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2016年8月24日 (水)

日本は核兵器を開発できるか?その技術的難点とは

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核武装テーマについて続けていますが、沢山のご意見ありがとうございました。 

今日は技術的なことを中心にお話します。 

日本は技術先進国だから、核武装は簡単だという俗論がありますが、そう簡単ではありません。 

管直人氏は川内原発の宣伝カーの上で、こんなアジ演説をしていました。

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「原子炉はもともと核兵器製造に使うプルトニウムを作るために開発されたものだ。そして70年前にプルトニウム型原爆が長崎に落とされたのだ。
私はプルトニウムと人類は共存出来ないと考えている。そうしたプルトニウムを新たに生み出すこと自体が人類を危険に晒すことだ。原発がプルトニウムを作ったんです」

 この人の無知蒙昧ぶりにはかねがね驚かされますが、軍事用原子炉と商業用原子炉が炉の構造自体からして違っていることを知らないようです。 

従って作られるプルトニウムも種類が違います。 

核兵器に使用できるプルトニウムは、純度90%台後半の高濃度Pu239だけです。  

一方、民生用原発から出るプルトニウムはPu240で、これはそのままでは軍事転用はできません。  

では、この軍事用プルトニウムを、日本はどれだけ保有しているでしょうか。

世界の核分裂性物質の量 - 核情報によれば、日本はゼロです。 

念のためにお断りしますが、民生用Pu240からまったく核爆弾が製造できないわけではありません。 

2005年5月の国連におけるノーベル賞受賞者らによる声明によればhttp://kakujoho.net/npt/ucs_npt.html 

「テロリストも、民生用のプルトニウムを使って強力な核兵器─少なくともTNT火薬換算で1000トン(1キロトン)の破壊力を持つもの─を作ることができる。」

広島級の約3分の1ていどの破壊力を持つ核爆弾は、民生用プルトニウムからも製造できます。

これをネタ元にして、反原発・反核論者たちは、「日本がプルトニウム備蓄して核爆弾を作る気だ」と主張しています。
http://kawasakiakira.at.webry.info/201507/article_14.html

ナンセンスです。それは「できる」というだけで、軍事的合理性を考えない妄論です。

日本が核武装をする場合、製造するのは戦術核ではなく、戦略核ないしは準戦略核です。

戦略核を作らねば、相手国の核兵器に対しての抑止力にはならないからです。

日本が本気で核抑止力を持つならば、日本に核兵器を照準している中国と北朝鮮の心臓部を一撃で壊滅させねばなりません。

そのためには、たとえば米軍が運用しているMk85核爆弾は約8メガトンですから、その程度の破壊力が必要となります。

メガトンとは核爆弾の爆発力の単位で、TNT火薬換算で100万トンのことです。

ですから1キロトン級原爆などのようなテロリストの凶器をいくら作っても、軍事用には無価値なのです。

またPu240は不純物が多く、不発の確率が非常に高いために、こんなもので軍用核爆弾を製造する国はありません。

反原発・反核論者たちは、日本人がスーツケースに不発かもしれない手製原爆を入れて、平壌や北京に持ち込むとでも思っているのでしょうか(失笑)。 

では次に仮になんとかして核爆弾を作ったとします。

しかしまだ高いハードルがあります。それが核実験です。

核実験をしないと、スペックどおりの性能がでるのか、不具合がないか検証できません。

考えるまでもなく、日本国内に核実験場などができる場所はありませんし、外国が貸してくれるはずもありません。

そこで出てきたのが、コンピータ・シミュレーションで、なんとかできるのではないかという説が他ならぬ中国のメディアから出てきました。

中国城市安全研究所副所長の楊承軍教授の説です。http://news.searchina.net/id/1584694?page=1

コンピュータ・シミュレーション核実験とは、臨界前核実験のことで、実際の核爆発を伴わずにバーチャルにやってしまおうということで、既に核保有国は実用化しています。

楊氏によれば、日本はアブナイ潜在的核保有国で、すぐに中国を抜くぞと脅かしています。

①日本には世界最大のヘリカル型核融合実験装置があるなど、核融合技術で世界一流。
②核爆発実験をしなくても高性能のスーパーコンピュータによるシミュレーションで核兵器を作る能力がある。
③日本はミサイル搭載用の核弾頭を開発する能力もあり、極めて短期間のうちに、「世界第3位の核兵器保有国」になれる。
④日本が核兵器を保有した場合、西太平洋地区、とくにわが国の安全に対する重大な脅威となる。

●核弾頭保有数(2014年現在)
・1位ロシア・・・8000発
・2位米国 ・・・7315発
・3位フランス・・・300発
・4位中国  ・・・250発
・5位英国  ・・・225発

つまり、楊氏は日本は中国を越える核兵器の保有が短期間で可能だと言いたいようです。

①はほんとうです。日本の核融合技術は水爆の技術とダブりますが、後述するように原爆と同じ技術的ネックを抱えています。

④の、日本が核兵器の核兵器の運搬手段を保有しているというのも事実です。

かつてはH2型ロケットしかなく、軍用ミサイルには不適格でした。

ペイロード(搭載量)は大きいのですが、なにぶん液体燃料ですので発射まで時間がかかりすぎるのです。

とろとろと発射台で燃料を詰めていたら、返り討ちにあってしまいます。

軍用の核ミサイルはすべて固体燃料です。

ところが、これが日本には存在します。

2年前、日本独自技術で作り上げた固体燃料ロケット「イプシロン」です。これは素晴らしいロケットです。
イプシロンロケット - JAXA|宇宙航空研究開発機構

Photohttp://www.isas.jaxa.jp/j/column/epsilon/05.shtml

このイプシロンは、人工知能を有しており、自ら数万パーツの部品の不具合をチェックし、LAN(ローカルエリアネットワーク)で自己診断してしまいます。

これは世界最初の技術で、すごいぞ、JAXA!

この自己診断機能により発射人員はわずかで済み、大規模な発射基地は不要となりました。

その結果、打ち上げ費用は30億(目標値)という驚異的な費用圧縮に成功しています。

こんな素晴らしい夢を満載したロケットに、核爆弾を積むと言い出したらJAXAのロケット技術者は号泣するでしょうね。

日本のロケット技術者は世界で唯一、平和目的のみのロケットを作れるので、世界中の同業者からうらやましがられている存在だからです。

しかし、世界でもこれほどまでに潜水艦発射型核ミサイルに適したロケットは存在しないのも、悔しいですが事実です。

問題は、②のコンピュータ・シミュレーションで、実際の核実験に置き換えられるかどうかです。

この楊氏の説は半分がほんとうなので困るのですが、半分はほんとうです。

米国やフランスは既にはスパコンで臨界前核実験をシミュレートする技術が確立しています。

しかし、ではなぜかつてフランスが臨界前核実験の技術を持っていながら、世界の批判を尻目にしてムルロワ環礁で核実験を強行したのでしょうか。

それはコンピュータに入力する実データが必要だったからです。

実データは、現実に核爆弾がどのように作動し、どのような破壊力をもつのかは実験せねば得られません。

日本に実データがあるはずかありません。外国から提供を受けるしかないわけです。

米国がくるれはずもありません。

ですから、日本に世界一のスパコン技術があろうとなかろうと、元種がないのでは手も足もでません。

というわけで、考えにくい想定ですが、米国了承の下に核兵器を製造するならば、わが国は核兵器とその投射手段の基本技術だけは有しているから可能というわけです。

しかし、それだと米国からの自立と独自核抑止力獲得の目標ははかなく消えますね。

というわけで、問題は政治的な課題になっていきます。

それについては次回。

 

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コメント

体調のほうは良くなりましたか?

>日本のロケット技術者は世界で唯一、平和目的のみのロケットを作れるので、世界中の同業者からうらやましがられている存在だからです。

そうそうwこれってある意味日本の強みですよね。
普通は軍事目的でのロケット製造ですもんね。
種子島JAXAからのロケット打ち上げの中継は毎回見ていますが、毎回綺麗に発射しています。

管理人さんの御指摘通り、日本の保有する原子炉級のプルトニウムはそのままでは核兵器にはなりません。しかし増殖炉やその他のタイプの原子炉では簡単に兵器級プルトニウムができてしまいます。日本の高速増殖炉もんじゅではすでに60キログラムの兵器級プルトニウムが生成されたようです。本来ならば原子炉級プルトニウムと混ぜて無害化するのですが、実際にはその後の行方は分かっていないようです。

ちなみに兵器級プルトニウムの自然劣化は数十年ですので、一度核兵器を作っても未来永劫配備を続けることはできず新たなプルトニウムと入れ替える必要があります。いずれにしても、取り扱いの難しい兵器には違いありません。古くから核ミサイルを準備してきた米露や英仏中は頭を痛めていることでしょう。

いずれにしても日本の保有する原子炉級プルトニウムはそのまま直ぐには核兵器には使えないとしても、いつでも兵器転用できると言うメッセージはある程度の抑止力にはなるでしょう。北朝鮮ですらできた核弾頭を日本が作れないと信じるに足る理由はありません。国際社会にはそう思わせて置く方がはるかに抑止効果があります。

さて、世界中の核兵器保有国に対する抑止力として核武装が話題になっていますが、核兵器に代わる効果的な抑止兵器の可能性も考えてみる必要があります。

今、イージス艦一隻が搭載できるミサイルは100発弱です。つまり100発100中だとしても、101発目は撃ち漏らしになります。機関砲で迎撃を考えるとしても命中するかどうかは不明であり、一発でも当たればイージス艦と言えども爆沈することになります。イージス艦を何隻並べても飽和攻撃を受けてしまえば、同じ結果になるでしょう。一方、日本が配備を準備している対艦ミサイルは超高速で飛行し迎撃不可能で100発100中の威力を持っています。そのうち、軍艦や航空母艦や戦闘機もこけ脅し程度の役割しか果たさなくなる日が来るのではと想像します。

話は変わりますが、現在、中国が必死で開発しているのが衛星無力化技術です。軍艦も戦闘機もミサイルも今やGPS無くしては行動できません。高速通信リンクも衛星に依存する部分が少なくありません。中国の衛星破壊実験はすでに成功しています。米国でも衛星無力化に対抗すべきだとの論文も出されています。軍事分野では、どんどん新しい技術開発が進んでいることにも着目すべきでしょう。裏返せば日本にも核ミサイルへの対抗手段としての衛星無力化は非核の兵器として可能性があると言うことです。

もう一つ射程200キロのレールガンです。日本もやっと開発に着手するようです。弾頭のコストが安く、発射速度も驚異的であり、航空機迎撃やミサイル迎撃に最適とされています。これも非核兵器です。

日本の大学ではプラズマ放射に関する研究も盛んに行われています。しかし、残念ながら日本では大学で兵器転用技術を研究することは御法度でしたので、共同研究の美名の下に米国に技術流出しているようです。このプラズマもミサイル迎撃技術としては有望視されているものです。その他、米国ではレーザによるミサイル迎撃実験にも成功しています。いずれも非核技術です。サイバー兵器も見逃す訳には行きません。敵の武器管制システムを破壊できれば、どのような強力な兵器でも無力化できるからです。

核ミサイルがコストに見合わない割高で効果の低い兵器と言うことになれば、取り扱いの難しいプルトニウムを使った環境汚染型の汚い核兵器は自然と姿を消して行くのではと期待しています。いずれにしても、核軍縮や国際平和を呼びかけるなら、相応の力の背景が必要であることに変わりはありません。

中国の王外相は来日早々に尖閣問題では日本は騒ぎ過ぎだと日本人の神経を逆なでするような発言をしています。これに対して日本は抗議するだけです。中国は痛くもかゆくもありません。

しかし、米国が強襲揚陸艦の東シナ海派遣を決めたとの噂があります。もしこの話が本当なら中国の横暴に対する大きな抑止力になるのでしょうが、本来なら日本がこれをやるべきなのです。弱肉強食の国際社会では力の無いものや勇気の無いものはいじめられるだけなのです。

菅直人氏のいう説明は大幅に端折っていて意味不明レベルですが。

水爆のような強力な核兵器ではなく、ブースト型核分裂兵器であれば、プルトニウム240から核兵器を作れると言うのは、記事の内容にある通りです。
しかし、実用的ではないというのもその通り。何故そう考えるか、という答えに以下のことが有ります。


嘗てアメリカは、北朝鮮が電気不足だから原発を作ると言った時に、じゃあ軽水炉の原発を作ってやるよと言ったことが有ります。
核兵器の原料になるプルトニウムを「作る」事の出来る軽水炉を、わざわざアメリカが作りますか?
転用は出来るけれど実用的ではない、と言う見方をしていたからこそ、アメリカも軽水炉を作るなんて言ったのです。
つまり(こんな言い方はしたくないが)破壊力の小さい核兵器なんて実用的じゃないから、研究されたって構わないよというのが、アメリカが考えていたことだったのだと思います。
北朝鮮の言う核実験成功というのも水爆ではなく、こちらのブースト型核分裂兵器である、と言われています。


しかし勿論、そんなこと表立って言えません。核不拡散のことを考えれば、威力が弱かろうが関係ないのですから。
ぶっちゃけた話、相手を壊滅させるまで戦うことを前提とするなら、破壊力の大きい核兵器が必要になる。
しかし汚染させるだけなら(貧者の核兵器=化学兵器のように)現状でも十分なのです。
いわゆる、汚い核兵器というシロモノですね。
アメリカが再処理施設にクレームを入れているのも、核不拡散の観点から冷戦終了時期に自国の再処理施設を停止しているから。
アメリカはとっくに止めているんだから、冷戦時に言ったことを何時までも引きずってグダグダ続けんな、ということですね。


誰ですか、アメリカからの圧力があってプルサーマルを推進している、だから再処理施設も必要なんていうのは……っと、この辺りの政治的な話はまた次ということなので、今回はここまでに。

地下核実験を行うには、どれ程の深さ、広さが必要になるのでしょうか?また、その実験により核物質が地上に拡散するのでしょうか?単純に地下深い坑道が必要なのであれば、日本国内には、利用されなくなった多くの鉱山跡が存在していると思うのですが、それらでは核実験は不可能なのでしょうか?ま、核実験するとか言えば、地元は大反対なのは火を見るより明らかではありますが、純粋に技術的問題としてはどうなのでしょう?やはり無理なのでしょうか?

素人判断なのですが、この細長い火山国では離島でないと地下核実験に向かず、それであっても地震を誘発しそうな気がします。

どうしても核を持つ必要が出来た場合、買うのが早いと思います。私の立ち位置はあくまで日米同盟堅持第七艦隊駐留ですので、アメリカからのお買い物です。
アメリカからの委託でボタン押す権利は無しでも。
しかし、昨日からの流れで核武装に話題がいっていますが、通常兵器増強と新たな開発、もっと事前プレッシャーになるような専守防衛のアピールが、第一です。
衛星関係とサイバー戦は注目分野です。
ただ、そういう仮想の未来図はパラメータが無限ですが、絶対に島に上陸して居座られない、というのが大前提。だから漁民だからとか漁してるんだとか言われても不法占拠はさせないよという立場を譲る必要は一切ないですね。

愛国命さん。いつも熱いコメントをありがとう。楽しみにしています。

さて、もんじゅで兵器級が60キロができているという説ですが、この部分のソースは反原発運動の人たちですね。
元IAEA広報部長の吉田康彦氏は、こう述べています。
http://www.yoshida-yasuhiko.com/nanp/post-95.html
「IAEAの査察も日独核武装封じ込めが出発点だ。プルトニウムに適量のウラン化合物を混合させて軍事転用しにくくした再処理方式を、世界で初めて六ヶ所村で考案し,導入したのも日本の技術陣だ。」

IAEAは、当然もんじゅなど高速増殖炉も検証しています.
核保有国が高速増殖炉を使って核兵器用プルトニウムを製造しているという話は、反原発派のためにする議論だと私は思っています。

Puが「ある」ということと、それを核兵器に転用する、つまり軍用に「使う」ということはまったく別次元のことなのです。
要は、「意志」なのです。
脅威の方程式が、<能力+意志>なように、意志がなければPuもただのひとつの放射性物質にすぎません。

核兵器は「政治的兵器」と言われていますが、その通りで大いに政治的に思考せねばならない存在なのです。

一方、日本には核兵器を自力製造できる方法が唯一あります。
米国の「暗黙の了承」を得ることです。
そして秘密裏に核実験の実データをもらいます。
これができれば、国際政治において、独自核武装の最大のネックだったNPTを脱退しても、国連安保理で米国が拒否権を発動してくれます。
中国との緊張が高まれば、あるいは・・・というところでしょうが、現実性は希薄です。

それ以前に、米国との集団安全保障の強化や駆けつけ警護ていどに「戦争法案」と叫んで金切り声をあげるわが同胞をどうしましょうね(ため息)。
核武装などは9条の「交戦権」の極北そのものですから、憲法学者がなにを言うか想像できます。
これを押して独自核武装というのは、改憲してからの新たな次元で仕切り直し、と考えましょう。

あなたが言うように、通常兵器を使った抑止手段はいくつも作られつつありますし、それと現実政治をいかにしてすり合わせていくのかだろうと思います。

何度もいいますが、保守の真髄は「変革」ではなく「適応」ですよ。


北朝鮮の潜水艦のSLBM、500キロ成功。
陸地だけでなく、海のどこからでも攻撃可能、ますます危険になりましたね。


核はともかく、アメリカからトマホークくらいは輸入配備したいです。
出来れば弾道ミサイルも欲しい。

これらを反対する公明党や他の政党、議員たちは話し合いの外交だけで防衛できると真に思っているのかな。

最近、焦燥感でいっぱいです。

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