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HN愛国命さんのコメントにお答えして 「同盟」っなんだろう?

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愛国命さん。あなたは結果的にではあるが、翁長氏と同じことを言っていますよ。
 

貴兄のいう「防衛協力」あるいは「連合」とは、同盟のことですね。 

ただの経済協力にとどまらず、互いに安全保障という国家の根幹を預け合う二国間関係のことを、「同盟」という名で呼びます。 

当然のこととして、「同盟」には意味と目的があります。 

端的に言えば、仮想敵です。 

仮想敵なき「同盟」など空語にすぎません。 

あなたは、「米国以外の国との防衛協力」といいますが、それは端的に仮想敵を米国にするということです。

それぞれの国には、歴史的、地政学的に仮想敵があります。

中国ならば米国と日本、インド、ベトナム。潜在的にはロシア。(←なんだ周辺国全部じゃないか)

ロシアならば米国とNATO諸国。なかでもドイツ。アジアならば日本。潜在的には中国。

米国にとっては、ロシアと中国、北朝鮮。そして今はテロリスト集団やイランです。 

そして日本にとっては、歴史的にはロシアでしたが、いまや最大の仮想敵は中国をおいてありません。あ,すいません。北朝鮮を忘れていました。 

なぜでしょうか?

それは地政学的に見てこの2国のみが、わが国を侵略する動機を持ち、それを可能にする位置に国があるからです。

脅威の度合いを測定する公式を国際関係論では、「脅威=能力+意思+距離」だと教えています。

この中露2国はこの3要素を、すべてなんらかの形で兼ね備えています。

だから日本にとっての悪夢は、中露同盟なのです。

一方、米国には「意思」が欠けています。

同盟関係にある以上、侵略的方法に頼る必要がないのです。

だから、私たちの国は安全保障の同盟国に選んだのです。

現在、南西方面の緊張が高まっていますが、それにもかかわらず、北海道には第2師団と第7師団という陸自の虎の子師団を張り付けています。

Photo_4日本の唯一の機甲師団である第7師団

その理由は、いつなんどき対露関係がどう転ぶか判らないからです。 

日米同盟が半世紀の長きに渡って存続しているのは、もちろん民主主義という政治体制や理念の共有もありますが、なにより日本が米国と仮想敵を同じくする強い利害関係があるからです。

それを忘れないようにしてください。 

ですから、日本が貴兄がいうようにロシアと「日露連合」をするということは、すなわち米国、及びその同盟諸国と敵対関係に入るということを意味します。 

そうなると、オセロゲームのように敵味方が入れ替わって、ロシアの同盟国、ないしは友好国が、日本の同盟国と友好国になります。 

つまり、ロシアは同盟国なのは当然として、友好国としては中国、及び北朝鮮です。

ブラックジョーク以外何者でもありません。 特に沖縄県にとっては。

だから、私は「結果として翁長氏がめざすものと一緒だ」と言いました。 

貴兄はこういう国際政治力学を分かっていて、「日露連合」を提唱しましたか。 

ロシアとの同盟など300パーセントありえません。

そんなものをするくらいなら、私は大反対ですが、ueyonabaru氏がチラっと言っていた独自核武装のほうがよほど現実的です。 

これはこれで、核武装の方は技術的現実性がそうとうにあるだけに、考える材料にはなります。

ちなみに、外貨準備は外交カードになりませんよ。 

日本はしこたま米国債を持っていますが、それは日米安保の担保みたいなものです。 

ですから、米国債をロシアに譲渡するなどということになれば、日本は日米同盟を一方的廃棄する宣言に等しいのです。 

それも、ただの同盟の終了ではなく、敵に寝返る裏切り行為だと思って下さい。 

ですから、寝返った奴の持つ国債など、米国は手放した瞬間、電子的に無効化して、断じてロシアには手渡さないでしょう。 

あなたが言うように、米国債は日米同盟が存続する限り「永遠にかえってこない」担保のようなものなので、それでいいのです。 

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そもそも領土を「買い戻す」という発想自体が、プーチンには通じません。 

上の写真のように、「おまえはなにを言っているのだ」とやられるのがオチです。

時々、スプートニクには、プーチンが「北海道を買うぞ」などという景気のいい大ボラが載りますが、「買う」のはともかくとして「売る」などというのはありえません。 

彼は、貴兄の構想のように「クリル諸島(ロシア呼称)を日本にカネで売った」と呼ばれるのを、極端に嫌います。

なぜなら極右的民族主義を鼓吹するのが、彼の脅威の支持率90%の秘訣ですから。 

米国債と交換したと国民にバレた瞬間、クーデターが起きますよ(笑い)。

日本としては現実的には、シベリアや沿海州の経済支援をして、そのパッケージのひとつとして「2島返還・2島潜在主権あり」ていどの平和条約締結ならあり得ると思いますが、モロにカネ、ないしは米国債をだしたら、ジ・エンドです。 

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ちなみに貴兄は、「ロシアにとっては利用価値の無い北方領土」と書いていますが、間違いです。

北方4島はロシアの核戦略の要衝です。

少し説明します。

ロシア太平洋艦隊の原潜基地のあるペトロパブロフスク・カムチャツキーから出航すると、必ず北方4島の間を通過します。

ロシア太平洋艦隊の弾道ミサイル原潜(SSBN)部隊は、オホーツク海のパトロール海域や、ウラジオストクのメンテナンス施設に入るためには、必ず千島列島を通らねばなりません。

しかし、その大部分は冬期には氷結してしまう上、原潜が潜航したまま通航できる海峡となると、北方領土の国後水道などのルートに限られてしまいます。
※ウルップの横の水深が深いので、ここを通過すればいいという説もあります。 

ロシアが軍事面で北方領土に拘る理由は、この国後水道にあります。 

国後水道は、国後島と択捉島の間にある水道で、水深が最大で484mと深く、冬でも凍結しないため、ウラジオストクを使用するロシア太平洋艦隊、特に戦略原潜の通り道として重要なのです。  

ただし、日本はロシア艦隊の津軽海峡を通峡をゆるしていますし、かつての冷戦時代のような何がなんでもロシアが国後水道にこだわる必要性は少なくなっているのは事実です。
 
逆にいえば、日本がロシアを封じ込める必要性も少なくなくなっていて、そこに交渉の余地が残されているわけです。
 
日本側が国後水道を国際海峡として指定し、ロシア艦の通峡を妨害しない、米軍基地は置かないと約束すれば、ロシアが「面積等分案」を呑む可能性もありえます。

北方4島のロシア空軍・陸軍の主任務は、この原潜の航路防衛のためにいるのです。 

またもう一点、北方領土は北極海航路に抜けるルートに位置しています。

Photo_2『ロシア連邦国防省公式サイト』より。ロシア連邦軍東方軍管区広報サービス発表
2012年12月24日配信
【原子力水中ロケット巡洋艦「オムスク」は遠距離航海からヴィリュチンスクへ戻った】http://rybachii.blog84.fc2.com/blog-entry-555.html?sp

また近年、北極の氷の減少に伴って、北極海航路がヨーロッパとロシアを結ぶ最短航路として注目されているのはご承知のとおりです。 

通常の水上艦船が、一年を通じてロシア極東部から北極海航路に入ろうとすれば、あるいはその逆ルートでも、氷結しない北方領土付近の航路を通過するしか航路はないのです。 

これはロシアだけではなく中国も一緒です。中国は今まで何回も述べているように、沖縄諸島によって太平洋への出口を日本に塞がれています。 

ですから、ここを通らずに日本海を抜けて北方領土の間を縫って太平洋にでるか、あるいは北極海航路へと向かうルートはきわめて魅力的です。 

Photo_3中国北極観測船「雪龍」

中国は2000年代から艦船をオホーツク海方面に進出させはじめ、2012年には北極観測船「雪龍」がカムチャッカ半島南端を通って北極海に進出し、ロシア以外で初の北極点横断を行いました。 

また中国は北極資源に強い関心を持っていて、北極海航路の西側の出口であるアイスランドへの進出を進めています。 

このように北方4島は一見荒れ果てた漁業しかないような島にみえますが、ロシアにとっては手放したくない戦略要衝の島なのです。 

ですから、日本が北方領土交渉を「3島」あるいは「面積二等分」で行い、そのような形で妥結に持ち込んだだけで、日本は東シナ海とオホーツク海の2カ所で中国のチョークポイントを握ることになります。 

米国が北方領土返還に反対したなどというのは、どこで聞いたヨタ話でしょうか。 

このような北方領との重要性を知れば、米国が返還を望まないほうがおかしいと思いませんか。鈴木宗男氏と佐藤優氏の国策捜査は、もっと別の理由です。 

トランプがいかに脳天パーでも、私たちは根気よく米国を説得するしかないのです。 

かつて私たちの国は、ドイツというもっとも選んではならない国と同盟を結んだために、国を滅ぼしました。 

この轍を二度と踏んではなりません。 

また、日露同盟など結べば、日本のみならず、アジア全域に大変な余波がでますが、長くなりましたので、それは省略します。下の関連記事をご覧ください。 

貴兄がおっしゃるように、「多くのオプションを準備し、国益にかなった道を歩むべき」だと私も思いますが、残念ですが選択肢はそんなに多くはないのです。

■関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/04/post-7249-1.html

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沖縄問題」カテゴリの記事

コメント

脱線のきっかけは昨日のオイラのコメント後半からですね。失礼。

愛国命さん。
まあ、大枠はこの記事の通りだと思います。
ロシアを牽制して(大戦末期にスターリンが北海道を分割統治しようとしたし)北海道には兵力を割くしかないわけで、しかも中国が経済力をつけて軍備大拡張したおかげで南西方面が騒がしくなってきたので、予算がピイピイの自衛隊は苦労してます。
これでトランプがアメリカ大統領になったら悪夢ですね。核武装は認めてくれるそうですが。

Ueyonabaruさんの言う日本核武装論。気持ちは分かりますし技術的には充分可能ですが、NPT脱退をはじめ国際的信用がガタ落ちになりますから、いくら核兵器がほしいといっても困難で、国際的孤立化を招くリスクを考えれば現実的には無いだろうと思いますけどねえ。
現実的には反核・反戦団体はもちろん、ほとんどの日本人は反対するでしょう。


仮想敵国。
一応公式には無いことになってますが(30年前の中曽根総理答弁)、
仮想敵国A:ソビエト
B:中国
C:北朝鮮
なのは昔から公然の秘密です。

投稿: 山形 | 2016年6月15日 (水) 05時42分

コメント欄で意見表明するつもりはなかったのですが、もしそのような形になったのならお許し下さい。

管理人さんのご意見、ごもっともです。日本は土下座してでも、どんなにコストをかけてでも、アメリカとの同盟関係を維持すべきなのでしょうし、それが最も安全で確実な方法ではあります。

しかし我々が考えるべきは、英国のEU離脱問題、難民問題、TPP不成立問題、宗教戦争などグローバリズムから内向きの一国主義への回帰と、確実に保守化の方向に向かっています。アメリカのトランプ氏、フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ氏、はたまた沖縄の翁長知事もそのような意味では超保守であり、世界情勢や日本国内情勢の不安定化に一役かっています。

一方、覇権主義を強める中国ですが、ここも共産党政権がいつまで維持できるかです。最も可能性のあるシナリオは、内戦により4分5裂していくことですが、これも世界情勢を不安定化させる一大要因となるでしょう。

ただ一つ、確実に言えることは、どのような事態になっても我々は日本の安全を守り切らなければならないと言うことです。そのためには、あらゆる可能性を探っておくことが、非常に重要だと考えます。海洋国家である日本は非現実的でしかない核武装以外の方法で国土防衛を考えるべきでしょう。

いずれにせよ、中国とロシアの軍艦が尖閣の領海近くを通過したと言う話題から脱線してしまいましたが、これ以上は長くなるので止めておきます。

投稿: 愛国命 | 2016年6月15日 (水) 08時31分

 日米同盟の意味、よく分かりました。日米同盟は維持しつつも核保有は考えておかねばならないと思います。世界のお付き合いもありますので、がむしゃらに核保有へと進むことは不可能でしょうが、中国の恫喝、北朝鮮の核開発など周辺状況は厳しいものがあります。もう、準備を進める必要はないでしょうか?

 ロシアとの平和条約締結など、ロシアを味方にすることも必要だと思いますね。

投稿: ueyonabaru | 2016年6月15日 (水) 20時20分

日米同盟ありき、ではなくいろいろなオプションを検討すべき、という愛国命さん意見はわかりますよ。日ロ同盟が可能かは別として。

そもそも日米同盟が外交の主軸と考えがちだけども、日本の外交は昔から対中国が主で、米国との関係は対中国との関係性から選ばれる従と思います。
太平洋戦争だって、中国との関係性からアメリカとこじれたのがきっかけだし。
対米ではなく中国のハンドリングが日本外交の肝かと。

中国との関係次第で日米同盟だってどうにでも転ぶし、中国と敵対しているうちはロシアと決定的に対立は出来ない。

そういう意味でアメリカが1番恐れているのは、アメリカを仮想敵とした日中同盟の成立じゃないかなあと。
日本にはその意志も能力もないから有り得ないけども。

投稿: やす | 2016年6月15日 (水) 22時26分

やすさん、部分的に同意です。
ただ、中国と距離を取っている時期の方が日本国内は内政が落ち着いていた実績があると考えます。中国が内乱する際には日本ほ距離を置く、というのも歴史的に繰り返されてきた事ではないでしょうか。

投稿: ふゆみ | 2016年6月15日 (水) 23時19分

同盟の話、非常に勉強になりました。

現在、日米同盟を基軸にするのがベストであるというのは、ほぼ全ての人が認めるところだと思います。

ただ、愛国命さんのおっしゃるとおり、どのような事態になっても、日本の安全を守り切るためには、将来的に、あらゆる可能性を排除すべきではないと、私も思いました。

現在の状況から、劇的変化があるかは分かりませんが、10年20年のスパンで考えれば、大規模な変化は十分考えられます。

非常時に慌てることのないよう、常日頃から偏らずに、あらゆるチャンネルを構築しておくことは重要だと考えます。

いつもですが、管理人さんの御意見は、含蓄が深くて勉強になります。愛国命さんの御意見も、納得できることばかりで勉強になります。
お二人に刺激されて、私ももっと本を読まないといけないなあと思わされます。

投稿: がんばれ日本 | 2016年6月15日 (水) 23時20分

ふゆみさん

距離が近いとか仲がいいから日本外交の肝、と言いたいのではなくて、中国との関係性が日本の外交スタンスを決めてきた、ということを言いたかったです。関係が良い、悪いは関係なく。

中国と敵対している今でも、日本外交の肝は対中関係が主と思うのですよ。
だから日本にとっての諸外国との同盟ってなんだろうと考えると、対中関係で決まるものと定義されるのではと。

日米同盟も、その関係性の中から得られたひとつのソリューションであって、日本外交の主ではないのだろう、あくまで対中関係から導かれた従な関係なのではと思うわけです。

なので、愛国命さんの、日米同盟ありきではなくあらゆるオプションを、という考えもそのとおりだなあと思った次第です。

投稿: やす | 2016年6月15日 (水) 23時37分

あ、だからといって日米安保破棄しろ、とか
中国と同盟しろ、ということを言いたいわけではないので。

今の対中関係を考えたら日米同盟を結ぶのは当然ですので。

投稿: やす | 2016年6月15日 (水) 23時40分

やすさん、理解できます。私も歴史を参考にするならば過去の距離感も押さえておくべきかと、という意味で書いています。
グローバル化する時よりもブロック化・保守化が進む際にこそ、外交窓口は広く柔軟に緊密にとる姿勢が必要で、またそれが韓国のような裏目に出ないよう態度を注意する必要があるのかと思います。

投稿: ふゆみ | 2016年6月16日 (木) 00時06分

ロシアと組んだって、北方領土なんて帰ってこないな。
取得時効みたいなもんで、既にロシア系住民が生まれ育ち故郷と化している。
無理矢理返還なんて事をすれば、クリミア半島の二の舞になるかもね。
日本の保守と言われる連中は、日本政府も含めて米軍依存、本土で反対運動が起きるからといって沖縄に米軍基地の大部分を押し付けて臭いものに蓋。
相変わらずの日本政府の対応には、うんざりだ。
この際、米国大統領がトランプのような変人でも構わない、日本から米軍撤退するような事態になれば、分からず屋の日本政府には良い薬になるし、日本が自主防衛へ舵を切るきっかけ、変革のきっかけになる。
いまだに日本は外圧によってしか変わらないってことかもね。
それはともかく、6月19日は、沖縄県民大会、沖縄県民は、参加して米軍を追い出す圧力をかけましょう。
私は、県民大会初参加。

投稿: ゼノン | 2016年6月16日 (木) 01時55分

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