中国軍艦 接続水域侵入 中国の意図は「日米vs中露」の対決構図を作ることだった
今回の中国軍艦接続水域侵入事件の衝撃は、ネズミ男の魔力に、打ち消されつつあります。
あんなザコ政治家になんの価値もないのですが、恐るべし、ネズミ男の最後っ屁。
もうこの人は、韓国に亡命するしかないでしょう。
もういいかげん、落ちた犬の正義の血祭りは止めましょうよ。くだらない。
あ、冒頭からナンですが、今、私は「軍艦」と書きましたが、メディアではいまだにこれを「戦艦」と書く所があります。
「戦艦」、つまりバトルシップは、「軍艦」の中の死滅した恐竜族の名にすぎません。
戦艦大和などですね。 今はどこの国も運用していません。
http://blog.livedoor.jp/irootoko_jr/archives/849371.html これが軍艦大和という名の「戦艦」です。
今回侵入した中国海軍「525馬鞍山」(まあんさん/マーオンサン)は、一般名称なら「軍艦」(ワーシップ)、あるいは、戦闘目的の艦艇ですから「戦闘艦」(コンバタント・シップ)と呼ぶべきでしょう。
ロシア海軍も3隻入っていますが、これを「ロシア海軍艦艇3隻侵入」あるいは「ロシア艦隊侵入」とやるのは気の毒で、戦闘艦は1隻+補助艦艇(オグジルリ・シップ)です。
戦闘艦3隻と意味がまったく違います。鈍速のタンカーとタグボート率いて、軍事挑発に来るバカな海軍は世界にありません。
誤報ではありませんが、誤解を呼びます。
大きい順に、戦艦、巡洋艦、駆逐艦、フリゲート、コルベットとなります。「525馬鞍山」はフリゲートに分類されます。ただし、区分は国と時期によってあいまいです。
さてトリビアは終わりにして、戦後日本は軍事など語るのも汚らわしいと、「見ません、見ません」をしてきた毒が、今になって回ってきています。
中国がなぜ、今、ここに軍艦を接続水域に入れてきたのか、少しも真面目に考えている様子が見えません。
今回の事態をメディアは、突っ込むと安保法制が必要な理由が国民に分かってしまうので、卵サンドの領収書に話を逸らそうとしています。
これではせっかく脅迫しに来た中国が可哀相なので、もう少し考えてみましょう。
結論から言えば、今回の事態は、東アジアでの局地紛争を招きかねない危険極まるものでした。
今回の侵入事件に際しての、米国国務省はこう述べています。
「【ワシントン時事】米国務省のトナー副報道官は9日の記者会見で、中国軍艦が沖縄県・尖閣諸島周辺の接続水域へ入ったことについて「懸念している」と表明した。その上で、1972年から日本が施政権を有する尖閣諸島は、対日防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の「適用対象である」と確認した。
副報道官は「情勢を注視し、日本政府と緊密に対応を協議する」と語った。
トナー氏はさらに、北京で6、7両日に行われた米中戦略・経済対話で「航行の自由への取り組みについて中国側に十分かつ率直に話した」と説明。南シナ海の中国拠点周辺に米軍艦を送り込む「航行の自由」作戦を継続すると強調した。」(時事2016年6月6日)
はっきりと米国は、安保第5条の適用範囲である」と言明しています。この国務省の発言の根拠は、オバマの訪日における発言にあります。
写真ブルームバーク
2012年4月にオバマが訪日した際の発言です。
Our treaty commitment to Japan's security is absolute, and Article 5 covers all territories under Japan's administration, including the Senkaku Islands.
日本の安全保障に対する米国の関与は絶対的であり、(日米安保条約)第5条は尖閣諸島を含む日本の施政権下にあるすべての領域を対象としている。
聞き間違えようもなくスッキリと、尖閣は日米安保の第5条下にあって、米国の関与は絶対的だと言っています。
では、その根拠の日米安保第5条です。
※安全保障条約全文http://www5b.biglobe.ne.jp/~USPinfom/anpo1.htm
「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。」
ここで第5条が言っていることを、例によって市民語訳します。
「日本の主権下の領土、領海、領空で、日米いずれかが武装攻撃された場合、自分の国の憲法の規範に則って一緒に反撃しなさい」
素直に読めばこの第5条は、去年あれほど「戦争法」と言われた集団的自衛権の行使にしか読めません。
日本には、建前上の「専守防衛」という奇怪な概念があります。
「誰とも集団防衛を組まず、アタシは守るだけです」、みたいな意味です。
嘘コケです。じゃあ、安保はなんなんですか。しかし、本音ではどう見ても集団的自衛権そのものの安保条約を半世紀も運用してきました。
実はこのフィクションの上に安住していたのが憲法なのですが、現実に憲法解釈を合わせようとするたびに、必ず去年のような「憲法を否定するのかぁぁ。許さん。戦争になるゾぉぉぉ!」というファナティックな反対運動が生まれます。
ですから、現実にこの条文を活かそうとすると、「自国憲法の規定」という部分で引っかかって使い物にならなかったのを、去年手直しして、多少使えるようにしたのです。
では、現実に起きた今回の状況に戻りましょう。
あのまま中国軍艦が南下して領海に侵入した場合、まさにこの第5条が定義する状況そのものになります。
第1に、尖閣は日本国領土です。
第2に、武装した戦闘艦の事前通告なき領海侵犯は「攻撃」の準備と見なされます。
第3に、領海において海自が攻撃を受けた場合、米軍は共同で反撃する義務が生じます。
つまり、あくまで一般論としてはですが、中国軍の領海侵犯は「自衛隊+米軍vs中国軍」の戦闘に発展する可能性があったのです。
あくまで一般論と言ったのは、時の米国政権の政治的意向ではいかようにでも変化するからです。
ちなみに私は悲観論ですが、それはともかく、中国もそれが分かっているから今まで軍隊ではなく海警(=海保)を侵入させてきたのです。
現代における海上戦は、侵入した当該艦だけてはなく、その後方支援部隊、出航基地までも攻撃対象としますから、局地であれ米中戦争に発展する芽がありました。
また、狡猾なことに、中国のフリゲート艦「525馬鞍山」は、ロシア艦3隻のシッポにつく形で侵入しました。
これは朝日がこう言うように偶発的ではありえません。
「政権の意思がどこまで働いていたのか。軍の中枢と現場レベルの意思疎通はできているのか。軍艦の行動が意図的なものか、偶発的だったのかも不明だ」(朝日社説6月7日)
これでは朝日は、「艦長の独断だったかもしれないから騒ぐな」と言っていることになります。
中国軍は他国にない制度を持っています。
それは「政治将校」という共産党員が、艦長よりエライことです。よく中国軍艦は2名の艦長がいるといいますが、あくまで上位は党の監視役の政治委員なのです。
これは中国軍が、国家の軍隊ではなく「共産党の軍隊」だからです。
ですから、時おり艦長の暴走に見えるようなことでも、政治将校の了解を得てやっています。
さもないと、帰港してから処罰を受けてしまいます。
ただし、政治将校は、軍内部の複雑な権力闘争の奴隷ですから、政治将校ぐるみの暴走はありえます。
というわけで、挑発=中央政府の意思かどうかは判然としないケースもある以上、戦争に発展しないように、海軍通報システムを作っておく必要があるのです。
話を戻します。この3隻のロシア艦隊は3月にロシアを出航して、インド洋での国際演習「コモド2016」に参加しているのは、当然中国も知っています。
そして帰途に、この尖閣諸島を南から突っ切ることも予想していたはずです。
ですから中国は、罠をしかけて手ぐすね引いて待ち構えていたのです。
このロシア艦隊の出航から帰港までの3カ月間という期間の長さからすると、今回は艦長・政治将校レベルの「暴走」ではなく、上級司令部と中国共産党中央軍事委員会の命令だった可能性が高いと思われます。
ご存じのとおり、中共中軍委の委員長は習近平です。
この意図は、日米に対して反撃すると中露を相手にすることになるぞ、というシグナルです。
http://ria.ru/defense_safety/20150521/1065714550.html 中露共同訓練におけるロシア艦
既に地中海では、中国海軍はロシア海軍と「海洋協同-2015」という共同演習をしています。
日本ではまったく報道されていないので「N.G.クズネツォフ記念・ウリヤノフスク赤旗・親衛ロシア海軍情報管理局」というなんか冷戦の名残のようなサイトから少し引用します。http://rybachii.blog84.fc2.com/blog-category-62.html
「地中海東部でのロシア・中国海軍演習『海洋協同-2015』活動段階実施の枠組において、連合グループは模擬海上目標(海上盾、模擬浮遊機雷)への実地砲射撃、電波電子戦複合体の実地投射、更には、模擬水中目標への深海爆弾投射が行なわれました。」
つまり、中国が企んだのは、このヨーロッパて作った「米欧vs中露」という構図を、そっくりそのままアジア・バージョンで「日米vs中露」という構図に移し換えたかったのです。
ところが、ロシアは尖閣の領有についてまったく無関心であり、領有権は日本にあると既に認めています。
ですから、危なく共犯にされかかったロシア大使館が即座に、「ご安心ください」というツイッターを出したわけです。
そしてなにより、日本側の素早い対応によって、その中国の意図は挫かれたというわけです。
■大幅に書き換えました(汗)。午後5時
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コメント
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中露間で裏で何らかの申し合わせがあったのかは分かりませんし憶測するしかありませんが、
少なくとも公式に発表されている情報を総合すると、長駆インド洋から訓練帰りのロシア艦艇(もうちょっと離れて通ってくれよとは思いますが)を中国が利用してタイミングを合わせてフリゲートを夜中に送り込んできたとしか思えませんね。それなら今頃プーチンが激怒してそうですが、ロシアとしても北方領土が下手をするとクリミヤ・ウクライナ問題という巨大な火種に直結するので、
「あっちで勝手に騒ぎが起きてくれれば好都合」なのかも知れません。
私は、北方領土については90年代初めの混乱期に「経済協力」の搦め手で実質買い取るか、後のプーチン政権初期に言っていた「引き分け」を真剣に検討して受け入れるべきだったと思います。
残念ながら四島全部の原則をくずさなかった政権や外務省が無能です。右翼に騒がれてはたまらんから…って心境であえて原則論と不作為を通したのかなぁと。
投稿: 山形 | 2016年6月14日 (火) 06時43分
これまで北方領土の日本への返還を妨げてきたのは米国であると考えられます。北方領土の返還を強力に進めていた鈴木宗男氏が政治的に嵌められたのも米国の意向が大きく働いたのでしょう。
米国ではトランプ大統領の可能性も出てきましたが、最悪の場合、日米安保条約の廃棄と言う事態になるかも知れません。
その場合、日本は自力で国を守るに十分な防衛力を整備する必然があります。しかし、これは核武装すれば良いなどと言った生易しいものではありません。日本のシステムは全て米国との連携を前提として作られていますので、政治システムから防衛システムに至るまで、全てのシステムの抜本的な見直しや入れ替えが必要となってきます。
このような困難な状況において、日本の取るべき道は米国以外の国との防衛協力と言うことになります。実効性があるかどうかは別として、その場合に、最短距離にいるのがロシアです。
ロシアから見れば嫌われ者国家である中国と組むよりは、日本と組んだ方が
はるかにメリットがあります。日本と組むと言うことは、それまでの米国の穴を埋める形で自動的に全てのアジアの国々と組むことになります。
北方領土は、永遠に戻ってくる可能性の無い日本政府保有の米国国債との交換方式で買い取れば良いだけの話です。ロシアにとっては利用価値の無い北方領土です。これを日本に返還することで日露間の感情的なわだかまりも解消に向かうでしょう。
これを一番嫌うのは中国であり、欧州でしょう。新モンロー主義のトランプ氏が、これを全く気にしなければ、米国抜きの中欧連合が誕生することになります。米国は益々凋落し中欧連合と日露連合と言う二大覇権勢力により世界は動かされることになるのでしょう。
トランプ氏に国際情勢を読む力があれば、日米安保条約の解消がいかに割に合わない選択であるかが分かると思います。日本政府も日米安保にしがみつくだけでなく、その他の多くのオプションを準備し、国益にかなった道を歩むべきでしょう。
投稿: 愛国命 | 2016年6月14日 (火) 08時22分
> 北方領土は、永遠に戻ってくる可能性の無い日本政府保有の米国国債との交換方式で買い取れば良いだけの話です。
ここの意味分かりにくいのですが。日本保有のアメリカ国債をロシアに上げるという意味か?
投稿: ueyonabaru | 2016年6月14日 (火) 09時26分
愛国命さん。一回書いたのですが、長くなりましたので、明日の記事でお答えします。
投稿: 管理人 | 2016年6月14日 (火) 09時57分
何十年前かの、噂話しで日中露の安保条約の締結つーのが、ありました。北海道、沖縄の港が自由貿易になれば世界が変わる。
ロシア 中国の核の傘下に入り、国連正式加入アメリカがジタンダ踏み悔しがるということだったような。 まっ夢物語りの噂話しです。
投稿: 元本部町民 | 2016年6月14日 (火) 13時03分
戦艦大和はカッコええなぁ。実際にはデクノボーだと
しても、デザインは美しすぎる。ランボルギーニミウラ
級に惚れ惚れしてしまう・・
国際政治は、ワケわからない妖怪が住む世界です。中国
とロシアの関係も、どこまでウソかホントか判りません。
米国だって、ヒョイと中国やロシアと再度連合するかも
しれないのです。ネズミ男が国際政治学者として活躍で
きるのですから、魑魅魍魎が跋扈しているのです。
先の戦争では、外交的に大失敗の連続で開戦やむなしに
追い込まれ、あろうことか独・伊の独裁国に抱きつき、エエ
ようにボコにされて負け、領土も解体されました。
あの間違いはもう絶対にやめてくれ、日本のエリート達よ。
キミらは滅法賢いが、状況判断が滅法甘くて、決断が滅法
遅い。お坊ちゃんなのさ。
文句タレの私ですが、我ら生命は日本政府の方々に頼る
他はございません。ささやかながら納税もしております。
米中露に、又エエようにされないようお頼み申します。
投稿: アホンダラ1号 | 2016年6月14日 (火) 17時23分
お騒がせの舛添要一知事は舛添用無しといわれ辞職に、都民として恥ずかしい限りです。
防衛省を見下ろす場所に民団と韓国学校は出来てしまうでしょう。
防衛省を攻撃出来る場所、凄く脅威です。
ロシアの艦艇を利用した中国海軍、とりあえずロシアは通過しただけなんですね。
先ほど以下のニュースが
防衛省によると、15日午前3時30分ごろ、中国海軍のドンディアオ級情報収集艦1隻が、口永良部島西方の領海を南東に進むのを海上自衛隊のP3C哨戒機が確認。午前5時ごろ、鹿児島県の屋久島(鹿児島県)南方から領海を出た。
何の情報収集なのか、戦闘艦じゃありませんがこれは領海侵犯ですよね。
中国は着々と準備を進めてます、しかし日本国民の多くは無頓着。
投稿: 多摩っこ | 2016年6月15日 (水) 12時19分
>「政権の意思がどこまで働いていたのか。軍の中枢と現場レベルの意思疎通はできているのか。軍艦の行動が意図的なものか、偶発的だったのかも不明だ」(朝日社説6月7日)
これって内乱寸前の軍事大国で外交決着がつかないかもよ、って言ってることになり擁護できてるのか何だかなあ、と思いながら新聞読みました。
領海にまで入りましたね。艦の種類は違うみたいですが。私の大好きな屋久島ロケット発射地の種子島の近くです。今回の政府対応は妥当なのか、調べてみます。
投稿: ふゆみ | 2016年6月15日 (水) 15時32分