さすがだ、鳥越俊太郎!
あいかわらず下半身スキャンダルにからまれたままの鳥越さんも、奮闘しているようです。
さて、私はぜひ記者の皆さんに、鳥越さんに聞いて欲しいことがひとつあります。
安全保障の問題です。
え、都政と関係ないじゃないかと思われるでしょうが、こと鳥越さんに限って、都政以外のことしかしゃべらないんですから、しょうがないじゃないですか。
さて鳥越氏の安全保障論は、中国の膨張政策が露骨になる前には、自衛隊縮小・防衛予算圧縮というものでしたが、さすがに今これでは現実感覚がなさすぎると思ったのか、ロシアのインターネットサイト「スプートニク」2015年7月22日でこう述べています。
7月下旬ですから、「戦争法制」反対運動まっさかりの時節で、鳥越氏がその最先頭で戦っていた時のものです。
記事自体は、妙に日本の安保法制反対運動に肩入れしたもので、ロシアの下心が透けて見えてお尻がムズムズしますが、ま、いいか。
それはさておき、「著名な日本のジャーナリスト」として紹介された鳥越氏は、こう述べています。
かなり長いので、全体はこちらから。
http://jp.sputniknews.com/japan/20150722/619586.html
「現代の戦争は、中東などの民族紛争や宗教紛争は別だが、国家間の戦争は、戦後は米国が仕掛けたものしかない。ベトナムもアフガニスタンもイラクもそうだった。
あとは旧ソ連がアフガンに侵攻したくらいしか例はない。
それぐらい、そう簡単には戦争はできないものなのだ。
そうした事から、中国の脅威といっても重大なものとは思っていない。ただ可能性として、中国が軍事力でやってくることはあるかもしれない。
その場合は、日本の自衛隊が専守防衛の原則に従って行動し、侵略に対しては日本国民が立ち上がる。米国に助けてもらう必要はない。
そして自分達の国を守る最低限の力は、しっかり蓄えておくべきである。」
面白いですね。
鳥越氏は米国こそが戦後世界の紛争の火付け魔だと前提しているわけで、これについては半分同意します。
確かにその側面はあります。
ただし、鳥越さんがベトナム、アフガン、イラクと並べて、なぜか触れなかった中国という世界一の好戦国家を別にすればですが。
それはともかく、鳥越さんは今、目の前で展開されている南シナ海、東シナ海での、中国の軍事膨張にどう対応するかといえば、「米国に助けてもらう必要はない。自衛隊で守る」そうです。
いや、あながち皮肉ではなく、なるほどさすがに「日本で著名なジャーナリスト」だけはあります。
つまり、鳥越さんはいつの間にか、かつての非武装中立論者から今や、自主防衛派になったようです。
尖閣や離島、沖縄本島の防衛は、自衛隊が独自の力でやれと仰せなんですから。
そして「日本を守る最低限の力は蓄えておくべきだ」とまで言っています。
日米同盟を廃棄する重さというのは、「海兵隊撤退」「全基地撤去」されるだけではありません。
米国の「核の傘」がはずれることを意味することは、「日本の代表的ジャーナリスト」ならとっくに理解されていると思います。
日本は中国と北朝鮮の核ミサイルの脅威に日常的にさらされるなどマッピラですから、唯一の選択肢は独自核武装しかありません。
国際社会では、賛成反対は別にして、常識的にはそれ以外の選択肢は存在しないからです。
そして鳥越さんの、「侵略に対しては日本人は立ち上がる」という一句ですが、これは通常このように解釈されます。
すなわち、安全保障学上は、「外国の侵略に対して国民が立ち上がる」という概念は、スイスのような国民皆兵、ないしは徴兵制度を意味します。
なるほどねぇ、これで鳥越さんの考えが読めました。
箇条書きにして整理してみましょう。
①日米同盟を廃棄する。
②国民皆兵=徴兵制を作る。
③独自防衛力を整備する。
③核武装する。
おお、見事に②以外は田母神氏と同意見だったようです。
ちなみに、自衛官・元自衛官で徴兵させてくれ、などという人は聞いたことがありません。
それでなくても、自衛隊はいっぱいいっぱいで、素人の面倒などみる余裕などないからです。
さて実は、米国の有名な戦略家・国防アドバイザーのエドワード・ルトワックは、米国側から「尖閣領域などの離島の防備で、米国を頼りにすると、エライめにあうぞ」と警告しています。
近著『中国4.0』は実に面白い本ですが、その中でルトワックはこう述べています。
「中国の脅威(尖閣侵入など)に対処するには、日本には二つのことが必要だ。
一つは、艦船や戦車といった物理的装備、つまり「ハード」だ。
もう一つは(略)安全保障関連の法整備、いわゆる「ソフト」である。
軍事行動において正統性を担保しなければならないからだ。
さらに、その軍事作戦がアメリカと協力できるものでなければならない。これにも集団的自衛権という「ソフト」が必要になる」
つまり、ルトワックと鳥越さんは、「米国などあてにするな」という前提までは同じです。
しかし、その後が大きく違います。
ルトワックはそれでも、集団的自衛権を前提にしている日米安保は残しておきなさいよ、と言っているのに対して、鳥越さんは民族主義的なのかどうなのか、「そんなものはいらない」と言っているわけです。
となると、去年あれほど強硬に反対した安保法制は、自主防衛力整備のためのものだったわけですね。納得。
また、ルトワックはこうも述べています。
「(アフリカ西部のマリ共和国での軍事的敗北を防ぐため)マリへの進駐をフランス軍に命じたオランド大統領は、その命令を電話一本で伝えた。
日本がもし尖閣を守りたいのなら、日本のリーダーもこのくらいの意識が必要になってくる。より具体的に言えば「領土を守る」という国民的コンセンサスと、それを実現するメカニズム、つまり電話をとって自衛隊に尖閣奪還を指示できる仕組みの両方が必要になる。」
日米同盟が存在する場合、「電話一本で」、首相は尖閣を奪還しろと自衛隊に命じるのは難しいわけです。
現実に海上警備行動をしようとしても、横須賀の護衛艦隊司令部と、在日米海軍司令部は、情報を完全に共有していますから、米国の意向を聞かねばなりませんからね。
彼ら在日米軍が動かない以上、自衛隊の行動は限られたものにならざるを得ません。
国際社会が日本の防衛行動を必ずしも是認していないよ、ということを意味するからです。
その場合、日本はおそらく中国の沖縄県への侵攻を食い止めるすべはなくなります。
最悪な場合、尖閣はいうに及ばず、八重山、宮古、そして本島まで危うくなるという最悪シナリオも浮かんできます。
ここで、鳥越さんのこのセリフが活きてきます。リピートします。
「侵略に対しては日本国民が立ち上がる。米国に助けてもらう必要はない。」
はい、「米国の助け」を拒否する以上、それは現実の国際社会では、日本の核武装化を意味します。
世界で米国と同盟を結ばない国は、フランスのように例外なく核武装と重武装国家の道を歩んできた事実があるからです。
重武装とは、独自の戦力投射のためのハードを有するということです。
たとえば、空母、大型輸送機、強襲揚陸艦、戦略原潜などのセットです。
日本がこの保有を免れているのは、日米同盟で米国が肩代わりしているからです。
『コストを試算・日米同盟か解体』によれば、おおよそ23兆円ていどでできるようです。
ですから、日米同盟がなくなれば、日本はこれらをフルセットで持つべく頑張らねばなりません。
そして、核武装・重武装国家が、「国民が侵略に立ち上がる」という鳥越さんの発言は、端的に民兵制度の導入として国際社会は受け取るでしょう。
中坊のシールズが言うならともかく、鳥越「都知事」が言うとなると、そういうことになります。
応援演説に来た山本太郎氏は鳥越氏を、「日本を真の独立に導く人です」と絶賛したそうです。
まさにそのとおり!
さすがは、鳥越俊太郎。すごい!
わかって言っていないことが、なおさらスゴイ。
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コメント
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まあねw
現場主義ジャーナリストの癖に、日本の都道府県の数は55!だなんて回答したバカですからねw
投稿: yamori | 2016年7月29日 (金) 08時32分
戦後(第二次大戦後)の戦争から「宗教戦争、民族紛争を除く」というのは寧ろ「アメリカが仕掛けてないもの」と「中国が仕掛けたもの」を除外する(あくまで中国目線ですが)には最適な条件ですね(除かれる方が圧倒的に多い気がしますが)
なるほど“さすがだ、鳥越俊太郎”
投稿: 須山 | 2016年7月29日 (金) 08時44分
コメントお久しぶりです。
なるほど鳥越氏は我々国民に対して一億玉砕をスローガンに戦えと言うわけですね。
70年前に逆戻りですか。当時ハタチの鳥越氏はさぞ勇ましい青年だったんでしょうね。
さすがだ、鳥越俊太郎
投稿: 美ら海 | 2016年7月29日 (金) 09時57分
第二次世界大戦が終わった後、中共軍が蒋介石を背後から襲い中国大陸を乗っ取りました。直後に彼らがやったことはウイルグ侵略、チベット侵略、モンゴル侵略でした。その際に、中共軍は何百万人もの人を虐殺しました。犠牲者の数で言えばベトナム戦争を上回り戦後最悪の数に上るはずです。
朝鮮戦争はソビエトのバックアップを受けた金日成が南に侵攻したことから始まった内戦でしたが、これもほとんど終わりかけていた時に中共軍が北から半島に侵攻しました。このため朝鮮半島は南北に分断されることになってしまったのです。
中国はその後もベトナムに侵攻しています。この時は、ベトナム軍に押し返されて敗北を喫していますが、米国との戦争が終結して弱っているベトナムを侵略しようとした意図が見え見えでした。
今も、東シナ海に防空識別圏を設定したり、南シナ海に人工島を建設したり、中共が侵略性国家であることは明らかです。しかもその侵略性は今に始まったことではありません。そして常に侵略の脅威にさらされてきた、そして今もさらされているのが日本です。
我々日本人は目を見開き、その現実をしっかりと見るべきです。中共の狙いは尖閣や沖縄だけではありません。台湾、日本列島、ベトナム等のアジア諸国を視野に入れ、これらを支配下に置こうとしているのです。
中国が攻めてきたら両手を挙げて降伏すれば良いなどとのんきなことを言っている人もいるようですが、凄惨な虐殺が待っています。彼らは容赦はしません。中国人を送り込み民族浄化を狙っている以上、他民族は邪魔者でしかないからです。
中共の残虐性は天安門だけではありません。文化大革命では数千万人が問答無用で虐殺されました。中共の支援を受けたカンボジアのポルポトの自国民の大虐殺も根っこは同じです。
日中友好、沖縄独立、話し合い、のんきなことを言っていると、本当にまさかと言うようなことが起こります。EU崩壊、内向きのアメリカ、日米同盟破棄、イスラム過激派によるテロ激増、世界的な経済崩壊、色々な出来事をきっかけとして中共が日本侵攻に着手する可能性は極めて高いと思っておいたほうが良いと思います。
国防は現実的な対応を考えるべきです。平和を唱えるだけで国が守れる訳はないのです。日米同盟死守それができなければ別の国との同盟、通常戦力の増強、核武装、左翼が聞いたら卒倒しそうなことですが、手遅れになる前にやらなければならないのです。
投稿: 愛国命 | 2016年7月29日 (金) 10時12分
右翼も左翼も極まるとなんだか似た存在になるように思います。
大体どちらもアメリカ嫌いだし日米安保は破棄すべきだと仰る。
ただそこから先は180度違います。
一方はゆくゆくは自衛隊もなくして平和憲法を楯に
国を守るというファンタジーの世界へ向かわれます。
方や極右の方々は国防軍を保持し徴兵復活、核武装も辞さずとの構え。
あれ、やっぱりこれもファンタジーっちゃファンタジーかな。
人間極まれば極まるほど地に足がつかなくなるのかも知れません。
愛国命さんが「国防は現実的な対応を考えるべき」
と仰ってますがまさにその通りだと思います。
現実的というのは、この場合目先の利を追うという意味ではなく、
冷静で情緒に流されないものの見方だと解釈しますが、これって結構難しい。
少なくとも「中国が攻めてくるわけないじゃないですか。ワッハッハ」と
一笑にふすような人には到底無理な境地であることは間違いないでしょう。
鳥越さん、頑張ってください。応援してます。(笑)
投稿: 右翼も左翼も大嫌い | 2016年7月29日 (金) 17時02分
売文屋が、セッセせっせとサヨク脳の人々から、メディア
を使ってテキトーな事を言ってはカネを巻き上げ、オンナ
の尻を追っていた。何十年も・・
そういう事のようなのですが、
野党が挙って支援してる?
数千人を越える支持者がいる?
で、今だにメディアにゾロゾロ出て来る。
私のような人間から見たら、アンビリバボー、狂気です。
さすがだ、鳥越俊太郎! もう勘弁してくれ、サヨク脳!
投稿: アホンダラ1号 | 2016年7月29日 (金) 17時06分
取引先の年配の女性で、よくご自分から政治的な会話をしてくる方に話の流れで、「都知事選も大変よね、鳥越候補でした?…」と言うと、
「そうそう、あの鳥越さんスキャンダルあったけど、彼ほど世界情勢や国政、沖縄問題について知り尽くしてる人はいないよ。なんてったってジャーナリストとしてのキャリアが長いし凄い人なんですよ。彼なら都知事は務まると思う。参院選の島尻さんなんか、議員になる前に沖縄での奇行が…」だって。
私は目眩を覚えながら「そうなんですね、東京都もいい結果になると良いですね^^」と。
沖縄では新聞やテレビしか見ない団塊世代の方が多くて、反自民、思考に矛盾がある人が多いので鳥越の正体を知らない人が多いです。
東京都で決まったことはやがて全国自治体に波及することもあります。東京都民にはマスコミに惑わされず正しい判断を願います。
投稿: ナビー@沖縄市 | 2016年7月29日 (金) 19時14分
皆さんそう言いますけれど、鳥越氏にだっていい所はあるんですよ。(笑)
それは、何にせよあくまでも「前向き」なところです。
問題は、「前向き」という唯一の長所以外は「一切合切、まったくダメだ」、という事にすぎません。
これをただ単に「幼児的な~」と言うなかれ。
確かにその幼児性は、行動であれ支離滅裂な言論であれ、日々明らかになるその表出は、岡田代表でさえ手を付けられない程のものです。
しかし、彼の堂に入った幼児そのままの「前向き」と闊達ぶりは、ともかくも我々凡人には到底マネ出来ない域に達しており、このために相当の努力と鍛錬が必要だったであろう事もまた想像に難くありません。
しからばこの「相当の努力と鍛錬」とはどのようなものだったのか、を考えざるを得なくなります。
その第一は、問題を「問題として認識しない」努力でしょう。
問題があるから蹉跌がある。
ならば問題が無い事に決めてしまえば、それで万事OKです。
これは簡単な事のようですが、一般の人間は正気なうえに良心もあるので、実はなかなか困難で精神力も要します。
鳥越クラスの猛者になれば、そうした一切の思考手続きを経ないで自己暗示的、反射的にこれを行なえるようになる。
これが鳥越流「前向き」の秘訣です。
しかし、何も問題意識が存在しないのでは、キャスターとして無能と思われてしまい、商売にならない。
そこで、大した問題ではない事件をセッセと探し出し過大に取上げたり、大勢の結論が明らかなもの、センセーショナル性を重視した身近で俗な案件のみ視聴者に提示してお茶を濁してきたのが、実に彼の「テレビ人生」というものです。
私達凡人には決して伺い知れないこうした苦労の果てに、今の鳥越俊太郎がある。
ここはやはり、「さすがだ、鳥越俊太郎!」とエールを送ってしかるべきでしょう。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2016年7月29日 (金) 19時38分
私は昨日投票しましたが、選挙戦も今夜で終わります。
「病み上がり」に激怒された御仁が「厚化粧」はいけませんやね(笑)
幸か不幸か日曜日の関東の天気は荒れるようです。
無党派層が投票に行きますかどうか、選挙は水モノ最後までわかりません。
どちらの候補者もラストスパート。
投稿: 多摩っこ | 2016年7月30日 (土) 00時32分