属」とした結果、彼が仕事の間に凶行をしでかしたら、一体どうなったのでしょうか。

あるいは基地に逃げ込んで、軍に保護を求めたりでもしたら、どうなったのでしょうか。

日米地位協定において、シンザトは保護されねばならないのでしょうか。

さて正直に言って、あいまいです。日米があいまいにしてきたからです。

「日米地位協定を抜本改正しろ」と集会参加者たちは叫びましたが、その前にこんな米国人でありさえすればほぼ無制限に保護対象を拡大解釈できてしまうような、「軍属」規定の運用の厳密化を要求したらいかがですか。

ところが沖縄左翼は、そんなそぶりも見せません。

なぜなら、「米軍関係者」の幅は広ければ広いほど、味噌もクソもみんな「米軍関係者」で一括りできて都合がいいからです。

そして、米国人絡みならすべて、「全基地撤去」「海兵隊撤退」に結びつけて政治利用できるから、変えたくないのが本音です。

正直、そうとしか思えません。

いきなり抜本改訂できると思うほうがおかしい。北方4島の返還交渉もそうですが、「4島一括」とだけとやったら一歩も進まないのです。

少しずつ運用を変え、今の沖縄でなにが求められているのかに合わせて、変えていけばいいではないですか。

ただの基地出入りのサラリーマンまで無制限に「米軍関係者」枠を拡げれば、本島に住む2千数百名の米国籍民間人の圧倒的多数はなにかしらの形で基地と関係していますから、すべからく「米軍関係者」となります。

そして彼らの多くは「元米兵」です。

在沖米兵として沖縄にご縁があって来訪し、沖縄の風と島の女性を愛したから定住したのです。

彼らはすべて「悪」ですか。

在沖米国人はすべて、「元米兵」が故に「悪」という刻印を押さねばならないのですか。

これが、チャンプルーな文化を生み出してきた沖縄にとっていいことなのかどうか、少しは頭を冷やして考えて欲しいものです。

■焦点ボケになるため、重複する前半を削除しまし、改題しました。(午前11時)

■米軍関係者犯罪についての関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/05/post-9e07.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/05/post-8595.html

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日曜写真館  柘榴の紅は初夏の色

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私は柘榴の花か好きです。初夏に咲き誇ります。

アカバナーのポジティブな真紅とは違って鈍い色のせいか、なかなかその美しさが認知されませんね。気の毒。

咲き誇るといっても、だいたいが庭の一隅で、埃をかぶったようにジミィ~に咲いています。

光線の加減ではべタとした朱色にしか見えず、どうかしてその美しさを撮ってみたいとかねがね思っていました。

朝、それも早朝、わずかの時間ですが、柘榴の花を射るように太陽の光が差す一瞬があります。

まるで柘榴がガラスのタンブラーのようです。

その愛でられたわずかな時間に、この花の美しさに出会えると、一日が幸福な始まり方をします。

そしてやがて柘榴は、ルビーのような実を付けることになります。

末尾ですが、本日は島袋里奈さんの追悼集会です。私も遠方からではありますが、彼女の霊に手をあわさせて頂きます。




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「オール沖縄」は終わりました

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あさって19日、うるま市女性殺人事件に抗議して県民集会が開かれるそうです。 

今回の県民大会が成功するかどうかの焦点は、自民党と公明党の県連が参加するかでした。

自民はかつての知事選前後のグラつきから解き放たれ、県議選での事実上の勝利に近い踏ん張りで自信がついたようです。

前々から、実行委の「オール沖縄会議」がこんな時期にする抗議集会を批判してきたようですが、ぎりきりになって不参加を決定ましました。

「会見で(自民)県連の照屋守之副会長は、大会を主催するオール沖縄会議から正式な協力依頼がないとして「開催や大会決議を決める前の段階で、超党派の取り組みを模索すべきだった」と批判。「県民大会を選挙の最中に行うことにも一つの疑問を感じる」などと超党派での取り組みを求めた。」(琉新2016年6月15日)

そして次いで公明党も不参加を表明します。「オール沖縄会議」は、自民はともかくとして、公明不参加は痛かったはずです。

「オール沖縄会議」は、公明県連くらいは引き込めると目算していたはずです。公明さえ引き込めれば、自民の孤立を浮き彫りにできたでしょう。

「公明は同県民大会に参加せず、18日に別で追悼集会を開くことを決め、自民も別の大会開催を検討しており、超党派による大会開催はなくなった。」
(琉球新6月16日)

保守の自民と中道の公明が揃って参加しなとなると、「全県民」という建前が消滅します。 

ここに翁長氏が参加するか否かが、次の焦点でした。 

もし保守・中道不在の集会に参加すれば、彼は従来翁長氏が自身のスタンスとしてきたはずの、「沖縄の保守が革新を包む」(※)というスタンスは崩壊することになります
※朝日新聞2012年12月14日翁長雄志さんに聞く沖縄の保守が突きつけるもの 

公明不参加を聞いた翁長氏の下した結論はこうです。

「翁長雄志知事は16日、県庁で会見し、米軍属女性暴行殺人事件を受けて19日に開催される県民大会への参加を正式に表明した。翁長知事は「参加する方がより多くの県民の期待に応えられる」(琉新6月17日)

これで決まりました。翁長氏はみずからの手で「オール沖縄」を分解させたのです。

私には翁長氏が、たぶん3カ所で開かれることになる追悼集会のひとつひとつに顔を出して、演説をぶつのかと、心のどこかで期待していた部分もありましたが、無駄だったようです。

翁長氏がしたたかな政治家ならば、メーンを「オール沖縄会議」主催の抗議集会に置いた上で、自民、公明の集会でも演説のひとつくらいはできたはずでした。

そのほうが、よほど自民県連はイヤだったことでしょうに。なにせ、自分たちの集会で翁長氏の政府批判演説を聞くはめになるのですから。

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状況は非常にクリアになってきました。 

「オール沖縄」はこの時点で消滅したのです。自滅したと言い換えてもいいかもしれません。 

翁長氏のスタンスの妙はひとえに、「保守がいて、革新もいて、その真ん中に知事がいる」という「あいまい」戦術にありました。 

この翁長氏の立場の微妙さは、仮に翁長氏の代わりに伊波洋一氏が知事だったならばと考えれば分かりやすくなります。 

「伊波知事」ならばストレートに持論の、「移転阻止・全基地撤去・海兵隊全面撤退・安保廃棄」を叫ぶでしょう。 

これに県内の保守層が乗れますか? 

今まで自民県連の幹事長までやって、大田革新知事から知事の座を奪還して稲嶺知事を作り、さらには仲井真知事を作った実績を持つ翁長氏だからこそ、保守層は彼を知事の座につけたのです。 

オナガなら、基地交渉の裏表に精通しているから、任せられるさぁ、と。

さきほどの朝日のインタビューは、知事就任直前のものですが、こんなことを翁長氏は言っています。
朝日新聞2012年12月14日翁長雄志さんに聞く沖縄の保守が突きつけるもの

「革新勢力は、全身全霊を運動に費やせば満足できる。でも政治は結果だ。嫌だ嫌だで押し切られちゃったではすまない。稲嶺恵一知事はかつて普天間の県内移設を認めたうえで『代替施設の使用は15年間に限る』と知事選の公約に掲げた。
あれを入れさせたのは僕だ。防衛省の守屋武昌さんらに『そうでないと選挙に
勝てません』と。こちらが食い下がるから、向こうは腹の中は違ったかもしれないけれど承諾した」

私は正直、ホーと思いました。 

このインタビューは、知事になる前だったので、就任後の多弁にして無内容な発言とは違って、いい意味でも悪い意味でも泥臭い島の保守政治家らしさが残っています。 

翁長氏が言っているのを、超訳すればこうです。

「オレは、安保も集団的自衛権も認めている保守政治家なんだよ。だから基地があるのは分かる。だが、沖縄だけにそれを押しつけるのはおかしいだろう。本土がなぜ引き受けないんだ。
しかし、基地はもう既に島に根を張っているのもホントだ。
革新の連中みたいに建前だけで運動してもなんにもならない。ひとつひとつ苦渋の選択をして、条件闘争をして島に有利なことを引っ張ってこなきゃダメなんだ。政治は建前じゃなくて、結果なんだよ」

これは実は、島の保守層の最大公約数的意見なのです。 

知事選で、翁長氏に入れた相当部分は沖縄保守層の人たちでした。

「ぼくは非武装中立では、やっていけないと思っている。集団的自衛権だって認める。しかしそれと、沖縄に過重な基地負担をおわせるのは別の話だ」という、自称「ゴリゴリの保守政治家」に、なんか担保を得たような気分を持って県政を預けたのです。

「オナガなら、悪いようにはしないさぁ。なにかいい折り合いを見つけてくれて、島人の気持ちをうまく本土政府に伝えてくれる」、そんな気分ではなかっでしょうか。 

Photohttp://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-12-11/2014...

 しかし、その期待はもろくも裏切られました。彼は左翼陣営に取り込まれ、今やおそらく島人の9割が望んでいるはずもない「民族自決」、すなわち「琉球独立」につながるようなことまで国連でしゃべってくる始末です。 

今、中国海軍が連日のように沖縄県の領海侵犯を繰り返すような状況で、「民族自決」などしたら自立経済を持たない沖縄は、瞬く間に中国に呑み込まれてしまうことでしょう。

これが「保守政治家」のいうことですか。

上の写真は共産党赤嶺候補の宣伝カーの写真ですが、この絵は今の「オール沖縄」を象徴しています。

この共産党の宣伝カーには、中央に、主人公ヅラをした志位氏が陣取り、地元共産党議員たちがしもべのようにつき従い、その共産党員に手を差し上げられた翁長氏がぎこちない笑顔を作って、所在なさげに手を握っているのが、これまた妙に嬉しげな社大党の糸数女史です。

共産党と社大党に手を握られた翁長氏は、今や「左翼の囚われ人」となってしまいました。

翁長氏が知事就任直前に豪語した、「保守で革新を包む」ところか、ミイラ取りがミイラになって干からびた姿です。

これが共産党を中心とした現実の「オール沖縄」の姿なのです。 

さて今回、翁長氏が「オール沖縄」として県民集会にするならば、方法はひとつしかありませんでした。 

保守・革新の政治主張を一切排除して、徹底した追悼集会にすることです。 

今がどんな時期か、翁長氏が知らないはずがありません。 

集会のわずか2日後の6月22日は、参院選公示です。もう既に選挙戦は裏で進行しています。 

この時期にこのような集会をやると「オール沖縄会議」は述べています。 

「米軍属女性暴行殺人事件に抗議する19日の県民大会に向け、主催のオール沖縄会議の県議会与党4会派などによる会合が12日に那覇市内で開かれた。決議案に「米軍普天間飛行場の閉鎖・撤去と県内移設断念」を盛り込むことを確認した。
 決議案は5月の県議会の抗議決議を基にし、ほかに(1)日米両政府が遺族と県民への謝罪と完全な補償(2)在沖米海兵隊の撤退と米軍基地の大幅な整理・縮小(3)日米地位協定の抜本改定―を盛り込む予定。」(琉新6月13日)
 

この決議案に、安保廃棄、安倍政権糺弾が入ればそのまま沖縄左翼の主張そのものです。

まぁ、書き込まなくても、当日の発言者が連呼するでしょうから、結局は同じことですが。 

これでは事実上、参院選の革新陣営勝利総決起集会です。左翼勢力の身内の集会にすぎません。 

本気で追悼集会をしたいのなら、事件直後にするべきでした。

なぜ参院選公示2日前にするのでしょうか。そこに政治的意図をかんじなかったらおかしなくらいです。

当日は全員が黒い服を着て、揃いのボードをザッと出すそうです。きっとこんなかんじでしょうね。 

Photo_2出典不明

 こんな集会に保守・中道が乗れると、翁長氏は本気で考えているのでしょうか。 

ここまで政治臭を強めれば、報道するメディア側も参院選直前なので、手控えたトーンになるでしょう。 

BSの金平さんくらいは、実況中継をしてくれるでしょうがね。

ですから、今回の県民集会は徹底して政治臭をなくさねばならなかったのです。 

そもそも行政官としての知事ならば、当座は抗議一辺倒でしかたがないものの、具体策を本土政府と徹底的に詰めねばなりませんでした。 

こんな極刑以外にない犯罪が起きた後になって、綱紀粛清だの、再発防止だのと言っていても始まらないのです。 

たとえばMPと県警の基地施設内まで含む共同パトロールの実施などを、政府にぶつけてみればよかったと思います。 

おそらく米軍とつるんでいると思われたくない県警はイヤがるでしょうし、基地内の県警パトロールはこんどは米軍が拒否するでしょうが、「地位協定の抜本的改正」はすぐにできるはずがないわけですし、その間に再発したらどうするのです。 

沖縄県だけの特例でもいいから、地位協定運用の部分改善を進めて、実体を作ってしまうのもひとつの手なのです。

いちばん知事としてダメなのは、美辞麗句の建前ばかりで現実にはなにもしないことです。 

私は一国二制度には反対ですが、こと地位協定だけに関しては、「地位協定特別区」として運用の徹底改善を実施するのもあり得ると思っています。

米国が渋るのは、アジア諸国の同じような条約に波及することです。それはないということを、日本側から担保するために「特別区」とするわけです。

こういう具体的な提案がないところで、単調にスローガン的な「移設反対」ばかり言っているのですから、翁長氏の政治手腕とバランス感覚に期待していた保守層は離反していくことになります。 

ところで今から7カ月ほど前に私は、「翁長氏を乗せた「オール沖縄」の神輿は左に傾き、そして転倒する」(2015年11月15日)という長ったらしいタイトルの記事を書いたことがあります。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/11/post-e327.html 

そのとき予想した状況が、まさに今現在進行形で進んでいます。 

この記事で、私は吉川由紀枝前沖縄県知事公室長のこの言葉を引用しました。※http://business.nikkeibp.co.jp/article/person/20150514/281135/

「特に現実的な妥協ラインはどこか?という話になると、「オール沖縄」では一切の合意はない。この可動範囲をちょっとでも越えれば、知事の支持基盤は分裂する。」

本来、保守と革新の調停役となり、中央にいて踏ん張っていなければならないはずの翁長氏が左に傾いて、左翼勢力と合体してしまえば、「オール沖縄」は自己解体を迎えるしかないのです。

そしてそのようになったようです。「オール沖縄」は分解しました。

それも私の予想よりずっと早い時期に、速い速度で。

※他のサイトに同名のものがあったので、加筆し改題しました。(午後5時45分)

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今回の中国情報船の領海侵犯は無害通航権に当たらない

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■お断り 今日の記事は作成途中で機械的トラブル続出で、フォントが狂っています。すいません。どうにも修復できません。
今日は書くことより修復のほうが時間がかかってしまいました(泣く)。
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国民が舛添氏の失脚に眼を奪われている隙を縫うように、15日午前3時半頃、またもや中国軍艦が鹿児島県・口永良部島の領海に侵入し、その後にご丁寧にも北大東島の接続水域に侵入しました。

事実関係からです。ご承知の方は引用から下に飛んで下さい。

防衛省は15日、中国海軍の艦艇が鹿児島県の口永良部島周辺の領海に入ったと発表した。同海域の領海に中国艦が入るのは初めて。(産経6月15日)http://www.sankei.com/politics/news/160615/plt1606150027-n1.html

「防衛省は16日、沖縄県の北大東島の北側の接続水域に入る中国海軍のドンディアオ級情報収集艦1隻を、同日午後3時5分ごろ、海上自衛隊の護衛艦「ひゅうが」が確認したと発表した。この軍艦は午後4時ごろ、北大東島の北北西の接続水域から出て北に向かったという。
 防衛省によると、この情報収集艦は、15日に鹿児島県沖の領海に
侵入した軍艦と同一のもの。外務省は16日午後7時5分、金杉憲治アジア大洋州局長が、在日中国大使館の劉少賓次席公使に電話で懸念を申し入れた。
 接続水域は領海の外側に設けられ、沿岸国に一定の管理が認められているが、主権は及ばず、他国にも航行の自由が確保されている。外務省幹部は「今回の行動が国際法違反になるわけではないが、中国の行動がエスカレートしており懸念を表明した」と話している。」(朝日6月16日)

今回、政府は前回と異なって、クールな対応をしています。抗議したのは次官級ではなく局長級で、深夜呼び出しではなく電話です。 

中国大使館側は次席公使で、お互いにひどく自制している印象を受けます。 

なぜ、こんな対応になったのか考えてみましょう。

まず、領海に侵入した中国軍艦ですが、「情報収集艦」という素人受けしない地味な艦種です。Photo中国海軍 東調級(ドンディアオ)情報収集艦
今回、侵入したのは、中国海軍所属「855天狼星号」で、2015年就役している新鋭艦で、日本近海ウロチョロしてスパイ活動に勤しんでいます。
 

スパイ活動と言いましたが、冗談ではありません。 

この情報収集艦(インテリジェンス・シップ)は、外国のレーダーサイトや艦船の波長を調べたりするのが第1の任務です。

これはもし戦闘になった場合、電子戦といって、相手側のレーダーを目潰しするための資料となります。 

第2の任務は、ミサイル追尾です。写真の艦中央に見える大、中2個のパラボナアンテナを備えており、ブリッジ(艦橋)近辺には光学追尾用と見られるドームも装備しています。 

これは、中国海軍の長距離対艦ミサイルの試験発射を追尾することが目的だと見られています。 

おそらく近々、中国は長距離対艦ミサイルの試験運用を開始するはずで、そうなった場合、東シナ海と南シナ海の軍事的緊張はいっそう増すことになります。 

第3に、潜水艦航行のための海底地形図の作成にも力を入れています。 

これは中国海軍の潜水艦が第1列島線から第2列島線へ自由に航行するには、詳細な海底地形図が必要だからです。 

つまり、前回接続水域に侵入したフリゲート艦のような、ダンビラをチラつかせた派手さはありませんが、立派に軍事目的を持つ危ない奴なのです。 

さてこのスパイ船の「犯行履歴」は以下です。

もちろん、軍事行動自体は犯罪ではないのですが、この中国海軍の傍若無人ぶりをみていると、ついそう呼びたくなります。

・2015年11月11日17時から12日19時にかけては、尖閣諸島南方の接続水域の外側を、東西に反復航行。
・2015年12月23~26日千葉県房総半島南東沖の接続水域を反復航行。
・[今回]2016年6月15日未明3時半頃~5時頃まで 、鹿児島県口永久良部島沖領海内を事前通告なしに航行。

首都東京のすぐ側で、スパイ活動をするとはいい度胸です。 

こんな場所に来るのは、日本をナメているのもさることながら、この近辺が中国がたかってに定めた「第2列島線」(外側の赤線)こそが、彼らが突破したい「太平洋進出の扉」だからです。 

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実際、2006年6月25日午前6時頃に、中国海軍所属の5隻の艦隊が沖縄県宮古沖を通過して、沖ノ鳥島近辺で演習しているのが、海自によって観測されています。(下写真)
 

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 まぁ、もし海自や米海軍が北方艦隊のある渤海の接続水域を航行したり、南シナ海の人工島のすぐ近辺でこんな演習をしたら、たちどころに雨あられとミサイルが飛んでくるでしょう。 

自分にやられたくないことだけを他人にするのが、チャイナの流儀です。 

ところで、今回問題となったのはこの領海侵犯を「無害通航権」で済ましていいのかという問題でした。 

今回は、日、米、インドの共同軍事演習「マラバール」のインド海軍艦艇を追尾して、しつこく情報収集をしていて、その時に偶然にわが国領海に侵入してしまったと見る向きもあります。 

私は違うと思います。 

まず、接続水域の外縁でも電波情報が取れるのに、わざわざ領海に侵入した意味です。 

そして第2に、つい先日に、尖閣諸島の接続水域でトラブルを起こした直後というこの時期に再びやったことの意味です。 

私は、偶然ではなく、明確な政治的目的があると思います。 

つまり日・印・米の共同訓練に対する牽制と、情報収集艦という戦闘目的ではないが、軍事目的の艦艇というグレーゾーンの艦艇をあえて領海に入れて、日本側の反応をみたのでしょう。 

中国の目的は、ここで紛争を起こし、日本側が認めていない「係争地」とすることです。

ですから、今回の対応のように実力排除することがしにくくなっています。

これが戦闘艦ならば、海上警備行動の発令もあり得たでしょうが、グレーゾーンの情報収集艦だということで処理したようです。

ここで、外務省が述べている、「今回の行動が国際法違反になるわけではないが、中国の行動がエスカレートしており懸念を表明した」という見解についてですが、ナンセンスだと思います。 

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たしかに無害通航権は、「海の憲法」と呼ばれる国連海洋法条約第19条で定められた権利です。(第19条全文は欄外参照のこと) 

これは一般的には、沿岸国の主権が及ぶ沖合12カイリ(約22キロ)以内の領海でも、平和や安全に害を与えなければ、外国船でも目的地に向かって航行できる権利と解釈されています。 

ちなみに中国には国際海洋法を無視して作った領海法で、事前通告なしの無害通航権を認めていません。 

ですから、中国のロジックに忠実ならば、今回の中国情報収集船の領海侵犯は、直ちに排除の対象となります。 

また、欄外の第19条のc、d、j項をご覧ください。中国の今回の領海侵入はこれに相当すると考えられます。

c.沿岸国の防衛又は安全を害することとなるような情報の収集を目的とする行為
d.沿岸国の防衛又は安全に影響を与えることを目的とする宣伝行為

j.調査活動又は測量活動の実施 
また今回の中国情報船の領海侵犯は、「沿岸国の防衛又は安全を害する情報の収集を目的とする行為」そのものですから、無条件で沿岸国は強制排除してかまわないのです。

 

                     ~~~~~~~~~~ 

海洋法に関する国際連合条約,(略)国連海洋法条約第19条  

無害通航の意味 通航は、沿岸国の平和、秩序又は安全を害しない限り、無害とされる。無害通航は、この条約及び国際法の他の規則に従って行わなければならない。
 外国船舶の通航は、当該外国船舶が領海において次の活動のいずれかに従事する場合には、沿岸国の平和、秩序又は安全を害するものとされる。
 

 
a.武力による威嚇又は武力の行使であって、沿岸国の主権、領土保全若しくは政治的独立に対するもの又はその他の国際連合憲章に規定する国際法の諸原則に違反する方法によるもの
 
b.兵器(種類のいかんを問わない。)を用いる訓練又は演習
 
c.沿岸国の防衛又は安全を害することとなるような情報の収集を目的とする行為
 
d.沿岸国の防衛又は安全に影響を与えることを目的とする宣伝行為
 
e.航空機の発着又は積込み
 
f.軍事機器の発着又は積込み
 
g.沿岸国の通関上、財政上、出入国管理上又は衛生上の法令に違反する物品、通常又は人の積込み又は積卸し
 
h.この条約に違反する故意のかつ重大な汚染行為
 
i.漁獲活動
 
j.調査活動又は測量活動の実施
 
k.沿岸国の通信系又は他の施設への妨害を目的とする行為
 
l.通航に直接の関係を有しないその他の活動

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陶片追放で追い払われた舛添氏

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陶片追放によって舛添氏は辞任追に追い込まれたようです。 

陶片追放(オストラシズム)とは、前6世紀頃のギリシャで行われた権力者追放の仕組みです。

陶器のかけらで追放の決をとったので陶片追放と言います。 

まぁ、気に食わない権力者を政治的に抹殺する「民主的方法」ということになっていますが、かぎりなく村八分に酷似しています。 

Photo_7使われた追放者名が書かれた陶片(オストラコン)。6千集まると国外追放された。前回アップした絵は正確ではないので差し替えました。
http://415100.blog50.fc2.com/blog-entry-1774.html

現代で陶片追放に似た方法をとれば、法的に瑕疵があろうとなかろうと、司法が判断する以前に結論が出せてしまうというまことに便利にしてお手軽な、疑似直接民主主義です。 

ギリシャはこれで有能な政治家を追放しまくったために、衆愚政治に陥り、アテナイの衰退を招くことになります。

あらかじめ言っておきますが、私はこのネズミ男が大嫌いです。

こんな男をテレビでもっと見続けるくらいなら、寿司にジャムを塗って食べたほうがましだと思っています。 

さっさと辞めてくれて慶祝の至りです。カンさんのように、「私を辞めさせたかったらコレを呑め」ということを言い出したらどないするねん、と思っていました。

辞任自体は当然すぎるほど当然です。 

あの男は2年なんぼの任期で、全国一の待機児童問題に問題には手をつけず、やったことは都所有地を保育所にせずに韓国人学校に貸して、田舎大名旅行をしたことくらい。 

定冠詞つきゴチック活字のザ無能です。 

しかし、問題は辞任に追い込むやり方です。 

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政治家としての能力には天地の差がありますが、前回の甘利大臣の時とそっくりです。

週刊文春が焚きつけて、それに取材力がないテレビ・新聞がダダ乗りし、世論が怒りだし、袋叩きに合って政治生命を断たれるという構図です。 
関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-a002.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-87a1.html

文春は甘利事件で味をしめましたね。 

情報ソースに一部不透明なところがあっても、取材方法に違法性があろうとなかろうと、暴いたら「正義」の勝ちなのです。 

その「正義」が告発する権力者が法に触れようが触れなかろうが、問題を法の外の道義的責任にすり替えてしまいます。

甘利氏の場合は、そもそもあの一色なる詐欺師が持ち込んだ情報を使って、詐欺のかたぶを担ぐようにして金銭疑惑に巨大化してみせたのです。 

今回は、家族旅行を政治資金で支払ったのではないかという、こういっちゃナンですか、まぁどーでもいいようなことです。 

そこに「元新聞記者の出版社社長」がいようといまいと、それと都政がどう関係があるのですか。 

そもそもこれは参議院時代のもので、こんな案件では百条委員会は設置できません。 

ともかくセンセーショナルにドカ~ンとぶっ放せば、狙った権力者はことごとく貝殻追放になります。 

与野党を問わずどんな政治家も、政治資金報告書などにはアラが沢山ありますから、叩けばクレヨンしんちゃんだの卵サンドだの、中国服などの(←それにしてもショボイ)ひとつはでてくるでしょうね。 

そもそも政治資金規制法自体が、穴だらけの欠陥法です。虚偽記載など日常茶飯事です。 

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舛添氏がこれほどまでズルズルと地位に拘泥したのは、事件発覚当初から法的に問題がないから乗りきれると判断したからです。

はい、法的にはそのとおりです。

政治資金規正法には使途の規定がありません。罰則規定があるのは唯一、不記載と虚偽記載だけでです。

そして政党助成法にに至っては、第4条で何と「使途を制限してはならない」とまで規定しています。押さえておきましょう。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H06/H06HO005.html

「政党助成法(この法律の運用等)
第四条  国は、政党の政治活動の自由を尊重し、政党交付金の交付に当たっては、条件を付し、又はその使途について制限してはならない
 政党は、政党交付金が国民から徴収された税金その他の貴重な財源で賄われるものであることに特に留意し、その責任を自覚し、その組織及び運営については民主的かつ公正なものとするとともに、国民の信頼にもとることのないように、政党交付金を適切に使用しなければならない。 」

のように国民の税金が源泉である政党助成金について、無規制であることを堂々とうたい上げ、その縛りは政治家個人の「責任の自覚」だとしています。

ですから、それを知っている舛添氏は、ヤメケンの「マムシの善三」を第3者に仕立てて、「法的には問題ない」 と言わせて幕引きできる算段でした。

すべて「政治活動だ」といえば通ると知っていたからです。

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ですから臆面もなく、「美術品は日仏交流の材料」「競馬は国際関係の研究」「クレヨンしんちゃんは現代児童の言葉使いの研究」「チャイナ服は日中交流のための漢字の練習」、という国民の神経を逆撫でする発言を繰り返して墓穴を掘ったのでした。

まったく馬鹿か、こいつは。だから学歴エリートは嫌いだ。ちったぁ、おまえに投票してくれた汗水出して働いている都民の目線で考えろつうの。

さて「収支の帳尻合わせが秘書の仕事」というブラックな言いぐさが、政治秘書業界の通り相場だといいます。 

法定年間規制枠を越えそうになれば、翌年にまわすために、偽造領収書を作って報告書の帳簿をゴマかす、トンネル会社を作ってロンダリングすることなどは普通にやられています。

 献金先の企業の帳簿をみれば整合しないので、すぐにバレますが、報告書の提出先となる総務省や各都道府県選挙管理委員会の担当者は、こう言っているそうです。

「報告書の提出先である役所は、表面上の計算が正しいかどうかしか見ない。役人は政治家のあら探しは絶対しない」
「書式や記載の不備などは形式的にチェックするが、収支の適切性まで踏み込んで調べる権限はない」(産経2014年11月24日)

続出する不祥事のために、平成21年度分から弁護士、会計士の監査が義務づけられましたが、実態はいささかも変わりません。 

複数の政治団体の監査を請け負う弁護士は、こういいます。 

「収支の適切性まで確認する監査人は少ないはず。憲法で保障された『政治活動の自由』のため、帳簿と領収書が一致しているかを見ることだけを規正法が求めているからだ」(同)

また、先日書いたように、現代の政治家は政党支部、資金管理団体、後援会などを複数持つのが常識です。 

今回も舛添氏は、政党支部、グローバルなんじゃら研、泰山会など自分個人が仕切れる政治団体を複数持っていました。 

企業グループのようなもので、個別に会計処理をして監査しても、実はひとつのグループなのです。 この複数の政治団体間で政治資金をやりとりした場合、まったく実態は藪の中になります。 

本来は、グループ企業のように連結決算とすべきなのですが、その動きはありません。 政治家が変えたくないのです。 最大の利害享受者が政治家ですから、ドロボーが縄をなうというやつです。

こういう土壌から、「新党ころがし」と呼ばれた小沢一郎氏がやった新党を潰して、解散直前に自分の政治団体に政党助成金の残額を「献金」するという詐欺まがいの方法が定着しました。

舛添氏も額は600万と、この人の器に合わせてセコイですが、600万ほどやっています。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/06/post-679e.html 

問題は、この政治資金規制法と政党助成金のあり方なはずですが、そこまでいかずネズミ男の貝殻追放で幕を閉じたようです。

ごこで一句。大山鳴動、ネズミ男一匹。(字あまり)

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ですから、次なる標的を文春が誰につけるのか、選挙を前にして政界は戦々恐々でしょう。

今回の事件の最大の罪は、政治責任を極端に下げてしまったことです。

いまや、かつてのような田中角栄が関わったとされる信濃川河川敷疑惑やロッキード疑惑事件のような、巨額政治献金が動かなくてもいいのです。

クレヨンしんちゃんでも、回転寿司の支払いでも引っかけることが可能になりました。

テレビで、通行している都民がことごとく、「疑惑を晴らしてほしいよね」と言っていましたが、疑惑?

あんなチャッチな公金私物化が疑惑?冗談じゃない。晴らすも晴らさないも、みんな週刊誌に書いてあるとおりです。

文春は火をつけていますが、既にこんなミニミニ「疑惑」などとっくに解明しているのです。

チョイ出ししているのは、ネタ切れになるからにすぎません。

あのロッキード疑惑で、田中氏を失脚に追い込んだのが月刊文春だということをお忘れなきように。

文春の調査能力の高さは、テレビ、新聞の比ではありません。取材力は、おそらくメディア界随一です。

それにしても、「疑惑」の恐るべきハードルの低さです。

かくてイェローペーパー(※)と化した週刊文春は、この舛添事件で、簡単に政治家を失脚に追い込む手段を手にしたことになります
※個人や会社などの秘密や弱点を暴く ことなど、興味本位の低俗な記事が多い新聞。黄色(おうしょく)新聞。

今後、週刊文春編集長が、「次はこいつを潰す」と決意さえすれば、収支報告書を調べる専任バイトに(ほんとうに複数いるそうですが)、「次○○潰すから、調べておけ」と命じるだけで、その政治家は「おまえは既に死んでいる」(←北斗の剣)となるわけです。

おいおいです。

私は舛添氏の所業もさることながら、こういうイエロージャーナリズムに権力を与えてしまったことのほうが、憂鬱です。

政治資金規制法の改正を参院選の争点にすべきです。

ふざけたことに、中国海軍がこんどは戦闘艦でこそありませんが(情報収集艦)、領海侵犯をしました。これについては明日に。

 

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HN愛国命さんのコメントにお答えして 「同盟」っなんだろう?

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愛国命さん。あなたは結果的にではあるが、翁長氏と同じことを言っていますよ。
 

貴兄のいう「防衛協力」あるいは「連合」とは、同盟のことですね。 

ただの経済協力にとどまらず、互いに安全保障という国家の根幹を預け合う二国間関係のことを、「同盟」という名で呼びます。 

当然のこととして、「同盟」には意味と目的があります。 

端的に言えば、仮想敵です。 

仮想敵なき「同盟」など空語にすぎません。 

あなたは、「米国以外の国との防衛協力」といいますが、それは端的に仮想敵を米国にするということです。

それぞれの国には、歴史的、地政学的に仮想敵があります。

中国ならば米国と日本、インド、ベトナム。潜在的にはロシア。(←なんだ周辺国全部じゃないか)

ロシアならば米国とNATO諸国。なかでもドイツ。アジアならば日本。潜在的には中国。

米国にとっては、ロシアと中国、北朝鮮。そして今はテロリスト集団やイランです。 

そして日本にとっては、歴史的にはロシアでしたが、いまや最大の仮想敵は中国をおいてありません。あ,すいません。北朝鮮を忘れていました。 

なぜでしょうか?

それは地政学的に見てこの2国のみが、わが国を侵略する動機を持ち、それを可能にする位置に国があるからです。

脅威の度合いを測定する公式を国際関係論では、「脅威=能力+意思+距離」だと教えています。

この中露2国はこの3要素を、すべてなんらかの形で兼ね備えています。

だから日本にとっての悪夢は、中露同盟なのです。

一方、米国には「意思」が欠けています。

同盟関係にある以上、侵略的方法に頼る必要がないのです。

だから、私たちの国は安全保障の同盟国に選んだのです。

現在、南西方面の緊張が高まっていますが、それにもかかわらず、北海道には第2師団と第7師団という陸自の虎の子師団を張り付けています。

Photo_4日本の唯一の機甲師団である第7師団

その理由は、いつなんどき対露関係がどう転ぶか判らないからです。 

日米同盟が半世紀の長きに渡って存続しているのは、もちろん民主主義という政治体制や理念の共有もありますが、なにより日本が米国と仮想敵を同じくする強い利害関係があるからです。

それを忘れないようにしてください。 

ですから、日本が貴兄がいうようにロシアと「日露連合」をするということは、すなわち米国、及びその同盟諸国と敵対関係に入るということを意味します。 

そうなると、オセロゲームのように敵味方が入れ替わって、ロシアの同盟国、ないしは友好国が、日本の同盟国と友好国になります。 

つまり、ロシアは同盟国なのは当然として、友好国としては中国、及び北朝鮮です。

ブラックジョーク以外何者でもありません。 特に沖縄県にとっては。

だから、私は「結果として翁長氏がめざすものと一緒だ」と言いました。 

貴兄はこういう国際政治力学を分かっていて、「日露連合」を提唱しましたか。 

ロシアとの同盟など300パーセントありえません。

そんなものをするくらいなら、私は大反対ですが、ueyonabaru氏がチラっと言っていた独自核武装のほうがよほど現実的です。 

これはこれで、核武装の方は技術的現実性がそうとうにあるだけに、考える材料にはなります。

ちなみに、外貨準備は外交カードになりませんよ。 

日本はしこたま米国債を持っていますが、それは日米安保の担保みたいなものです。 

ですから、米国債をロシアに譲渡するなどということになれば、日本は日米同盟を一方的廃棄する宣言に等しいのです。 

それも、ただの同盟の終了ではなく、敵に寝返る裏切り行為だと思って下さい。 

ですから、寝返った奴の持つ国債など、米国は手放した瞬間、電子的に無効化して、断じてロシアには手渡さないでしょう。 

あなたが言うように、米国債は日米同盟が存続する限り「永遠にかえってこない」担保のようなものなので、それでいいのです。 

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そもそも領土を「買い戻す」という発想自体が、プーチンには通じません。 

上の写真のように、「おまえはなにを言っているのだ」とやられるのがオチです。

時々、スプートニクには、プーチンが「北海道を買うぞ」などという景気のいい大ボラが載りますが、「買う」のはともかくとして「売る」などというのはありえません。 

彼は、貴兄の構想のように「クリル諸島(ロシア呼称)を日本にカネで売った」と呼ばれるのを、極端に嫌います。

なぜなら極右的民族主義を鼓吹するのが、彼の脅威の支持率90%の秘訣ですから。 

米国債と交換したと国民にバレた瞬間、クーデターが起きますよ(笑い)。

日本としては現実的には、シベリアや沿海州の経済支援をして、そのパッケージのひとつとして「2島返還・2島潜在主権あり」ていどの平和条約締結ならあり得ると思いますが、モロにカネ、ないしは米国債をだしたら、ジ・エンドです。 

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ちなみに貴兄は、「ロシアにとっては利用価値の無い北方領土」と書いていますが、間違いです。

北方4島はロシアの核戦略の要衝です。

少し説明します。

ロシア太平洋艦隊の原潜基地のあるペトロパブロフスク・カムチャツキーから出航すると、必ず北方4島の間を通過します。

ロシア太平洋艦隊の弾道ミサイル原潜(SSBN)部隊は、オホーツク海のパトロール海域や、ウラジオストクのメンテナンス施設に入るためには、必ず千島列島を通らねばなりません。

しかし、その大部分は冬期には氷結してしまう上、原潜が潜航したまま通航できる海峡となると、北方領土の国後水道などのルートに限られてしまいます。
※ウルップの横の水深が深いので、ここを通過すればいいという説もあります。 

ロシアが軍事面で北方領土に拘る理由は、この国後水道にあります。 

国後水道は、国後島と択捉島の間にある水道で、水深が最大で484mと深く、冬でも凍結しないため、ウラジオストクを使用するロシア太平洋艦隊、特に戦略原潜の通り道として重要なのです。  

ただし、日本はロシア艦隊の津軽海峡を通峡をゆるしていますし、かつての冷戦時代のような何がなんでもロシアが国後水道にこだわる必要性は少なくなっているのは事実です。
 
逆にいえば、日本がロシアを封じ込める必要性も少なくなくなっていて、そこに交渉の余地が残されているわけです。
 
日本側が国後水道を国際海峡として指定し、ロシア艦の通峡を妨害しない、米軍基地は置かないと約束すれば、ロシアが「面積等分案」を呑む可能性もありえます。

北方4島のロシア空軍・陸軍の主任務は、この原潜の航路防衛のためにいるのです。 

またもう一点、北方領土は北極海航路に抜けるルートに位置しています。

Photo_2『ロシア連邦国防省公式サイト』より。ロシア連邦軍東方軍管区広報サービス発表
2012年12月24日配信
【原子力水中ロケット巡洋艦「オムスク」は遠距離航海からヴィリュチンスクへ戻った】http://rybachii.blog84.fc2.com/blog-entry-555.html?sp

また近年、北極の氷の減少に伴って、北極海航路がヨーロッパとロシアを結ぶ最短航路として注目されているのはご承知のとおりです。 

通常の水上艦船が、一年を通じてロシア極東部から北極海航路に入ろうとすれば、あるいはその逆ルートでも、氷結しない北方領土付近の航路を通過するしか航路はないのです。 

これはロシアだけではなく中国も一緒です。中国は今まで何回も述べているように、沖縄諸島によって太平洋への出口を日本に塞がれています。 

ですから、ここを通らずに日本海を抜けて北方領土の間を縫って太平洋にでるか、あるいは北極海航路へと向かうルートはきわめて魅力的です。 

Photo_3中国北極観測船「雪龍」

中国は2000年代から艦船をオホーツク海方面に進出させはじめ、2012年には北極観測船「雪龍」がカムチャッカ半島南端を通って北極海に進出し、ロシア以外で初の北極点横断を行いました。 

また中国は北極資源に強い関心を持っていて、北極海航路の西側の出口であるアイスランドへの進出を進めています。 

このように北方4島は一見荒れ果てた漁業しかないような島にみえますが、ロシアにとっては手放したくない戦略要衝の島なのです。 

ですから、日本が北方領土交渉を「3島」あるいは「面積二等分」で行い、そのような形で妥結に持ち込んだだけで、日本は東シナ海とオホーツク海の2カ所で中国のチョークポイントを握ることになります。 

米国が北方領土返還に反対したなどというのは、どこで聞いたヨタ話でしょうか。 

このような北方領との重要性を知れば、米国が返還を望まないほうがおかしいと思いませんか。鈴木宗男氏と佐藤優氏の国策捜査は、もっと別の理由です。 

トランプがいかに脳天パーでも、私たちは根気よく米国を説得するしかないのです。 

かつて私たちの国は、ドイツというもっとも選んではならない国と同盟を結んだために、国を滅ぼしました。 

この轍を二度と踏んではなりません。 

また、日露同盟など結べば、日本のみならず、アジア全域に大変な余波がでますが、長くなりましたので、それは省略します。下の関連記事をご覧ください。 

貴兄がおっしゃるように、「多くのオプションを準備し、国益にかなった道を歩むべき」だと私も思いますが、残念ですが選択肢はそんなに多くはないのです。

■関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/04/post-7249-1.html

執拗に荒らしが入ってきますので、改めてコメント欄のルールを掲示します。お願い、もういいかげんにしてくれよ。 

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中国軍艦 接続水域侵入 中国の意図は「日米vs中露」の対決構図を作ることだった

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今回の中国軍艦接続水域侵入事件の衝撃は、ネズミ男の魔力に、打ち消されつつあります。

あんなザコ政治家になんの価値もないのですが、恐るべし、ネズミ男の最後っ屁。

もうこの人は、韓国に亡命するしかないでしょう。

もういいかげん、落ちた犬の正義の血祭りは止めましょうよ。くだらない。

あ、冒頭からナンですが、今、私は「軍艦」と書きましたが、メディアではいまだにこれを「戦艦」と書く所があります。 

「戦艦」、つまりバトルシップは、「軍艦」の中の死滅した恐竜族の名にすぎません。 

戦艦大和などですね。 今はどこの国も運用していません。

Photo_2http://blog.livedoor.jp/irootoko_jr/archives/849371.html これが軍艦大和という名の「戦艦」です。 

今回侵入した中国海軍「525馬鞍山」(まあんさん/マーオンサン)は、一般名称なら「軍艦」(ワーシップ)、あるいは、戦闘目的の艦艇ですから「戦闘艦」(コンバタント・シップ)と呼ぶべきでしょう。 

ロシア海軍も3隻入っていますが、これを「ロシア海軍艦艇3隻侵入」あるいは「ロシア艦隊侵入」とやるのは気の毒で、戦闘艦は1隻+補助艦艇(オグジルリ・シップ)です。 

戦闘艦3隻と意味がまったく違います。鈍速のタンカーとタグボート率いて、軍事挑発に来るバカな海軍は世界にありません。

誤報ではありませんが、誤解を呼びます。 

大きい順に、戦艦、巡洋艦、駆逐艦、フリゲート、コルベットとなります。「525馬鞍山」はフリゲートに分類されます。ただし、区分は国と時期によってあいまいです。 

さてトリビアは終わりにして、戦後日本は軍事など語るのも汚らわしいと、「見ません、見ません」をしてきた毒が、今になって回ってきています。 

中国がなぜ、今、ここに軍艦を接続水域に入れてきたのか、少しも真面目に考えている様子が見えません。

今回の事態をメディアは、突っ込むと安保法制が必要な理由が国民に分かってしまうので、卵サンドの領収書に話を逸らそうとしています。 

これではせっかく脅迫しに来た中国が可哀相なので、もう少し考えてみましょう。

結論から言えば、今回の事態は、東アジアでの局地紛争を招きかねない危険極まるものでした。 

今回の侵入事件に際しての、米国国務省はこう述べています。

「【ワシントン時事】米国務省のトナー副報道官は9日の記者会見で、中国軍艦が沖縄県・尖閣諸島周辺の接続水域へ入ったことについて「懸念している」と表明した。その上で、1972年から日本が施政権を有する尖閣諸島は、対日防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の「適用対象である」と確認した
 副報道官は「情勢を注視し、日本政府と緊密に対応を協議する」と語った。
 トナー氏はさらに、北京で6、7両日に行われた米中戦略・経済対話で「航行の自由への取り組みについて中国側に十分かつ率直に話した」と説明。南シナ海の中国拠点周辺に米軍艦を送り込む「航行の自由」作戦を継続すると強調した。」(時事2016年6月6日)

はっきりと米国は、安保第5条の適用範囲である」と言明しています。この国務省の発言の根拠は、オバマの訪日における発言にあります。 

Data

 写真ブルームバーク 

2012年4月にオバマが訪日した際の発言です。 

Our treaty commitment to Japan's security is absolute, and Article 5 covers all territories under Japan's administration, including the Senkaku Islands. 

日本の安全保障に対する米国の関与は絶対的であり、(日米安保条約)第5条は尖閣諸島を含む日本の施政権下にあるすべての領域を対象としている。

聞き間違えようもなくスッキリと、尖閣は日米安保の第5条下にあって、米国の関与は絶対的だと言っています。

では、その根拠の日米安保第5条です
※安全保障条約全文
http://www5b.biglobe.ne.jp/~USPinfom/anpo1.htm

「各締約国は、日本国の施政の下にある領域におけるいずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。」

ここで第5条が言っていることを、例によって市民語訳します。

「日本の主権下の領土、領海、領空で、日米いずれかが武装攻撃された場合、自分の国の憲法の規範に則って一緒に反撃しなさい」

素直に読めばこの第5条は、去年あれほど「戦争法」と言われた集団的自衛権の行使にしか読めません。 

日本には、建前上の「専守防衛」という奇怪な概念があります。

「誰とも集団防衛を組まず、アタシは守るだけです」、みたいな意味です。

嘘コケです。じゃあ、安保はなんなんですか。しかし、本音ではどう見ても集団的自衛権そのものの安保条約を半世紀も運用してきました。

実はこのフィクションの上に安住していたのが憲法なのですが、現実に憲法解釈を合わせようとするたびに、必ず去年のような「憲法を否定するのかぁぁ。許さん。戦争になるゾぉぉぉ!」というファナティックな反対運動が生まれます。

ですから、現実にこの条文を活かそうとすると、「自国憲法の規定」という部分で引っかかって使い物にならなかったのを、去年手直しして、多少使えるようにしたのです。 

では、現実に起きた今回の状況に戻りましょう。

あのまま中国軍艦が南下して領海に侵入した場合、まさにこの第5条が定義する状況そのものになります。 

第1に、尖閣は日本国領土です。
第2に、武装した戦闘艦の事前通告なき領海侵犯は「攻撃」の準備と見なされます。
第3に、領海において海自が攻撃を受けた場合、米軍は共同で反撃する義務が生じます。
 

つまり、あくまで一般論としてはですが、中国軍の領海侵犯は「自衛隊+米軍vs中国軍」の戦闘に発展する可能性があったのです。 

あくまで一般論と言ったのは、時の米国政権の政治的意向ではいかようにでも変化するからです。 

ちなみに私は悲観論ですが、それはともかく、中国もそれが分かっているから今まで軍隊ではなく海警(=海保)を侵入させてきたのです。 

現代における海上戦は、侵入した当該艦だけてはなく、その後方支援部隊、出航基地までも攻撃対象としますから、局地であれ米中戦争に発展する芽がありました。 

また、狡猾なことに、中国のフリゲート艦「525馬鞍山」は、ロシア艦3隻のシッポにつく形で侵入しました。

これは朝日がこう言うように偶発的ではありえません。

「政権の意思がどこまで働いていたのか。軍の中枢と現場レベルの意思疎通はできているのか。軍艦の行動が意図的なものか、偶発的だったのかも不明だ」(朝日社説6月7日)

これでは朝日は、「艦長の独断だったかもしれないから騒ぐな」と言っていることになります。

中国軍は他国にない制度を持っています。

それは「政治将校」という共産党員が、艦長よりエライことです。よく中国軍艦は2名の艦長がいるといいますが、あくまで上位は党の監視役の政治委員なのです。

これは中国軍が、国家の軍隊ではなく「共産党の軍隊」だからです。

ですから、時おり艦長の暴走に見えるようなことでも、政治将校の了解を得てやっています。

さもないと、帰港してから処罰を受けてしまいます。

ただし、政治将校は、軍内部の複雑な権力闘争の奴隷ですから、政治将校ぐるみの暴走はありえます。

というわけで、挑発=中央政府の意思かどうかは判然としないケースもある以上、戦争に発展しないように、海軍通報システムを作っておく必要があるのです。

話を戻します。この3隻のロシア艦隊は3月にロシアを出航して、インド洋での国際演習「コモド2016」に参加しているのは、当然中国も知っています。

そして帰途に、この尖閣諸島を南から突っ切ることも予想していたはずです。

ですから中国は、罠をしかけて手ぐすね引いて待ち構えていたのです。

Photo_3
このロシア艦隊の出航から帰港までの3カ月間という期間の長さからすると、今回は艦長・政治将校レベルの「暴走」ではなく、上級司令部と中国共産党中央軍事委員会の命令だった可能性が高いと思われます。

ご存じのとおり、中共中軍委の委員長は習近平です。

この意図は、日米に対して反撃すると中露を相手にすることになるぞ、というシグナルです。

Photo_3http://ria.ru/defense_safety/20150521/1065714550.html 中露共同訓練におけるロシア艦

既に地中海では、中国海軍はロシア海軍と「海洋協同-2015」という共同演習をしています。 

日本ではまったく報道されていないので「N.G.クズネツォフ記念・ウリヤノフスク赤旗・親衛ロシア海軍情報管理局」というなんか冷戦の名残のようなサイトから少し引用します。http://rybachii.blog84.fc2.com/blog-category-62.html 

「地中海東部でのロシア・中国海軍演習『海洋協同-2015』活動段階実施の枠組において、連合グループは模擬海上目標(海上盾、模擬浮遊機雷)への実地砲射撃、電波電子戦複合体の実地投射、更には、模擬水中目標への深海爆弾投射が行なわれました。」 

つまり、中国が企んだのは、このヨーロッパて作った「米欧vs中露」という構図を、そっくりそのままアジア・バージョンで「日米vs中露」という構図に移し換えたかったのです。

ところが、ロシアは尖閣の領有についてまったく無関心であり、領有権は日本にあると既に認めています。

ですから、危なく共犯にされかかったロシア大使館が即座に、「ご安心ください」というツイッターを出したわけです。 

そしてなにより、日本側の素早い対応によって、その中国の意図は挫かれたというわけです。

■大幅に書き換えました(汗)。午後5時

 

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中国軍艦接続水域侵入事件 見事だった日本政府対応

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中国軍艦が接続水域に侵入するという、国民の安全が直に脅かされる事態というのは、いろいろなことをあぶりだします。 

時系列をおさらいします。 

まずはロシア海軍で、次に時を置かずに中国海軍が接続水域に侵入しました。 

改めて、接続水域を押さえておければ、領海のすぐ外縁に設定されている緩衝地帯のことです。領海のいわば外皮みたいなもんです。 

公海ですから航行は原則自由ですが、国際社会では、領有権紛争がある地域の緩衝地帯に戦闘艦を侵入させることは、戦争の挑発だと見なされます。

・8日夜~9日未明  ・・・・ロシア海軍3隻が接続水域に侵入
・9日午前0時50分頃・・・中国海軍の艦艇が接続水域に侵入

この海域を警備していた海自の「せとぎり」は、中国の戦闘艦「525馬鞍山」が接続水域に侵入しようとしているのを発見し、警告しながら追尾しています。 

Photo海自護衛艦「せとぎり」 

525_5「525 馬鞍山」 中国海軍のお宝新鋭艦

これは、横須賀の護衛艦隊司令部を経て、政府に救急報告されました。 

ちなみに、在日米軍も海自と情報を共有していますから、この時点で在日米海軍も状況の推移を見守っていたことはいうまでもありません。 

一方、政府の対応です。

・9日夕方・・・管官房長官記者会見。「わが国の領土・領海・領空を断固、毅然と、冷静に守る」。河野統幕議長「(領海に侵入する)そういう事態にならないようにしたい。万が一そうなった場合は、それ相応の対応はする
9日夕方(時刻不明)・・・NSC(国家安全保障会議)4大臣会合を開き、統合幕僚本部から状況報告と情報の分析結果の報告を受ける
・9日7時頃(?)     ・・・山形県に訪問していた首相も加わってNSC会合
・9日夜(時刻不明)   ・・・帰京した首相、「不測の事態に備える」ように指示
・9日午前2時頃     ・・・齋木外務事務次官が程永華駐日中国大使を外務省に召致し、重大な懸念を表明して抗議

デュアルタイムで、海自・在日米軍、官邸、外務省が連動しているのがお分かりでしょうか。

このような、ひとつ間違えば局地戦に発展しかねない状況について、もっとも重要なことは、情報の一元化と共有化です。

今回、海自は万が一の場合、在日米軍をバックアップにつけて、海上警備行動に移らねばならない「不測の事態」も大いにあり得たわけです。

ですから、海上警備行動を発令できる官邸と内閣に対して、即時に情報を上げて判断を仰がねばならなかったわけてす。

今回はこの連携が見事に取れていましたが、これをあたりまえだと思わないで下さい。

今までは、たとえば阪神淡路大震災時の村山氏のように、テレビで震災を知り、「ワシゃ何するんじゃ。初めてだからよーわからん。あ~下痢がぁ」と部屋にヒッキーしてしまった首相もあったのです。

村山氏は極端な例だとしても、常時危機事態に対応できる司令組織が欠落していたのが、わが国でした。

カン氏などに至っては、福島事故において暴走につぐ暴走。

専門家を排除し、自分のかつてのゲバ友達を内閣参与に仕立てたり、現場指揮にまで介入し、「海水注入を止めろ」という常軌を逸した「命令」まで出す始末でした。

本来緊密に連携すべき東電とは、共に天を戴かざる関係にまで敵対し、とうとう東電説教突撃までやる始末でした。

前者は無能、後者は狂気。

だいたいこういうなってはならない人が首相をするときに限って、決まって大規模な災害が起きるものです。

このような首相の恣意に振り回されない国家的危機管理の一元化システムが、今のNSC(National Security Council国家安全保障会議)です。

1024fig2https://www.komei.or.jp/news/detail/20131024_12501

今回もこれが活躍しました。

「国家安全保障会議」では、会議に情報を上げる前に、NSC事務局が各省庁の情報を取りまとめます。

情報を簡潔に「4者会合」に提供することで、迅速で効果的な判断を下せるようにするわけです。

従来はNSCの代わりに「安全保障会議」がこの機能をしていました。

この限界が露呈したのが、2013年1月のアルジェリアで日揮の社員10名が殺された事件でした。

この時の「安全保障会議」には、財務大臣や経済産業大臣、国土交通大臣、総務大臣などの、どう見ても「防衛・外交問題」とは関係のない大臣やその職員が入っていました。これでは緊急の対応措置はとれません。

しかも構成員が多すぎて、参加する各省庁が縦割りで情報を抱え込んだりしたために、イザという時にうまく機能しませんでした。

NSCは参加者を絞り、強い判断権限をNSCに持たせることを狙っています。

米国にも同名のものがありますが、あれと比べると大人と赤ん坊ほどの差がありますが、国家の重大危機に際しての情報の集中と分析、指令はここに一元化されたということ自体、画期的なものです。

よく「特定秘密保護法案」とからめてスパイ組織を作るきだろうとかいう人がいますが、ゼンゼン関係ありません。

さてNSCは通常、議長を首相とし、官房長官、外相、防衛相の4大臣で会議をしますが、状況次第で増員することが可能です。

今回は統合幕僚長という、自衛隊トップが臨席しており、状況を説明したと思われます。

Photo_2河野統合幕僚長。カウンターパートの米国統合参謀本部議長と。

さて、今回NSCでの首相の発言です。

「不測の事態に備えろ」

この指示は、なにを意味するのでしょうか。これはさきほど述べたように、中谷防衛大臣と河野統合幕僚長にとってきわめて重い指示なのです。

つまり、首相は、「万が一の場合、海上警備行動を直ちに発令するから、実力で対処することに備えよ」と述べているのです。

これは、去年5月14日閣議決定「我が国の領海及び内水で国際法上の無害通航に該当しない航行を行う外国軍艦への対処について」を下敷きにした対応です。

525_3防衛省・自衛隊|平成27年版防衛白書 http://www.mod.go.jp/j/publication/wp/wp2015/html/...

やや長文ですが、こういう時でもないとアップできないので、欄外に掲載しておきます。

河野統合幕僚長は、幸い海自出身で護衛艦隊司令を歴任していますから、この首相の指示を受けて、護衛艦隊は秘かに出動準備態勢に入ったはずです。

そして、弱腰で有名な外務省も深夜2時という時間に、外務次官・斎木昭隆氏が程永華駐日中国大使を召いて、異例の抗議をしています。

この深夜に緊急呼び出しをかけるというのも、日本側がいかにこの事態に対して怒っているのかを、ツラの厚さでは世界有数のかの国に分からせる手段です。

中国外務省はよくくだらないことで、駐中日本大使を深夜に呼び出しますから、さぞかし外務省も溜飲が下がったことてしょう。その時に斎木氏はこう述べたそうです。

「私が深夜に呼ぶのは初めてだ。それだけ事態は深刻だ。勝手な振る舞いは許さない。今後このようなことが起これば必用な行動を取る」

おお、外務省もやれば出来るではないか(パチパチ)。戦後日本対中外交史上特筆ものです。

ここまで怒られた程大使は、珍しく殊勝にも、「エスカレートを望んでいない」と弱々しく返事をしたそうです。

中国外交部にはなんの権限もない弱小官庁にすぎませんが、中国が東南アジア諸国に対して行っている嫌がらせといたぶりが、わが国には通用しないことていどのこと理解したことでしょう。

                    ~~~~~~~~ 

2015年5月14日閣議決定
「我が国の領海及び内水で国際法上の無害通航に該当しない航行を行う外国軍艦への対処について」

http://www.mod.go.jp/j/publication/wp/wp2015/html/ns008000.html

「1.事態の的確な把握
我が国の領海及び内水において、外国軍艦が国際法上の無害通航に該当しない航行を行う可能性がある場合、事態を把握した海上保安庁又は防衛省は、内閣情報調査室を通じて内閣総理大臣、内閣官房長官、内閣官房副長官、内閣危機管理監及び国家安全保障局長(以下「内閣総理大臣等」という。)への報告連絡を迅速に行うとともに、速やかに内閣官房、外務省その他関係省庁にこの旨を通報し、相互に協力して更なる事態の把握に努める。
 

2.事態への対処政府は、我が国の領海及び内水で国際法上の無害通航に該当しない航行を行う外国軍艦に対しては、国際法に従って、我が国の領海外への退去要求等の措置を直ちに行うものとし、いかなる不法行為に対しても切れ目のない十分な対応を確保するとの観点から、当該措置は、自衛隊法第82条に基づき海上における警備行動を発令し、自衛隊の部隊により行うことを基本とする。
この際、防衛省、外務省及び海上保安庁は相互に緊密かつ迅速に情報共有し、調整し、及び協力するものとする。
 

3.迅速な閣議手続等
(1)我が国の領海及び内水で国際法上の無害通航に該当しない航行を行っていると判断された外国軍艦への対処に関し、海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持のため特別の必要があり、自衛隊法第82条に規定する海上における警備行動の発令に係る内閣総理大臣の承認等のために閣議を開催する必要がある場合において、特に緊急な判断を必要とし、かつ、国務大臣全員が参集しての速やかな臨時閣議の開催が困難であるときは、内閣総理大臣の主宰により、電話等により各国務大臣の了解を得て閣議決定を行う。この場合、連絡を取ることができなかった国務大臣に対しては、事後速やかに連絡を行う。
 

(2)上記(1)の命令発出に際して国家安全保障会議における審議等を行う場合には、電話等によりこれを行うことができる。 

4.事案発生前からの緊密な連携等(略)」

 

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日曜写真館 むせかえるような薔薇の香り

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花は難しいと思います。

どう撮ってもサマになるというか、定型にハマってしまいます。

撮る角度も右45°か左45°。はたまた上から見下ろして撮るというのが一般的で、さすがに行き詰まってきます。

ちょっと前までは跪いて撮るのがマイブームで、最近は寝て撮るのに挑戦しています。

今日の写真の一番上がそうですが、これも光線次第ですね。

独特の透け感が捉えられます。花は透け感がなければ、ただの紙の花。

いちおうこの全パターンをすることにしています。

ですから、バラの前で右左、上、そして跪いて、寝っころがってという5パターンで撮っていることになります。

あ、そうそう、それに最近は縦アングルが加わりました。

あとはナント言っても光線の角度でしょうか。午前、しかも早朝の低い角度で差す光線は、花弁をまるで薄絹のように引き立たせます。

そして朝露。写真好きの人にはスプレーを持って撮り歩く人もいるようです。

私もごたぶんに洩れず、周りの人からは気味悪がられ、ズボンはドロドロ、シャツは背中が土だらけ、そして翌日足がミシミシと筋肉痛となります。

カメラ趣味って、スポーツだなぁと思う昨今です。

沖縄に撮影旅行に行きたいですねぇ。

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中国海軍 尖閣接続水域侵入事件 ロシアは共犯関係ではない

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今回の中国海軍の尖閣接続水域侵入事件を複雑にしたのは、ご承知のとおり、ロシア海軍がほぼ同時にこの狭い尖閣諸島を南側から突っ切ったことです。 

これには私もビックリしましたね。 

事実関係を押さえておきましょう。防衛省による、時系列でこうなります。

・6月8日午後9時50分頃・・・ロシア海軍のウダロイ級駆逐艦など3隻が尖閣諸島の久場島と大正島の間を南から北に向かって航行しているのを、海自の護衛艦「はたかぜ」が確認。
・9日午前3時5分頃・・・接続水域を離れた。

Photo_4Yahoo! JAPAN

久場島と大正島の間はかなり開いているので、ロシア海軍はよくインド洋で演習をやると、その帰りにここを通過しています。

宮古・八重山諸島は、太平洋の扉に位置していて、中国大陸から太平洋に出る場合も、逆のコースの場合にもひんぱんに利用されています。

こういう場所のことを、軍事用語でチョーク・ポイントと呼びます。チョーク、つまり締める場所のことで、ここを押さえられると太平洋の扉を閉ざされたことになります。

ちなみに、歴史トリビアですが、ここはバルチック艦隊が対馬に向かって抜けた場所として有名で、どちらに来るのかやきもきしていた日本海軍に、対馬海峡側に抜けたという決定的報告を上げたのが、宮古のウミンチュでした。
http://yaeyamanow.nanpusya.com/history25.html

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現代に話を戻します。

今回も実はロシア海軍は、3月28日にウダロイ級駆逐艦「アドミラル・ヴィノグラドフ」、ドゥブナ級補給艦「イルクート」、バグラザン級救難曳船「フォーチィ・クリロフ」の3隻が、対馬海峡を南下していることが防衛省幕僚監部より発表されています。

旗艦となっている「アドミラル・ヴィノグラドフ」は、下の写真にもあるようになかなかゴツイ。

ロシア艦らしく、ゴテゴテと.砲熕兵器(大砲のこと)やミサイルをこれでもかと積みまくって、いかにもトップヘビーですから、外洋での乗り心地が悪そうですね。

かつて舞鶴で一般公開されたこともあります。

ロシア海軍の分類で、「一等大型対潜艦」という艦種で、8500tあります。
ウダロイ級駆逐艦 - Wikipedia

Photo_2

艦名の公表はありませんが、同じ3隻の陣容ですから、尖閣諸島の接続海域を抜けたのはこの3月にインド洋に出て行った艦隊と同一だと見られています。

3隻のうち戦闘艦は「アドミラル・ヴィノグラドフ一隻だけで、残りはタンカーとタグボートです。

推測ですが、このロシア艦隊は救難曳船を従えているところから、デルタⅢ級戦略原潜の救難訓練をしていたと思われます。

またロシア側の発表では、
http://jp.sputniknews.com/opinion/20160609/2280207.html

「船団が軍事ミッションで太平洋へと漕ぎ出したのは3月28日にさかのぼる。4月にはインドネシアを訪れ、国際演習「コモド2016」に参加し、5月にもさらにアジア太平洋地域の30カ国が参加する多方面的な対テロ演習『ADMMプラス-2016』に参加したほか、シンガポール、ブルネイで表敬訪問を行っている。」 (スプートニク6月9日)

発表を信じるなら、訓練が無事に終わり、尖閣諸島の南側から接続水域に入り、大隅海峡を抜けて母港のウラジオストク港に帰還する途中だったようです

一方、中国は、偶然か意図的にか分かりませんが、9日夜に尖閣諸島周辺を通過することを狙って、東海艦隊所属の駆逐艦を待機させていたと思われます。

ロシア通信社スプートニクは、「尖閣で露中の船が同時出現は偶然の産物と題して、ロシア人軍事専門家のヴァシーリー・カーシン氏がこう述べています。

長文ですが、引用します。

尖閣諸島という係争水域に同時に中国のフリゲート艦とロシア太平洋艦隊の3隻の船隊が航行した事実は日本国内に政治的な反応を呼び、この2国はそろって日本に反対することを示したという論議を呼んでしまった。
ロシアと中国は今に至るまで、日本との係争水域でのそれぞれのポジションを通報しあってきてはいない。
もう数十年も変わらないこうした基本的アプローチはどう変化しても、 地域の政治により大きな影響を与えるはずだ。
事件を正しく理解するためにはまず、ロシアのどういった船が諸島付近に入ったかに注意を払う必要がある。西側のマスコミは「軍艦3隻」と書きたてたが、これは事実に反している。ロシアの船団のうち軍艦は対潜艦「アドミラル・ヴィノグラードフ」プロジェクト1155、1隻だけで、他はそれに随伴するタンカー「イルクート」とタグボート「フォーチイ・クルィロフ」だった。
なぜロシアの船団がこの海域にいたのか? 
現時点までに出された発表を見ると、船団は国際演習に参加し、東南アジア諸国に立ち寄る遠洋航海から太平洋艦隊基地に戻る途中だった。
ロシアは外国のように補給や修理のための発達した軍事基地網がないことから、これだけの遠洋航海ともなると貨物補給と救難用にタグボートを引き連れている。(同上)

駐日ロシア大使館によるツイッターは、以下の通り共謀説を全否定しています。(現在は削除)

「今日ロシア海軍の駆逐艦が尖閣諸島接続水域に入ったのに関して誤解があり、コメントします。当海域では中国と関係なくロシア海軍が定例の演習を行い日本の領海に入ることは当然ない。 他の諸国とならびに日本も米国も主張する「航海の自由」原則通りで、ご心配不要 。」

ロシアは、「信用出来ないことだけが信用できる国」ですから、「ご心配不要」と言われて、「ハイそうですか」となりにくいのですが、今回に関しては、信じてあげてもよいでしょう。

knorimotoのコメントにお答えすれば、私も「ロシアの動きを中華人民共和国が利用して両国が共謀しているように見せかけた」という説を支持します。

というのは、ロシアには中国と一緒になって日本を脅迫する理由が、現時点ではないからです。 

ロシアは徹底して国益だけが大事なジコチュー国家ですから、この時期に中国と連帯する意味がありません。 

中国は、米中戦略会話を不調のまま終わり、G7でも名指しこそされないものの強い非難を浴び、さらにはインドのモディ首相は議会演説で、航行の自由作戦への支持と協力を表明しました。

日米印の海軍共同訓練「マラバール2016」まで実施されようとしています。

身から出たサビとはいえ、今の状況は中国から見れば、ギシギシと東西から締めつけられているという気分になっていることでしょう。

ロシアは、中露同盟など本気で作る気はありません。

陸続きの大国同士で、しかも互いに相手を壊滅することが可能な核兵器を持った国同士が同盟を結ぶことなどありえません。

米国という共通の敵に対して、敵の敵は味方だというだけの話です。

またロシア領沿海州には、中国人労働者が激増しており、地域によって地元ロシア人との逆転現象すら起きたといわれています。

中国にとってはロシア領沿海州など、かつて愛琿条約で奪われた「神聖な中国領」なのですから、当然です。

ですから、ロシアは中国が日本に対して常に歴史カードを切ることを、内心面白く思っていていないはずです。

ウクライナ問題でG8を追放された反動で、「なら、チャイナと仲よくするもんね」程度のニュアンスにすぎません。

本質的に、ロシアはコウモリ作戦が得意なのです。
 
現在のロシアのプーチン体制は支持率こそ異様に高いものの(90%超!)、ウクライナ紛争で経済制裁を食らった上に、泣き面にハチなことに、唯一頼みの輸出品である原油価格の急落に苦しめられています。

そのため、国庫の外貨が払底しかかっており、最悪の場合、デフォールトさえささやかれる始末です。

Photo_7出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成https://www.pictet.co.jp/archives/57302

外貨不足のために輸入食料品のチーズやバターが店舗から消え始めていて、なんとか国際社会との折り合いをつけたいというのが本音でしょう。

G7先進諸国で唯一対話の可能性が残されている日本とは、良好な関係を持ちたいはずです。

プーチンとしては、口ではあいかわらず元気がよいことを言っています。

Sputnik(スプートニク)日本版では、あいかわらずこの調子で、元気一杯です。http://jp.sputniknews.com/politics/20160521/2173844.html

Photo_6Sputnikより引用

「ロシアは、クリルの島々を高く売るために日本との取引を欲しているのではないか」との記者の質問に、次のように答えた―
ロシア政府は、平和条約締結を目指し日本との対話を目指している。そして、このコンテキストの中において、クリル問題の討議を目指している。
我々と日本の関係と、何かを高く売りつけるための貴方の考え方に関していえば、我々は、なにも売るつもりなどない。我々は、多くのものを買う用意ができているが、なにも売るつもりはない。」

なんと、北海道も買うぞとまで言っているそうです(爆)。どこに今のロシアにそんな金があるんだつうの。

国内向けビッグマウスはさておき、一方スプートニクの論説員は、ロシア側の原則をこう伝えています。http://jp.sputniknews.com/opinion/20160523/2183066.html

「菅官房長官はこれより前、露日両首脳は領土問題、平和条約に関しては古い解決構想に拘泥せず、双方が受け入れ可能な解決を模索する方向での新たな発想での交渉継続を続けることを明らかにしている。
ところが日本の要求は最初に領土論争を解決し、それから平和条約を締結しようというもので、新たなものはなにもない。ここでは双方に満足のいく新たな発想を見つけることは容易ではなさそうだ。
これについてがっかりする必要はひょっとしてないのではないか。模索し、考え、その間に経済協力を積極的に発展させるほうが、ロシア経済が強化され、アジア太平洋地域でのロシアの積極性が強化されているという条件下では特にロジカルではないだろうか。」(2016年05月23日)

市民語訳すれば、こういうことになります。

「シベリアや沿海州、千島列島の経済開発に協力すれば、日本にもいい話じゃないか。平和条約を結び、ついでにG8に復帰させてくんないかな」

はいはい、全部自分の都合ですが、それがかの国なのです。

ただし、日本は中露同盟という最悪シナリオを回避するためにも、ロシアとの中長期的な信頼関係が構築するのは有効な手段です。

領土問題をいったん脇に置いても、ロシアとの国家間連携は乗ってもいい話だと私は思っています。

もちろん領土問題は言い続けねばなりませんが、従来のように、それがすべてのロシアとの国家間関係の大前提ではないということです。

また、日露間でもより効果的な通報メカニズムが必要だと先程のカーシン氏は唱えていますが、まったくそのとおりです。

特に、必ずしも上級司令部の命令ではなく、艦長の勝手気ままに日本を挑発して喜んでいるフシのある中国とも同様に、偶発的な戦争を防止する通報メカニズムが必要です。

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中国軍艦、沖縄県尖閣接続水域に侵入

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マスコミは水に落ちた犬状態の都知事にかかりきりですが、その裏で重大な事態が発生しました。 

今日はそちらを優先します。

中国がまた無法の階段をひとつ昇りました。

昨夜、ロシア艦隊が尖閣諸島の真ん中の接続水域を突っ切り、それに合わせたかのごとく、中国艦隊がわずかの時差を置いて侵入しました。 

この事件の要点は三つです。

一つ目は、「接続水域」に侵入したことの意味
二つ目は、それが中国公船(海警)ではなく、れっきとした中国海軍の艦船であったことの意味
三つ目は、ロシア海軍の接続海域の侵入とほぼ同時期だったこと

PhotoNHKニュースより引用

まずは概括を押さえます。
 

NHKニュース6月9日深夜 2時35分のものです。ご承知の方は、引用から下へ飛んで下さい。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160609/k10010550561000.html

「9日未明、中国海軍の艦艇が、沖縄県の尖閣諸島周辺の日本の領海のすぐ外側にある接続水域に入りました。安倍総理大臣は関係省庁に対し、不測の事態に備え、アメリカなど関係国と緊密に連携を図るとともに、警戒監視に全力を尽くすよう指示しました。
政府によりますと、9日午前0時50分ごろ、中国海軍の艦艇が沖縄県の尖閣諸島周辺の日本の領海のすぐ外側にある接続水域に入りました。
これを受けて、安倍総理大臣は関係省庁に対し、不測の事態に備え、緊密に連携して対処するとともに、アメリカなど関係国と緊密に連携を図ること、さらに警戒監視に全力を尽くすことを指示しました。
また、政府は総理大臣官邸の危機管理センターに「中国海軍艦艇の動向に関する情報連絡室」を設置しました。
政府関係者によりますと、日本の海上保安庁に当たる中国海警局の船が尖閣諸島周辺海域の日本の領海に侵入したり、接続水域に入ったりすることは一定の頻度でありますが、中国海軍の艦艇が接続水域に入ったことが確認されたのは、これが初めてだということです。」

順にご説明します。 

まず接続水域とは、空域でいう防空識別圏(※)に似ていて、領海の外側に設けられた緩衝地帯のことです。 ※厳密には、接続海域は軍事目的を伴わないので性格が多少違います。

まず、その重大さがわからないと、なぜこれが大変に危険な挑発行為なのかわかりません。 

Photo_2http://www.geocities.co.jp/WallStreet/7009/mg000823.htm

「接続水域(contiguous zone, CZ)は、関税、財政、出入国管理、衛生上の国内法令違反の防止・処罰のために、領海の外側の公海に設けられた帯状の海域(基線から24カイリ以内)のこと。海洋法条約第33条領海法第4条による 」(同上)

この水域では、上記目的に限って沿岸国主権による規制が認められています。 

領海と違って、ここに侵入した外国艦船を実力で排除できませんが、逆に言えば、わずかの距離で領海に侵入できるわけで、当該国にとって最後の薄皮一枚のディフェンス・ラインと考えていいでしょう。 

ですから今回、中国がやったことは、国際法(領海法)違反ではありませんが、いわば刃をかざして、私たちの頭上で寸止めにしたと言えます。 

こういう行為を国際社会では、相手を刺激して、事件や紛争などを引き起こすように仕向ける行為、すなわち挑発行為と呼びます。

一般社会でいえはヤクザが、「ごるらぁ、てめぇら、ここはうちの組のショバだぁ。ケガしたくなければ、出て行きやがれ」とわめきながら、刃もの振り回しているようなものです。

まるで極道ですが、あの国は南シナ海や西沙諸島(パラセル諸島)のように、そういうマネを平気でします。

中国はここで日本の海保、あるいは海自と一悶着起こして、ここが係争地域であると世界に宣伝したかったのです。 

さて次に、この侵入した艦船が公船ではなく、中国海軍所属の軍艦だったことの重要性です。 

中国の海警(中国の海保)などの公船の侵入は、今や常態化しています。 

その増加傾向を見たグラフが下図です。 

Photo_5外務省 「尖閣諸島周辺海域における中国公船等の動向と我が国の対処・中国公船等による領海侵入の実態」http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/page24_000162.html クリックすると大きくなります。

「平成24年9月の尖閣諸島国有化後、中国公船による領海・接続水域への侵入が常態化している。今年は9日午前8時までに、領海では延べ15日間で45隻、接続水域では延べ99日間で317隻が侵入している。海上保安庁の巡視船は領海に侵入した中国公船に引き返すよう警告するが、中国公船が逆に「ここは中国の領海だ」と警告し返す“イタチごっこ”が続いている。」
(産経2016年6月9日
http://www.sankei.com/politics/news/160609/plt1606090045-n1.html

今年だけで延べ317隻とは!しかも海保に対して、「お前は侵入している。出て行け」と警告するまでに増長しているようです。

また軍艦を改造した重武装の警備艇も登場しています。
http://www.yaeyama-nippo.com/2016/01/16/武装船-尖閣-常駐-改造軍艦-緊張高まる 八重山日報

Photo_6手前が中国海警。接近寸前で警戒に当たっているのが日本の海保。

そもそも、いきなりなぜ海軍が出ないのか、考えて下さい。

それは海保(コーストガード)同士の原則非武装の揉み合いならば、戦争にストレートに発展しないからです。 

お互いがいわば海上の警察ですから、互いの領海への侵攻の意図はないという大前提に立っています。 

いきなり海軍を出せば戦争になる可能性が高いので、その緩衝として、互いにコーストガードを使っているのです。いわば大人の知恵ですね。

しかし、中国はこのコーストガードの意味をはき違えて、海警を挑発目的で使うという国際社会の掟破りをしています。

そして今回、その危険な挑発の階段を一段登りました。

あろうことか、中国はホンモノの海軍軍艦を投入したのです。海保と海軍では本質的にまったく別次元です。

このようなことを、徴発行為のエスカレーションと呼びます。

しかも今回、ロシア海軍もほぼ同時に、あの狭い尖閣海域に、軍艦を侵入させたので、複雑な状況になりました。

海保を見守るように警戒していた海自艦艇は、接続水域の手前で警告を発しましたが黙殺されました。

「9日未明、中国海軍の艦艇が沖縄県尖閣諸島付近の接続水域に進入したと防衛省が発表しました。また、ロシア軍の艦艇3隻も同じ時間帯に接続水域を航行していたことがわかりました。中国海軍の艦艇の進入が確認されたのは初めてのことです。
防衛省に緊張が走りました。9日午前0時50分ごろ、中国海軍の艦艇が沖縄県尖閣諸島付近の接続水域内に入ったことを、海上自衛隊の護衛艦「せとぎり」が確認しました。
 「今回、中国海軍の軍艦が接続水域に入ってきたのは初めてのことです」(斎木昭隆外務事務次官)
 外務省の斎木次官は午前2時ごろ、中国の程永華大使を外務省に呼び、厳重に抗議を行う異例の対応をとりました。接続水域に入ったのはジャンカイ1級と呼ばれるフリゲート艦1隻。
 「中国海軍艦艇が接続水域に近づきつつある段階から警告を発していました」(河野克俊統合幕僚長)」(TBS6月9日)

侵入した中国海軍の艦艇は江凱I型フリゲート1隻。

東海艦隊所属の「525 馬鞍山」あるいは「526 温州」のいずれかです。この軍艦は札つきの挑発者です。

Photo_7http://hk.on.cc/cn/bkn/cnt/news/20151215/bkncn-201...

この「525馬鞍山」という中国軍艦は、2014年12月7日、12月13日に宮古島のすぐ近くの海峡を通過してみせた前歴もある艦船だからです。

いわば「挑発担当艦」といった役割のようです。

Photo_9

上図は、2014年12月の中国艦隊の航跡です。

12月7日午後には3隻の艦隊が九州南端と種子島間の大隈海峡を通過し、太平洋に抜けました。

12月13日には2隻が宮古島を迂回するような航路を取り、これも太平洋を南に向かいました。

そして今回は、尖閣の接続海域というホットゾーンに侵入したというわけです。これはきわめて危険な戦争挑発です。

政府は深夜にもかかわらず、中国大使を呼び出して強く抗議し、首相も直ちに対応をとるように命じました。

中国側はカエルの面になんとやらで、日本政府の抗議を受けての国防部の報道官の発言です。

「領有権は中国にあるから航行に問題はない」

腹がたちますが、こんな無法国家の挑発には乗らず、粘り強く追い払い、粘り強く抗議し続けねばなりません。

なおこの時期に中国海軍が挑発行為に出た背景には、6月10日から17日にかけて、日本・アメリカ・インドの三海軍による合同演習「マラバール2016」を、長崎県佐世保から沖縄東方の海域で実施する予定だということがあるようです。

中国はロシア艦隊の侵入のどさくさに紛れて接続海域に軍艦を侵入させることで、これを牽制する狙いがあったと思われます。

最後に尖閣を管轄に持つ中山石垣市長は、このように述べています。

「石垣市の中山義隆市長は9日、記者団の取材に「尖閣諸島は石垣市の行政区。これまでも中国公船の侵入は常態化していたが、今回は海軍の船。非常に危機感を持っている」と述べ、国に対し「毅然とした態度でこれ以上エスカレートしないよう対応を取ってほしい」と求めた。
 接続水域ではこれまでも中国海警局の船が相次ぎ航行していたが、海軍艦艇が確認されるのは初めて。ロシア海軍の駆逐艦も同じ時間帯に接続水域へ入っており、中山市長は「このような事態が起こるとは、市を預かるものとして大変不安だ。政府にしっかり対応してもらいたい」と述べた。」(沖タイ6月9日)

まことに、市民の安全を守るまっとうな首長の対応です。

なお、翁長知事と沖縄県は、なんのコメントもありません。平和が大好きな翁長氏とは思えません。

米軍機が事故を起こすと、直ちに抗議する翁長氏が、今回は貝のように沈黙しています。

ダブスタそのものですが、国際社会が絡まるシーンでのこのような沈黙は、容認と受け止められるのをご存じなのでしょうか。

ロシア海軍の侵入と日本側の対応については、長くなりましたので、次回に回します。

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舛添問題と政治資金規正法

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私は舛添問題には、まったくといっていいほど関心がありません。

見ていると頭が痛くなるくらいセコイ。万人向けにセコイ。分かりやすくセコイ。

 こんどはSP連れてスーパーに高級すき焼き肉と高級ワインを買いにいって、払ったのは政治資金から出たビール券だそうで(爆)。

なんつうわかりやすい奴なんだぁ!ほとんどギャグ。

しかし、この機会を逃すとまたこのままになりそうなことがひとつあるので、考えていきましょう。

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この人の「疑惑」はそのセコさとくだらなさにおいて、日本政治史上さん然と輝くものです。

家族連れでホテルに行ったのを、政治資金で落としたことが問題視されています。

それは決まっているでしょう。絶対に、重要な会議に同席した「事務所関係者」は自分の女房に決まっています。

初めからごめんなさい、あれは公私混同でしたと謝ってしまえばいいものを、あの男特有のネチネチとアーでもない、コーでもないと屁理屈こねるから、かえってドツボにはまっていっそう奈落へと転落することになります。

先日書きましたが、この人はメガロポリスの東京都知事でありながら、危機管理が根本的に分かっていません。
※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/05/post-a31a.html

危機は初動で食い止めて類焼を防ぐのが鉄則です。謝るなら謝る。戦うなら戦う。

戦う以上、はじめの記者会見場に、その「同席した事務所関係者」を連れてきて、同席している写真の一枚もだすことです。

それを証拠は出さないで、戦おうとするから、了見違いです。

そもそもあの男の立論自体が、いかにも頭のいいのだけが自慢の人物が立てそうなもので、「法律的には訴追されるものではない」という点に異様にこだわります。

小心なんでしょうな。

舛添氏は「政治資金規制法にはひっかかりませんから、私はクリーンです」と言いたいようです。

はい、おおむねそうでしょう。

しかし、残念。既に国民の関心は、そのような狭義の法律的整合性ではなく、知事の人品骨柄の絶望的醜さに移っているのに、わかんないでしょうね、あのタイプは。

自分のことを東大出でフランスで磨いた、スマートな知性派だと思っているから。

それはさておき、問題とすべきは、この舛添氏が政党交付金や都の税金といった公金で、今回の愚行をしたという点です。

政治資金規制法は、政党助成金や政治家の税金の使途を規制する法律でありながら、根本的にただのザル法にすぎません。

規制対象となっている政党交付金とは、要は国民の税金で、支持政党がどこであろうと一人当たり250円徴収して政党を助成しようという法律です。

今やすべての政党が、この政党助成金に依存しているといってよい状態になっています。

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上図で第1位になったのは民主党(現民進党)ですが、政権交替選挙で大勝したからです。

舛添氏の新党改革も、彼の個人商店のようなものなのに、1億1961万円助成を受けているのがわかります。

次に各党の、政党助成金に対しての依存率を見ます。

飛び抜けて高いのは民主党で、実に82%が税金ですから、もはや「国有政党」といっていいでしょう。
※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/12/post-2273.html

ちなみに、民主党はこれを使わずに繰り越し、繰り越しすることで蓄財してきました。

●総務省HPによる2012年の各党本部の政治資金収支報告書の概要
民主党(収入379億円、支出160億円、翌年への繰越 218億円)
・共産党(収入245億円、支出235億円、翌年への繰越10億円)
公明党(収入191億円、支出136億円、翌年への繰越55億円)
・自民党(収入182億円、支出168億円、翌年への繰越13億円)

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民主党政治資金の379億円の内訳も、政党交付金が165億円、前年度からの繰越額が183億円で合わせると、国からの補助だけで実に9割を越えます。

400億近い金を抱え込んで金庫にしまっているわけですから、そうそう簡単に解党などできないわけです。

解党すれば、国庫へ返還せねばなりませんからね。

これが、最近まで維新合流をめぐって、なかなか民主党が歩み寄れなかった原因です。

民主脱走組が維新に出戻ったのも、この巨額蓄財が目当てです。

この400億がある限り、出直し解党など論外です。

議員は自民党より右の人あり、共産党とまったく同じ人ありで、徹底した議論をすれば分裂しかねないということになります。

特に、政権党として決定的に重要な安全保障や増税といった重要問題について決められないままグズグズと同居を続け、とればとったでご承知のように、年中行事で内ゲバでした。

これが民主が、芯のない綱領不在政党となったひとつの原因です。

この政治資金規制は、盲点だらけのざる法ですから、それを利用する者が多数現れました。

解党寸前に、自分の政治団体に「寄付」してしまって私物化するわけですが、この発明者は、この政治資金規制法の生みの親でもある小沢一郎氏でした。

Photo小沢氏は自分が作った自由党を潰す間際に、ため込んだ政治資金を自分の「改革国民会議」や「改革フォーラム」に「寄付」してしまいます。

このマネーフロー図を見ると、マネーロンダリングよろしく、転々としながら、結局、小沢氏の懐に転がり込むのが分かるでしょう。

その額たるや、実に11億1千100万です。くどいようですが、全部税金です。

タックスヘイブンと一緒で、立派なマネーロンダリングですが、道義的に問題はあっても、政治資金規制法には取り締まる罰則規定がないために合法です。

この縮刷版が、今回の舛添氏です。

舛添氏は都知事選出馬に際し、新党改革を離党しました。問題はその解党前夜です。
※ソース週刊文春による

新党改革解党からの政治資金の流れ
・2014年1月3日、22日・・・自身が代表を務める「新党改革比例区第4支部」に600万を寄付
・    1月28日、31日・・・「第4支部」から、自身の資金管理団体「グローバルネットワーク研究会」に526万を寄付。
・           1月・・・新党改革解散
・       14年7月・・・グローバルネットワーク研究会解散
・       同年   ・・・グローバル研から舛添カ氏個人の資金管理団体「泰山会」へ寄付

典型的な迂回献金の手口です。

かつて小沢氏が11億ころがしたところを、舛添氏は器量に合わせて600万程度を「ころがした」ということになります。そのセコサもいかにも舛添さんですな。

私はこのような政党助成金そのものを、廃止を含む抜本的検討に入るべきだと思います。

そして、もう一点あります。

これは金の「入り」の問題ですが、舛添氏は都知事という、ヨーロッパの中規模国家の財政規模を持つ都知事になるやいなや、連日報道される田舎大名暮らしを始めたわけですが、ここでも税金が湯水のように使われています。

政治資金規制法は、収入についてはそれなりに規制をかけていますが、使途に関してはザルなのです。

長くなりましたので、次回に続けます。

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増税包囲網と「麻生の乱」

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今回の消費増税をめぐっての攻防は、前回の増税攻防より緊迫したものでした。

それは、政権の重鎮である麻生氏が反乱を企画したからです。 

メディアは初めから出来レースのように伝えていましたし、増税回避は既に決まっているかのような妙に白けた空気がマスコミによって作られていました。

メディアには朝日、毎日などのように財政規律派が多く、首相の増税回避にあがく姿を、苦々しく見ていたようです。

しかし、現実には増税回避派は、政権内部においても極小派でした。

よく誤解がありますが、増税回避派は自民党内でも異端なのです。

前々回は安倍氏はこの増税派の包囲網を突破仕切れなかったのですが、今回もまた参院選間際までもつれ込んだ攻防となりました。
※前々回の増税についての関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/8-7c37.html
前回の増税回避について
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/12/post-db86.html

Photogettyimages 

今回の攻防で特徴的なことは、安倍政権始まって以来、初の政権中枢の亀裂だったことです。それが「麻生の乱」です。

政権は外部の圧力では簡単に崩壊しません。崩壊するのは、政権内部が割れる場合です。 

今の安倍政権は、ご承知のように安倍氏と菅氏による、いわゆる「官邸」と呼ばれる力がきわめて強力なことが特徴です。 

自民党サイドは、多数の力で「官邸」を包囲し、意志を押しつけることが出来ないのです。 

今回の消費増税もそうです。谷垣幹事長、稲田政調会長たち自民党サイドは揃って財政規律派、別名、増税派です。 

例の「将来にツケを回すことなく、国の借金を返しましょう」という、財務省がまき散らしたドグマにまだ犯されています。 

お二人とも弁護士ですが、どうも法律家出身は経済が分かっておられない。今、増税したら日本はデフレから永久に離陸するチャンスを逸します。 

今までの弱い首相ならば、与党幹部からこう出られたら、これでお終いです。

首相といっても従来は、派閥力学から生まれた雇われマダムのようなものでした。

ほんとうのオーナーの派閥のボスたちの談合で、政権は運営されていたのです。この自民党独特のすえたような風土が一掃されたのが、今回の安倍政権でした。

彼は、日本できわめて珍しい大統領型首相です。

彼以前に類例を探すとすれば、安倍氏の政治の師匠だった小泉氏しか存在しません。

さて今回は、この自民党増税派以外に、政権中枢と中央銀行からふたりの増税派が加わりました。

麻生財務大臣と、黒田日銀総裁です。 

方や財務の最高責任者、方や金融政策の最高責任者。これで勝負ありです。 

麻生氏は理念的にも、政策選択の上でも「増税断行」派です。 

麻生氏は5月2日から、黒田総裁とドイツで開かれたアジア開発銀行年次総会に出席しました。 

そこで麻生氏が述べたのはこうです。 

「(消費税増税をしなければ)世界で最も進んだ社会保障制度は維持できない」「改革(=増税)には痛みが伴う。反対があるのは当然のことだ」 

この麻生氏の発言は、典型的な増税派の意見で、財務省の意志でもあります。

一国の財務大臣が外国の公的場で、増税断行を明言したのです。黒田氏が横にいたのですから、彼も同じ考えでしょう。

黒田氏は前回の増税時にも首相に増税するように進言していますしね。

黒田氏は、一見リフレ派ですが、ああ見えても財務官僚出身、財務省マインドは大いに残っているのです。

このような麻生氏の発言は、首相の了解を得てしたものではありませんでした。

麻生氏の「オレは筋を通しただけた。文句あっか」という、筑豊炭鉱気質が丸出しになったのです。

もし首相が麻生氏の発言内容を事前に相談されていれば、当然意見の相違が対立となり、この時点で「麻生の乱」が開始されたはずです。

そして続いてサミット本番前段の、5月21日に仙台で開催されたG7財務相・中央銀行総裁会議でも重ねてこう言っています。

「消費税増税は予定通り実施する」

そしてしつこいことには、三度目は5月29日、自民党富山県連政経文化セミナーでの発言です。

「今の状況でわれわれとしてはもう一回消費税を延ばす延ばさないという話をするんであれば、(2014年11月の衆院解散で)延ばすということで信を問うているから、今回は必ず上げるとはっきり申し上げて選挙を当選してきたんだから、延ばすならもう一回選挙して信を問わないと筋が通らんのではないかというのが、私や谷垣さん(禎一自民党幹事長)の言い分だ。」

この発言も衆参ダブル選挙への布石と、メディアは伝えましたが、違います。

実はこの前日の28日に首相公邸で行われた安倍、麻生、谷垣、菅の4者会談で、麻生氏は消費増税の予定通りの実施を求め、さらに延期する場合には衆院解散に踏み切るよう進言していました。

ですから、翌29日の富山県の講演は、政権中枢の秘密会談の内容を暴露したものだったのです。

このように副総理兼財務大臣にして、安倍政権の生みの親を自認する麻生氏が3回に渡って、「増税断行」と言っている重みが、ただの政局アドバルーンなはずがありません。

麻生氏が、増税せねばダブル選挙をして安倍氏を敗北に追い込み、「その後はオレだ。アベが2回目なら、オレだって不完全燃焼だったんだ。もう一回やらせろ」と思っていてもなんの不思議もありません。

というのは、この時点で官邸に上がっていた自民党の独自調査によれば、ダブル選挙をすれば大敗すると出ていたからです。

麻生氏は、公明の反対も知っていて、自民党サイドも消極的なことを知って、ダブル選挙で安倍氏を壁際まで追い込む腹づもりだったのです。

かくして消費増税に反対する安倍氏の包囲網の環は、完全に閉じたかに見えました。 

実は官邸サイドにもうひとり、甘利氏という増税反対派がいたのですが、彼は謀略じみた事件で、半ば政治生命を絶たれて不在でした。 

世間は妙に「増税なし」という空気が常識化していましたが、私はこの時点で、苦渋の表情を浮かべて増税を発表する首相の記者会見の様を、脳裏に浮かべたものです。 

この両者の決着の場は、5月30日夜の、東京・永田町ザ・キャピトルホテル東急内のレストランに持ち込まれました。

時事通信・田崎史郎氏によれば、この「対決」はこのようなものであったようです。

実に延々3時間メシを食っていたそうですが、当然お二方ともいける口ですから、酒も入っていたことでしょう。

田崎氏によれば、3時間の会談で、消費再増税や解散について話し合われたのは初め30分程度だったそうです。

首相は丁寧な口調で増税延期を説明したした後に、ダブル選はしないと、麻生氏に伝えたそうです。

そして首相は、「私たち二人の関係があって初めて、安倍政権は成り立っているんです。最初からそうじゃないですか。総裁選に出た時から」という、憎いひとことを麻生氏に語りかけます。

この言葉は、「麻生さん、あなたはこの政権の生みの親です。今までもそうだし、これからもこの3人でやっていきませんか」という意味でした。

この言葉に麻生はホロリとなったようです。麻生氏は胸襟を開きます。

後の2時間半はこのふたりにしか出来ない、祖父の吉田茂と岸信介の話になったそうです。

こうしてあまりにもアッサリと麻生氏と首相が仲直りしたために、一部ではやらせという声が上がりましたか、たぶんこの流れを見ると違うでしょう。

本来、増税は延期ではなく、凍結とするか、むしろ5%に戻すべきです。

ただし、このような理想論が通じるほど状況は甘くはなかった、ということです。

消費増税派は、ほぼ勝利を掌中にしていて、9回の裏の安倍-麻生会談の動向次第では、増税で決着がついたのです。

※改題し、別に首相を称賛することがテーマではないので、冒頭部分を削除し、大幅に書き換えました。(午前11時)

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ほんとうに翁長与党は「大勝」したのか?

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今回の沖縄県議選の場合、結果とは関係なく、地元紙1面トップは決まっているらしいのです。 

こんなかんじです。中身は一緒ですから、琉球新報の見出しだけ見ていきましょう。 

「県政与党大勝、過半数27議席 沖縄県議選 辺野古反対派は31人」
「知事「大勝利」、辺野古阻止へ重ねて決意 沖縄県議選結果受け」
「県政与党が27議席獲得 翁長県政の安定運営に弾み 沖縄県議選」

もう大本営発表しちゃっていますね。 

本土でも、毎日新聞と朝日はこの調子です。

「これが民意」反基地訴え知事与党大勝」
「翁長知事支える与党勢力、3議席増 沖縄県議選」
 

この報道を見る限り、翁長陣営の完全勝利と見えますね。翁長支持が完勝して、自民党はコテンパンに叩きのめされた、という印象です。 

では、毎日新聞さんによれば「これが民意」だそうですが、ほんとうのところはどうだったのでしょうか。 

党派別議席数グラフです。 

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わ、はは、私は失礼ながら、笑ってしまいました。 

だって、「歴史的大勝利」をしたはずの翁長連合軍は、すべてボロボロなんですから。 

改選前と後の議席数を比較します。

●翁長与党議席数推移
・共産党・・・7⇒6(1減)
・社民党・・・8⇒6(2減)
・社大党・・・5⇒3(2減)
・民進党・・・0⇒0(減りようがない)
                   計5減

与党が増えたように見えるのは、「諸派」と「無所属」が増えたからです。

・翁長支持無所属・・・1⇒9(8増)
・諸派                 ・・・2⇒3(1増)

                                   計9増

一方、野党側をはどうだったでしょうか。

●翁長野党議席数推移
・自民党・・・13⇒13(増減なし)
・公明党・・・4⇒4(同上)
・お維新・・・2⇒2(同上)

以上を見て、「県政与党大勝利」(琉新)、「知事与党大勝」(毎日)と言ってのけられるメディアがうらやましい。

冷静に観察すれば、翁長与党勢力は左翼政党が軒並みに減少しました。

与党が勝ったように見えるのは、既成左翼政党がへこんだ穴を「無所属」が埋めたからにすぎません。

無所属の内実は分かりません。

私の住む地域もそうですが、国政選挙と違って、地域選挙の候補者が支持政党を明確にしない場合は珍しくないのです。

それは、「政治的色眼鏡で見られたくない。オレは地域の利益代表なんだ」という候補者の心理があるからです。

彼らはいわばいわば風見鶏です。

今は県政与党についておくほうが、地元に利益を分配できるから与党席に座っているほうが得という議員も大勢います。

ですから、「無所属」を、上のグラフのようにキチンと区別してしまうのは、ほんとうは難しいのです。

極左もいれば、翁長直参の新風会系もいるでしょう。自民党系も公明党系もいるはずですし、「情勢次第で旗幟を鮮明にする」という人も多いでしょう。

翁長政権与党に区別されても、とりあえず、今は与党についておこうという人たちか主流のはずです。

Photo_2http://www.huffingtonpost.jp/2016/06/05/okinawa-pr...

さて熾烈な選挙戦と伝えられましたが、結果だけ見ればべた凪選挙でした。

投票率は53・31%で、過去最低だった前回から0・82ポイント上がりましたが、低調でした。※最終数値に差し替えました。ご指摘に感謝します。

これだけ米軍関係の失態が続き、怒りの燃料がこれでもかとばかりに投下され、選挙日前夜には、あろうことか米軍兵士が泥酔運転で人身事故。

バカヤローとテレビに怒鳴った、保守の方も全国に沢山いたことでしょう。この私もそうでした(笑)。

全国のメディアが、連日絶叫調で煽ったにもかかわらず、この結果ということは、興味深いことです。

ただひとつ明確に言えることは、翁長氏の政治家としての求心力の急速な衰えです。

たとえば、最大の激戦区だった那覇市・南部離島区を見てみましょう。http://ryukyushimpo.jp/news/entry-292297.html

ここは翁長氏が、那覇市長時代の子飼い2名を立候補させた地域です。

定員数11名に、18名が立候補しています。

自民党は現職1と新人3の計4名を立て、共産党は現職2名を立てていました。

さて結果はというと、

・那覇市・南部離島区
・自民当選  ・・・3名
・共産当選  ・・・2名
・新風会当選 ・・・0

この新風会2名はともに、翁長氏について自民党をやめて、仲井真陣営の切り崩しに奔走したバリバリの翁長直参組でしたが、翁長氏の地元でもまったく歯がたたなかったというわけです。

翁長氏が求心力を持っていれば、たかだか2名の子分くらい押し込めなくてどうします。

このように分析するとわかってくるのは、翁長知事の知事就任当初のカリスマもどきのオーラは消滅寸前だということです。

元来、「オール沖縄」は、まったく政治理念も組織基盤も異なる雑多な集団でした。利害関係がバッティングすることが当たり前なのです。特に、今回のような選挙にはそれがモロに出ます。

さきほど見た那覇氏・南部離島区では翁長氏直参の新風会と、共産党がすさまじいバトルを演じたはずです。

結果は、翁長氏が保守票をあつめられずに惨敗しました。

皮肉なことには、翁長氏がやっているのは共産党と二人三脚であるにもかかわらず、基盤は保守層に頼るしかないのです。

そしてその頼みの翁長支持保守層は、潮が引くように翁長氏から去っていっています。

一見翁長氏が「大勝」したかに見える今回の県議選は、皮肉にも自民の強さを再認識させる一方、左翼陣営の低迷と、翁長氏の凋落を露わにしてしまったのかもしれません。

これだけ強力な米軍の「直接支援」を受けながら、勝てない翁長氏。

これでは地元2紙と全国メディアの「勝った」「勝った」の大本営発表に、頼るしかないのでしょうね。

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沖縄県議選結果

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予想どおりです。米軍によるミラクル級の敵失によって、翁長党は生き長らえることに成功しました。
http://www.okinawatimes.co.jp/special/election2016/kengisen.php

・翁長県政支持・・・27(56%)
・翁長県政反対・・・15(31%)
・中立      ・・・6(12%)
・議席数    ・・・48
・翁長過半数  ・・・24
 

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皮肉なことに、大逆風の中、自民が地盤の固さをみせつけ現状維持を「勝ち取った」ことに対して、翁長氏子飼いの那覇市南部・離島地区で新風会系2名が落選しました。

もはや、翁長氏率いる「オール沖縄」の保守+革新という建前が、今や誰の眼にも偽装表示だと理解されてきたということです。

ところもあろうに、那覇市で新風会が共産に食われて2名も落ちるとは!

翁長氏は「大勝利」と喧伝しつつ、内心は渋い顔なはずです。

概観すれば、逆風下においても保守票は固定化し、翁長直系は衰退し、共産が那覇でトップ当選したようにひとり勝ちの勢いに見えるが、総体としは微減。

社民、社大も微減。民進は蚊帳の外、といったところでしょうか。無所属が増えたのが特徴ですが、個々別々でしょう。

私の素朴な感想としては、この力一杯吹きすさんだ逆風で、よくまぁ自民は現状維持にとどまったな、という感じです。

Photohttp://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-12-11/2014...

お粗末だったのは民進党です。なんの躍進もないばかりか、共産の後塵を排し、共産に食われて、哀れゼロ議席。

だから言っでしょう。共産と組むということは、共産だけが得をすることになるのですよ。

参院選も同じことになりますよ、岡田さん。

Photo_3時事通信

しかし、なんといっても、シンザト事件が醒めやらぬうちに、よりによって投票日前日夜に米兵が酔っぱらい運転で逆走し、人身事故とは。 ダーです。

呆れてものが言えない。これほど雄弁に「オール沖縄」の主張を、よりにもよって米軍自身が裏付けてしまっては話になりません。

この選挙の真の争点は、地元紙が言うとおりまさに「海兵隊の撤収」でした。

このようなシンザト事件のような凶悪な事件が起きた場合、その直後の選挙の争点は自動的にそうならざるをえません。

移転問題はただの目の前の争点にすぎず、それをバネにして、「オール沖縄」はさらにそこを突き抜けて先まで行ってしまったのです。

海兵隊の駐留についての、候補者アンケートを沖タイがとっています。

地元紙得意の政治的アドバルーンで、「こういうふうに、オレらメディアは世論操作していきたいんだが、お前どうだ?」と、聞いています。

このテーマは、地元紙の最大の攻撃目標である海兵隊です。
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=170476

・候補者数       ・・・71人
・海兵隊撤退に「賛成」・・・48人(67・6%)
・反対           ・・・1人(1.4%)
・どちらともいえない  ・・・22人(31%)
・日米地位協定の改訂が必要・・・66人(93%)

政党内訳はわかりませんが、今回の投票結果と比較すると、海兵隊撤退がほぼ翁長県政支持派に重なり、自民はきれいに「どちらともいえない」に重なり、中立は双方に分解したようです。

「どちらともいえない」とは、居てくれないと困るのはよく分かるが、居てくれと言うと風当たりが強くて、選挙に負けるという自民党候補の本音です。

困ったことには米軍は、この県議選、参院選の真の争点が「海兵隊の駐留の是否」だったことに対して、とんと無自覚でした。

ですから、ベース外の飲酒を禁じても、日本社会の常識である飲酒運転が発覚すれば即解雇という厳しい措置をとっていたとは思えません。

というか、シンザト事件の後には、コンディション・グリーン(※)にして、兵隊を表に出すなよ、と言いたいくらいです
米軍用語で、軍関係者の基地外への外出や繁華街への立ち入りなどが禁止される措置。

自分たちの駐留が問われている時にすら、綱紀を締められないないのですから・・・!

もう少し県議会選-参院選まで時間があれば、いくつか打つ手はありました。

まず、基地出入りの業者まで米国籍をもっていさえすれば「軍属」になってしまうという、ルーズ極まる「軍属」規定の厳格化、ないしは廃止です。

SOFA(日米地位協定保護対象者)というステータスが、本来「軍属」には基地で働く米国公務員、教員、特殊技能者だけに適用されるだけにかかわらず、現実には、たとえは基地内のカレー屋(COCO壱の店舗が普天間基地にあります)の店員までが、米国籍すらあれば裏技で取得可能というルーズなことまでわかりました。

本来、「軍属」とは、軍籍を持たずに軍に所属する民間人のことしか指しません。

今回のシンザトのように出入りのインターネット屋などが、「軍に所属」しているわけはないのは明白で、彼はほんとうの「軍属」ではないのです。

しかし、日米地位協定では、基地で開業するカレー屋の店員であろうか、米国籍だけあれば「軍属」と呼んでしまえるという馬鹿馬鹿しい事実が発覚しました。

そして前者の狭義の「軍属」と、広義の「軍属」の境は実にアバウトです。

シンザトがつけていたYナンバーのように、本来、軍人あるいは狭義の「軍属」しか保有できないナンバープレートも、嘉手納基地で申請すればお手軽に取れてしまうありさまです。

メディアはともかく米軍犯罪の範疇に入れたい一心で、シンザトを「元海兵隊員」と呼び、それもどうやら「元」では弱いと分かると、こんどは「軍属だから地位協定内の軍人と一緒だ」と言い出しました。

もちろん、こんなにいいかげんな「軍属」の内幕を、地元紙はよく知っていたはずですが、一行も報じませんでした。

ところで政府は、日米地位協定の「軍属」規定の厳格化を決意したとも伝えられています。

「【シンガポール共同】中谷元・防衛相は4日午後(日本時間同)、カーター米国防長官とシンガポールで会談した。日米地位協定が定めた米軍属の範囲を明確化するため、近く協議に入る方針で合意した
沖縄の女性遺棄事件を踏まえた再発防止策の一環。
地位協定の見直しに踏み込む可能性に関し、中谷氏は明言を避けた。協定改定を求める沖縄の理解を得られるかが今後の焦点になる。協議については、日米の外務、防衛当局によるハイレベル会合で実施することとした。
 会談で中谷氏は、
米軍属の扱いを見直す前提で対米調整を進める意向を伝達。再発防止に向け、監視態勢の強化にも取り組む考えで一致した。」(沖タイ6月4日太字引用者)

つまり、「再発防止」といっても、営外飲酒禁止すら守れない米軍相手にできることは、まず日米地位協定の適用枠を徹底的に絞り込んで厳格化することです。

このていどは本格改訂を待たずとも、外務省得意の「運用」でなんとかなります。

ただし、シンザト事件を運用だけで対応するには、限界に逢着しました。技術的には可能でも、県民感情のみならず、国民感情が許しません。

ましてや日米地位協定の抜本的改訂は、NATO諸国レベルまで同盟関係を引き上げることになるでしょう。

思うより簡単ではありませんよ。

ボン協定があるって?残念ですが、ドイツと日本とは置かれた立場が違います。忘れましたか、ドイツはNATOの中軸国です。

NATOは集団安保体制下の地位協定ですから、「加盟国の地位協定のスタンダードにしろ」というドイツの言い分は通りやすかったのです。

日本はドイツやイタリアと違って、一対一の関係ですから、簡単ではありません。

日米地位協定の改訂交渉は、当然日米同盟のいっそうの双務化を呼び寄せることになるからです。

日本政府が、日米地位協定の改訂に及び腰なのは、これを交渉のテーブルに乗せれば、日米同盟を双務的関係に移行したいという日本側の意思表示だと、当然、米国は考えるでしょう。

つまり、具体的には東シナ海、南シナ海のパトロール、米国のミサイル防衛へのいっそうの協力、駐留経費の負担増などが必須だからです。

現行の日米同盟強化のための安保法制整備すら「戦争法案」と呼んで、15年安保闘争をしていたような野党にはそのような交渉の機微がまったく分かっていません。

政府自身、これ以上の解釈改憲は不可能だと思っている以上、もはや論理的には本格的改憲の途しか残されていないことになります。

私は改定交渉とは、とりもなおさず双務性の増加だと考えています。

そこまでの覚悟が、日米地位協定改訂論者にありますか。

私も改定論者です。「軍属」ひとつ満足に定義できない地位協定は、欠陥条約だと考えています。

現行の地位協定のままでは、シンザトのような凶暴な不良外人の温床になります。

野党は辺野古移転という日米同盟強化策に反対しておきながら、一方では双務化を必然とする地位協定を改訂しろ、改憲大反対ですから、ジレンマならぬトリレンマです。

まぁ、その矛盾に気がつかないとしたら、いや、言うだけですからできるんでしょうが。

いずれにせよ、 日米同盟の双務性は避けて通れない課題でしょう。ならば、地位協定改定交渉と絡めてやってしまったほうがいいと思います。

先日私は、オバマの任期中という楽観をしていましたが、撤回します。

おそらく「次期大統領」・トランプ閣下との、きつい勝負にもちこまれそうです。

※大幅に加筆修正しました。(午前10時30分)

・党派別議席数グラフをアップしました。(午後6時)

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日曜写真館 午前9時の薔薇

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琉球王国が「武器を持たない国」だったってほんと?

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琉球王国とは一体どんな「国家」だっのでしょうか。 

宗教的権威と世俗権力が一体化していたり、サンシンが刀の代わりに床の間に飾ってあった、なんていうイメージが支配的ですね。 

いわば動乱の東シナ海に咲く白百合一輪、それを摘む汗臭い暴漢の薩摩藩、やがて哀れ明治国家という悪逆非道の軍事国家に支配されて皇民化教育のあげく戦争へ・・・、とまぁこんなストーリーでしょうか。 

事実、沖縄の平和団体は、常日頃そう言い続けてきました。 

あまり長い時間それをしつこくリピートしたために、もはや異論を許さない神聖不可侵な9条モードになってしまっています。 

新たな琉球王国の姿を描き出した高良倉吉氏や上里隆史氏などは、気の毒にも歴史修正主義者呼ばわりされている始末です。 

どんな「神話」なのか、ちょっと覗いてみます。
山崎孝史大阪市立大学教授『戦後沖縄における社会運動と投票行動の関係性に関する政治地理学的研究』第4章よりhttp://www.lit.osaka-cu.ac.jp/user/yamataka/08chapter4.pdf

「沖縄平和運動センター76は1995 年の普天間飛行場を包囲する「人間の鎖」行動に際して以下のようなアピール文を発表した。
・声明文 「平和」、「基地」
沖縄はかつて琉球王国の時代に、平和外交を国是とする「武器を持たない国」として、東南アジア諸国を含む広い海域を舞台に長期にわたって中継貿易で栄えた大交易時代を経験した誇れる歴史を持っています。しかし、一六〇九年の薩摩侵攻にはじまり、一八八七年の琉球処分というように、時の権力間の都合によって振り回されるようになりました。また、太平洋戦争では国内唯一の地上戦を強いられ、あまりにも多くの命が奪われました。」(沖縄タイムス1995年5月15日)

これについて山崎氏はこう解説しています。

「15 世紀における非武装の琉球王国は大田(昌秀知事)の歴史認識の中核の1 つであり、彼は「沖縄の心」と呼ばれる沖縄県民の平和主義の起源をその時代にあるとした。」

つまり、太田知事は、琉球王国こそが沖縄の平和主義の起源で、その理想的モデルに戻れと言っているわけです。 

太田氏が信じている琉球王国、武器を持たない丸腰平和国家という通説はこんなものです。

・[通説1]尚真王が武器を捨てて、世界最初の「非武装中立国家宣言」をした。
・[通説2]ナポレオンが武器のない琉球の話に驚いた。
・[通説3]19世紀、米国平和運動の文献に、「平和郷のモデルとしてリリアン・チンという琉球人が登場し、好戦的米国を批判している。
・[通説4]琉球王国は軍隊がなかったために、薩摩藩の軍事侵略に無抵抗だった。

残念ながら、これらすべては事実ではありません。

そもそも尚真王は、非武装中立宣言なんかしていません。彼の在位は1477(成化13年)~1527年(嘉靖5年)です。

「成化」という聞き慣れない元号は、明のものです。琉球王国は、中華帝国の属国でしたから、明の年号を使っています。

琉球王国の繁栄は、明の冊封と海禁体制のなかで、唯一琉球にだけ特権的地位に支えられていたためです。

琉球王国は海産物、硫黄、黒砂糖などの特産品をもち、「僻地」ではなく、東南アジアからインド洋にかけての広大な貿易圏を持つ国でした。

琉球王国は確かに明の属国でしたが、ただの従順な下僕ではなく、明確な自らの意志を持ち、貪欲に栄えることに邁進する、山椒は小粒でもピリリと辛いような国だったのです。

尚真王時代、琉球王国は黄金期を迎えます。 

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では当時の尚王朝(第二尚氏)の時代背景を見てみましょう。 

尚真王は琉球王国が最大版図になった功労者であり、沖縄史に輝く「大英雄」です。 

彼がしたことは、「非武装中立宣言」どころか、真逆の沖縄の武力統一でした。 

時は1500年代初頭、本島を征服した尚は、次の版図拡大を八重山と久米島におきます。 

八重山への征伐軍の規模は、3000余とされていますから、当時の渡海能力からすれば最大限のものでした。

ちなみに1世紀後の、薩摩軍の琉球侵攻時の総勢は3000人、80余艘を使用していますから、ほぼ同じ規模です。

「武器を持たない国」どころか、当時の中華帝国を別にして、東アジア随一の軍事大国だったと言ってよいでしょう。

迎え撃ったのは、石垣島の大浜生まれの遠弥計赤蜂(おおやけ・あかはち)でした。https://ja.wikipedia.org/wiki/

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アカハチこそが、まさに英雄と呼ぶにふさわしい人物でした。

彼は王府の過酷な課税要求に対して島民をまとめ上げて、レジスタンスの戦いを繰り広げます。

結局、刀折れ矢尽きて戦死しますが、今に至るも八重山に深く残る「沖縄」への怒りをまさに体現した男でした。

Photo_6明治20年代に描かれたらしい「伏山敵討」、甲冑を身に着けている『沖縄風俗絵図』より)http://blog.goo.ne.jp/nasaki78/e/d99023d577b22ba4c50214b03e79c3bf

この時期の琉球王府軍の装備や装束は明らかではありませんが、上の「沖縄風俗絵」にあるような甲冑を身につけて、日本刀を持っていたようです。

種子島に鉄砲が伝来する以前に、既に中国から輸入した火矢(ヒャー)という中国式小銃を装備していた資料があります。

ところでこの時期既に琉球王国は、尚徳王(在位1461年~ 1469年)時代に奄美の軍事支配も完了しており、後々まで残る王府による苛烈な収奪政策を残していきます。
尚徳王 - Wikipedia

尚徳王が喜界島侵攻時に動員した兵力は、約2千と言われています。

彼は奄美大島諸島の奄美大島、徳之島、永良部島、与論島などを支配しました
※島津氏との関係についての部分は、資料薄弱なために削除しました。(午前10時)

八重山、奄美の軍事侵攻において、一回につき平均2千から3千人の兵力の海を渡った戦力投射能力が可能な琉球王朝のどこが「平和国家」なのでしょうか。

八重山、奄美への侵攻は別に秘史でもなんでもなく、通史にしばしば登場するのですから、どうしてそれだけの巨大な軍隊を動かす国家が、「武器なき国家」だと思えるのか、逆に不思議なほどです。

これが15世紀末から16世紀前半に至る、尚真王統治の「琉球王国黄金期」だったのです。

貿易による繁栄は国を富ませ、当然武力を充実させていきます

琉球王国がほんとうに「非武装国家」になったのは、1609年の対薩摩戦争に敗れて武装解除されて以降の話です。

しかもこの時期に非武装でいられたのも、薩摩藩が有事に駆けつけてくるという取り決めをしていたからであって、いわば薩-琉安全保障条約を締結したからにすぎません。

このように尚真王時代こそ、明によって許された朝貢貿易による豊富な財源を背景にした、強大な軍事力をもった地域覇権国でした。

平和を叫ぶのはけっこうですし、先祖に誇りを持つこともいいのですが、色眼鏡にもほどがあります。

ほとんど白を黒と言うに等しいではないですか。

しかし、誤解なきように言えば、私はこの尚真王時代を、ある意味批判する気などさらさらありません。

むしろ沖縄人が手にした誇るべき、素晴らしい黄金時代だったと思います。

ただし、それを貿易だけによる繁栄と考えるのは、余りに一面的にすぎると言っているだけです。

ではなぜ、絶頂期前段の尚徳王が、刀狩りをせねばならなかったのでしょうか。

理由は簡単です。権力絶頂期だからできることがあったのです。

第一に、絶対王権に等しい権力を持った尚王府に対して、支配下に置いた者たちの武装反乱を二度と起こさせないためです。

100年早い秀吉の刀狩りです。

第2に、取り上げた武器を王府の武器庫に集積して、武力強化を計ったのです。

「百浦添欄干之銘」(11509年)という史料には、こう書かれています。

「もっぱら刀剣・弓矢を積み、もって護国の利器となす。この邦の財用・武器は他州の及ばざるところなり」

これは従来、琉球王国の「平和国家宣言」と解釈されてきました。

しかし法政大学沖縄文化研究所国内研究員・上里隆史氏は異論を投げかけます。

「(尚真王は)刀や弓矢を集めて国を守る武器とした。琉球の持つ財産や武器は他国の及ぶところではない(他国より金と軍備を持っている)」という意味になるのです。尚真王は武器を捨てるどころか、軍備を強化しているのです。」

どうしてこのような、当時の国際常識だった領土拡張(侵略と言い換えもけっこうですが)に明け暮れた琉球王国を、こともあろうに「世界最初の平和主義宣言国家」と呼べるのか、実に不思議なメンタリティです。

あとのナポレオンがどーした、リリアン・チンという沖縄人(←なんつう名だ)がなんじゃらは、もう論評にすら値しないヨタ話にすぎません。

このような外国人がこう言った、国連がこう言ったという箔づけは、もう止めにしませんか。

自分の沖縄をちゃんと知らなくて、なにが「国連が」ですか。

琉球王国は、当時よくあった強力な軍隊を保有する「普通の国」だったのです。

しかも、ハンパではなく地域に覇をなす強大な

国が富めばその防衛と拡大のために軍隊を増強するのが、当時も今もなお、いわば「国の本能」です。

間違ってはいません。

あれほど富んでいた琉球王国が外敵から狙われない、などと考えるほうが夢想じゃありませんか。

つまりは、尚真王時代の琉球王国黄金期は、富国強兵政策の沖縄バージョンだったわけです。

「強兵」部分をまったく視野からはずし、それを可能にした「富国」である海外貿易のみに狭めてしまったのが、大田知事に代表されるような沖縄の戦後史観です。

これでは、まるで八重山が尚真王の威徳に打たれて進んで支配下に入り、感激の余り自らを搾り取って人頭税を差し出したということになりかねません

あくまでも、琉球王国は自らの版図拡大のために、奄美、八重山に軍事侵攻し、支配下に納めたのです。

このような琉球王国=平和国家という歴史観は、戦後沖縄の非武装中立・平和主義の濃密な空気から生まれました。

歴史検証の前に、「こうあるべきだ」という教条が存在したのです。

時代によって歴史観が変わるのは時の常ですが、自分の父祖の歴史は、尊いと思いつつも、突き放してその光と影を見るべきです。

さもないと、また同じ悲劇を繰り返すことになります。

今日の結論。大田昌秀知事が絶賛する「平和国家・琉球王国」はファンタジー。

正しくは、当時の東アジアで抜きんでた軍事強国でした。

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確かに本土人と沖縄人には同じ血が流れているが

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硬い話が続きましたから、今日は軽い話題で。 

沖縄県民というと、イメージとしては毛深い、骨太、造作がデカイ、そしてもちろん色黒というかんじがします。 

実際住んでみると、BEGINの比嘉栄昇みたいな顔はあんがいゾロゾロいそうで、そう多くはないことに気がつきます。 

う~ん、こゆい顔だね、エイショー。この人の声は、クサクサした時に聞くと、てきめんに元気になります。 

しかし右のギターの島袋優なんかは、目元はちょっと南方系ですが、まぁ関東にもいるよねって感じで、キイボードの上地等なんか、居酒屋で畳イワシ食っていそう。 

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 もうひとつ、なにかと比較される北のアイヌを見てみましょう。

うわ~、こりゃ濃い。よく、沖縄人と似ているといわれていますが、どちらかというとバイカル周辺の北方少数民族系の香りがしますね。 

この人なんか、コーカサスロイド(白人種)風でもあります。 実際に今は否定されていますがアイヌ民族コーカサスロイド説もあったようです。

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ちなみに私の家系のルーツは薩摩でして、仏壇の祖父の写真を見ると完全に栄昇系で、「ジィ様、あなた、ウチナンチューか」と言えるくらい、ポリネシア、ポリネシアしています。

ただし、祖父の代で東京が混ざり、父の代で広島が混ざったためか、いまの私はさほど南方臭い顔はしていません。 

ただ、私の強烈な南方志向には、私の血になんか眠っているもんがあるんでしょうね。 

それはさておき、昔の定説では、沖縄人のルーツは、日本列島にいた原日本人だというのが定説でした。 

1万8千年前の旧石器時代に沖縄本島にいたとされる、港川人を見てみましょう。 

復元図は実は2種類あります。そうとうに違いますよ。 

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お、あんがい平べったいというか、濃いくないですね。

なんか、私と検索で首位を浦添のニンニク屋と争っている(笑)、沖縄吉本のありんくりんの比嘉竜太(左)みたいね。
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かつては、港川人南方渡来説というのもあって、南方系渡来説で復元するとこんな感じになります。
 

うおっ、同じ骨格からなのにまるで別人。濃ゆいなんてもんじゃないですね。

 

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Photo_4この南方ポリネシア系説というのは、太古の昔、黒潮の流れに乗って、クリ舟で琉球弧に渡来せる黒潮の民というわけで、なかなかロマンチックです。 

クリ舟にはイモと椰子の実、なんて想像してしまいますね。 

この人たちが沖縄島で港川人となり、そしてさらに奄美諸島を経て、九州から本土へと移動していったというルートです。 

これが縄文人、ジョーモニアンのルーツだってわけです。 

そして、ジョーモニアン一族を分断するように、大陸からやってきた渡来人、つまり弥生人たちが本土に住みつき、哀れジョーモニアン一族は北と南に泣き別れという説です。 

つまり、沖縄人=アイヌ人=縄文人ということですね。 

個人的には、私はこの説が好きなんです。私の先祖もクリ舟で黒潮の流れで来たのかぁ、と思うとなんか楽しいですからね。 

しかし残念ながら、現代ではこの説は、ほぼ完全に否定されています。 

たしかに、上の港川人はウチナーンチュっぽく見えるんですが、実はここから先の展開の鎖がプツンと途絶えているのです。 

というのは、次に出てくる古い化石は1万年後なのです。おそらく港川人は絶滅したか、混血したと思われます。 

沖縄は骨格化石の宝庫で、石垣島白保竿根田原洞窟などのように新しい発見もなされており、この空白の1万年期間の人骨が出てくる可能性もありますが、いまのところはこういうことです。 

Photo_8勝連グスクWikipedia

 そして、さらに歴史がハッキリしてくるのは、「グスク時代」と呼ばれる時代です。 

歴史はどんっと飛んで、10世紀から12世紀となります。いわゆる北山、南山、中山の三山時代となります。 

上の写真は12~13世紀のグスク時代に築城された勝連グスクです。有名な『おもろさうし』に、当時の繁栄ぶりが歌われています。 

実はいまのウチナンチューのDNAは、この時代がルーツです。 

そして最近の形質人類学や遺伝学の研究の発展で、この時代の沖縄人は知念ウシさんが悔し涙を流すでしょうが、本土日本人の系統だということが分かってきています。 

このグスク時代に、沖縄人の形質は大きく変容しました。 

今までの縄文人亜種の「南島人」的形質が消えて、中世日本人と同一になっていきます。

つまり、従来、定説と見られていた黒潮北上説にかわって、沖縄人はむしろ本土から南下してきたのではないかとする説が有力になってきたわけです。

Photo_10浦添ようどれ

最近、浦添ようどれで英祖王の一族の骨が調査されました。
参考文献 浦添市教育委員会「浦添ようどれ石厨子と遺骨の分析結果について」 

「浦添ようどれ」とは、極楽陵とも言って13世紀に造られた英祖王(在位1260~1299)の墓といわれており、1620年に尚寧王(在位1589~1620)により改修されました。 

ちなみに、沖縄学の父である伊波普猷は、この浦添に首里以前の王府があったと推定しています。 

その結果、王族の顔は中世日本人に近く、顔がのっぺりで平坦ぎみ、やや出っ歯といった中世日本人の形質と近似するものが見られました。 

さらに、中国南部のDNAを持つ者もいたことから、交易で様々な人々が行き来して混じり合っていたことが分かります。 

さらに、現代日本人には見られない東南アジア方面の形質も見つかっています。 

つまり、北から移動した本土日本人の形質をベースとして、中国南部の形質と東南アジアの形質をスパイスていどに加えたのが、現代沖縄人だということになります。 

いちおう念のために言い添えますが、「民族」は、共通の言語、文化、習俗、祭祀、宗教などをベースにして作られます。

日本を見ると海で囲まれているだけにそれが明瞭です。同一の日本語をしゃべり、米作文化を持ち、似た儀礼に従い、天皇を尊崇しています。

ですから、逆に自然と「国家」や「民族」とはこんなもんだ、と安易に考えてしまいますが、世界はそんなに甘くありません。 

同一の民族であったとしても、さまざまな歴史的経緯で別の国家を作るケースなど、世界には掃いて捨てるほどあります。

Photo_92000年から2008年までのデータを基にして、主体となる民族の比率が85%以上の国家は黄土色に塗られている Wikipedia

有名な例としてはドイツとオーストリアは同じドイツ民族ですが、別な国家を営んできました。そのドイツすら内部は小邦に分裂していたのですから、ややこっこしい。

逆に別の民族でも、同じ国家を作る場合もあります。かつての帝国を有していた国々は例外なく多民族国家です。トルコや中国などですね。

沖縄は1602年の薩摩藩侵攻まで、中華帝国に従属し、冊封を受ける琉球王国でした。

これ以降、薩摩藩の実効支配を受けますが、中華帝国との冊封関係はそのままにして琉球王国の外形と、内政は自由を許されていました。

いわば両属的なファジーな存在の国家だったのです。

完全に「日本国」の領土と国際的に承認されたのは、19世紀になってからのことです。

ですから、ここで沖縄人が形質学的、遺伝学的に本土人と同一であったとしても、それは「民族」や「国家」を形作る多くのパラメータのひとつにすぎないわけです。

あくまでも本土人と沖縄人の身体には、同一の日本人の血が流れている、ただそそれだけであって、それをどう考えるかは各々におまかせします。 

書き終わってみると、ちっとも軽くないじゃないか(笑い)。

※参考文献 
・安里進・土肥直美『沖縄人はどこから来たか』
・下地 安広 「浦添グスクと浦添ようどれの 発掘調査から解ること
(Adobe PDF) 
・総合研究大学院大学「日本列島3人類集団の遺伝的近縁性」(2012年11月1日)http://www.soken.ac.jp/news/5276/

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国連を使って「琉球民族自立宣言」を発した翁長氏

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HN「沖縄のおばぁ」さん、ご退院おめでとうございます。お加減はいかがでしょうか。無理なさらないでご自愛下さい。 

伊波普猷ですか。懐かしい。学生の頃、読みました。

沖縄学の先駆者でいながら、戦後、彼ほど不当な評価で葬り去られた人はいないでしょう。そのうち書いてみたいテーマです。 

またぜひ滋味あふれる投稿を頂ければ、幸いです。 

さて、日本という国には奇妙な種族が住んでいます。 

国連大好き族とでも呼んだらいいのか、とまれ何につけ自分たちの政治主張を、国連という世界学級委員会に持ち出す手合いです。 

なぜかって? 

国内では相手にされないので、「国連」ブランドに世界一弱いわが国の特性を利用して、「下がれぇ!頭が高い。この国連の印籠が見えぬか!」とやるためです。 

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慰安婦問題は日本をとことん苦しめましたが、その発端を作ったのは朝日新聞でした。

しかし朝日がやったのは吉田証言と植村記事であって、「性奴隷」というおぞましい言葉を作り出し、それを国際社会に定着させたのは、日弁連の戸塚悦朗という人物でした。 

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 上の写真はデマッターで有名な岩上安身と上杉隆が主宰する自由報道協会のインタビューですが、身内意識のためか自分の奮闘努力のかいあって「世界が性奴隷だと認識するようになったぜぇ」と鼻を高くしています。 

戸塚氏のやり口は、慰安婦問題を当時国際問題と化していたボスニア・ヘルツゴビナ紛争における集団レイプや、民族浄化とまったく同質の犯罪だ、と訴えたことです。 

もちろん欧米は、日本の慰安婦制度なんてこれっぽっちも知りませんから、「そうか、かつて日本軍は韓国女性を20万人強制連行してレイプした挙げ句、全員虐殺したのか」と信じることになります。 

今や火元の朝日すら恥ずかしくて言えなくなったような、まじりっけ無しの純粋デマです。 

しかし、この戸塚氏の思惑どおり国連で取り上げられ、現代奴隷制作業部会(スゴイ名前だね)などで審議された結果できたのが、これまた100%デタラメなクマラスワミ報告書でした。
※関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/post-51a9.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/post-d3cf.html

戸塚氏はこう得意気に述べています

「数多くの国連人権会議に参加して、この問題(慰安婦)を提起し続けた。現代奴隷制作業部会、差別防止少数者保護小委員会(人権小委員会)、人権委員会(人権理事会)には毎年参加した。そのほか、ウィーン世界人権会議(93年)とその準備会、北京世界女性会議(95年)とその準備会など参加した関係国際会議を数えるだけでも気が遠くなるほどの数になった」
(『日本が知らない戦争責任』)

国内では朝日新聞や赤旗くらいしか相手にしてもらえなくても、国連を使えば虎の威を借りるナントカになれる、そう左翼業界の皆さんは沸き立ったわけです。

続々と有名無名の戸塚フォロワーズが誕生します。 その中のひとりが、「オール沖縄」のリーダーのひとりである社会大衆党の糸数慶子氏と、知念ウシ氏です。

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彼女たちは琉装を着て国連に登場しました。仕掛けは充分です。

私は琉装が大好きなので、こういう使い方はカンベン願いたいもんですが、これが国連先住民族世界会議とやらでは受けるということを計算し尽くしています。

ここで糸数氏は、3つのことを言っています。

①日本政府は琉球民族を先住民族だと認めよ。
②先住民族は自己決定権を有する。
③米軍基地が74%あるのが「明らかな差別」の証拠だ。

糸数氏はこの後、2014年10月10日、参院で「先住民族の権利と沖縄の現状に関する質問主意書」を提出し、まったく同じ内容を質問しています。
糸数けいこ公式サイト|国政報告|質問主意書・答弁書|2014/10/10

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そして2015年9月2日、国連人権理事会に真打ちが登場します。翁長氏です。
※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/09/post-d7ca.html

翁長氏は選挙公約には一行もなく、県議会にはかったわけでもない「民族自決」を、糸数氏とまったく同じ文脈で演説しました。
翁長知事の国連での口頭説明(訳) - 沖縄県

「日本の沖縄県の知事、翁長雄志です。
私は、沖縄の自己決定権がないがしろにされている辺野古の現状を、世界の方々にお伝えするために参りました。
沖縄県内の米軍基地は、第2次大戦後、米軍に強制的に接収され、建設されたものです。私たちが自ら進んで提供した土地は全くありません。
沖縄の面積は日本の国土のわずか0・6%ですが、在日米軍専用施設の73・8%が沖縄に集中しています。
戦後70年間、沖縄の米軍基地は、事件、事故、環境問題の温床となってきました。
私たちの自己決定権や人権が顧みられることはありませんでした。
自国民の自由、平等、人権、民主主義も保証できない国が、どうして世界の国々とこうした価値観を共有できると言えるのでしょうか。
日本政府は、昨年、沖縄で行われた全ての選挙で示された民意を無視して、今まさに辺野古の美しい海を埋め立て、新基地建設を進めようとしています。
私は、考えられうる限りのあらゆる合法的な手段を使って、辺野古新基地建設を阻止する決意です。
今日はこのようにお話しする場を与えて頂き、まことにありがとうございました。 」

この発言はきわめて重要ですので、太字部分を理事会で発言した英文ママで表記しておきます。

゛Henoko where Okinawans’ right to self-determination is being neglected.゛をあえて直訳します。

「沖縄人の自主決定権が拒否されているところの辺野古」となります。

まちがいなく、翁長氏は糸数氏とまったく同質同文脈の、「基地が74%集中する」ということを「構造的沖縄差別」ととらえ、「琉球民族の自主決定権」問題として辺野古問題を語り始めたことがお分かりいただけたと思います。

このセルフ・デターミネーション(self-determination )という概念は、県訳がぼやかそうとしているように単なる「県民の自己決定権」のことではありません。

県内ならそれで通じるでしょうが、国連の「先住民世界会議」なる場所で発言すれば、それ相応の意味をもちます。

国際法上の権利用語で、セルフ・デターミネーションとは、そのものズバリ民族の分離・独立の権利を意味します。 

このような重大な言葉を、知念ウシ氏のような分離主義運動家が口にするのは勝手ですが、公人であり、しかも政府との係争事案をかかえている知事が、こともあろうに国連の場で口にした以上、もう後戻りはできません。

すなわち、辺野古問題は既に国と県との基地問題の交渉ではなく、今や<琉球民族vs日本政府>の独立闘争に転換したと、翁長知事は国際社会に発信したのです。

かくして翁長氏は、本来、国の安全保障上の問題として争われるべき移転問題を、禁断の<民族紛争>にすり替えてしまったわけです。

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沖縄の歴史を相対視しよう

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あたりまえなのですが、この「構造的沖縄差別」ほどやっかいな考え方はありません。

解決がないのです。なぜって、それは相手が怨霊だからです。

もともと「民族的怨念」には形がありません。暗がりに潜むマジムン(魔物)みたいなものです。

それにストーリーを与えたのが、沖縄左翼の伝統的「やられた史観」でした。

薩摩にやられた、維新政府にやられた、言語を奪われた、戦争で本土の代わりに犠牲になった、集団自決を命じられた、戦後も米軍に支配されて土地を奪われた、米兵犯罪で苦しめられた、基地を74%も押しつけられた上に、いま、「新基地」をつくられようとしている・・・。

まぁざっと、こんなところでしょうか。

ひとつひとつ見れば論争になることが、このようなストーリーで一括して並べられると、「虐げられし先住民」という絵が出来上がります。

多くの本土人はこれをバーっとまくしたてられると、うつむいて無言になります。かつての私もそうでした。

しかしこのストーリーを沖縄左翼はなにかにつけて政府攻撃に使っていたために、言うほうも言われる方も耳にタコができてしまって、賞味期間切れになりかかっていました。

ここに登場した救いの神が、メイド・バイ部落解放同盟(解同)の「構造的沖縄差別」論という新しい包み紙でした。

中身は一緒ですが、「構造的差別」論の一段パワーアップしたことは、「非和解的」「永続的」だという点です。

解同に言わせると、差別する者と差別される者の立場は、永遠に変わらないそうです。

和解なんてとんでもない、一生、いやこの先何千年も恨んでやるというわけです。

恨まれるのがイヤなら、こちらにおいで、ということになります。

先日書いた、帰依⇒回心⇒法悦という宗教的解放の構造そのままですね。

分かりにくかったら、お隣の国に実例があります。

パククネさんは「日本への恨みは千年たっても忘れない」と言っていましたが、解同が言っていることもまったく一緒です。

ですから、この解同発明の「構造的差別論」を、「千年差別論」と呼んでもかまわないでしょう。

ただ、解同はあくまでも自分たちは日本に住んでいるという点に弱みがありました。

だって「被差別部落」と言っても、今や新住民のほうが圧倒的で、彼らはここが同和地区だなんて知りませんからね。

もう地域差別としての部落差別は、共産党が言う通り過去の話なのです。

そもそもまったく同じ日本人です。その点、「国内植民地」は違います。

国内植民地」という聞き慣れない言葉は左翼運動家が作った造語で、沖縄は日本の軍事侵略で「国内」になったのだから植民地と同じなのだと主張します。
http://web.thu.edu.tw/mike/www/class/Tainichi/data/hokkaido-okinawa.html

え、植民地って海外のものでしょう、と思ったあなたは甘い。

左翼活動家は、とうの昔に、「国内植民地は日本にもあるぞ」、と叫び始めていました。もう10年以上前からの話です。

ちょうど前回に書いた、知念ウシ氏や野村浩也氏が、解同の機関誌に登場する頃です。

解同とその同志たちは、日本で二つの地域を「国内植民地」に指定しました。

ひとつがアイヌ、ひとつが沖縄です。 

こんな解同発の新発明を、沖縄に持ち込んだのが、アイヌがらみの鈴木宗男氏と、彼の盟友にしてハーフウチナンチューの佐藤優氏でした。

佐藤氏は本土ではあの顔で、1日1冊の本を書くという「知の巨人」だそうですが、沖縄に行けばいきなりサヨクに変身するから困ります。

沖縄県民を「国内植民地」で苦しむ「先住民族」として規定すれば、「構造的差別」は永久に残り続けるわけです。

思えば、微妙なところを攻めてきたものです。沖縄に関しては、確かにそう言うなら言えるかもね~、という歴史はあります。

確かに琉球王国は存在しましたし、薩摩藩の侵攻と支配も事実です。

一方、沖縄人は日本人とまったく同一のDNAを持ち、日本語文法と同じ方言をしゃべっています。

簡単に検証してみましょう。

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上の絵は、15世紀、 首里の守礼の門で、中華帝国からの冊封使行列を迎える琉球王家です。

手前が黄龍旗を翻した中華帝国の迎恩使で、輿に乗っています。

「守禮之邦」の守禮とは、一般的な礼儀ではなく、あくまでも中国皇帝に対する「礼」、つまり服従を意味し、「邦」とは小さい国という意味です。

こういうものを2千円札の図柄にするなって(苦笑)。

Photo_5迎恩使に三跪九叩頭の礼をする朝鮮王仁祖 大清皇帝功徳碑の銅板レリーフ Wikipedia

そして琉球王は三跪九叩頭の礼(さんききゅうこうとうのれい)をとることになります。

叩頭とは額を地面に打ち付けて行う礼です。 三跪九叩頭ですから3回跪いては頭を床にたたきつけることを3セットやります。

さぞかし琉球王の額は赤く腫れていたことでしょう。

ちなみに、琉球王がこの迎恩使から賜った「王衣」は、中華帝国の辺境の地方長官のものです。

「輝かしい琉球王国」とは、実はこのような朝鮮と同質の属国だったのです。

沖縄の左翼知識人には、「沖縄だけが悲惨な歴史を背負ってきた」という、屈折した感情があります。

「沖縄だけ特別に苛められた」「沖縄だけだけが苦しみぬいてきた」という被虐的歴史観が常に彼らの意識の底に流れ続けています。

ですから自分の視点を、「加害者」と定めた日本との関係だけに固定化してしまって、<沖縄vsヤマト>という構図から一歩も出ようとしません。

もう少し、アジア世界、あるいは当時の国際情勢の中に沖縄島を置いてみたらよさそうなものにと、常々思うのですがだめです。

琉球王国は1609年の薩摩藩の侵攻で、薩摩の実行支配下に入りました。

これをどのように評価するかは分かれるところでしょう。今回はその評価については置きます。

このような時代にそうなってしまった、としか私には言いようがありません。

ただ、この薩摩の侵攻によって、琉球王国は朝鮮とは決定的に異なった歴史のコースに入っていきます。

それが、中国に冊封されながら、日本に対しても服従しているという二面性が生まれたことです。

これが沖縄を複雑にしている原因である、両属的性格です。

今なお中国を恋い慕う人たちはこう書きます。

「『生きて日本の属人と為るを願はず、死して日本の属鬼と為るを願はず』。生きても死んでも日本とは一緒にならないという激しい決意。
(略)

明治の琉球人にとって清国軍艦は援軍だった。武力で琉球国を併合した明治政府に対し、琉球の首脳らは清へ使者を送って救援を求めている。そして、沖縄側はその黄色軍艦を待ちわびたのだった。」

スゴイね。沖縄タイムス(2005年5月16日)の大弦小弦ですが、これが日本の新聞だとは信じられません。これが典型的慕華思想です。

彼らは、琉球王国が冊封国だった当時の琉球王国を、輝かしい独立国家として見るから、あとの歴史が全部歪んできます。

琉球処分もまた、独自に近代化することが不可能だった琉球王国が、廃藩置県の一環として近代化の途についたとも言えるわけです。

「武力によって琉球処分をした」と沖縄左翼は言いますが、当時薩摩藩が実効支配していたのに、なんで改めて武力行使をする必要があるのでしょうか。

沖縄にとってはただひとつの歴史であることは間違いありませんが、近代化の過程もまた相対視していかねばなりません。

「琉球処分」とは、つまるところまったく同時期に日本全国で繰り広げられていた廃藩置県のひとこまにすぎません。

沖縄だけ「処分」したのなら別ですが、廃藩置県の際は当初、藩をそのまま県に置き換えただけだったので302県もありました。

それら302藩のすべてが「処分」されたのです。別に沖縄だけが特別だったわけではありません。

琉球王国が独自に近代化できなかった最大の理由は、近代国家が持つべき通信、交通、教育、医療といった社会経済インフラの整備にあまりに無関心だったからです。

近代的ビジョンを持った支配階級が、沖縄内部にはいなかったからです。彼らは、こともあろうに滅びようとしている清国に助けを求めて走ったほどです。

これについて前に2回シリーズで書きましたのでよろしかったらお読みください。
※関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/11/post-85e9.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/11/post-2d1a.html 

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上の写真は、サムレー(侍)階級ですが、明治政府は他の本土の藩とは異なって、琉球王国時代の古い土地制度・租税制度・地方制度などを残しながら、新しい国作りをしようとしていました。

彼ら士族階級が没落したのは、全国共通ですが、沖縄においては彼らに生活補助をしています。

奥羽越列藩同盟に加わった多くの北陸・東北諸藩に対しての新政府の苛烈さから見れば、天と地の差です。

方言札は、沖縄左翼定番の怨歌ですが、あんなものは青森など東北にも残っています。

当時薩摩藩と会津の武士は会話が不可能だったそうです。ですから「さよう・しからば」の武士言葉て会話しました。

そのくらい日本には膨大な方言が存在し、統一した共通語がなければコミュニケーションすら成り立たなかったのです。

沖縄語、あるいは沖縄方言は古語日本語から分離した日本語亜種ですが、よく沖縄左翼が言うように「言語を奪った」のではなく、教育による国語の統一こそが、近代国家の基本だったからにすぎません。

そういう言い方をすれば、明治政府は東北からも、北陸からも、いや維新の勝利者であるはずの薩摩からさえ「言語を奪った」ということになります。

現実に、今なおウチナーグチは健在で、新しい言葉を生みながらたくましく生き続けています。私は大好きです。

佐藤優氏は「台湾に先に帝国大学を作っても沖縄県にはつくらなかったから差別だ」とバカなことを言っていますが、帝国大学ができた県など内地で7校、外地で2校だけです。

大部分の県はなかったのです。特に沖縄だけじゃありません。

戦前の沖縄県の教育をアジア全体の目でみれば、沖縄県の水準に達した国はひとつとしてなく、世界レベルでも5本の指に入る高いレベルでした。

いや初等教育の普及は、世界最高水準だったでしょう。

これを「皇民化教育」のひとことでバッサリやるというのは、いかがなものでしょうか。

このように日本の歴史的沖縄政策は、多くの誤りや錯誤を持っていたことは事実ですが、「先住民族の抑圧支配」という見方は、あまりにも一面的です。 

さて翁長氏の政治的信念は、「基地のない沖縄」だそうですが、この中国が歴史的膨張を開始したこの時期にそれがなにを意味するのかは、推して知るべしではないでしょうか。  

なぜ、今このもっとも危険な時期に「離日(米)従中」の翁長氏のようなタイプの政治家が現れるのか、本土の人間には解りにくいと思います。 

しかし長い歴史尺で見れば、かつての中華帝国の冊封国だった韓国と沖縄が、現在の宗主国である米国の衰退を見て、「宗主国替え」を企んだだけだともいえます。 

翁長氏が目指すものは中華帝国から朝貢・冊封国家を受けていた、「琉球王国」の復活です。 

スコットランドが独立をめぐって住民投票して破れましたが、彼らスコッチはイングランドに破れるまで完全な独立国であって、保護国や属国となったことは一度もありません。   

連合王国となってからも、スコットランド民族党(SNP)の歴史は長く、1934年から活動して戦中は大英帝国の協力を拒んで、投獄などの弾圧を受けています。   

このあたりはアイルランド共和国軍(IRA)と似ていて、筋金入りの反英です。 IRAに至っては、大戦中には敵の敵は味方というわけで、ナチと協力していた歴史すらあります。   

イングランドと熾烈な闘いを経て、臣下の屈辱を飲んだ勇猛なスコッチ・ハイランダースが言う「独立」と、「琉球独立」のそれとは本質的に別物です。

つまり、「琉球独立」とは、沖縄の力をつけて自立することを意味せず、かつての中華帝国の属国に戻る「復帰運動」、あるいは沖タイのような慕華思想の産物なのです。

その証拠に、「沖縄差別」こと「琉球独立」派には、自立をめざす経済政策が完全に欠落しているのをみればお分かりになるでしょう。

翁長氏の経済オンチは偶然ではないのです。

経済の自立なき「独立」など空語の極みなのに、それに気がつきません。

いつか大中華帝国が助けに、黄龍旗ならぬ五星紅旗を翻して助けに来てくれると信じているのかもしれません。

古来、アジア圏で唯一、中華帝国にまつろわぬ国がありました。もちろん、わが国です。

このわが国に誕生した唯一中華にまつろいたい人のグループ、それが翁長一党なのです。

■お断り  守礼の門の絵から下を大幅に加筆しまし、改題しました。私の記事のほんとうの「熟成」は夕方なのでしょうか。
一回朝見ても、もう一回見てね。ごめん。

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