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« 北朝鮮ノドン発射の意図 | トップページ | 1945年8月6日午前8時15分 広島市島病院上空 »

2016年8月 5日 (金)

HNタンタン氏に答えて 中国はいまだ毛沢東の定理に沿って動いている

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HNタンタン氏という人から、過去記事についてこういうコメントがきました。初めはコメント欄で答えたのですが、本質的問題もあるので、加筆して記事にします。
過去記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/06/post-50c8.html 

まずはHNタンタン氏のコメントです。 

「と持論をのべられても 日本が中国を領海侵犯だと訴えて勝てると思います?明確な領海侵犯だという証拠がないと 日本が恥をかくだけ。
感情論で無害航行権でないと言われてもねぇーという感じ。例えば領海内をグルグルと航行したとか、意味もなく長時間領海内に停泊したとかさー。証拠もないのに領海侵犯などと叫んでも中国に足下をすくわれるだけ。」
 

この人はいくつも勘違いをしていますが、証拠うんぬんは後述するとして、最大の間違いはなんだと思いますか? 

この情報艦の領海侵犯に対して、日本政府は抗議をしなかったのです。

こここそが問題です。 

「抗議する」という外交行動が、相手国との摩擦を呼ぶだけだけだと思っているなら、まったく間違いです。

このようなことが起きるとかならず野党は、「話し合え」「武力より外交を」みたいなことをいいますが、実力行使するか否かは高度な政治判断ですので置くとして、抗議は原則的にやらねばなりません。

「抗議する」という外交行為は、紛争を求めているのではなく、正反対にこれ以上の紛争を回避しましょう、というシグナルです。 

もし、的確に抗議しない場合どうなるのかと言えば、相手国はここまでの線なら日本は許容しているのだと錯覚することになります。 

この場合なら、中国は日本は弱腰だから、情報艦という非戦闘艦種ならば、日本領海でやりたい放題だと勝手に思うことになります。 

実際、この情報艦はこの後に大東島で似たことを仕出かして、平然と帰っていきました。

この事件の直前にあった戦闘艦の尖閣諸島の接続海域への侵入には、深夜に大使を呼び出すという異例の強い抗議をしたために、とりあえずは以後の新たな戦闘艦の侵入はなくなっています。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/06/post-a221.html 

学習したのです。 

中国にも、いちおうは学習能力は貧弱ながらもあることはあるのです。 

ただし、あの国は「永遠の古代国家」ですから、素朴な力の信奉者です。

力の強い者が覇者として君臨するという、まるで三国志のような世界観をいまだに持っています。 

ですから、習がオバマとの会談で、ぬけぬけと「太平洋をお前とオレで分割統治しようぜ」などという大航海時代もどきのことを平然と言いだして、オバマをのけぞらすわけです。 

ですから、中国人は、こちらが強く出れば引いてみせ、様子をうかがい、紳士的にでると、それは弱いと思ってあなどって攻勢をかけるというがき大将のような行動原理をもっています。 

これを定理にしたのが毛沢東です。毛沢東語録にはこのような有名な一節があります。

敵進我退、敵駐我攪、敵疲我打、敵退我追
(敵が進めば退き. 敵が止まれば撹乱し. 敵が疲れれば攻め. 敵が退りぞけば追撃する)」

分かりやすいですね。 

実は中国は、いまだこの毛の定理に忠実に従って動いています。 

尖閣の接続水域に海軍艦艇を入れないで、互いに公船、つまり海保で対応するというのが暗黙の相互了解ラインでした。

毛がいう「敵駐我攪 」の段階です。

え、そんな了解協定はないだろうって。ないですよ。そんなもの。 

二国の利害が対立する事案において、そのような協定は戦闘が終了してから結ばれるからです。 

有体に言えば、ドンパチやってしまってから、その戦後に取り決めるのです。

Photo_6

手前が中国海警。接近寸前で警戒に当たっているのが日本の海保。このカラーリングは海保の世界基準。

そうならないために、海軍は引いて海保という弱武装の海上警察(海保)を矢面に立たせているのです。 

互いの海軍(海自は「軍」ではありませんが)は、海保を遠巻きにして見守るというのが、これまでの構図です。 

状況のレベルは、毛の定理「敵駐我攪」(敵が止まっている)状況だから攪乱せねばならないのです。 

この攪乱行為が、尖閣の戦闘艦侵入事件です。

525525 馬鞍山http://seesaawiki.jp/w/namacha2/d/054%B7%BF%A5%D5%...

続く中国情報艦の領海侵入も、中国にとって同じ状況認識です。 

日本が情報艦というグレーゾーンの艦種を領海侵犯させた場合、どう対応するのか瀬踏みしたわけです。

つまり、もう一回別な手段で日本を試したのです。毛の定理「敵疲我打」段階に移行するか日本の動きを見極めたかったのです。

Photo

中国海軍 東調級(ドンディアオ)情報収集艦

政府の対応だけではありません。

むしろ日本国民の中から、このタンタン氏のように妙にものわかりよく、「いや証拠もねぇしさ、無害通航権じゃん」とか、果ては稲嶺名護市長のように「日本が悪い」とか、はたまた孫崎氏のように「尖閣が日本領だと国際社会は認知していない」などと言い出す者がどれだけ出るのかを、じっと観察していたと思われます。 

ちなみに念のために言っておくと、あの情報艦の領海侵犯は、タンタン氏の言うように、無害通航権(Innocent Passage)にはあたりません。 

それは国際海洋法第19条、1のC項、j項に明らかです。

●国連海洋法条約 UNCLOS 第19条第1項
(c)沿岸国の防衛又は安全に影響を与えることになるような情報の収集を目的とする行為
(j)調査活動又は測量活動の実施

情報艦という艦種が国際海洋条約ができた時になかっただけの話で、国際仲介裁判所にでれば日本が勝ちます。 

まぁ、国際海洋法から離脱すると叫んでいる国に対して、なにを突きつけても「紙くず」でしょうがね。

その国際仲介裁判所の法廷に提出されるべき第1級資料が、追尾していたP-3Cによる映像証拠、監視記録、レーダーの航跡資料などです。 

朝日新聞もこう報じています。タンタン氏は読まなかったのでしょうか。

防衛省は15日、中国海軍のドンディアオ級情報収集艦1隻が同日午前3時半ごろ、鹿児島県口永良部島の西側の領海を南東に進んでいるのを、海上自衛隊哨戒機P3Cが確認したと発表した。午前5時ごろには、この軍艦は同県・屋久島の南側の領海を出て、南東へ向け航行したという。」(朝日新聞 2016年6月15日)http://www.asahi.com/articles/ASJ6H3Q9ZJ6HUTFK005.html

海自P-3Cがなんの記録もとらず、ポカーンと「ヤッホー、中国の船が行くわ」と眺めていたとでも(笑)。 

Photohttp://www.47news.jp/localnews/aomori/2015/11/p3c_...

黙認することは、平和ではなく逆に紛争への近道です。

なぜなら、中国は必ず私たちがエスカレーションを許したと勘違いするからです。 

原則的にひとつひとつきちんと抗議していく姿勢こそが、感情的紛争を防止するために大事なことなのです。

さもないと中国という国が、「敵疲我打」(敵が疲れたら打ち)、そして最終的には「敵退我追」(敵が逃げれば追う)という政治的力関係を生み出していくことになっていくからです。

原則的に対応するということは、一見強硬姿勢に見え、紛争を招くと思う人もいるようですが、違うのです。

武力対応をするかしないかは、その状況判断によって一概に言えないのですが、その構えはあることを知らしめておく必要はあります。

2004年、中国海軍の漢級原子力潜水艦(SSN)が、石垣島と多良間島の間の領海を潜航したまま通航しようとしたことがありました。

完全に国際海洋条約20条の禁止行為に該当します。

第20条はこう述べています。

●国際海洋法第20条 
潜水船その他の水中航行機器:潜入船その他の水中航行機器は、領海においては、海面上を航行し、かつ、その旗を掲げなければならない。

このように潜水艦は浮上して、海上を国旗あるいは海軍旗を掲げて航行しなければならないからです。

さもないと、沈められても文句はいえません。

現実にス.ウェーデンは、冷戦期に潜行したまま領海侵犯したソ連潜水艦を沈めたことがあったといいます。

それに対して海上警備行動の発令を受けた海自は、戦後初の護衛艦とP3Cによる潜水艦狩りを実施しました。

完全に捕捉し、アクティヴピンガーという強烈な探信音を中国原潜にぶつけ続けたのですが、これはいつでもお前を撃沈できるぞという死刑宣告の音です。

結局、政府の判断で寸止めとしたものの、中国原潜艦長は失禁したことでしょう。

以後、中国潜水艦の領海侵犯が途絶えたのは当然のことです。

このように、中国という「現代に残る古代帝国」と対峙するには、不法行為にはしっかりと抗議し、二度とさせない外交的気迫と、いざという時の構えが大事なのです。

 

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コメント

HNタンタンさん

ブログ主様の言われる理由に付け加えて、国際法上の観点から一言。

中国国防省の言い分は、「トカラ海峡は国際航行に使われている海峡で、自由に航行できる」と正当性を主張したんですよね。
国際法上、領海内の無害通航は認められているところ、なぜ中国がこのような主張をしたか。
まずここを押さえておかないといけません。

中国は自国の領海においては、「無害通航」についても事前承認を求めています。
そこで今回はダブルスタンダードの非難を避けるために、あえて「国際海峡」である、と主張したのです。

しかしそうなると、中国側にはむしろ非常に具合の悪い事に、問題はトカラ海峡が「国際海峡」であるか否か、に収斂されて来てしまう事になりました。
「国際海峡」であることの定義は国際法上、「複数の船籍の船舶が現に常時継続的に航行しているか、日本政府が「国際海峡」として認めている場合」という事になります。
日本政府によると、「現実としてトカラ海峡は国際的な船舶航行がほとんどなく、国際海洋法条約で定める「国際海峡」には該当しない」としています。
もちろん、日本自ら「国際海峡」として認めていません。

中国側が自国領海で取っている措置について、ダブルスタンダード非難を回避するために用いた詭弁が「国際海峡」ですが、これも上記の二要件すら満たしません。
ブログ主様が言われる部分に入る以前に、すでに中国側のいう理論は破綻しているのであって、国際的に恥をかいたのはいつものように中共だったですよ。

どうも「感情論」で物を言っているのは、HNタンタンさんの方みたいですね。

中共の軍船が領海侵犯しようが、中露の戦闘機が領空侵犯しようが、北朝鮮がミサイルを日本近海まで打ち込もうが、未だ目覚めず緊張感のかけらも無い人達が大勢居ること、それこそが日本の危機です。

今や東アジアは戦争前夜であり、中共は予備役招集をかけて、戦争準備を着々と進めています。アメリカの大統領選が終わり、新大統領が決まり、政策が固まらない時期が一番危ないのではと危惧しています。トランプ氏が大統領になった場合はその危険度は更に高まります。

日本はと言えば、稲田防衛大臣の強力なリーダーシップにより早々に法整備に着手するのでしょうが、危機感の全く無い野党が審議妨害するだけならまだしも、与党内でも稲田氏の足を引っ張る輩が出てくるのではと危惧します。

マスコミはと言えば、稲田新大臣の過去の発言や書籍の記事を引用し、極右大臣との印象操作に余念がありません。稲田新大臣の発言は世界標準から見ればごく当たり前の内容であり非難するに値しないようなものです。反日日本人の揚げ足取りはレッテル貼りのオンパレードです。くれぐれも騙されないようにしましょう。

8月6日は広島に原爆が投下された日です。テレビは特集番組を組んで被爆者の声を放送しています。「彼らは日本軍国主義の犠牲者である。もう二度と悲惨な戦争を繰り返してはいけない。」と言うのが大方の論調です。国際法違反の無差別爆撃による民間人大量殺戮は、ナチスドイツのユダヤ人虐殺と同じレベルの野蛮な行為なのですが、そのことに言及する声は未だに聞いたことがありません。全部日本が悪いとされていますが、日本人はもう少し客観的な事実に目覚めるべきです。

今、日本の隣には国際法違反や国際世論の非難など何とも感じていない核保有国が二つもあるのです。彼らが決意すれば、日本の大都市が再び核の業火に焼かれる可能性もあるのです。それは10年先かもしれません。明日かも知れません。幸運が重なればあるいは無いかもしれません。一か八か、その幸運に賭けますか。何やら真珠湾攻撃前夜みたいですね。

日本人はもう少し現実に目を向け、緊張感を持って日本の目の前にある危機に対処すべきです。我々に与えられた時間はあまりにも少な過ぎます。

 タンタン氏のような方はたくさんおります。これには、着実に反論し、説明し、その認識を改めてもらわねばなりません。他方、タンタン氏も、真剣に考えていただければイイナと思います。ものごとを楽観的に考えていきたいというタイプの性格かもしれません。

> 「 敵進我退、敵駐我攪、敵疲我打、敵退我追
(敵が進めば退き. 敵が止まれば撹乱し. 敵が疲れれば攻め. 敵が退りぞけば追撃する)」
分かりやすいですね。

 分かりやすくて真実も含まれていると思います。中国を侮ってはいけません。丁寧に対応するべきでしょうね。これからすると、日本は軍事力予算を強化すべきというのが分かりますね。核装備の準備もさることながら通常軍事力予算を今増額すべきだと思いますね。

> さもないと中国という国が、「敵疲我打」(敵が疲れたら打ち)、そして最終的には「敵退我追」(敵が逃げれば追う)という政治的力関係を生み出していくことになっていくからです。

 着実な防衛努力ですね。

愛国命さん。痛いほどきみの気持ちは理解できます。

しかし、焦らないこと。時間を味方につけること。
一気になにも進まないこと。
2、3年ではなく、10年20年単位で物事を考えること。

苦いけれど、それを知って下さい。


もう前の事になりますけど、コメント欄でどなたかが「保守主義とは、どういう事ですか?」という主旨の質問をされた事がありました。

その答えは、上のブログ主様のコメントで奇しくも言い尽くされていると思いますね。

>しかし、焦らないこと。時間を味方につけること。
一気になにも進まないこと。
2、3年ではなく、10年20年単位で物事を考えること。

これです。

ブログ主様自身、知ってか知れでか不明ですが「保守主義の思想的始祖」と言われるエドマンド・バークが言いたかった事もこれと同じ事です。

保守主義というものはつまり、地味で時間のかかる「方法論」なんですね。
目の前の問題をひとつひとつ解決する事により、正しい形が徐々に見えて来て、少しづつでも正答に近づいて来る。

マルクス主義のように最初から「ある何か」を目指して突進するには過程において多くの矛盾が生じすぎる。
時間をかけて環境に合わせて徐々に変化する「自然淘汰」が結局のところうまく機能するのと同じ事で、焦らず時間をかけて常に修正しながら答えを自然な形で導き出して行く。
これが保守主義です。
禅でいう「自在」の考え方にも近いものです。

ブログ主様の、愛国命さんに対するアドバイスのアプローチの仕方に「保守主義の真髄」を観た思いがしました。

全然、本題と相違してすみません。


尖閣諸島の領海に中国が漁船を入れ、それを海警が追う形で侵入してきました。

日本が抗議したら中国の領海であるといつもの返答です。
中国の領海内で中国の法律行為をしているだけだと、実効支配の活動じわりじわり。

多摩っこさん。このニュースですね。

「外務省の杉山晋輔事務次官は5日、沖縄県・尖閣諸島周辺の領海に中国海警局の「海警」が侵入したとして、中国の程永華駐日大使を外務省に呼び、厳重に抗議した。公船侵入で大使を呼び出して抗議するのは異例。
 第11管区海上保安本部(那覇市)によると、同日午後、尖閣諸島の領海に中国の漁船が入ったのに続き、海警も領海に侵入。漁船と海警が同時に領海に入ったのは初めてで、海警は漁船の周囲を行ったり来たりする動きを見せたという。
 外務省は抗議の理由について「海警が漁船に法執行活動を行うことで、わが国の主権を侵害する恐れがあった」と説明している。
 杉山次官は同5時10分ごろ、程大使に「尖閣諸島領海への侵入や活動は、わが国主権の侵害であり、断固として認められない」と抗議。これに対し、程大使は「中国固有の領土で問題ない」との従来の立場を強調した。」(時事8月5日)

           ~~~~~
尖閣の接続水域侵入も、中国海軍の艦艇からの動きから、退役自衛隊将官は、あれは自衛隊の海上警備の機動パターンと一緒だと述べていました。

つまり中国艦艇は、尖閣でロシア艦に対して「警備行動」を実施していたわけです。

空自と中国空軍機のマニューバも、あれは彼らの領空の正当な警備行動なのです。

つまり、一枚一枚皮を剥ぐように、日本の領海・領空を「実効支配」しようとしているということです。

そのニュースです。

ロシア艦艇の時もそうだとすれば合点がいきます。
ん〜、オリンピックや小池知事関連のニュースばかりでニュースじゃ取り上げられません。
報道機関の危機感の欠如なのか、報道をしない自由なのか、20年後30年後には沖縄から米軍が撤退し沖縄自体が日本でなくなり中国の前線基地と化しているかもしれません。
あ〜頭痛い。

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