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2016年8月12日 (金)

共産党が言うように都知事選はほんとうに「大健闘」だったのか?

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都知事選の総括が各所で行われています。

ある意味で、今回の都知事選の主役のひとりだった共産党の総括を見てみましょう。 

赤旗(8月1日)です。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-08-01/2016080101_01_1.html

記事タイトルがすべてを言い尽くしています。

「東京都知事選 鳥越氏が大健闘 野党と市民の共闘発展」

大健闘って野党の基礎票の200万票もとれない惨敗なのに、などとチャチャを入れないでくださいね。

「小池百合子氏は、「核武装」発言などの改憲タカ派の本質を隠し、自民党都連との“対決”ポーズを演出。増田氏は安倍政権との連携を強調し、自民党主導の組織戦を展開しました。
小池書記局長 「今回の選挙戦を通じて、首都東京で野党と市民の共闘が発展したことは極めて重要な意義があります。協力関係は、市町村段階まで多面的に発展しました。また、国政政策だけでなく都政政策でも政党間の一致点を広げていることは、今後の都民要求実現のたたかいにとっても大きな意味を持つものです。」
 

あくまでも共産党にとって、この都知事選は「野党と市民の協力関係を発展させ」大爆発を勝ち取った「意義あるもの」だったのです。 

要は、共産党候補がダブルスコアをつけられて大敗しようとどうしようと、断固として「勝利」なさったというわけです。

おめでとうございます、としかいいようがありません。 

ちなみに、ここで小池書記局長がいう「野党」とは、直接には共産党自身を指し、「市民」と呼ぶのは、国民一般ではなく、志位委員長が今年の赤旗元日号の新春対談で述べているように、去年の国会デモに参加したような人たちのことです。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2016-01-01/2016010101_02_0.html 

ですから、「核武装を唱える改憲タカ派の小池氏」に投票するような者は、「市民」ではないのです。

ちなみに小池氏は、「軍事上、外交上の判断において、核武装の選択肢は十分ありうる」(VOICE 2003年3月)と言っただけで、議論の対象からはずしてはいけないという程度の意味にすぎず、核武装論者とするには無理があります。

このテーマについては、そのうち書きます。

そしてさらに、志位氏は今や平時ではない、「日本の歴史でも初めての市民革命的な動きが開始された」、と説きます。 

この「革命」の流れが、都知事選の「大健闘」に結びついたというわけです。 

なんか、頭がボーっとしてパラレルワールドに迷い込んだような気分ですが、これが共産党ワールドなのです。 

昔から読みやすく分かりにくいと言われた赤旗ですが、ホントわからない。

かつて私も70年安保の折に、共産党が「大爆発」「大勝利」と連日呼号していたのを見てきましたが、「革命」と立てて「大勝利」で回収する体質はいささかも変化していないようです。

これが共産党無謬伝説です。 

かつてなら共産党内で、「いや負けたんじゃないの」などと言おうものなら、右翼日和見主義としてリンチまがいの査問をされて、除名処分になったものですが、今はどうなっていますか。 

さて都知事選自体の総括は、そんなに難しくありません。 

日本の政治を代表する3つの流れから候補者が現れたので、都民はすっきりと選択ができたのではないかと思います。

ひとつは村政治のような、利権と地位の分配のための土着保守そのままの自民党の流れ。

もうひとつはそれを変えようとする、都市型保守の小池氏の流れでした。

いままでの日本の政治では、この小池氏に相当する勢力が不在で、土着保守vs日本型左翼という2極構造になっていました。

そして今ひとつは、この小池氏までも改憲極右と決めつける民共合作が推した鳥越氏陣営です。

政治的には護憲、反安保、反原発、反安倍、経済政策的には成長反対・分配重視という伝統的左翼陣営のスタンスでした。 

鳥越陣営の得票データを見ます。 

鳥越俊太郎得票率
・推薦政党・・・民進党・共産党・社民党・生活
・得票数・・・1,346,103票
・得票率・・・20.6%

 ちなみに小池氏は、44%の倍です。 

年齢別投票動向(朝日新聞出口調査による)
1819歳・・・小池35%増田30%鳥越
18%
20歳代・・・小池43% 増田30%鳥越
10%
30歳代・・・小池48% 増田22% 鳥越
15%
40歳代・・・小池49% 増田22% 鳥越
17%
50歳代・・・小池45% 増田28% 鳥越
19%
60歳代・・・小池43% 増田27% 鳥越
25%
70歳代以上・・・小池39% 増田30% 鳥越27%

去年、青年層は志位が手放しで「民主革命」というようにシールズ化したといわれていましたが、今回の選挙において鳥越氏に対する支持は10%台に止まっています。

10代では小池・増田両候補で65%押さえたのに対して、わずか18%にとどまっています。

この傾向は20代から50代といった、働き盛りの中堅クラスでも変化なく、鳥越氏がやや支持率を増やすのは、60歳以上の高齢層からでした。 

位さん、どこに「革命」が起きているのでしょうか?

「革命」どころか、左翼陣営は地盤を根こそぎもっていかれて います。

支持政党別投票候補
・民進党
・小池氏・・・30%
・鳥越氏・・・60%
・増田氏・・・10%

・無党派(全体の37%)
・小池氏・・・50%
・増田氏・・・20%
・鳥越氏・・・20%

民進党は支持層の基礎票の4割を保守系に崩され、共産党支持層からも2割が小池氏に流れています。

また鳥越陣営が頼みにしたはずの無党派層の支持の半分は小池氏に流れ、鳥越氏はわずか2割程度を押さえたのみです。 

つまり、土着自民党としっかり戦ってくれそうなのは、同じ自民党の小池さんだと有権者は判断したわけです。

自民も負け、共産党ら野党は惨敗を喫したのです。

戦術的にも、余りに拙速かつ稚拙で、あれで勝てたら奇跡です。 

特に鳥越氏が、下半身問題についてあいまいにしたまま、訴訟沙汰に持ち込んで、その上に「女なら誰でもいいわけではない」という言葉を吐いたことは、リベラル層の反発を呼びました。

朝日新聞系列のハフィントンポストは、選挙後に鳥越氏のインタビューをとして、掲載しています。
「ペンの力って今、ダメじゃん。だから選挙で訴えた」鳥越俊太郎氏、惨敗の都知事選を振り返る」独占インタビューhttp://www.huffingtonpost.jp/2016/08/10/shuntaro-torigoe_n_11422752.html

責任転化と居直りだけの内容で、こんなものを発表すると「2度めの敗北」になると思えますが、この中で鳥越氏はこう述べています。

「週刊誌2誌に書かれたといっても、情報源は一緒ですよね。はっきり言って、それがそのまま、なんの裏付けも証拠もなく、「この人がこう言っている」というだけで載っちゃうのね。
でもこっちは、それに打ち勝つ方法が何もない。そういうジレンマというか、本当にもどかしい思いがありましたけれども、説明してどうなるものではない。あとはきっちり、裁判でけりをつけるしかないと覚悟を決めました。」

もう、私は、権力に対して説明責任を問い続けたジャーリストとしていかがなものかとか、慰安婦問題糺弾の時とまったく違うじゃないかなどと、ヤボはもう言いません。

論評する価値もありません。

保守、リベラルという次元ではなく、人として失格です。

こんなレベルの人物が、「日本を代表するジャーナリスト」だったことのほうが驚きです。

ただひとつ面白く思ったのは鳥越氏はこう言っていることです。

「あなたたち(ハフポスト日本版)には悪いんだけれど、ネットにそんなに信頼を置いていない。しょせん裏社会だと思っている。メールは見ますけれど、いろんなネットは見ません」

なるほど。確かに、確かに。鳥越氏が出馬するのがもう10年早かったら、SNSはここまで発達していませんでしたから、新聞・テレビなどのレガシーメディアのスターだった鳥越氏の虚像を暴くものとてなかったでしょうね。

特に共産党が期待した青年層は紙の新聞など読みません。多くは情報はネットから得ているのです。

それをハナからネットを小馬鹿にして敵対していたら、勝てるはずがありません。

鳥越氏はネット言論にも敗れたのです。

最後に余計なお世話ですが、共産党さん。いつまでも「勝った」「勝った」という総括だけでは、ほんとうに勝てませんよ。

しかし、そういう総括をしないと党指導部の方針を否定しまうことになるので、できないのが、共産党の哀しいところなのです。

普通の政党は、選挙に負ければ代表が交代するのが通例ですが、共産党だけは、「大健闘」と締めていつまでも志位氏が居すわり続けます。

一切の批判は、分派主義として許されません。

そう考えると、「民主主義革命」をしたほうがいいのは、共産党のほうなのかもしれません。

まずは代表選挙でもしないと、「民主主義革命」の旗手としてカッコつかないのではないでしょうか。

 

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コメント

もしかして、と思い歴代の都知事選における共産党支持・推薦候補者にスポットを当てて得票を調べてみました。

2003年・・・若林義春:36万票(8%)
(石原慎太郎)
2007年・・・吉田万三:63万票(11%)
(石原慎太郎)
2011年・・・小池晃:62万票(10%)
(石原慎太郎)
2012年・・・宇都宮健児:97万票(15%)
(猪瀬直樹)
2014年・・・宇都宮健児:98万票(20%)
(舛添要一)
2016年・・・鳥越俊太郎:135万票(21%)
(小池百合子)

どうです、増えているでしょう。しかも念願の100万票超えですよ。確かに共産党候補”大健闘”です。

まぁ、本記事で分析されているように、共産党の真水の部分は別の話ですが、党内及び支持者向けには通じる話かもしれません。気になるのは宇都宮氏を共産党が直前に裏切ったことが、今後どのように影響するかですね。

一方、久しぶりに実現した反政府左翼連合(左翼・リベラル)候補だったのですが、こちらの陣営全体への影響は重大だと思います。

ハフポスの鳥越氏インタビュー記事を読みましたが、すごいですね。すべて”選挙スタッフがやったこと”で鳥越氏自身の反省はありません。また、そもそも彼は都知事になって都政をやろうとしたのではなく、街頭行動で反政府活動をしたかっただけのようです。しっかりと白状されています。

”ネットは裏社会”には驚きました。現代社会の実情がまったく理解されていません。反原発や安保法制反対を唱える人達に共通しますね。こんな人達に人の暮らしや命が左右される政治を任せられるはずがありません。

本人自身は純粋に思ったことを言っているだけのようですが、それが自分達の陣営を破壊していることになっている、ことに気づかれていません。

また、今回の参議院で当選した杉尾氏や、新鹿児島県知事もTVジャーナリスト出身ですが、この人達への影響も少なくないように思います。

オール◯◯だーと叫びながら食いつく共闘相手をでかくしていけば得票総数が増えるわけですね。

既にほころびは出ているのでしょうが、大きくなった顔無しの口から食喰らったモノや人をゲコゲコ吐き出して、只の顔無しに戻さないとです。

鳥越氏のハフィポスはキツいですね(>_<)その前にアップされてる宇都宮氏の共産桁はずし報告記事と合わせて読むと、人でなしさ倍増です。
落選したからまたジャーナリズムの地点から物言うなんて言ってる口で今ペン駄目じゃんって、彼に一票いれた者どもはあれを読んでどう思うんでしょうね。気にしないのかな。

共産主義はプロレタリア独裁によるグローバリズム、資本主義は独占資本によるグローバリズムです。いずれも人々を幸せにするためにと言う謳い文句で出てきたものです。

そして共産主義は独裁恐怖政治を生み、統制経済の弊害により、人々の気持ちは早々に離れてしまいました。

一方の資本主義ですが貧富の格差と国際化による弊害に民衆は辟易としています。

今や、世界ではイデオロギーは無用の長物となりつつあり民族主義への回帰が進んでいるようです。長くなりますので詳細は避けますが、日本でもこの流れは止められないでしょう。

そんな中でカビの生えた共産主義と言うイデオロギーを捨てられないのが共産党です。考え方もやり方ももう何10年も変わっていません。日本最強の、また日本で最後の守旧政党です。証拠に共産党の支持層は高齢者に偏っています。この高齢者が世を去る時が共産党が消滅する時です。

テレビに出て反日的な事をもっともらしく述べているのも高齢者が多いようです。彼らは自らの考え方を変えることはできないでしょう。しかし彼らも時間を止めることはできません。遠く無い将来に消滅する運命です。

ちなみに民進党や共産党を支持している人の多くは中流以上の生活をエンジョイしている団塊の世代です。若い人たちは、この左翼思想の欺瞞性にそろそろ気が付いて欲しいものです。

日本共産党の行く末は一体どうなるのか?

これはかつての自分の思想的「古巣」とも言え、少なくも一時期は最大限のシンパシーを感じていた私などのノスタルジーも含めた関心事でもあります。
そのうち、この件についてじっくりとブログ主様の意見を拝聴したく思います。

愛国命さんは(ずいぶん思い切った事おっしゃるなァ、とも思いますが)、
>この高齢者が世を去る時が共産党が消滅する時です。

と、ズバリ指摘します。

私の考えでは、思想やイデオロギーを確固たる柱とした共産党は愛国命さんの言うように、漸進的に死滅するんじゃないかと思います。
思想的基盤(それがたとえ誤りだったとしても)を失った日本共産党は、ポピュリズム政党として存続はしても、中身は既にかつての日本共産党の形骸を留める事はあるまい、と考えます。
その意味で民進党と共同歩調をとる事は、あながち「ひさしを貸して母屋を取る」事が狙いなのではなく、日本共産党の生きる道を模索した結果なのではないでしょうか。

ブログ主様は「かつて資本論を読破した」とおっしゃいましたが、この意味するところは結構重いです。
当時、資本論をどう読むか、その解釈を相互に戦わせ議論に勝つ事が何よりの自分の存在意義を示す事でしたでしょう。
ここで仲間内の優劣が決した、と言っても過言ではありませんでした。
私の時代、すでに近代経済学が主流になって来てはいても解釈だけは進化し続けていました。
私などは根気もなくて東大・京大の理解の早い連中には全然着いていけませんでした。
そこで、あまり人のやらないマルクス主義からの派生商品、ルカーチやらマルクーゼ、伊共産党の構造改革論などを読んでいました。
で、知ったかぶってハンパな自説をぶち、自分の位置を確保する努力だけは怠りませんでしたが。(笑)

話しが逸れましたが、今の日本共産党にはそうして(全くの無駄ではあっても)苦労して勉強をするインテリ志向の若者はいませんし、入党しません。
この事が現在の共産党中央をして、大衆迎合に走らざるを得ない主要因になっているんじゃないでしょうか。

引退した後の不破哲三氏の資本論講義に参加した事がありますが、周りは年寄りばかり。
党の暗い未来をそのまま投射する如くでした。
不破氏の解釈は我田引水ではありますが、いつでも新しく弾力性に富んだものです。
しかし、そういう価値をいくぶんかでも返り見るのは志井さんや小池晃氏くらいまでで、大門みきし氏以下は市会議員レベルでしかありません。
かくて「民進党の共産党化」と同じ位の歩調で「共産党の民進党化」が進み、左翼の退廃的無能力化が進行して、無意味で空疎な「和リベ」となって一本化されて行くのでは? とも思えます。


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