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鳥越氏 知事になったら250㎞範囲の原発は止める

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鳥越氏が都知事になったら、東京250㎞圏内の原発停止を申し込むそうです。
https://mobile.twitter.com/shuntorigoe/status/757514429940596737/photo/1

なぜ唐突に250㎞という距離がでてきたかというと、2014年5月21日の福井地裁における、あの樋口英明裁判長による、以下の判決文が根拠のようです。 

「10 結論
 以上の次第であり、原告らのうち、大飯原発から250キロメートル圏内に居住する者(別紙原告目録1記載の各原告)は、本件原発の運転によって直接的にその人格権が侵害される具体的な危険があると認められるから、これらの原告らの請求を認容すべきである。」

大飯原発運転差止請求事件判決要旨全文 - リンク

樋口判決に対しては何本か批判記事を書いています。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/post-c2ac.html

いかに杜撰な内容であろうと、この判決一本で大飯発電所3号機及び4号機の原子炉の運転の差し止め判決がでました。

この樋口裁判官がやったことは、再稼働について唯一権限を与えられた行政機関の規制委員会の決定を、地裁が簡単に覆したことです。

規制委員会の決定は、政府はおろか、国会ですら取り消せません。それをただの地裁が、短期の審理で覆したわけです。

規制委員会ができたゆえんは、福島事故の時の、素人政治家の事故処理介入による混乱を反省して、政府は任命権者であっても、指導することはできない独立した機関を作らねばならなかったのです。

それを素人にすぎない下級審の一裁判官が、この「福島事故の 正の遺産」とでもいうべき仕組みを、いとも簡単に破壊してしまいました。

このような行為を、越権行為、または「法の名の下の無法」、あるいは「法匪」と呼びます。

百歩譲って、この樋口判決を正当なものだとしても、あくまでもそれは大飯原発3,4号機に対しての民事命令にすぎませんから、当該の大飯以外には一般化できません。

それ以外の原発には無効ですから、鳥越発言の法的根拠たりえません。

さて、東京都で250㎞範囲を適用すると、こんな感じです。

Photo
250㎞圏に含まれる原発は、茨城県の日本原電東海第2、高速増殖炉「常陽」、中部電力浜岡、そして東京の端からなら、かろうじてエリアに入る柏崎刈羽です。 

都内からは入りませんが、都下の端からならギリギリ入ります。

東海第2、「常陽」はともかくとして柏崎刈羽は、東京に電力を送る主力のひとつですから、この人物が都知事になって本気でやると大変なことになります。

かつて鳥越氏とまったく同じ公約を掲げた酔狂人がいたのを覚えていますか。細川護熙氏です。

小泉候補だと勘違いされた都民も多かったと思いますが、この人や宇都宮候補も似たようなことを言っていました。 

失礼ながら、なにを勘違いしているのです、この御仁たちは。

そもそも、広瀬隆氏が「提唱」しているように「お台場第1原発」でもあって、今、再稼働問題が持ち上がっているなら、都知事には一定の「意見を言う権利」はあります。  

しかし、それさえも地元自治体としての「意見」の開陳にすぎず、再稼働の認可権は都知事にはありません。

政府にすら審査する権限はありません。

もちろん国会にもありません。原発の安全性審査は、多数決で決めることではないからです。

審査する権限は、あくまでも専門家による原子力規制委員会のみが握っており、政府には人事権はあっても命令権はありません。

その根拠法は:原子炉等規制法第43条の3の23です。

「●原子炉等規制法第43条の3の23 (施設の使用の停止等)

原子力規制委員会は、(中略)発電用原子炉施設の発電用原子炉設置者に対し、当該発電用原子炉施設の使用の停止、改造、修理又は移転、発電用原子炉の運転の方法の指定その他保安のために必要な措置を命ずることができる。」

このように原子炉の「運転の指定その他保安のために必要な措置を命じる」ことができるのは、唯一、原子力規制委員会だけです。

あくまでも、審査するのは規制委員会で、国がそれを受けて再稼働を決定します。

これが大原則です。

原発再稼働は、国政上の政策実施上の問題だからです。

国のエネルギー政策は自治体の恣意にはならないのは、国家のエネルギー・インフラの保全は、国の根幹を成す仕事だからです。

ちょうど、安全保障や外交が、自治体にクチバシをいれられないのと同じで、自治体は「地元としていかがでしょうか」と意見を聞かれているだけで、決定権はまったくありません。

一方知事は、仮に設置の地元であろうと、地元として県民の安全の観点から意見を述べることがあっても、権限はいっさい与えられていません 。 

それでもとりあえず泉田新潟県知事が頑強に再稼働に反対しているのは、法的根拠があってのことではなく、柏崎原発の「地元」だということを最大限使っているだけのことです。

なるほど、県知事は住民の護民官として安全と財産を保全するために、原発や基地について「県民の意見」を代弁することはできますが、地元ですら言えるのはただの「意見」です。

それ以上の国の専管事項にたいしての容喙は、自治体の行き過ぎた越権行為です。  

鳥越さん、東京都に原発がありましたか?作る予定でもあるのですか?  

ないですね。ない理由を知っていますか?

東京都は人口稠密な首都ということで、原発の立地候補から初めからはずされているからです。  

ですから、「危ない原発」はすべてわが茨城県や福島県、新潟県にあって、長大な送電線を敷いて東京に運んでいるのです。  

それは初めから原発の設置場所は、首都東京から100キロ以上離れていることが、立地条件に入っていたからです。

つまり東京都は、首都という特権的地位にあぐらをかくことが出来る、極めて特殊な自治体なのです。 

少しどぎつい表現をお許し下さい。

私の住む地域は、東海第2の広域避難区域のやや外側に位置しています。

万が一原発がシビア・アクシデントを起こした場合、被爆する可能性があるのは私たちの地域です。

私たち地元住民が「捨て石」になっている間に、首都住民は脱出するわけです。  

そのリスクを地方に一方的に押しつけて、札束で頬を叩いて立地しておきながら、その自覚もないままにザブザブと電気を大量消費してきた東京都に、なにが「再稼働は認めない」ですか。

そして一端事故が起きようものなら、「東日本は終わった」「東日本の農家はテロリスト」と言って風評被害を振りまき、瓦礫の灰すら受け取り拒否運動をしたのは、千葉県から西の人々に多かったのです。

今でも思い出すと、腹わたが煮えくり返ります。

ふざけるのもいいかげんにして下さい。わがままも大概にしなさい。

東京都知事には権限はおろか、再稼働に関して一片の発言権もありません。

都知事に出来るのはせいぜいのところ、猪瀬前知事がやったような東京電力の1.2%の株主として株主総会で意見を言うことくらいです。

「脱原発」で東京都という自治体にできることは、しょせんその程度なのです。

東京だからなんでも言えると思うのは、中央意識の裏返しです。

東京に一基の原発も存在せず、その建設計画もない以上、原発問題は争点たりえません。

東京都知事選挙はあくまでも地方自治体の首長選挙です。

地方自治体首長の権限が及ぶ範囲が争点です。

東京都知事には、できることと、できないことがあります。そのわきまえもなく、最大争点が原発問題というのは勘違いも甚だしいとしかいいようがありません。

国政案件と地方行政案件を切りわけないで、自治体首長選挙を政治プロパガンダの場にする野党の悪癖は、これで終わりにしてほしいものです。

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原発を真面目に終りにする方法」カテゴリの記事

コメント

本記事からはちょっとズレますが、

共同通信社の世論調査ですが、
http://www.nikkansports.com/general/news/1684142.html

年代別支持状況で、六十代以上の支持率トップなのは鳥越さんです。一番投票率の高いのもこの年代です。

東京在住の若い年代の方々が、都知事選の投票に行かれる事を願っています。

投稿: yamori | 2016年7月26日 (火) 09時21分

鳥越氏がやろうとしている事は要するに、「参院選のリベンジ」であって「都政」とは関係ありません。
彼はもともと都政には関心がないし、今でもそうです。
国政における「反自民」「反与党」勢力の拡大を、東京から一穴をあけ推し進めて行こうとするのが狙いなので、こういう無意味な事を言い出すようになる。

都民には、国政における勢力的要素ほとんど考慮の外。
自民も民進もない。
だからこそ、小池候補が現在の位置に着けていられる事にもなる。

それにしても日一日として鳥越氏のメッキは剥げ続け、次点どころか三位が終着点では岡田代表の任期延長は避けられそうもない。
一方の安倍総裁はさすがと言うか、強かです。
見事に知事選には一線を画し、万一鳥越が勝っても動揺しない体制をあらかじめ拵えてある。
増田氏が負けて小池が勝っても、それは安倍氏の勝ち。
横綱相撲です。


投稿: 山路 敬介(宮古) | 2016年7月26日 (火) 09時31分

×岡田代表の任期延長は避けられそうもない。

○岡田代表の任期延長はない。

投稿: 山路 敬介(宮古) | 2016年7月26日 (火) 09時36分

 鳥越さんは論外にして、増田、小池の戦いは、小池さんの方が強いような気がする。

 原子力発電は今の時点では廃止など考えられません。もしかすると、永遠に続く発電方法かもしれません。こんなに強力な発電方法はありませんので、今後とも日本は世界一の原子力技術を維持する必要があり、さらにはこれを発展させていくという義務すらあるのかもしれません。世界の人口増を考えるとき、原子力発電の重要性はとても大きい。技術は絶えずに維持され、やがては核の有害物質を無害化することも可能ではないか。期待したい。

 

投稿: ueyonabaru | 2016年7月26日 (火) 10時43分

鳥越氏が何を言い出そうがもう都民は騙されないと思います。

昭和15年生まれなら終戦時は5歳で、住んでいたところは空襲を受けていないど田舎ですよ。終戦時に20歳なら昭和5年生まれ。そうすると今の歳は軽く91歳になってしまいます。76歳と言っていますから昭和15年生まれが本当なのでしょうが、そうすると空襲や防空壕の話は嘘になってしまいます。

ところが何が何でも鳥越氏を擁護したいグループは女性問題等は大したことじゃ無いと支離滅裂ですね。この人達は、東京オリンピックで東京の顔となる都知事が女性問題で汚れていたら世界中の恥さらしになると言うことが理解できないようですね。認知症疑惑もある中で、この人達が都知事に何を期待するのか全く理解できません。

今や、学歴詐称疑惑も持ち上がり、叩けば叩くほど埃が出てくる状況では、鳥越氏も自分の周りのハエをはらうのに精一杯でしょう。訳の分からない消費税の話や原発のことに触れる余裕は無いはずです。

鳥越氏には、少なくとも東京都民のために何をするのか、どうして都民の福利に努めるのか、実現性のある公約を掲げて欲しいものですね。

投稿: 愛国命 | 2016年7月26日 (火) 17時23分

鳥越さんはいわゆる60年安保闘争の記憶との区別すらつかないのかと…。

愛国命さん。
結論のところ私もそう思います。これでも私は桶川ストーカー事件の追求などでの鳥越ファンなんですけどね。地方行政トップとなると話が違うし。

ちょうどたまたま葬儀で戦中生まれの伯母(鳥越ファンだった)を送り、空襲経験のある兄である我が親父殿と親族から色々と話を聞きました。
最近は冠婚葬祭は簡素化が進んでますが、離れて住んでる伯父伯母や従兄にはそんな時にしか会えないし。。ラクでいいんだけど、田舎者にはちょっと複雑な心境です。

ueyonabaruさん。
印象的には、都民でもない者にはどうにでも写りますから、どっちが有利とかは素人にはなんとも言えないかと…。私はむしろ票が割れて結局鳥越当選!を危惧してます。
原子力については同感ですが、今後なりたがる技術者がいるのかと「もんじゅ」どうすんだ?と。早く動かして「実証炉」の役目を果たせとは思っていますが。
マスコミでは「世界が諦めた」という増殖炉は、ロシアは稼働目前のようですし、中国も開発進めています。それがドカンとなったらチェルノブイリののうに当然こちらにも流れてくるわけで…。

投稿: 山形 | 2016年7月26日 (火) 18時47分

申し入れたけど結局ダメでしたって落ちか。

原発が無くても電力は足りているとも言われたみたいですね。
引退した火力発電所を無理に稼働させていることも知らないのでしょうね。
これらが壊れたらどうなる、太陽光で足りるとでもいうか。

外国みたいに突然停電が起こる首都東京(笑)
その間は電車が止まり、エレベーターの使えない中高層ビル、エアコンや冷蔵庫、炊飯器、給湯器の使えない生活、旧式の信号も街灯も点かない真っ暗な夜の街。

投稿: 多摩っこ | 2016年7月27日 (水) 01時19分

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