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2016年7月16日 (土)

国際司法裁判所裁定 中国の南シナ海領有化を否認

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中国の傲慢ぶり対して周辺国は、いまさら驚かなくなって久しいのですが、さすがに国際社会を相手にして、こうまで横紙破りぶりをさらすとなると驚いてしまいます。

いうまでもなく、先日のハーグ国際仲介裁判所での敗北と、その後の開き直りのことです。

ハーグ仲裁裁判所は、「中国の赤い舌」こと「九段線」を完全に否定しました。

これは中国が岩礁を埋め立てて造成した、人工島周辺の排他的経済水域(EEZ)や大陸棚の完全否認です。

ロイター(7月12日)はこう伝えています。
http://jp.reuters.com/article/hague-tribunal-south-china-sea-idJPKCN0ZS0W8

「オランダ・ハーグの仲裁裁判所は12日、中国が南シナ海で主権が及ぶと主張している境界線「九段線」について、中国には同海域内の資源に対する歴史的な権利を主張する法的な根拠はないとの判断を下した。
また、
中国当局の警戒行動はフィリピン漁船と衝突するリスクを生じさせたほか、人工島などの建設活動によりサンゴ礁に回復不能な損傷を与えたと指摘した。
これに対し
中国外務省は、中国人は同海域で2000年以上も活動してきた歴史があり、排他的経済水域(EEZ)の設定は可能と主張し、仲裁裁判所の判断を受け入れない考えをあらためて示した。」

これ以上ないほどの、パーフェクトな中国の負けです。

おっとうっかり「岩礁」と書いてしまいましたが、暗礁の上に構造物を乗せた人工島はファイアリークロス礁などで、多くはスビ礁、ミスチーフ礁などのように岩礁ですらない「暗礁」にすぎません。

暗礁と岩礁の違いは、「暗礁」は干潮時にも露頭しない、まったくの海中の岩だという点です。

いちおう、暗礁の定義を押さえておきましょう。

「暗礁(あんしょう、sunken rock)とは、水面下に隠れる岩礁のこと。(略)
海図では、岩礁を潮の干満を基準に「水上岩」「干出岩」「洗岩」「暗岩」と区別し記号や数字で表す。この内、水上岩を除くものが暗礁である。暗礁は島ではないため、国際法上国の領有権は主張できない」(Wikipedia)

Photo_8

初めは、人民解放軍兵士が、どんな悪さをしたのか分かりませんが、岩礁にへばりついて領土を宣言しました。怖かったろうな(苦笑)。

たぶんファイアリー・クロス礁だと思われています。
ファイアリー・クロス礁 - Wikipedia

それが今や立派にすくすくと育ってこうです。まるで劇的大改造・ビフォアフターを見るようです。

Photo_2

上が現在のファイアリー・クロス礁の中国軍事基地です。

もう完成寸前で、3000m級滑走路は舗装され、標識まで記されています。

3000m級というのは、嘉手納基地クラスということで、岩礁の上の基地というとなんかチャチな印象ですが、どっこい大型爆撃機、輸送機の離発着可能な恒久的軍事基地です。

ぜひグリーンピースさんにおかれましては、辺野古などとは比較にならない中国の大規模自然破壊そのものの「新基地」に突撃していただきたいものです。

ま、瞬殺されて、「行方不明」になるだろうけど。

現在は試験飛行を繰り返し、年内には戦闘機部隊が移駐すると言われています。

そうなった場合、次はこの「領土」を中心にして、彼らが主張する防空識別圏を設定し、「無断侵入は撃ち落とす」と宣言することになります。
尖閣諸島防空識別圏問題 - Wikipedia

中国は故意に「領空」と「防空識別圏」(ADIZ)を混同して使用しており、防空識別圏に入っても中国には撃墜などできないのですが、空までやりたい放題です。

簡単にいえば、中国は南シナ海の空・海・島すべて全部、オレのものだ、ということです。

しかしこの国際司法裁判所の裁定によって、国際法上も違法行為であるとの認識が、国際社会で確立しました。

一方、中国は戴秉国・前国務委員が予告していたとおり、「紙くず論」を展開しました。

6月13日外務次官が、判決は判事の人選がどーたら、日本人判事が入ってるから日本の陰謀だとゴネたあげく、「判決は紙くず」だと論評しました。

いや~、見事なまでの居直りぶりですな。

中国は、かつての日中戦争をよく学習している部分があると、かねがね言われてきました。

今回は日本が戦争に転がり落ちるきっかけとなった、リットン調査団に対する否認まで学んでしまったようです。

中国は「け、こんな紙くずに従えるかよ」と毒づくだけではなく、国際海洋条約そのものからの脱退まで口にしています。

もちろん、米国など国際社会としては、こんな大国の横暴を放置すれば、世界中の海洋で類似案件が横行することになるに決まっていますから、断固とした対応をせざるをえなくなりました。

国際司法に従わない国のことを、「無法国家」、あるいは「ならず者国家」と呼びます。

米国が覇権国家であり続けたいのなら、この中国のならず者国家の横暴をなんらかの方法で制止し、現状回復をせねばなりません。

一方中国にとっても、ここは絶対に譲れない一線です。

簡単に国際司法に従えば、習近平の弱腰と国民が突き上げ、党内の反対派からもデコボコにされ失脚に追い込まれますから、なにがなんでも「神聖な領土防衛」をせねばサマにならないでしょう。

また、この人工島建設は遊びでやっているわけではなく、南沙諸島全域の利権と軍事支配が目的ですから、ここで止めるわけにはいきません。

もし、国際社会の言うことに耳を傾けて放棄してしまえば、中国海軍の海洋進出計画がこの段階で挫折してしまい、ASEANを軍事的支配下に置く世界に冠たる中華帝国を建設するという大いなる野望が挫折してしまうことになります。

ま、中国という国の体質からすれば、できない相談でしょうね。

というのは、中国は百年単位で計画を立てるといいますが、この南シナ海の人工島建設計画は、昨日今日始めた計画ではありません。

その発端は、今から24年前の1992年2月に制定した中国「領海法」です。

この中国領海法第2条にはこうあります。

「中華人民共和国の領海は、中華人民共和国陸地領土と内水(内海)に隣接する一帯の海域である。
中華人民共和国の陸地領土は、中華人民共和国の大陸およびその沿海島嶼を含み、台湾および釣魚島(尖閣諸島)を含む附属各島、澎湖列島、東沙群島、西沙群島、中沙群島、南沙群島および中華人民共和国に所属する一切の島嶼を包含するものとする。
中華人民共和国の領海基線は陸地に沿った水域をすべからく中華人民共和国の内水(内海)とする」
(主席令7期第55号」「中華人民共和国領海および毘連区法)

おいおい。勝手に他人様の領土に線を引いておいて、全部オレ様のものだと宣言するなよ、と周辺国のすべてが思いました。

しかし、猛烈な周辺国の抗議にもかかわらす、上の写真のように軍隊を派遣して勝手に「実効支配」してしまったわけです。

軍隊で押さえたら勝ち。押さえたら、そこはオレ様の「神聖な領土」。実に背筋の伸びた悪党国家ぶりです。

ですから、この南シナ海人工島問題は、中国にとって遠大な中華帝国建設の一部であって、かつて1950年代の陸上におけるウィグルやチベットに軍隊を侵攻させて領土としたことの海洋バージョンなわけです。

そうである以上、中国は絶対に譲りません。

譲らない以上実効支配という立場は非常に強いために、時間が経過するとそのまま中国の主張が通ることになります。

一説で、中国領土として認めるが、軍事施設は置かないで国際研究機関に貸与するという落とし所もあったようですが、軽く蹴飛ばされたようです。

また判決が出た以上、国際社会も落とし所を探ることはできません。

したがって、時間が経てばたつほどこじれて、国連の安保理事会案件にならざるを得ないことになります。

もちろん中国は、いかなる国連決議が出ようと拒否権を発動するに決まっていますから、その後には国連脱退というシナリオも見え隠れしてきました。

中国が日中戦争を研究しているのなら、その後日本がどうなったのかまで知ってからおやりになることです。

 

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コメント

歴史にもしもは無いが、米軍がフィリピンから撤退していなかったらこんなことにはならなかったんでしょうね。
未然に防ぐのが最大の国土防衛です。
日本の竹島もそうですが、既成事実化されると取り戻すのは難しい。中国は太平洋にも野望も持っていますので、沖縄も正念場ですが、沖縄県政は中国に誤ったメーッセージを流しています。日本政府との交渉カードのつもりかもしれませんが、あまりに無謀な行為です。

中国が日本に因縁をつける沖ノ鳥島は、国際海洋法上は領海が認められる岩だそうです。

 >>https://thepage.jp/detail/20150818-00000002-wordleaf?page=1

私の表現に誤解があったようです。訂正します。

>>中国が日本に因縁をつける沖ノ鳥島は、国際海洋法上は領海が認められる岩だそうです。

日本政府は、沖ノ鳥島を島と主張しており、岩だと主張する中国、韓国と国連大陸棚限界委員会で審議中であり、その最終結論は出ていないようです。

いずれにせよ、岩とも認められない公海上を自国領と主張する中国の主張には無理があると思います。

共産主義は国家計画経済ですから、トップにはまさに
歴代皇帝並みの権限や権益が集中します。皇帝は世襲
でよかったけど、共産党はその理念から平等な同志達
の集まりですから、血で血を洗うような権力闘争が起
きるのはガチです。権力システムそのものが欠陥品。

その意味、共産主義の世襲化をした北朝鮮は立派だ。
ある意味、国内権力が非常に安定している。最悪の
安定だけど。

中共も本心は「こりゃ、侵略そのものだよな。反対の
立場だったら、そら怒るわ」と思ってる。でも、それ
を言っちゃあ、言った者は即座に失脚か反逆罪で投獄。
ここいらの心理状態も、戦前の日本に似てますね。

その弱気が、西側諸国に莫大な外貨預金をさせてる。
縁者を外国に移住させて、万一の時の脱出に利用しよ
うとしてる。

中共の海外侵略は構造的なものなので、内でも外でも
止められない。核保有してるし、常任理事国だし。
日本にも優秀な軍師がいて、負けているなと思ったら
何時のまにやら大逆転してた!アッタマいー、って事
になるようにして欲しいんだけど・・多分ムリ。

日本にも構造的な欠陥があるので、最悪、倭国自冶領
においてのレジスタンス戦も考えないと。鎌倉幕府は
偉かった、運も良かった。今度は吹けよ、神風。

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