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2016年8月19日 (金)

尖閣中国公船・漁船侵入 何ができて、何ができないのだろうか?

Dsc_4581
県の海域に大量の外国漁船の侵入を受けながら、誰を恐れてか無言の業を貫いている翁長知事とは対照的に、宮古市議会が抗議声明を出しました。 

本来県がやらねばならないことを、日常的に中国漁船の大量侵入にさらされている地元自治体にやらせてどうするのですか。
関連記事は欄外 

辺野古移設に反対するのもけっこう。米兵犯罪に抗議するのもけっこうです。ただし、県知事としての責務を果たしてからにして頂きたいものです。 

いつもは米兵の酒酔い運転にまで事細かく抗議する翁長知事が、200隻を越える外国漁船と大量の中国公船の侵入に沈黙するとは、二重規範にもほどがあります。 

もし、侵入した中国漁船に乗り組んでいるといわれる海上民兵が武器を使用して、地元漁船を攻撃でもしたら、その時はまた女性殺害事件の時のように、「私の責任だ」とうなだれてみせるのでしょうか。 

翁長知事よ、知事としての仕事をしろ! 知事は運動家じゃないぞ。

さて、中国漁船の侵入についてもどかしく思うコメントも多く頂いています。 

今、日本が何ができて、何ができないのか考えていきましょう。 

まず、この尖閣諸島水域で、海保の巡視船が侵入した中国漁船を取り締まれるかどうかです。

よく、侵入した中国漁船をなんと58隻も爆破してしまったインドネシアと比較されます。http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20160819-00000711-fnn-int

Photo_2

私も個人的にはあの程度やらないと無法者には通じないと思っていますが、残念ですが不可能です。 

たしかにあの尖閣諸島周辺海域は、日本の領海であることは間違いありません。

「いやあそこは中国領海だ。日清戦争で奪ったんだ」などと言う方は、これ以上読まなくてけっこうです。

では領海に他国の船舶が侵入した場合、直ちに「領海侵犯」事案として実力で排除していいのでしょうか?

できません。できるのは、公船と軍艦だけです。

領海侵犯が成立するためには、以下の条件が必要です。

①侵入した船舶が、政府公船であること。

民間船の侵入は単なる不法入国の範疇ですので、扱いが別枠になります。領海侵犯という概念は、あくまでも政府公船・軍艦が対象なのです。

②侵入した外国公船に対しては、海保は国際海洋法に則って無害通航権の有無の判定を行います。

無害通航に当たらないと領海国が判断した場合、初めて排除宣言が可能となります。

以上二つの手続きを経て、なおも外国公船・軍艦が出て行かない場合、初めて領海侵犯による排除ができます。

実にやっかいですが、日本政府が領海侵犯とした事例すべて、この要件を充たしています。

Photo_3コラージュによるイメージです。

では、民間船が日本のEEZ(排他的経済水域)で違法操業した場合はどうでしょうか。

日本と中国は日中漁業協定を結んでいます。実に細かく水域がゾーニングされているのでご注意ください。
日中漁業協定 - Wikipedia

Photo_4宮古毎日より引用

原則としては、他国のEEZ内で操業する場合には、相手国の許可が必要です

当然、相手国漁船を取り締まることもできます。

ただし、日中漁業協定によって北緯27度以北は「暫定措置水域」として、互いに許可なく操業が可能です。

問題はこの北緯27度線以南です。実はこの27度以南の水域は日中漁業協定第6条(b)によって棚上げとなっているのです。

つまり尖閣諸島周辺水域は、日中漁業協定の枠外であって、海保は領海にまで侵入されない限り、退去勧告すらできないわけです。

ですから、今回の日本政府の中国への抗議はすべて、「中国公船の領海侵犯」に対してのみ行われているはずです。

このような約束を厳守する日本と違って、今回、中国が北緯27度以南の暫定水域にまで大挙して漁船を入れてきたのは、「お互いにもめたくないから棚上げにしておこうね」という大人の対応を、中国が一方的に破ったことになります。

こんな無法な中国公船など、海上警備行動を発令して海自が打ち払ってしまえ、という意見も聞かれます。

気持ちは分かります。今回の現状を見てみましょう。

押し寄せた中国公船は15隻で、海保は1隻につきマンツーマンで挟み込むようにして2隻で対応しています。

Photo_5

この海域は、海保第11管区海上保安本部が担当しています。

「尖閣警備専従部隊」を整備して、今年2月には大型巡視船「いぜな」「あぐに」を就役させ、大型巡視船12隻相当、ヘリコプター搭載型巡視船2隻の計14隻体制で日夜対応しています。

ちなみに辺野古の海上警備も第11管区の仕事ですから、カヌー部隊の諸君たち、ただでさえ日本一忙しい第11管区の「海猿」たちをこれ以上、下手なカヌー遊びで煩わせないでほしいものです。

こんな時期にそんなことばかりやっていると、「後方攪乱」と言われますよ。

それはさておき、今回のように一斉に15隻もの中国公船によって飽和攻撃された場合、当然のこととして海保は対応不可能になります。

今は他の管区の応援で凌いでいますが、今後もなおこのような公船と漁船の飽和攻撃が続くなら、予算を倍増してでも2倍以上の体制にする必要があるでしょう。

イージス1隻諦めれば可能です。

海自は今ていどの状況で、出動すべきではありません。

何が中国の意図か、よく考えて下さい。

中国の狙いはエスカレーションなのです。

海保を挑発し、海自を引きずり出して小戦闘を交えて、この水域が紛争地域だと宣伝することが目的です。

ここで海自が中国公船を排除すれば、中国の思うつぼです。

それは日本が先に軍隊を投入したことになるからです。

当然、中国は、「日本が中国の領海周辺で軍事挑発を開始した」とプロパガンダするでしょう。

中国軍艦は、先日接続水域にまで侵入しましたが、原則として北緯27度線以北の海域を巡回しています。

この状況で、日本が先に27度線以南の水域で、海自艦艇を出せば、日本が先にエスカレーションの階段を登ったと国際社会は理解します。

まさに昨日の記事にも書いたように、米国からさえ、「このように行動したら、結果はどうなるのか。どのようなメッセージを送ることになるのか」を問わない行動と非難を受けることになります。

とうぶん、イライラする神経戦は続きます。

ぶち切れないように、海保を応援していきましょう。 

                         ~~~~ 

■「中国船の尖閣接続水域への侵入 宮古島市議会が抗議決議
沖縄タイムス2016年8月18日
【宮古島】中国船が尖閣諸島の接続水域に繰り返し侵入しているのを受け、宮古島市議会(棚原芳樹議長)は18日午前、市議会臨時議会を開き、同水域への入域に抗議する決議案を全会一致で可決した。中国国家主席、中国駐日特命全権大使に郵送する。
 抗議決議は、尖閣諸島は「日本政府が国際法上正当な手段で日本の領土に編入し、歴史的にも日本固有の領土であることは明らか」と指摘。尖閣諸島周辺の接続水域や領海への中国船侵入に、「国際法を無視する行為は県民に強い衝撃を与え、漁業者へ大きな不安と恐怖をもたらしている」と訴えている。
市議会は尖閣諸島周辺の警戒監視体制の充実や周辺海域で操業する漁業者の安全確保などを求める意見書案と、県や県議会に領土・領海を守る取り組みを強化するよう政府への働き掛けを求める要請決議案も全会一致で可決した。意見書は内閣総理大臣や外務大臣、国交大臣など6者に、要請決議は県知事、県議会議長に郵送する。」

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コメント

ほとんどのメディアがスルーしてますが
自民党県連は要請行動を防衛局にお願いしています。

尖閣海域の異常事態に自民党県連要請行動
2016-08-11
https://newsi.okinawa/news/economic_politic/2016-08-11-154427

あちこちの保守系ブログとかまとめサイトみてますと、日本政府が中国しかり韓国北朝鮮に対して何の報復もしない遺憾ばっかりということに対するイライラ度がすごいです(笑)

でも、逆に考えてみて、いくら挑発しても乗ってこない日本に対して特あ連中のイライラ度はこれまたすごいかもです。日中戦争や太平洋戦争当時と違うのは、国だけでなく個人単位でも情報発信が出来ること。日本に対して特あ三国が何をしているか、世界中が見ています。

午後にでも海上保安庁と自衛隊さんに応援メールを出します。


海上保安庁は中国公船や漁船の行動を逐一撮影しているはずです。外務省も小出しではありますがこれらを一部公表しています。

しかし本気で中国に抗議するつもりなら大々的に情報発信して世界中に中国の無法ぶりを知らしめるべきでしょう。これがどれだけ効果的かは不明ですが、少なくとも中国に対する牽制にはなるでしょう。

いずれにしても、当事国以外は小さな島の周辺地区で何が起ころうと無関心でしょう。日本政府は米国政府とも連携してもう少し毅然とした対応を考えるべきです。尖閣周辺で日米軍事演習ぐらいならできるでしょう。

尖閣を取られ沖縄を取られたら次は台湾です。紛争は際限なく拡大し朝鮮半島が火を吹けば日本も否応なく巻き込まれます。無人島だとか沖縄独立だなどと呑気な事は言っていられなくなるでしょう。沖縄が再び戦場になるかも知れないのですから。

正直、一瞬「うらやましい!」と思いましたが、インドネシアのスシ水産相がとった選択肢は日本のケースと相違する中国漁船の目的、インドネシア政府内の政争も原因としてあるようで、要因が一致しないため我が国がとるべき行動の参考にはならないようです。

本日の記事は、現時点で自衛隊に対し「海上警備行動」を発令すべきかどうか、という問題に収斂するようです。

私は、現在までの政府のあり方は間違っていないと考えます。

逆に中国側が今後尖閣に上陸すると想定した場合、法ではなく暴力で他国の主権を脅しとろうと画策する馬鹿げて中世的な有様を一連の経緯として記録した価値は大きいと思います。
加えて、中共と違い日本政府には「海上警備行動」を発令する前提として日本国内の興論、自由主義各国の支持を得たい需要があります。
中共の今回の行動はその点でオウンゴールで、逆に日本側に寄与してしまっている面もあります。

ただし、焦る中共がこのまま漁船を尖閣に上陸させれば海保が排除せざるを得ず、それに公船が介入すれば日本側も海上警備行動を発動せざるを得なくなります。
逆にそれでも海上警備行動を発令しないとなれば、主権を放棄したに等しい日本に米軍の援護は望むべくもなくなります。

私見では、未だ中共には尖閣に上陸するはっきりした意図も度胸もないように考えますが、さてどうでしょう。
逆にロシアだったら、まずは一も二もなく尖閣を奪取した事でしょう。
この違いこそが中共のウイークポイントとも考えられ、逆に米国をして「反中」に導かない理由なのでしょう。


おはようございます。記事ありがとうございます。
尖閣諸島周辺水域は、日中漁業協定の枠外であって、海保は勧告に反して領海に侵入してきた公船へのみ退去勧告ができる。漁船は自由。←嫌ーf^_^;)
という事ですね。
海自を出さずに海保で頑張る訳も理解できます。
エスカレーションは中国側だという体制を崩してはいけないです。

一連の報道を私のような素人が聞くと、
漁船が300いて公船が3隻いる日と、
公船が13隻もいる日があるじゃないですか。あれ?じゃあ漁船は一旦帰ったの?と減ってるみたいに聞こえるのです。
後者の日にも前には漁船団を押し出して公船が領海侵入している、という理解で良いのでしょうか。
海保増員、船も調達しないとですが、人も配置変えで足りるのか心配です。現場は既にオーバーワークになってますねきっと。
何人位いるのかウィキを見たら、2012年データですが総職員数13,422名。愛知県警察とほぼ同じ。
結構コンパクトな集団なんですね。

今は海保に頑張ってもらうしかないのですね。オーバーワーク気味かもしれないけど、踏ん張り時と言うことでしょうか?幸い、今年はまだ大きな台風が東シナ海方面に来てないので良いですが、今、台風が来たら、ここぞとばかりに中国漁船が尖閣に上陸?避難しそうですね。アメリカが三種の戦略爆撃機を南東シナ海方面に展開したとか?そこらが良いメッセージになればよいのですが。空自も尖閣方面に出張ってくれたら、あちらさんはどうでるのでしょうか?あと、日米合同演習っていうのもいいけど、確か海軍の演習には中国も参加していましたよね。日米2国だけって言うのは無理か。

 政治的な駆け引き、軍事的な駆け引きなどの話題は、正直飽きている。複雑すぎる。

 尖閣は日本の領土であり、それを中国が奪おうとしている現実がまずある。それに対し、駆け引きという手段で対応しているのが現状だ。

 本来は、防衛力を増強し、中国を圧倒するべきなんだろう。それが出来ないのが悔しい。国民がもっと怒るべきなのだ。それが出来ない、悔しい。

 私にできることはなにもなくて、ただ政府を信じ頼ることしかできない。政府は頑張ってくれ、海保も自衛隊も頑張ってくれるよう祈る。

 

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