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2016年6月13日 (月)

中国軍艦接続水域侵入事件 見事だった日本政府対応

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中国軍艦が接続水域に侵入するという、国民の安全が直に脅かされる事態というのは、いろいろなことをあぶりだします。 

時系列をおさらいします。 

まずはロシア海軍で、次に時を置かずに中国海軍が接続水域に侵入しました。 

改めて、接続水域を押さえておければ、領海のすぐ外縁に設定されている緩衝地帯のことです。領海のいわば外皮みたいなもんです。 

公海ですから航行は原則自由ですが、国際社会では、領有権紛争がある地域の緩衝地帯に戦闘艦を侵入させることは、戦争の挑発だと見なされます。

・8日夜~9日未明  ・・・・ロシア海軍3隻が接続水域に侵入
・9日午前0時50分頃・・・中国海軍の艦艇が接続水域に侵入

この海域を警備していた海自の「せとぎり」は、中国の戦闘艦「525馬鞍山」が接続水域に侵入しようとしているのを発見し、警告しながら追尾しています。 

Photo海自護衛艦「せとぎり」 

525_5「525 馬鞍山」 中国海軍のお宝新鋭艦

これは、横須賀の護衛艦隊司令部を経て、政府に救急報告されました。 

ちなみに、在日米軍も海自と情報を共有していますから、この時点で在日米海軍も状況の推移を見守っていたことはいうまでもありません。 

一方、政府の対応です。

・9日夕方・・・管官房長官記者会見。「わが国の領土・領海・領空を断固、毅然と、冷静に守る」。河野統幕議長「(領海に侵入する)そういう事態にならないようにしたい。万が一そうなった場合は、それ相応の対応はする
9日夕方(時刻不明)・・・NSC(国家安全保障会議)4大臣会合を開き、統合幕僚本部から状況報告と情報の分析結果の報告を受ける
・9日7時頃(?)     ・・・山形県に訪問していた首相も加わってNSC会合
・9日夜(時刻不明)   ・・・帰京した首相、「不測の事態に備える」ように指示
・9日午前2時頃     ・・・齋木外務事務次官が程永華駐日中国大使を外務省に召致し、重大な懸念を表明して抗議

デュアルタイムで、海自・在日米軍、官邸、外務省が連動しているのがお分かりでしょうか。

このような、ひとつ間違えば局地戦に発展しかねない状況について、もっとも重要なことは、情報の一元化と共有化です。

今回、海自は万が一の場合、在日米軍をバックアップにつけて、海上警備行動に移らねばならない「不測の事態」も大いにあり得たわけです。

ですから、海上警備行動を発令できる官邸と内閣に対して、即時に情報を上げて判断を仰がねばならなかったわけてす。

今回はこの連携が見事に取れていましたが、これをあたりまえだと思わないで下さい。

今までは、たとえば阪神淡路大震災時の村山氏のように、テレビで震災を知り、「ワシゃ何するんじゃ。初めてだからよーわからん。あ~下痢がぁ」と部屋にヒッキーしてしまった首相もあったのです。

村山氏は極端な例だとしても、常時危機事態に対応できる司令組織が欠落していたのが、わが国でした。

カン氏などに至っては、福島事故において暴走につぐ暴走。

専門家を排除し、自分のかつてのゲバ友達を内閣参与に仕立てたり、現場指揮にまで介入し、「海水注入を止めろ」という常軌を逸した「命令」まで出す始末でした。

本来緊密に連携すべき東電とは、共に天を戴かざる関係にまで敵対し、とうとう東電説教突撃までやる始末でした。

前者は無能、後者は狂気。

だいたいこういうなってはならない人が首相をするときに限って、決まって大規模な災害が起きるものです。

このような首相の恣意に振り回されない国家的危機管理の一元化システムが、今のNSC(National Security Council国家安全保障会議)です。

1024fig2https://www.komei.or.jp/news/detail/20131024_12501

今回もこれが活躍しました。

「国家安全保障会議」では、会議に情報を上げる前に、NSC事務局が各省庁の情報を取りまとめます。

情報を簡潔に「4者会合」に提供することで、迅速で効果的な判断を下せるようにするわけです。

従来はNSCの代わりに「安全保障会議」がこの機能をしていました。

この限界が露呈したのが、2013年1月のアルジェリアで日揮の社員10名が殺された事件でした。

この時の「安全保障会議」には、財務大臣や経済産業大臣、国土交通大臣、総務大臣などの、どう見ても「防衛・外交問題」とは関係のない大臣やその職員が入っていました。これでは緊急の対応措置はとれません。

しかも構成員が多すぎて、参加する各省庁が縦割りで情報を抱え込んだりしたために、イザという時にうまく機能しませんでした。

NSCは参加者を絞り、強い判断権限をNSCに持たせることを狙っています。

米国にも同名のものがありますが、あれと比べると大人と赤ん坊ほどの差がありますが、国家の重大危機に際しての情報の集中と分析、指令はここに一元化されたということ自体、画期的なものです。

よく「特定秘密保護法案」とからめてスパイ組織を作るきだろうとかいう人がいますが、ゼンゼン関係ありません。

さてNSCは通常、議長を首相とし、官房長官、外相、防衛相の4大臣で会議をしますが、状況次第で増員することが可能です。

今回は統合幕僚長という、自衛隊トップが臨席しており、状況を説明したと思われます。

Photo_2河野統合幕僚長。カウンターパートの米国統合参謀本部議長と。

さて、今回NSCでの首相の発言です。

「不測の事態に備えろ」

この指示は、なにを意味するのでしょうか。これはさきほど述べたように、中谷防衛大臣と河野統合幕僚長にとってきわめて重い指示なのです。

つまり、首相は、「万が一の場合、海上警備行動を直ちに発令するから、実力で対処することに備えよ」と述べているのです。

これは、去年5月14日閣議決定「我が国の領海及び内水で国際法上の無害通航に該当しない航行を行う外国軍艦への対処について」を下敷きにした対応です。

525_3防衛省・自衛隊|平成27年版防衛白書 http://www.mod.go.jp/j/publication/wp/wp2015/html/...

やや長文ですが、こういう時でもないとアップできないので、欄外に掲載しておきます。

河野統合幕僚長は、幸い海自出身で護衛艦隊司令を歴任していますから、この首相の指示を受けて、護衛艦隊は秘かに出動準備態勢に入ったはずです。

そして、弱腰で有名な外務省も深夜2時という時間に、外務次官・斎木昭隆氏が程永華駐日中国大使を召いて、異例の抗議をしています。

この深夜に緊急呼び出しをかけるというのも、日本側がいかにこの事態に対して怒っているのかを、ツラの厚さでは世界有数のかの国に分からせる手段です。

中国外務省はよくくだらないことで、駐中日本大使を深夜に呼び出しますから、さぞかし外務省も溜飲が下がったことてしょう。その時に斎木氏はこう述べたそうです。

「私が深夜に呼ぶのは初めてだ。それだけ事態は深刻だ。勝手な振る舞いは許さない。今後このようなことが起これば必用な行動を取る」

おお、外務省もやれば出来るではないか(パチパチ)。戦後日本対中外交史上特筆ものです。

ここまで怒られた程大使は、珍しく殊勝にも、「エスカレートを望んでいない」と弱々しく返事をしたそうです。

中国外交部にはなんの権限もない弱小官庁にすぎませんが、中国が東南アジア諸国に対して行っている嫌がらせといたぶりが、わが国には通用しないことていどのこと理解したことでしょう。

                    ~~~~~~~~ 

2015年5月14日閣議決定
「我が国の領海及び内水で国際法上の無害通航に該当しない航行を行う外国軍艦への対処について」

http://www.mod.go.jp/j/publication/wp/wp2015/html/ns008000.html

「1.事態の的確な把握
我が国の領海及び内水において、外国軍艦が国際法上の無害通航に該当しない航行を行う可能性がある場合、事態を把握した海上保安庁又は防衛省は、内閣情報調査室を通じて内閣総理大臣、内閣官房長官、内閣官房副長官、内閣危機管理監及び国家安全保障局長(以下「内閣総理大臣等」という。)への報告連絡を迅速に行うとともに、速やかに内閣官房、外務省その他関係省庁にこの旨を通報し、相互に協力して更なる事態の把握に努める。
 

2.事態への対処政府は、我が国の領海及び内水で国際法上の無害通航に該当しない航行を行う外国軍艦に対しては、国際法に従って、我が国の領海外への退去要求等の措置を直ちに行うものとし、いかなる不法行為に対しても切れ目のない十分な対応を確保するとの観点から、当該措置は、自衛隊法第82条に基づき海上における警備行動を発令し、自衛隊の部隊により行うことを基本とする。
この際、防衛省、外務省及び海上保安庁は相互に緊密かつ迅速に情報共有し、調整し、及び協力するものとする。
 

3.迅速な閣議手続等
(1)我が国の領海及び内水で国際法上の無害通航に該当しない航行を行っていると判断された外国軍艦への対処に関し、海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持のため特別の必要があり、自衛隊法第82条に規定する海上における警備行動の発令に係る内閣総理大臣の承認等のために閣議を開催する必要がある場合において、特に緊急な判断を必要とし、かつ、国務大臣全員が参集しての速やかな臨時閣議の開催が困難であるときは、内閣総理大臣の主宰により、電話等により各国務大臣の了解を得て閣議決定を行う。この場合、連絡を取ることができなかった国務大臣に対しては、事後速やかに連絡を行う。
 

(2)上記(1)の命令発出に際して国家安全保障会議における審議等を行う場合には、電話等によりこれを行うことができる。 

4.事案発生前からの緊密な連携等(略)」

 

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コメント

地元民ですが、内容が深く勉強になっております。
ところで記事中に「統幕議長」とありますが、現在では組織改編により「統合幕僚長」となっていると思います。

ありがとうございます。訂正しました。

石垣市長は「今そこにある危機」に即座に反応しましたが…

うちの県の知事ときたら…

沖縄を守る気がないらしい…

クラッシャー氏の仰る事もさることながら、まっかっかな新聞社がさらにひどい😭
沖縄タイ・琉球・朝日「中国様に配慮せよ」
あたまがくらくらしました。
本土の人間としては何故、こんな記事が罷り通るのか、解せぬ💦

 尖閣の問題で中国の恫喝に対し、新聞などが黙り込むのは中国の軍事力が怖いせいではないのかな。やられるのがイヤだと思っているのだろう。原因は、恐怖心であると思う。

 沖縄戦でヒドイめにあったから、国の争いはできるだけない方がよいと多くが思っている。しかし、こちらが平和を望んでも先方が平和を望まない。そして、武力で圧力をかけてきた場合にこちらはどう対応するのかが、今私たちには問われていると思う。「ありんくりん」さんは、政府の対応を良くできたとおっしゃるので、そうかと思うのだが、こちらも核兵器を装備し、恫喝を跳ね返し得る力を持ちたいとも思う。。

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